JP2750850B2 - 流体封入式防振ブッシュ - Google Patents

流体封入式防振ブッシュ

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JP2750850B2
JP2750850B2 JP27311296A JP27311296A JP2750850B2 JP 2750850 B2 JP2750850 B2 JP 2750850B2 JP 27311296 A JP27311296 A JP 27311296A JP 27311296 A JP27311296 A JP 27311296A JP 2750850 B2 JP2750850 B2 JP 2750850B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【技術分野】本発明は流体封入式防振ブッシュに係り、
特に耐久性に優れた流体封入式防振ブッシュに関するも
のである。 【0002】 【従来技術】従来より、ゴム弾性体を介して連結された
内筒部材と外筒部材との間に複数の流体室を有すると共
に、それら流体室内に封入された非圧縮性流体の相互流
動を許容するオリフィスを有し、かかるオリフィスを通
じて流動する非圧縮性流体の慣性質量効果乃至は液柱共
振作用に基づいて、そのオリフィスのチューニング周波
数に対応した周波数域のブッシュ径方向の入力振動を良
好に減衰するようにした流体封入式の防振ブッシュが知
られており、FF車の円筒型エンジンマウントや自動車
サスペンションのサスペンションブッシュなどに採用さ
れている。 【0003】ところで、このような流体封入式防振ブッ
シュでは、従来、非圧縮性流体が封入せしめられる流体
室が、何れも、円筒状のゴム弾性体に形成されたポケッ
ト部を流体収容空間とする状態で形成されており、内筒
部材と外筒部材とがそれらの全周においてゴム弾性体で
連結せしめられていた(特公昭48−36151号公報
や特公昭52−16554号公報等参照)。そして、そ
のために、この種の従来の流体封入式防振ブッシュで
は、FF車の円筒型エンジンマウントのように、その使
用状態において振動入力方向に所定の予荷重が加えられ
る場合、ゴム弾性体の一部に引張力が作用することが避
けられず、大振幅振動の入力時において、その引張力が
著しく大きくなって、ゴム弾性体の耐久性、ひいては防
振ブッシュの耐久性が著しく低下するといった問題があ
った。 【0004】 【解決課題】本発明は、このような事情を背景として為
されたものであり、その解決すべき課題とするところ
は、その使用状態において振動入力方向に所定の予荷重
が加えられるような場合においても、ゴム弾性体、ひい
ては防振ブッシュの耐久性が著しく低下することのない
流体封入式防振ブッシュを提供することにある。 【0005】 【解決手段】そして、かかる課題を解決するために、本
発明に従う流体封入式防振ブッシュは、(a)内筒部材
と、(b)該内筒部材の外側に振動入力方向に偏心して
配置された外筒部材と、(c)それら内筒部材と外筒部
材との間の離隔距離の大きい側の部位に介装されて、そ
れら内筒部材と外筒部材とを弾性的に連結する、外周面
に開口するポケット部を備えたゴム弾性体と、(d)そ
れら内筒部材と外筒部材との間の離隔距離の小さい側の
部位に設けられた、ブッシュ軸心方向に貫通する空所
と、(e)前記ゴム弾性体の前記ポケット部の開口が前
記外筒部材で流体密に閉塞されることにより形成され
た、所定の非圧縮性流体が封入せしめられた受圧室と、
(f)前記内筒部材と外筒部材との間に設けられた貫通
空所内において、それら内筒部材と外筒部材の偏心方向
における該内筒部材との対向部位からマウント周方向に
隔たった部位に位置して、前記ゴム弾性体とは独立した
膨出変形の容易な薄肉壁部で少なくとも一部が画成され
ている一方、該ゴム弾性体にては画成されないようにし
て形成された、前記受圧室と同様の非圧縮性流体が封入
せしめられた平衡室と、(g)該平衡室と前記受圧室と
を相互に連通せしめるオリフィスとを、含むように構成
されるのである。 【0006】なお、前記平衡室は、貫通空所内におい
て、内外筒部材の偏心方向における内筒部材との対向部
位からマウント周方向一方の側だけに隔たった位置に形
成することも可能であるが、好ましくは、かかる平衡室
が、貫通空所内において、内筒部材と外筒部材の偏心方
向における内筒部材との対向部位からマウント周方向両
側にそれぞれ隔たった部位に位置して、一対形成され
る。 【0007】また、前記薄肉壁部は、平衡室の少なくと
も一部を画成することによって、平衡室の容積変化を容
易に許容し得るものであれば良いが、好ましくは、かか
る薄肉壁部が、貫通空所内に配設されて外周面に開口す
る袋状構造とされて、薄肉壁部の外周面開口部を外筒部
材で流体密に閉塞することによって、平衡室が形成され
る。 【0008】更にまた、本発明では、前記貫通空所内に
おいて、内筒部材と外筒部材の偏心方向における内筒部
材との対向部位に位置して、外筒部材の内周面に沿って
広がるゴム層を、薄肉ゴム層と一体的に且つ薄肉ゴム層
よりも大きな厚さで形成することが好ましい。 【0009】また、本発明においては、前記ゴム弾性体
によって形成されたポケット部の周方向両側の壁部を、
全体として、内筒部材側から内筒部材と外筒部材の偏心
方向における離隔距離の大きい側に向かって広がるV字
形断面形状とすることが、好ましい。 【0010】更にまた、本発明においては、前記ゴム弾
性体の外周面にシールスリーブを接着せしめて、該シー
ルスリーブにおける内筒部材との偏心方向両側部分にそ
れぞれ窓部を形成し、シールスリーブにおける内筒部材
との偏心距離の大きい側の部位に設けた窓部を通じてポ
ケット部を開口せしめる一方、前記薄肉壁部を袋状のゴ
ム弾性膜とし、該袋状ゴム弾性膜を、シールスリーブに
おける内筒部材との偏心距離の小さい側の部位に設けら
れた窓部を内側から閉塞するように接着せしめて、かか
るシールスリーブに外筒部材を流体密に嵌着させてシー
ルスリーブの窓部を閉塞せしめることによって前記受圧
室および前記平衡室を形成することが、好ましい。 【0011】また、より好ましくは、前記シールスリー
ブの外周面上を両窓部間に跨がって延びるオリフィス溝
が設けられて、該オリフィス溝が外筒部材で閉塞される
ことによって前記オリフィスが形成される。 【0012】更にまた、本発明においては、前記貫通空
所内において、内筒部材側から外筒部材側に向かって突
出し、貫通空所の外筒部材側の内周面に対して内筒部材
と外筒部材の偏心方向で対向位置するストッパ部材を設
けることが、望ましい。 【0013】 【作用・効果】このような本発明に従う構造された流体
封入式防振ブッシュでは、振動入力方向に振動が入力さ
れると、内筒部材と外筒部材との径方向の変位に基づい
て受圧室と平衡室との間に流体圧差が惹起され、その結
果、それら受圧室と平衡室とに封入された非圧縮性流体
がオリフィスを通じて相互に流動せしめられる。従っ
て、従来の流体封入式防振ブッシュと同様に、そのオリ
フィスを流動する非圧縮性流体の慣性質量効果乃至は液
柱共振作用に基づいて、そのオリフィスのチューニング
周波数に対応した周波数域の入力振動を良好に減衰する
ことができる。 【0014】また、このような流体封入式防振ブッシュ
においては、偏心方向における内筒部材と外筒部材との
間の離隔距離の小さい側の部位に位置して、ブッシュ軸
心方向に貫通する空所が形成されていることから、使用
状態において振動入力方向に予荷重が加えられるような
場合でも、ゴム弾性体がその予荷重で圧縮変形せしめら
れるようにすることにより、その予荷重によってゴム弾
性体に大きな引張力が作用せしめられるようなことを良
好に回避できるのである。従って、振動入力方向に大振
幅振動が入力されるような場合においても、ゴム弾性体
に過大な引張力が作用することを良好に回避できるので
あり、それ故、予荷重が加えられるような形態で用いた
場合においても、ゴム弾性体、ひいては防振ブッシュの
耐久性が著しく低下することを良好に回避することがで
きるのである。 【0015】さらに、かかる本発明に従う流体封入式防
振ブッシュにあっては、平衡室が、ゴム弾性体にては画
成されないようにして、該ゴム弾性体とは独立した形態
において形成されているところから、予荷重の印加時や
振動の入力時等における内外筒部材の相対的変位に伴う
直接的な引張力が、該平衡室に、特にそれを画成する薄
肉壁部に対して作用することを、効果的に回避し得て、
防振ブッシュとしての耐久信頼性を有利に確保し得ると
いう特徴をも有しているのである。 【0016】加えて、かかる本発明に従う流体封入式防
振ブッシュにあっては、平衡室が、内外筒部材の偏心方
向における内筒部材との対向部位を避けて形成されてい
ることから、予荷重の印加時や振動の入力時等に内外筒
部材が大きく相対変位した場合でも、平衡室を画成する
薄肉壁部への内筒部材等の干渉や当接が効果的に回避さ
れるのであり、それによって、薄肉壁部、延いては防振
ブッシュの耐久信頼性の更なる向上が図られ得るといっ
た利点も有しているのである。 【0017】 【発明の実施の形態】以下、本発明をより一層具体的に
明らかにするために、本発明をFF車のパワーユニット
の防振支持に用いられる円筒型エンジンマウントに適用
した例について、その一実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。 【0018】先ず、第1図乃至第3図において、10お
よび16は、それぞれ、内筒部材としての円筒状の内筒
金具と外筒部材としての円筒状の外筒金具であって、マ
ウント径方向に所定量偏心して配置されており、それら
の間に介装された略半円筒状のゴム弾性体14によって
弾性的に連結せしめられている。そして、本実施例のエ
ンジンマウントは、内筒金具10の内孔18においてエ
ンジンを含むパワーユニット側または車体側に取り付け
られる一方、外筒金具16において車体側またはパワー
ユニット側に取り付けられて、パワーユニットを車体に
対して防振支持せしめるようになっている。 【0019】ここで、ゴム弾性体14は、内筒金具10
と外筒金具16との偏心方向の離隔距離の大きい側にお
いて、それら両金具10,16間に介装せしめられてお
り、それら両金具10,16間の偏心方向の離隔距離の
小さい側の部位には、マウント軸心方向に貫通する状態
で、略円弧状断面の空所34が形成されている。そし
て、ゴム弾性体14は、前記パワーユニットの取付けに
より、内筒金具10と外筒金具16との間でそれらの偏
心方向で圧縮変形せしめられるようになっており、これ
により、パワーユニットの取付状態においては、内筒金
具10と外筒金具16とが略同心的に位置せしめられる
ようになっている。 【0020】また、ゴム弾性体14は、その内周面にお
いて内筒金具10の外周面に一体加硫接着されており、
その外周面には、前記空所34を内包する状態で、シー
ルスリーブ12が一体加硫接着せしめられている。そし
て、かかるシールスリーブ12の外周面に流体密に嵌着
されて前記外筒金具16が配設されている。なお、ゴム
弾性体14は、図示のように、空所34側にまわり込ん
だ所定厚さのゴム層と一体に成形されている。 【0021】上記ゴム弾性体14の外周面に固着された
シールスリーブ12には、第4図乃至第7図に示されて
いるように、前記両金具10,16の偏心方向で内筒金
具10を挟んで対向するように、一対の窓部20,22
が形成されており、またシールスリーブ12の外周面に
は、それら両窓部20,22をつなぐ状態で、一対の周
方向のオリフィス溝24,26が形成されている。さら
に、それらオリフィス溝24,26の開口部を除くシー
ルスリーブ12の外周面には、軸心方向の両端部にそれ
ぞれシールリップ28,28を備えた所定厚さのシール
ゴム層30が、ゴム弾性体14と一体に加硫成形されて
配設されている。 【0022】一方、ゴム弾性体14には、第4図および
第5図に示されているように、上記シールスリーブ12
の窓部20に開口する状態で、所定深さのポケット部3
2が形成されている。また、前記空所34に臨むシール
スリーブ12の部位には、該シールスリーブ12の他方
の窓部22のマウント周方向に隔たった両端部部分をそ
れぞれ内側から閉塞する状態で、膨出変位の容易な薄肉
壁部としての袋状のゴム弾性膜36,38が、ゴム弾性
体14とは実質的に別体となる形態において、それぞれ
一体加硫接着されており、これにより、シールスリーブ
12の窓部22に開口する所定深さの一対の凹所40,
42が形成されている。なお、第4図および第5図から
明らかなように、凹所40,42間のシールスリーブ1
2の窓部22の部分は、ゴム弾性膜36,38およびゴ
ム弾性体14と一体に成形された所定厚さのゴム層で塞
がれている。 【0023】そして、ここでは、前述のように、シール
スリーブ12の外周面に外筒金具16が流体密に嵌着さ
れることにより、前記シールスリーブ12の窓部20,
22、ひいては前記ポケット部32および凹所40,4
2の開口部がそれぞれ流体密に閉塞されて、それらポケ
ット部32および凹所40,42の内側空間をそれぞれ
流体収容空間とする受圧室44および一対の平衡室4
6,48が形成されており、また前記オリフィス溝2
4,26の開口部が流体密に閉塞されて、受圧室44と
各平衡室46,48とを連通するオリフィス50,52
がそれぞれ形成されている。また、ここでは、シールス
リーブ12に対する外筒金具16の嵌着操作が所定の非
圧縮性流体中で行なわれることにより、それら受圧室4
4および平衡室46,48内に、水,アルキレングリコ
ール,ポリアルキレングリコール,低分子量重合体等の
所定の非圧縮性流体が封入されている。 【0024】なお、外筒金具16は八方絞り加工を施さ
れてシールスリーブ12に固着されている。また、本実
施例のエンジンマウントは、かかる外筒金具16の嵌装
操作後、所定のダイスを通過させられることによって、
その外形寸法が所望の寸法に設定されているが、これに
代えて、外筒金具16の嵌装操作後、外筒金具16を絞
って所定の外径とすることも可能である。さらに、前記
オリフィス50,52は、その断面積および長さが所定
の低周波数域の振動に対応して設定されており、これに
より、それらオリフィス50,52を流動する、乃至は
そこに位置する非圧縮性流体の慣性質量効果乃至は液柱
共振作用に基づいて、それらオリフィス50,52のチ
ューニング周波数に対応した低周波数域の振動が良好に
減衰せしめられるようになっている。 【0025】ところで、第4図乃至第6図に示されてい
るように、前記内筒金具10の外周面には、その軸心方
向の中央部に位置して、長手方向が金具10,16の偏
心方向と一致する状態で、所定厚さの長手ブロック状の
ストッパ金具54がその中央孔56において圧入固定さ
れている。そして、このストッパ金具54の長手方向の
両端部58,60が、前記ポケット部32(受圧室4
4)および空所34内にそれぞれ所定高さをもって延び
出させられており、これにより、かかるストッパ金具5
4の両端部58,60が外筒金具16の内周面に当接す
ることに基づいて、内筒金具10と外筒金具16との偏
心方向における過大な相対変位が防止されるようになっ
ている。なお、空所34側に突出せしめられたストッパ
金具54の表面は、ゴム弾性体14と一体に成形された
所定厚さの緩衝用ゴム層で覆われている。 【0026】さらに、図1に明示されているように、平
衡室46,48は、内外筒金具10,16の偏心方向に
おける内筒金具10との対向部位からマウント周方向の
両側にそれぞれ隔たった部位に位置するように設けられ
ており、ゴム弾性膜36,38へのストッパ金具54に
おける空所34側の突出先端面に対する径方向対向位置
には、平衡室46,48が形成されていない。それによ
って、内外筒金具10,16間に大きな予荷重や振動荷
重が入力された場合でも、ゴム弾性膜36,38へのス
トッパ金具54の干渉や当接が有効に回避され得るよう
になっている。 【0027】また、第4図および第5図に示されている
ように、上記受圧室44内に突出せしめられたストッパ
金具54の端部58の先端面には、雌ネジ穴62が形成
されており、第1図および第2図に示されているよう
に、その雌ネジ穴62に螺合された雄ネジ64により、
外周縁部がそのストッパ金具54の端部58の周囲の側
方に延び出すように、略円弧状断面の矩形板状の側方延
出部材66が固着されている。そして、振動入力によっ
て内筒金具10と外筒金具16とがそれらの偏心方向に
相対移動せしめられると、その側方延出部材66の外周
縁部と受圧室44の内壁との間に形成された環状の狭窄
部67を通じて、非圧縮性流体がマウント径方向に流動
せしめられるようになっている。 【0028】本実施例では、その狭窄部67を通じて流
動する非圧縮性流体の慣性質量効果乃至は液柱共振作用
に基づいて、その狭窄部67について設定された周波数
域の入力振動、すなわち振動入力方向(両金具10,1
6の偏心方向)における長さ:l(第1図および第2図
参照)と断面積(振動入力方向に直角な方向における狭
窄部67の面積)との比に対応した周波数域の入力振動
についても、良好な防振効果が得られるようになってい
るのである。 【0029】なお、かかる狭窄部67は、前記オリフィ
ス50,52のチューニング周波数よりも高い周波数に
チューニングされることとなる。また、第1図および第
2図に示されているように、ここでは、雄ネジ64によ
ってストッパ金具54の端部58に固着される補強金具
68と、その外側面に一体加硫成形された所定厚さの緩
衝ゴム層70とから側方延出部材66が構成されてお
り、緩衝ゴム層70には、雄ネジ64を雌ネジ穴62に
螺合させるための通孔72が形成されている。 【0030】このような構造のエンジンマウントを用い
てパワーユニットを防振支持させるに際しては、前述の
ように、パワーユニットの取付けにより、ゴム弾性体1
4が内筒金具10と外筒金具16の偏心方向で圧縮変形
せしめられるようにする。 【0031】このようにすれば、内筒金具10と外筒金
具16との偏心方向である振動入力方向に振動が入力さ
れたとき、受圧室44と平衡室46,48との間に流体
圧差が惹起されて、受圧室44および平衡室46,48
に封入された非圧縮性流体が、平衡室46,48を画成
するゴム弾性膜36,38の膨出・収縮変形に基づい
て、オリフィス50,52を通じて相互に流動せしめら
れるのであり、従って従来の流体封入式円筒型エンジン
マウントと同様に、そのオリフィス50,52を通じて
流動する、乃至はそこに位置する非圧縮性流体の慣性質
量効果乃至は液柱共振作用に基づいて、それらオリフィ
ス50,52のチューニング周波数に対応した低周波数
域の入力振動に対して良好な減衰効果を発揮させること
ができるのである。 【0032】なお、本実施例では、振動入力方向に振動
が入力され、内筒金具10と外筒金具16とが偏心方向
に相対変位させられると、受圧室44に形成された狭窄
部67を通じて非圧縮性流体がマウント径方向に流動せ
しめられることとなるため、前述のように、その狭窄部
67を通じて流動する非圧縮性流体の慣性質量効果乃至
は液柱共振作用に基づいて、その狭窄部67のチューニ
ング周波数に対応した高周波数域の入力振動を良好に遮
断できるといった利点もある。 【0033】ところで、パワーユニットを上述のように
して防振支持させた場合には、内筒金具10と外筒金具
16との偏心方向における離隔距離の小さい側において
は、パワーユニットの重量荷重により、それら両金具1
0,16間の離隔距離が大きくなる。従って、従来の流
体封入式円筒型エンジンマウントのように、両金具1
0,16が円筒状のゴム弾性体で連結されているような
場合には、その両金具10,16の離隔距離が大きくな
る部位のゴム弾性体部分に対して、パワーユニットの重
量荷重に基づく大きな引張力が作用されることとなり、
大振幅振動の入力時において更に大きな引張力が作用せ
しめられることとなって、ゴム弾性体、ひいてはエンジ
ンマウントの耐久性が著しく低下する。 【0034】しかし、本実施例のエンジンマウントで
は、前述のように、偏心方向における両金具10,16
間の離隔距離の小さい側の部位においては、それら金具
10,16がゴム弾性体14で連結されておらず、マウ
ント軸心方向に貫通する空所34が設けられているた
め、たとえパワーユニットの重量荷重によって両金具1
0,16間の離隔距離が大きくなっても、単に空所34
の間隙寸法が大きくなるだけで、ゴム弾性体14に大き
な引張力が作用させられるようなことはない。従って、
大振幅振動入力時においても、ゴム弾性体14に過大な
引張力が作用せしめられることが良好に回避されること
となり、ゴム弾性体14、ひいてはエンジンマウントの
耐久性が著しく低下することが良好に回避されることと
なる。 【0035】このように、本実施例に従う円筒型エンジ
ンマウントによれば、ゴム弾性体14が内筒金具10と
外筒金具16との間で圧縮変形されるような形態で用い
ることにより、従来の流体封入式円筒型エンジンマウン
トと同様に、低周波数域の入力振動に対して良好な減衰
効果を発揮させることができる上、その耐久性を従来の
流体封入式円筒型エンジンマウントよりも向上させるこ
とができるのであり、従来の流体封入式円筒型エンジン
マウントよりも優れた実用性を得ることができるのであ
る。 【0036】また、本実施例の円筒型エンジンマウント
にあっては、平衡室46,48がゴム弾性体14にて画
成されておらず、従ってゴム弾性体14とは別体のゴム
弾性膜36,38にて画成されているところから、パワ
ーユニットの重量荷重(予荷重)の印加や振動の入力に
よって、それらゴム弾性膜36,38への直接的な引張
力が作用することが効果的に回避されることとなるので
あり、それ故にそれらゴム弾性膜36,38、ひいては
防振ブッシュとしての耐久信頼性を有利に確保すること
が出来るのである。 【0037】以上、本発明の一実施例を詳細に説明した
が、これはあくまでも例示であり、本発明が、かかる具
体例に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲
内において、種々なる変更,修正,改良等を施した態様
で実施できることは、言うまでもないところである。 【0038】例えば、前記実施例では、平衡室46,4
8を構成する凹所40,42が、シールスリーブ12の
窓部22のそれぞれ一部を開口部とする状態で形成され
ていたが、それら平衡室46,48の凹所40,42
は、シールスリーブ12に形成された互いに独立した窓
部を開口部とする状態で形成することも可能である。ま
た、それら平衡室46,48の一方のみを平衡室として
採用することも可能である。 【0039】また、前記実施例では、平衡室46,48
の一部を画成する薄肉壁部としてのゴム弾性膜36,3
8がシールスリーブ12に一体に接着されて設けられて
いたが、薄肉壁部は必ずしもシールスリーブ12に一体
に接着されて設けられている必要はなく、薄肉壁部をシ
ールスリーブとは別体に構成し、シールスリーブに機械
的に取り付けることによって、平衡室を形成せしめるよ
うにすることも可能である。 【0040】さらに、前記実施例では、本発明をFF車
の円筒型エンジンマウントに適用した例について述べた
が、本発明は、自動車用のサスペンションブッシュ等、
FF車の円筒型エンジンマウント以外の防振ブッシュや
防振マウントにも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に従うFF車用の円筒型エンジンマウン
トの一例を示す横断面図である。 【図2】図1におけるII−II断面図である。 【図3】図1におけるIII −III 断面図である。 【図4】図1のエンジンマウントにおけるゴム弾性体の
一体加硫成形品を示す図1に対応する断面図である。 【図5】図4におけるV−V断面図である。 【図6】図4におけるVI−VI断面図である。 【図7】図4におけるVII −VII 断面図である。 【符号の説明】 10 内筒金具(内筒部材) 12 シールスリーブ 14 ゴム弾性体 16 外筒金具(外筒部材) 32 ポケット部 34 空所 36,38 ゴム弾性膜(薄肉壁部) 40,42 凹所 44 受圧室 46,48 平衡室 50,52 オリフィス

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.内筒部材と、 該内筒部材の外側に振動入力方向に偏心して配置された
    外筒部材と、 それら内筒部材と外筒部材との間の離隔距離の大きい側
    の部位に介装されて、それら内筒部材と外筒部材とを弾
    性的に連結する、外周面に開口するポケット部を備えた
    ゴム弾性体と、 それら内筒部材と外筒部材との間の離隔距離の小さい側
    の部位に設けられた、ブッシュ軸心方向に貫通する空所
    と、 前記ゴム弾性体の前記ポケット部の開口が前記外筒部材
    で流体密に閉塞されることにより形成された、所定の非
    圧縮性流体が封入せしめられた受圧室と、 前記内筒部材と外筒部材との間に設けられた貫通空所内
    において、それら内筒部材と外筒部材の偏心方向におけ
    る該内筒部材との対向部位からマウント周方向に隔たっ
    た部位に位置して、前記ゴム弾性体とは独立した膨出変
    形の容易な薄肉壁部で少なくとも一部が画成されている
    一方、該ゴム弾性体にては画成されないようにして形成
    された、前記受圧室と同様の非圧縮性流体が封入せしめ
    られた平衡室と、 該平衡室と前記受圧室とを相互に連通せしめるオリフィ
    スとを、含むことを特徴とする流体封入式防振ブッシ
    ュ。 2.前記平衡室が、前記貫通空所内において、前記内筒
    部材と前記外筒部材の偏心方向における該内筒部材との
    対向部位からマウント周方向両側にそれぞれ隔たった部
    位に位置して、一対形成されている請求項1に記載の流
    体封入式防振ブッシュ。 3.前記薄肉壁部が、前記貫通空所内に配設されて外周
    面に開口する袋状構造を有しており、該薄肉壁部の外周
    面開口部が前記外筒部材で流体密に閉塞されることによ
    って、前記平衡室が形成されている請求項1又は2に記
    載の流体封入式防振ブッシュ。 4.前記貫通空所内において、前記内筒部材と前記外筒
    部材の偏心方向における該内筒部材との対向部位に位置
    して、該外筒部材の内周面に沿って広がるゴム層が、前
    記薄肉ゴム層と一体的に且つ該薄肉ゴム層よりも大きな
    厚さで形成されている請求項1乃至3の何れかに記載の
    流体封入式防振ブッシュ。 5.前記ゴム弾性体によって形成された前記ポケット部
    の周方向両側の壁部が、全体として、前記内筒部材側か
    ら該内筒部材と前記外筒部材の偏心方向における離隔距
    離の大きい側に向かって広がるV字形断面形状とされて
    いる請求項1乃至4の何れかに記載の流体封入式防振ブ
    ッシュ。 6.前記ゴム弾性体の外周面にシールスリーブが接着さ
    れて、該シールスリーブにおける前記内筒部材との偏心
    方向両側部分にそれぞれ窓部が形成されており、該シー
    ルスリーブにおける該内筒部材との偏心距離の大きい側
    の部位に設けられた窓部を通じて前記ポケット部が開口
    せしめられている一方、前記薄肉壁部が袋状のゴム弾性
    膜とされて、該袋状ゴム弾性膜が、該シールスリーブに
    おける該内筒部材との偏心距離の小さい側の部位に設け
    られた窓部を内側から閉塞するように接着されており、
    かかるシールスリーブに前記外筒部材が流体密に嵌着さ
    れて該シールスリーブの窓部が閉塞されることによって
    前記受圧室および前記平衡室が形成されている請求項1
    乃至5の何れかに記載の流体封入式防振ブッシュ。 7.前記シールスリーブの外周面上を前記両窓部間に跨
    がって延びるオリフィス溝が設けられており、該オリフ
    ィス溝が前記外筒部材で閉塞されることによって前記オ
    リフィスが形成されている請求項6に記載の流体封入式
    防振ブッシュ。 8.前記貫通空所内において、前記内筒部材側から前記
    外筒部材側に向かって突出し、該貫通空所の該外筒部材
    側の内周面に対して該内筒部材と該外筒部材の偏心方向
    で対向位置するストッパ部材が設けられている請求項1
    乃至7の何れかに記載の流体封入式防振ブッシュ。
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