JP2779869B2 - 立体構造状ネットおよび法面等の植生工法 - Google Patents

立体構造状ネットおよび法面等の植生工法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は、法面等の保全および緑化安定のための植生
ネット、造成地等の集排水用ネットや保護ネット、岩肌
の保護ネット、建築用の安全ネット、断熱材用ネット、
スポーツ用や医療用ネット等の各種ネットとして、また
クッションやマットの芯材、各種成形物の補強用芯材等
の工業用材料として、また衣料品その他各種の用途に広
く好適に使用できる立体構造状ネットと、このネットを
用いる法面等の植生工法に関するものである。
〔背景技術〕
従来より、例えば、法面の保全および緑化安定を目的
とする植生工法においては、金網や合成樹脂材よりなる
ネットを用い、このネットを法面に張設して土砂の崩落
を防止した上で、種子や客土等の植生材料を吹付けるこ
とが行なわれている。この植生工法において、前記の植
生材料が風雨によって容易に流出、飛散したり、土砂と
ともに滑落したのでは、植物が完全に着生されず、緑化
目的を達成できないことになる。
そのため、近年、植生ネットとして、網目を形成する
紐条部を壁状等の立体構造に構成することが考えられて
いる(例えば特開平3−183820号公報)。しかし、この
ようなネットの場合、網目の径(さし渡し)を大きくす
ればするほど、土砂の崩落防止の効果が小さくなる上、
壁状等の立体状をなす紐条部の保形性に問題があって、
曲りや倒れ等の変形が生じたり、網目が過度に拡がった
り、またネットの浮き上がりが生じたりして、土砂の崩
落防止や植生材料保持効果に問題が生じることになる。
一方、網目をあまり小さくしたのでは、植物の着生や
育成をかえって阻害する上、使用糸量が増し、ネット自
体が重くて取扱い難く、またコスト高なものとなる。
また、ダブルラッシェル機等の経編機で表裏の網状の
素地と両素地を連結する連結糸とにより編成した立体構
造のネットの場合、比較的柔らかく伸びのあるモノフィ
ラメント糸を使用するのが一般的であるが、その一方、
植生用ネットやクッション材等の用途によっては、比較
的硬くて形状安定性のあるものが要求される。
例えば、植生用ネットにおいては、立体形状を保持す
る連結糸としては比較的硬く保形力のあるものが要求さ
れるし、また張設施工上はネット全体がやや硬くて保形
性のあるほうがよい。その反面、運搬等の取扱い上はや
や柔軟性のあるほうがよく、ネット全体を硬くするのは
好ましくない。
本発明は、上記に鑑みてなしたものであり、小さい目
のネットをつけることによって立体構造およびネット形
状の保形性がよくて強く、ネットの浮き上がりを防止で
きる等、立体構造としたことによる特性を良好に保持で
き、しかも軽量で取扱い易く、張設施工も容易で、植生
用ネットその他の各種用途に好適に使用できる立体構造
状ネットを提供するものであり、特に法面等の植生用ネ
ットや保護ネットとして使用した場合に、土砂の崩落防
止や植生材料の流出および飛散防止効果に優れるネット
を提供するものである。
本発明の他の目的は、立体構造状ネットとして、ネッ
ト目空間を画成する部分の保形性がよくて、通気および
通水性や保水性に優れるネットを提供するものであり、
さらには綿状物等の他の資材との組合せ、あるいはシー
ト状物等との組合せによって、従来のネットにはない機
能を持つ立体構造状ネットを提供するものである。
さらに本発明は、前記の立体構造のネットを用いた法
面等の植生工法を提供することを目的とする。
〔発明の開示〕
本発明は上記の課題を解決するものであり、請求項1
の発明は、経編編成により形成され、表裏の網状をなす
素地とこれら両素地を所要の間隔を存して連結する連結
糸とよりなる立体構造状ネットであって、表裏の素地
は、それぞれ網目を形成する紐条部が1もしくは複数ウ
エールの編目列により構成されるとともに、表裏一方の
素地の網目が他方の素地の網目より大きく形成されて、
この一方の素地の各紐条部とこれに対応する他方の素地
の紐条部とに連結糸が掛け渡されて連結されており、こ
の連結糸による連結部分が前記大きい網目に相当するネ
ット目空間を画成し、前記他方の素地における連結糸を
有さない紐条部が前記ネット目空間の内方で複数の小さ
い網目を形成していることを特徴とする。
この立体構造状ネットによれば、立体的なネット目空
間を画成する連結部分の曲り変形等を、ネット目空間の
内方で小さい網目を形成する表裏一方側の連結糸を有さ
ない紐条部により規制でき、立体状態およびネット目空
間の保形を良好になし、ネット目空間が過度に拡がるこ
ともなく、また法面等に張設したネットの浮き上がりも
防止できる。
また請求項2の発明は、前記同様に経編編成により形
成された立体構造状ネットであって、表裏の網状をなす
素地は、それぞれ網目を形成する各紐条部が1もしくは
複数ウエールの編目列により構成されるとともに、両素
地それぞれの1もしくは複数本おきの紐条部において両
素地に掛け渡される連結糸により連結されており、この
連結糸による連結部分が表裏の素地の網目より大きいネ
ット目空間を画成し、表裏の素地の連結糸を有さない紐
条部が前記ネット目空間の内方で複数の小さい網目を形
成していることを特徴とする。
この発明の場合には、立体的なネット目空間の内方で
小さい網目を形成する連結糸を有さない紐条部が表裏両
側に存しているので、ネット目空間を画成する連結部分
の曲り変形を、表裏両側の紐条部により規制でき、立体
状態およびネット目空間の保形をさらに良好になし、ネ
ット目空間が過度に拡がったり、連結部分が倒れたりす
ることがない。
また前記いずれかの発明の立体構造状ネットにおいて
も、表裏の素地における各紐条部が、1もしくは複数ウ
エールの編目列により構成されているので、この紐条部
の引張強度も高くなる。
特に、請求項3の発明のように、前記各発明の立体構
造状ネットにおいて、表裏の素地における紐条部を、1
もしくは複数ウエールの鎖編糸とこれに横振り挿入され
た挿入糸とによる編目列からなる構成とすることによ
り、さらに強度が高くなり、容易に切断が生じないもの
となる。
請求項4の発明は、前記各発明の立体構造状ネットに
おいて、表裏の素地の網目を形成する紐条部が、編方向
に連続する1もしくは複数ウエールの編目列よりなり、
この紐条部が左右に隣接する紐条部と網目に相当する所
要間隔毎に交互に結節されてジグザグ状をなし、それぞ
れ四角形や六角形等の多角形の網目を形成するように構
成されてなるものである。
このように形成されていると、立体構造をなすネット
であるにも拘らず、ネットの拡幅調整や折畳みが容易に
可能になる上、ダブルラッシェル機での経編編成による
製造も容易になる。
請求項5の発明は、前記各発明の立体構造状ネットに
おいて、連結糸が掛け渡される表裏の紐条部が複数ウエ
ールの編目列よりなり、連結糸による連結部分が複数ウ
エールの幅を持って通気および通水可能な実質的に中空
もしくは立体空隙を有する立体状をなしていることを特
徴とする。
この構成の立体構造状ネットによれば、ネット目空間
を画成する連結部分の耐圧縮性が高く、前記表裏一方側
または両側の連結糸を有さない紐条部による保形効果と
も相俟って、前記連結部分を立体状態に良好に保持でき
る。しかも、連結部分自身がその内部に長手方向に連続
する空隙を保有し、通気、通水性も良好に保持される。
請求項6の発明は、前記各発明の立体構造状ネットに
おいて、表裏の素地の紐状部がそれぞれ表裏で異なる位
置で隣接する紐条部と結節されて、表裏の素地を連結す
る連結糸による連結部分を左右に交互に傾斜させた構造
にしたものである。
このように、ネット目空間を画成する立体構造をなす
連結部分が交互に左右に傾斜することにより、ネットに
対し厚み方向の荷重や圧力が作用したとき、連結部分の
倒れを相互に規制するように作用し、前記連結糸を有さ
ない紐条部による保形効果と相俟って、耐圧強度や保形
性に優れ、かつ良好な弾力性を保有できる。それゆえ、
このネットを地中に埋設使用した場合における過度の圧
縮やつぶれを防ぎ、立体構造および立体構造状ネットと
しての特性や空隙を良好に維持できる。
したがって、上記各発明の立体構造状ネットは、ネッ
ト目空間による比較的大きい網目の立体ネット機能と、
これより小さい網目のネット機能とを併せ持ち、これら
の特性を利用して、各種用途に好適に使用できるが、特
に法面の保全および緑化のための植生工法に用いる植生
用ネットとして、また安全ネットや保護ネット等として
好適に使用することができる。
例えば、前記ネット目空間を画成する立体構造の連結
部分により、石や土砂あるいは客土等の崩落および植生
材料の流出や飛散を防止するとともに、ネット目空間内
方の小さい網目の部分で小石や土砂の崩落を防止するこ
とができる。特に前記連結部分に空隙を保有する請求項
5の立体構造状ネットを埋設使用した場合は、前記連結
部分の空隙を通じて、植物の根に酸素を与えるエアレー
ション効果が得られ、また前記連結部分の内部が流通路
となって通気及び給排水作用が効率よく行なわれる。
前記各発明の立体構造状ネットにおいて、請求項7の
発明のように、表裏の素地を、編機ゲージに表裏で2倍
以上の差をつけて、太さの異なる糸を用いて編成してお
くことができる。
これにより、表裏同一の編ゲージでは編成できない強
度、硬さ、弾力を持った糸を用いた素地を、例えば太い
モノフィラメント糸を粗いゲージのほうに用いることに
より編成でき、従来の二重編地にない新しい物性を有す
る立体構造状ネットが得られる。またこれにより、紐条
部の引張等に対する強度がさらに高くなり、伸びを抑
え、保形性および耐久性に優れたものとなる。
前記各発明の立体構造状ネットにおいて、請求項8の
ように、表裏の素地を構成する糸条および連結糸を、天
然繊維等の腐食性繊維もしくは分解性化学繊維、または
これらと合成繊維との混紡繊維よりなるものとすること
ができる。
この場合、経年的にネットが腐食もしくは分解するこ
とになるため、このネットを法面等の植生用ネット等と
して使用した場合、植生の初期の段階にはネットにより
植生材料を確実に保持でき、しかも経年的に腐食あるい
は分解することで植物の成長を阻害することもなくな
る。すなわち合成繊維がいつまでも自然界に残らず環境
にやさしいものとなる。
また、前記各発明の立体構造状ネットにおいて、請求
項9のように、表裏の素地を構成する糸条および連結糸
の全部または一部を、高吸水性繊維または該繊維を含む
混紡繊維よりなるものとすることができる。これによ
り、ネット自体の保水性がさらに良好になり、このネッ
トを用いた植生工法を好適に実施できる。特に砂漠地等
の保水性の乏しい土地の緑化工法の実施に好適なものと
なる。
請求項10の発明のように、前記の立体構造状ネットに
おいて、表裏の素地を構成する糸条および連結糸の全部
または一部を、熱硬化性繊維、熱収縮性繊維、熱溶融性
繊維のいずれか1種、または該繊維を含む混紡繊維もし
くは引揃え繊維の糸を用い、編成後に熱加工することが
できる。
この場合、編成後の熱加工により、例えば熱硬化性繊
維の糸の場合は該糸が硬化して編構造が崩れにくくな
り、また熱収縮性繊維の糸の場合は該糸が収縮して編目
がしまり、また熱溶融性繊維の糸の場合は該糸が溶融し
て固って編目が崩れにくくなるもので、いずれも張設施
工が行ない易く、また張設したネットの形状安定を図る
ことができる。
さらに前記各発明の立体構造状ネットにおいて、請求
項11のように、表裏の素地を構成する糸条および連結糸
の全部または一部に、弾性糸を用いることができる。こ
れにより、伸縮性を持った中空立体構造のネットとする
ことができ、弾性糸を使用していないネットでは得られ
ないフィット性が得られる。
前記各発明の立体構造状ネットにおいて、請求項12の
ように、天然繊維、合成繊維、分解性化学繊維、保水性
繊維、カーボン、ガラスその他の繊維もしくはこれらの
混紡繊維の綿状物、クッション材、保温材や肥料等の他
の資材を、任意の個所のネット目空間に挿入するか、あ
るいは表裏の網状の素地及び連結糸に接合して保持させ
ておくことができる。これらにより、立体構造状ネット
の密度を高めたり、嵩高にでき、用途に応じて保水性や
弾力性、断熱性等をさらに高めることができる。また、
細かい土等の流出等を防止できる。
さらに本発明は、請求項13のように、前記各発明の立
体構造状ネットを、拡開し立体状態に保持して、織布、
不織布、紙その他のシート状物、平面状や立体構造状の
ネット状物または合成樹脂や金属製の板状物に対し接合
して複合構造とすることができる。
これにより、経編編成による立体構造状ネット特有の
伸縮性を、シート状物、他のネット状物あるいは板状物
により規制でき、その引張および保形強度を高めるとと
もに、通気、通水性を良好に保持でき、盛土安定の排水
ネットとして埋設使用するのに特に好適なものとなる。
また前記のように他の資材の付着を容易にする。
前記各発明の立体構造状ネットにおいて、請求項14の
ように肥料、保水剤、種子発芽剤等を含む植生材料を付
着させておくこともできる。これにより、このネットを
法面等に張設するだけで植生が可能になり、植生工法の
実施を省力化、効率化でき、経済的である。
請求項15の発明は、前記の各発明のいずれかの立体構
造状ネットを用いる法面等の植生工法であって、この立
体構造状ネットを拡開し立体状態に保持して法面等に張
設し、表裏の素地を連結する連結部分により囲まれたネ
ット目空間に、種子を含む植生材料を保持するようにし
て植生することを特徴とする。
このように植生工法を実施した場合、表裏の素地を連
結する連結部分により囲まれた比較的大きいネット目空
間により、種子や肥料、客土、保水剤等の植生材料を効
率よく保持でき、風雨による流出や飛散を防止できると
ともに、ネット目空間が比較的大きくても、その内方に
存する小さい網目を形成する紐条部により法面の土砂の
崩落を防止できる。また客土した場合、客土の重力によ
ってこの小さなネットを抑えることにより、ネット全体
を法面に密着させることができる。さらに植物はネット
目空間の部分で法面に着生でき、かつ成長し伸びること
ができ、植生を阻害することがない。
特に、この植生工法において、請求項5のネットを用
いた場合、連結糸による連結部分の空隙保有により良好
な通気および通水性を保有するので、降雨時の雨水等は
ネット目空間を囲む連結部分に捕捉されて、この連結部
分や紐条部に沿って、あるいはこの部分を通って流れる
ことになり、法面を必要以上に浸潤せず、法面の崩落防
止を効果的になし得る。
請求項16の発明は、前記同様の立体構造状ネットを用
いる法面の植生工法であって、この立体構造状ネットを
拡開し立体状態に保持して法面等に張設し、表裏の素地
を連結する連結部分により囲まれた任意位置のネット目
空間に、種子を含む植生材料を充填した植生袋や植生材
料の固形物、肥料袋や固形肥料、保水材等の1種以上を
配置し保持させて植生することを特徴とする。
この場合、ネット目空間がネット全域に存在している
ため、法面の状況に応じて配置密度を調整して植生袋、
肥料袋等の前記材料を保持させておくことができ、均一
良好な植生、緑化工法を実施できる。
[図面の簡単な説明] 図1は、本発明の立体構造状ネットの1実施例を示す
略示斜視図である。
図2は、同上の一部の拡大斜視図である。
図3は、同上の具体的編組織を示す各構成糸のラッピ
ング図である。
図4は、他の編組織を示す各構成糸のラッピング図で
ある。
図5は、本発明の立体構造状ネットの他の実施例を示
す略示斜視図である。
図6は、同上の一部の拡大斜視図である。
図7は、本発明の立体構造状ネットの他の実施例を示
す略示平面図である。
図8は、同上ネットを法面の植生工法に用いた状態の
一部の略示説明図である。
図9は、本発明の立体構造状ネットを用いた植生工法
の実施状態を示す一部の略示斜視図である。
図10は、本発明の立体構造状ネットを用いた植生工法
の実施状態を示す一部の略示斜視図である。
[発明を実施するための最良の形態] 次に本発明の実施例を図面に基いて説明する。
図1は、合成繊維糸により経編編成された立体構造状
ネットAの一部の略示斜視図、図2は同上一部の拡大斜
視図を示し、図3は同上の編組織のラッピング図を示し
ている。
図において、1および2は表裏の網状をなす素地を示
し、3はこれら両素地1,2を所要の間隔を存して連結す
る連結糸を示している。11は表側の素地1の網目12を形
成する紐条部を示し、また21は裏側の素地2の網目22を
画成する紐条部を示し、それぞれ1ウエールもしくは複
数ウエールの編目列により互いに平行をなすように構成
されている。
前記の表裏一方の網状のなす素地、例えば図のように
表側の素地1の網目12が、他方の素地2の網目22より大
きく形成されており、この大きい網目12を形成する紐条
部11と、これに対応する他方の素地2の紐条部21とに連
結糸3が交互に掛け渡されて両素地1,2が連結されてい
る。これにより、連結糸3による連結部分30が前記大き
い網目12に相当するネット目空間Sを画成し、前記他方
の素地2における連結糸3を有さない紐条部21が前記ネ
ット目空間Sの内方で複数の小さい網目22を形成してい
る。図の場合、ネット目空間Sの内方に4個の網目22を
形成するように、素地2の網目22の大きさを設定してい
る。
前記表裏の網状をなす素地1,2の網目12,22を画成する
紐条部11,21は、それぞれ鎖編糸と、鎖編のウエールに
対し横振り挿入される挿入糸とにより編成される1ウエ
ールもしくは複数ウエールの編目列よりなり、この編目
列による紐条部11,21が左右に隣接する紐条部11,21と網
目11,22に相当する所要間隔毎に交互に結節されてジグ
ザグ状をなして編方向に連続しており、これにより網目
12,22がそれぞれ四角形や菱形あるいは略六角形等の多
角形をなしている。13および23は、紐条部11,11同士お
よび21,21同士の結節部を示している。
図1〜図3に示す実施例の場合、表裏両素地1,2の紐
条部11,21がそれぞれ複数の編目列よりなり、連結糸3
が紐条部11,21を構成する編目列のうちの複数列で表裏
に掛け渡されて複数ウエールに渡る幅を持ち、この連結
部分30が編方向にジグザグ状に連続して、その長手方向
および内外にも通気および通水可能な実質的に中空もし
くは立体空隙を有する立体状をなすように形成されてい
る。4は連結部分30の内部の空間部を示す。
上記実施例の立体構造状ネットAは、2列の針床を有
するダブルラッシェル機により経編編成されて構成され
るもので、その編成の具体例を図3に基いて説明する。
ダブルラッシェル機のフロント側においては、それぞ
れ鎖編糸を4本づつ交互に導糸する2種の鎖編筬L2およ
びL3と、挿入糸を4ウエール毎に導糸する挿入糸筬L1と
により、鎖編筬L2およびL3による鎖編ウエールに対して
それぞれ挿入糸を横振り挿入しながら、4ウエールに渡
る編目列により表側の網状の素地1の紐条部11をそれぞ
れ編成するとともに、網目12に相当する所要コース毎に
鎖編糸を左右交互に4ウエール分横に移行させて編目形
成することにより、左右に隣接する紐条部11と交互に結
節13し、その後、元のウエール位置に戻して編成する。
なお、図3における2種の鎖編筬L2およびL3は、それぞ
れ中央部の2本の鎖編糸については一部のみを図示し残
余の図示を省略して示している。
また、バック側においては、それぞれ鎖編糸を2本づ
つ交互に導糸する2種の鎖編筬L6およびL7と、挿入糸を
2ウエール毎に導糸する挿入糸筬L8とにより、鎖編筬L
6,L7による鎖編ウエールに対してそれぞれ挿入糸を横振
り挿入しながら、2ウエールに渡る編目列により裏側の
網状をなす素地2の紐条部21をそれぞれ編成するととも
に、網目22に相当する所要コース毎に鎖編糸を左右交互
に2ウエール分横に移行させて編目形成することによ
り、左右に隣接する紐条部21と交互に結節23し、その
後、元のウエール位置に戻して編成する。
特に、この裏側の紐条部21は、表側の素地1の紐条部
11が結節されるコース数の1/2コース毎に左右に交互に
横に移行することにより、紐条部11の結節部13に対応す
る位置と、その間の中間位置とにおいて、各紐条部21が
左右に隣接する紐条部21と交互に結節されている。これ
により、裏側の素地2の紐条部21が、平面よりみて表側
の素地1の網目12の中に、開口面積が1/4の小さい網目2
2を4個形成することになる。
また、連結糸3については、それぞれ2本づつ交互に
導糸する2種の連結糸筬L4およびL5により、裏側の素地
2の紐条部21を構成するそれぞれ2ウエールの編目列
と、これに対応する表側の素地1の紐条部11を構成する
4列のうちの2ウエールの編目列とに交互に掛け渡し、
両素地1,2を連結糸3で連結編成するとともに、所要コ
ース毎に、前記紐条部11における結節部13,13間の中間
位置において、裏側の素地2おいて隣接する紐条部21の
2ウエールの編目列の位置と、これに対応する表側の素
地1の紐条部11における他の2ウエールの編目列の位置
とに移行させて編成し、さらに表裏の紐条部11,21の結
節部13,23の位置で、紐条部21の編目列の移行に合せて
横に移行させるようにして連結編成している。
このように連結編成することにより、表側の網状の素
地1の紐条部11とこれに対応する裏側の網状の素地2の
紐条部21とにおいてのみ2列のウエールにわたって連結
糸3により連結される。この連結部分30は、両素地1,2
に掛け渡される連結糸3のみであって、編機ゲージを適
宜設定することにより、通気、通水可能な実質的に中空
もしくは立体空隙を有する立体状をなすことになる。
そしてこの編成後、前記の編地をネット状をなすよう
に適当に拡幅して表裏の素地1,2の網目12,22を開口させ
て熱セットすることにより、使用糸に適度に保形力が付
与されて、前記連結糸3による連結部分30が網目12に対
応してネット目空間Sを構成することになり、図1およ
び図2に示す立体構造状ネットAが得られる。
この立体構造状ネットAは、ネット目空間Sを画成す
る連結部分30の曲り変形等を、連結糸を有さない紐条部
21により規制でき、立体状態およびネット目空間Sの保
形性が良好となり、ネット目空間が過度に拡がったりす
ることがない。
図4は、本発明の立体構造状ネットAの他の編成組織
を例示しており、この場合、表側の網状をなす素地1の
紐条部11を鎖編糸と挿入糸による2ウエールの編目列に
より構成し、さらに裏側の網状の素地2の紐条部21を鎖
編糸と挿入糸とによる1ウエールの編目列より構成する
ように編成するとともに、連結糸3を1ウエールで両素
地間に掛け渡して連結編成している。紐条部11,21の結
節手段および連結糸3による連結の方式は、上記した実
施例と同様にして編成できる。
上記の立体構造状ネットAにおける表裏の網状の素地
1,2の網目12,22およびネット目空間Sの大小や開口形状
については、紐条部11,21の結節部13,23およびその間の
コース数の増減、あるいは編成組織や拡幅調整によって
任意に設定できる。
さらに、例えばネット目空間Sの内方に縦横各2本の
紐条部により9個の網目を形成する等、4個以上多数の
網目を形成することも同様に可能である。
上記の網状の素地1,2の各紐条部11,21の構成として、
2ウエール以上(通常は、2〜数10ウエール)の幅をも
たせるほか、単に1ウエールの網目列で構成することも
可能である。また連結糸3による連結部分30の幅につい
ても、1ウエールのほか、複数ウエールの幅を持たせる
ことができる。複数ウエールの幅を持つもののほうが、
連結部分30自体がその内部に長手方向に連続する空隙を
保有し、通気、通水性も良好に保持され、また耐圧縮性
も良好になる。
また表裏の素地1,2間の間隔(連結部分の高さ)につ
いては、ダブルラッシェル機の2列の針床の間隔によっ
て適宜設定できる。連結部分30が複数ウエールに渡る場
合、そのウエール間隔(ゲージ間隔)によって連結糸3
の密度を粗にしたり密にすることができる。
図5および図6は、表裏両側にネット目空間より小さ
い網目を形成した他の発明の立体構造状ネットAの実施
例を示している。
この実施例の立体構造状ネットAは、上記の実施例と
同様に、表裏それぞれの網状をなす素地1,2の網目12,22
を形成する各紐条部11,21が、1もしくは複数ウエール
の編目列により構成されるとともに、両素地1,2それぞ
れの1もしくは複数本おきの紐条部11,21において、両
素地1,2に掛け渡される連結糸3により連結されてい
る。そしてこの連結部分30により表裏の素地1,2の網目1
2,22より大きいネット目空間Sが画成されるとともに、
表裏の素地1,2の連結糸3を有さない紐条部11,21により
前記ネット目空間Sの内方にこれより小さい複数の網目
12,22が形成されている。
この実施例のネットAの場合、表裏の素地1,2の紐条
部11,21がそれぞれネット目空間Sの相対向辺間にX状
に交差するように架渡されて4個の網目22を形成するよ
うに、両素地1,2の網目12,22の大きさが設定されてい
る。
このネットAは、図3の編組織の編成において、表側
の素地1を編成する2種の鎖編筬L2,L3および挿入糸筬L
1の編組織を、裏側の素地2を編成する鎖編筬L6,L7およ
び挿入糸筬L8と同じ組織になるように変更して編成する
ことにより得ることができる。13および23は表裏それぞ
れの紐条部同士の結節部を示す。
この実施例の立体構造状ネットAによれば、ネット目
空間Sを画成する連結部分30の変形を表裏両側の紐条部
11,21で規制でき、立体状態およびネット目空間Sの保
形を良好になし得る。
なお、この実施例においても、図に示すように、表裏
の網状の素地1,2は、それぞれ鎖編糸と挿入糸とによる
編目列により紐条部11,21を構成するのがよく、またネ
ット目空間Sを画成する連結部分30は、複数ウエールに
渡る幅を持ち、通気および通水可能な実質的に中空立体
状をなすものが好ましい。
さらに、表裏の網状の素地1,2の紐条部11,21の幅、網
目12,22やネット目空間Sの開口形状や大きさ、ネット
目空間Sの内方における表裏の網目12,22の数、連結部
分30の幅、全体の厚み等は、上記した実施例の場合と同
様に適宜変更できる。
上記したいずれの実施例の立体構造状ネットにおいて
も、例えば図7に示すように、表裏の紐条部11,21の結
節部13,23の位置、すなわち紐条部11,21を構成する鎖編
糸および挿入糸と、これに掛け渡される連結糸とのウエ
ール移行による結節位置を、表裏で相互に位置をずらせ
て編成することにより、連結糸3による連結部分30を交
互に傾斜させて、例えば略トラス構造とすることもでき
る。この場合、耐圧強度や保形性に優れ、かつ良好な弾
力性を保有でき、立体構造状ネットとしての特性を良好
に維持できることになる。
特に、前記のネット(A)を法面Bの植生工法に使用
する場合、傾斜した連結部分30を図8に示す方向にして
法面Bに張設することにより、傾斜した連結部分30と法
面Bの間がポケットのごとくなり、植生材料や土砂等を
良好に保持できる。
前記の表裏の結節部13,23の位置を表裏でずらせるコ
ース数や位置を適宜変更することにより、結節部13,23
が表裏で互い違いの位置にくるようにしたり、表裏で僅
かに位置をずらせた構成とする等、その形態を任意に設
定できる。
上記の立体構造状ネットAにおいて、表裏の素地1,2
を構成する糸条は、特に限定されるものではないが、通
常は耐水性に優れる合成繊維糸が使用され、ナイロン糸
や炭素繊維糸その他の各種の合成繊維のマルチフィラメ
ント糸やモノフィラメント糸が好適に用いられる。もち
ろん天然繊維の糸を用いることもできる。また連結糸3
としては、前記表裏の素地1,2を連結して立体状に支え
るのに適するように、前記同様に合成繊維糸や天然繊維
糸から弾性や強度等を考慮して適宜選択され、主に立体
構造保持の点からモノフィラメント糸が好適に用いられ
る。
これらの糸条は、編成後の熱セットもしくは合成樹脂
加工により、適度に剛性および耐圧縮性を与えることが
できる。また表裏の素地1,2を連結する連結糸3の本数
が多くなり密度が高くなるほど、厚み方向の耐圧強度や
弾性力が増す。またナイロン等の同質素材では太い糸の
場合ほど腰が強くなる。
これらの糸条の太さや素材は、用途によって要求され
る強度や張力、弾性等を考慮して決定される。例えば、
植生用ネットとして、ダブルラッシェル機により14〜9
ゲージ(針本数/インチ)で編成する場合、網状の素地
には100〜2000デニール、好ましくは200〜600デニール
の糸が、また連結糸としては100〜3000デニール、好ま
しくは200〜1000デニールの糸が好適に用いられる。
しかし、経済的に編成したい場合は、細いゲージ、例
えば22〜18ゲージにして上記より細い糸を使用でき、ま
た物理的強度を高めたい場合は、4.5〜3ゲージにして
上記よりさらに太い糸を使用でき、強度も高めることが
できる。
さらに、表裏の素地1,2の紐条部11,21を編成するダブ
ルラッシェル機の編機ゲージ、すなわち前後の針釜、針
およびガイドのゲージ(針本数/1インチ)を、少なくと
も2倍以上異なる仕様(例えば前9ゲージ、後18ゲー
ジ)に設定して、表裏で太さの異なる糸を用いて編成す
ることができる。これにより、表裏同一の編ゲージでは
編成できない強度、硬さ、弾力を持った糸、例えば太い
モノフィラメント糸を粗いゲージのほうに用いることに
より編成でき、素地の強度をさらに高めることができ
る。
また、前記の表裏の素地1,2を構成する糸条および連
結糸として、綿、レーヨン、人造絹糸その他の天然繊維
等の腐食性繊維、あるいは酵素により分解する酵素分解
性繊維もしくは微生物や菌により分解する生物分解性繊
維等の分解性化学繊維、あるいはこれらと合成繊維との
混紡繊維よりなる糸を用いることもできる。この場合、
立体構造状ネットが経年使用により腐食、分解すること
になり、植生用ネットとして好適に用いられる。
また表裏の素地1,2を構成する糸条および連結糸の全
部または一部に、高吸水性樹脂繊維または該繊維を含む
混紡繊維の糸を用いることもでき、さらに保水性を高め
ることができる。
立体構造状ネットの使用目的に応じて、高吸水性樹脂
をコーティングあるいはディッピング等の手段により塗
布した糸、あるいは肥料や鉄等の金属、薬品、あるいは
菌類を付着または練り込んだ糸を使用することもでき
る。
また表裏の素地1,2を構成する糸条および連結糸の全
部または一部に、熱硬化性繊維、熱収縮性繊維、熱溶融
性繊維のいずれか1種、または該繊維を含む混紡繊維も
しくは引揃え繊維の糸を用いて、編成後の熱加工により
編目構造を補強することとして、ネットの形状安定を図
ることができる。
また上記の表裏の素地1、2,を構成する糸条および連
結糸の全部または一部に弾性糸を用いることにより、伸
縮性を持った中空立体構造のネットとすることも可能で
ある。この場合、弾性糸を使用していないネットでは得
られないフィット性が得られる。
さらに上記の立体構造状ネットにおいて、天然繊維、
合成繊維、分解性化学繊維、保水性繊維、カーボン、ガ
ラスその他の繊維もしくはこれらの混紡繊維の綿状物、
クッション材、保温材、肥料等の他の資材を、任意の個
所のネット目空間に挿入するか、あるいは表裏の網状の
素地に接着、縫合等の手段により接合して保持させてお
くことができる。
さらに上記の立体構造状ネットAにおいて、表裏の素
地1,2の少なくとも一方、例えば網目の小さい裏側の素
地2の部分に、通気および通水性を阻害しない程度に、
アクリル系樹脂等の合成樹脂を浸漬やラミネート手段に
より適宜付着させておくことができる。この場合、経編
編成等による編目が固定保持されて該素地が補強され、
網目の緩みやほつれのおそれがなく、さらに構造が安定
したものとなる。また高吸水性樹脂等の保水剤をコーテ
ィングやデッピング手段により塗布あるいは付着されて
おくことができ、この場合もネットの保水性がさらに良
好なものになる。
特に種子や肥料、保水剤、種子発芽剤等を含む植生材
料を塗布手段や接着手段により付着させておくこともで
きる。この場合、ネットを法面等に張設するだけで植生
工法を実施できることになる。
さらに用途によっては、上記の立体構造状ネットを展
張し立体状態に保持して、織布、不織布、紙その他のシ
ート状物、平面状や立体構造状のネット状物または合成
樹脂や金属製の板状物に対し縫合、貼合等の手段により
接合して、複合構造にして使用することができる。
上記の立体構造状ネットAにおいて、複数ウエールに
渡る連結部分30の内部に、有孔パイプもしくは繊維製の
網状パイプ等のパイプ体、または補強用ロープあるいは
綿、不織布やスポンジ体等の紐状物を挿入することがで
きる。
特に植生ネットとして使用する場合は、特に種子や肥
料、保水剤、種子発芽剤等を含む植生材料を保持させた
帯状袋を挿入しておくこともできる。また医薬品を保持
させた帯状物を挿入することにより、医療用ネットとし
て好適に使用できる。
また、上記の立体構造状ネットAにおいて、表裏の素
地1,2を連結する連結糸3を部分的に省略して連結部分3
0の側面一部を開口させて、上記したパイプ体や紐状物
を紐条部に対し交叉する方向に通して実施することも可
能である。
本発明の立体構造状ネットAの厚み、ネット目空間S
や連結部分30の大きさは、その用途等によって異なり、
植生用ネットとしての使用上は、ネットの厚みが3〜15
0mm、ネット目空間Sのさし渡し10〜500mm、紐状部分の
幅は0.5〜200mmの範囲のものが一般に用いられるが、も
ちろん前記寸法外での実施も可能である。
上記の立体構造状ネットAは、法面等の保全および緑
化のための植生工法に用いる植生ネットとして、また造
成地等の集排水用ネット、工事用の安全ネットや建築用
保護ネット、モルタルや合成樹脂等の吹付け等における
場合の補強材や構造物作成ネット、医療用やスポーツ用
ネット、マットやクッション材の芯材や中間材等の工業
用材料その他の各種分野において広く利用することがで
きる。中でも特に法面等の植生工法の実施に好適に利用
できる。
さらに、この立体構造状ネットを拡開し立体状態を保
持した状態で、その一部をコンクリートに埋設するか、
あるいはネットの一部に付設した金具や器具をコンクリ
ートに埋設するようにして、コンクリート成形品の表面
に張設して使用することもできる。
この立体構造状ネットAを用いて法面の植生工法を実
施する場合について次に説明する。
まず、立体構造状ネットAを適当に展張し拡幅して各
連結部分を立体状態にし、表裏の一方側を法面に添接さ
るように敷設し、アンカーピン等により固定し張設す
る。例えば図1の立体構造状ネットAの場合、図9のよ
うに網目の小さい裏側の素地2を法面Bに添接させるよ
うに敷設する。
こうして、ネットAを張設した状態において、このネ
ットAの上からの吹付け手段により、種子、肥料、客土
さらには高吸水性樹脂ポリマー等の保水剤、土壌改良材
等の植生材料の1種もしくは複数を法面の状況に応じて
吹付けることにより、その植生材料Cが、表側の素地1
の網目11を通して連結部分30によって画成されたネット
目空間Sに入り、法面Bに対し確実に到達できる。しか
も立体状をなす連結部分30によって植生材料Cがネット
目空間S内に保持される。この際、ネット目空間Sを画
成する連結部分30の内方に連結糸を有さない紐条部21が
存するので、連結部分30の曲りや変形が規制され、立体
状態を良好に保ち、植生材料Cを確実に保持することが
できる。
図5および図6のネットAの場合は、立体形状および
ネット目空間Sの保形性がさらに良く、植生材料Cを安
定性よく保持しておくことができる。
このように、表裏の網状の素地1,2を連結する連結部
分30により画成された比較的大きいネット目空間Sによ
り、種子や肥料、客土等の植生材料Cを効率よく確実に
保持でき、しかもこの連結部分30の受支作用と防風作用
により、風雨等による植生材料Cの流出や飛散を防止で
きる。その一方、ネット目空間Sの内方に存する小さい
網目の素地2の紐条部21により法面の土砂の崩落を防止
できる。また植物はネット目空間Sの部分で法面に着生
でき、かつ成長し伸びることができる。
特に図示する実施例のように、連結部分30が実質的に
中空もしくは立体空隙を有する立体状をなしている場
合、降雨の際の雨水が前記連結部分30を伝って流れるこ
ととなって、法面の表面が過度に浸潤されることがな
く、また比較的多量の客土を吹付けて植生する場合にお
いて、前記ネットの裏面側(法面への添接側)が埋まっ
てしまっても、前記の連結部分30で良好な通気性、通水
性を確保できる。それゆえ法面等の植生、緑化を確実に
なすことができる。
しかも表裏の素地1,2の各紐条部11,21は1もしくは複
数ウエールの編目列により形成されているので、織物の
ネットのような単なる糸のみよりなる場合に比して強
く、容易に切断するおそれがなく、長期にわたり安定性
よく使用することができる。
また、上記同様に立体構造状ネットAを法面Bに敷設
し張設する場合において、図10のように前記の植生材料
を充填した植生袋Dや肥料袋等を任意位置のネット目空
間Sに収容し保持させて植生することもできる。前記の
植生袋等のほか、前記植生材料の固形物や固形肥料、保
水材等の1種以上を保持させることもできる。この場合
において、同図のように表裏の素地1,2の連結糸を有さ
ない紐条部11,21が存する場合、前記の植生袋D等を脱
落のおそれなく、保持しておくことができる。しかもネ
ット目空間Sがネット全域に存在しているため、法面の
状況に応じて配置密度を調整して前記の植生袋や肥料袋
等を保持させておくことができ、均一良好な植生、緑化
工法を実施できる。
前記の植生袋としては、種子や肥料さらに必要に応じ
て保水剤や土壌改良材等の植生材料を網状袋あるいは腐
食性繊維、水溶性や分解性繊維あるいは紙等よりなる袋
に充填してなるものであり、また肥料袋は、速効性、緩
効性や遅効性の肥料を適宜選択して1種以上を収容した
肥料袋である。
なお、植生ネットとして使用する場合、天然繊維等の
腐食性繊維や分解性化学繊維よりなる不織布等のシート
材に種子や肥料等を付着し保持させた植生マットを、網
目の小さい網状の素地の側に貼着して使用することもで
きる。
また前記の植生工法において、ネットAが腐食性繊維
もしくは分解性化学繊維、またはこれらと合成繊維との
混紡繊維により構成されていると、植生の初期の段階に
はネットにより植生材料を確実に保持でき、また植物が
成育した後はネットが腐食あるいは分解し、植物の成長
を阻害するもなく、除去作業も不要になる。
さらに高吸水性繊維またはその混紡繊維の糸により構
成されたネットを用いることにより、ネット自体の保水
性が良好となり、砂漠等の保水性の乏しい土地の緑化工
法の実施にも好適に利用できる。
砂漠の植生緑化工法においては、前記の高吸水性繊維
使用の立体構造状ネットを用いるほか、高吸水性樹脂の
ポリマーを不織布や綿状物に保持させたり袋詰めした保
水材を、ネット目空間Sあるいは立体空隙を保有する連
結部分30の内部空間の適当個所に保持させるか、あるい
は高吸水性樹脂を塗布手段によりネット自体に付着させ
て保持させておき、このネットを、砂漠地の地表面近く
に敷設し埋設して使用する。これにより、ネット埋設部
の全域に渡って充分な保水性を確保できる。また連結部
分30が立体空隙を保有することにより、ネット全域の通
水性も良好になり、砂漠の緑化を容易に可能にする。
また、上記した本発明の立体構造状ネットAは、天然
芝を育成、保護する保護材として使用することもでき
る。さらに他の用途として、ネット目空間Sに、クッシ
ョン材を収容してマット等の芯材として、あるいは断熱
材を収容して断熱マットや保温材として使用することが
できる。また空間保有性を利用して発泡コンクリートの
芯材として、あるいは使用糸にアラミド繊維や炭素繊維
等の高張力繊維を用いて、コンクリートや合成樹脂製の
板材や角材の補強用の芯材として使用することもでき
る。
[産業上の利用可能性] 上記したように本発明の立体構造状ネットによれば、
表裏の網状の素地を連結する連結部分により画成された
ネット目空間による比較的大きい網目による立体的なネ
ットの機能と、表裏の少なくとも一方の網状の素地によ
る前記ネット目空間より小さい網目のネットの機能とを
併せ持ち、しかも表裏の素地を連結する連結部分の立体
形態の保形性が良くて強く、この立体構造による通気お
よひ通水性や空間保有性等の特性を良好に保持できる。
またネットを構成する糸の種類や編成形態、また立体構
造を利用した他の資材との組合せ等によって、従来のネ
ットにはない機能を持つものとなる。
したがって、本発明の立体構造状ネットは、その特性
を利用して、法面等の植生工法に使用する植生ネットや
保護ネットとして特に好適に使用でき、さらにグラウン
ドや造成地等の集排水用ネットや吸水ネット、あるいは
安定および保護ネットとして、さらに建築用保護ネット
や構造物作成ネット、水産養殖用や農業用ネット等とし
て各種の用途に広く利用することができる。
そして、上記の立体構造状ネットを利用した本発明の
植生工法においては、表裏の素地を連結する連結部分が
立体形をなしてネット目空間を画成しているため、この
立体的なネット目空間に客土や種子、肥料等の植生材料
を保持させておくことができて、風雨による種子や肥料
等の植生材料の流出、飛散を防止でき、これが小さい網
目の素地による保形効果や土砂の崩落防止効果と相俟っ
て、法面等の緑化のための植生工法を容易に実施でき
る。

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】経編編成により形成され、表裏の網状をな
    す素地とこれら両素地を所要の間隔を存して連結する連
    結糸とよりなる立体構造状ネットであって、 表裏の素地は、それぞれ網目を形成する紐条部が1もし
    くは複数ウエールの編目列により構成されるとともに、
    表裏一方の素地の網目が他方の素地の網目より大きく形
    成され、この一方の素地の各紐条部とこれに対応する他
    方の素地の紐条部とに連結糸が掛け渡されて連結されて
    おり、この連結糸による連結部分が前記大きい網目に相
    当するネット目空間を画成し、前記他方の素地における
    連結糸を有さない紐条部が前記ネット目空間の内方で複
    数の小さい網目を形成していることを特徴とする立体構
    造状ネット。
  2. 【請求項2】経編編成により形成され、表裏の網状をな
    す素地とこれら両素地を所要の間隔を存して連結する連
    結糸とよりなる立体構造状ネットであって、 表裏の素地は、それぞれ網目を形成する各紐条部が1も
    しくは複数ウエールの編目列により構成されるととも
    に、両素地それぞれの1もしくは複数本おきの紐条部に
    おいて両素地に掛け渡される連結糸により連結されてお
    り、この連結糸による連結部分が表裏の素地の網目より
    大きいネット目空間を画成し、表裏の素地の連結糸を有
    さない紐条部が前記ネット目空間の内方で複数の小さい
    網目を形成していることを特徴とする立体構造状ネッ
    ト。
  3. 【請求項3】表裏の素地における紐条部が、1もしくは
    複数ウエールの鎖編糸とこれに横振り挿入された挿入糸
    とによる編目列からなる請求項1または2に記載の立体
    構造状ネット。
  4. 【請求項4】表裏の素地の紐条部が、編方向に連続する
    1もしくは複数ウエールの編目列よりなり、各紐条部が
    編方向の所要間隔毎に隣接する左右の紐条部と交互に結
    節されてジグザグ状をなし、それぞれ多角形の網目を形
    成するように構成されてなる請求項1〜3のいずれか1
    項に記載の立体構造状ネット。
  5. 【請求項5】連結糸が掛け渡される表裏の素地の紐条部
    が複数ウエールの編目列よりなり、連結糸による連結部
    分が複数ウエールの幅を持って通気および通水可能な実
    質的に中空もしくは立体空隙を有する立体状をなしてい
    ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載
    の立体構造状ネット。
  6. 【請求項6】表裏の素地の紐状部がそれぞれ表裏で異な
    る位置で結節されて、ネット目空間を画成する連結部分
    を交互に左右に傾斜させてなることを特徴とする請求項
    1〜5のいずれか1項に記載の立体構造状ネット。
  7. 【請求項7】表裏の素地を、編機ゲージに表裏で2倍以
    上の差をつけて、太さの異なる糸を用いて編成してなる
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の立体構造状ネッ
    ト。
  8. 【請求項8】表裏の素地を構成する糸条および連結糸
    が、天然繊維等の腐食性繊維もしくは分解性化学繊維、
    または該繊維を含む混紡繊維よりなることを特徴とする
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の立体構造状ネッ
    ト。
  9. 【請求項9】表裏の素地を構成する糸条および連結糸の
    全部または一部が、高吸水性樹脂繊維または該繊維を含
    む混紡繊維よりなる請求項1〜7のいずれか1項に記載
    の立体構造状ネット。
  10. 【請求項10】表裏の素地を構成する糸条および連結糸
    の全部または一部が、熱硬化性繊維、熱収縮性繊維、熱
    溶融性繊維のいずれか1種、または該繊維を含む混紡繊
    維もしくは引揃え繊維の糸よりなり、編成後に熱加工さ
    れてなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項
    に記載の立体構造状ネット。
  11. 【請求項11】表裏の素地を構成する糸条および連結糸
    の全部または一部に、弾性糸を用いて編成してなる請求
    項1〜10のいずれか1項に記載の立体構造状ネット。
  12. 【請求項12】請求項1〜11のいずれか1項に記載の立
    体構造状ネットにおいて、天然繊維、合成繊維、分解性
    化学繊維、保水性繊維、カーボン、ガラスその他の繊維
    もしくはこれらの混紡繊維の綿状物、クッション材、保
    温材や肥料等の他の資材を、任意の個所のネット目空間
    に挿入するか、あるいは表裏の素地に接合して保持させ
    てなる立体構造状ネット。
  13. 【請求項13】請求項1〜11のいずれか1項に記載の立
    体構造状ネットを、拡開し立体状態に保持して、織布、
    不織布、紙その他のシート状物、平面状や立体状のネッ
    ト状物または合成樹脂や金属製の板状物に対し接合して
    複合構造とした立体構造状ネット。
  14. 【請求項14】請求項1〜11のいずれか1項に記載の立
    体構造状ネットにおいて、肥料、保水剤、種子発芽剤等
    を付着させてなる立体構造状ネット。
  15. 【請求項15】請求項1〜13のいずれか1項に記載の立
    体構造状ネットを用い、この立体構造状ネットを拡開し
    立体状態に保持して法面等に張設し、表裏の素地を連結
    する連結部分により囲まれたネット目空間に、種子を含
    む植生材料を保持するようにして植生することを特徴と
    する法面等の植生工法。
  16. 【請求項16】請求項1〜13のいずれか1項に記載の立
    体構造状ネットを用い、この立体構造状ネットを拡開し
    立体状態に保持して法面等に張設し、表裏のネット状素
    地を連結する連結部分により囲まれた任意位置のネット
    目空間に、種子を含む植生材料を充填した植生袋や植生
    材料の固形物、肥料袋や固形肥料、保水材等の1種以上
    を配置し保持させて植生することを特徴とする法面等の
    植生工法。
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