JP2964801B2 - 塗膜厚測定装置 - Google Patents

塗膜厚測定装置

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JP2964801B2 JP30734392A JP30734392A JP2964801B2 JP 2964801 B2 JP2964801 B2 JP 2964801B2 JP 30734392 A JP30734392 A JP 30734392A JP 30734392 A JP30734392 A JP 30734392A JP 2964801 B2 JP2964801 B2 JP 2964801B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塗料を塗装した直後の
未乾燥塗装表面の動的な粗さ情報からウェット塗装膜厚
を測定し、このウェット塗装膜厚からドライ塗装膜厚を
推定する塗膜厚測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の従来の塗膜厚測定装置として
は、例えば針ゲージを利用した接触式のもの、電磁式ま
たは渦電流式を利用した非接触式のもの等種々のものが
ある。図19はこのような従来の塗膜厚測定装置のう
ち、塗料の非磁極性を利用した非接触式塗膜厚測定装置
を示す説明図である。この従来の塗膜厚測定装置は、同
図(a)に示すように鋼板からなる被塗装体81の塗装
表面に対向して非接触膜厚センサ82を近接距離ho
予め位置決めしておいてから、該非接触膜厚センサ82
内に設けられている受発信コイルによって被塗装体81
と非接触膜厚センサ82との間に磁界を生成する。そし
て、同図(b)に示すように、被塗装体81の表面上に
ウェット塗料83を塗装すると、塗装後の被塗装体81
と非接触膜厚センサ82との間の磁界は塗装膜厚による
電磁気抵抗により減衰して受信コイルに感知される。従
って、膜厚に反比例した磁束の変化を検出することによ
り、塗装膜厚を測定することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述したウェット塗膜
厚測定装置のうち、針ゲージ式のように接触式のものは
塗装面へのきずによって塗装品質に影響があるという問
題がある。
【0004】また、非接触式のもののうち、図19に示
したような非接触式塗膜厚測定装置は塗装前に被塗装体
と非接触膜厚センサとの間の距離を所定の近接距離に設
定しておく必要があるが、被塗装体へ塗装を行った後に
おいては塗装の膜厚を測定できないという問題や、また
は測定自体が塗装の直後で2回必要であるという問題、
更に測定精度が悪いという問題がある。
【0005】更に、塗膜厚測定装置は、塗装品質を管理
するために塗膜厚を計測するものであり、この塗装品質
の管理は塗装が乾燥した状態のドライ状態の塗膜厚で行
うものであるが、従来の塗膜厚測定装置は乾燥した後の
ドライ状態の塗膜厚を測定するものであるため、塗装を
施してから乾燥時間に相当する数時間以上後でないとド
ライ状態の塗膜厚を得ることができず、塗膜厚に関する
情報を迅速にフィードバックすることができないという
問題がある。仮りに、塗膜厚が最適でないということが
乾燥後のドライ塗膜厚の測定によって判明したとして
も、乾燥が行われるまでの数時間の間に行われた塗装は
塗膜厚が最適でないものとなり、場合によって塗装を再
度やり直す必要が生じるという問題がある。
【0006】本発明は、上記に鑑みてなされたもので、
その目的とするところは、塗装直後のウェット状態の塗
装膜厚を測定し、このウェット塗装膜厚からドライ塗装
膜厚を推定し得る塗膜厚測定装置を提供することにあ
る。
【0007】また、本発明の他の目的は、塗装直後のウ
ェット状態の塗装面の塗膜厚および鮮映性を測定し、こ
のウェット塗装面の塗膜厚および鮮映性からドライ塗装
面の塗膜厚および鮮映性を推定し、両情報から塗装性お
よび最適塗膜厚を推定し得る塗膜厚測定装置を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の塗膜厚測定装置は、塗料を塗装した直後の
未乾燥塗装表面の粗さを撮像する撮像手段と、前記塗料
の成分情報を含む塗装条件を入力する入力手段と、前記
塗装条件および前記撮像手段で撮像した表面粗さ情報か
ら表面粗さの平滑化理論を用いてウェット塗装膜厚を算
出するウェット塗装膜厚算出手段と、該ウェット塗装膜
厚算出手段で算出したウェット塗装膜厚および前記塗装
条件の塗着塗料固形分割合情報に基づいてドライ塗装膜
厚を算出するドライ塗装膜厚算出手段とを有することを
要旨とする。
【0009】また、本発明の塗膜厚測定装置は、塗料を
塗装した直後の未乾燥塗装表面の粗さを撮像する撮像手
段と、該撮像手段からの画像情報を画像処理する画像処
理手段と、塗装条件を入力する入力手段と、前記画像処
理手段で画像処理された画像情報および前記塗装条件に
基づいてウェット塗装面の鮮映性を算出するウェット鮮
映性算出手段と、前記ウェット塗装面の鮮映性からドラ
イ塗装面の鮮映性を推定するドライ鮮映性推定手段と、
前記塗装条件および前記撮像手段で撮像した表面粗さ表
面から表面粗さの平滑化理論を用いてウェット塗装膜厚
を算出するウェット塗装膜厚算出手段と、該ウェット塗
装膜厚算出手段で算出したウェット塗装膜厚および前記
塗装条件の塗着塗料固形分割合情報に基づいてドライ塗
装膜厚を算出するドライ塗装膜厚算出手段と、前記ウェ
ット塗装面およびドライ塗装面の鮮映性および前記ウェ
ット塗装膜厚およびドライ塗装膜厚に基づいて塗装性を
判断して、最適塗膜厚を算出し、該最適塗膜厚に対する
前記ドライ塗装膜厚の偏差を算出する塗装性判断手段
と、前記最適塗膜厚に対するドライ塗装膜厚の偏差に基
づいて前記塗装条件を制御する制御手段とを有すること
を要旨とする。
【0010】
【作用】本発明の塗膜厚測定装置では、塗装直後の未乾
燥塗装表面の粗さを撮像した表面粗さ情報と塗装条件か
ら表面粗さの平滑化理論を用いてウェット塗装膜厚を算
出し、このウェット塗装膜厚および塗装条件の塗着塗料
固形分割合情報に基づいてドライ塗装膜厚を算出してい
る。
【0011】また、本発明の塗膜厚測定装置は、塗装直
後の未乾燥塗装表面の粗さを撮像した画像情報および塗
装条件に基づいてウェット塗装面の鮮映性を算出し、こ
のウェット塗装面の鮮映性からドライ塗装面の鮮映性を
推定し、塗装条件および前記撮像した表面粗さ情報から
表面粗さの平滑化理論を用いてウェット塗装膜厚を算出
し、このウェット塗装膜厚および塗装条件の塗着塗料固
形分割合情報に基づいてドライ塗装膜厚を算出し、ウェ
ット塗装面およびドライ塗装面の鮮映性およびウェット
塗装膜厚およびドライ塗装膜厚に基づいて塗装性を判断
して、最適塗膜厚を算出し、最適塗膜厚に対するドライ
塗装膜厚の偏差を算出し、この偏差に基づいて塗装条件
を制御している。
【0012】
【実施例】以下、図面を用いて本発明の実施例を説明す
る。
【0013】図1は、本発明の第1の実施例に係わる塗
膜厚測定装置の構成を示すブロック図である。同図に示
す第1の実施例に係わるウェット塗膜厚測定装置は、塗
装を施された被塗装物1に対向して設けられ、被塗装物
1の塗装表面を撮像して、表面の粗さ情報を得る撮像部
2を有する。なお、本実施例では、該撮像部2は静電気
対策として防爆仕様のものであり、また被塗装物1には
上塗り塗料が塗布されている。
【0014】前記撮像部2で撮像された被塗装物1の表
面の粗さ情報は画像処理部3に供給される。画像処理部
3は、各種画像処理プログラム、画像解析シーケンスプ
ログラム、波形解析プログラム等から構成され、撮像部
2から供給された表面粗さ情報を画像処理し、パワース
ペクトルの周波数分析(FFT)および長波の波形分離
を行い、表面粗さ情報をパワースペクトルデータとして
パワースペクトル積分値演算部21に供給する。
【0015】パワースペクトル積分値演算部21は、画
像処理部3からのパワースペクトルデータから粗さ相当
のパワースペクトル積分値Pi および長波長λを算出
し、ウェット膜厚演算部22に供給する。ウェット膜厚
演算部22は、該パワースペクトル積分値Pi および長
波長λに加えて、入力装置8から入力される塗装条件に
基づき、パワースペクトルPを使用した平滑化理論式を
用いてウェット塗装膜厚hを算出する。
【0016】該ウェット膜厚演算部22で算出されたウ
ェット塗膜厚hは、ドライ塗膜厚演算部23に供給され
る。また、ドライ塗膜厚演算部23には、前記ウェット
塗膜厚hに加えて、入力装置8から塗装条件の塗着塗料
固形分割合情報、すなわち塗着NV情報(ノンボラ情
報)を供給される。
【0017】NV情報は、塗料NVと塗着NVがあり、
塗料NVは予め重量の測定されたアルミ箔の上に一定量
の塗料を載せ、乾燥前後の重量を測定することにより算
出される(アルミ重量法)。また、塗着NVは基本的に
は塗料NVと同じアルミ重量法を用いて測定されるが、
塗装ライン上にアルミ箔を載せた試料を流し、塗布直後
t(t=t1 ,t2 ,t3 )の塗装されたアルミ箔の乾
燥前後の重量を測定することにより算出される。
【0018】ドライ塗膜厚演算部23は、ウェット塗膜
厚hおよびNV情報を供給されると、これらの情報に基
づいてドライ塗膜厚h’を推定する。これらのウェット
塗装膜厚hおよびドライ塗膜厚h’は表示器10に表示
されるとともに、プロッタ11で印刷される。
【0019】なお、ドライ塗膜厚演算部23におけるウ
ェット塗膜厚hおよびNV情報に基づくドライ塗膜厚
h’の算出は次式による。
【0020】h’=h×(NV値) 次に、パワースペクトルPを使用した平滑化理論式の導
出について説明する。
【0021】まず、パワースペクトルPによる平滑化特
性を説明すると、表面粗さRa とパワースペクトル積分
値Pi とは、次式の関係を有する。
【0022】 Pi =Po +k×Ra 1/2 …(1) Ra ={(Pi −Po )/k}2 …(2) パワースペクトル解析値による平滑化理論式の導出で
は、まずウェット塗膜平滑化理論式(近似式)として、
表面粗さ度Ra は次式で表される。
【0023】 Ra =Rao・ exp(−t/τ) …(3) (2)式を(3)式に代入すると、
【数1】 {(Pi −Po )/k}2 ={(Pio−Poo)/k}2 exp(−t/τ) …(4) なお、ここで、PioはPi の初期値、PooはPo の初期
値である。
【0024】従って、 P=Po ・ exp(−t/2τ) …(5) 但し、P=Pi −Po ,τ=3ηλ4 /16π4 γh3
である。
【0025】以上から、パワースペクトル解析値による
塗装膜厚hは次式のようになる。
【0026】
【数2】 但し、τ’i =3ηiλ4 /16π4 γである。
【0027】次に、図1の実施例の作用を説明する。
【0028】撮像部2によって被塗装物1の塗膜表面を
撮像して、塗料塗布後における表面粗さ情報を測定する
と、この情報は画像処理部3に入力されて画像処理さ
れ、周波数解析(FFT)処理および空間周波数毎のパ
ワースペクトルデータとしてパワースペクトル積分値演
算部21に供給される。パワースペクトル積分値演算部
21では、画像処理部3からのパワースペクトルデータ
を使用し、パワースペクトルの波形分離および長波パワ
ースペクトル積分値Pi と長波長λの算出が行われ、粗
さ度相当の情報とされ、ウェット膜厚演算部22に供給
される。ウェット膜厚演算部22には、入力装置8から
塗装条件が入力され、この情報と前記パワースペクトル
積分値演算部21からのパワースペクトル積分値Pi
よび長波長λから上述したようにウェット塗装膜厚hが
算出される。
【0029】このウェット塗膜厚hはドライ塗膜厚演算
部23に供給され、ドライ塗膜厚演算部23は入力装置
8からのNV情報と該ウェット塗膜厚hに基づいて上述
したようにドライ塗膜厚h’を推定する。この推定され
たドライ塗膜厚h’および前記ウェット塗膜厚hは表示
器10に表示されるとともに、プロッタ11で印刷され
る。
【0030】次に、図2を参照して、本発明の第2の実
施例について説明する。
【0031】図2に示す塗膜厚測定装置は、図1に示し
た実施例におけるウェット塗装膜厚からドライ塗装膜厚
を推定する塗膜厚測定装置に対してウェット鮮映性演算
部41、ドライ鮮映性演算部61、塗装性判断部63お
よび塗装条件制御システム65を追加し、これによりウ
ェット塗装面の鮮映性からドライ塗装面の鮮映性を推定
し、これらの鮮映性と前記ドライ塗装膜厚とから塗装性
を判断し、最適塗膜厚を算出するとともに、この最適塗
膜厚に対するドライ塗装膜厚の偏差を算出し、この偏差
を塗装条件としてフィードバックするように構成した点
が異なるものであり、図1に示す構成要素と同じ構成要
素には同じ符号を付している。
【0032】図2の実施例において、撮像部2からの画
像処理された表面粗さ情報はウェット鮮映性演算部41
およびパワースペクトル積分値演算部21に供給され
る。
【0033】ウェット鮮映性演算部41は、画像処理部
3からの画像処理データおよび入力装置8から供給され
る塗装色等を含む塗装条件に基づいてウェット塗装面の
鮮映性、すなわち平滑性、肉持ち性、光沢性からなる鮮
映性を算出し、この鮮映性をドライ鮮映性演算部61に
供給する。このドライ鮮映性演算部61は、ウェット鮮
映性演算部41から供給されたウェット塗装面の鮮映性
に基づいて最終塗装品質であるドライ塗装面の鮮映性を
推定し、このドライ塗装面の鮮映性およびウェット塗装
面の鮮映性を塗装性判断部63に供給する。
【0034】ここで、ウェット塗装面の鮮映性とドライ
塗装面の鮮映性の比較について説明する。
【0035】鮮映性のうちの平滑性について説明する。
ウェット塗装面の平滑性は図3に示すように塗布直後は
数値は低いが、時間とともに平滑化理論に従って徐々に
数値が上昇する。この傾向は乾燥後においても基本的に
継続する。従って、ウェット塗装面での平滑性目標値は
ドライ塗装面の値に対して小さくなり、ウェット塗装面
の平滑性をHw とし、ドライ塗装面の平滑性をHd とす
ると、次式に示すようになる。
【0036】 Hd =K1 ・Hw …(7) ここで、K1 はウェット平滑係数であり、1より大きな
値である(K1 >1)。また、ウェット塗装面の平滑性
の目標値は次のようになる。
【0037】 Hw ≧0.5 …(8) 次に、肉持ち性について説明する。ウェット塗装面の肉
持ち性は図4に示すように塗布直後から数値が大きくな
っているが、乾燥後は逆に焼付け時の肌荒れのために肉
持ち性は低下する。従って、ウェット塗装面の肉持ち性
の目標値はドライ塗装面の値よりも高くなり、ウェット
塗装面の肉持ち性をNw とし、ドライ塗装面の肉持ち性
をNd とすると、次式に示すようになる。
【0038】 Nd =K2 ・Nw …(9) ここで、K2 はウェット肉持ち性係数であり、1より小
さい値である(K2 <1)。また、ウェット塗装面の肉
持ち性の目標値は次のようになる。
【0039】 Nw ≧1.0 …(10) 光沢性、すなわち艶性について説明する。ウェット塗装
面の艶性は図5に示すように肉持ち性と同様に塗布直後
の方が数値的に大きいが、乾燥後は焼付けによる肌荒れ
のために艶性は低下する。ウェット塗装面の艶性をTw
とし、ドライ塗装面の艶性をTd とすると、次式に示す
ようになる。
【0040】 Td =K3 ・Tw …(11) ここで、K3 はウェット艶性係数であり、1より小さい
値である(K3 1)。また、ウェット塗装面の艶性の
目標値は次のようになる。
【0041】 Tw ≧0.6 …(12) 一方、パワースペクトル積分値演算部21は、画像処理
部3からのパワースペクトルデータから粗さ相当のパワ
ースペクトル積分値Pi および長波長λを算出し、ウェ
ット膜厚演算部22に供給する。ウェット膜厚演算部2
2は、該パワースペクトル積分値Pi および長波長λに
加えて、入力装置8から入力される塗装条件に基づき、
パワースペクトルPを使用した平滑化理論式を用いてウ
ェット塗装膜厚hを算出する。このウェット塗膜厚h
は、ドライ塗膜厚演算部23に供給され、入力装置8か
ら塗装条件の塗着塗料固形分割合情報、すなわち塗着N
V情報(ノンボラ情報)とにより、ドライ塗膜厚h’が
推定され、このドライ塗膜厚h’およびウェット塗膜厚
hは塗装性判断部63に供給される。
【0042】塗装性判断部63は、ドライ鮮映性演算部
61から供給されたドライ塗装面の鮮映性およびウェッ
ト塗装面の鮮映性およびドライ塗膜厚演算部23から供
給されたドライ塗膜厚h’およびウェット塗膜厚hに基
づいて、塗装面の塗装性(品質)を判定し、最適塗膜厚
を算出するとともに、この最適塗膜厚に対するドライ塗
膜厚h’の偏差を算出する。そして、この塗膜厚偏差情
報を塗装条件制御システム65に供給するとともに、該
塗膜厚偏差、ドライ塗膜厚、ウェット塗膜厚、ドライ塗
装面の鮮映性、ウェット塗装面の鮮映性に関する情報を
表示器10およびプロッタ11に出力し、それぞれ表示
および印刷する。
【0043】塗装条件制御システム65は、塗装性判断
部63から供給された塗膜厚偏差情報に基づいて例えば
塗装条件を制御し、これにより最適塗膜厚および塗装性
が得られるようにフィードバック制御する。
【0044】なお、ウェット塗装品質の判定は、鮮映性
の平滑性、肉持ち性、光沢性のそれぞれについて前述し
た(8),(10),(12)式の目標値に対して判定
し、塗装品質を鮮映値または良否で判定する。また、最
適塗膜厚値の算出は、実際の製造ラインにおいて図3〜
図5のような各鮮映性のウェットとドライの相関を取
り、かつその時の塗膜厚を計測することにより、塗装鮮
映性の目標値を確保し、実現可能な最も薄い塗膜厚を最
適塗膜厚ho とする。図3〜図5の例では、目標とする
最適塗膜厚ho =40〜45μm程度である。従って、
目標鮮映性をクリアした塗装面の塗膜厚がhである場
合、塗膜厚偏差は次式のようになる。
【0045】 Δh=h−ho …(13) そして、この塗膜厚偏差ho が塗装条件制御システム6
5にフィードバックされることになる。
【0046】なお、上述した各実施例では、ウェット塗
装膜厚を算出するのにパワースペクトルを使用した平滑
式理論を利用した方法について説明しているが、ウェッ
ト塗装膜厚を算出する方法は、この方法に限るものでな
く、例えば塗装表面の粗さのピークツゥピーク値を使用
する方法、塗装表面の粗さ度を使用する方法、平滑化初
期値を使用する方法等の種々の方法を利用することがで
きるが、次にこれらの各方法について説明する。
【0047】図6は、本発明の第3の実施例の構成を示
すブロック図であり、この実施例はウェット塗装膜厚を
塗装表面の粗さのピークツゥピーク値を使用して測定す
るものである。
【0048】図6に示すウェット塗膜厚測定装置の構成
を説明する。図6において、塗装を施される被塗装物1
には対向して粗さ測定手段を構成している非接触光干渉
式表面粗さ計4が設けられている。なお、本実施例で
も、被塗装物1には上塗り塗料を塗布している。
【0049】表面粗さ計4は、図7に示すように、光源
13から発生する光がピンホールおよび開口部を通り、
ハーフミラーに当たって下方に反射され、対物レンズ1
5、参照面16、ビームスプリッタを通り、被塗装物1
の表面に当たって上方に反射され、ビームスプリッタ、
参照面16、対物レンズ15を通った後、ハーフミラー
を上方に通過し、フィルタを通ってCCDセンサ12で
受信され、これにより被塗装物1の表面の粗さ情報を得
るように構成されている。
【0050】表面粗さ計4からの被塗装物1の表面粗さ
情報は、コントローラ9を構成する画像処理装置5に供
給され、ここで座標化、座標変換が行われた後、塗膜粗
さ平滑性演算処理装置6に供給される。
【0051】塗膜粗さ平滑性演算処理装置6は、画像処
理装置5から供給される表面粗さ画像情報から表面粗さ
平滑性情報、すなわち凹凸のピークツゥピーク(p−
p)値aおよび凹凸の波長λを演算し、膜厚演算処理装
置7に供給する。また、この膜厚演算処理装置7には入
力装置8から揮発成分等の含有量等を含む塗料の成分情
報が入力され、これにより膜厚演算処理装置7は後述す
るウェット塗装膜厚計測法に基づいて塗装膜厚を算出
し、この算出した塗装膜厚を表示器10およびプロッタ
11に出力する。なお、前記画像処理装置5、塗膜粗さ
平滑性演算処理装置6および膜厚演算処理装置7がコン
トローラ9を構成している。
【0052】ここで、膜厚演算処理装置7は、ウェット
塗装膜厚を算出する構成となっているが、前出の図1あ
るいは図2に示す演算部23の処理機能を付加すること
で、ドライ塗装膜を推定することができる。そして、こ
のようなことから、本実施例を図1あるいは図2に示す
第1および第2の実施例への適用も可能であることは言
うまでもない。
【0053】次に、図8に示すフローチャートを参照し
て、図6に示す実施例の作用を説明する。
【0054】図8においては、まず表面粗さ計4によっ
て塗料を塗布された直後の時間t1において被塗装物1
の表面に光を照射し、その反射光を受光して、被塗装物
1の表面の粗さ情報を得るが、この処理は表面粗さ計4
において光源13から光を発生し(ステップ110)、
分光部で分光し(ステップ120)、被塗装物1の塗装
表面を照射し(ステップ130)、該塗装表面からの反
射光を測光部で測光し(ステップ140)、これにより
時間t1 における画像情報、すなわち被塗装物1の表面
粗さ情報を入手し(ステップ150)、この画像情報を
メモリに記憶する(ステップ160)という手順にて行
われる。
【0055】この表面粗さ情報の入手は、時間t1 に続
いて、時間Δt後の時間t2 (=t1 +Δt)において
も繰り返して行われ、これにより時間t1 ,t2 におけ
る被塗装物1の表面粗さ情報が測定され、画像情報とし
てメモリに記憶される。この画像情報は画像処理装置5
に供給され、該画像処理装置5において座標化および座
標変換が行われる(ステップ170)。
【0056】次に、画像処理装置5において座標化およ
び座標変換された画像情報である被塗装物1の表面粗さ
情報は、塗膜粗さ平滑性演算処理装置6に供給され、こ
こで被塗装物1の表面粗さ情報から前記時間t1 ,t2
における表面の凹凸のピークツゥピーク値a、波長λが
算出される(ステップ180)。そして、この算出され
た時間t1 ,t2 における表面凹凸のピークツゥピーク
値aおよび波長λは、前記入力装置8から入力される塗
料の成分等の塗装条件とともに(ステップ190)、膜
厚演算処理装置7に入力され、塗装膜厚hが算出され
(ステップ200)、この算出された塗装膜厚hは前記
表示器10に表示されるとともに、プロッタ11で印刷
される(ステップ210)。
【0057】次に、前記ステップ180における塗膜粗
さ平滑性演算処理装置6による被塗装物1の表面の凹凸
のピークツゥピーク値aおよび波長λの算出処理および
ステップ200における膜厚演算処理装置7による塗装
膜厚hの算出処理について図9以降を参照して説明す
る。
【0058】被塗装物1の表面に塗料を塗布した直後の
ウェット状態の塗装表面は粗さの大きい凹凸状であり、
この表面状態は図9(a),(b)に示すように表面の
凹凸aおよび波長λで表すことができる。
【0059】図9(a)に示す塗布直後のウェット状態
の表面凹凸は、上述したように、時間とともに平滑化さ
れていくが、この表面平滑化の動特性は、図9(a)の
ようにこのウェット状態における塗装膜厚の平均値を
h、塗料の粘度をη、塗膜の表面張力をγ、表面の凹凸
初期値をao とすると、次式で一般に表される。
【0060】
【数3】 da/dt=(−h3 γ)/(3η)×(2π/λ)4 a …(14) a=ao ・exp −t/τ …(15) τ=3ηλ4 /(16π4 ×γh3 ) …(16) 実際には塗料塗布後の塗膜粘度は霧化エア圧、溶剤、塗
布前粘度、温度等が一定の条件のもとに図10のように
一例として表される。なお、図10において、横軸は塗
料塗布後の経過時間であり、縦軸は塗膜粘度ηを示し、
η0 およびη1はそれぞれ塗布前の粘度値および塗料付
着直後の初期粘度値を示す。
【0061】従って、図10に示すように、塗料塗布直
後の粘度は時間とともに変化するため上式(14)〜
(16)の粘度ηは次式のような補正値を使用する必要
がある。
【0062】 η=η1 +Kt …(17) なお、η1 >η0 であり、Kは1.0よりはるかに小さ
な係数である(K《1.0)。
【0063】図11のウェット膜厚の平滑化動特性に示
すように、塗料塗布直後の時間t1,t2 における塗装
表面の凹凸のピークツゥピーク値がそれぞれa1 ,a2
であり、凹凸の波長がλ12である場合、次式のようにな
る。なお、λ 1 =λ 2 =λ 12 とする。
【0064】
【数4】 a1 =a0 exp (−t1 /τ1 ) …(18) τ1 ={3×η(t1 )×λ12 4 }/(16π4 ×γ×h3 )…(19) a2 =a0 exp (−t2 /τ2 ) …(20) τ2 ={3×η(t2 )×λ12 4 }/(16π4 ×γ×h3 )…(21) 上式(18)〜(21)から塗装膜厚hを求めると、
(18)式を(20)式で割って、次のようになる。
【0065】
【数5】 a1 /a2 =exp (−t1 /τ1 +t2 /τ2 ) …(22) 1na1 /a2 =(−t1 /τ1 +t2 /τ2 ) …(23) そして、(19),(21),(23)式から塗装膜厚
hが次式のように求まる。
【0066】
【数6】 h={(1na1 /a2 )/(−t1 /τ1 ’+t2 /τ’2 )}1/3 …(24) τ1 ’=(3η1 ×λ12 4 )/(16π 4 γ) …(25) τ2 ’=(3η2 ×λ12 4 )/(16π 4 γ) …(26) これらの式(24)〜(26)から、塗料塗布直後の時
間t1 ,t2 における塗装表面の粗さa1 ,a2 および
波長λ 12 を測定することにより、塗装膜厚hを算出す
ることができる。
【0067】同様に、(14)式をda/dt=(a2
−a1 )/(t2 −t1 )とし、(17)式を加えて、
塗装膜厚hを算出することも可能である。
【0068】
【数7】 なお、測定系により(24)式または(27)式のいず
れを使用するかの選択が必要である。
【0069】図12は上塗り塗料での測定値を理論値と
比較したグラフである。塗布後60〜100秒における
平滑化動特性は理論値と測定値がかなり近い値となって
おり、膜厚値も(24)式から求めると、約38〜40
μであり、実測値にほぼ近い値となっている。
【0070】次に、図13を参照して、本発明の第4の
実施例について説明する。
【0071】図13に示す第4の実施例は、ウェット塗
膜厚測定装置は、図6に示した第3の実施例においてコ
ントローラ9を構成する塗膜粗さ平滑性演算処理装置6
の代わりに表面粗さ度演算処理装置17を使用している
点が異なるのみで、その他の構成および作用は同じであ
る。そして、この第4の実施例のウェット塗膜厚測定装
置は、表面粗さ度演算処理装置17を使用して、第3の
実施例における表面凹凸のピークツゥピーク値aおよび
波長λの代わりに表面粗さ度および表面粗さ波長を算出
し、これによりこの表面粗さ度およびその波長を使用す
ることにより、比較的短い測定時間で平均塗装膜厚を算
出できるとともに、特定の凹凸の選定処理を不要となる
という利点を有するものである。なお、表面粗さ度およ
び波長としては、平均粗さ度Ra および平均波長λa
または2乗平均平方根Rq および2乗平均平方根波長λ
q を使用している。
【0072】ここで、前出の図6に示す第3の実施例と
同様に、膜厚演算処理装置7は、ウェット塗装膜厚を算
出する構成となっているが、前出の図1あるいは図2に
示す演算部23の処理機能を付加することで、ドライ塗
装膜を推定することができる。そして、このようなこと
から、本実施例を図1あるいは図2に示す第1および第
2の実施例への適用も可能であることは言うまでもな
い。
【0073】次に、図14に示すフローチャートを参照
して、図13に示す実施例の作用を説明する。
【0074】また、図14は本第4の実施例の作用を示
すフローチャートであるが、このフローチャートは図8
に示した第3の実施例のフローチャートにおいてステッ
プ180におけるピークツゥピーク値および波長の算出
の代わりにステップ182として表面粗さ度および表面
粗さ波長を算出するようになっている点が異なっている
のみである。
【0075】図13および14に示す第4の実施例のウ
ェット塗膜厚測定装置において、表面粗さ度演算処理装
置17は画像処理装置5から供給される表面粗さ画像情
報から時間t1 およびt2 における表面の粗さ度および
波長、すなわち平均粗さ度Ra およびその平均波長λa
または2乗平均平方根Rq および2乗平均平方根λq
算出し(図14のステップ182)、膜厚演算処理装置
7に供給する。
【0076】膜厚演算処理装置7は、表面の粗さ度およ
び波長、すなわち平均粗さ度Ra およびその平均波長λ
a または2乗平均平方根Rq および2乗平均平方根λq
を供給されると、これらの情報と入力装置8から供給さ
れる塗料条件から上述した(24)式に対応する次に示
す(28)〜(33)式に従って塗装膜厚hを算出する
(ステップ200)。
【0077】すなわち、上述した(24)式は表面粗さ
度およびその波長、すなわち平均粗さ度Ra およびその
平均波長λa または2乗平均平方根Rq および2乗平均
平方根波長λq に対しても次に示すように成立する。
【0078】
【数8】 h={(1nRa1/Ra2)/(−t1 /τ1 ’+t2 /τ2 ’)}1/3 …(28) τ1 ’=(3η1 ×λa )/(16π4 γ) …(29) τ2 ’=(3η2 ×λa )/(16π4 γ) …(30) h={(1nRq1/Rq2)/(−t1 /τ1 ’+t2 /τ2 ’)}1/3 …(31) τ1 ’=(3η1 ×λq )/(16π4 γ) …(32) τ2 ’=(3η2 ×λq )/(16π4 γ) …(33) 図15は、表面粗さ度の平滑化動特性を示すグラフであ
り、横軸に示す塗料塗布後の経過時間に対して縦軸に表
面粗さ度Ra ,Rq を示している。同図から、塗布後6
0〜100秒における平滑化動特性は図12に示した場
合と同様に粗さ度(Ra ,Rq )に対しても理論値と測
定値はほぼ一致していることがわかる。また、塗装膜厚
値hもha =40μm,hq =39μmとほぼ一致して
いる。
【0079】次に、図16を参照して、本発明の第5の
実施例について説明する。
【0080】図16に示す第5の実施例は、ウェット塗
膜厚を測定するものであり、図13に示した第4の実施
例において表面粗さ度演算処理装置17と膜厚演算処理
装置7との間に平滑化初期値推定装置18を設けるとと
もに、前記入力装置8からの塗料条件情報をこの平滑化
初期値推定装置18に入力するように構成した点が異な
るのみで、その他の構成および作用は同じである。そし
て、この第5の実施例のウェット塗膜厚測定装置は、平
滑化初期値推定装置18によって平滑化初期値を推定算
出することにより、塗料の塗布後t秒後の1回のみの短
時間の粗さ情報の測定のみで塗装膜厚hの算出を可能と
し、これにより本ウェット塗膜厚測定装置のラインへの
適応性を向上しているものである。
【0081】ここで、前出の図6に示す第3の実施例と
同様に、膜厚演算処理装置7は、ウェット塗装膜厚を算
出する構成となっているが、前出の図1あるいは図2に
示す演算部23の処理機能を付加することで、ドライ塗
装膜を推定することができる。そして、このようなこと
から、本実施例を図1あるいは図2に示す第1および第
2の実施例への適用も可能であることは言うまでもな
い。
【0082】また、図17は本第5の実施例の作用を示
すフローチャートであるが、このフローチャートは図1
4に示した第4の実施例のフローチャートにおいてステ
ップ182における時間t1 ,t2 における2回の表面
粗さ度および波長の算出の代わりにステップ184とし
て時間t1 のみの1回の表面粗さ度および波長の算出を
行うとともに、引き続いてステップ186を追加し、こ
のステップで平滑化初期値を推定するようになっている
点が異なっているのみである。
【0083】図16および17に示す第5の実施例のウ
ェット塗膜厚測定装置において、表面粗さ度演算処理装
置17は時間t1 における表面粗さ度Ra および波長λ
a を測定し(ステップ184)、この表面粗さ度Ra
よび波長λa を平滑化初期値推定装置18に供給する。
平滑化初期値推定装置18は、この表面粗さ度Ra およ
び波長λa に加えて、入力装置8から入力される塗料成
分等を含む塗料条件から平滑化初期値ao を推定する
(ステップ186)。
【0084】この平滑化初期値ao の推定について説明
する。
【0085】前述した(18)式から塗布直後の凹凸ピ
ークツゥピーク値ao は、次式のようになる。
【0086】 ao =a1 exp (t1 /τ1 ) …(34) なお、この式におけるτ1 およびη1 (t1 )はそれぞ
れ前述した(17),(19)式に示したものと同じで
ある。
【0087】塗装面平滑化動特性の測定データから塗布
直後(t=0)の凹凸ピークツゥピーク値ao は上式
(34)から求まる(但し、ガン特性は一定として)。
【0088】また、例えば塗装膜厚h=60μm、波長
λ=6mmの場合、凹凸ピークツゥピーク値ao =8.
5〜8.7μm(t=t1 〜t3 )となり、塗装膜厚h
=40μm、波長λ=4.3mmの場合、凹凸ピークツ
ゥピーク値ao =8.4〜8.6μm(t=t1
3 )となるというように初期値は塗装膜厚hおよび波
長λに対してほぼ一定であることがわかる。すなわち、
次式に示す関係があると言える。なお、この関係は図1
8に示す塗布直後の時間に対する塗膜表面凹凸ピークツ
ゥピーク(p−p)値のグラフで示す平滑化動特性理論
値と測定値との比較からも明らかである。
【0089】 λ4 /h3 =Ko (一定) …(35) 従って、塗料成分が予め既知であれば、一定時間tでの
凹凸ピークツゥピーク値aと波長λを計測することによ
り、凹凸ピークツゥピーク値の初期値ao は上述した
(34),(19),(17),(35)式を使用して
前もって求めることができる。また、初期値ao を前も
って測定しておいてもよい。
【0090】以上のようにして、平滑化初期値ao を算
出すると、この平滑化初期値を膜厚演算処理装置7に供
給し、塗装膜厚hが算出される(ステップ200)。
【0091】この塗装膜厚hの算出について説明する。
【0092】上述した平滑化初期値の算出において塗料
成分が既知であり、また塗装条件(ガン特性)が一定で
あれば、塗布直後の凹凸ピークツゥピーク値ao は上述
したように推定可能であるので、塗装膜厚hは、前述し
た(24)〜(26)式においてt1 =0,t2 =t1
とすることにより、次式のように求めることができる。
【0093】
【数9】 h={(1na0 /a1 )/(−0/τ0 +t1 /τ1 ’}1/3 ={(1nao /a1 )/(t1 /τ1 ’)}1/3 …(36) τ1 ’=(3η1 ×λ4 )/(16π4 γ) …(25) η1 =η0 +Kt1 …(17) 以上の(36),(25),(17)式から塗装膜厚h
は時間t1 ,波長λ、時間t1 における凹凸ピークツゥ
ピーク値a1 を測定することにより算出することができ
る。
【0094】なお、上述した第5の実施例では、表面ピ
ークツゥピーク値を使用した場合を説明したが、この代
わりに表面粗さ度およびその波長、すなわち平均粗さ度
aおよび平均波長λa 、または2乗平均平方根Rq
よび2乗平均平方根波長λqを使用しても次式に示すよ
うに成立する。
【0095】
【数10】 h={(1nRa0/Ra1)/(t1 /τ1 ’)}1/3 …(37) τ1 ’=(3η1 ×λa 4 )/(16π4 γ) …(38) h={(1nRq0/Rq1)/(t1 /τ1 ’)}1/3 …(39) τ1 ’=(3η1 ×λq 4 )/(16π4 γ) …(40)
【0096】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
塗装直後の未乾燥塗装表面の粗さを撮像した表面粗さ情
報と塗装条件から表面粗さの平滑化理論を用いてウェッ
ト塗装膜厚を算出し、このウェット塗装膜厚および塗装
条件の塗着塗料固形分割合情報に基づいてドライ塗装膜
厚を算出しているので、塗装直後のウェット状態の塗装
面からドライ塗装面の塗膜厚を迅速に推定することがで
き、ドライ塗膜厚の塗装条件へのフィードバックを迅速
に行うことができ、塗装品質の安定性を向上することが
できる。
【0097】また、本発明によれば、塗装直後の未乾燥
塗装表面の粗さを撮像した画像情報および塗装条件に基
づいてウェット塗装面の鮮映性を算出し、このウェット
塗装面の鮮映性からドライ塗装面の鮮映性を推定し、塗
装条件および前記撮像した表面粗さ情報から表面粗さの
平滑化理論を用いてウェット塗装膜厚を算出し、このウ
ェット塗装膜厚および塗装条件の塗着塗料固形分割合情
報に基づいてドライ塗装膜厚を算出し、ウェット塗装面
およびドライ塗装面の鮮映性およびウェット塗装膜厚お
よびドライ塗装膜厚に基づいて塗装性を判断して、最適
膜厚を算出し、最適塗膜厚に対するドライ塗装膜厚の偏
差を算出し、この偏差に基づいて塗装条件を制御してい
るので、塗装直後のウェット状態の塗装面からドライ塗
装面の塗膜厚を迅速に推定することができ、ドライ塗膜
厚の塗装条件へのフィードバックを迅速に行うことがで
き、塗装品質の安定性を向上することができるととも
に、また過剰品質、すなわち塗料の無駄を防止し、経済
化を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係わる塗膜厚測定装置
の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施例に係わる塗膜厚測定装置
の構成を示すブロック図である。
【図3】ウェット平滑性とドライ平滑性の比較を示すグ
ラフである。
【図4】ウェット肉持ち性とドライ肉持ち性の比較を示
すグラフである。
【図5】ウェット艶性とドライ艶性の比較を示すグラフ
である。
【図6】本発明の第3の実施例の構成を示すブロック図
である。
【図7】図6のウェット塗膜厚測定装置に使用されてい
る表面粗さ計の構成を示す図である。
【図8】図6のウェット塗膜厚測定装置の作用を示すフ
ローチャートである。
【図9】塗装直後のウェット状態の塗装表面の凹凸状態
を示す図である。
【図10】塗膜粘度とセット時間との関係を示すグラフ
である。
【図11】ウェット膜厚の平滑化動特性を示すグラフで
ある。
【図12】上塗り塗料での測定値を理論値と比較したグ
ラフである。
【図13】本発明の第4の実施例に係わるウェット塗膜
厚測定装置の構成を示すブロック図である。
【図14】図13のウェット塗膜厚測定装置の作用を示
すフローチャートである。
【図15】表面粗さ度の平滑化動特性を示すグラフであ
る。
【図16】本発明の第5の実施例に係わるウェット塗膜
厚測定装置の構成を示すブロック図である。
【図17】図16のウェット塗膜厚測定装置の作用を示
すフローチャートである。
【図18】平滑化動特性理論値と測定値との比較を塗布
直後の時間に対する塗膜表面凹凸ピークツゥピーク(p
−p)値で示すグラフである。
【図19】従来の塗膜厚測定装置を示す説明図である。
【符号の説明】
1 被塗装物 2 撮像部 3 画像処理部 8 入力装置 21 パワースペクトル積分値演算部 22 ウェット膜厚演算部 23 ドライ塗膜厚演算部 41 ウェット鮮映性演算部 61 ドライ鮮映性演算部 63 塗装性判断部 65 塗装条件制御システム

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塗料を塗装した直後の未乾燥塗装表面の
    粗さを撮像する撮像手段と、前記塗料の成分情報を含む
    塗装条件を入力する入力手段と、前記塗装条件および前
    記撮像手段で撮像した表面粗さ情報から表面粗さの平滑
    化理論を用いてウェット塗装膜厚を算出するウェット塗
    装膜厚算出手段と、該ウェット塗装膜厚算出手段で算出
    したウェット塗装膜厚および前記塗装条件の塗着塗料固
    形分割合情報に基づいてドライ塗装膜厚を算出するドラ
    イ塗装膜厚算出手段とを有することを特徴とする塗膜厚
    測定装置。
  2. 【請求項2】 塗料を塗装した直後の未乾燥塗装表面の
    粗さを撮像する撮像手段と、該撮像手段からの画像情報
    を画像処理する画像処理手段と、塗装条件を入力する入
    力手段と、前記画像処理手段で画像処理された画像情報
    および前記塗装条件に基づいてウェット塗装面の鮮映性
    を算出するウェット鮮映性算出手段と、前記ウェット塗
    装面の鮮映性からドライ塗装面の鮮映性を推定するドラ
    イ鮮映性推定手段と、前記塗装条件および前記撮像手段
    で撮像した表面粗さ情報から表面粗さの平滑化理論を用
    いてウェット塗装膜厚を算出するウェット塗装膜厚算出
    手段と、該ウェット塗装膜厚算出手段で算出したウェッ
    ト塗装膜厚および前記塗装条件の塗着塗料固形分割合情
    報に基づいてドライ塗装膜厚を算出するドライ塗装膜厚
    算出手段と、前記ウェット塗装面およびドライ塗装面の
    鮮映性および前記ウェット塗装膜厚およびドライ塗装膜
    厚に基づいて塗装性を判断して、最適塗膜厚を算出し、
    該最適塗膜厚に対する前記ドライ塗装膜厚の偏差を算出
    する塗装性判断手段と、前記最適塗膜厚に対するドライ
    塗装膜厚の偏差に基づいて前記塗装条件を制御する制御
    手段とを有することを特徴とする塗膜厚測定装置。
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