JP2858681B2 - 竪型粉砕機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は回転テーブルと粉砕ロー
ラとの協働によりセメントクリンカや高炉スラグ、セラ
ミックス等の化学品を微粉砕する場合の予備粉砕機とし
て使用される竪型粉砕機に関する。

【０００２】

【従来の技術】石灰石やスラグ，セメント原料などの原
料を細かく粉砕し粉体とする粉砕機の一種として，図４
に示すように，回転テーブルと粉砕ローラとを備えた竪
型粉砕機１が広く用いられている。この種の粉砕機は，
円筒状ケーシング１５の下部においてモータ２Ａにより
減速機２で駆動されて低速回転する円盤状の回転テーブ
ル３Ａと，その上面外周部を円周方向へ等分する箇所に
油圧などで圧接されて従動回転する複数個の粉砕ローラ
４とを備えている。

【０００３】粉砕ローラ４はケーシング１５に軸６によ
って揺動自在に軸支されたアーム５とアーム７を介して
油圧シリンダ９のピストンロッド１０に連結されてお
り、油圧シリンダ９を作動させることにより、粉砕ロー
ラ４を回転テーブル３Ａ上に押圧して原料への粉砕圧力
を与えている。３Ｂは回転テーブル３Ａの外周縁に設け
られ原料層厚を調整するダムリング、１４は回転テーブ
ル３Ａ周囲の環状空間通路、１３は羽根１３ａにより粉
砕された原料を分級する回転セパレータ、１６はガスと
共に製品を取出すガス排出口、１７は原料投入シュート
である。

【０００４】このような竪型粉砕機において，回転テー
ブルの中央部へ原料投入シュート１７で供給された原料
は，回転テーブル３Ａの回転によりテーブル半径方向の
遠心力を受けて回転テーブル３Ａ上を滑るときに回転テ
ーブル３Ａにより回転方向の力を受け，回転テーブル３
Ａとの間で滑って回転テーブル３Ａの回転数よりいくら
か遅い回転を行なう。以上２つの力，すなわち，半径方
向と回転方向の力とが合成され，原料は回転テーブル３
Ａ上を渦巻状の軌跡を描いて回転テーブル３Ａの外周部
へ移動する。この外周部には，ローラが圧接されて回転
しているので，渦巻線を描いた原料は粉砕ローラ４と回
転テーブル３Ａとの間へローラ軸方向とある角度をなす
方向から進入して噛込まれて粉砕される。

【０００５】一方，ケーシング１５の基部にはダクト１
４Ａによって空気，あるいは熱風などのガスが導かれて
おり，このガスが回転テーブル３Ａの外周面とケーシン
グ１５の内周面との間の環状空間通路１４から吹き上が
ることにより，粉砕された微粉体はガスに同伴されてケ
ーシング１５内を上昇し，上部に位置するセパレータ１
３の羽根１３Ａにより分級作用を受け，所定粒度の製品
はガスと共に排出口１６から排出され次の工程へ送られ
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記の如き従来の竪型
粉砕機を，たとえば，セメントクリンカの粉砕におい
て，仕上粉砕をボールミルやロッドミルで実施する予備
粉砕機として使用する場合には，３０〜５０ｍｍの原料
クリンカを約３００μｍ程度の粒度にして仕上粉砕機の
ボールミル，ロッドミルに供給するのが望ましい。しか
しながら，従来の竪型粉砕機をそのまま予備粉砕機とし
て使用した場合には，粉砕産物の粒径は小径のものから
ほぼ供給したままの粒径まで広範囲に分布し，仕上ミル
への供給する粒径分布としては幅が広すぎる。これは粉
砕産物をミル内蔵のセパレータで分級した後の精粉か
ら，回転テーブル上に供給されたが粉砕ローラとの粉砕
作用を一度も受けずに回転テーブルをオーバフローして
排石された原料まで含むからである。したがって，仕上
粉砕へのフィード原料としては，竪型粉砕機へ供給され
回転テーブルと粉砕ローラとの間で行なわれる粉砕を
１，２回程度受けた，いわゆる，ワンパス粉砕された粒
径がほぼ一様にたとえば２００〜４００μｍ程度に整粒
された狭い分布を有する原料が望ましい。

【０００７】

【課題を解決するための手段】（１）以上のような課題
を解決するためには、セパレータを内蔵せず、多数回の
粉砕が実施されないタイプの竪型粉砕機が望ましいの
で、回転テーブル外周部上面に複数個の回転自在な粉砕
ローラを配置し、粉砕機の頂部中央から竪型粉砕機の軸
芯線を上下に垂下して設けた原料投入シュートから供給
した原料を、粉砕ローラに所定の粉砕圧力を与えて回転
テーブル上面と粉砕ローラ周面との間で粉砕する竪型粉
砕機において、該回転テーブル外周で、かつ、該粉砕ロ
ーラの回転方向下流側に、該回転テーブル外周に沿う曲
面板を垂設したガイドプレートを竪型粉砕機のケーシン
グ内面に突設するとともに、該回転テーブルと該ケーシ
ングとで形成される環状空間を落下した原料の排出シュ
ートを回転テーブル外周下部に設け、該粉砕ローラ間を
通り抜けて該回転テーブルを溢流した原料を該ガイドプ
レートの該曲面板に当てて該回転テーブル上に戻して回
転方向下流に位置する粉砕ローラに噛み込ませるように
して粉砕させ、粉砕した原料を該環状空間へ落下させる
ようにして、粉砕した原料のほとんどすべてを該環状空
間を通して該排出シュートから竪型粉砕機の外部に取り
出すようにした構成とした。（２）また、上記（１）の竪型粉砕機において、該ガイ
ドプレートは該粉砕ローラと同数個配設した構成とし
た。

【０００８】

【作用】本発明の竪型粉砕機においては、セパレータは
無く、したがって、エアスエプト用の気流は不要で、回
転テーブル上に供給した原料は粉砕ローラで粉砕された
後、回転テーブルのダムリングを越えて溢流して環状空
間通路を落下する。この場合、粉砕ローラ間の回転テー
ブル上をすり抜けてオーバフローして落下しようとする
原料のうち、大径のものは粉砕ローラ間で、かつ、粉砕
ローラの回転方向下流寄りに設けたガイドプレートの曲
面板としての側面曲板に当たってはね返り、回転テーブ
ルへ戻されるとともに、次位の粉砕ローラに噛込まれ
る。しかし、数ｍｍ以下の微粒および微粉は回転テーブ
ル外周と側面曲板との間隙や、ガイドプレートのない環
状空間通路を落下し、排出シュートで集められて機外へ
排出される。したがって、竪型粉砕機に供給された原料
はほとんどワンパス粉砕を経て数ｍｍ以下に整粒されて
排出される。該ガイドプレートを該粉砕ローラの設置数
と同数個配設した場合は、ガイドプレートの曲面板によ
る原料のテーブルへの跳ね返し作用、それによる次位の
粉砕ローラへの原料の噛み込み作用が回転テーブルの全
周にわたって確実に行われ、前記原料の整粒が均等に行
われる。

【０００９】

【実施例】以下図面に基づいて本発明の実施例について
説明する。図１〜図３は本発明に係る竪型粉砕機の実施
例を示し，図１は竪型粉砕機の全体縦断面図，図２は粉
砕部の平面図，図３は要部縦断面図である。

【００１０】図において，ケーシング１５の天板１５ａ
の中央より原料投入シュート１７が垂下され，その下端
開口部は回転テーブル３Ａの中央直上に対向している。
回転テーブル３Ａの外周には図２，図３に示すように，
回転テーブル３Ａの外周に沿って湾曲する側面曲板３０
ａを有するガイドプレート３０が粉砕ローラ４の回転方
向下流側に配設され，ケーシング１５に固設されてい
る。ガイドプレート３０の側面曲板３０ａと回転テーブ
ル３Ａ外周との隙間は５〜１０ｍｍ程度の小さな値に保
持される。側面曲板３０ａは鋼製のほか，硬質の合成樹
脂製とすることができる。また，図３に示すように，回
転テーブル３Ａの外周下側には，回転テーブル３Ａをオ
ーバフローして環状空間通路１４へ落下した原料を集め
て機外へ排出するための排出シュート４０が設けられ，
ベルトコンベヤ５０により搬送される。４０ａは回転テ
ーブル３Ａに取付けられたスクレーパである。

【００１１】以上のように構成された本発明の竪型粉砕
機１の作動について説明する。原料投入シュート１７か
ら供給された原料は、回転する回転テーブル３Ａの遠心
力により渦巻状に外周側へ向かって移動し、粉砕ローラ
４と回転テーブル３Ａとの間に噛込んで粉砕される。原
料のうち粉砕ローラ間を通り抜けた粒子は、ダムリング
３Ｂを越え回転テーブル３Ａをオーバフローするが、丁
度その位置に配設されたガイドプレート３０の側面曲板
３０ａに当たってはえ返り、再び回転テーブルへ戻さ
れ、回転方向下流にある次の粉砕ローラ４に噛込まれて
粉砕される。

【００１２】以上のようにして，本発明の竪型粉砕機で
は回転テーブルに投入された原料のほとんどすべてが粉
砕ローラによる粉砕作用を１〜２回受けたあと，環状空
間通路に落下するので，原料は数ｍｍ以下に粉砕された
状態の粒状の姿で仕上ミルへ供給される。また，エアス
エプト（空気搬送）によるセパレータの分級作用がない
ので，原料は必要以上に粉砕されることがなく，排出す
る粉砕産物には微粉の混入割合が低く，仕上ミルには比
較的整粒された粒度範囲の狭い原料を供給できる。

【００１３】

【発明の効果】以上説明したように，本発明の竪型粉砕
機は，塊状の大径粒子が少なく，かつ，微粉含有率の低
い，比較的整粒された数ｍｍ以下の粒状原料を仕上ミル
へ供給できるので，望ましい予備粉砕機を提供できる。
また，空気搬送やセパレータを必要としないので吸気フ
ァンや集塵機が不要で，設備費や運搬費を低く留めるこ
とができる。また，仕上ミルへ数ｍｍ以下の比較的整粒
された原料を供給できるため，仕上ミルとしてボールミ
ルを使用する場合，第１室の最大ボール径を小さくする
ことができるから，仕上粉砕の粉砕効率が向上し生産性
が増加するとともにランニングコストが低減できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の竪型粉砕機の実施例を示す全体縦断面
図である。

【図２】本発明の竪型粉砕機の実施例を示す粉砕部の概
略平面図である。

【図３】本発明の竪型粉砕機の実施例を示す粉砕部の要
部縦断面図である。

【図４】従来の竪型粉砕機の全体縦断面図である。

【符号の説明】

１ 竪型粉砕機 ３Ａ 回転テーブル ４ 粉砕ローラ １４ 環状空間通路 １７ 原料投入シュート ３０ ガイドプレート ３０ａ 側面曲板 ４０ 排出シュート ４０ａ スクレーパ

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転テーブル外周部上面に複数個の回転
   自在な粉砕ローラを配置し、粉砕機の頂部中央から竪型
   粉砕機の軸芯線を上下に垂下して設けた原料投入シュー
   トから供給した原料を、粉砕ローラに所定の粉砕圧力を
   与えて回転テーブル上面と粉砕ローラ周面との間で粉砕
   する竪型粉砕機において、 該回転テーブル外周で、かつ、該粉砕ローラの回転方向
   下流側に、該回転テーブル外周に沿う曲面板を垂設した
   ガイドプレートを竪型粉砕機のケーシング内面に突設す
   るとともに、該回転テーブルと該ケーシングとで形成さ
   れる環状空間を落下した原料の排出シュートを回転テー
   ブル外周下部に設け、該粉砕ローラ間を通り抜けて該回
   転テーブルを溢流した原料を該ガイドプレートの該曲面
   板に当てて該回転テーブル上に戻して回転方向下流に位
   置する粉砕ローラに噛み込ませるようにして粉砕させ、
   粉砕した原料を該環状空間へ落下させるようにして、粉
   砕した原料のほとんどすべてを該環状空間を通して該排
   出シュートから竪型粉砕機の外部に取り出すようにした
   竪型粉砕機。
2. 【請求項２】 該ガイドプレートを該粉砕ローラの設置
   数と同数個配設した請求項１の竪型粉砕機。