JP2803503B2 - ファジィ制御式電子制御パワーステアリング装置 - Google Patents

ファジィ制御式電子制御パワーステアリング装置

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JP2803503B2
JP2803503B2 JP4334617A JP33461792A JP2803503B2 JP 2803503 B2 JP2803503 B2 JP 2803503B2 JP 4334617 A JP4334617 A JP 4334617A JP 33461792 A JP33461792 A JP 33461792A JP 2803503 B2 JP2803503 B2 JP 2803503B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両のステアリング機
構における操舵アシスト量を電子制御する電子制御パワ
ーステアリング装置に関し、特に、ファジィルールによ
り目標アシスト量を設定するようにした、ファジィ制御
式電子制御パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ステアリングホイール(以下、ハ
ンドルという)を操作する力(以下、ハンドル操作力又
は操舵力という)をアシストするために、パワーステア
リング装置が普及している。このパワーステアリング装
置としては、油圧シリンダ機構を利用して油圧により操
舵アシストする油圧式パワーステアリング装置が一般的
に用いられているが、このほか、電動モータにより操舵
アシストする電動パワーステアリング装置も開発されて
いる。
【0003】例えば大型車や幅太タイヤを操舵輪に用い
た車両等では大きなハンドル操作力が要求されるが、こ
のようなパワーステアリング装置によれば、かかる車両
でも、小さなハンドル操作力で操舵を行なうことがで
き、所謂ハンドルの重さが解消される。ところで、一般
に、車庫入れ等の低速時には、ハンドルをより軽く操作
できるようにしたい。また、高速走行時には、ハンドル
があまり軽いと走行が不安定になってしまう。そこで、
車速に応じて、低速時には操舵アシスト量を多くして、
中高速時には高速になるのにしたがって操舵アシスト量
を少なくするようにした車速感応型パワーステアリング
装置が開発されている。
【0004】このような車速感応型パワーステアリング
装置としては、車両に車速センサを設け、油圧式パワー
ステアリング装置の油圧系統の一部にパワーステアリン
グへの供給油圧を調整しうるバルブ等を設けて、車速セ
ンサで検出した車速に基づいてバルブ等の作動を電子制
御しながら、操舵アシスト量を調整するようにしたもの
(これを電子制御パワーステアリング装置という)があ
る。
【0005】例えば図11〜13は、いずれも電子制御
パワーステアリング装置の一例を示す構成図であり、図
11はインプットシャフト部分及びピニオン部分の縦断
面をパワーステアリング用油圧シリンダとともに示す図
であり、図12はインプットシャフト部分の横断面図で
あって、図11のA−A断面図であり、図13はインプ
ットシャフトに並設された油圧制御バルブの縦断面を反
力プランジャとともに示す構成図であって、油圧制御バ
ルブ部分は図12のC−C断面図であり、反力プランジ
ャ部分は図11のB−B断面図である。
【0006】これらの図11〜13において、11は図
示しないステアリングホイール(ハンドル)から操舵力
を受けるインプットシャフトであり、ケーシング25内
に回転自在に内装されている。このインプットシャフト
の下端に、図示しないブッシュ等を介してピニオンギヤ
12が設けられている。インプットシャフト11の内部
には、トーションバー15が設けられているが、このト
ーションバー15はその上端をインプットシャフト11
にピン等を介して一体回転するように結合され、その下
端はインプットシャフト11に対して拘束されていな
い。
【0007】そして、ピニオンギヤ12は、トーション
バー15の下端とセレーション結合しており、インプッ
トシャフト11に入力された操舵力がトーションバー1
5を介してピニオンギヤ12に伝達されるようになって
いる。このピニオンギヤ12は、ラック13と噛合して
おり、操舵力がピニオンギヤ12を介してラック13に
伝わって、ラック13を軸方向に駆動して、車輪の操舵
を行なう。
【0008】また、14はパワーステアリング(パワス
テ)用油圧シリンダであり、この油圧シリンダ14は、
車体側の部材に設置されたシリンダ14Aと、ラック1
3の途中に設けられてラック13とともにシリンダ部1
4A内を軸方向へ移動するピストン14Bとをそなえ、
シリンダ14A内には、このピストン14Bによって左
右に仕切られ、油室14C,14Dが形成されている。
【0009】さらに、16は油圧シリンダ14を駆動す
るロータリバルブであり、このロータリバルブ16の開
閉に応じて、油圧シリンダ14の左右の油室14C,1
4Dに作動油が供給又は排出されて、操舵アシスト力を
ラック13に与えるようになっている。なお、このロー
タリバルブ16は、インプットシャフト11側とピニオ
ンギヤ12側との間に介装されており、インプットシャ
フト11とピニオンギヤ12との位相差に応じて、開閉
するようになっている。つまり、インプットシャフト1
1に操舵力が入力されると、インプットシャフト11は
剛であって殆ど捩じりを生じないが、トーションバー1
5は捩じれを生じながらピニオンギヤ12に操舵力を伝
達するので、ピニオンギヤ12がインプットシャフト1
1に対して操舵側へ位相差を生じるようになる。この位
相差に応じて、操舵方向へ所要量の操舵アシスト力(操
舵アシスト量ともいう)が生じるように、ロータリバル
ブ16が開閉するようになっている。
【0010】そして、インプットシャフト11の下部外
周には、操舵時に操舵反力を与えて操舵力(つまり、操
舵手応え)を増大させる反力プランジャ17が設けられ
ている。この反力プランジャ17は、図13に示すよう
に、インプットシャフト11の外周を包囲するように複
数設けられており、油圧制御バルブ18の制御を通じて
供給された油圧を、その背部のチャンバ17Aに受ける
ことで、油圧に応じてインプットシャフト11を拘束し
て操舵反力を与えるようになっている。なお、チャンバ
17Aは、リターン用オリフィス22を介して、オイル
リザーバ24側と通じている。
【0011】油圧制御バルブ18は、図13に示すよう
に、ケーシング25内のインプットシャフト11の側部
にこれと平行に設けられており、ケーシング25内を上
下にスライドしうるプランジャ18Aと、このプランジ
ャ18Aに上方への軸力を与えるソレノイド19と、プ
ランジャ18Aを下方へ付勢するスプリング20とをそ
なえている。
【0012】プランジャ18Aには、オイルリザーバ2
4に通じる油路18B,18Cと、オイルポンプ23に
通じうる環状油路18Dと、反力プランジャ17のチャ
ンバ17Aに通じうる環状油路18Eと、これらの環状
油路18D,18Eを相互に連通する油路18Fとがそ
なえられる。つまり、反力プランジャ17のチャンバ1
7Aには、環状油路18Dから油路18F,環状油路1
8Eを通じて、オイルポンプ23からの高圧の作動油が
供給されうるようになっている。
【0013】そして、例えば据え切り時や低速走行操舵
時には、ソレノイド19に最大電流を与えるようにす
る。これにより、プランジャ18Aが最も上昇して、環
状油路18Dがオイルポンプ23と連通しなくなって、
反力プランジャ17のチャンバ17Aへのオイル供給が
行なわれなくなり、反力プランジャ17がインプットシ
ャフト11を拘束しなくなって、軽快に操舵できる。
【0014】また、例えば中高速走行時には、車速の増
加に応じて、ソレノイド19に与える電流を減少させて
いく。すると、ハンドルの中立時には、プランジャ18
Aの軸力が、電流減少に伴って低下して、これに伴いプ
ランジャ18Aが降下して、環状油路18Dがオイルポ
ンプ23と連通するようになって、反力プランジャ17
のチャンバ17Aへのオイル供給が行なわれるようにな
る。
【0015】この状態では、反力プランジャ17がイン
プットシャフト11を拘束するので、ハンドルが中立に
保持される。そして、この中立状態で、ハンドルを微小
に操舵すると、オイルポンプ出力が上昇しようとする
が、この吐出圧は油圧制御バルブ18でほとんど制御さ
れることなく、反力プランジャ17のチャンバ17Aに
作用する。したがって、ハンドルの中立状態の近傍で
は、操舵力が増して、ハンドルの中立手応えを十分に得
られ、中立状態でのハンドル安定感が増す。
【0016】この中高速走行時に操舵する際には、通常
の操舵範囲内では、ハンドルの操舵に応じて(操舵力の
増大に応じて)、オイルポンプ出力が上昇して、操舵ア
シストを増大させるように作用する。一方で、オイルポ
ンプの吐出圧が油圧制御バルブ18で制御されながら、
反力プランジャ17のチャンバ17Aに作用する。した
がって、この反力プランジャ17が、インプットシャフ
ト11を拘束して、操舵手応え(操舵力)を増大させる
ように作用する。
【0017】この結果、中高速走行操舵時には、据え切
り時や低速走行操舵時に比べて、反力プランジャ17の
作用する分だけ、操舵力が増大する。つまり、操舵手応
えが大きくなって、安定した操舵フィーリングが得られ
る。特に、車速の増加に応じて、ソレノイド19に与え
る電流を減少させていくことで、高速になるほど、操舵
アシストが減少して、操舵力(操舵手応え)が大きくな
って、より安定した操舵フィーリングが得られる。
【0018】このように、ソレノイド19に与える電流
を調整することで、操舵アシスト特性を制御でき、例え
ば図13に示すように、車速センサ31からの車速情報
のほか、EPS(電子制御パワーステアリング)モード
切換スイッチ32からのモード設定情報や、エンジン回
転数センサ33等からのエンジン回転信号等に基づい
て、コントロールユニット(制御手段)30で、ソレノ
イド19に与える電流量を設定して、ソレノイド19を
制御している。
【0019】つまり、EPSモード切換スイッチ32で
は、ノーマルモードとノーマルモードよりも低速から操
舵力を増加させる制御を行なうスポーツモードとを設定
でき、コントロールユニット30では、これらのモード
が設定されると、そのモードにしたがって、パワーステ
アリングのアシスト特性を制御する。例えば、スポーツ
モードに設定すると、図14に示すように、車速情報に
基づいて、速度V1 の中速域から速度の増加にしたがっ
て次第にアシスト量が減少していくようなアシスト特性
となるように、ソレノイド19に与える電流を調整す
る。また、ノーマルモードに設定すると、車速情報に基
づいて、速度V2 (>V 1)のやや高速域から速度の増
加にしたがって次第にアシスト量が減少していくような
アシスト特性となるように、ソレノイド19に与える電
流を調整する。
【0020】また、車速情報とエンジン回転信号等から
検出系統などの異常を検知して、この時には、ソレノイ
ド19をオフにするなどして、フェイルセーフ制御を行
なう。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】ところで、操舵アシス
ト力は、車速に対応して制御するだけで十分かという
と、そうでもなく、走行する道路の特性によって走行パ
ターンが異なるので、要求される操舵アシスト力も異な
ることがある。例えば、ドライバは、高速走行中には、
操舵安定性を確保するために、操舵アシスト力を小さく
してハンドルを重目にするのが一般的であるが、高速走
行時にも、操舵アシスト力を高めてほしい場合がある。
【0022】つまり、高速道路での緩やかで長い曲率の
大きなカーブや、高速道路に入出するランプ等では、適
当な操舵角にハンドルを保持する(つまり、保舵する)
必要がある。しかし、高速時に操舵アシスト力が小さく
されていると、大きな保舵力が要求され、ドライバに大
きな負担となる。本発明は、上述の課題に鑑み創案され
たもので、高速走行時にも必要に応じて常に最適な操舵
アシスト状態が得られるようにした、ファジィ制御式電
子制御パワーステアリング装置を提供することを目的と
する。
【0023】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載
の本発明のファジィ制御式電子制御パワーステアリング
装置は、車両のステアリング機構における操舵アシスト
量を電子制御する電子制御パワーステアリング装置にお
いて、電子制御時の目標アシスト量を設定する目標アシ
スト量設定手段と、該ステアリング機構の操舵角を検出
する操舵角検出手段と、該車両の車速を検出する車速検
出手段と、上記操舵角検出手段で検出された操舵角と該
操舵角に基づいて求められる操舵角速度履歴とに基づい
て保舵状態のレベルを判定する保舵状態判定手段と、
そなえ、上記目標アシスト量設定手段が、上記車速検出
手段で検出された車速と上記保舵状態判定手段で判定さ
れた保舵状態のレベルとを入力条件としてファジィルー
ルに基づいて上記目標アシスト量を設定するように構成
されていることを特徴としている。
【0024】また、請求項2記載の本発明のファジィ制
御式電子制御パワーステアリング装置は、請求項1記載
の構成において、上記ファジィルールが、上記車両の車
速が高速であるときに、上記保舵状態のレベルの増大に
伴って上記目標アシスト量が増大するように、設定され
ていることを特徴としている。さらに、請求項3記載の
本発明のファジィ制御式電子制御パワーステアリング装
置は、請求項1記載の構成において、上記ファジィルー
ルが、上記操舵角検出手段の検出した操舵角が大きいと
きに、上記保舵状態のレベルの増大に伴って上記目標ア
シスト量が増大するように、設定されていることを特徴
としている。
【0025】
【作用】上述の請求項1記載の本発明のファジィ制御式
電子制御パワーステアリング装置では、操舵角検出手段
がステアリング機構の操舵角を検出し、車速検出手段が
車両の車速を検出して、保舵状態判定手段が、上記操舵
角検出手段で検出された操舵角と該操舵角に基づいて求
められる操舵角速度履歴とに基づいて保舵状態のレベル
を判定して、目標アシスト量設定手段が、車速検出手段
で検出された車速と上記保舵状態判定手段で判定された
保舵状態のレベルとを入力条件としてファジィルールに
基づいて目標アシスト量を設定して、この目標アシスト
量に基づいて、上記車両のステアリング機構における操
舵アシスト量が電子制御される。
【0026】また、請求項2記載のようにファジィルー
ルが設定されると、車速が高速のときには、保舵状態の
レベルが増大するほど目標アシスト量が大きくなって操
舵が軽くなる。さらに、請求項3記載のようにファジィ
ルールが設定されると、操舵角が大きいときには、保舵
状態のレベルが増大するほど目標アシスト量が増大し
て、操舵が軽くなる。
【0027】
【実施例】以下、図面により、本発明の一実施例として
のファジィ制御式電子制御パワーステアリング装置につ
いて説明すると、図1はその要部の模式的な構成図、図
2はそのファジィ制御に用いるメンバシップ関数の例を
示す図、図3はその各適合度からパワーステアリングア
シスト量を求める台集合の例を示す図、図4はその各適
合度からパワーステアリングアシスト量を求める台集合
の他の例を示す図、図5はその車速ルールに関する適合
度だけからパワーステアリングアシスト量を求める台集
合の具体例を示す図、図6はその各適合度からパワース
テアリングアシスト量を求める台集合の具体例を示す
図、図7はその制御内容を示すフローチャート、図8は
その操舵操作頻度をもとめるフローチャート、図9はそ
の操舵操作頻度のカウント例を示す図、図10はそのフ
ァジィ制御による効果を示す図である。
【0028】このファジィ制御式電子制御パワーステア
リング装置1の機械的な部分(ハード構成)は、前述の
従来例のもの(図11〜13参照)とほぼ同様に構成さ
れているので簡単に説明する。すなわち、図1及び図1
1,12に示すように、インプットシャフト11の内部
には、トーションバー15が上端をインプットシャフト
11に一体回転するように結合されており、トーション
バー15の下端はインプットシャフト11に対して拘束
されていない。
【0029】そして、ピニオンギヤ12は、トーション
バー15の下端とセレーション結合しており、インプッ
トシャフト11に入力された操舵力がトーションバー1
5を介してピニオンギヤ12に伝達されるようになって
いる。このピニオンギヤ12は、ラック13と噛合して
おり、操舵力がピニオンギヤ12を介してラック13に
伝わって、ラック13を軸方向に駆動して、車輪の操舵
を行なう。
【0030】ラック13上に設けられた油圧シリンダ1
4は、車体側の部材に設置されたシリンダ14Aと、ラ
ック13の途中に設けられてラック13とともにシリン
ダ部14A内を軸方向へ移動するピストン14Bとをそ
なえ、シリンダ14A内には、このピストン14Bによ
って左右に仕切られ、油室14C,14Dが形成されて
いる。
【0031】さらに、インプットシャフト11側とピニ
オンギヤ12側との間には、ロータリバルブ16が介装
されており、このロータリバルブ16が、インプットシ
ャフト11とピニオンギヤ12との位相差に応じて開閉
し、これに応じて、油圧シリンダ14の左右の油室14
C,14Dに作動油が供給又は排出されて、操舵アシス
ト力がラック13に与えられるようになっている。
【0032】そして、インプットシャフト11の下部外
周には、操舵時に操舵反力を与えて操舵力(つまり、操
舵手応え)を増大させる反力プランジャ17が設けられ
ている。この反力プランジャ17は、インプットシャフ
ト11の外周を包囲するように複数設けられており、油
圧制御バルブ18の制御を通じて供給された油圧を、そ
の背部のチャンバ17Aに受けることで、油圧に応じて
インプットシャフト11を拘束して操舵反力を与えるよ
うになっている。なお、チャンバ17Aは、リターン用
オリフィス22を介して、オイルリザーバ24側と通じ
ている。
【0033】油圧制御バルブ18は、ケーシング25内
のインプットシャフト11の側部にこれと平行に設けら
れており、ケーシング25内を上下にスライドしうるプ
ランジャ18Aと、このプランジャ18Aに上方への軸
力を与えるソレノイド19と、プランジャ18Aを下方
へ付勢するスプリング20とをそなえている。プランジ
ャ18Aには、オイルリザーバ24に通じる油路18
B,18Cと、オイルポンプ23に通じうる環状油路1
8Dと、反力プランジャ17のチャンバ17Aに通じう
る環状油路18Eと、これらの環状油路18D,18E
を相互に連通する油路18Fとがそなえられる。つま
り、反力プランジャ17のチャンバ17Aには、環状油
路18Dから油路18F,環状油路18Eを通じて、オ
イルポンプ23からの高圧の作動油が供給されうるよう
になっている。
【0034】このような油圧制御バルブ18は、図1に
示すように、車速センサ31からの車速情報及び操舵角
センサ34からの操舵角情報等に基づいて、コントロー
ルユニット(制御手段)30で、ソレノイド19に与え
る電流量を設定して、ソレノイド19を制御している。
つまり、コントロールユニット30には、操舵操作頻度
演算部30Gと、ファジィ演算により目標アシスト量を
設定する目標アシスト量設定手段としてのファジィ演算
部30Bとが設けられている。このファジィ演算部30
Bには、車速センサ31による検出車速から車速対応の
適合度を求める車速対応適合度算出部30cと、車速セ
ンサ31による検出車速,操舵角センサ34による検出
操舵角及び操舵操作頻度演算部30Gで求められた操舵
角速度の変化頻度から保舵状態のレベルに対応した適合
度を求める保舵状態対応適合度算出部30fと、これら
の適合度算出部30c,30fで求めた適合度から、フ
ァジィ演算により制御量(つまり、アシストを減少する
量)を決定する制御量設定部30eとがそなえられる。
このため、図示しないが、保舵状態対応適合度算出部3
0fには、操舵角センサ34による検出操舵角及び操舵
操作頻度演算部30Gで求められた操舵角速度の変化頻
度(即ち、操舵角速度履歴)から保舵状態のレベルを判
定する機能(保舵状態判定手段)がそなえられており、
この保舵状態判定手段で判定された保舵状態のレベルに
対応した適合度を求めるようになっている。
【0035】操舵操作頻度演算部30Gでは、操舵角セ
ンサ34で検出された操舵角(ハンドル角)haから操
舵角速度(ハンドル角速度)ha′を求めて、この操舵
角速度ha′が、保舵領域,左操舵操作領域及び右操舵
操作領域の3つの操舵操作領域の中のいずれにあるかを
判断して、この操舵角速度ha′が、異なる領域へ変化
した事象の一定時間内における回数を操舵操作頻度とし
てカウントする。
【0036】なお、保舵領域は、操舵角速度ha′が0
の近傍の領域であるが、ここでは、この保舵領域を、−
5deg/s ≦ha′≦5deg/s の範囲に設定している。ま
た、ここでは、左操舵を正方向、右操舵を負方向に設定
する。また、左操舵操作領域及び右操舵操作領域は、こ
の保舵領域との間に、一定の隔たりを有するように設定
されている。つまり、左操舵操作領域は、20deg/s≦
ha′の範囲に設定され、右操舵操作領域は、ha′≦
−20deg/s の範囲に設定されている。そして、これら
の左操舵操作領域及び右操舵操作領域と保舵領域との
間、即ち、−20deg/s <ha′<−5deg/s ,5deg/
s <ha′<20deg/s の範囲は不感帯になっている。
【0037】例えば、図9に示すように操舵角速度h
a′が変化したときについて、操舵操作頻度をカウント
してみる。操舵開始時には、操舵角速度ha′は保舵領
域にあり、操舵開始後時刻t1で操舵角速度ha′が左
操舵操作領域に入ると、ここで、操舵操作回数としてカ
ウントする。
【0038】そして、次に、操舵角速度ha′が保舵領
域側へ戻されるが(符号a1参照)、不感帯に入った後
再び左操舵操作領域に戻されて(符号a2参照)他の領
域(保舵領域)には操作されないので、操舵操作回数と
してはカウントしない。ついで、操舵角速度ha′が左
操舵操作領域から保舵領域に戻されると(時刻t2)、
ここで、操舵操作回数としてカウントする。さらに、次
に、操舵角速度ha′が右操舵側へ戻されるが(符号a
3参照)、不感帯に入った後再び保舵領域に戻されて
(符号a4参照)他の領域(左操舵操作領域又は右操舵
操作領域)には操作されないので、操舵操作回数として
はカウントしない。
【0039】そして、操舵角速度ha′が保舵領域から
右操舵操作領域に操作されたところで(時刻t3)、操
舵操作回数としてカウントする。さらに、操舵角速度h
a′が右操舵操作領域から保舵領域に操作されたところ
で(時刻t4)、操舵操作回数としてカウントし、操舵
角速度ha′が保舵領域から左操舵操作領域に操作され
たところで(時刻t5)、操舵操作回数としてカウント
する。
【0040】このようにして、一定時間(単位時間)内
の操舵操作回数を操舵操作頻度とする。したがって、時
刻0から時刻t6までの範囲を単位時間とすると、この
間の操舵操作回数は5であり、時刻t6の時点では、操
舵操作頻度は5となる。なお、ここでは、操舵角速度h
a′の検出値に基づいて、一定の周期(例えば50msec
周期)で操舵操作回数をカウントして、一定時間(例え
ば4秒間)に操舵操作回数が何回あったかを操舵操作頻
度としている。この実施例の場合、現時点から過去4秒
間(つまり、4秒前から現在まで)のサンプリングから
操舵操作頻度を求めている。ここでは、サンプリング周
期が50msecなので、合計で80回のサンプリングを行
なうことになる。したがって、この80回中の操舵変化
のあった回数が操舵操作頻度になる。
【0041】なお、このようにサンプリング周期が50
msecと短く設定されているので、操舵操作を速く行なっ
た場合にも、操舵角速度ha′が保舵領域を通過したこ
とは十分にサンプリングできる。そして、この操舵操作
頻度が低くてしかも操舵角haが適当に与えられている
ときに、保舵状態にあるといえる。そして、保舵状態判
定手段では、操舵操作頻度が低いほど、保舵状態のレベ
ルが高いものと判定する。
【0042】車速対応適合度算出部30cでは、図2
(B)に示すように、車速対応のファジィルール(つま
り、メンバシップ関数)によって、車速対応適合度を決
定するようになっている。図2(B)に示すメンバシッ
プ関数について説明すると、ここでは、低速領域(0〜
40km/h)における適合度(車庫入れ適合度)と、中低
速領域(20〜60km/h)における適合度(市街地低速
時適合度、以下、市街地A適合度という)と、中速領域
(40〜80km/h)における適合度(市街地高速時適合
度、以下、市街地B適合度という)と、中高速領域(6
0〜100km/h)における適合度(郊外適合度)と、高
速領域(80km/h以上)における適合度(高速道路適合
度)とを決定する。
【0043】車庫入れ適合度は、車庫入れ等を考慮して
操舵の容易性(即ち、ハンドルの軽さ)を最も重視する
適合度であり、操舵アシスト量が大きくなるように、ア
シスト減少制御量を小さくする評価S(スモール)に関
する適合度である。この車庫入れ適合度は、0〜20km
/hの範囲では1.0、20km/h以上になると1.0から
次第に減少して40km/hで0となる。
【0044】市街地A適合度は、例えば混雑して速度を
出せない市街地走行パターンで、操舵の安定性よりも操
舵の容易性(即ち、ハンドルの軽さ)を重視する適合度
であり、操舵アシスト量がやや大きくなるように、アシ
スト減少制御量をやや小さくする評価MS(ミディアム
スモール)に関する適合度である。この市街地A適合度
は、20〜40km/hの範囲では0から次第に増加して4
0km/hで1.0となり、40〜60km/hの範囲では1.
0から次第に減少して60km/hで0となる。
【0045】市街地B適合度は、比較的速度を出せる市
街地走行パターンで、操舵の安定性と操舵の容易性(即
ち、ハンドルの軽さ)とを均衡させる適合度であり、操
舵アシスト量が中程度になるように、アシスト減少制御
量を中ぐらいにする評価M(ミディアム)に関する適合
度である。この市街地B適合度は、40〜60km/hの範
囲では0から次第に増加して60km/hで1.0となり、
60〜80km/hの範囲では1.0から次第に減少して8
0km/hで0となる。
【0046】郊外適合度は、速度を出せる郊外走行パタ
ーンで、操舵の安定性を操舵の容易性(即ち、ハンドル
の軽さ)よりもやや重視する適合度であり、操舵アシス
ト量がやや小さくなるように、アシスト減少制御量をや
や大きくする評価MB(ミディアムビッグ)に関する適
合度である。この郊外適合度は、60〜80km/hの範囲
では0から次第に増加して80km/hで1.0となり、8
0〜100km/hの範囲では1.0から次第に減少して1
00km/hで0となる。
【0047】高速道路適合度は、高速道路の走行パター
ンで、操舵の安定性を操舵の容易性(即ち、ハンドルの
軽さ)よりもぐっと重視する適合度であり、操舵アシス
ト量が小さくなるように、アシスト減少制御量を大きく
する評価B(ビッグ)に関する適合度である。この高速
道路適合度は、80〜100km/hの範囲では0から次第
に増加して100km/hで1.0となり、100km/h以上
の範囲では1.0となる。
【0048】また、保舵状態対応適合度算出部30fで
は、図2(A)に示すように、車速Vと操舵角haと操
舵操作頻度とからファジィルール(メンバシップ関数)
によって、適合度を決定する。ここでは、車速対応の適
合度と、操舵角対応の適合度と、操舵操作頻度対応の適
合度とのうちの最も小さいものを保舵状態対応適合度、
つまり、アシスト減少制御量を小さくする評価S(スモ
ール)に関する適合度とする。
【0049】図2(A)に示すメンバシップ関数につい
て説明すると、左側の車速対応の適合度に関するメンバ
シップ関数は、車速という入力変数に対する適合度であ
る。ここでは、中速以上の速度域で、保舵状態対応の制
御を行なうように、この車速対応の適合度(保舵適合
度)を設定している。これは、中速よりも低い速度域で
は、操舵アシスト量が十分に与えられているので、ハン
ドルをほぼ一定に保つための保舵力がドライバの負担と
ならないが、中速以上の速度域になると、アシスト減少
制御量が増えて操舵アシスト量が減少するので、保舵力
を与えることが次第にドライバの負担となる。このた
め、車速対応の保舵適合度を設定しているのである。た
だし、この保舵適合度は、中速域では車速が上昇するに
したがって増大して、高速域で1.0に設定されてい
る。
【0050】図2(A)の中央の操舵角対応の適合度に
関するメンバシップ関数は、操舵角haという入力変数
に対する保舵適合度であり、保舵力を要するのは、操舵
角が与えられたときで、操舵角が0ならば保舵力は要さ
ない。ただし、制御の安定性を考慮して、この保舵適合
度は、操舵角が0から大きくなるのにしたがって増大し
て一定の操舵角(ここでは20deg)以上では1.0
に設定されている。
【0051】図2(A)の右側の操舵操作頻度対応の適
合度に関するメンバシップ関数は、操舵操作頻度という
入力変数に対する保舵適合度であり、保舵時には、操舵
操作は行なわれないので操舵操作の頻度は0又は極めて
少ないはずである。したがって、操舵操作頻度が低い時
(ここでは操舵操作頻度が2以下)には、保舵適合度を
1.0として、それ以上の操舵操作頻度では保舵適合度
を減少させている。ただし、この例では、操舵操作頻度
が3になると保舵適合度を0まで減じている。
【0052】このようにして、3つの保舵適合度のうち
から最小値を選んで、操舵アシスト量を大きくさせるた
めの制御に用いる。ここでは、特別説明しないが、車速
Vや操舵操作頻度以外に、旋回状態に対応する横加速度
や加減速状態に対応して制御量を設定すること等も考慮
しており、この場合には、前後加速度等に応じたメンバ
シップ関数を用意する。
【0053】なお、ここでは、アシスト減少制御量(出
力変数)の決定を、図3に示すようなメンバシップ関数
で行なうようになっている。つまり、ここでは、S(ス
モール),MS(ミディアムスモール),M(ミディア
ム),MB(ミディアムビッグ),B(ビッグ)の5段
階に分けており、これらの各適合度を重心法によって合
成して、アシスト減少制御量(出力変数)を決定する。
したがって、評価Sではアシスト量は逆に大きくなっ
て、ここでは100%のアシスト状態になっている。ま
た、評価MSではアシスト量はやや大きくなって、75
%のアシスト状態になっており、評価Mではアシスト量
は中程度で、ここでは50%のアシスト状態になってい
る。評価MBではアシスト量はやや小さくなって、ここ
では25%のアシスト状態になっており、評価Bではア
シスト量はさらに小さくなって、ここでは0%のアシス
ト状態になっている。
【0054】そして、制御量設定部30eでは、これら
の適合度算出部30c,30fで求めた適合度から、図
3に示すようなメンバシップ関数を用いて、例えば重心
法により制御量(つまり、アシストを減少する量)を決
定するようになっている。なお、車速対応の適合度を、
低速(車庫入れパターン;図2(A)中符号A1)と、
中速(取廻性を重視する市街地走行パターン;図2
(A)中符号A2)と、高速(取廻性を重視する高速道
路走行パターン;図2(A)中符号A2)との3パター
ンのみとして、それぞれのアシスト減少制御量(出力変
数)を、S(スモール),M(ミディアム),B(ビッ
グ)の3段階のみに分けることも考えられる。この場
合、アシスト減少制御量(出力変数)の決定を、図4に
示すように、S(スモール),M(ミディアム),B
(ビッグ)の3段階にの評価クラスのメンバシップ関数
で構成してもよい。
【0055】本発明の一実施例としてのファジィ制御式
電子制御パワーステアリング装置は、上述のように構成
されているので、例えば図7に示すようにして、パワー
ステアリングの電子制御が行なわれる。つまり、まず、
車速センサ31及び操舵角センサ34からのセンサ信号
を読み込み(ステップS1)、これらのセンサ信号をコ
ントロールユニット30に入力して、アナログ信号をデ
ジタル信号に変換処理する(ステップS2)。
【0056】さらに、操舵操作頻度演算部30Gで、操
舵角センサ34で検出された操舵角(ハンドル角)ha
から求めた操舵角速度(ハンドル角速度)ha′が、保
舵領域,左操舵操作領域及び右操舵操作領域の3つの操
舵操作領域の中のいずれにあるかを判断して、この操舵
角速度ha′から操舵操作頻度を算出する(ステップS
3)。
【0057】そして、ファジィ演算部30Bで、図2に
示すようなメンバシップ関数によって、車速Vに基づい
て走行状態に関する適合度を求め、車速V,操舵角h
a,操舵角速度履歴に基づいて保舵適合度を求める(ス
テップS4)。そして、これらの適合度から、重心法に
より、目標とするアシスト量を決定する(ステップS
5)。さらに、この目標アシスト量を、これに対応する
ソレノイド19に与える電流量に変換して(ステップS
6)、駆動回路、つまり、油圧制御バルブ18のソレノ
イド19に出力する(ステップS7)。
【0058】なお、操舵操作頻度演算部30Gによる操
舵操作頻度の算出については、例えば、図8のフローチ
ャートに示すように行なわれる。つまり、まず、初期設
定を行なう(ステップH1)。この初期設定は、検出周
期数nを1にし、操舵操作判定データの記憶値M1 〜M
80及び操舵操作頻度データの初期値T0 をすべて0にす
る。なお、検出周期数nは、ここでは1〜80までの8
0だけあり、50msec周期で4秒間行なわれて合計80
個になる操舵判定データの検出回数に対応する。操舵判
定データM1 〜M80とは、この80個の連続した周期で
の操舵判定データであり、操舵操作頻度演算部30Gに
は、常に、直近の80個のデータが記憶されており、こ
れらの記憶値M1 〜M80は毎周期毎に順次更新される。
【0059】初期設定に続いては、操舵角センサ34で
検出された操舵角(ハンドル角)haのデータ読込を行
なう(ステップH2)。ついで、操舵角haから操舵角
速度(ハンドル角速度)ha′を算出する(ステップH
25)。さらに、操舵角速度ha′が−20deg/s 以下
かを判断して(ステップH3)、操舵角速度ha′が−
20deg/s 以下ならば、つまり、操舵角速度ha′が右
操舵操作領域にあれば、ステップH4に進んで、操舵フ
ラグhが1かを判断する。この操舵フラグhは、0と1
と2との何れかをとり、操舵角速度ha′が前回の制御
周期で保舵領域にあればh=0、操舵角速度ha′が前
回の制御周期で右操舵操作領域又は左操舵操作領域にあ
ればh=1となる。また、操舵角速度ha′が不感帯領
域にあるときには、不感帯領域にはいる前の操舵操作領
域に対応したフラグhの値が保持される。
【0060】したがって、もしも、操舵角速度ha′が
保舵領域からこの右操舵操作領域に操作されて始めての
検出周期では、h=0となっているので、N(ノー)ル
ートを経てステップH9へ進む。そして、操舵判定値T
を1として操舵があったことがカウントされる。そし
て、ステップH9で、h=1に変えて、ステップH18
へ進む。
【0061】ステップH18では、今回の操舵操作頻度
n を、前回の操舵操作頻度Tn-1に操舵判定値Tを加
えて、80周期前の操舵判定値(操舵判定データ)の記
憶値Mn を除くことで、算出する。つまり、80周期前
の操舵判定データMn に代えて今回の操舵判定データT
を採用することで、操舵操作頻度Tn を更新する。これ
により、直近の80個の操舵判定データから操舵操作頻
度Tn が算出される。そして、この算出値Tn を操舵操
作頻度データとして出力するとともに、次回の操舵操作
頻度算出のために記憶する。
【0062】ついで、ステップH19で、今回の操舵判
定データTを第n番目の操舵判定データMn として記憶
し、ステップH20で、検出周期数nをn+1に繰り上
げて、ステップH21〜H23で、検出周期数nが80
の次に1に戻るような操作を行なう。即ち、ステップH
21でnが81かどうかを判定して、nが80以下な
ら、なにもしないでステップH1にリターンする。そし
て、nが81であれば、ステップH22で検出周期数n
を1に設定し直して、ステップH23でこの時の操舵操
作頻度データTn であるT80をT0 に設定して、次回の
操舵操作頻度算出にそなえる。
【0063】また、もしも、操舵角速度ha′が右操舵
操作領域に保持されていれば、前回の検出周期でh=1
となっているので、ステップH4からY(イエス)ルー
トを経てステップH8へ進んで、操舵判定値Tを0とし
て操舵をカウントしない。そして、ステップH18へ進
んで、上述と同様に、80周期前の操舵判定データM n
に代えて今回の操舵判定データTを採用することで、操
舵操作頻度Tn を更新する。
【0064】さらに、上述と同様に、ステップH19〜
H23の処理を行なう。操舵角速度ha′が−20deg/
s 以下でないならば、ステップH3からステップH5に
進んで、操舵角速度ha′が20deg/s 以上か判断す
る。操舵角速度ha′が20deg/s 以上ならば、つま
り、操舵角速度ha′が左操舵操作領域にあれば、ステ
ップH6に進んで、操舵フラグhが1かを判断する。
【0065】操舵角速度ha′が保舵領域からこの左操
舵操作領域に操作されて始めての検出周期では、h=0
となっているので、N(ノー)ルートを経てステップH
12へ進む。そして、操舵判定値Tを1として操舵があ
ったことがカウントされる。ついで、ステップH14
で、h=1に変えて、ステップH18へ進み、ステップ
H18〜H23で上述と同様の処理を行なう。
【0066】また、操舵角速度ha′が左操舵操作領域
に保持されていれば、前回の検出周期でh=2となって
いるので、ステップF6からY(イエス)ルートを経て
ステップH11へ進んで、操舵判定値Tを0として操舵
をカウントしないで、ステップH18〜H23で上述と
同様の処理を行なう。操舵角速度ha′が−20deg/s
以下でなく20deg/s 以上でもないならば、ステップH
3からステップH5を経てステップH7に進んで、操舵
角速度ha′が−5deg/s 以上で5deg/s 以下の範囲内
にあるか判断する。操舵角速度ha′がこの範囲内にあ
れば、つまり、操舵角速度ha′が保舵領域にあれば、
ステップH13に進んで、操舵フラグhが0かを判断す
る。
【0067】もしも、操舵角速度ha′が左操舵操作領
域又は右操舵操作領域から、この保舵領域に操作されて
始めての検出周期では、h=1となっているので、N
(ノー)ルートを経てステップH16へ進む。そして、
操舵判定値Tを1として操舵があったことがカウントさ
れる。ついで、ステップH17で、h=0に変えて、ス
テップH18へ進み、ステップH18〜H23で上述と
同様の処理を行なう。
【0068】また、操舵角速度ha′が保舵領域に保持
されていれば、前回の検出周期でh=0となっているの
で、ステップF6からY(イエス)ルートを経てステッ
プH11へ進んで、操舵判定値Tを0として操舵をカウ
ントしないで、ステップH18〜H23で上述と同様の
処理を行なう。操舵角速度ha′が不感帯領域(−20
deg/s 〜−5deg/s ,5deg/s 〜20deg/s )にあれ
ば、ステップH3,H5,H7を経てステップH24に
進んで、操舵判定値Tを0として操舵をカウントしない
で、ステップH18〜H23で上述と同様の処理を行な
う。
【0069】このようにして、各検出周期毎に、操舵操
作頻度データTn が更新されて、最新の操舵操作頻度デ
ータTn が前述の操舵アシスト量の設定のために用いら
れる。ここで、具体的な入力変数(車速V,操舵操作頻
度)に対して、出力変数(アシスト減少制御量又はアシ
スト量)を求めてみる。例えば、車速が70km/hの時に
は、市街地B適合度が0.5、郊外適合度が0.5であ
り、この車速のみに対応して出力変数(アシスト量)を
求めると、図5に示す点P1のように、アシスト量とし
ては37.5%となる。しかし、一方で、操舵操作頻度
が例えば1で操舵角が10degの時には、車速に関す
る保舵適合度が1.0であり、操舵角に関する保舵適合
度が0.5であり、操舵操作頻度に関する保舵適合度が
1.0である。したがって、この保舵適合度の中の最小
値0.5を採用して、制御量をSにする保舵適合度0.
5と、上述の車速に関する適合度とから、重心法によっ
て出力変数(アシスト量)を求めると、図6に示す点P
2のようになり、操舵操作頻度を考慮しない場合〔点P
1(=37.5%)参照〕に比べて、アシスト量が大き
くなる。
【0070】この結果、本装置では、車速に応じて、低
速になるほどハンドルが軽くなって操舵を容易に行な
え、高速になるにしたがってハンドルが安定するように
なる効果に加えて、高速域でドライバが保舵操作を行な
っているときには、その保舵状態のレベルに応じて操舵
アシスト量が増加され、小さい保舵力で容易に保舵を行
なえるようになる効果がある。
【0071】また、操舵操作を行なうと、操舵操作頻度
に応じて操舵アシスト量が増加されなくなるので、高速
時におけるハンドル安定性は十分に確保される。これに
より、高速時におけるハンドル安定性を確保しながら、
ドライバの操舵負担が軽減されて、ドライバの疲労軽減
や、これによる適切な操舵操作の推進に寄与しうる利点
がある。
【0072】このような本装置によるドライバの操舵負
担の軽減状況を具体的に評価すると、図10に示すよう
に、ファジィ制御による保舵状態に対応した操舵アシス
ト量制御を行なった場合には、操舵仕事量(=操舵角×
操舵力)が減少して、この分だけ操舵アシスト能力が向
上するのである。なお、当然ながら、上述の各ファジィ
ルールの特性を保持しつつ、各メンバシップ関数の具体
的な特性値を変更しうるものである。
【0073】また、本実施例のファジィ制御式電子制御
パワーステアリング装置では、操舵保舵状態に対応した
ファジィ制御(操舵角速度履歴ファジィ制御)と車速フ
ァジィ制御とを合成した制御構成になっているが、これ
らの制御に他のファジィ制御則を加えるようにすること
なども考えられる。さらに、本装置の制御系は、操舵ア
シスト力を電気信号にて制御しうるものであればどのよ
うなパワーステアリング装置にも適用できる。例えば、
本装置のように、エンジン駆動による油圧ポンプ(エン
ジンポンプ)で駆動されるエンジンポンプ式の油圧式パ
ワーステアリング装置のみならず、電動モータ式の油圧
式パワーステアリング装置にも適用でき、電動パワース
テアリング装置にも適用しうるものである。
【0074】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1記載の本
発明のファジィ制御式電子制御パワーステアリング装置
によれば、車両のステアリング機構における操舵アシス
ト量を電子制御する電子制御パワーステアリング装置に
おいて、電子制御時の目標アシスト量を設定する目標ア
シスト量設定手段と、該ステアリング機構の操舵角を検
出する操舵角検出手段と、該車両の車速を検出する車速
検出手段と、上記操舵角検出手段で検出された操舵角と
該操舵角に基づいて求められる操舵角速度履歴とに基づ
いて保舵状態のレベルを判定する保舵状態判定手段と、
をそなえ、上記目標アシスト量設定手段が、上記車速検
出手段で検出された車速と上記保舵状態判定手段で判定
された保舵状態のレベルとを入力条件としてファジィル
ールに基づいて上記目標アシスト量を設定するように構
成されるので、車両の操舵操作頻度に応じて最適な操舵
力特性を得られるようにでき、操舵フィーリングの向上
に寄与しうる。
【0075】また、請求項2記載の本発明のファジィ制
御式電子制御パワーステアリング装置は、上述の構成に
加えて、上記ファジィルールが、上記車両の車速が高速
であるときに、上記保舵状態のレベルの増大に伴って上
記目標アシスト量が増大するように、設定されているの
で、高速時の保舵を軽い力で容易に行なえるようにな
り、ドライバの疲労軽減や、これによる適切な操舵操作
の推進に寄与しうる利点がある。
【0076】また、請求項3記載の本発明のファジィ制
御式電子制御パワーステアリング装置は、請求項1記載
の構成において、上記ファジィルールが、上記操舵角検
出手段の検出した操舵角が大きいときに、上記保舵状態
のレベルの増大に伴って上記目標アシスト量が増大する
ように、設定されているので、小半径の旋回走行のよう
に操舵角が大きい時に保舵を軽い力で容易に行なえるよ
うになり、ドライバの疲労軽減や、これによる適切な操
舵操作の推進に寄与しうる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としてのファジィ制御式電子
制御パワーステアリング装置の要部の模式的な構成図で
ある。
【図2】本発明の一実施例としてのファジィ制御式電子
制御パワーステアリング装置のファジィ制御に用いるメ
ンバシップ関数の例を示す図である。
【図3】本発明の一実施例としてのファジィ制御式電子
制御パワーステアリング装置のファジィ制御における各
適合度からパワーステアリングアシスト量を求める台集
合の例を示す図である。
【図4】本発明の一実施例としてのファジィ制御式電子
制御パワーステアリング装置のファジィ制御における各
適合度からパワーステアリングアシスト量を求める台集
合の他の例を示す図である。
【図5】本発明の一実施例としてのファジィ制御式電子
制御パワーステアリング装置のファジィ制御における車
速ルールの適合度だけからパワーステアリングアシスト
量を求める台集合の具体例を示す図である。
【図6】本発明の一実施例としてのファジィ制御式電子
制御パワーステアリング装置のファジィ制御における各
適合度からパワーステアリングアシスト量を求める具体
例を示す図である。
【図7】本発明の一実施例としてのファジィ制御式電子
制御パワーステアリング装置の制御内容を示すフローチ
ャートである。
【図8】本発明の一実施例としてのファジィ制御式電子
制御パワーステアリング装置の操舵操作頻度をもとめる
フローチャートである。
【図9】本発明の一実施例としてのファジィ制御式電子
制御パワーステアリング装置の操舵操作頻度のカウント
例を示す図である。
【図10】本発明の一実施例としてのファジィ制御式電
子制御パワーステアリング装置の効果を示す図である。
【図11】従来の電子制御パワーステアリング装置にお
けるインプットシャフト部分及びピニオン部分の縦断面
をパワーステアリング用油圧シリンダとともに示す図で
ある。
【図12】従来の電子制御パワーステアリング装置にお
けるインプットシャフト部分の横断面図であって、図1
1のA−A断面図である。
【図13】従来の電子制御パワーステアリング装置にお
いてインプットシャフトに並設された油圧制御バルブの
縦断面を反力プランジャとともに示す構成図であって、
油圧制御バルブ部分は図12のC−C断面図であり、反
力プランジャ部分は図11のB−B断面図である。
【図14】従来の電子制御パワーステアリング装置にお
けるアシスト量の特性を示す図である。
【符号の説明】
1 ファジィ制御式電子制御パワーステアリング装置 11 インプットシャフト 12 ピニオンギヤ 13 ラック 14 油圧シリンダ 14A シリンダ 14B ピストン 14C,14D 油室 15 トーションバー 16 ロータリバルブ 17 反力プランジャ 17A チャンバ 18 油圧制御バルブ 18A プランジャ 18B,18C 油路 18D,18E 環状油路 18F 油路 19 ソレノイド 20 スプリング 22 リターン用オリフィス 24 オイルリザーバ 25 ケーシング 30 コントロールユニット(制御手段) 30B 目標アシスト量設定手段としてのファジィ演算
部 30G 操舵操作頻度演算部 30c 車速対応適合度算出部 30e 制御量設定部 30f 保舵状態対応適合度算出部 31 車速センサ 34 操舵角センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−43168(JP,A) 特開 昭63−41277(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B62D 6/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両のステアリング機構における操舵ア
    シスト量を電子制御する電子制御パワーステアリング装
    置において、 電子制御時の目標アシスト量を設定する目標アシスト量
    設定手段と、 該ステアリング機構の操舵角を検出する操舵角検出手段
    と、 該車両の車速を検出する車速検出手段と 上記操舵角検出手段で検出された操舵角と該操舵角に基
    づいて求められる操舵角速度履歴とに基づいて保舵状態
    のレベルを判定する保舵状態判定手段と、 をそなえ、 上記目標アシスト量設定手段が、上記車速検出手段で検
    出された車速と上記保舵状態判定手段で判定された保舵
    状態のレベルとを入力条件としてファジィルールに基づ
    いて上記目標アシスト量を設定するように構成されてい
    ることを特徴とする、ファジィ制御式電子制御パワース
    テアリング装置。
  2. 【請求項2】 上記ファジィルールが、 上記車両の車速が高速であるときに、上記保舵状態のレ
    ベルの増大に伴って上記目標アシスト量が増大するよう
    に、 設定されていることを特徴とする、請求項1記載のファ
    ジィ制御式電子制御パワーステアリング装置。
  3. 【請求項3】 上記ファジィルールが、 上記操舵角検出手段の検出した操舵角が大きいときに、
    上記保舵状態のレベルの増大に伴って上記目標アシスト
    量が増大するように、 設定されていることを特徴とする、請求項1 記載のファ
    ジィ制御式電子制御パワーステアリング装置。
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