JP2911006B2 - 内燃機関の燃料供給装置 - Google Patents

内燃機関の燃料供給装置

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Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、船外機等に用いて好適な内燃機関の燃料供
給装置に関する。
［従来の技術］ 船外機等の内燃機関の燃料供給装置として、気筒への
給気経路に設けた燃料噴射弁により燃料を噴射する燃料
噴射装置と、燃料噴射弁の噴射量を制御する制御ユニッ
トとを備えて構成されるものがある。
［発明が解決しようとする課題］ 然るに、上述の如くの燃料噴射装置を用いる内燃機関
において、アイドリングやトローリング等の低回転運転
を長時間続けた後に、急加速した場合、機関の回転上昇
がもたつくことがある。
これは、低回転運転の長時間持続時に、燃料噴射弁か
ら気筒への吸気経路に燃料溜ができ易く、この燃料が急
加速操作時に一挙に気筒内に吸い込まれる結果、その分
だけ、気筒内混合気が一時的に過濃になることによるも
のと考えられる。
本発明は、燃料噴射装置を用いる内燃機関において、
低回転運転を長時間続けた後の急加速時に、滑らかな加
速性能を確保することを目的とする。
［課題を解決するための手段］ 本発明は、気筒への吸気経路に設けた燃料噴射弁によ
り燃料を噴射する燃料噴射装置と、燃料噴射弁の噴射量
を制御する制御ユニットとを備えて構成される内燃機関
の燃料供給装置において、制御ユニットは、機関の予め
定めた特定回転速度以下の低回転持続時間が予め定めた
臨界時間を超える長時間であり、かつ加速操作速度相当
量が予め定めた臨界速度相当量を超える急加速時に、燃
料噴射弁の１回噴射時の噴射時間を予め定めた通常運転
のための基本噴射時間より低減制御するようにしたもの
である。
［作用］ 本発明者の検討の結果、従来の燃料噴射機関における
加速性能の悪化は、低回転運転を長時間続け、かつ
急加速した場合に生ずる。そして、短時間の低回転運転
後の急加速時、長時間の低回転運転後であっても緩加速
時、或いは中回転運転後の急加速時等には、加速性能の
悪化は発生しないか、発生しても非常に軽微である。
然るに、本発明によれば、低回転運転を長時間続
け、かつ急加速した場合、制御ユニットが作動し、燃
料噴射装置による燃料の供給量を減量又はカットする。
従って、上記の低回転運転の長時間持続により、吸気
経路に生成せしめられた燃料溜の燃料が、上記により
気筒内に吸い込まれたとしても、燃料噴射装置からの燃
料の供給量が減量又はカットされる結果、気筒内での過
濃混合気の生成を回避でき、滑らかな加速性能を確保す
る。
［実施例］ 第１図は本発明の一実施例を模式的に示す制御系統
図、第２図は流れ図、第３図は低回転持続時間に関する
噴射量補正係数を示す線図、第４図はスロットル操作速
度に関する噴射量補正係数を示す線図、第５図は本発明
が適用される船外機用２サイクルＶ型６気筒内燃機関を
示す断面図である。
船外機用２サイクルＶ型６気筒内燃機関10は、船舶に
取付けられる推進ユニットの上部に搭載され、回転力を
ドライブ軸１からプロペラに伝え、船舶を推進せしめ
る。
然るに、内燃機関10は、第１図、第５図に示す如く構
成され、12はシリンダ、15はピストン、15は燃焼室、16
は点火栓、18はクランクケース、20はクランク軸、22は
コンロッドである。クランクケース18内にクランク室24
が形成される。
26は吸気管であり、この吸気管26はリード弁28を介し
て吸気ポート30に接続されている。
32は排気ポート、34は排気管である。尚、シリンダ12
には掃気ポート36が開口し、この掃気ポート36は掃気通
路38によりクランク室24へ連通している。
40は潤滑油混合燃料のタンク、42は燃料中のごみを除
去するためのストレーナ、44は電動式燃料ポンプであ
る。46は吸気管26に潤滑油混合燃料を噴射する電磁式燃
料噴射弁であり、この噴射弁46へは燃料ポンプ44より圧
送された燃料が供給されている。48は圧力調整器であっ
て、燃料ポンプ44より噴射弁46へ圧送される燃料圧を一
定に保つ。即ち、燃料ポンプ44より噴射弁46へ供給され
る燃料圧が所定の圧力以上になると圧力調整器48が開き
燃料の一部をパイプ50を介して前記燃料タンク40へ環流
させる。
52はクランクケース18に取付けられた圧力センサであ
り、クランク室24の内圧を検出し、この内圧に対応した
電圧の電気信号、即ち圧力信号Ｐを出力する。
53は機関回転速度を検出する回転速度検出装置であ
り、検出速度に対応した電圧の電気信号、即ち回転速度
信号Ｎを出力する。
54は燃焼室15への吸入空気量を制御するスロットル弁
である。
55は加速操作速度を検出する加速操作速度検出装置で
あり、スロットル弁54の開度を検出し、この開度に対応
した電圧の電気信号、即ち開度信号θを出力する。
58は、上記噴射弁46の噴射動作を制御する制御ユニッ
トであり、第２図に示すように下記の如くの制御動作を
行なう。
（１） 機関の予め定めた特定回転速度N0以下の低回転
持続時間Ａをカウントする。
（２） 機関の運転状況に最適な燃料噴射量を、制御ユ
ニット58内に予め記憶された演算プログラムに従って算
出し、基本噴射量Ｉの基本噴射時間Ｔを決定する、この
基本噴射信号Ｉはクランク軸20の回転角度θに同期する
間欠的な基本噴射時間Ｔの電気信号（噴射パルスＴ）で
ある。
この時、制御ユニット58は、例えば、前記圧力信号Ｐ
を得て、このクランク室内圧Ｐの変動量によって吸入空
気量を検出し、基本噴射時間Ｔをこの吸入空気量に応じ
て決定し、運転状況に対応した最適な混合気濃度を得る
ものである。
（３） スロットル弁54の開度θ１を測定し、記録す
る。
（４） 機関の回転速度ＮがN0以下であるか否か判別す
る。
（４−１） ＮがN0以下でなければ、噴射弁46の１回噴
射時の噴射時間Ｔ′を、 Ｔ′＝Ｋ×Ｔ＝Ｔ（Ｋ＝１） …（１） とする。但し、Ｔは前述の基本噴射時間、Ｋはその補正
係数である。
（４−２） ＮがN0以下であれば、低回転持続時間Ａの
カウントを「Ａ＋１」に更新し、下記（５）に進む。
（５） 「Ａ＋１」が予め定めた臨界時間A0以上である
か否か判別する。
（５−１） 「Ａ＋１」がA0以上でなければ、低回転持
続時間が未だ長時間でないものとし、噴射弁46の１回噴
射時の噴射時間Ｔ′は、 Ｔ′＝Ｋ×Ｔ＝Ｔ（Ｋ＝１） …（２） とする。
（５−２） 「Ａ＋１」がA0以上であれば、低回転持続
時間が長時間に達したものとし、下記（６）に進む。
（６） スロットル弁54の開度θ２を測定し、スロット
ル開度変化量Δθ＝θ２−θ１を演算し、このΔθを加
速操作速度相当量とし、Δθが予め定めた臨界速度Δθ
０以上であるか否か判別する。
（６−１） ΔθがΔθ０以上でなければ、急加速でな
いものとし、噴射弁46の１回噴射時の噴射時間Ｔ′は、 Ｔ′＝Ｋ×Ｔ＝Ｔ（Ｋ＝１） …（３） とする。
（６−２） ΔθはΔθ０以上であれば、急加速である
ものとし、噴射弁46の１回噴射時の噴射時間Ｔ′を Ｋ＝Ｋθ×ＫA …（４） Ｔ′＝Ｋ×Ｔ …（５） とする。但し、ＫAは第３図に示す如く、低回転持続時
間Ａに対して定めた噴射量補正係数であり、Ｋθは第４
図に示す如く、スロットル開度変化量Δθに関する噴射
量補正係数である。
尚、ＫA＝０、Ｋθ＝０とすることもできる。
これにより、制御ユニット58は、機関10の予め定めた
特定回転速度N0以下の低回転持続時間Ａが予め定めた臨
界時間A0を超える長時間であり、かつ加速操作速度相当
量Δθが予め定めた臨界速度Δθ０を超える急加速時
に、噴射弁46の１回噴射時の噴射時間Ｔ′を予め定めた
通常運転のための基本噴射時間Ｔより低減制御する。
尚、制御ユニット58は、上述の（４−１）、（５−
１）、（６−１）、（６−２）において、噴射時間Ｔ′
に対応する噴射信号Ｉ′により、噴射弁46内の電磁ソレ
ノイドを作動させ、噴射弁46を開くのである。
次に、上記実施例の作用について説明する。
上記実施例によれば、低回転運転を長時間続け、か
つ急加速した場合、制御ユニット58が作動し、噴射弁
46による燃料の供給量を減量又はカットする。従って、
上記の低回転運転の長時間持続により、吸気経路に生
成せしめられた燃料溜の燃料が、上記により気筒内に
吸い込まれたとしても、噴射弁46からの燃料の供給量が
減量又はカットされる結果、気筒内での過濃混合気の生
成を回避でき、滑らかな加速性能を確保できる。
［発明の効果］ 以上のように本発明によれば、燃料噴射装置を用いる
内燃機関において、低回転運転を長時間続けた後の急加
速時に、滑らかな加速性能を確保できる。
【図面の簡単な説明】
第１図は本発明の一実施例を模式的に示す制御系統図、
第２図は流れ図、第３図は低回転持続時間に関する噴射
量補正係数を示す線図、第４図はスロットル操作速度に
関する噴射量補正係数を示す線図、第５図は本発明が適
用される船外機用２サイクルＶ型６気筒内燃機関を示す
断面図である。 10……内燃機関、12……シリンダ（気筒）、46……燃料
噴射弁（燃料噴射装置）、58……制御ユニット。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】気筒への吸気経路に設けた燃料噴射弁によ
    り燃料を噴射する燃料噴射装置と、燃料噴射弁の噴射量
    を制御する制御ユニットとを備えて構成される内燃機関
    の燃料供給装置において、制御ユニットは、機関の予め
    定めた特定回転速度以下の低回転持続時間が予め定めた
    臨界時間を超える長時間であり、かつ加速操作速度相当
    量が予め定めた臨界速度相当量を超える急加速時に、燃
    料噴射弁の１回噴射時の噴射時間を予め定めた通常運転
    のための基本噴射時間より低減制御することを特徴とす
    る内燃機関の燃料供給装置。
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