JP2751790B2 - 表皮材の玉縁 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は車両用シートや家具その
他のシートに用いられる表皮材の玉縁に関し、更に詳細
に説明すると、長手方向の中央に断面略半円弧状の突条
部が形成され、該突条部より延設されて縫い代部が形成
された合成樹脂材からなる帯状の玉縁本体を備えた表皮
材の玉縁に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、車両用シートや家具その他の
シートに用いられる表皮材は、メイン部やサイド部及び
横マチ部等に分割形成された表皮材の各部分の端末を縫
製により所定形状に形成している。この縫製の際に、縫
製部が露出しないように玉縁が表皮材の各部分の端末に
挿入されて一体に縫製されている。

【０００３】従来の車両用シートの玉縁及び玉縁の製造
方法としては、特開昭５８−１６３３１２号公報や、特
開昭５８−１５８２１７号公報が存在する。これらの公
報に示される玉縁は玉芯と、この玉芯の外周に被覆され
る帯状の玉縁カバーとから形成されている。

【０００４】また、図５及び図６に示す如く、従来の玉
縁１は頭部に断面略円形状の玉縁部３が形成され、この
玉縁部３より下方に縫製部５が形成されている。前記玉
縁部３及び縫製部５は熱可塑性合成樹脂より帯状に一体
に成形されている。

【０００５】前記玉縁部３及び縫製部５の外側には、図
６（ａ），（ｂ）に示す如く、玉縁カバー７が接合さ
れ、この玉縁カバー７に絞付面が形成されている。前記
玉縁１の縫製部５には縫製すべき表皮材９の端末が縫着
されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、これら従来
の玉縁１は断面略円形状の玉縁部３が外方に突出し、造
形的にも限界を有し、また突出しているためシートに着
座し、または乗降の際に玉縁部３に引張力が作用し、擦
れたり変形したりし、耐久性に欠け外観を悪化させる虞
れを有するものであった。

【０００７】本発明の目的は、車両用シートや家具その
他のシートに用いられる表皮材の端末の縫製を玉縁を用
いて簡易迅速に行うことができ、玉縁の造形形状を種々
変形させて形成し、外観を向上させることができ、また
玉縁部の突出部の大きさを小さく形成することができ、
玉縁部が擦れたり変形したりするのを防止して耐久性を
向上させることができる表皮材の玉縁を提供するもので
ある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は上述せる課題に
鑑みてなされたもので、長手方向の中央に断面略半円弧
状の突条部を有し、該突条部の両側より幅方向に延設さ
れて縫い代部が形成された合成樹脂材からなる帯状の玉
縁本体と、該玉縁本体の縫い代部の裏面側に接合された
補強布とからなり、前記玉縁本体の突条部の両側の縫い
代部に表皮材の端末が前記補強布と共に縫着されるよう
になされていることを特徴とする。

【０００９】

【作用】本発明に依れば、合成樹脂材からなる帯状の玉
縁本体の長手方向の中央に断面略半円弧状の突条部が形
成され、該突条部の両側より幅方向に縫い代部が延設さ
れて形成され、造形的形状として表皮材に埋め込まれた
形状が表現でき、また玉縁本体の縫い代部の裏面側に補
強布が接合されているので、強度を向上させることがで
き、更に表皮材の縫製作業を簡易迅速に行うことがで
き、湾曲部に位置する部分に玉縁を配設する場合にも縫
い代部が容易に湾曲し、表皮材の被覆作業を簡易迅速に
行うことができる。

【００１０】

【実施例】以下本発明に係わる表皮材の玉縁を図面を参
照して詳述する。図１乃至図４には本発明に係る表皮材
の玉縁の一実施例の概略が夫々示されており、この表皮
材の玉縁１１は本実施例では車両用シートの表皮材の玉
縁に適用した場合として説明するが、これに限定される
ものではない。

【００１１】表皮材の玉縁１１は、図２及び図３に示す
如く、合成樹脂材からなる帯状の玉縁本体１３と、この
玉縁本体１３の裏面側に接合された帯状の綿布，金巾，
不織布等からなる補強布１５とから形成されている。

【００１２】前記補強布１５は玉縁本体１３の押出し成
形の際に一体に接合させることができる。補強布１５を
玉縁本体１３の押出し成形の際に一体成形する場合に
は、補強布１５が玉縁本体１３の底面と面一となるが、
補強布１５を玉縁本体１３の底面に後付けするものであ
ってもよい。

【００１３】前記玉縁本体１３の表面側の長手方向の中
央に断面略半円弧状の突条部１７が形成されている。こ
の突条部１７の中心には断面円形状の透孔１７ａが形成
されている。尚突条部１７は断面略半円弧状に形成され
るものに限定されるものではなく、円弧状に近い形状や
その他種々の形状とすることができる。また突条部１７
の中心の断面円形状の透孔１７ａを省略することもでき
る。

【００１４】前記玉縁本体１３の突条部１７の両側より
幅方向に左右一対の縫い代部１９が延設されて形成され
ている。前記左右一対の縫い代部１９は突条部１７の両
側より幅方向に等しい長さで形成されている。尚左右一
対の縫い代部１９は突条部１７の両側より幅方向に等し
い長さでなくてもよく、縫製すべき表皮材の材質に応じ
て適宜長さを調節することもできる。

【００１５】前記玉縁本体１３の縫い代部１９の裏面側
に接合された補強布１５は縫い代部１９の全長に亘って
形成することもできるが、本実施例では一枚ものの補強
布１５が縫い代部１９の裏面側の突条部１７を中心とす
る一部分に接合されている。尚、二枚の補強布１５を左
右の縫い代部１９の裏面側に接合するものであってもよ
い。

【００１６】前記玉縁本体１３の左右の縫い代部１９の
長さは、図１に示す如く、表皮材２１の端末の折り返し
部２１ａの長さと対応する長さ、例えば１０mmに形成す
れば、縫着時の表皮材２１の折り返し部２１ａの位置決
めに用いることができる。

【００１７】更に、図３及び図４に示す如く、前記玉縁
本体１３の左右の縫い代部１９の端末側には波形状部１
９ａが形成され、この左右の波形状部１９ａの波形は左
右の縫い代部１９において逆位相となるように形成され
ている。

【００１８】前記左右の波８状部１９ａの波形は矩形波
または鋸波であってもよい。この波形状部１９ａを形成
することにより、左右の縫い代部１９を近接する方向に
湾曲させる際に湾曲が容易に行え、対追従性を向上させ
ることができるが、この波形状部１９ａを縫い代部１９
より薄く形成し、または省略することもできる。

【００１９】次いで、表皮材２１の端末の折り返し部２
１ａの先端を、左右の波形状部１９ａの先端に位置合わ
せし、表皮材２１の端末の折り返し部２１ａの折り返し
位置に近接した位置を玉縁本体１３の突条部１７の左右
両側の縫い代部１９に前記補強布１５と共に縫着するこ
とにより、表皮材２１の端末を玉縁１１を介して縫着す
ることができる。

【００２０】

【発明の効果】以上が本発明に斯る表皮材の玉縁の一実
施例の構成であるが、斯る構成に依れば、合成樹脂材か
らなる帯状の玉縁本体の長手方向の中央に断面略半円弧
状の突条部が形成され、該突条部の両側より幅方向に縫
い代部が延設されて形成され、玉縁部の突出部の大きさ
を小さく形成することができ、玉縁部が擦れたり変形し
たりするのを防止して耐久性を向上させることができ、
また玉縁の造形形状を種々変形させて形成し、外観を向
上させることができる。

【００２１】また玉縁本体の縫い代部の裏面側に補強布
が接合されているので、強度を向上させることができ、
更に表皮材の縫製作業を簡易迅速に行うことができ、湾
曲部に位置する部分に玉縁を配設する場合にも縫い代部
が容易に湾曲し、表皮材の被覆作業を簡易迅速に行うこ
とができる表皮材の玉縁を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る玉縁を用いた表皮材の縫製状態を
示す断面図。

【図２】本発明に係る表皮材の玉縁の断面図。

【図３】本発明に係る表皮材の玉縁の一部斜視図。

【図４】本発明に係る表皮材の玉縁の一部平面図。

【図５】従来の玉縁を用いた表皮材の縫製状態を示す断
面図。

【図６】従来の表皮材の玉縁を示すもので、（ａ）は一
部斜視図、（ｂ）は断面図。

【符号の説明】

１１ 玉縁 １３ 玉縁本体 １５ 補強布 １７ 突条部 １９ 縫い代部 １９ａ 波形状部 ２１ 表皮材 ２１ａ 折り返し部

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 長手方向の中央に断面略半円弧状の突条
   部を有し、該突条部の両側より幅方向に延設されて縫い
   代部が形成された合成樹脂材からなる帯状の玉縁本体
   と、該玉縁本体の縫い代部の裏面側に接合された補強布
   とからなり、前記玉縁本体の突条部の両側の縫い代部に
   表皮材の端末が前記補強布と共に縫着されるようになさ
   れていることを特徴とする表皮材の玉縁。