JP3050029B2 - 電子制御式パワーステアリング装置 - Google Patents

電子制御式パワーステアリング装置

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JP3050029B2
JP3050029B2 JP5335439A JP33543993A JP3050029B2 JP 3050029 B2 JP3050029 B2 JP 3050029B2 JP 5335439 A JP5335439 A JP 5335439A JP 33543993 A JP33543993 A JP 33543993A JP 3050029 B2 JP3050029 B2 JP 3050029B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は車両のステアリング機構
における操舵アシスト量を電子制御する電子制御式パワ
ーステアリング装置に関し、例えば、ファジィルールに
よりその目標アシスト量を設定するようにしたものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、ステアリングホイール(以下、ハ
ンドルという)を操作する力(以下、ハンドル操作力又
は操舵力という)をアシストするために、パワーステア
リング装置が普及している。このパワーステアリング装
置としては、油圧シリンダ機構を利用して油圧により操
舵アシストする油圧式パワーステアリング装置が一般的
に用いられているが、このほか、電動モータにより操舵
アシストする電動パワーステアリング装置も開発されて
いる。
【0003】このようなパワーステアリング装置を用い
ることで、例えば、大型車や幅太タイヤを操舵輪に装着
した車両等の大きなハンドル操作力が要求される車両で
あっても、小さなハンドル操作力でハンドル操舵を行な
うことができ、所謂、ハンドルの重さが解消される。と
ころで、一般に、車庫入れ等の低速時にはハンドルをよ
り軽くすることで軽快に操作できるようにしたい。一
方、高速走行時にはハンドルがあまり軽いと走行が不安
定になってしまうので、重くすることで安定して操作で
きるようにしたい。そのため、車速に応じて低速時には
操舵アシスト量を多くし、中高速時には高速になるのに
伴って操舵アシスト量を少なくするようにした車速感応
型パワーステアリング装置が開発されている。
【0004】このような車速感応型パワーステアリング
装置としては、車両に車速センサを設ける一方、油圧式
パワーステアリング装置の油圧系統の一部にパワーステ
アリングへの供給油圧を調整しうるバルブ等を設け、車
速センサで検出した車速に基づいてバルブ等の作動を電
子制御しながら、操舵アシスト量を調整するようにした
もの(これを電子制御式パワーステアリング装置とい
う)がある。
【0005】図20に従来の電子制御式パワーステアリ
ング装置の一例を表すパワーステアリング用油圧制御部
の概略構成、図21に図20のXXI−XXI断面、図22に
図20のXXII−XXII断面を示す。
【0006】図20乃至図22に示すように、11は図
示しないステアリングホイール(ハンドル)から操舵力
を受けるインプットシャフトであり、ケーシング12内
に軸受により回転自在に支持されている。このインプッ
トシャフト11の下端には図示しないブッシュ等を介し
てピニオンギヤ13が相対回転自在に装着されている。
また、インプットシャフト11の中空部内にはトーショ
ンバー14が内装されており、このトーションバー14
はその上端がインプットシャフト11にピンにより一体
回転できるように結合される一方、その下端はインプッ
トシャフト11に対して拘束されずにフリーとなってい
る。
【0007】インプットシャフト11の下端のピニオン
ギヤ13はトーションバー14の下端とセレーション結
合しており、インプットシャフト11に入力された操舵
力がトーションバー14を介してピニオンギヤ13に伝
達されるようになっている。このピニオンギヤ13はラ
ック15と噛み合っており、インプットシャフト11に
よる操舵力がピニオンギヤ13を介してラック15に伝
わり、このラック15を軸方向(図20において紙面直
交方向)に駆動することで図示しない車輪の操舵を行う
ことができるようになっている。
【0008】ケーシング12内において、インプットシ
ャフト11側とピニオンギヤ13側との間にはロータリ
バルブ16が介装されており、このロータリバルブ16
はインプットシャフト11とピニオンギヤ13との周方
向の位相差に応じて開閉するようになっている。そし
て、このロータリバルブ16には外部に設けられたオイ
ルポンプ17の作動油供給管18及びオイルリザーバ1
9の作動油排出管20が接続されている。一方、21は
パワーステアリング用油圧シリンダであり、この油圧シ
リンダ21は車体側の所定の部材に設置された中空のシ
リンダ22内にピストン23が軸方向移動自在に支持さ
れて構成され、このピストン23のピストン軸24は前
述したラック15の途中に固結されている。そして、ピ
ストン23はシリンダ22内を左右に仕切り、油室2
5,26を形成している。
【0009】従って、インプットシャフト11に操舵力
が入力されると、インプットシャフト11は剛であって
殆ど捩じりを生じないが、トーションバー14は捩じれ
を生じながらピニオンギヤ13に操舵力を伝達する。す
ると、このピニオンギヤ13がインプットシャフト11
に対して操舵側へ位相差を生じるようになり、この位相
差に応じてロータリバルブ16が駆動する。そして、こ
のロータリバルブ16の開閉に応じてオイルポンプ17
から作動油供給管18を介して油圧シリンダ21の左右
の油室25,26に作動油の供給が行われることで、操
舵アシスト力がラック15に与えられ、操舵方向へ所要
の操舵アシスト力が生じるようになっている。
【0010】また、ケーシング12内において、インプ
ットシャフト11の下部外周には、操舵時に操舵反力を
与えて操舵力(操舵手応え)を増大させる反力プランジ
ャ27が設けられている。この反力プランジャ27はイ
ンプットシャフト11の外周を包囲するように複数個設
けられており、油圧制御バルブ28の制御を通じて供給
された油圧を受け、この油圧に応じてインプットシャフ
ト11を拘束して操舵反力を与えるようになっている。
【0011】即ち、反力プランジャ27はインプットシ
ャフト11の外周を包囲するようにケーシング12に均
等間隔で4個設けられており、その外端部側にチャンバ
29が形成されると共にリターン用オリフィス30が設
けられている。一方、油圧制御バルブ28はケーシング
12内においてインプットシャフト11の側方に隣接し
てこれと平行をなして設けられている。この油圧制御バ
ルブ28において、ケーシング12内にはスプール31
が上下に移動自在に設けられており、且つ、このスプー
ル31は上部に設けられたスプリング32によって下方
に付勢支持されている。また、スプール31の下部外周
片にはソレノイド33が設けられており、このスプール
31にはソレノイド33を励磁することで上方への軸力
が与えられるようになっている。
【0012】このスプール31にはオイルリザーバ19
の作動油排出管20に通じる油路34,35とオイルポ
ンプ17の作動油供給管18に通じうる環状油路36と
が形成されると共に、反力プランジャ27のチャンバ2
9に作動油給排管37を介して通じる環状油路38と環
状油路36,38を相互に連通する油路39とが形成さ
れている。従って、通常、ソレノイド33の消磁状態で
は、スプール31が下降位置にあって作動油供給管18
と環状油路36とは連通している。そのため、オイルポ
ンプ17から作動油供給管18を介して油圧制御バルブ
28に供給された作動油は、環状油路36から油路3
9、環状油路38を通じて反力プランジャ27のチャン
バ29に供給されるようになっている。一方、ソレノイ
ド33の励磁状態では、スプール31が上昇位置にあっ
て作動油供給管18と環状油路36とは連通していな
い。そのため、オイルポンプ17から作動油供給管18
を介して油圧制御バルブ28に供給された作動油は、反
力プランジャ27のチャンバ29には供給されないよう
になっている。
【0013】このようにソレノイド33に与える電流を
調整することで、操舵アシスト特性を制御することがで
きる。また、ソレノイド33を制御するコントロールユ
ニット(CU)40には車速センサ41、エンジン回転
数センサ42等が接続されており、コントロールユニッ
ト40はこれらの出力信号に基づいて、ソレノイド33
に与える電流量を設定してソレノイド33を制御するこ
とができるようになっている。
【0014】而して、例えば、車両の据え切り時や低速
走行操舵時には、ソレノイド33に最大電流を与えるよ
うにする。これにより、スプール31が最も上昇して環
状油路36がオイルポンプ17の作動油供給管18と連
通しなくなり、反力プランジャ27のチャンバ29への
オイル供給が行なわれなくなる。従って、この反力プラ
ンジャ27によりインプットシャフト11は拘束されな
くなり、ハンドルを軽快に操舵することができる。
【0015】そして、例えば、車両の中高速走行時に
は、車速の増加に応じてソレノイド33に与える電流を
減少させていく。すると、ハンドルの中立時には、スプ
ール31の軸力が電流現象に伴って低下し、これに伴い
スプール31が降下して環状油路36がオイルポンプ1
7の作動油供給管18と連通するようになり、反力プラ
ンジャ27のチャンバ29へオイル供給が行なわれるよ
うになる。従って、反力プランジャ27によりインプッ
トシャフト11は拘束されるので、ハンドルが中立に保
持される。そして、この中立状態でハンドルを微小に操
舵すると、オイルポンプ17の出力が上昇しようとする
が、この吐出圧は油圧制御バルブ28でほとんど制御さ
れることなく反力プランジャ27のチャンバ29に作用
する。そのため、ハンドルの中立状態の近傍では、操舵
力が増してハンドル中立手応えを十分に得ることがで
き、中立状態でのハンドル安定感が増加するようになっ
ている。
【0016】また、この中高速走行時に操舵する際、通
常の操舵範囲内では、ハンドルの操舵に応じて(操舵力
の増大に応じて)オイルポンプ17の出力が上昇し、操
アシスト量を増大させるように作用する。一方で、オ
イルポンプ17の吐出圧が油圧制御バルブ28で制御さ
れながら反力プランジャ27のチャンバ29に作用す
る。従って、この反力プランジャ27によりインプット
シャフト11は拘束され、操舵手応え(操舵力)を増大
させることができる。
【0017】この結果、中高速走行操舵時には、据え切
り時や低速走行操舵時に比べて反力プランジャ27の作
用する分だけ操舵力が増大する。つまり、操舵手応えが
大きくなって安定した操舵フィーリングが得られる。特
に、車速の増加に応じてソレノイド33に与える電流を
減少させていることで、高速になるほど操舵アシスト量
が減少して操舵力(操舵手応え)が大きくなり、より安
定した操舵フィーリングを得ることができる。
【0018】また、ソレノイド33を制御するコントロ
ールユニット40には車速センサ41とエンジン回転数
センサ42が接続されており、車速信号とエンジン回転
数信号から検出系統などの異常を検知し、ソレノイド3
3をオフにするなどしてフェイルセーフ制御を行うこと
ができるようになっている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】ところで、パワーステ
アリング装置において、実際には、車両の走行状態、つ
まり、直進走行であるか旋回走行であるか、また、加速
時であるか減速(制動)時であるか等によって要求され
る操舵力特性が異なるものである。しかしながら、前述
した従来の電子制御式パワーステアリング装置にあって
は、単に、車速に対応して操舵アシスト量の制御を行っ
ているので、常に最適な操舵フィーリングを得ることが
できない。
【0020】例えば、車両の高速走行中における操舵安
定性を確保するために、ドライバは操舵アシスト量を小
さくすることで、ある程度重みのある操舵力を望むもの
である。しかし、車両の高速走行中であっても操舵アシ
スト量を大きくして軽い操舵力とした方がドライバにと
っては有利な場合がある。
【0021】即ち、車両が高速道路において、緩やかで
長い曲率の大きなカーブや高速道路に入出するランプ等
では、一定時間その道路の曲率に合った適当な操舵角に
ハンドルを操舵した状態で保持、即ち、保舵する必要が
ある。この場合、車両の操舵アシスト量が小さく設定さ
れて操舵力がある程度重くなっていると、ドライバには
大きな操舵(保舵)力が要求され、ハンドル操舵に大き
な負担となってしまうという問題があった。
【0022】なお、電子制御式パワーステアリング装置
としては前述したものの他に、ハンドルの操舵方向の信
号と車両の車高値の信号とからファジィルールに従って
アシスト量を変化させるパワーステアリング装置が、特
開平2−171384において開示されている。また、
ハンドルの操舵方向の信号と車両内の温度の信号とから
ファジィルールに従ってアシスト量を変化させるパワー
ステアリング装置が、特開平2−171385において
開示されている。
【0023】しかし、これらのパワーステアリング装置
にあっても、前述したように、高速走行中における緩や
かで長い曲率の大きなカーブ等でのハンドル保舵時の操
舵アシスト量を的確に制御することはできず、常に最適
な操舵フィーリングを得ることができないという問題が
ある。
【0024】そこで、本出願人は上述した問題点を解決
するためのファジィ制御式電子制御パワーステアリング
装置をすでに特願平4−334617(平成4年12月
15日)として出願しており、その改良を、特願平5−
150305(平成5年6月22日)として出願してい
る。
【0025】このファジィ制御式電子制御パワーステア
リング装置(特願平4−334617)は電子制御時の
目標アシスト量を設定する目標アシスト量設定手段を備
え、この目標アシスト量設定手段が車両の走行速度を評
価するメンバシップ関数と操舵角に基づく保舵状態のレ
ベルを評価するメンバシップ関数とを用い、車両の走行
速度の増加に伴って目標アシスト量を低減すると共に保
舵状態のレベルの増加に伴って目標アシスト量を増加す
るファジィルールに基づいて目標アシスト量を設定する
ように構成されている。そして、この保舵状態のレベル
は、車速と操舵角と所定時間内における操舵角速度の変
位回数との3つから設定されるようになっている。
【0026】そして、保舵状態のレベルを設定する項目
の1つとして所定時間内における操舵角速度の変位回数
を適用しており、保舵適合度(保舵状態のレベル)はこ
の変位回数が0〜2までは適合度が1で一定であり、2
から大きくなるにしたがって減少し、3で適合度が0と
一定になっている。この変位回数は、操舵角速度が保舵
領域と左操舵操作領域と右操舵操作領域の3つの領域の
いずれにあるかを判定し、この操舵角速度が異なる領域
に変化した事象の4秒間における回数をカウントするこ
とで求められる。従って、前述したように、高速道路に
おいて、車両が緩やかで長い曲率の大きなカーブを走行
しているときは、その道路の曲率に合った操舵角でハン
ドルを保舵しており、4秒間における操舵角速度の変位
回数は0であって適合値が1となり、車両の操舵アシス
ト量を増大して操舵力をある程度軽くすることができ
る。
【0027】しかし、車両がこの保舵状態で高速走行し
ているときにハンドル(操舵力)は軽くなっているが、
ドライバが車線変更等によって所定量操舵した場合に
は、ハンドルを操舵しすぎないようにある程度重みのあ
る操舵力特性としたい。ところが、前述したファジィ制
御式電子制御パワーステアリング装置にあっては、高速
走行での操舵力がある程度軽い保舵状態から、車線変更
等によって所定量操舵すると、その操舵角速度の変位回
数が変化することで保舵適合度が下がり、操舵アシスト
量を低減して操舵力を重くしているが、保舵適合度を下
げるためには少なくとも操舵角速度の変位回数を4秒間
カウントする必要があり、応答性が良くなかった。即
ち、ドライバが高速道路上の障害物を避けるために瞬間
的にハンドルを操舵した場合などには操舵アシスト量を
素早く減少して操舵力を重くすることはできず、車両の
操舵が不安定となってしまう虞があった。
【0028】また、先に出願した電子制御式パワーステ
アリング装置(特願平5−150305)は、目標アシ
スト量設定手段が車両の走行速度を評価するメンバシッ
プ関数と操舵角速度に基づく保舵度合係数を評価するメ
ンバシップ関数とを用い、車両の走行速度の増加に伴っ
て目標アシスト量を低減すると共に保舵度合係数の増加
に伴って目標アシスト量を増加するファジィルールに基
づいて目標アシスト量を設定し、この保舵度合係数を操
舵角速度並びに操舵角変化量に基づいて増加する一方、
操舵角速度によって変化するパラメータに基づいて減少
するように構成されている。
【0029】従って、高速道路において、車両が緩やか
で長い曲率の大きなカーブを走行しているときは、その
道路の曲率に合った操舵角でハンドルを保舵しており、
操舵角速度並びに操舵角変化量が低下して保舵度合係数
が増加し、操舵アシスト量が漸増されることで車両の操
舵アシスト量を増大し、操舵力がある程度軽くなって操
舵容易性が向上する。一方、保舵状態からドライバが車
線変更等によって所定量操舵したときには、操舵角速度
が上昇することによってパラメータが変化して保舵度合
係数が減少し、操舵アシスト量が瞬間的に減少すること
でハンドルが瞬時に重くなって操舵安定性が向上する。
【0030】しかし、この電子制御式パワーステアリン
グ装置にあっても車両の走行時における操舵の容易性並
びに安定性を十分に確保することはできない。即ち、車
両の保舵状態からドライバが車線変更等によって所定量
操舵したときには、保舵度合係数が減少することで操舵
アシスト量を瞬間的に減少してハンドルを重くしてい
る。この保舵度合係数を減少させる場合、具体的には操
舵角速度に基づく保舵解除度合係数を設定しているが、
保舵解除度合係数の標準値が一定であるため、車両のす
べての走行状態において操舵アシスト量、即ち、ハンド
ルの操舵力を適度に設定することはできなかった。
【0031】本発明は、上述の問題点を解決するもので
あって、車両の走行状態に応じて最適な操舵特性を瞬時
に得ることのできる電子制御式パワーステアリング装置
を提供することを目的とする。
【0032】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めの本発明の電子制御式パワーステアリング装置は、車
両のステアリング機構における操舵アシスト量を電子制
御する電子制御式パワーステアリング装置において、車
両の走行速度を検出する車速検出手段と、前記ステアリ
ング機構の操舵角を検出する操舵角検出手段と、前記車
両の走行速度並びに前記ステアリング機構の操舵角速度
に基づく保舵度合係数を入力条件として目標アシスト量
を設定する目標アシスト量設定手段とを具え、前記保舵
度合係数は前記操舵角速度並びに操舵角変化量に基づい
て増加される一方、前記走行速度並びに操舵角速度によ
って変化するパラメータに基づいて減少され、該保舵度
合係数の増加に伴って前記目標アシスト量が増加され
ことを特徴とするものである。
【0033】また、本発明の電子制御式パワーステアリ
ング装置は、車両のステアリング機構における操舵アシ
スト量を電子制御する電子制御式パワーステアリング装
置において、車両の走行速度を検出する車速検出手段
と、前記ステアリング機構の操舵角を検出する操舵角検
出手段と、前記車両の走行速度を評価するメンバシップ
関数とステアリング機構の操舵角速度に基づく保舵度合
係数を評価するメンバシップ関数とを用いて前記車両の
走行速度の増加に伴って前記目標アシスト量を低減する
と共に前記保舵度合係数の増加に伴って前記目標アシス
ト量を増加するファジィルールに基づいて前記目標アシ
スト量を設定する目標アシスト量設定手段とを具え、前
記保舵度合係数は前記操舵角速度並びに操舵角変化量に
基づいて増加される一方、前記走行速度並びに操舵角速
度によって変化するパラメータに基づいて減少されるこ
とを特徴とするものである。
【0034】また、本発明の電子制御式パワーステアリ
ング装置は、パラメータは車両の走行速度並びに横加速
度によって設定される基準値から操舵角速度に基づいて
算出される保舵解除度合係数であることを特徴とするも
のである。
【0035】また、本発明の電子制御式パワーステアリ
ング装置は、パラメータは車両の走行速度並びに横加速
度によって設定される複数の関数マップから選択されて
操舵角速度に基づいて設定されることを特徴とするもの
である。
【0036】
【作用】車速検出手段は車両の走行速度を検出し、操舵
角検出手段はステアリング機構の操舵角を検出し、目標
アシスト量設定手段が車両の走行速度と操舵角速度に基
づく保舵度合係数とを入力条件として目標アシスト量を
設定し、この保舵度合係数を操舵角速度並びに操舵角変
化量に基づいて増加する一方、走行速度並びに操舵角速
度によって変化するパラメータに基づいて減少され、こ
の保舵度合係数の増加に伴って目標アシスト量が増加さ
る。従って、保舵走行時には、保舵度合係数を操舵角
速度並びに操舵角変化量に基づいて増加させることによ
り、操舵アシスト量が漸増されることでハンドルが軽く
なって操舵容易性が向上する。一方、保舵度合係数を減
少することによりハンドルが瞬時に重くなって操舵安定
性が向上する。
【0037】また、車速検出手段は車両の走行速度を検
出し、操舵角検出手段はステアリング機構の操舵角を検
出し、目標アシスト量設定手段は車両の走行速度を評価
するメンバシップ関数とステアリング機構の操舵角速度
に基づく保舵度合係数を評価するメンバシップ関数とを
用い、車両の走行速度の増加に伴って目標アシスト量を
低減すると共に保舵度合係数の増加に伴って目標アシス
ト量を増加するファジィルールによって目標アシスト量
を設定し、また、保舵度合係数は、操舵角速度並びに操
舵角変化量に基づいて増加される一方、走行速度並びに
操舵角速度によって変化するパラメータに基づいて減少
される。このようにファジィルールにより簡単で細かい
制御が可能となる。
【0038】そして、パラメータを車両の走行速度並び
に横加速度によって設定される基準値から操舵角速度に
基づいて算出される保舵解除度合係数とすることで、車
両の保舵解除時には車両の走行速度並びに横加速度に合
わせて、即ち、高速走行をしているか、低速走行をして
いるか、また、急旋回か緩旋回かを検出してアシスト量
の減少量が設定される。
【0039】また、パラメータを車両の走行速度並びに
横加速度によって設定される複数の関数マップから選択
して操舵角速度に基づいて算出することで、車両の保舵
解除時には車両の走行速度並びに横加速度に合わせてア
シスト量の減少量が設定されることとなり、制御が容易
となる。
【0040】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。
【0041】
【実施例】図1に本発明の電子制御式パワーステアリン
グ装置の一実施例に係るパワーステアリング用油圧制御
部の概略構成、図2にファジィ制御に用いる車速のメン
バシップ関数を表すグラフ、図3にファジィ制御に用い
る車速×横加速度のメンバシップ関数を表すグラフ、図
4にファジィ制御に用いる保舵度合係数のメンバシップ
関数を表すグラフ、図5に各メンバシップ関数の適合度
からパワーステアリングアシスト量を重心法により求め
るメンバシップ関数を表すグラフ、図6に保舵度合係数
を演算するためのフローチャート、図7に操舵角変化量
を演算するためのフローチャート、図8にファジィ制御
に用いる保舵解除度合係数の基準値のメンバシップ関数
を表すグラフ、図9に保舵解除度合係数の基準値をファ
ジィ制御によって求める演算処理の具体的な制御例、図
10に平均車速を演算するためのフローチャート、図1
1に平均横加速度を演算するためのフローチャート、図
12に平均車速を演算するための別のフローチャート、
図13に平均横加速度を演算するための別のフローチャ
ート、図14にファジィ制御を表すフローチャート、図
15に車速及び車速×横加速度、保舵度合係数の各メン
バシップ関数から重心法によりアシスト量を求める演算
処理の具体的な制御例、図16に本実施例のファジィ制
御による高速走行保舵における操舵角に対する保舵力に
関する効果を表すグラフ、図17に本実施例のファジィ
制御による市街地車線変更における操舵速度の違いによ
る操舵角に対する操舵力に関するグラフ、図18に本実
施例のファジィ制御による高速車線変更における操舵速
度の違いによる操舵角に対する操舵力に関するグラフ、
図19に操舵角速度に対する保舵解除度合係数の関数マ
ップを示す。なお、従来と同様の機能を有する部材には
同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0042】本実施例の電子制御式パワーステアリング
装置はファジィ推論によってパワーステアリング用油圧
制御部を制御するものであるが、電子制御式パワーステ
アリング装置の機械的な部分(ハード構成)は、前述し
た従来例のものとほぼ同様に構成されているものであ
り、その点については簡単に説明する。
【0043】図1に示すように、インプットシャフト1
1は図示しないステアリングホイール(ハンドル)から
操舵力を受けるもであり、ケーシング12内に回転自在
に支持されている。このインプットシャフト11の下端
にはピニオンギヤ13が相対回転自在に装着されてお
り、また、インプットシャフト11の中空部内にはトー
ションバー14が内装され、その上端のみがインプット
シャフト11に結合されている。ピニオンギヤ13はト
ーションバー14の下端とセレーション結合し、且つ、
このピニオンギヤ13はラック15と噛み合っており、
インプットシャフト11による操舵力がトーションバー
14を介してピニオンギヤ13に伝達され、更に、ラッ
ク15に伝わり、このラック15を軸方向に駆動するこ
とで車輪の操舵を行うことができるようになっている。
【0044】ケーシング12内のロータリバルブ16は
インプットシャフト11とピニオンギヤ13との周方向
の位相差に応じて開閉するようになっており、オイルポ
ンプ17の作動油供給管18及びオイルリザーバ19の
作動油排出管20が接続されている。一方、パワーステ
アリング用油圧シリンダ21はシリンダ22内にピスト
ン23が軸方向移動自在に支持されて構成され、このピ
ストン23のピストン軸24はラック15の途中に固結
されている。そして、ピストン23はシリンダ22内を
左右に仕切り、油室25,26を形成している。
【0045】従って、インプットシャフト11に操舵力
が入力されると、トーションバー14が捩じれを生じな
がらピニオンギヤ13に操舵力を伝達し、ピニオンギヤ
13がインプットシャフト11に対して操舵側へ位相差
を生じるようになり、この位相差に応じてロータリバル
ブ16が駆動する。そして、このロータリバルブ16の
開閉に応じてオイルポンプ17から作動油が油圧シリン
21の各油室25,26に供給されることで、操舵ア
シスト力がラック15に与えられ、操舵方向へ所要の操
舵アシスト力が生じるようになっている。
【0046】また、インプットシャフト11の下部外周
には操舵時に操舵反力を与えて操舵力(操舵手応え)を
増大させる反力プランジャ27が設けられており、油圧
制御バルブ28の制御によってインプットシャフト11
を拘束して操舵反力を与えるようになっている。即ち、
反力プランジャ27はインプットシャフト11の外周を
包囲するように本実施例ではケーシング12に均等間隔
で4個設けられており、その外端部側にチャンバ29が
形成されている。一方、油圧制御バルブ28はケーシン
グ12内においてインプットシャフト11の側方に隣接
してこれと平行をなして設けられている。この油圧制御
バルブ28において、ケーシング12内にはスプール3
1が上下に移動自在に設けられており、且つ、このスプ
ール31は上部に設けられたスプリング32によって下
方に付勢支持されている。また、スプール31の下部外
周片にはソレノイド33が設けられており、このスプー
ル31にはソレノイド33を励磁することで上方への軸
力が与えられるようになっている。
【0047】このスプール31にはオイルリザーバ19
の作動油排出管20に通じる油路34,35とオイルポ
ンプ17の作動油供給管18に通じうる環状油路36と
が形成されると共に、反力プランジャ27のチャンバ2
9に作動油給排管37を介して通じる環状油路38と環
状油路36,38を相互に連通する油路39とが形成さ
れている。従って、ソレノイド33の消磁状態では、ス
プール31が下降位置にあって作動油供給管18と環状
油路36とは連通しており、作動油はオイルポンプ17
から作動油供給管18を介して油圧制御バルブ28に供
給され、環状油路36から油路39、環状油路38を通
じて反力プランジャ27のチャンバ29に供給される。
一方、ソレノイド33の励磁状態では、スプール31が
上昇位置にあって作動油供給管18と環状油路36とは
連通しておらず、作動油は油圧制御バルブ28には供給
されない。
【0048】このような油圧制御バルブ28はコントロ
ールユニット(CU)51によって制御されるようにな
っている。即ち、このコントロールユニット51には車
速センサ41、並びに操舵角センサ52、エンジン回転
数センサ42等が接続されている。このコントロールユ
ニット51は横加速度演算部53と保舵度合演算部54
とファジィ演算により目標アシスト量を設定するファジ
ィ演算部55とを有している。そして、コントロールユ
ニット51において、横加速度演算部53では、車速セ
ンサ41から入力された車速Vと操舵角センサ52から
入力された操舵角haとに基づいて車両に生じる横加速度
Y を算出する。更に、横加速度演算部53では、車速
Vに算出された横加速度GY を乗算して演算値V・GY
を求め、ファジィ演算部55に出力する。
【0049】また、コントロールユニット51におい
て、保舵度合演算部54では、操舵角センサ52から入
力された操舵角haに基づいて操舵角速度ha’及び所定時
間内での操舵角変化量Hを算出すると共に、車速センサ
41から入力された車速Vと横加速度演算部53から入
力された横加速度GY とからそれぞれ平均車速Va 及び
平均横加速度GYaを算出し、この操舵角速度ha’及び操
舵角変化量H、平均車速Va 、平均横加速度GYaから保
舵度合係数KS を求め、ファジィ演算部55に出力す
る。そして、このファジィ演算部55では、車速センサ
41から入力された車速Vと横加速度演算部53から入
力された演算値V・GY と保舵度合演算部54から入力
された保舵度合係数KS とからファジィ演算を行い、そ
の演算結果を油圧制御バルブ28に出力し、ソレノイド
33に与える電流量を設定してソレノイド33を制御す
るようになっている。
【0050】このファジィ演算部55では、図2に示す
ように、車速Vから走行状態に関する適合度(グレー
ド)を求めるメンバシップ関数と、図3に示すように、
車速Vに横加速度GY を乗算した演算値V・GY に関す
る適合度を求めるメンバシップ関数と、図4に示すよう
に、保舵度合係数KS に関する適合度を求めるメンバシ
ップ関数とを適用し、車両の走行状態における車速Vの
適合度及び演算値V・G Y の適合度、保舵度合係数KS
の適合度をそれぞれ求める。そして、これらの適合度か
ら、図5に示すように、台集合を示すグラフから重心法
によって制御量、即ち、操舵アシスト量を決定し、ソレ
ノイド33に与える電流量を制御するようになってい
る。
【0051】本実施例では、車速Vのメンバシップ関数
として走行状態を、図2に示すように、3段階の状態に
分け、車速Vが0〜75km/hを「低速走行モード」、
30〜120km/hを「中速走行モード」、75km/h
以上を「高速走行モード」と設定しており、これらのモ
ードに対する適合度を車速Vに対応して決定する。一
方、アシスト制御量の評価を、図5に示すように、3段
階の状態に分け、「S(スモール)」、「M(ミディア
ム)」、「B(ビッグ)」と設定しており、評価Sでは
アシスト量を100%とし、評価Bではアシスト量を0
%としている。
【0052】そして、車速Vのメンバシップ関数の低速
走行モードに関してはアシスト制御量の評価S、また、
中速走行モードに関しては評価M、高速走行モードに関
しては評価Bというようにそれぞれ対応させている。即
ち、車速Vが上昇すると操舵アシスト量を低減してハン
ドルを重くする、というルールを設定している。
【0053】また、車速Vに横加速度GY を乗算した演
算値V・GY のメンバシップ関数として走行状態を、図
3に示すように、演算値V・GY が0〜100Gkm/h
の領域までは、演算値V・GY の増大に応じて適合度が
リニアに増大し、演算値V・GY が100Gkm/h以上
の領域では、演算値V・GY の増大によらず適合度が一
定となるように設定されている。そして、この演算値V
・GY のメンバシップ関数は、その適合度に応じてアシ
スト制御量の評価Bに対応させている。即ち、演算値V
・GY が上昇すると操舵アシスト量を低減してハンドル
を重くする、というルールを設定している。
【0054】また、保舵度合係数KS はメンバシップ関
数として走行状態を、図4に示すように、保舵度合係数
S が0〜200の領域まで、この保舵度合係数KS
増大に応じて適合度がリニアに増大するように設定され
ている。そして、この保舵度合係数KS のメンバシップ
関数は、その適合度に応じてアシスト制御量の評価Sに
対応させている。即ち、保舵度合係数KS が上昇すると
操舵アシスト量を増加してハンドルを軽くする、という
ルールを設定している。
【0055】ここで、保舵度合演算部54による保舵度
合係数KS の演算方法について、図6乃至図13に基づ
いて説明する。図6に示すように、ステップC1におい
て、操舵角センサ52から操舵角haを読込み、ステップ
C2では、その操舵角haから操舵角速度ha’を演算して
求める。ステップC3では、後述する演算方法によって
過去2秒間の操舵角変化量Hを求める。
【0056】そして、ステップC4において、操舵角速
度ha’が30deg/s以下で、且つ、操舵角変化量Hが
10deg以下であるかどうかを判定する。即ち、ここで
はドライバの保舵状態を判定するものであり、保舵状態
であれば、以下のステップC6〜C8にて保舵度合係数
S をカウントアップして増大させていくことで設定す
る。従って、このステップC4にて操舵角速度ha’及び
操舵角変化量Hが所定の保舵範囲内にあれば、ドライバ
があまり操舵してない、所謂、保舵状態であると判定し
てステップC5に移行する。一方、操舵角速度ha’ある
いは操舵角変化量Hがこの範囲になければ、ドライバが
操舵しているために保舵状態にないと判定してステップ
C8に移行する。
【0057】ステップC4にて操舵角速度ha’及び操舵
角変化量Hからドライバが保舵状態であると判定されれ
ば、ステップC5では、保舵度合係数KS を1つカウン
トアップする。そして、ステップC6で、保舵度合係数
S が200より大きいかどうかを判定し、200より
大きければステップC7にて保舵度合係数KS を200
としてステップC8に移行し、200より大きくなけけ
れば保舵度合係数KSをそのままとしてステップC8に
移行する。
【0058】そして、ステップC8〜C14において
は、保舵解除度合係数K1 を演算して求め、保舵度合係
数KS に置換することで減算し、保舵状態を解除するも
のであり、ステップC8にて、車速センサ41から車速
Vを読込み、ステップC9では、その車速Vから所定時
間内の平均車速Va を演算し、ステップC10では、車
速Vと操舵角haと基づいて得られた横加速度GY から所
定時間内の平均横加速度GYaを演算して求める。また、
ステップC11にて、平均車速Va 及び平均横加速度G
Yaから保舵解除度合係数の基準値Kb を設定する。そし
て、ステップC12において、ここではドライバの操舵
状態のときの保舵度合係数KS を設定、即ち、保舵状態
が解除したときに保舵度合係数KS を減算する。このス
テップC12において、保舵解除度合係数K1 を下式に
基づいて演算する。保舵解除度合係数K1 =保舵解除度
合係数基準値Kb /(操舵角速度ha’)2
【0059】そして、ステップC13では、この保舵解
除度合係数K1 が保舵度合係数KSより小さいかどうか
を判定し、そうであればドライバが操舵状態にあると判
定してステップC14に移行し、このステップC14に
て保舵解除度合係数K1 を保舵度合係数KS として置換
する。一方、保舵解除度合係数K1 が保舵度合係数K S
より小さくなければ、ドライバがまだ保舵状態であると
判定する。
【0060】このように、操舵角速度ha’及び操舵角変
化量Hに基づいて保舵状態を判定して保舵度合係数KS
を増大させる一方、操舵角速度ha’による所定の演算式
に基づいて保舵解除度合係数K1 を設定して保舵度合係
数KS として置換させる。そして、求められた保舵度合
係数KS からメンバシップ関数の適合度を求め、その適
合度に応じてアシスト制御量を決定する。具体的には、
例えば、高速道路において、車両が緩やかで長い曲率の
大きなカーブを走行しているときは、ドライバはその道
路の曲率に合った操舵角でハンドルを保舵しており、操
舵角速度ha’及び操舵角変化量Hが所定範囲以下である
ので、保舵状態と判定して保舵度合係数KS をカウント
アップして最大で200とする。そして、この保舵状態
(保舵度合係数KS =200)からドライバが車線変更
のために所定量操舵した場合には、操舵角速度ha’及び
操舵角変化量Hが所定範囲を越えるので、操舵したと判
定して保舵度合係数KS のカウントアップを停止すると
共に、そのときの操舵角速度ha’から算出した保舵解除
度合係数K1 を保舵度合係数KS として置換して保舵度
合係数KS を200から下げていく。
【0061】また、前述した保舵度合係数KS の演算の
フローチャートにおいて、算出する操舵角変化量Hは以
下のような方法にて算出するものである。この保舵度合
係数の演算処理は所定周期、例えば、50ミリ秒ごとの
割り込み信号の度に行われ、200マイクロ秒ごとに操
舵角センサ52から操舵角haを読み込んでいく。そし
て、図7に示すように、ステップD1において、現在の
操舵角ha(t) と前回(50ミリ秒前)の操舵角ha(t-1)
との差の絶対値bを演算する。ステップD2では、演算
して求めた操舵角の差の絶対値bを累積していき、b
(n) を求め、ステップD3にて経過タイマーのカウント
アップを開始する。そして、ステップD4において、経
過時間Tが0.5秒を越えたかどうかを判定し、経過し
ていればステップD5にて経過タイマーのカウント値を
0にリセットする。
【0062】ステップD6では、0.5秒間における操
舵角の差の絶対値b(0) ,b(1) ,b(2) ,b(3) を累
積して2秒間の操舵角変化量Hを求める。そして、、ス
テップD7にてnを1つ繰り上げ、ステップD8におい
て、nが3を越えたかどうかを判定し、越えていればス
テップD9にてnを0とする。
【0063】更に、前述した保舵度合係数KS の演算の
フローチャートにおいて、算出する保舵解除度合係数の
基準値Kb は平均車速Va 及び平均横加速度GYaからフ
ァジィ推論によって算出されるものである。即ち、図8
に示すように、平均車速Vaから走行状態に関する適合
度を求めるメンバシップ関数と、平均横加速度GYaに関
する適合度を求めるメンバシップ関数とを適用し、車両
の走行状態における平均車速Va の適合度及び平均横加
速度GYaの適合度をそれぞれ求める。そして、これらの
適合度から重心法によって保舵解除度合係数の基準値K
b を決定するようになっている。
【0064】そして、平均車速Va のメンバシップ関数
として走行状態を2段階に分け、0〜80km/hを「低
速走行モード」、40km/h以上を「高速走行モード」
と設定しており、また、平均横加速度GYaのメンバシッ
プ関数として走行状態を2段階に分け、0〜0.3Gを
「緩旋回モード」、0.2G以上を「急旋回モード」と
設定している。一方、保舵解除度合係数の基準値Kb
評価を3段階に分け、「S(Kb =100000)」、
「M(Kb =200000)」、「B(Kb =3000
00)」と設定している。
【0065】そして、車両の平均車速Va 及び平均横加
速度GYaの各モードに基づく適合度を保舵解除度合係数
の基準値Kb の評価に対応させるにあたり、4つのルー
ルを設けている。即ち、ルールとして、平均車速Va
がSで平均横加速度GYaがSであるときには保舵解除度
合係数の基準値Kb の評価をBとする。ルールとし
て、平均車速Va がBで平均横加速度GYaがSであると
きには保舵解除度合係数の基準値Kb の評価をSとす
る。ルールとして、平均車速Va がSで平均横加速度
YaがBであるときには保舵解除度合係数の基準値Kb
の評価をMとする。ルールとして、平均車速Va がB
で平均横加速度GYaがBであるときには保舵解除度合係
数の基準値Kb の評価をMとする。なお、この適合度の
決定方法にあっては、本実施例では、平均車速Va のメ
ンバシップ関数に対する適合度と平均横加速度GYaのメ
ンバシップ関数に対する適合度とのうち小さい方を採用
したが、小さい方を採用する方法だけでなく、平均値を
採用しても良いものである。
【0066】ここで、この車両の平均車速Va 及び平均
横加速度GYaのメンバシップ関数から保舵解除度合係数
の基準値Kb を求める具体例を図9に基づいて説明す
る。図9に示すように、ルールでは、平均車速Va
30km/hのときは低速走行モードでの適合度が1で、
平均横加速度GYaが0.25Gのときは緩旋回モードで
の適合度が0.5であり、両適合度のうち小さい方を採
用するので保舵解除度合係数の基準値Kb の評価はBで
0.5となる。また、ルールでは、平均車速Va が3
0km/hのときは高速走行モードでの適合度が0で、平
均横加速度GYaが0.25Gのときは緩旋回モードでの
適合度が0.5であり、両適合度のうち小さい方を採用
するので保舵解除度合係数の基準値Kb の評価はSで0
となる。ルールでは、平均車速Va が30km/hのと
きは低速走行モードでの適合度が1で、平均横加速度G
Yaが0.25Gのときは急旋回モードでの適合度が0.
5であり、両適合度のうち小さい方を採用するので保舵
解除度合係数の基準値Kbの評価はMで0.5となる。
ルールでは、平均車速Va が30km/hのときは高速
走行モードでの適合度が0で、平均横加速度GYaが0.
25Gのときは急旋回モードでの適合度が0.5であ
り、両適合度のうち小さい方を採用するので保舵解除度
合係数の基準値Kb の評価はMで0となる。
【0067】従って、ルール〜における保舵解除度
合係数の基準値Kb の評価から重心法によって保舵解除
度合係数の基準値Kb を算出する。即ち、 保舵解除度合係数基準値Kb =(2000000×0.5+300000×
0.5)÷(0.5+0.5)=250000 となる。
【0068】前述した保舵解除度合係数の基準値Kb
ファジィ演算において、平均車速V a 及び平均横加速度
Yaは以下に示すフローチャートに基づいて算出される
ものである。この平均車速Va の演算処理は50ミリ秒
ごとの割り込み信号の度に行われて車速Vを読み込んで
いく。図10に示すように、ステップE1において、こ
の車速Vを読込み、ステップE2にて経過タイマのカウ
ントアップを開始する。ステップE3では、経過時間T
が60秒経過したかどうかを判定し、経過していなけれ
ばステップE4にて車速Vを累積(Vt )していく。一
方、経過時間Tが60秒経過していればステップE5に
移行し、ここで車速Vの60秒間の累積Vt を車速Vの
データ数1200(60/0.05)で除算して平均車
速Va を算出する。そして、ステップE6にて経過タイ
マーのカウント値を0にリセットし、ステップE7にて
車速Vの累積Vt を0にリセットする。
【0069】また、平均横加速度GYaの演算処理は50
ミリ秒ごとの割り込み信号の度に行われて横加速度GY
を読み込んでいく。図11に示すように、ステップF1
において、この横加速度GY を読込み、ステップF2に
て経過タイマのカウントアップを開始する。ステップF
3では、経過時間Tが60秒経過したかどうかを判定
し、経過していなければステップF4にて横加速度GY
を累積(GYt)していく。一方、経過時間Tが60秒経
過していればステップF5に移行し、ここで横加速度G
Y の60秒間の累積GYtを横加速度GY のデータ数12
00(60/0.05)で除算して平均横加速度GYa
算出する。そして、ステップF6にて経過タイマーのカ
ウント値を0にリセットし、ステップF7にて横加速度
Y の累積GYtを0にリセットする。
【0070】なお、この平均車速Va 及び平均横加速度
Yaの演算処理は前述した各フローチャートによる算出
方法に限るものではなく、別の演算処理も考えられるも
のである。即ち、平均車速Va の演算処理は、図12に
示すように、ステップG1において、車速Vを読込み、
ステップG2にて経過タイマのカウントアップを開始す
る。ステップG3では、経過時間Tが5秒経過したかど
うかを判定し、経過していなければステップG4にて最
初の5秒間の車速Vを累積(Vt(0))していく。一方、
経過時間Tが5秒経過していればステップG5に移行
し、ここでmを1つ繰上げ、ステップG6にてmが6を
越えているかどうかを判定する。そして、6を越えてい
なければステップG7にて車速Vのデータ数Nを演算す
るが、ステップG6にてmが6を越えていればステップ
G8にてmを6に設定し、ステップG7にて車速Vのデ
ータ数Nを演算する。
【0071】ステップG9において、5秒間の車速Vの
累積Vt(0)〜Vt(5)を30秒間加算し、30秒間の累積
t(n)を車速Vのデータ数Nで除算して平均車速Va
算出する。そして、ステップG10にてnが4を越えて
いるかどうかを判定し、4を越えていなければステップ
G11にてnを1つ繰上げるが、ステップG10にてn
が4を越えていればステップG12にてnを0に設定す
る。更に、ステップG13にて5秒間の累積Vt(n)を0
にリセットし、ステップG14にて経過タイマーのカウ
ント値を0にリセットする。
【0072】また、平均横加速度GYaの演算処理は、図
13に示すように、ステップH1において、横加速度G
Y を読込み、ステップH2にて経過タイマのカウントア
ップを開始する。ステップH3では、経過時間Tが5秒
経過したかどうかを判定し、経過していなければステッ
プH4にて最初の5秒間の横加速度GY を累積(G
Yt(0) )していく。一方、経過時間Tが5秒経過してい
ればステップH5に移行し、ここでmを1つ繰上げ、ス
テップH6にてmが6を越えているかどうかを判定す
る。そして、6を越えていなければステップH7にて横
加速度GY のデータ数Nを演算するが、ステップH6
てmが6を越えていればステップH8にてmを6に設定
し、ステップH7にて横加速度GY のデータ数Nを演算
する。
【0073】ステップH9において、5秒間の横加速度
Y の累積GYt(0) 〜GYt(5) を30秒間加算し、30
秒間の累積GYt(n) を横加速度GY のデータ数Nで除算
して平均横加速度GYaを算出する。そして、ステップH
10にてnが4を越えているかどうかを判定し、4を越
えていなければステップH11にてnを1つ繰上げる
が、ステップH10にてnが4を越えていればステップ
H12にてnを0に設定する。更に、ステップH13に
て5秒間の累積GYt(n) を0にリセットし、ステップH
14にて経過タイマーのカウント値を0にリセットす
る。
【0074】以上のように求められた車速Vの適合度と
演算値V・GY の適合度と保舵度合係数KS の適合度と
から、図5に示す演算処理のグラフを用いて重心法によ
り目標アシスト量を得ることができるようになってい
る。
【0075】なお、上述の保舵度合演算部54による保
舵度合係数KS の演算フローチャート(図6)におい
て、ステップC11及びC12の保舵解除度合係数基準
値Kb並びに保舵解除度合係数K1 を求める部分では所
定の計算式に基づいてそれぞれ保舵解除度合係数基準値
b 並びに保舵解除度合係数K1 を算出するようにした
が、この設定方法は所定の計算式に限るものではない。
例えば、図19に示すような複数の関数マップを用いて
も良いものである。図19に示す関数マップは操舵角速
度に対する保舵解除度合係数のグラフを表すものであっ
て、平均車速Va及び平均横加速度GYaに基づいて複数
設定されている。従って、CU51の保舵度合演算部5
4は予め複数の関数マップを記憶しておき、平均車速V
a 及び平均横加速度GYaに基づいて対応する関数マップ
を選択して操舵角速度に対する保舵解除度合係数を求め
る。
【0076】ここで、上述した本実施例の電子制御式パ
ワーステアリング装置において、コントロールユニット
51による制御手順を図14のフローチャートに基づい
て説明する。
【0077】図14に示すように、まず、ステップS1
において、車速センサ41は走行中の車両の走行速度V
を検出し、車速のセンサ信号をCU51(横加速度演算
部53及びファジィ演算部55)に出力してステップS
2に移行する。ステップS2において、操舵角センサ5
2は車両の操舵角haを検出し、操舵角のセンサ信号をC
U51(横加速度演算部53及び保舵度合演算部54)
に出力してステップS3に移行する。ステップS3で
は、CU51が車速Vと操舵角haのセンサ信号としての
アナログ信号をデジタル信号に変換処理し、横加速度演
算部53にて車速Vと操舵角haとに基づいて車両に生じ
る横加速度GY を算出する。更に、ステップS4では、
車速Vに横加速度GY を乗算して演算値V・GY を求め
る。
【0078】また、ステップS5において、操舵角haか
ら操舵角速度ha’及び操舵角変化量Hを算出し、ステッ
プS6にて車速Vから平均車速Va を、横加速度GY
ら平均横加速度GYaをそれぞれ演算し、ステップS7で
は、平均車速Va 及び平均横加速度GYaから保舵解除度
合係数の基準値Kb を演算してステップS8に移行す
る。ステップS8では、この操舵角速度ha’及び操舵角
変化量H、保舵解除度合係数の基準値Kb から保舵度合
係数KS を求める。
【0079】そして、ステップS9において、ファジィ
演算部55で、図2に示すメンバシップ関数のグラフか
ら車速Vの走行状態に関する適合度を求め、且つ、図3
に示すメンバシップ関数のグラフから演算値V・GY
走行状態に関する適合度を求め、且つ、図4に示すメン
バシップ関数のグラフから保舵度合係数KS の走行状態
に関する適合度を求める。そして、ステップS10で
は、これらの各適合度から、図5に示すアシスト量のメ
ンバシップ関数のグラフを用いて重心法により目標とす
るアシスト量を決定する。更に、ステップS11におい
て、この目標アシスト量を対応する油圧制御バルブ28
のソレノイド33に与える電流量に変換し、ステップS
12にて、操舵アシスト量を制御するこの電流量を駆動
回路、つまり、油圧制御バルブ28のソレノイド33に
出力する。
【0080】ここで、図15に示す重心法によりアシス
ト量を求める演算処理に基づいて具体的な車両の走行状
態におけるファジィ制御について説明する。例えば、車
速Vが60km/hでほとんど操舵しないで走行している
状況を考える。この状況は車両が高速道路において緩や
かで長い曲率の大きなカーブやカント路等を中速走行モ
ードで保舵走行している状況に相当する。そして、この
場合、車速Vが60km/hで走行しているときの横加速
度GY は0.2Gであり、保舵度合係数KS が200と
なっている。
【0081】従って、図15に示すように、車速Vが6
0km/hのときは、中速走行モードでの適合度が0.6
7、低速走行モードでの適合度が0.33となり、中速
走行に対応するアシスト制御量の評価はM、低速走行に
対応するアシスト制御量の評価はSとなる。また、この
ときの横加速度GY は0.2Gであり、車速V(60km
/h)にこの横加速度GY (0.2G)を乗算した演算
値V・GY は12Gkm/hとなって、適合度は0.23
となる。更に、このときの保舵度合係数KS は200で
あり、適合度は1となる。
【0082】そして、このようにして求めた車速V及び
演算値V・GY 、保舵度合係数KSの各適合度から重心
法により、即ち、適合度に対応する総和面積の重心位置
を求めて目標とするアシスト量を決定する。即ち、車速
Vが60km/hでの保舵走行状態では、車速Vに関する
アシスト制御量の評価はMでその適合度は0.67であ
ると共に評価Sでその適合度は0.33であり、演算値
V・GY に関するアシスト制御量の評価はBでその適合
度は0.12であり、また、保舵度合係数KSに関する
アシスト制御量の評価はSでその適合度は1である。従
って、アシスト量は約92%となる。
【0083】このように車両が車速V=60km/hで保
舵走行の状態では、車速Vは高いが、横加速度GY が低
く、且つ、保舵度合係数KS が上昇するので、パワース
テアリングの操舵アシスト量は92%と高いのである。
即ち、車両が高速走行していると、車速Vは高いので一
般的にはパワーステアリングの操舵アシスト量を低減し
てハンドルを重くしている。しかし、このときにドライ
バがハンドルを操舵しないで微小の操舵角で保舵してい
ると、ドライバには大きな操舵(保舵)力が要求され、
ハンドル操舵に大きな負担となってしまう虞がある。従
って、本実施例では、ステアリング機構の操舵角速度h
a’と操舵角変化量H、保舵解除度合係数の基準値Kb
に基づく保舵度合係数KS をメンバシップ関数として適
用することで、車両が高速走行で保舵しているときに
は、保舵度合係数KS 増加によりパワーステアリング
の操舵アシスト量を増加してハンドルを通常よりやや軽
くしているのである。
【0084】そして、この保舵度合係数KS において、
車両の保舵状態を判定した場合には、ステアリング機構
の操舵角速度ha’と操舵角変化量Hに基づいて保舵度合
係数KS を1つづつカウントアップしていくので、パワ
ーステアリングの操舵アシスト量は漸増されてドライバ
に違和感なくハンドルを通常よりやや軽くすることがで
きる。一方、ドライバが高速道路で車線変更のために所
定量操舵して保舵状態を解除する場合には、平均車速V
a 及び平均横加速度GYaから算出された保舵解除度合係
数の基準値Kb 及びステアリング機構の操舵角速度ha’
から保舵解除度合係数K1 を設定し、これを保舵度合係
数KS と置換するので、パワーステアリングの操舵アシ
スト量は瞬間的に減少されてドライバの操舵操作に対し
て瞬時にハンドルを通常より重くすることができる。
【0085】以上のように、本実施例の電子制御式パワ
ーステアリング装置にあっては、車速Vの増減のほか
に、操舵角速度ha’及び操舵角変化量H、保舵解除度合
係数の基準値Kb に基づく保舵度合係数KS をメンバシ
ップ関数として適用し、これらのメンバシップ関数に対
応してファジィ推論によって操舵アシスト量が制御され
るので、車両は低速から高速になるほどアシスト量が低
減して操舵力が重くなることでハンドルが安定する一
方、高速走行している車両の保舵状態には、保舵度合係
数KS が大きくなることからアシスト量の増加度合が減
少して、この分だけハンドルが軽くなる。従って、高速
保舵状態や市街地での低速高速保舵状態などいずれの場
合であってもドライバは的確な操舵(保舵)力が付与さ
れて容易に、且つ、安定してハンドル操舵を行うことが
できる。
【0086】そして、車両がカント路などを走行して操
舵角haが1〜3deg程度の場合であっても、車両の保舵
状態には保舵度合係数KS に基づいてアシスト量を最適
に求めてハンドル軽くすることとなり、ドライバは小
さな保舵力で容易にハンドル操舵を行うことができる。
また、ドライバが高速道路を保舵状態で走行中に車線変
更のために所定量操舵した場合、保舵解除度合係数の基
準値Kb 及び操舵角速度ha’から所定の計算式に基づい
て保舵解除度合係数K1 を設定して保舵度合係数KS
置換することで、アシスト量は瞬間的に減少されてドラ
イバの操舵操作に対して瞬時にハンドルを重くすること
となり、ドライバは安定して車線変更のためのハンドル
操舵を行うことができる。
【0087】また、本実施例の電子制御式パワーステア
リング装置にあっては、車速Vに横加速度GY を乗算し
た演算値V・GY をメンバシップ関数として適用し、こ
れらのメンバシップ関数に対応してファジィ推論によっ
て操舵アシスト量が制御されるので、車両によるコーナ
ーへの進入時には、横加速度GY (操舵角)が大きくな
ることからアシスト量の減少度合が増加して、この分だ
けハンドルが重たくなる。従って、車速状態が違っても
コーナーの進入時には、常に、ドライバがコーナーへの
進入をハンドルで実感しながら操縦できるのである。ま
た、横加速度G Y に関するメンバシップ関数にこの横加
速度GY に対して適合度がリニアに変化する操舵リニア
リティ領域が設けられているので、操舵リニアリティが
確保される。
【0088】更に、本実施例の電子制御式パワーステア
リング装置にあっては、操舵アシスト量を制御するメン
バシップ関数として車速Vと横加速度GY とを乗算した
演算値V・GY を適用したので、車両の高速走行時にお
いて、操舵角が少なくなって横加速度GY が減少しても
車速Vが十分に大きいので、演算値V・GY の大幅な低
下はなくなり、目標アシスト量の大幅な増加はなく、ハ
ンドルはそれほど軽くはならない。そのため、車両の高
速走行時における操舵操作感が十分に保たれ、ハンドル
操舵操作の安定度が向上される。
【0089】また、本実施例の電子制御式パワーステア
リング装置にあっては、ファジィ推論により、「車速V
が上昇すると操舵アシスト量を低減してハンドルを重く
する」というルールと、「演算値V・GY が上昇すると
操舵アシスト量を低減してハンドルを重くする」という
ルールと、「保舵度合係数KS が上昇すると操舵アシス
ト量を増加してハンドルを軽くする」という3つのルー
ルに基づいて操舵アシスト量を制御することで、少ない
ルール数でより細かい制御を可能とすることができる。
【0090】ここで、このような本実施例の電子制御式
パワーステアリング装置を車両に適用した場合につい
て、高速走行保舵における操舵角に対する保舵力、並び
に車線変更における操舵速度の違いによる操舵角に対す
る操舵力を実験に基づいて具体的に評価する。即ち、高
速走行保舵における操舵角に対する保舵力については図
16のグラフに示すようなものとなる。この図16にお
いて、斜線は本実施例の電子制御式パワーステアリング
装置(EPS)の保舵力を示し、白抜きは従来の車速感
応型電子制御式パワーステアリング装置(EPS)の保
舵力を示している。図16に示すように、本実施例のE
PSは、従来のEPSに比べて高速走行保舵時におい
て、保舵力が著しく低減できることがわかる。
【0091】また、車線変更における操舵速度の違いに
よる操舵角に対する操舵力については図17及び図18
のグラフに示すようなものとなる。この図17及び図1
8において、実線は本実施例の電子制御式パワーステア
リング装置(EPS)の操舵力であって、操舵速度が速
い場合を示し、点線は従来の電子制御式パワーステアリ
ング装置(EPS)の操舵力であって、操舵速度が速い
場合を示している。なお、一点鎖線は操舵速度が遅い場
合であり、これは本実施例及び従来のEPSの操舵力を
示すものである。
【0092】図17に示すように、市街地走行での車線
変更時において、操舵速度が早いときには本実施例のE
PSは従来のEPSに比べて操舵力が小さくなってお
り、これにより操舵容易性が十分に確保されていること
がわかる。一方、高速走行での車線変更時において、操
舵速度が早いときには本実施例のEPSは従来のEPS
に比べて操舵力が大きくなっており、これにより走行安
定性が十分に確保されていることがわかる。このように
従来のEPSでは、市街地走行及び高速走行でのいずれ
の車線変更時であっても操舵力が一定であるが、本実施
例のEPSでは、高速走行での車線変更時の操舵力に対
して市街地走行での車線変更時の操舵力は小さくなって
おり、走行安定性並びに操舵容易性が向上できる。
【0093】なお、上述の実施例において、電子制御式
パワーステアリング装置の制御系を油圧式として説明し
たが、本発明はこれに限定されるものではなく、モータ
を使用した電動式パワーステアリング装置に適用しても
同様の効果を奏することができるものであり、また、電
子制御式パワーステアリング装置の機械系も上述の実施
例に限定されるものではなく、いずれのものに対しても
適用することができるものである。
【0094】また、上述の実施例において、コントロー
ルユニット51に横加速度演算部53を設け、この横加
速度演算部53が車速センサ41から入力された車速V
と操舵角センサ52から入力された操舵角haとに基づい
て車両に生じる横加速度GYを算出するようにしたが、
車両に横加速度検出センサを装着してこの横加速度G Y
を直接測定してもよいものである。更に、車速V及び横
加速度GY の演算値V・GY のメンバシップ関数、並び
に操舵アシスト量の評価をそれぞれ3段階に分けたが、
例えば5段階でもよい。そして、この操舵アシスト量を
重心法により求めたが、最大平均法や高さ法(スケルト
ン法)、面積法などによって求めてもよいものである。
【0095】更に、上述の実施例では、コントロールユ
ニット(目標アシスト量設定手段)51がファジィルー
ルに基づいて目標アシスト量を設定するようにしたが、
その他の制御手段に基づいて目標アシスト量を設定して
もよいものである。
【0096】
【発明の効果】以上、実施例を挙げて詳細に説明したよ
うに、本発明の電子制御式パワーステアリング装置によ
れば、車速検出手段により車両の走行速度を検出すると
共に操舵角検出手段によりステアリング機構の操舵角を
検出し、目標アシスト量設定手段が車両の走行速度並び
に操舵角速度に基づく保舵度合係数と入力条件として目
標アシスト量を設定し、この保舵度合係数を操舵角速度
並びに操舵角変化量に基づいて増加する一方、走行速度
並びに操舵角速度によって変化するパラメータに基づい
て減少し、この保舵度合係数の増加に伴って目標アシス
ト量が増加されるようにしたので、ステアリングの操舵
及び保舵状況に応じて操舵力の制御が可能となって操舵
フィーリングを向上することができ、保舵度合係数を操
舵角速度並びに操舵角変化量に基づいて増加させること
により、保舵走行時には操舵アシスト量が漸増されるこ
とでハンドルが軽くなって操舵容易性が向上する。一
方、保舵度合係数を減少することによりハンドルが瞬時
に重くなって操舵安定性が向上する。
【0097】また、本発明の電子制御式パワーステアリ
ング装置によれば、目標アシスト量設定手段が車両の走
行速度を評価するメンバシップ関数とステアリング機構
の操舵角速度に基づく保舵度合係数を評価するメンバシ
ップ関数とを用い、車両の走行速度の増加に伴って目標
アシスト量を低減すると共に保舵度合係数の増加に伴っ
て目標アシスト量を増加するファジィルールによって目
標アシスト量を設定し、保舵度合係数を操舵角速度並び
に操舵角変化量に基づいて増加される一方、走行速度並
びに操舵角速度によって変化するパラメータに基づいて
減少するようにしたので、少ないファジィルールにより
簡単で細かい操舵制御が可能となって保舵状態に応じた
安定感と扱いやすさとをバランスさせた操舵フィーリン
グを得ることができる。
【0098】更に、本発明の電子制御式パワーステアリ
ング装置によれば、パラメータを車両の走行速度並びに
横加速度によって設定される基準値から操舵角速度に基
づいて算出される保舵解除度合係数とするか、また、車
両の走行速度並びに横加速度によって設定される複数の
関数マップから選択して操舵角速度に基づいて算出する
ようにしたので、車両の保舵解除時には車両の走行速度
並びに横加速度に合わせて、即ち、高速走行か低速走行
か、また、急旋回か緩旋回かを検出してアシスト量の減
少量を設定することができ、高速走行や市街地走行での
車線変更時の操舵力を変化させることで、それに見合っ
た走行安定性並びに操舵容易性を向上することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子制御式パワーステアリング装置の
一実施例に係るパワーステアリング用油圧制御部の概略
構成図である。
【図2】ファジィ制御に用いる車速のメンバシップ関数
を表すグラフである。
【図3】ファジィ制御に用いる車速×横加速度のメンバ
シップ関数を表すグラフである。
【図4】ファジィ制御に用いる保舵度合係数のメンバシ
ップ関数を表すグラフである。
【図5】各メンバシップ関数の適合度からパワーステア
リングアシスト量を重心法により求めるメンバシップ関
数を表すグラフである。
【図6】保舵度合係数を演算するためのフローチャート
である。
【図7】操舵角変化量を演算するためのフローチャート
である。
【図8】ファジィ制御に用いる保舵解除度合係数の基準
値のメンバシップ関数を表すグラフである。
【図9】保舵解除度合係数の基準値をファジィ制御によ
って求める演算処理の具体的な制御例を表す説明図であ
る。
【図10】平均車速を演算するためのフローチャートで
ある。
【図11】平均横加速度を演算するためのフローチャー
トである。
【図12】平均車速を演算するための別のフローチャー
トである。
【図13】平均横加速度を演算するための別のフローチ
ャートである。
【図14】ファジィ制御を表すフローチャートである。
【図15】車速及び車速×横加速度、保舵度合係数の各
メンバシップ関数から重心法によりアシスト量を求める
演算処理の具体的な制御例を表す説明図である。
【図16】本実施例のファジィ制御による高速走行保舵
における操舵角に対する保舵力に関する効果を表すグラ
フである。
【図17】本実施例のファジィ制御による市街地車線変
更における操舵速度の違いによる操舵角に対する操舵力
に関するグラフである。
【図18】本実施例のファジィ制御による高速車線変更
における操舵速度の違いによる操舵角に対する操舵力に
関するグラフである。
【図19】操舵角速度に対する保舵度合係数の関数マッ
プである。
【図20】従来の電子制御式パワーステアリング装置の
一例を表すパワーステアリング用油圧制御部の概略構成
図である。
【図21】図20のXXI−XXI断面図である。
【図22】図20のXXII−XXII断面図である。
【符号の説明】
11 インプットシャフト 12 ケーシング 13 ピニオンギヤ 14 トーションバー 15 ラック 16 ロータリバルブ 17 オイルポンプ 19 オイルリザーバ 21 油圧シリンダ 25,26 油室 27 反力プランジャ 28 油圧制御バルブ 29 チャンバ 31 スプール 33 ソレノイド 41 車速センサ 51 コントロールユニット(CU) 52 操舵角センサ 53 横加速度演算部 54 保舵度合演算部 55 ファジィ演算部

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両のステアリング機構における操舵ア
    シスト量を電子制御する電子制御式パワーステアリング
    装置において、車両の走行速度を検出する車速検出手段
    と、前記ステアリング機構の操舵角を検出する操舵角検
    出手段と、前記車両の走行速度並びに前記ステアリング
    機構の操舵角速度に基づく保舵度合係数を入力条件とし
    て目標アシスト量を設定する目標アシスト量設定手段と
    を具え、前記保舵度合係数は前記操舵角速度並びに操舵
    角変化量に基づいて増加される一方、前記走行速度並び
    に操舵角速度によって変化するパラメータに基づいて減
    少され、該保舵度合係数の増加に伴って前記目標アシス
    ト量が増加されることを特徴とする電子制御式パワース
    テアリング装置。
  2. 【請求項2】 車両のステアリング機構における操舵ア
    シスト量を電子制御する電子制御式パワーステアリング
    装置において、車両の走行速度を検出する車速検出手段
    と、前記ステアリング機構の操舵角を検出する操舵角検
    出手段と、前記車両の走行速度を評価するメンバシップ
    関数とステアリング機構の操舵角速度に基づく保舵度合
    係数を評価するメンバシップ関数とを用いて前記車両の
    走行速度の増加に伴って前記目標アシスト量を低減する
    と共に前記保舵度合係数の増加に伴って前記目標アシス
    ト量を増加するファジィルールに基づいて前記目標アシ
    スト量を設定する目標アシスト量設定手段とを具え、前
    記保舵度合係数は前記操舵角速度並びに操舵角変化量に
    基づいて増加される一方、前記走行速度並びに操舵角速
    度によって変化するパラメータに基づいて減少されるこ
    とを特徴とする電子制御式パワーステアリング装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の電子制御式パワーステア
    リング装置において、パラメータは車両の走行速度並び
    に横加速度によって設定される基準値から操舵角速度に
    基づいて算出される保舵解除度合係数であることを特徴
    とする電子制御式パワーステアリング装置。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の電子制御式パワーステア
    リング装置において、パラメータは車両の走行速度並び
    に横加速度によって設定される複数の関数マップから選
    択されて操舵角速度に基づいて設定されることを特徴と
    する電子制御式パワーステアリング装置。
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