JP2863261B2 - スクロール型圧縮機 - Google Patents

スクロール型圧縮機

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JP2863261B2 JP2126908A JP12690890A JP2863261B2 JP 2863261 B2 JP2863261 B2 JP 2863261B2 JP 2126908 A JP2126908 A JP 2126908A JP 12690890 A JP12690890 A JP 12690890A JP 2863261 B2 JP2863261 B2 JP 2863261B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、スクロール型圧縮機に関する。
[従来の技術] 従来のスクロール型圧縮機には、ケーシングと、第1
のうず巻体を有し上記ケーシング内に固定された固定ス
クロール部材と、上記第1のうず巻体と噛み合わされる
第2のうず巻体を有し上記ケーシング内に旋回運動可能
に配置された可動スクロール部材と、該可能スクロール
部材に回転可能に備えられた駆動体と、上記ケーシング
内に回転可能に備えられた主軸と、該主軸と上記駆動体
とをこれらの軸線から離れた所で連結するクランク軸と
を含み、上記駆動体の中心に加わる力によって生じる上
記クランク軸の中心の回りのモーメントにより上記第2
のうず巻体を上記第1のうず巻体の方へ押圧するように
上記クランク軸が上記駆動体に連結されているスクロー
ル型圧縮機がある(例えば特開昭56−129791号公報参
照)。
第6図(a),(b)は従来のこの種のスクロール型
圧縮機の要部の構成略図である。
第6図(a),(b)を参照して従来のこの種のスク
ロール型圧縮機の動作について説明する。
主軸31が左回転するとクランク軸45は、主軸31の中心
Oを中心として旋回する。これに伴いクランク軸45は、
駆動体23を引っ張り、これに伴い駆動体23は、主軸31の
中心Oを中心として旋回する。この結果、可動スクロー
ル部材(図示せず)は、旋回運動を行う。この際、可動
スクロール部材は、回転阻止装置(図示せず)により自
転を阻止される。このようにして可動スクロール部材が
旋回運動をすると、固定スクロール部材(図示せず)と
可動スクロール部材とで構成される流体ポケット(図示
せず)内でガスの圧縮が行われる。この圧縮の際の生じ
る荷重(この場合、圧縮ガス力)Fgは、駆動体23の中心
O′に掛かると見なすことができる。駆動体23の中心
O′は、クランク軸45の中心Sを中心として回動できる
ので、駆動体23の中心O′に荷重Fgが掛かると、駆動体
23中心O′は、主軸31の中心Oから離れる方向に回動す
る。この結果、可動スクロール部材の第2のうず巻体が
固定スクロール部材の第1のうず巻体に押し付けられ、
両うず巻体同士を密着させるシール力が得られ、流体ポ
ケットの気密性が向上する。このように、荷重Fgにより
クランク軸45の中心Sの回りのモーメントMが生じる。
このモーメントMによって生じるスクロール部材の径方
向の力、即ち、シール方向の力Frは、次式で求まる。
Fr=Fg・tanα … 但し、αは、主軸31の中心Oと駆動体23の中心O′を
通る直線yに直交し且つ駆動体23の中心O′を通る直線
xと、クランク軸45の中心Sと駆動体23の中心O′を通
る直線tとがなす角度である。
式から明らかなように、角度αの大きさを適宜な値
に設定することによりシール方向力Frを適切な値にする
ことができる。
尚、両スクロール部材に加わる全てのシール方向の力
ΣFrは、この荷重(圧縮ガス力)Fgの分力としてのシー
ル方向力Frだけでなく、スクロール部材内部のガス圧力
差、可動スクロール部材に生じる遠心力、回転阻止装置
からの力等の総和であるが、これらの力は、本発明が解
決しようとする課題と係わりが無いので、上記のシール
方向力Frについてのみ説明の対象とする。
[発明が解決しようとする課題] 上述のように従来のこの種のスクロール型圧縮機の場
合、荷重(圧縮ガス力)Fgの分力をシール方向の力Frと
しているので、荷重Fgが増大すると、これに比例してシ
ール方向力Frも増大する。圧縮機の使用圧力条件をある
範囲に規定した場合、上述の角度αの値を適宜選ぶこと
により適切な強さのシール方向力Fr得ることができる。
しかし、異常な圧縮条件、例えば、液吸入、液圧縮等が
起こった場合、荷重Fgが通常の値よりも増大し、この結
果、シール方向力Frも非常に大きな値となってしまう。
また、自動車の空調装置に用いられる圧縮機の場合のよ
うに、圧縮機の動作条件が広い場合、低負荷域で必要な
シール方向力Frを得るように角度αの値を設定すると、
高負荷域において過剰なシール方向力Frを生じてしま
う。以上のように、シール方向の力が過剰な値になる
と、うず巻体に加わる接触力が過大になり、うず巻体の
壁面の異常磨耗や、うず巻体の変形、ひいてはうず巻体
の破損と言った問題が生じた。
それ故に、本発明の課題は、異常な圧縮条件や高負荷
条件においてもシール方向の力が過剰にならないように
したスクロール型圧縮機を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明によれば、ケーシングと、第1のうず巻体を有
し上記ケーシング内に固定された固定スクロール部材
と、上記第1のうず巻体と噛み合わされる第2のうず巻
体を有し上記ケーシング内に旋回運動可能に配置された
可動スクロール部材と、該可動スクロール部材に回転可
能に備えられた駆動体と、上記ケーシング内に回転可能
に備えられた主軸と、該主軸と上記駆動体とをこれらの
軸線から離れた所で連結するクランク軸とを含み、上記
駆動体の中心に加わる力によって生じる上記クランク軸
の中心の回りのモーメントにより上記第2のうず巻体を
上記第1のうず巻体の方へ押圧するように上記クランク
軸が上記駆動体に連結されているスクロール型圧縮機に
おいて、上記駆動体の中心に通常よりも大きな荷重が掛
かった場合に、上記主軸の中心と上記駆動体の中心を通
る直線に直交し且つ上記駆動体の中心を通る直線と、上
記クランク軸の中心と上記駆動体の中心を通る直線とが
なす角度を小さくする機構が備えられており、該機構
は、弾性を有するクランク軸、又は前記クランク軸と前
記駆動体との間に介在する弾性部材から成ることを特徴
とするスクロール型圧縮機が得られる。
[作用] 本発明のスクロール型圧縮機の場合、駆動体の中心に
通常よりも大きな荷重が掛かった場合に、主軸の中心と
駆動体の中心を通る直線に直交し且つ駆動体の中心を通
る直線と、クランク軸の中心と駆動体の中心を通る直線
とがなす角度αを、小さくする機構が備えられているの
で、液圧縮等により駆動体の中心に通常よりも大きな荷
重が掛かった場合、角度αが小さくなる。従って、か
ら明らかなように、角度αが小さくなると、シール方向
の力Frが小さくなり、シール方向の力が過剰に大きくな
らない。
[実施例] 第1図は本発明の第1の実施例によるスクロール型圧
縮機の断面図である。
第1図を参照して、ケーシング1は、略カップ状のケ
ーシング本体2と、このケーシング本体2の開口端を閉
塞するフロントエンドプレート3とから成る。フロント
エンドプレート3は、プレート部4と略筒状の筒部5と
から成る。
固定スクロール部材10は、第1の板体11と、この第1
の板体の一面に設けられた第1のうず巻体12とから成
る。固定スクロール部材10は、ケーシング1内に固定さ
れている。
可動スクロール部材16は、第2の板体17と、この第2
の板体17の一面に設けられた第2のうず巻体18とから成
る。第2のうず巻体18は、第1のうず巻体12と噛み合
う。これにより、第1のうず巻体12と第2のうず巻体18
の間に流体ポケット19が構成される。第2の板体16の他
面中央には、筒状のボス部20が形成されている。可動ス
クロール部材16は、ケーシング1内に旋回運動可能に配
置されている。
第2図は第1の実施例の要部の断面図である。
第2図をも参照して、駆動体23は、可動スクロール部
材16のボス部20内にニードルベアリング24を介在させて
を配置されている。これにより駆動体23は、ボス部20内
で回転可能と成っている。駆動体23は、後述のクランク
軸45を受け入れる貫通孔25を有している。貫通孔25は、
駆動体23の回転中心から偏心している。
主軸31は、細軸部32と大径部33とから成る。細軸部32
は、フロントエンドプレート3の筒状部5内に備えられ
たボールベアリング34によって回転可能に支持されてお
り、大径部33は、フロントエンドプレート3のプレート
4内に備えられたボールベアリング35により回転可能に
支持されている。これにより主軸31は、ケーシング1内
に回転可能に備えられている。大径部33は、貫通孔36を
有している。貫通孔36は、小径部分37と大径部分38とか
ら成る。貫通孔36は、主軸31の軸線から偏心している。
クランク軸45の一端部は、主軸31の貫通孔36の小径部
分37に圧入固定されており、他端部は、駆動体23の貫通
孔25に挿入されている。これにより、クランク軸45は、
主軸31と駆動体23とをこれらの軸線から離れた所で連結
している。尚、この連結部位は、駆動体23の中心に加わ
る力によって生じるクランク軸45の中心(軸線)の回り
のモーメントが、第2のうず巻体18を第1のうず巻体12
の方へ押圧する方向のモーメントと成るような部位にあ
る。尚、この点については、本願発明者によって発明さ
れた特願昭63−267276号に詳しく説明されているので、
ここでは、説明を省略する。
クランク軸45の一端部は、大径部33に設けられた貫通
孔36の小径部分37に固定されているが、貫通孔36の大径
部分38の内壁面と、この部分に対向するクランク軸45の
外壁面との間には隙間が生じている。また、クランク軸
45の貫通孔25に挿入された部分の外壁面46は、球面状に
形成されているので、クランク軸45は、駆動体23に対し
て傾斜できるように成っている。また、このクランク軸
45は、弾性を有している。従って、クランク軸45は、撓
むことができるように成っている。
第3図(a),(b)は第1の実施例による要部の構
成略図で、主軸側から駆動体とクランク軸を見たもので
ある。
第3図(a),(b)をも参照して、液圧縮や高速運
転等、高負荷条件になった場合、駆動体23は、可動スク
ロール部材16と共に、通常の旋回半径rよりもΔrだけ
小さい旋回半径で旋回運動をしようとし、クランク軸45
は、そのまま旋回しようとするので、クランク軸45は撓
む。このようにクランク軸45が撓むことにより、クラン
ク軸45の中心Sは、第3図(a)の位置から第3図
(b)の位置に移動する。この結果、第3図から明らか
なように、主軸31の中心Oと駆動体23の中心O′を通る
直線yに直交し且つ駆動体23の中心O′を通る直線x
と、クランク軸45の中心Sと駆動体23の中心O′を通る
直線tとがなす角度αが小さくなる。角度αが小さくな
れば、式から明らかなようにシール方向の力Frが小さ
くなる。このようにして、第4図に示すように、駆動体
23の中心O′に通常よりも大きな荷重Fgが掛かっても、
シール方向Frが過剰に大きくならないように成ってい
る。即ち、駆動体23の中心O′に通常よりも大きな荷重
Fgが掛かった際に、角度αを小さくする機構(以下、シ
ール力緩和機構と言う)が、主軸31の大径部33と、貫通
孔36と、クランク軸45とで構成されている。
第5図(a),(b)は第2の実施例による要部の構
成略図で、主軸側から駆動体とクランク軸を見たもので
ある。
第5図(a),(b)を参照して、本実施例の場合、
クランク軸45は、第1の実施例のものと異なり、撓ま
ず、従来のものと同じ構造に成っている。駆動体23の貫
通孔25は、クランク軸45の直径よりも大きい径を有して
いる。従って、クランク軸45と貫通孔25の間には、間隙
50が生じている。この間隙50内には、略星型の弾性部材
51が配置されている。弾性部材51は、クランク軸45を保
持し、且つ所定位置に戻るように付勢する。
本実施例によるスクロール型圧縮機の場合、通常の運
転の時は、第5図(a)の状態にあるが、液圧縮等が生
じ荷重Fgが過大になった時は、第5図(b)の状態にな
る。この場合、荷重Fgによって、駆動体23は、可動スク
ロール部材と共に図面上右方の移動し、クランク軸45
は、そのままである。この結果、弾性部材51が変形する
と共に、クランク軸45の中心Sと駆動体23の中心O′の
距離が、第5図(a)の状態の時よりも長くなる。この
結果、図面上、駆動体23の中心O′が右方に移動する
分、角度αが小さくなる。
以上のように、本実施例の場合、シール力緩和機構
は、駆動体23と、貫通孔25と、弾性部材51とから成る。
尚、シール力緩和機構は、第1の実施例や第2の実施
例のものに限られず、色々考えられる。例えば、主軸
に、クランク軸を、主軸の径方向に移動可能なように設
け、且つこのクランク軸に強い付勢力を掛け、荷重が過
大に成った場合にのみクランク軸が径方向に移動するよ
うに構成しても良い。以上のように、シール力緩和機構
は、角度αを小さくするものであれば良く、特に限定さ
れない。
[発明の効果] 本発明によるスクロール型圧縮機は、液圧縮や高速運
転等により駆動体の中心に通常よりも大きな荷重が掛か
った場合に角度αが小さくなるので、シール方向の力が
過剰に大きくならない。
この結果、うず巻体の壁面の異常磨耗や、うず巻体の
変形、或いはうず巻体の破損と言った問題が生じなく成
った。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1の実施例によるスクロール型圧種
機の断面図、第2図は同実施例の要部の断面図、第3図
(a),(b)は同実施例による要部の構成略図、第4
図は同実施例の作用を示すグラフ、第5図(a),
(b)は第2の実施例による要部の構成略図、第6図
(a),(b)は従来のスクロール型圧縮機の一例の要
部の構成略図である。 1……ケーシング、2……ケーシング本体、3……フロ
ントエンドプレート、4……プレート部、5……筒部、
10……固定スクロール部材、11……第1の板体、12……
第1のうず巻体、16……可動スクロール部材、17……第
2の板体、18……第2のうず巻体、19……流体ポケッ
ト、20……ボス部、23……駆動体、24……ニードルベア
リング、25……貫通孔、31……主軸、32……細軸部、33
……大径部、34,35……ボールベアリング、36……貫通
孔、37……小径部分、38……大径部分、45……クランク
軸、46……外壁面、50……間隙、51……弾性部材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F04C 18/02 311

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ケーシングと、第1のうず巻体を有し上記
    ケーシング内に固定された固定スクロール部材と、上記
    第1のうず巻体と噛み合わされる第2のうず巻体を有し
    上記ケーシング内に旋回運動可能に配置された可動スク
    ロール部材と、該可動スクロール部材に回転可能に備え
    られた駆動体と、上記ケーシング内に回転可能に備えら
    れた主軸と、該主軸と上記駆動体とをこれらの軸線から
    離れた所で連結するクランク軸とを含み、上記駆動体の
    中心に加わる力によって生じる上記クランク軸の中心の
    回りのモーメントにより上記第2のうず巻体を上記第1
    のうず巻体の方へ押圧するように上記クランク軸が上記
    駆動体に連結されているスクロール型圧縮機において、
    上記駆動体の中心に通常よりも大きな荷重が掛かった場
    合に、上記主軸の中心と上記駆動体の中心を通る直線に
    直交し且つ上記駆動体の中心を通る直線と、上記クラン
    ク軸の中心と上記駆動体の中心を通る直線とがなす角度
    を小さくする機構が備えられており、該機構は、弾性を
    有するクランク軸、又は前記クランク軸と前記駆動体と
    の間に介在する弾性部材から成ることを特徴とするスク
    ロール型圧縮機。
JP2126908A 1990-05-18 1990-05-18 スクロール型圧縮機 Expired - Lifetime JP2863261B2 (ja)

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