JP2827668B2 - 内燃機関の蒸発燃料処理装置 - Google Patents

内燃機関の蒸発燃料処理装置

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JP2827668B2
JP2827668B2 JP4048890A JP4889092A JP2827668B2 JP 2827668 B2 JP2827668 B2 JP 2827668B2 JP 4048890 A JP4048890 A JP 4048890A JP 4889092 A JP4889092 A JP 4889092A JP 2827668 B2 JP2827668 B2 JP 2827668B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は内燃機関の蒸発燃料処理
装置に係り、特に蒸発燃料を燃料タンクから内燃機関の
吸気管に直接搬送してこれを燃焼処理する直接パージ通
路を備えた内燃機関の蒸発燃料処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両の燃料タンクから内燃機関(エンジ
ン)の吸気管に直接連通するパージ通路を設け、燃料タ
ンク内で発生した蒸発燃料(ベーパ)を直接吸気管に搬
送してこれを吸気ポートで作られる新しい混合気と共に
燃焼処理する蒸発燃焼処理装置が一般的に知られてい
る。このような構成の蒸発燃料処理装置の場合、例え
ば、予め実験して求めた燃料温度とベーパ発生量との関
係をマップとして記憶しておき、このマップと検出され
た現時点における燃料温度からベーパ発生量を推定す
る。そして、この推定されたベーパ発生量分、燃料噴射
弁による燃料噴射量を低減することにより空燃比を安定
的に制御していた。
【0003】しかしながら、燃料タンクから発生するベ
ーパは、厳密には混合気をリッチとする純粋なガソリン
蒸気と、混合気をリーンとするタンク内に吸入された空
気との混合体であるため、ベーパ中のガソリン蒸気と空
気との比率によってベーパが空燃比に影響する度合いが
変化する。このため、上記の如く単にベーパの発生量を
推定するだけでは空燃比を正確に制御することができな
かった。そこで、本出願人は先に出願された特願平3−
221816号にて上記課題を解決するための提案を行
った。この提案では、燃料温度とガソリン蒸気発生量と
のマップを上記ベーパ発生量のマップとは別に設け、燃
料温度からベーパ発生量とベーパ中のガソリン蒸気量を
算出し、更にベーパ発生量からガソリン蒸気量を減算し
て残りの空気量を算出した。これにより、発生するベー
パが空燃比に影響する度合いを知ることができ、ベーパ
燃焼時の空燃比をより精度良く制御することができた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た燃料温度とベーパ発生量の関係、または燃料温度とガ
ソリン蒸気発生量の関係は、大気圧や燃料性状等の条件
によって変化するものであるため、上記マップを設定し
た時の標準状態(例えば標準大気圧、標準燃料性状)の
場合を除いては、ベーパ発生量またはガソリン蒸気発生
量の推定値の誤差が大きくなり、実際の値からずれてし
まう。このため、上記の如くベーパ発生量やガソリン蒸
気発生量を推定しても燃料噴射量の補正量に誤差が生じ
てしまい、結果的に空燃比がリッチまたはリーンにずれ
て排気エミッションが悪化してしまうという問題が生じ
た。
【0005】そこで本発明は上記課題に鑑みなされたも
ので、標準状態での要求噴射量と空燃比フィードバック
制御された後の実際の噴射量とのずれ量から、現時点に
おける状態が標準状態からずれた分の補正量を求めるこ
とにより、標準状態だけではなく、大気圧や燃料性状等
の条件が変化したいかなる使用状態であっても、ベーパ
発生量(ガソリン蒸気発生量)を精度よく推定しうる内
燃機関の蒸発燃料処理装置を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】図1は上記目的を達成す
る本発明の原理構成図である。同図に示すように本発明
は、燃料タンク1から発生した蒸発燃料を内燃機関2の
吸気管3に直接放出して、前記蒸発燃料を燃焼処理する
連通路4と、前記蒸発燃料の発生量を検出して燃料噴射
弁5からの燃料噴射量を補正する燃料補正量演算手段6
とを備えた内燃機関の蒸発燃料処理装置において、予め
設定された標準状態における燃料温度と蒸発燃料発生量
との第1のマップを用いて求められた標準状態での要求
燃料噴射量8と、空燃比を理論空燃比に制御する空燃比
のフィードバック制御が実際の使用状態において実行さ
れて求められた実際の燃料噴射量9とのずれ量ΔGを求
める手段10と、前記標準状態における前記蒸発燃料放
出時に空燃比が理論空燃比となるように燃料噴射量を補
正する第1の補正量ΔTPTを求める手段11と、前記
ずれ量ΔGと前記第1の補正量ΔTPTとに基づいて前
記第1のマップを前記実際の使用状態に対応した第2の
マップ12に修正する第2の補正量KGを求める手段1
3とを設けてなり、前記燃料補正量演算手段6は、前記
第2のマップ12を用いて前記実際の使用状態における
温度変化による蒸発燃料の発生量を検出する構成であ
る。
【0007】
【作用】標準状態において蒸発燃料が放出され、空燃比
のフィードバック制御が実行されて求められた実際の燃
料噴射量9は、標準マップを用いて求められた標準状態
における要求燃料噴射量8に一致し、ずれ量ΔGは0
(ゼロ)となる。従って、手段10において、ずれ量Δ
Gは、燃料性状や大気圧等の条件が標準状態とは異なる
実際の使用状態での蒸発燃料発生量(Qgv′と称す
る)と標準状態での蒸発燃料発生量(Qgvと称する)
との差を表す(Qgv′=Qgv+ΔG)。また、手段
11において、標準状態での蒸発燃料発生量Qgv分の
燃料を理論空燃比とするために補正しなければならない
ため、第1の補正量ΔTPTはQgvに等しい(Qgv
=ΔTPT)。従って、Qgv′=ΔTPT+ΔGの式
が成立する。
【0008】また、第2の補正量KGは標準マップによ
り求められる標準状態における蒸発燃料発生量Qgvを
実際の蒸発燃料発生量Qgv′に修正する補正量である
ため、KG=Qgv′/Qgvで表される。従って、Q
gv′=KG×Qgv=KG×ΔTPTの式が成立す
る。このため、手段13において、KG=1+(ΔG/
ΔTPT)が算出される。
【0009】そして、手段12で、算出された第2の補
正量KGに基づき燃料噴射量Tp’を補正する噴射量補
正値ΔTp’を求める。燃料補正量演算手段6は、この
燃料噴射量Tp’に基づいて燃料噴射弁5からの燃料噴
射量を補正する。
【0010】
【実施例】図2は本発明の一実施例のシステム構成図を
示す。本実施例は図1に示す内燃機関2として4気筒4
サイクル火花点火式内燃機関(エンジン)に適用した例
であり、各部の制御は後述するエンジン制御コンピュー
タ(ECU)21によって制御される。
【0011】図2において、23は燃料タンク(前記燃
料タンク1に相当する)であり、燃料タンク23内に
は、燃料温度を測定する燃料温度センサ24、及び燃料
タンク23内における燃料の残量を測定する燃料残量セ
ンサ25が取り付けられている。燃料温度センサ24、
及び燃料残量センサ25からの信号はECU21に夫々
出力されている。
【0012】41はエンジン40の吸気管(前記吸気管
3に相当)であり、燃焼室40aとは反対側の上流側に
は図示されていないエアクリーナが設けられている。吸
気管41には、エアクリーナが設けられている上流側よ
り、エアフローメータ42、スロットルバルブ43、サ
ージタンク44、燃料噴射弁45が順に設けられてい
る。エアフローメータ42は吸気管41への吸入空気量
を検出し、この検出信号をECU21に出力している。
スロットルバルブ43はアクセルペダルに連動し吸気管
41の通過面積を調節するバルブである。またサージタ
ンク44は吸気管41内における吸気脈動を抑制するた
めのチャンバである。
【0013】燃料噴射弁45と燃料タンク23との間に
は燃料循環ライン47が設けられており、燃料循環ポン
プ46により燃料タンク23の燃料が常に循環してい
る。燃料噴射弁45は、ECU21から出力された適当
なデューティ比を有するパルス信号により噴射命令され
た時間のみ吸気管41内に一定量の燃料噴射を行う。従
って、燃料噴射弁45による燃料噴射量の大小は、燃料
噴射弁45における燃料噴射時間の大小として表され
る。
【0014】一方、燃焼室40aに連通した排気管48
には、排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサ49
が設けられている。
【0015】燃料タンク23からの蒸発燃料(ベーパ)
ライン26は、タンク内圧制御弁27を通ってキャニス
タ30に通ずるキャニスタライン26bと、燃料タンク
23からバキューム・スイッチング・バルブ(VSV)
と称される電磁弁31を介してエンジン40(前記内燃
機関2に相当)に通ずるダイレクトライン26a(前記
連通路4に相当)とに分かれる。
【0016】キャニスタ30内には活性炭等の吸着剤が
充填されており、その下部には大気導入口30aが設け
られている。キャニスタ30からは、もう1つの電磁弁
32を介して吸気管41のサージタンク44に連通して
いる放出(パージ)ライン33が設けられている。タン
ク内圧制御弁27は、開放圧を大気圧より高く設定する
ことにより、エンジン運転時に燃料タンク23からのベ
ーパがキャニスタ30側に流れることを防止している。
また、電磁弁31は、後述するように、ECU21から
の制御信号により弁開度が調整され、燃料タンク23か
ら吸気管41に到るベーパの流量を調整する。
【0017】尚、燃料タンク23からのベーパが搬送さ
れる上記ダイレクトライン26aと、パージライン33
は、本実施例においてはサージタンク44に接続されて
いるが、接続部位は吸気管41上のいずれの部位であっ
てもよい。
【0018】エンジン停止中に燃料タンク23内から発
生したベーパは、周知の如く、キャニスタライン26b
を通ってキャニスタ30内の活性炭に吸着されて大気へ
の放出が防止される。そして、エンジン始動直後のアイ
ドル運転時において、サージタンク44内の負圧を利用
してキャニスタ30の大気導入口30aから空気を導入
し(電磁弁32は開の状態とされている)、これによっ
て活性炭に吸着されている燃料が離脱される。そして、
この燃料がパージライン33を通って吸気管41に吸入
され、燃焼室40a内で燃焼される。
【0019】また、エンジン40の連続運転中において
は、高温状態となる燃料噴射弁45を通って燃料が燃料
循環ライン47を循環することにより、燃料の温度が上
昇する。このため、燃料温度の上昇に伴って燃焼タンク
23内から発生するベーパは、電磁弁31が適当に開く
ことによりサージタンク44内の負圧が作用して、ダイ
レクトライン26aを介して吸気管41に吸入され、こ
の場合にも上記と同様に燃焼室40aにて燃焼される。
【0020】上記のような構成の各部の動作を制御する
ECU21は図3に示す如きハードウェア構成とされて
いる。同図中、図2と同一構成部分には同一符号を付
し、その説明を省略する。
【0021】図3において、ECU21は中央処理装置
(CPU)50、処理プログラムを格納したリード・オ
ンリ・メモリ(ROM)51、作業領域として使用され
るランダム・アクセス・メモリ(RAM)52、エンジ
ン停止後もデータを保持するバックアップRAM53、
入力インターフェース回路54、出力インターフェース
回路55、マルチプレクサ付A/Dコンバータ56など
から構成されており、それらはバス57を介して相互に
接続されている。
【0022】A/Dコンバータ56は燃料温度センサ2
4からの燃料温度検出信号、燃料残量センサ25からの
燃料残量検出信号、エアフローメータ42からの吸入空
気量検出信号、酸素センサ49からの酸素濃度検出信号
等を入力インターフェース回路54を通して順次切り換
えて周期的に取り込み、それをアナログ/ディジタル変
換してバス57へ順次送出する。出力インターフェース
回路55は、CPU50にて処理された信号がバス57
を介して入力され、電磁弁31,32及び燃料噴射弁4
5へ送出してそれらを制御する。パージライン33の電
磁弁32は、エンジン始動後のアイドル状態においてエ
アフローメータ42で検出される吸入空気量にほぼ比例
した弁開度の制御が行われる。ダイレクトライン26a
の電磁弁31の開度および燃料噴射弁45の燃料噴射時
間の制御については後で詳述する。ECU21は上記制
御の他に、イグナイタ(図示せず)に対する点火時期の
制御、アイドルスピードコントロールバルブ(ISC
V)に対するアイドル回転数の制御等を行っている。
【0023】上記構成のECU21内のCPU50は、
ROM51内に格納されたプログラムに従い、以下に説
明するフローチャートの処理を実行し、電磁弁31およ
び燃料噴射弁45に対する制御、および前記した燃料補
正量演算手段6、手段10,11,13,14夫々をソ
フトウェア処理にて実現する。
【0024】先ず最初に電磁弁31の開度の制御につい
て説明する。電磁弁31の開度は、燃料タンク23内の
温度上昇に伴うガソリン蒸気を含むベーパの発生量を推
定し、この発生量を目標流量とする弁開度を求める。こ
のようにすることにより、燃料タンク23より発生する
ベーパをすべてエンジン40に吸入させることができ、
また反対に吸気管41の負圧により新たなベーパが燃料
タンク23から発生してしまうことも防止できる。
【0025】図4は電磁弁31の目標流量、即ち燃料タ
ンク23から発生するベーパ発生量を推定する電磁弁流
量演算ルーチンのフローチャートを示す。同図に示すル
ーチン100が周期Δtc秒毎に割り込み起動される
と、先ず最初にステップ101にて、今回の燃料温度T
nを、燃料温度センサ24からの信号が処理されて保持
されているRAM52から読み込む。次にステップ10
2にて、ROM51に予め記憶されている図6に示すベ
ーパ発生量のマップ200から、ステップ101で読み
込まれた燃料温度Tnの時のベーパ発生量TQnを補間
により算出する。このマップ200は、燃料温度Tと、
後述する燃料タンク23の空間容積Vaの1リットル当
たりにおける燃料温度−20℃から燃料温度T℃までの積
算ベーパ発生量TQとの関係を実験にて求めたものであ
る。従って、ベーパ発生量TQnの単位は(リットル/
リットル)となる。
【0026】次にステップ103に進み、前回のルーチ
ン実行時の燃料温度T0 から今回の燃料温度Tnに燃料
温度が上昇した時に発生するベーパ発生量QLを求め
る。このベーパ発生量QLは、前回のルーチン時に記憶
された前回のベーパ発生量TQ 0 と、上記ステップ10
2で算出された今回のベーパ発生量TQnとの差、即
ち、QL=TQn−TQ0 によって計算することができ
る。
【0027】次にステップ104にて、燃料残量センサ
25より得られる燃料残量Vsをタンク容量Vtから差
し引くことにより、今回のタンク空間容積Vaを算出す
る(図2参照)。ステップ103で得られたベーパ発生
量QLは、燃料温度がT0 からTnに上昇した時のタン
ク空間容積Va1リットル当たりのベーパ発生量であ
る。従って、続くステップ105では、QL×Va/Δ
tcを計算することにより、今回のルーチン実行時にお
ける単位時間(1sec )当たりの目標流量Qt(リット
ル/sec )を得ることができる。
【0028】次にステップ106にて、次回のルーチン
実行時のために、今回の燃料温度Tn時のベーパ発生量
TQnをTQ0 に置き換える。そして、ステップ107
では、上記ステップ106にて更新されたTQ0 とステ
ップ105で得られた目標流量Qtとを新たにRAM5
2に記憶して、このルーチン100を終了する。
【0029】次に上記電磁弁流量演算ルーチンで得られ
た目標流量Qtに対する電磁弁31の弁開度を求める。
【0030】図5は電磁弁31の開度を決定する電磁弁
開度演算ルーチンのフローチャートを示す。このルーチ
ン110はΔtd秒毎に割り込み実行される。先ず最初
にステップ111では、現時点の吸入空気量Qsn(リ
ットル/rev )をエアフローメータ42からの信号が処
理されて保持されているRAM52から読み込む。次に
ステップ112では、吸気管41を流れる吸入空気量Q
sを変数として電磁弁31を全開したときの電磁弁31
における流量Q(最大流量)を記憶してある、図7に示
すマップ210により、ステップ111で読み込んだ現
時点の吸入空気量Qsnに対する電磁弁31の最大流量
Qnを求める。本来、精度を良くするために、電磁弁3
1の上下流の圧力差を変数とすべきであるが、エアフロ
ーメータ42から得られる吸入空気量で吸気管41内の
圧力を代表させ、燃料タンク23側は大気圧に近い値で
あることから、上記の如く吸入空気量を変数として電磁
弁31の最大流量を求めても実用上問題ない。従って、
本実施例においては図7に示すマップ210を使用す
る。
【0031】次にステップ113に進み、上記ステップ
112で得られた最大流量Qnと、上記ルーチン100
で得られた目標流量Qtとの比により電磁弁31の開度
αを決定し、このルーチン110を終了する。そして、
この開度αを電磁弁駆動回路に出力し、電磁弁31の開
度を所望開度αとしている。尚、この開度αは実際には
パルス信号のパルス幅で制御されるものである。即ち、
パルス信号により開閉を繰り返す電磁弁31の開の時間
(パルス幅に対応する)を増減させることにより開度を
変化させている。このようにすることにより電磁弁31
の開度に対応する流量の精度が高められる。
【0032】以上のように、図4,5に示すルーチン1
00,110にて、燃料温度に変化があった時のベーパ
発生量(目標流量)Qt、およびそのベーパ発生量Qt
に対して最適な電磁弁31の開度αが求められ、これに
応じて電磁弁31の開度が制御される。尚、図4,5に
示すルーチン100,110にてより詳しい説明が必要
な場合には特願平3−221816号を参照されたい。
【0033】次に前記燃料補正量演算手段6および手段
10,11,13夫々を実現する燃料補正量の推定ロジ
ックおよびベーパ発生量の補正量の推定ロジックについ
て説明する。
【0034】燃料補正の考え方は、燃料タンク23から
のベーパ中に含まれる純粋なガソリン蒸気の量と空気の
量を夫々推定し、これらの割合(混合比)が理論空燃比
よりもリッチ側である場合には燃料噴射弁45からの燃
料噴射量を減量し、反対に理論空燃比よりもリーン側で
ある場合には燃料噴射量を増量するというものである。
また、ベーパ発生量の補正の考え方は下記の如くであ
る。即ち、ベーパ中のガソリン蒸気の発生量は大気圧や
燃料性状によって変化する。よって、上記燃料補正の考
え方におけるガソリン蒸気量の推定は、その時の大気圧
や燃料性状を考慮して行わなければその推定値の精度が
低下する。従って、本実施例では、前記手段10,1
1,13夫々を実現して、標準状態のガソリン蒸気発生
量に対して大気圧や燃料性状等の条件の違いを補正する
ための後述するベーパ発生量補正値KGを算出してい
る。
【0035】図8乃至図11はベーパ発生量補正値KG
を算出するベーパ発生量補正ルーチンのフローチャート
を示す。各図中、〜夫々は接続符号であり、同一接
続符号同士が接続される。よって図8乃至図11に示す
フローチャートは1つのフローチャートを構成してい
る。このベーパ発生量補正ルーチンは100msec毎に割
り込み実行される。また、図12はエンジン始動時に必
ず実行される初期化ルーチンを示す。この図12に示す
ルーチンが実行されると、各ステップにて後述する各フ
ラグPGCUT,PGCUT1,PGTNKOFF,P
GLRN、およびベーパ発生量補正値KGの初期化が同
図に示すように行われる。
【0036】図8に示すベーパ発生量補正ルーチンが割
り込み実行されると、先ず図8中、ステップ202〜2
08にて、ベーパ発生量の補正量を計算する条件が成立
しているか否かを判定する。先ず、ステップ202では
燃料温度が35℃以上あるかを判定している。燃料温度
が35℃に満たない場合にはベーパ発生量そのものが少
なく、上述した大気圧や燃料性状等の条件が変化して
も、これによるベーパ発生量の誤差はそれほど大きくな
く無視できるためである。また、ベーパ発生量が少ない
時にはベーパ発生量そのものの測定精度が悪いため、こ
の時にベーパ発生量の補正を行っても補正値の精度が低
下してしまうためでもある。このように、ベーパ発生量
補正の実行を燃料温度が35℃以上の時に限定すること
により、補正値の精度を向上させることができる。
【0037】ステップ204では燃料カット運転(スロ
ットル全閉状態での減速中に燃料噴射をカットして燃費
向上を図る運転:F/C運転)中でないことを判定して
いる。これはF/C運転中にはベーパを吸気管41内へ
放出(パージ)しないためである。ステップ206では
他のルーチンにてセットされるキャニスタ学習終了フラ
グPGCE2をチェックして、キャニスタ30の初期吸
着量の推定が終了していることを判定する。これはキャ
ニスタ30の初期吸着量からパージライン33経由のパ
ージガス量を求めておかないと、ダイレクトライン26
a経由のベーパ発生量の算出時に誤差が大きくなるため
である。ステップ208ではアイドル運転状態であるこ
とを判定している。これは後述する補正値の算出中に負
荷が変動すると補正値の精度が低下するため、補正値算
出の実行を一定の運転状態が長く継続するアイドル運転
時に限定するためである。
【0038】尚、上記ステップ206において述べたキ
ャニスタ30の初期吸着量の推定は、エンジン始動後、
パージ条件が成立した後、電磁弁31を閉弁してから行
う。このようにすることにより、推定される初期吸着量
は燃料タンク23からの直接のパージによる影響が含ま
れず精度が向上する。
【0039】上記ステップ202〜208のうち、1つ
でも条件が満足しない場合にはステップ210に進み、
ここで後述するカウンタC4SEC,C4SEC2を0
(ゼロ)にリセットし、今回のルーチンを一旦終了す
る。条件が全てそろった場合にのみステップ212に進
む。
【0040】次のステップ212ではフラグPGTNK
OFFの内容をチェックする。図12に示すルーチンに
てエンジン始動時にPGTNKOFF←0とされている
ため、ステップ212の最初の通過時においてはYES
が選択されてステップ214に進む。ステップ214で
は、パージカット実行フラグPGCUTの内容をチェッ
クする。この場合にもエンジン始動時にPGCUT←0
とされているため、ステップ214の最初の通過時にお
いてはNOが選択されてステップ216に進む。ステッ
プ216では、上記フラグPGCUTをセット(PGC
UT←1)することにより電磁弁31を閉弁して、ダイ
レクトライン26aからのパージを停止し、今回のルー
チンを一旦終了する。
【0041】ステップ216にて、ベーパ(パージガ
ス)の吸気管41への導入を停止することにより、次の
ステップ218〜222による基準FAFAV(FAF
AV0)の測定に備える。この基準FAFAVは後述す
るようにパージが行われていない状態で測定されるもの
である。尚、パージライン33からのパージは、上記ス
テップ206にてキャニスタの学習終了が判明してお
り、パージライン33からのパージ量が予め求められて
いるため、停止しなくても基準FAFAVを精度よく測
定することができる。
【0042】2回目以降のルーチン通過時においては、
ステップ214にてYESが選択されてステップ218
に進む。ステップ218ではカウンタC4SECを1イ
ンクリメントしてC4SECを更新する。このC4SE
Cは、ステップ218通過前の段階では上記ステップ2
10でリセットされていたものである。続くステップ2
20では、FAFAVをFAFAV0として、基準FA
FAV(FAFAV0)を求める。ここでFAFAVと
は、酸素センサ49の検出信号がフィードバックされて
空燃比が理論空燃比となるように燃料噴射量を補正する
空燃比フィードバック補正係数FAFの平均値である。
このFAFAVはECU21内で他のルーチンにより演
算されるものである。
【0043】次のステップ222では、カウンタC4S
ECの値が40以上となること、即ち、2回目のルーチ
ン通過時から4秒間経過したか否かを判定している。C
4SECの値が40未満の場合にはそのままルーチンを
一旦終了する。C4SECの値が40以上となった場合
にはステップ224に進み、ここで基準FAFAVの測
定終了フラグPGTNKOFFをセットして、このルー
チンを一旦終了する。従って、2回目のルーチン通過時
から4秒間、FAFAV0が新しいFAFAVに更新さ
れ続け、4秒経過時に最終的に基準FAFAV(FAF
AV0の最終値)が求められる。
【0044】ここで、上記ステップ214,216の処
理により、初回目のルーチン通過時においては基準FA
FAVの測定は行われず、2回目以降からステップ21
8に進み基準FAFAVの測定が開始される。これは、
上記ステップ202〜208の条件が成立した直後、或
いはステップ216にてパージが停止された直後ではエ
ンジンの運転状態が不安定であり、基準FAFAVを精
度よく測定するとこができないためである。
【0045】ステップ214における2回目のルーチン
通過時から4秒経過し、ステップ224でPGTNKO
FF←1の処理を行った次のルーチン通過時において
は、ステップ212でNOが選択されて図9のステップ
226に進む。ステップ226ではパージカットのフラ
グPGCUTの内容をチェックする。PGCUTは上記
ステップ216にてセット状態とされているため、ステ
ップ226の最初の通過時においてはYESが選択され
てステップ228に進む。ステップ228ではPGCU
Tをリセットすることにより、電磁弁31を所定量開弁
してダイレクトライン26aからのパージを実行し、今
回のルーチンを一旦終了する。
【0046】ステップ226の2回目以降のルーチン通
過時においてはステップ230に進み、補正値学習フラ
グPGLRNの内容をチェックする。ここでPGLRN
はエンジン始動時に図12に示すルーチンにてリセット
(PGLRN←0)されているため、ステップ230で
はNOが選択されてステップ232に進む。ステップ2
32ではカウンタC4SEC2を1インクリメントして
C4SEC2を更新する。このカウンタC4SEC2は
上記カウンタC4SEC同様にステップ210にてリセ
ットされていたものである。続くステップ234ではカ
ウンタC4SEC2の値が1であるか否か、即ち、ステ
ップ234の初回目のルーチン通過時であるかを判定し
ている。
【0047】初回目のルーチン通過時である場合にはス
テップ236に進み、ここでステップ236通過時点に
おけるTAUTOTALをTAUT0に置き換え、ま
た、続くステップ238にて同時点におけるTAUPG
をTAUPG0に置き換える。TAUTOTALは図1
3に示す燃料噴射毎に実行されるルーチンにおいて、基
本燃料噴射量TPを燃料噴射毎に積算した積算値であ
り、TAUPGはパージによる燃料補正量ΔTpを同じ
く燃料噴射毎に積算した積算値である。更に、パージに
よる燃料補正量ΔTpは、パージ停止時の燃料噴射量T
pをパージ実行時の燃料噴射量Tp′とするための補正
量であり、Tp′=Tp+ΔTpで表される。ここで使
用されるΔTpは、大気圧や燃料性状等の条件の違いを
考慮していない標準状態で求められたものであり、よっ
て、このΔTpは上記特願平3−221816号で算出
されるΔTpと同一のものである。
【0048】次にステップ234の2回目以降のルーチ
ン通過時である場合にはステップ240に進み、ここで
カウンタC4SEC2の値が40以上となること、即
ち、ステップ234における2回目のルーチン通過時か
ら4秒間経過したか否かを判定している。C4SEC2
の値が40未満の場合にはそのままルーチンを一旦終了
する。C4SEC2の値が40以上となった場合、即ち
4秒間経過した場合には図10に示すステップ242に
進む。
【0049】ステップ242では次式により、本発明の
前記ずれ量に相当するΔGを算出する。
【0050】 ΔG=(FAFAV−FAFAV0)/2×(TAUTOTAL −TAUT0) ……(1) また、続くステップ244では次式により、本発明の前
記第1の補正量に相当するΔTPTを算出する。
【0051】 ΔTPT=TAUPG−TAUPG0 ……(2) 図14は上式(1)を説明するタイムチャートである。
図14において、タイミングT0 は上記ステップ216
でパージカットが実行された時点に対応し、T 0 から4
秒間、FAFAV0を更新する。カウンタC4SECに
よりT0 から4秒間経過した時点がタイミングT1 であ
り、このT1 では、ステップ220で最終的なFAFA
V0が求まり、ステップ228でパージが実行され、ス
テップ236,238で上記TAUT0およびTAUP
G0が求まる。更にカウンタC4SEC2によりT1
ら4秒間経過した時点がタイミングT2 であり、このT
2では上記ステップ242以降の処理が行われる。
【0052】上式(1)中、FAFAVはタイミングT
2 におけるFAFAV、TAUTOTALはタイミング
2 における図13に示した基本燃料噴射量の積算値で
ある。従って、(FAFAV−FAFAV0)は図14
にも示すようにタイミングT 1 〜T2 の4秒間における
FAFAVの変化量、(TAUTOTAL−TAUT
0)は同じ4秒間の基本燃料噴射量の積算値を示してい
る。また上式(2)中、TAUPG−TAUPG0は同
様に、パージによる燃料補正量(但し、標準状態)の4
秒間の積算値を示している。
【0053】ここで仮に大気圧や燃料性状の基準となる
標準状態において、上記ベーパ発生量補正ルーチンを実
行すると、T1 〜T2 の4秒間においてパージガスを吸
気管41内に導入したことによる燃料噴射量の補正量
は、上式(2)で表されるΔTPTで過不足なく補正さ
れる。このため、FAFAVの値はT1 以降も変化せず
FAFAV0を維持するはずである(図中、直線A)。
しかしながらタイミングT1 からパージを実行すると、
通常、図14に示すようにFAFAVが増減する(図1
4ではFAFAVが減少している)。この理由は、実際
の使用状態では上述した大気圧や燃料性状等の条件の違
いによりベーパ発生量(ガソリン蒸気発生量)が標準状
態に於ける発生量からずれているため、標準状態の上記
ΔTPTによる補正のみではリッチ、リーンが生じてし
まう。そして、これを補正するためにFAFAVによる
空燃比フィードバック補正が行われるためである。従っ
て、FAFAVがFAFAV0から変化したことにより
増減された燃料量が、標準状態における要求燃料噴射量
と実際の使用状態における燃料噴射量とのずれ量ΔG、
即ち、燃料補正量ΔTPTの過不足分に相当する。
【0054】また、パージを実行したことによるFAF
AVの増減は、図14に示すようにタイミングT1 から
徐々に増減し、適当な時間(本実施例では4秒程度とし
ている)で一定値に落ち着く。従って、上記ずれ量ΔG
は図14中のハッチングで示される部分で表される。T
1 〜T2 間における基本燃料噴射量の積算値は上記の如
く(TAUTOTAL−TAUT0)であるから、図1
4中のハッチング部分の面積で示されるずれ量ΔGは上
式(1)の如く、(FAFAV−FAFAV0)/2×
(TAUTOTAL−TAUT0)で表される。
【0055】このようにステップ242,244にて、
ずれ量ΔGおよび第1の補正量ΔTPTが算出された
後、続くステップ246に進み、標準状態のベーパ発生
量を上記条件の異なる実際の使用状態でのベーパ発生量
に補正するベーパ発生量補正値KG(前記第2の補正量
に相当)を次式により算出する。
【0056】 KG=1+(ΔG/ΔTPT) ……(3) 尚、上式(3)についての詳しい説明は後述する。
【0057】次のステップ248では補正値学習フラグ
PGLRNをセット(PGLRN←1)し、今回のルー
チンを一旦終了する。
【0058】上記ステップ248の処理により次のルー
チン通過時においては、ステップ230でYESが選択
されて図11に示すステップ250に進む。このステッ
プ250以降の処理は、上記ステップ246で求められ
た補正値KGに対する学習ルーチンである。エンジンが
始動された後、上述した一連の処理が行われて最初の補
正値KGが求まる。しかしながらエンジンを長時間運転
すると、その間に大気圧が変化したり燃料温度上昇に伴
う燃料風化が進んで燃料性状が変化し、これによってベ
ーパ発生量が変化するため、この変化に応じて最初に求
められたKGを変化(学習)させる必要がある。本実施
例におけるKGの学習処理は、以下に述べるようにFA
FAVが所定値以上変動したことを判定し、この場合に
KGの値を増減させることによって行われる。
【0059】先ずステップ250では、上記ステップ2
20で最終的に求められたFAFAV0とECU21で
得られる現時点でのFAFAVとの差ΔFAFを求め
る。次のステップ252では、上記ΔFAFと適合値A
との大小を比較する。ΔFAFがAよりも大きい場合に
はステップ254に進み、ここで現在の補正値KGに
1.02を乗算してKGを更新する。また、ステップ2
52でΔFAFがAよりも小さい場合にはステップ25
6に進み、ここでΔFAFと適合値−Aとの大小を比較
する。ΔFAFが−Aよりも小さい場合にはステップ2
58に進む。ステップ258では現在の補正値KGに
0.98を乗算してKGを更新する。ステップ256で
ΔFAFが−Aよりも大きい場合、即ちΔFAFがAと
−Aとの間にある場合には、ステップ250で読み込ま
れたFAFAVがFAFAV0に対してそれほど大きく
変動していないことを意味し、この場合にはKGを更新
することなくルーチンを終了する。このように、FAF
AVがFAFAV0に対して適合値A以上、上昇または
低下した場合には、KGの値を夫々2%ずつ増減させて
KGを学習させる。
【0060】このように上記ベーパ発生量補正ルーチン
では、エンジン始動後、補正値演算条件(ステップ20
2〜208)が成立した後にベーパ発生量補正値KGが
1回のみ算出され、その後はエンジンが停止されるまで
この補正値KGが上記の如くFAFAVの動向に応じて
更新(学習)される。従って、この補正値KGによれ
ば、事々刻々と変化する実際の使用状態におけるベーパ
発生量を標準状態のベーパ発生量から常に正確に求める
ことができる。
【0061】次に上式(3)について詳しく説明する。
【0062】図15はベーパ中のガソリン蒸気発生量を
燃料温度を変数として測定した結果を示す。図15中、
実線は基準となる大気圧、燃料性状等の条件下(標準状
態)におけるガソリン蒸気発生量Qgvを示している。
そして、この実線で表される曲線は次式のように近似で
きる。
【0063】 Qgv∝Cg× exp(α・T) ……(4) 上式(4)中、Cg,αは定数であり、大気圧や燃料性
状等の条件が変わらなければ同一数値である。従って、
図15中、実線で表される曲線はガソリン蒸気発生量を
対数表示とした図16に示す片対数グラフにおいて実線
の直線で示すことができる。
【0064】また、大気圧や燃料性状等の条件が標準状
態から変化した実際の使用状態におけるガソリン蒸気発
生量Qgv′は、その一例として図15中の点線で表さ
れる曲線となる。そして、この曲線も同様にガソリン蒸
気発生量Qgv′を対数表示とすると、図16中の点線
の直線で表される。そしてこの点線は標準状態を表す実
線と同一傾きの直線として表されることが実験より明確
となっている。他のいろいろな条件下の場合も標準状態
の実線と平行な関係で表される。このため、図16に示
すように、図16中の点線は実線で表される直線の変数
をTからT+ΔTgに変換したものとして表すことがで
きる。このため、実際の使用状態におけるガソリン蒸気
発生量Qgv′は次式の如くとなる。
【0065】 Qgv′∝Cg× exp{α・(T+ΔTg)} =Cg× exp(α・Tg)× exp(α・T) =Cg×KG× exp(α・T) ……(5) 上式(4),(5)から分かるように、実際の使用状態
におけるガソリン蒸気発生量Qgv′は、燃料温度に関
係なく標準状態におけるガソリン蒸気発生量Qgvに補
正値KGを単純に乗ずることによって表される。従っ
て、上述したようにFAFAVの変化量を測定すること
によってKGを求めれば、標準状態を実際の使用状態に
補正することができる。
【0066】次に、上述した上式(1)のずれ量ΔGを
使用すると、4秒間におけるガソリン蒸気発生量Qg
v,Qgv′は次式の関係となる。
【0067】Qgv′=Qgv+ΔG ……(6) ここで、標準状態における4秒間のガソリン蒸気発生量
Qgvによる空燃比ずれが上式(2)で説明した補正量
ΔTPTによって補正されて空燃比が理論空燃比となる
ため、QgvはΔTPTに対応し、よって上式(6)は
次式に変換できる。
【0068】ΔTPT′=ΔTPT+ΔG ……(7) 上式(7)中、ΔTPT′とは実際の使用状態でパージ
実行した時に燃料噴射量を補正する補正値を4秒間積算
した値である。
【0069】また、上式(5)から次式が成立する。
【0070】Qgv′=KG×Qgv ……(8) そして、上式(8)を同様にパージによる燃料補正量Δ
TPT,ΔTPT′で変換すると次式の如くとなる。
【0071】ΔTPT′=KG×ΔTPT ……(9) 従って、上式(7),(9)により、上式(3)で示さ
れるKG=1+(ΔG/ΔTPT)の関係が導き出され
る。
【0072】このように本実施例では、ステップ242
により求められるずれ量ΔGと、ステップ244によっ
て求められる補正量ΔTPTとから、上式(3)により
ベーパ発生量補正値KGを算出することができ、この補
正値KGにより図15中の実線で示される標準状態での
ガソリン蒸気発生量と燃料温度との関係を、点線で示さ
れる実際の使用状態での同関係に補正することができ
る。従って、上記ベーパ発生量補正ルーチンにおいて、
ステップ242に関連する処理が前記手段10を、ステ
ップ244に関連する処理が前記手段11を、ステップ
246が前記手段13を夫々実現する。また、図14中
の直線Aで示されるFAFAV0に基本燃料噴射量TP
を乗算したものが前記要求燃料噴射量8に相当し、図1
4中の線Bで示される実際のFAFAVに基本燃料噴射
量TPを乗算したものが前記実際の噴射量9に相当す
る。ステップ242では図14中の直線Aと線Bとの間
の部分に対応する燃料量ΔGを求めているため、上記の
如く前記手段10を実現している
【0073】次に本発明の前記燃料補正量演算手段6を
実現する燃料補正量演算ルーチンおよび噴射量演算ルー
チンについて説明する。
【0074】図17は燃料補正量演算ルーチンのフロー
チャートを示す。本ルーチン300は図4にて説明した
ルーチン100と同じ周期Δtc秒にて処理される。先
ず最初にステップ301にて、今回の燃料温度Tnをル
ーチン100と同様にRAM52から読み込む。次にス
テップ302にて、上記図15に実線で示す標準状態に
おけるガソリン蒸気発生量のマップ400からステップ
301で読み込まれた燃料温度Tnの時のガソリン蒸気
発生量Qtnを補間により算出する。このマップ400
は、上述したように燃料温度Tを変数として、上記タン
ク空間容積Va1リットル当たりの燃料温度−20℃から
燃料温度T℃までの積算ガソリン蒸気発生量Qtを実験
にて求めたものである。このマップ400はROM51
に予め記憶されている。
【0075】次にステップ303では、実際の使用状態
において、前回のルーチン実行時の燃料温度T0 から今
回の燃料温度Tnに燃料温度が上昇した時に発生するガ
ソリン蒸気発生量Qgv′を求める。図15中、実線で
示される標準状態におけるマップ400は、上記の如く
ベーパ発生量補正値KGを乗算することにより点線で示
される実際の使用状態におけるマップ410に変換され
る。従って、このガソリン蒸気発生量Qgv′は、前回
のルーチン実行時に記憶された前回のガソリン蒸気発生
量KG×Qt0 と、今回のガソリン蒸気発生量KG×Q
tnとの差、即ち、 Qgv′=KG(Qtn−Qt0 ) ……(10) によって計算することができる。Qt0 ,Qtn夫々は
標準状態のマップ400におけるガソリン蒸気発生量を
表す。このように、標準状態のマップ400から得られ
るガソリン蒸気発生量Qgv=Qtn−Qt0 に単純に
補正値KGを乗算するだけで、実際の使用状態に補正さ
れたガソリン蒸気発生量Qgv′を求めることができ
る。従って、ROM51内には、一つに定まらない実際
の使用状態のマップ410を作る領域を確保する必要は
なく、標準状態のマップ400のみを記憶しておくだけ
で、実際の使用状態に補正済のガソリン蒸気発生量を簡
単に求めることができる。
【0076】ステップ303で得られたガソリン蒸気発
生量Qgv′は、燃料温度がT0 からTnに上昇した時
のタンク空間容積Va1リットル当たりのガソリン蒸気
発生量である。従って、続くステップ304にて、Qg
v′×Va/Δtcを計算することにより、今回のルー
チン実行時における、単位時間(1sec )当たりのガソ
リン蒸気発生量Qg′(リットル/sec )を求める。こ
こまでのステップにおいて、実際の使用状態に補正済の
発生ベーパ中のガソリン蒸気発生量Qg′が求まる。
【0077】次にステップ305にて、ルーチン100
で得られた単位時間当たりのベーパ発生量Qtから上記
ガソリン蒸気発生量Qg′を減算することにより、ベー
パ中の単位時間当たりの空気発生量Qa(リットル/se
c )を得る。次にステップ306に進み、ガソリン蒸気
発生量Qg′、及び空気発生量Qa夫々をエンジン回転
数NEで除算すると共に係数Kg,Kpを乗算すること
により、1噴射当たりの燃料噴射量換算値Tg′,Ta
を得る。ここで、係数Kgは、単位がリットルで表され
ているガソリン蒸気の量を実質的な燃料噴射量(燃料噴
射時間)に換算する換算定数であり、係数Kpは、発生
した空気量に対して、これを理論空燃比とするために必
要な燃料噴射量(燃料噴射時間)に換算する換算定数で
ある。
【0078】次にステップ307にて、燃料噴射量換算
値Taから同値Tg′を減算して噴射量(噴射時間)補
正値ΔTp′を算出する。ここで、Ta>Tgの関
係、即ちΔTp′が正となる場合は、ベーパ発生量Qt
中のガソリン蒸気と空気との混合比が理論空燃比よりも
リーン側であることを示し、反対に、Ta<Tgの関
係、即ちΔTp′が負となる場合は、ベーパ発生量Qt
中のガソリン蒸気と空気との混合比が理論空燃比よりも
リッチ側であることを示している。Ta=Tgの場合に
はベーパが丁度理論空燃比となっている状態であり、Δ
Tp′=0となる。このΔTp′は、上記図13で使用
した標準状態における噴射量補正値ΔTpを実際の使用
状態に則して補正したものである。
【0079】次にステップ308にて、次回のルーチン
実行時のために、今回の燃料温度Tn時のガソリン蒸気
発生量QtnをQt0 に置き換える。そして続くステッ
プ309にて、新しいQt0 とステップ307で得られ
た噴射量補正値ΔTp′とを新たにRAM52に記憶し
て、このルーチンを終了する図18は噴射量演算ルーチ
ンのフローチャートを示す。同図において、先ずステッ
プ501にて、上記エアフローメータ42から得られる
吸入空気量Qsに上記燃料補正量演算ルーチン300の
ステップ306で用いた換算係数Kpを乗算することに
より、燃料噴射弁45による基本噴射量Tpを算出す
る。この基本噴射量Tpは、吸入管41にベーパの吸入
が無い場合に、吸入空気量Qsに対して理論空燃比とす
るための燃料噴射量である。次のステップ502では、
上記ステップ501で求められた基本噴射量Tpに、上
記ルーチン300で得られた噴射量補正値ΔTp′を加
えることにより、基本噴射量Tpを補正して燃料噴射弁
45から実際に噴射される燃料噴射量Tp′を得る。そ
して、このルーチン500を終了する。
【0080】本実施例では、この燃料噴射量Tp′のパ
ルス幅を有するパルス信号(駆動信号)を燃料噴射弁4
5に供給する構成としているため、実際の燃料噴射量
(燃料噴射時間)Tp′は、ベーパ自体が理論空燃比よ
りもリーン側(ΔTp′が正)の時は基本噴射量(基本
噴射時間)Tpを増量し、リッチ側(ΔTp′が負)の
時は基本噴射量(基本噴射時間)Tpを減量するように
制御される。
【0081】このように、燃料補正量演算ルーチン30
0および噴射量演算ルーチン500によれば、標準状態
ではない実際の使用状態におけるガソリン蒸気発生量を
正確に検出し、この検出値に基づいてベーパが吸気管4
1に導入された場合(パージ実行時)の燃料噴射量の補
正量ΔTp′および補正量ΔTp′により補正された燃
料噴射量Tp′を求めることができるため、前記燃料補
正量演算手段6が実現される。
【0082】そして、上記の如く補正された燃料噴射量
Tp′によれば、ガソリン蒸気と空気との混合比が一定
ではないベーパが燃料タンク23から吸気管41に導入
された場合においても、空燃比フィードバック補正係数
FAFを変動させることなくエンジン40の混合気を理
論空燃比に制御することができる。これは、パージ実行
時にFAFの値を増減させて混合気の空燃比を制御する
方法に比べて応答が速くなるため、ドライバビリティ、
燃費、排気エミッション等において良い効果がもたらさ
れる。そして、本実施例によれば、大気圧や燃料性状等
の条件が変化したいかなる場合であってもベーパ中のガ
ソリン蒸気と空気の量を精度良く検出することができる
ため、上記効果がいかなる使用状態においても派生され
る。
【0083】
【発明の効果】上述の如く、本発明によれば、燃料タン
クにおける蒸発燃料の発生量に影響を及ぼす、例えば大
気圧や燃料性状等の条件が変化したいかなる使用状態で
あっても、蒸発燃料の発生量を精度よく推定することが
できる。その結果、特定された標準状態においてのみ蒸
発燃料の発生量が精度よく求められていた従来に比べ
て、蒸発燃料を吸気管に放出して燃焼処理する場合の空
燃比を、大気圧や燃料性状等の条件に影響されない広い
範囲において精度よく制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理構成図である。
【図2】本発明の一実施例のシステム構成図である。
【図3】図2に示すエンジン制御コンピュータ(EC
U)のハードウェア構成を示す図である。
【図4】電磁弁流量演算ルーチンのフローチャートであ
る。
【図5】電磁弁開度演算ルーチンのフローチャートであ
る。
【図6】燃料温度とタンク空間量1リットル当たりのベ
ーパ発生量との関係マップを示す図である。
【図7】吸入空気量と電磁弁全開状態における最大流量
との関係マップを示す図である。
【図8】ベーパ発生量補正ルーチンの一部のフローチャ
ートである。
【図9】ベーパ発生量補正ルーチンの一部のフローチャ
ートである。
【図10】ベーパ発生量補正ルーチンの一部のフローチ
ャートである。
【図11】ベーパ発生量補正ルーチンの一部のフローチ
ャートである。
【図12】エンジン始動時の初期化ルーチンのフローチ
ャートである。
【図13】燃料噴射毎実行ルーチンのフローチャートで
ある。
【図14】ずれ量ΔGを説明するタイムチャートであ
る。
【図15】ベーパ中のガソリン蒸気発生量を燃料温度を
変数として測定した結果を示す図である。
【図16】図15に示すグラフを片対数グラフに変換し
た図である。
【図17】燃料補正量演算ルーチンのフローチャートで
ある。
【図18】噴射量演算ルーチンのフローチャートであ
る。
【符号の説明】
1,23 燃料タンク 2,40 内燃機関(エンジン) 3,41 吸気管 4 連通路 5,45 燃料噴射弁 6 燃料補正量演算手段 8 要求燃料噴射量 9 実際の噴射量 10,11,13 手 1 エンジン制御コンピュータ(ECU) 24 燃料温度センサ 25 燃料残量センサ 30 キャニスタ 31,32 電磁弁 42 エアフローメータ 48 排気管 49 酸素センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木所 徹 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−47454(JP,A) 特開 昭62−135625(JP,A) 特開 平2−245442(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F02M 25/08 301 F02D 45/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料タンクから発生した蒸発燃料を内燃
    機関の吸気管に直接放出して、該蒸発燃料を燃焼処理す
    る連通路と、前記蒸発燃料の発生量を検出して燃料噴射
    弁からの燃料噴射量を補正する燃料補正量演算手段とを
    備えた内燃機関の蒸発燃料処理装置において、 予め設定された標準状態における燃料温度と蒸発燃料発
    生量との標準マップを用いて求められた標準状態での要
    求燃料噴射量と、空燃比を理論空燃比に制御する空燃比
    のフィードバック制御が実際の使用状態において実行さ
    れて求められた実際の燃料噴射量とのずれ量を求める手
    段と、 前記標準状態における前記蒸発燃料放出時に空燃比が理
    論空燃比となるように燃料噴射量を補正する第1の補正
    量を求める手段と、 前記ずれ量と前記第1の補正量とに基づき、前記標準マ
    ップにより求められる標準状態における蒸発燃料発生量
    を実際の蒸発燃料発生量に修正する第2の補正量を求め
    る手段と、算出された第2の補正量に基づき、前記燃料噴射量を補
    正する噴射量補正値を求める手段とを具備することを
    徴とする内燃機関の蒸発燃料処理装置。
JP4048890A 1991-09-02 1992-03-05 内燃機関の蒸発燃料処理装置 Expired - Fee Related JP2827668B2 (ja)

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