JP2917734B2 - 燃料噴射装置の劣化診断装置 - Google Patents

燃料噴射装置の劣化診断装置

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JP2917734B2 JP5899993A JP5899993A JP2917734B2 JP 2917734 B2 JP2917734 B2 JP 2917734B2 JP 5899993 A JP5899993 A JP 5899993A JP 5899993 A JP5899993 A JP 5899993A JP 2917734 B2 JP2917734 B2 JP 2917734B2
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、内燃機関に燃料を噴
射するための燃料噴射ポンプ及び燃料噴射ノズル等を備
えた燃料噴射装置に係り、詳しくは、燃料噴射装置の経
時劣化を診断するための劣化診断装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、燃料噴射ポンプ及び燃料噴射ノズ
ル等よりなる燃料噴射装置を備えた内燃機関として、例
えばディーゼルエンジンや高圧ガソリン噴射式エンジン
等が挙げられる。そして、このような内燃機関では、燃
料噴射装置から噴射される燃料量が狙いの目標値となる
ように制御することが、特に近年の排気ガス規制の観点
から非常に重要になっていている。
【0003】例えば、電子制御ディーゼルエンジンの燃
料噴射装置では、その燃料噴射ポンプにおいて、プラン
ジャのリフトにより高圧室内の燃料が圧送されて燃料噴
射ノズルからディーゼルエンジンの各気筒へと噴射され
る。そして、そのときの噴射量が、エンジン運転状態に
応じて決定される目標噴射量となるよう、燃料噴射ポン
プに設けられたスピルリングやスピル弁等がアクチュエ
ータにより駆動制御される。この制御により、プランジ
ャ高圧室が燃料室へと開放され、プランジャ高圧室内の
燃料の一部が燃料室へと溢流(スピル)される。これに
より、燃料噴射ポンプから燃料噴射ノズルへの燃料の圧
送終わり、即ち燃料噴射ノズルから各気筒への燃料噴射
の終了時期が制御される。或いは、燃料噴射時期がエン
ジンの運転状態に応じて決定される目標噴射時期となる
よう燃料噴射ポンプに設けられたタイマ装置が駆動制御
される。この制御により、プランジャの往復動タイミン
グが調整され、燃料噴射ポンプから燃料噴射ノズルへの
燃料の圧送タイミング、延いては燃料噴射ノズルにおけ
る燃料噴射時期が遅角側又は進角側へと制御される。
【0004】しかしながら、この種の燃料噴射装置であ
っても、燃料噴射ポンプや燃料噴射ノズルの経時劣化等
に起因して、燃料噴射量や燃料噴射時期の制御特性が変
化するおそれがあった。例えば、燃料噴射ポンプでは、
プランジャを往復動させるカム機構に摩耗が生じると、
それに起因してプランジャのリフト量が変化する。その
ため、燃料噴射ノズルからの噴射量が所期の噴射量より
も増えてしまうおそれがあった。又、燃料噴射ノズルで
は、圧力設定用のスプリングに付勢力の低下が生じる
と、自身の開弁圧力が設定圧力よりも低下して、燃料噴
射ノズルからの噴射量が増えたり、噴射時期が進角側へ
ずれたりするおそれがあった。
【0005】そこで、上記のような不具合に対処するた
めの技術が、先に本願出願人により特開昭62−210
242号公報において提案されている。この従来技術で
は、燃料噴射ノズルにおける開弁圧力の経時劣化に精度
良く対応して、良好な燃料噴射時期制御を図ることが狙
いとされている。そのために、ディーゼルエンジンのア
イドル時には、アイドル回転数を所要の目標回転数にす
るためのアイドル回転数制御(ISC)が実行される。
即ち、そのアイドル回転数制御に必要な燃料噴射量を得
るためのノズル開弁時間に相当する制御値(ISC制御
値)が算出される。又、そのISC制御値の変化量が算
出され、その変化量に応じてアイドル時以外の燃料噴射
時期が補正される。つまり、この従来技術では、燃料噴
射ノズルの経時劣化がISC制御値に反映されるものと
して、そのISC制御値の変化量に応じて燃料噴射時期
が補正されるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記従来技
術では、ISC制御値に燃料噴射ノズルの経時劣化が反
映されるものとされていたが、実際には、ISC制御値
には燃料噴射装置の経時劣化の他に、エンジンのフリク
ションロスが反映されることが知られている。又、IS
C制御値に経時劣化やフリクションロスが反映されるこ
との有無は、エンジンの累積的な使用時間によって変化
することも確認されている。
【0007】即ち、図10のグラフには、エンジンの累
積的な使用時間に対するアイドル時の燃料噴射量の関係
が示されている。このグラフでは、実際の燃料噴射量
(実噴射量)の変化が実線で示され、噴射量に換算され
たISC制御値の変化が破線で示されている。ここで、
使用開始時点での実噴射量及びISC制御値は、それぞ
れ所定値Q1となっている。その後、実噴射量及びIS
C制御値は、使用時間の経過に伴い同等に低下する傾向
となる。又、使用時間がある程度の基準時間T1に達す
ると、実噴射量はほぼ所定値Q2に落ち着き、ISC制
御値だけその後も使用時間の経過に伴って更に低下する
傾向となる。これは、実噴射量がフリクションロスだけ
を反映して変化し、基準時間T1では、そのフリクショ
ンロスの変化が無くなるからである。つまり、基準時間
T1ではエンジンの慣らし運転が完了することを意味し
ている。そして、慣らし運転完了前では、所定値Q1と
所定値Q2との差がフリクションロスの大きさを意味し
ている。又、慣らし運転完了前には経時劣化は無く、I
SC制御値は実噴射量と同じく、フリクションロスだけ
を反映して変化することになる。一方、時間T1以後
は、エンジンの慣らし運転が完了していることから、I
SC制御値は経時劣化だけを反映して変化することにな
る。
【0008】従って、前記従来技術では、慣らし運転の
完了前であるか否かにかかわらず、ISC制御値の変化
量に応じて燃料噴射時期が補正されてしまう。そのた
め、慣らし運転完了前には、経時劣化が無いにもかかわ
らず経時劣化が有るものとして、燃料噴射時期に関する
無用な補正が行われてしまう問題があった。つまり、従
来技術では、燃料噴射装置の経時劣化が誤って診断さ
れ、経時劣化に対処するための補正が誤って行われるこ
とになった。
【0009】ここで、燃料噴射装置の経時劣化の対処の
仕方としては、上記のように燃料噴射時期を補正するこ
との他に、燃料噴射量を補正したり、経時劣化の異常を
運転者に警告したりすること等、種々の方法が考えられ
る。従って、これらの対処を適正に行うために、燃料噴
射装置の経時劣化を精度良く診断することが必要となっ
ている。しかも、装置の構成を複雑化させることなく簡
単な構成で診断できることが望まれる。
【0010】この発明は前述した事情に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、燃料噴射装置の経時劣化を
精度良く簡単に診断することの可能な燃料噴射装置の経
時劣化診断装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明においては、図1に示すように、所定レ
ベル以上の燃料圧力を得て開弁され、内燃機関M1に燃
料を噴射するための燃料噴射ノズルM2と、その燃料噴
射ノズルM2へ燃料を圧送するために駆動制御される燃
料噴射ポンプM3とを備えた燃料噴射装置M4におい
て、内燃機関M1の回転数を検出するための回転数検出
手段M5と、内燃機関M1のアイドル時に、回転数検出
手段M5により検出されるアイドル回転数が所要の目標
回転数となるように燃料噴射量に関わる制御値を決定
し、その制御値に基づいて燃料噴射ポンプM3の駆動を
帰還制御するためのアイドル回転数帰還制御手段M6
と、そのアイドル回転数帰還制御手段M6により決定さ
れる制御値の変化に基づき、燃料噴射装置M4の経時劣
化を診断するための経時劣化診断手段M7と、図示しな
い記憶手段に記憶された内燃機関M1の使用累積量が
燃機関M1の慣らし運転が完了したことを判断するため
の基準値以下のときは、経時劣化診断手段M7による経
時劣化の診断を禁止する診断禁止手段M8とを備えた。
前記使用累積量としては、内燃機関M1の使用累積時
間、内燃機関M1を搭載した車両の累積走行距離、又は
内燃機関M1の使用累積時間に伴って変化する代替値の
いずれかを用いることが好ましい。
【0012】
【作用】上記の構成によれば、図1に示すように、燃料
噴射ポンプM3が駆動制御されることにより、燃料が燃
料噴射ノズルM2へと圧送される。そして、燃料噴射ノ
ズルM2が所定レベル以上の燃料圧力を得て開弁される
ことにより、内燃機関M1に燃料が噴射される。ここ
で、アイドル回転数帰還制御手段M6では、内燃機関M
1のアイドル時に、回転数検出手段M5により検出され
るアイドル回転数が所要の目標回転数となるように制御
値が決定され、その制御値に基づいて燃料噴射ポンプM
3の駆動が帰還制御される。そして、経時劣化診断手段
M7では、上記のように決定された制御値の変化に基づ
き、燃料噴射ノズルM2及び燃料噴射ポンプM3を含む
燃料噴射装置M4の経時劣化が診断される。即ち、アイ
ドル回転数制御の際に得られる制御値に燃料噴射装置M
4の経時劣化が反映されるものとして、その制御値の変
化に基づき経時劣化が診断される。又、記憶手段に記憶
された内燃機関M1の使用累積量が基準値以下のとき
は、内燃機関M1の慣らし運転が完了していないとし
て、経時劣化診断手段M7による経時劣化の診断が診断
禁止手段M8により禁止される。
【0013】従って、内燃機関M1の慣らし運転が完了
するまでの間、即ち燃料噴射装置M4の経時劣化が少な
い間は、内燃機関M1のフリクションロスの変化に伴っ
て制御値が変化したとしても、燃料噴射装置M4の経時
劣化が誤って診断されることがない。
【0014】
【実施例】以下、本発明における燃料噴射装置の劣化診
断装置を自動車の電子制御ディーゼルエンジンに具体化
した一実施例を図2〜図9に基づいて詳細に説明する。
【0015】図2はこの実施例における過給機付ディー
ゼルエンジンシステムの概略構成を示し、図3はその分
配型燃料噴射ポンプ1を拡大して示している。燃料噴射
ポンプ1はドライブプーリ2を備え、そのドライブプー
リ2が内燃機関としてのディーゼルエンジン3のクラン
クシャフト40に対し、ベルト等を介して駆動連結され
ている。そして、クランクシャフト40によりドライブ
プーリ2が回転されて燃料噴射ポンプ1が駆動されるこ
とにより、ディーゼルエンジン3の各気筒(本実施例で
は4気筒)毎に設けられた燃料噴射ノズル4に燃料管路
4aを通じて燃料が圧送される。
【0016】この実施例において、燃料噴射ポンプ1、
燃料噴射ノズル4及び燃料管路4a等により燃料噴射装
置が構成されている。又、燃料噴射ノズル4は弁体とし
ての針弁とその針弁の開弁圧力を調整するスプリングと
を内蔵してなる自動弁となっており、所定レベル以上の
燃料圧力を得て開弁される。従って、燃料噴射ポンプ1
から圧送される燃料により、燃料管路4aを通じて燃料
噴射ノズル4に所定レベル以上の燃料圧力が付与される
ことにより、同ノズル4からディーゼルエンジン3へと
燃料が噴射される。
【0017】燃料噴射ポンプ1にはドライブシャフト5
が設けられ、そのドライブシャフト5の先端にドライブ
プーリ2が取付けられている。ドライブシャフト5の途
中には、べーン式ポンプよりなる燃料フィードポンプ
(この図では90度だけ展開されている)6が設けられ
ている。又、ドライブシャフト5の基端側には、円板状
のパルサ7が取付けられている。このパルサ7の外周面
には、ディーゼルエンジン3の気筒数と同数の、即ちこ
の実施例では4ヶ所(合計で「8個分」)の欠歯が等角
度間隔をもって形成されている。又、各欠歯の間には、
14個ずつ(合計で「56個」)の突起が等角度間隔を
もって形成されている。そして、ドライブシャフト5の
基端部は図示しないカップリングを介してカムプレート
8に連結されている。
【0018】パルサ7とカムプレート8との間には、ロ
ーラリング9が設けられている。又、ローラリング9の
円周方向には、カムプレート8のカムフェイス8aに対
向する複数のカムローラ10が取付けられている。カム
フェイス8aはディーゼルエンジン3の気筒数と同数だ
け設けられている。又、カムプレート8はスプリング1
1によってカムローラ10に係合するように付勢されて
いる。
【0019】カムプレート8には燃料加圧用のプランジ
ャ12の基端が一体回転可能に取付けられている。そし
て、それらカムプレート8とプランジャ12とがドライ
ブシャフト5の回転に伴って一体的に回転駆動される。
即ち、ドライブシャフト5の回転力がカップリングを介
してカムプレート8に伝達されることにより、カムプレ
ート8がカムローラ10に係合しながら回転される。こ
れにより、カムプレート8が回転されながら気筒数と同
数だけ図中左右方向へ往復動され、それに伴ってプラン
ジャ12が回転しながら同方向へ往復動される。つま
り、カムフェイス8aがローラリング9のカムローラ1
0に乗り上げる過程でプランジャ12が往動(リフト)
される。又、その逆にカムフェイス8aがカムローラ1
0を乗り下げる過程でプランジャ12が復動(ダウン)
される。
【0020】ポンプハウジング13にはシリンダ14が
形成され、そのシリンダ14にプランジャ12が嵌挿さ
れている。そして、プランジャ12の先端面とシリンダ
14の底面との間が高圧室15となっている。又、プラ
ンジャ12の先端側外周には、気筒数と同数だけ吸入溝
16と分配ポート17がそれぞれ形成されている。更
に、それら吸入溝16及び分配ポート17に対応して、
ポンプハウジング13には分配通路18及び吸入ポート
19がそれぞれ形成さている。
【0021】尚、この実施例のポンプハウジング13に
おいて、各分配通路18の出口側にはコンスタント・プ
レッシャ・バルブ(CPV)よりなるデリバリバルブ3
6が設けられている。このデリバリバルブ36は、分配
通路18から燃料管路4aへ圧送される燃料の逆流を防
止するためのものであり、ある一定レベル以上の燃料圧
力Pを得て開弁される。
【0022】そして、ドライブシャフト5が回転されて
燃料フィードポンプ6が駆動されることにより、図示し
ない燃料タンクから燃料供給ポート20を通じて燃料室
21内に燃料が導入される。又、プランジャ12が復動
されて高圧室15が減圧される吸入行程では、吸入溝1
6の一つが吸入ポート19に連通することにより、燃料
室21から高圧室15へと燃料が導入される。一方、プ
ランジャ12が往動されて高圧室15が加圧される圧縮
行程では、燃料管路4aを通じて分配通路18から各気
筒の燃料噴射ノズル4へ燃料が圧送されて噴射される。
【0023】ポンプハウジング13において、高圧室1
5と燃料室21との間には、燃料を溢流(スピル)させ
るためのスピル通路22が形成されている。又、このス
ピル通路22の途中には電磁スピル弁23が設けられて
いる。そして、その電磁スピル弁23は高圧室15から
の燃料のスピルを調整するために開閉される。電磁スピ
ル弁23は常開型の弁であり、コイル24が無通電(オ
フ)の状態では弁体25によりスピル通路22が開放さ
れ、即ち開弁され、高圧室15内の燃料が燃料室21へ
とスピルされる。一方、コイル24が通電(オン)され
ることにより、弁体25によりスピル通路22が閉鎖さ
れ、即ち閉弁され、高圧室15から燃料室21への燃料
のスピルが遮断される。
【0024】従って、電磁スピル弁23が通電によって
オン・オフ制御されることにより、同弁23が閉弁・開
弁制御され、高圧室15から燃料室21への燃料のスピ
ルが調整される。そして、プランジャ12の圧縮行程中
に電磁スピル弁23が開弁されることにより、高圧室1
5内における燃料が減圧されて燃料噴射ノズル4からの
燃料噴射が停止される。つまり、プランジャ12が往動
していても、電磁スピル弁23が開弁されている間は、
高圧室15内の燃料圧力が上昇せず、燃料噴射ノズル4
からの燃料噴射が行われない。又、プランジャ12の往
動中に、電磁スピル弁23の開弁時期が制御されること
により、燃料噴射ノズル4からの燃料噴射の終了時期が
調整されて気筒への燃料噴射量が制御される。
【0025】ポンプハウジング13の下側には、燃料噴
射時期を進角側或いは遅角側へ制御するためのタイマ装
置(この図では「90度」だけ展開されている)26が
設けられている。このタイマ装置26は、ドライブシャ
フト5の回転方向に対するローラリング9の回転位置を
変更させることにより、カムフェイス8aがカムローラ
10に係合する時期、即ちプランジャ12が往復動され
る時期を変更するためのものである。
【0026】タイマ装置26は制御油圧により駆動され
るものであり、タイマハウジング27と、同ハウジング
27内に嵌装されたタイマピストン28とを備えてい
る。又、タイマハウジング27内においてタイマピスト
ン28の両側はそれぞれ低圧室29と加圧室30となっ
ている。そして、低圧室29には、タイマピストン28
を加圧室30へ押圧付勢するタイマスプリング31が設
けられている。更に、タイマピストン28はスライドピ
ン32を介してローラリング9に連結されている。
【0027】加圧室30には燃料フィードポンプ6によ
り加圧された燃料が導入される。そして、その燃料圧力
とタイマスプリング31の付勢力との釣り合い関係によ
ってタイマピストン28の位置が決定される。又、その
タイマピストン28の位置が決定されることにより、ロ
ーラリング9の位置が決定され、カムプレート8を介し
てプランジャ12の往復動時期が決定される。
【0028】タイマ装置26の制御油圧としては燃料噴
射ポンプ1の内部の燃料圧力が用いられている。そし
て、その燃料圧力を調整するために、タイマ装置26に
はタイマ制御弁(TCV)33が設けられている。即
ち、タイマハウジング27の加圧室30と低圧室29と
の間には連通路34が設けられており、その連通路34
の途中にTCV33が設けられている。TCV33はデ
ューティ制御された通電信号によって開度が制御される
電磁弁であり、そのTCV33の開度が制御されること
により、加圧室30内の燃料圧力が調整される。そし
て、その燃料圧力が調整されることにより、プランジャ
12の往復動時期が制御され、もって燃料噴射ノズル4
からの燃料噴射時期が進角側或いは遅角側へと制御され
る。
【0029】ローラリング9の上部には、回転数検出手
段としての電磁ピックアップコイルよりなる回転数セン
サ35が、パルサ7の外周面に対向して取付けられてい
る。この回転数センサ35はパルサ7の突起等に横切ら
れる際に、それらの通過を検出してパルス信号として出
力する。即ち、回転数センサ35は一定クランク角度毎
のエンジン回転パルス信号を出力する。併せて、回転数
センサ35は、パルサ7の欠歯による一定クランク角度
に相当するエンジン回転パルス信号を基準位置信号とし
て出力する。又、この回転数センサ35は、一連のエン
ジン回転パルス信号をエンジン回転数NEを求めるため
の信号として出力する。尚、回転数センサ35はローラ
リング9と一体であることから、タイマ装置26の制御
動作に関わりなく、プランジャ12の往復動に対し一定
のタイミングで基準となるエンジン回転パルス信号を出
力可能である。
【0030】次に、ディーゼルエンジン3について説明
する。図2において、ディーゼルエンジン3ではシリン
ダボア41、ピストン42及びシリンダヘッド43によ
り各気筒に対応する主燃焼室44がそれぞれ形成されて
いる。又、シリンダヘッド43には、各主燃焼室44に
連通する副燃焼室45がそれぞれ形成されている。そし
て、各副燃焼室45には各燃料噴射ノズル4から燃料が
噴射される。各副燃焼室45には、始動補助装置として
の周知のグロープラグ46がそれぞれ設けられている。
【0031】一方、ディーゼルエンジン3には、各気筒
に連通する吸気通路49及び排気通路50がそれぞれ設
けられている。又、吸気通路49には過給機を構成する
ターボチャージャ51のコンプレッサ52が設けられ、
排気通路50にはターボチャージャ51のタービン53
が設けられている。更に、排気通路50にはウェイスト
ゲートバルブ54が設けられている。周知のように、タ
ーボチャージャー51は排気ガスのエネルギーを利用し
てタービン53を回転させ、その同軸上にあるコンプレ
ッサ52を回転させて吸入空気を昇圧させるものであ
る。そして、吸入空気が昇圧されることにより、高密度
の空気が主燃焼室44へと送り込まれて副燃焼室45を
通じて噴射された燃料が多量に燃焼され、ディーゼルエ
ンジン3の出力が増大される。又、ウェイストゲートバ
ルブ54が開閉されることにより、ターボチャージャ5
1による吸入空気の昇圧レベルが調節される。
【0032】吸気通路49と排気通路50との間には、
エキゾーストガスリサキュレイションバルブ通路(EG
R通路)56が設けられている。そして、このEGR通
路56により、排気通路50内の排気の一部が吸気通路
49における吸気ポート55の近くに再循環される。
又、EGR通路56の途中にはEGRバルブ57が設け
られ、そのEGRバルブ57によって排気再循環量(E
GR量)が調節される。更に、そのEGRバルブ57を
開閉駆動させるために、開度調節されるエレクトリック
バキュームレギュレーティングバルブ(EVRV)58
が設けられている。そして、EVRV58によりEGR
バルブ57が開閉駆動されることにより、EGR通路5
6を通じて排気通路50から吸気通路49へ導かれるE
GR量が調節される。
【0033】吸気通路49の途中にはスロットルバルブ
59が設けら、同バルブ59がアクセルペダル60の踏
み込みに連動して開閉される。又、吸気通路49には、
スロットルバルブ59と並んでバイパス通路61が設け
られており、同通路61にはバイパス絞り弁62が設け
られている。このバイパス絞り弁62を開閉駆動させる
ために、二段ダイヤフラム室式のアクチュエータ63が
設けられている。又、そのアクチュエータ63を駆動さ
せるための二つのバキュームスイッチングバルブ(VS
V)64,65が設けられている。そして、各VSV6
4,65がオン・オフ制御されてアクチュエータ63が
駆動されることにより、バイパス絞り弁62が開閉制御
される。例えば、このバイパス絞り弁62は、アイドル
運転時に騒音振動等の低減のために半開状態に制御さ
れ、通常運転時には全開状態に制御され、更に運転停止
時には円滑な停止のために全閉状態に制御される。
【0034】尚、この実施例の自動車において、運転席
には、燃料噴射ポンプ1及び燃料噴射ノズル4を含む燃
料噴射装置の劣化異常を運転者に知らせるために点灯さ
れる警告ランプ66が設けられている。この警告ランプ
66は、後述する異常診断の結果として点灯されるもの
である。
【0035】上記のような電磁スピル弁23、TCV3
3、グロープラグ46、EVRV58、各VSV64,
65及び警告ランプ66は電子制御装置(以下単に「E
CU」という)71にそれぞれ電気的に接続されてい
る。そして、それら各部材23,33,46,58,6
4,65,66の駆動タイミングがECU71により制
御される。
【0036】ディーゼルエンジン3の運転状態を検出す
るセンサとしては、前述した回転数センサ35に加え
て、以下の各種センサが設けられている。即ち、吸気通
路49の入口に設けられたエアクリーナ67の近傍に
は、吸気通路49に吸入される空気の温度、即ち吸気温
度THAを検出してその検出値の大きさに応じた信号を
出力する吸気温センサ72が設けられている。又、スロ
ットルバルブ59の近傍には、同バルブ59の開閉位置
からエンジン負荷に相当するアクセル開度ACCPを検
出してその検出値の大きさに応じた信号を出力するアク
セルセンサ73が設けられている。吸気ポート55の近
傍には、ターボチャージャ51によって過給された後の
吸入空気の圧力、即ち過給圧PiMを検出してその検出
値の大きさに応じた信号を出力する吸気圧センサ74が
設けられている。更に、ディーゼルエンジン3には、そ
の冷却水の温度、即ち冷却水温THWを検出してその検
出値の大きさに応じた信号を出力する水温センサ75が
設けられている。又、ディーゼルエンジン3には、クラ
ンクシャフト40の回転基準位置、例えば特定気筒の上
死点に対するクランクシャフト40の回転位置を検出
し、その回転位置に対応する信号を出力するクランク角
センサ76が設けられている。更に又、図示しないトラ
ンスミッションには、車両速度(車速)SPDを検出す
る車速センサ77が設けられている。この車速センサ7
7はトランスミッションの出力軸により回転されるマグ
ネット77aを備え、そのマグネット77aによりリー
ドスイッチ77bが周期的にオンされることより、車速
SPDに相当するパルス信号が出力される。
【0037】加えて、この実施例では、トランスミッシ
ョンにニュートラルスイッチ78が設けられている。こ
のスイッチ78はトランスミッションがニュートラル状
態にあるときにオンされ、そのことを指示するニュート
ラル信号NSを出力する。又、図示しないエアコンには
エアコンスイッチ79が設けられている。このスイッチ
79はエアコンがオンされているときにオンされ、その
ことを指示するエアコン信号ASを出力する。更に、こ
の実施例では、エアコン以外の図示しない大きな電気負
荷(例えば、ヘッドライト等)をオンするための電気負
荷スイッチ80が設けられている。このスイッチ80は
オンされているときにそのことを指示するための電気負
荷信号LSを出力する。
【0038】そして、この実施例では、ECU71によ
りアイドル回転数帰還制御手段、経時劣化診断手段及び
診断禁止手段が構成されている。そして、ECU71に
は上述した各センサ35,72〜77及び各スイッチ7
8〜80がそれぞれ接続されている。又、ECU71は
各センサ35,72〜77及び各スイッチ78〜80か
ら出力される各信号に基づき、電磁スピル弁23、TC
V33、グロープラグ46、EVRV58、各VSV6
4,65及び警告ランプ66等を好適に制御する。
【0039】次に、前述したECU71の構成を図4に
示すのブロック図に従って説明する。ECU71は中央
処理装置(CPU)81、所定の制御プログラム及びマ
ップ等を予め記憶した読み出し専用メモリ(ROM)8
2、CPU81の演算結果等を一時記憶するランダムア
クセスメモリ(RAM)83、記憶されたデータを保存
するバックアップRAM84等を備えている。そして、
ECU71はこれら各部81〜84と入力ポート85及
び出力ポート86等とをバス87によって接続した論理
演算回路として構成されている。
【0040】入力ポート85には、前述した吸気温セン
サ72、アクセルセンサ73、吸気圧センサ74及び水
温センサ75が、各バッファ88,89,90,91、
マルチプレクサ94及びA/D変換器95を介して接続
されている。同じく、入力ポート85には、前述した回
転数センサ35、クランク角センサ76及び車速センサ
77が、波形整形回路96を介して接続されている。更
に、入力ポート85には、前述したニュートラルスイッ
チ78、エアコンスイッチ79及び負荷スイッチ80
が、各バッファ97,98,99を介して接続されてい
る。そして、CPU81は入力ポート85を介して入力
される各センサ35,72〜77及び各スイッチ78〜
80等からの信号をそれぞれ入力値として読み込む。
又、出力ポート86には各駆動回路100,101,1
02,103,104,105,106を介して電磁ス
ピル弁23、TCV33、グロープラグ46、EVRV
58、各VSV64,65及び警告ランプ66等がそれ
ぞれ接続されている。そして、CPU81は各センサ3
5,72〜77及び各スイッチ78〜80から読み込ま
れた入力値に基づき、電磁スピル弁23、TCV33、
グロープラグ46、EVRV58、各VSV64,65
及び警告ランプ66等をそれぞれ好適に制御する。
【0041】尚、この実施例のCPU81は計時機能を
兼ね備えている。又、この実施例において、グロープラ
グ46はディーゼルエンジン3の各気筒毎に設けられて
いるものであるが、図4のブロック図では便宜上その中
の一つのみが図示されている。
【0042】次に、前述したECU71により実行され
る燃料噴射量制御のための処理動作について図5〜図9
に従って説明する。図5はECU71により実行される
処理動作のうち、アイドル時の燃料噴射量制御のための
「アイドル噴射量制御ルーチン」の処理内容を示すフロ
ーチャートであり、所定間隔毎に周期的に実行される。
【0043】処理がこのルーチンへ移行すると、先ずス
テップ110において、回転数センサ35、アクセルセ
ンサ73、吸気圧センサ74、水温センサ75及び車速
センサ77等からの各種信号に基づき、エンジン回転数
NE、アクセル開度ACCP、過給圧PiM、冷却水温
THW及び車速SPDをそれぞれ読み込む。又、ニュー
トラルスイッチ78、エアコンスイッチ79及び電気負
荷スイッチ80等からの各種信号に基づき、ニュートラ
ル信号NS、エアコン信号AS及び電気負荷信号LS等
をそれぞれ読み込む。
【0044】続いて、ステップ120において、ディー
ゼルエンジン3がアイドル状態であるか否かを判断す
る。この判断は、エンジン回転数NE、アクセル開度A
CCP、車速SPD及びニュートラル信号NS等に基づ
いて行われる。そして、アイドル状態でない場合には、
ステップ190へ移行し、後述する非アイドル時の燃料
噴射量制御へ移行して、その後の処理を一旦終了する。
又、アイドル状態である場合には、ステップ130へ移
行する。
【0045】ステップ130においては、アイドル回転
数制御(ISC)の条件が成立しているか否かを判断す
る。即ち、アイドル回転数が所要の目標回転数となるよ
うに燃料噴射量を制御するための条件が成立しているか
否かを判断する。この判断は、今回読み込まれたエンジ
ン回転数NE、アクセル開度ACCP、冷却水温TH
W、車速SPD、ニュートラル信号NS、エアコン信号
AS及び電気負荷信号LS等に基づいて行われる。即
ち、それらの各種信号に基づき、ディーゼルエンジン3
が完全暖機状態で、トランスミッションがニュートラル
状態で、エアコンがオフで、大きな電気負荷がオフで、
エンジン回転数NEの変化が所定値以内という条件が全
て成立し、そのような安定状態が所定時間だけ続いたと
きに、ISC条件が成立したと判断される。ここで、I
SC条件が成立していない場合には、通常のアイドル噴
射量制御を行うためにステップ140へ移行する。
【0046】そして、ステップ140においては、今回
読み込まれたエンジン回転数NE、アクセル開度ACC
P及び冷却水温THW等に基づき、アイドル時に要する
燃料噴射量としてのアイドル噴射量Qsを演算する。次
いで、ステップ150において、アイドル噴射量Qsに
基づき燃料噴射を実行する。即ち、アイドル噴射量Qs
に基づき電磁スピル弁23を制御することにより、燃料
噴射ポンプ1から燃料噴射ノズル4への燃料の圧送を制
御し、もって燃料噴射ノズル4から噴射される燃料噴射
量を制御する。そして、その後の処理を一旦終了する。
【0047】一方、ステップ130において、ISC条
件が成立している場合には、ステップ160において、
エンジン回転数NE等に基づきアイドル回転数制御のた
めの制御値としてのISC噴射量Qiscを演算する。
【0048】この演算の処理内容を図6に示すフローチ
ャートに従って説明する。即ち、先ずステップ161に
おいて、アイドル時の目標回転数NFを設定する。この
目標回転数NFは、トランスミッションがニュートラル
状態であるか否か、エアコンがオンであるか否かがニュ
ートラル信号NS、エアコン信号ASに基づき判断さ
れ、その判断結果に応じて予め定められた所定値に設定
される。
【0049】次に、ステップ162において、実際のエ
ンジン回転数NEと目標回転数NFとの差の絶対値が、
予め定められた基準値αよりも小さいか否かを判断す
る。ここで、エンジン回転数NEと目標回転数NFとの
差の絶対値が基準値αよりも小さい場合には、ステップ
163において、前回求められたISC噴射量Qisc
を新たなISC噴射量Qiscとして設定する。
【0050】一方、ステップ162において、エンジン
回転数NEと目標回転数NFとの差の絶対値が基準値α
よりも小さくない場合には、ステップ164において、
エンジン回転数NEと目標回転数NFとの差を回転数偏
差ΔNEとして設定する。又、ステップ165におい
て、回転数偏差ΔNEに基づき補正噴射量Qdneを演
算する。この演算は、図7に示すように回転数偏差ΔN
Eに対する補正噴射量Qdneの関係を予め定めたマッ
プを参照して行われる。
【0051】その後、ステップ166において、エンジ
ン回転数NEと目標回転数NFとの差が「0」よりも大
きいか否か、即ち正の数であるか否かを判断する。そし
て、エンジン回転数NEと目標回転数NFとの差が正の
数である場合には、ステップ167において前回のIS
C噴射量Qiscから今回求められた補正噴射量Qdn
eを減算し、その減算結果を新たなISC噴射量Qis
cとして設定する。
【0052】又、ステップ166において、エンジン回
転数NEと目標回転数NFとの差が正の数でない場合に
は、ステップ168において前回のISC噴射量Qis
cに今回求められた補正噴射量Qdneを加算し、その
加算結果を新たなISC噴射量Qiscとして設定す
る。
【0053】このようにしてステップ160におけるア
イドル回転数制御のためのISC噴射量Qiscが求め
られる。その後、図5のステップ170において、今回
求められたISC噴射量Qiscに基づき燃料噴射を実
行する。即ち、ISC噴射量Qiscに基づき電磁スピ
ル弁23を制御することにより、燃料噴射ノズル4から
噴射される燃料噴射量を制御する。そして、ステップ1
80において、今回求められたISC噴射量Qiscを
RAM83に一旦記憶して、その後の処理を一旦終了す
る。
【0054】つまり、ISC条件が成立している場合に
は、アイドル時に回転数センサ35により実際に検出さ
れるエンジン回転数NEが所要の目標回転数NFとなる
ようにISC噴射量Qiscが求められる。そして、そ
のISC噴射量Qiscに基づいて燃料噴射ポンプ1の
電磁スピル弁23が帰還制御(フィードバック制御)さ
れる。これにより、燃料噴射ポンプ1から燃料噴射ノズ
ル4へ圧送されて噴射される燃料噴射量が制御されるの
である。
【0055】次に、非アイドル時の燃料噴射量制御につ
いて説明する。図8はECU71により実行される「非
アイドル噴射量制御ルーチン」の処理内容を示すフロー
チャートであり、所定間隔毎に周期的に実行される。
【0056】処理がこのルーチンへ移行すると、先ずス
テップ210において、回転数センサ35、アクセルセ
ンサ73、吸気圧センサ74及び水温センサ75等から
の各種信号に基づき、エンジン回転数NE、アクセル開
度ACCP、過給圧PiM及び冷却水温THWをそれぞ
れ読み込む。
【0057】続いて、ステップ220において、エンジ
ン回転数NE及びアクセル開度ACCPに基づき、今回
の運転状態に応じた基本噴射量Qbを演算する。又、ス
テップ230において、今回の冷却水温THW及び過給
圧PiM等に基づき、今回求められた基本噴射量Qbを
補正演算することにより、補正後噴射量Qcを求める。
即ち、冷間時やターボチャージャ51の作動状態に応じ
て、補正後噴射量Qcを求めるのである。
【0058】又、ステップ240において、エンジン使
用時間Tdを演算する。このエンジン使用時間Tdは、
本実施例のディーゼルエンジンシステムが製品として出
荷された後に使用された累積時間を示すものである。こ
のエンジン使用時間TdはCPU81の計時機能により
計測されるものであり、ECU71の作動中にその時間
が計測され、記憶手段としてのバックアップRAM84
に累積的に記憶されたものである。
【0059】そして、ステップ250においては、上記
のように計測されたエンジン使用時間Tdが、予め定め
られた基準時間T1以上であるか否かを判断する。この
基準時間T1はディーゼルエンジン3の慣らし運転が完
了するのに要する累積時間である。従って、このステッ
プ250では、ディーゼルエンジン3の慣らし運転が完
了したか否か、即ちディーゼルエンジン3に関するフリ
クションロスの変化が無くなったか否かが判断される。
【0060】ステップ250において、エンジン使用時
間Tdが基準時間T1以上である場合、即ちディーゼル
エンジン3の慣らし運転が完了している場合には、ステ
ップ260へ移行し、前述したISC噴射量Qiscの
最新の値を読み込む。続いて、ステップ270におい
て、ISC噴射量Qiscに基づきその変化量であるI
SC噴射量変化量ΔQiscを演算する。この実施例で
は、最新のISC噴射量Qiscとそれよりも一回前に
求められた前回のISC噴射量Qiscとの差からIS
C噴射量変化量ΔQiscが求められる。
【0061】更に、ステップ280において、今回求め
られたISC噴射量変化量ΔQiscに基づき、燃料噴
射量の補正に使用されるべき噴射量補正量ΔQを演算す
る。この演算は、図9に示すように、ISC噴射量変化
量ΔQiscに対する噴射量補正量ΔQの関係を予め定
めてなるマップを参照して行われる。このマップは、I
SC噴射量変化量ΔQiscの増加に比例して噴射量補
正量ΔQが増大するように設定されている。
【0062】そして、ステップ290においては、今回
求められた噴射量補正量ΔQが、予め定められた基準値
β以上であるか否かを判断する。即ち、噴射量補正量Δ
Qが必要以上に大きくて、燃料噴射ポンプ1及び燃料噴
射ノズル4を含む燃料噴射装置の経時劣化が必要以上に
大きいか否かを診断するのである。ここで、噴射量補正
量ΔQが基準値β以上でない場合には、ディーゼルエン
ジン3の慣らし運転完了後における燃料噴射装置の経時
劣化が大きくないものとして、そのままステップ310
へ移行する。又、噴射量補正量ΔQが基準値β以上であ
る場合には、ディーゼルエンジン3の慣らし運転完了後
における燃料噴射装置の経時劣化が必要以上に大きいも
のとして、ステップ300へ移行する。そして、ステッ
プ300において、燃料噴射装置の経時劣化の異常を運
転者に知らせるために警告ランプ66を点灯させた後、
ステップ310へ移行する。
【0063】又、ステップ290又はステップ300か
ら移行してステップ310においては、今回求められた
補正後噴射量Qc及び噴射量補正量ΔQに基づき、最終
的な目標噴射量Qを演算する。即ち、補正後噴射量Qc
を噴射量補正量ΔQにより補正することにより、目標噴
射量Qを求めるのである。
【0064】そして、ステップ320において、今回求
められた目標噴射量Qに基づき燃料噴射を実行し、その
後の処理を一旦終了する。即ち、目標噴射量Qに基づき
電磁スピル弁23を制御することにより、燃料噴射ノズ
ル4から噴射される燃料噴射量を制御する。一方、ステ
ップ250において、エンジン使用時間Tdが基準時間
T1以上でない場合、即ちディーゼルエンジン3の慣ら
し運転が完了していない場合には、上記のような燃料噴
射装置の経時劣化に関する診断等を禁止するものとし
て、ステップ330へ移行する。そして、ステップ33
0において、ステップ230で求められた補正後噴射量
Qcをそのまま目標噴射量Qとして設定する。続いて、
ステップ320へ移行し、その目標噴射量Qに基づき燃
料噴射を実行した後、処理を一旦終了する。
【0065】以上説明したように、この実施例における
燃料噴射装置の劣化診断装置によれば、ディーゼルエン
ジン3のアイドル時に、実際のエンジン回転数NEが所
要の目標回転数となるようにアイドル回転数制御が実行
される。そして、ディーゼルエンジン3の慣らし運転が
完了したと判断されたときには、アイドル回転数制御で
求められるISC噴射量Qiscの変化分、即ちISC
噴射量変化量ΔQiscに応じて得られる噴射量補正量
ΔQに基づき、アイドル時以外の燃料噴射量が補正され
る。又、その噴射量補正量ΔQの大きさに基づき、燃料
噴射ポンプ1及び燃料噴射ノズル4を含む燃料噴射装置
の経時劣化が診断される。即ち、アイドル回転数制御で
得られるISC噴射量Qiscに燃料噴射装置の経時劣
化が反映されるものとして、そのISC噴射量変化量Δ
Qiscの変化に応じて得られる噴射量補正量ΔQに基
づき燃料噴射量が補正されると共に、燃料噴射装置の経
時劣化が診断される。又、その経時劣化の診断結果が異
常である場合には、警告ランプ66が点灯される。
【0066】従って、燃料噴射装置の経時劣化に応じて
燃料噴射量が補正されることから、燃料噴射ポンプ1で
内部のカム機構に摩耗が生じたり、燃料噴射ノズル4で
その開弁圧力が設定圧力より低下したりしたとしても、
それらの経時劣化に対処して燃料噴射量が補正される。
その結果、燃料噴射ノズル4からの燃料噴射量が増えた
り、燃料噴射時期が進角側へずれたりすることを未然に
防止することができる。つまり、燃料噴射装置の経時劣
化に精度良く対応して良好な燃料噴射量制御を実行する
ことができるのである。又、経時劣化が異常である場合
には、そのことを警告ランプ66の点灯によって直ちに
運転者に知らせることができる。
【0067】又、この実施例の劣化診断装置では、ディ
ーゼルエンジン3の慣らし運転が完了するまでの間だ
け、上記のような経時劣化の診断が禁止されると共に、
噴射量補正量ΔQによる燃料噴射量の補正が禁止され
る。つまり、慣らし運転完了前に、燃料噴射装置の経時
劣化が起きることは殆ど無いことから、この間の経時劣
化の診断等が禁止されるのである。
【0068】従って、ディーゼルエンジン3の慣らし運
転完了前に、ディーゼルエンジン3のフリクションロス
の変化に伴ってISC噴射量Qiscが変化したとして
も、燃料噴射装置の経時劣化が異常であると誤って診断
されることはない。つまり、燃料噴射装置の経時劣化が
少ない間は、その異常が誤って診断されることはない。
そして、警告ランプ66が誤って点灯されたり、燃料噴
射量が誤って補正されたりすることはない。その結果、
燃料噴射装置の経時劣化をより精度良く診断することが
できて、警告ランプ66の動作の信頼性を高めることが
でき、経時劣化に対処して行われる燃料噴射量補正の信
頼性を高めることができる。しかも、この実施例では、
ディーゼルエンジン3の慣らし運転完了の判断に関して
特別なセンサを使用していないことから、上記のような
経時劣化の診断を簡単な構成で行うこともできる。
【0069】尚、この発明は前記実施例に限定されるも
のではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で構成の一部
を適宜に変更して次のように実施することもできる。 (1)前記実施例では、最新のISC噴射量Qiscと
前回のISC噴射量Qiscとの差からISC噴射量変
化量ΔQiscを求め、そのISC噴射量変化量ΔQi
scに基づき、経時劣化の診断や燃料噴射量の補正に使
用される噴射量補正量ΔQを求めた。これに対し、慣ら
し運転完了後に一定となる実際の噴射量に関する予め実
験的に求められた実測値と、最新のISC噴射量Qis
cとの差を噴射量補正量ΔQとして求めるようにしても
よい。
【0070】(2)前記実施例では、燃料噴射装置の経
時劣化の異常を診断するために、ISC噴射量変化量Δ
Qiscに応じて得られる噴射量補正量ΔQを基準値α
と比較するようにしたが、ISC噴射量変化量ΔQis
cそのものを基準値と比較して経時劣化の異常を判断す
るようにしてもよい。
【0071】(3)前記実施例では、ISC噴射量変化
量ΔQiscに応じて得られる噴射量補正量ΔQに基づ
き燃料噴射量を補正するようにしたが、ISC噴射量変
化量ΔQiscに応じて得られる噴射時期補正量に基づ
いて燃料噴射時期を補正するようにしてもよい。
【0072】(4)前記実施例では、燃料噴射装置が異
常と診断された場合に、警告ランプ66を点灯させるよ
うにしたが、これと共にその異常発生をダイアグノーシ
スデータとしてバックアップRAM84に記憶し、その
データを定期検査の際に読み出し可能としてもよい。
【0073】(5)前記実施例では、ディーゼルエンジ
ン3の累積的な使用時間であるエンジン使用時間Tdを
計測し、その計測結果に基づいてディーゼルエンジン3
の慣らし運転完了を判断するようにした。これに対し、
ディーゼルエンジンを搭載した自動車の累積的な走行距
離を計測し、その計測結果に基づいて慣らし運転完了を
判断するようにしてもよい。又、エンジン使用時間Td
に伴って変化するISC噴射量Qiscがある基準値に
達したときに、慣らし運転完了と判断するようにしても
よい。或いは、エンジン使用時間Tdの代用値として、
エンジン回転数NEの累積値である積算回転数、或いは
ディーゼルエンジン3における燃料噴射量の累積値であ
る積算噴射量を使用することもできる。
【0074】(6)前記実施例では、内燃機関としてデ
ィーゼルエンジン3に具体化したが、燃料噴射ポンプ及
び燃料噴射ノズルを含む燃料噴射装置を備えた内燃機関
であれば、ディーゼルエンジンに限られるものではな
く、高圧ガソリン噴射式エンジン等にも具体化すること
ができる。
【0075】(7)前記実施例では、電磁スピル弁23
を開弁させることにより燃料噴射量を制御する燃料噴射
ポンプ1に具体かしたが、スピルリングをプランジャに
沿って移動させることにより燃料噴射量を制御するよう
にした燃料噴射ポンプに具体することもできる。
【0076】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれ
ば、内燃機関のアイドル時に、実際のアイドル回転数が
所要の目標回転数となるように燃料噴射量に関わる制御
値を決定し、その制御値に基づいて燃料噴射ポンプの駆
動を帰還制御する。又、その帰還制御で決定される制御
値の変化に基づき、燃料噴射装置の経時劣化を診断する
ようにし、内燃機関の慣らし運転が完了するまでの間だ
け、その経時劣化の診断を禁止するようにしている。
【0077】従って、燃料噴射装置の経時劣化が少な
い、内燃機関の慣らし運転が完了するまでの間で、内燃
機関のフリクションロスの変化に伴って帰還制御の制御
値が変化したとしても、燃料噴射装置の経時劣化が誤っ
て異常と診断されることはない。その結果、燃料噴射装
置の経時劣化を精度良く診断することができ、しかも特
別なセンサ等を設けることなく簡単な構成で実現するこ
とができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の基本的な概念構成を説明する概念構
成図である。
【図2】この発明を具体化した一実施例における過給機
付ディーゼルエンジンシステムを示す概略構成図であ
る。
【図3】一実施例において分配型燃料噴射ポンプを示す
断面図である。
【図4】一実施例においてECUの構成を示すブロック
図である。
【図5】一実施例においてECUにより実行される「ア
イドル噴射量制御ルーチン」の処理内容を示すフローチ
ャートである。
【図6】一実施例において「アイドル噴射量制御ルーチ
ン」の処理内容の一部を詳しく示すフローチャートであ
る。
【図7】一実施例において回転数偏差に対する補正噴射
量の関係を示すマップである。
【図8】一実施例においてECUにより実行される「非
アイドル噴射量制御ルーチン」の処理内容を示すフロー
チャートである。
【図9】一実施例において、ISC噴射量変化量に対す
る噴射量補正量の関係を示すマップである。
【図10】従来技術の説明において、エンジン使用時間
に対するアイドル時の実噴射量とISC制御値との関係
を示すグラフである。
【符号の説明】
1…燃料噴射ポンプ、3…内燃機関としてのディーゼル
エンジン、4…燃料噴射ノズル、35…回転数検出手段
としての回転数センサ、71…アイドル回転数帰還制御
手段、経時劣化診断手段及び診断禁止手段を構成するE
CU。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F02D 41/22 325 F02D 41/22 380 F02D 41/16 F02D 41/40

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定レベル以上の燃料圧力を得て開弁さ
    れ、内燃機関に燃料を噴射するための燃料噴射ノズル
    と、 前記燃料噴射ノズルへ燃料を圧送するために駆動制御さ
    れる燃料噴射ポンプとを備えた燃料噴射装置において、 前記内燃機関の回転数を検出するための回転数検出手段
    と、 前記内燃機関のアイドル時に、前記回転数検出手段によ
    り検出されるアイドル回転数が所要の目標回転数となる
    ように燃料噴射量に関わる制御値を決定し、その制御値
    に基づいて前記燃料噴射ポンプの駆動を帰還制御するた
    めのアイドル回転数帰還制御手段と、 前記アイドル回転数帰還制御手段により決定される制御
    値の変化に基づき、前記燃料噴射装置の経時劣化を診断
    するための経時劣化診断手段と、前記内燃機関の使用累積量を記憶する記憶手段と、 前記記憶手段に記憶された使用累積量が 前記内燃機関の
    慣らし運転が完了したことを判断するための基準値以下
    のときは、前記経時劣化診断手段による経時劣化の診断
    を禁止する診断禁止手段とを備えたことを特徴とする燃
    料噴射装置の劣化診断装置。
  2. 【請求項2】 前記使用累積量として、前記内燃機関の
    使用累積時間、前記内燃機関を搭載した車両の累積走行
    距離、又は前記内燃機関の使用累積時間に伴って変化す
    る代替値のいずれかを用いた請求項1記載の燃料噴射装
    置の劣化診断装置。
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