JPH0555739B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （技術分野） 本発明は流体封入式防振ブツシユに係り、更に
詳しくは、径方向に入力される低周波振動と高周
波振動とに対して、共に良好な防振機能を発揮す
ることのできる流体封入式防振ブツシユに関する
ものである。

（従来技術） 振動伝達系を構成する所定の取付軸と筒状保持
部との間に介装されて、それらを防振連結する防
振ブツシユの一種に、主としてその径方向の所定
の方向に入力される振動を減衰乃至は遮断するよ
うにしたものがある。例えば、自動車のサスペン
シヨンブツシユやFF（フロントエンジン・フロン
トドライブ）車の円筒型エンジンマウント等がそ
れである。

ところで、このような防振ブツシユでは、高周
波−小振幅の入力振動に対して良好な遮断性能が
要求される一方、低周波−大振幅の入力振動に対
して良好な減衰性能が要求されるのが一般的であ
るが、従来の防振ブツシユでは、それらの入力振
動に対する防振機能が、専ら、ゴム弾性体の弾性
変形だけに基づいて発揮されるようになつていた
ため、それらの要求を同時に満足させることが難
しく、特に低周波−大振幅の入力振動に対して充
分な減衰効果を発揮することができないといつた
問題があつた。

そのため、近年、特公昭48−36151号公報や特
公昭52−16554号公報等において、円筒状のゴム
弾性体内に、振動入力方向で対向するように一対
の流体室を形成すると共に、それら流体室をオリ
フイスで連通させ、径方向の振動入力時におい
て、各流体室に収容された所定の非圧縮性流体
が、そのオリフイスを通じて相互に流動し得るよ
うにした流体封入式の防振ブツシユが提案されて
いる。

このような流体封入式防振ブツシユによれば、
オリフイスを流動する非圧縮性流体の慣性質量効
果乃至は液柱共振作用に基づいて、そのオリフイ
スについて設定（チユーニング）された周波数域
の入力振動を良好に減衰することができるのであ
り、従つてそのオリフイスのチユーニング周波数
を低い周波数に設定することにより、低周波−大
振幅の入力振動に対して良好な減衰効果を発揮さ
せることができるのである。

（解決課題） しかしながら、このような従来の流体封入式防
振ブツシユにあつては、上述のように、オリフイ
スについて設定された周波数域（チユーニング周
波数領域）の入力振動に対しては、良好な減衰効
果を発揮させることができるものの、それ以外の
周波数域の入力振動に対しては、必ずしも良好な
防振機能が得られるとは言い難く、特にそのオリ
フイスのチユーニング周波数域よりも高い周波数
域の入力振動に対しては、非圧縮性流体がオリフ
イスを流動し難くなることに起因して、却つて防
振機能が低下するといつた問題があつた。

（解決手段） 本発明は、このような事情を背景として為され
たものであつて、その特徴とするところは、前述
の如き、径方向に入力される振動を遮断乃至は減
衰せしめる流体封入式防振ブツシユを、(a)内筒部
材と、(b)該内筒部材の外側に同心的に若しくは偏
心して配置されたシールスリーブと、(c)該シール
スリーブの外周面に嵌装された外筒部材と、(d)前
記シールスリーブと前記内筒部材との間に介装せ
しめられてそれらを連結する、外周面に開口した
ポケツト部を有するゴム弾性体と、(e)前記シール
スリーブと前記内筒部材との間の該ゴム弾性体に
て連結されていない部位に設けられた、ブツシユ
軸心方向に貫通する空所と、(f)前記ゴム弾性体の
ポケツト部がその開口部を前記外筒部材で流体密
に閉塞せしめられることによつて形成された、防
振すべき振動が入力せしめられる受圧室と、(g)前
記シールスリーブと内筒部材との間に設けられた
貫通空所内において、膨出変形の容易な薄肉壁部
で少なくとも一部を画成されて形成された平衡室
と、(h)該平衡室と前記受圧室とに封入された所定
の非圧縮性流体と、(i)前記平衡室と前記受圧室と
を相互に連通せしめるオリフイスと、(j)前記受圧
室内において、前記ポケツト部の底部から径方向
外側に向かつて延び出す状態で設けられた、所定
高さのストツパ部と、(k)該ストツパ部の先端側部
分から側方に延び出す状態で設けられ、前記受圧
室の内壁との間で所定の狭窄部を形成する側方延
出部とを、含むように構成したことにある。

（作用・効果） かかる本発明に従う流体封入式防振ブツシユに
よれば、従来の流体封入式防振ブツシユと同様
に、オリフイスのチユーニング周波数を低い周波
数に設定することにより、かかるオリフイスを流
動する非圧縮性流体の慣性質量効果乃至は液柱共
振作用に基づいて、受圧室とブツシユ軸心方向の
貫通空所との対向方向に入力される低周波−大振
幅の振動を良好に減衰することができることとな
る。

一方、上述のように、オリフイスのチユーニン
グ周波数を低い周波数に設定すれば、受圧室とブ
ツシユ軸心方向の貫通空所との対向方向に入力さ
れる振動が高周波−小振幅のものであるときは、
非圧縮性流体がオリフイスを流動することが困難
となり、それ故非圧縮性流体がオリフイスを流動
することによつて達成される動バネ定数の低下は
殆ど期待できなくなる。しかし、この場合には、
ストツパ部の先端側部分に設けられた側方延出部
と受圧室内壁との間に形成された狭窄部を通じて
非圧縮性流体がブツシユ径方向に流動することが
許容されていることによつて、かかる狭窄部の長
さと断面積とを高い周波数に対応して設定（チユ
ーニング）することにより、その狭窄部を通じて
流動する非圧縮性流体の慣性質量効果乃至は液柱
共振作用に基づいて、その高周波−小振幅の入力
振動を良好に遮断することが可能となるのであ
る。

つまり、本発明に従う流体封入式防振ブツシユ
によれば、ブツシユ径方向に入力する低周波−大
振幅の振動に対しては、オリフイスを流動する非
圧縮性流体の慣性質量効果乃至は液柱共振作用に
基づいて、従来の流体封入式防振ブツシユと同様
に、良好な減衰効果を発揮することができる一
方、高周波−小振幅の入力振動に対しては、側方
延出部と受圧室内壁との間に形成された狭窄部を
通じて流動する非圧縮性流体の慣性質量効果乃至
は液柱共振作用に基づいて、従来の流体封入式防
振ブツシユよりも良好な遮断効果を発揮すること
が可能となるのであり、従つてブツシユ径方向の
入力振動に対して、従来よりも優れた防振機能を
発揮させることが可能となるのである。

しかも、本発明によれば、シールスリーブと内
筒部材との間のゴム弾性体で連結されていない部
位に、ブツシユ軸心方向に貫通する空所が形成さ
れているため、ゴム弾性体がブツシユ径方向で予
備圧縮される形態でブツシユを使用することによ
り、ゴム弾性体に過大な引張力が作用することを
良好に防止して、ゴム弾性体、ひいてはブツシユ
の耐久性を向上できるといつた利点もあるのであ
る。

また、本発明によれば、受圧室内にストツパ部
が設けられ、内筒部材と外筒部材との一定以上の
相対変位時において、そのストツパ部の先端部が
外筒部材に当接せしめられるようになつているた
め、それら内筒部材と外筒部材との過大な変位、
ひいてはかかるブツシユによつて防振連結せしめ
られる所定の取付軸と筒状保持部との過大な変位
を、その当接に基づいて良好に防止できると共
に、その当接に基づいて、ゴム弾性体の過大な圧
縮変形を良好に防止して、ゴム弾性体の耐久性、
ひいてはブツシユの耐久性を向上できるといつた
利点もあるのである。

（実施例） 以下、本発明をより一層具体的に明らかにする
ために、本発明をFF（フロントエンジン・フロン
トドライブ）車のパワーユニツトの防振支持に用
いられる円筒型エンジンマウントに適用した例に
ついて、その実施例を図面に基づいて詳細に説明
する。

先ず、第１図乃至第３図において、１０および
１６は、それぞれ、内筒部材としての円筒状の内
筒金具と外筒部材としての円筒状の外筒金具であ
つて、マウント径方向に所定量偏心して配置され
ており、それらの間に介装せしめられた略半円筒
状のゴム弾性体１４によつて弾性体に連結せしめ
られている。そして、本実施例のエンジンマウン
トは、外筒金具１６の外周面においてエンジンを
含むパワーユニツト側または車体側の筒状保持部
に嵌入されて取り付けられる一方、内筒金具１０
の内孔１８において車体側またはパワーユニツト
側の取付軸に外挿されて取り付けられて、パワー
ユニツトを車体に対して防振支持せしめるように
なつている。

ここで、ゴム弾性体１４は、内筒金具１０と外
筒金具１６との偏心方向の離隔距離の大きい側に
おいて、それら両金具１０，１６間に介装せしめ
られており、それら両金具１０，１６間の偏心方
向の離隔距離の小さい側の部位には、マウント軸
心方向に貫通する状態で、略円弧状断面の空所３
４が形成されている。そして、ゴム弾性体１４
は、前記パワーユニツトの取付けにより、内筒金
具１０と外筒金具１６との間でそれらの偏心方向
に圧縮変形せしめられるようになつており、これ
により、パワーユニツトの取付状態においては、
内筒金具１０と外筒金具１６とが略同心的に位置
せしめられるようになつている。

また、ゴム弾性体１４は、その内周面におい
て、内筒金具１０の外周面に一体加硫接着されて
おり、その外周面には、前記空所３４を内包する
状態で、シールスリーブ１２が一体加硫接着せし
められている。そして、このシールスリーブ１２
の外周面に流体密に嵌着されて、前記外筒金具１
６が配設されている。

上記ゴム弾性体１４の外周面に固着されたシー
ルスリーブ１２には、第４図乃至第７図に示され
ているように、両金具１０，１６の偏心方向で内
筒金具１０を挟んで対向するように、一対の窓部
２０，２２が形成されており、またシールスリー
ブ１２の外周面には、それら両窓部２０，２２を
つなぐ状態で、一対の周方向のオリフイス溝２
４，２６が形成されている。さらに、それらオリ
フイス溝２４，２６の開口部を除く外筒金具１６
の外周面には、軸心方向の両端部にそれぞれシー
ルリツプ２８，２８を備えた所定厚さのシールゴ
ム層３０がゴム弾性体１４と一体に加硫成形され
て配設されている。

一方、ゴム弾性体１４には、第４図および第５
図に示されているように、上記シールスリーブ１
２の窓部２０に開口する状態で、所定深さのポケ
ツト部３２が形成されている。また、前記空所３
４に臨むシールスリーブ１２の部位には、該シー
ルスリーブ１２の他方の窓部２２のマウント周方
向に隔たつた両端部分をそれぞれ内側から閉塞す
る状態で、膨出変形の容易な薄肉壁部としてのゴ
ム弾性膜３６，３８がそれぞれ一体加硫接着され
ており、これにより、シールスリーブ１２の窓部
２２に開口する状態で、所定深さの一対の凹所４
０，４２が形成されている。なお、第４図および
第５図から明らかなように、凹所４０，４２間の
シールスリーブ１２の窓部２２の部分は、ゴム弾
性膜３６，３８と一体に成形された所定厚さのゴ
ム層で塞がれている。

そして、ここでは、前述のように、シールスリ
ーブ１２に対して外筒金具１６が流体密に嵌着さ
れることにより、前記窓部２０，２２、ひいては
前記ポケツト部３２および凹所４０，４２の開口
部がそれぞれ流体密に閉塞されて、それらポケツ
ト部３２および凹所４０，４２内の空間をそれぞ
れ流体収容空間とする受圧室４４および一対の平
衡室４６，４８が形成されている。また、前記オ
リフイス溝２４，２６の開口部が外筒金具１６で
流体密に閉塞されることにより、受圧室４４と各
平衡室４６，４８とを連通するオリフイス５０，
５２が形成されている。さらに、ここでは、シー
ルスリーブ１２に対する外筒金具１６の嵌着操作
が所定の非圧縮性流体中で行なわれることによ
り、それら受圧室４４および各平衡室４６，４８
内に水、アルキレングリコール、ポリアルキレン
グリコール、低分子量重合体等の所定の非圧縮性
流体が封入されている。

なお、外筒金具１６は、八方絞り加工を施され
てシールスリーブ１２に固着されている。また、
本実施例のエンジンマウントは、かかる外筒金具
１６の嵌装操作後、所定のダイスを通過させられ
ることによつて、その外径寸法が所望の寸法に設
定せしめられている。さらに、前記オリフイス５
０，５２は、その断面積および長さが所定の低周
波数域の振動に対応して設定（チユーニング）さ
れており、これにより、それらオリフイス５０，
５２を流動する、乃至はそこに位置する非圧縮性
流体の慣性質量効果乃至は液柱共振作用に基づい
て、それらオリフイス５０，５２のチユーニング
周波数に対応した低周波数域の振動が良好に減衰
せしめられるようになつている。

ところで、第４図乃至第６図に示されているよ
うに、前記内筒金具１０の外周面には、その軸心
方向の中央部に位置して、長手方向が金具１０，
１６の偏心方向と一致する状態で、所定長さの長
手ブロツク状のストツパ金具５４がその中央孔５
６において圧入固定されている。そして、このス
トツパ金具５４の長手方向の両端部が、前記ポケ
ツト部３２および空所３４内に、それぞれ所定の
高さをもつて突出せしめられており、これによ
り、かかるストツパ金具５４の両端部が外筒金具
１６の内周面に当接することに基づいて、内筒金
具１０と外筒金具１６との偏心方向における過大
な相対変位が防止されるようになつている。

つまり、ここでは、かかるストツパ金具５４の
長手方向の両端部が、それぞれ、内筒金具１０と
外筒金具１６との過大な相対変位、ひいてはパワ
ーユニツトと車体との過大な相対変位を規制する
ためのストツパ部５８，６０とされているのであ
り、外筒金具１６に対するストツパ部５８の当接
に基づいて、ゴム弾性体１４の過大な圧縮変形が
良好に防止されるようになつていると共に、外筒
金具１６に対するストツパ部６０の当接に基づい
て、ゴム弾性体１４の過大な引張変形が良好に防
止されるようになつているのである。

なお、空所３４内に延び出させられたストツパ
金具５４の表面は、ゴム弾性体１４と一体に成形
された所定厚さの緩衝用ゴム層で覆われている。

そして、ここでは、第４図および第５図に示さ
れているように、ポケツト部３２（受圧室４４）
内に延び出させられたストツパ部５８の先端面に
雌ネジ穴６２が形成されており、第１図および第
２図に示されているように、その雌ネジ穴６２に
螺合された雄ネジ６４により、外周縁部がストツ
パ部５８の周囲の側方に延び出すように、換言す
れば、外周縁部がストツパ部５８の側面からマウ
ント軸心方向およびマウント周方向にそれぞれ所
定寸法突出する状態で、略円弧状断面の矩形板状
の側方延出部材６６が固着されている。

本実施例では、かかる側方延出部材６６の外周
縁部と受圧室４４の内壁との間において、両金具
１０，１６の偏心方向に略直角な状態で、環状の
狭窄部６７が形成されているのであり、振動入力
によつて内筒金具１０と外筒金具１６とがそれら
の偏心方向に相対移動せしめられると、受圧室４
４内の非圧縮性流体がかかる狭窄部６７を通じて
マウント径方向に流動せしめられるようになつて
いるのである。

なお、かかる狭窄部６７は、振動入力方向（両
金具１０，１６の偏心方向）における長さ：
（第１図および第２図参照）と断面積（振動入力
方向に直角な方向における狭窄部６７の面積）と
が、前記オリフイス５０，５２のチユーニング周
波数よりも高い周波数に対応して設定されてお
り、これにより、かかる狭窄部６７に位置する非
圧縮性流体の側方延出部材６６に対する相対的な
流動に従う慣性質量効果乃至は液柱共振作用に基
づいて、その狭窄部６７のチユーニング周波数に
対応した高周波数域の入力振動が良好に遮断せし
められるようになつている。

また、第１図および第２図に示されているよう
に、前記側方延出部材６６は、ここでは、雄ネジ
６４によつてストツパ部５８に固着される補強金
具６８と、その外側面に一体加硫成形された所定
厚さの緩衝ゴム層７０とからなつており、緩衝ゴ
ム層７０には、雄ネジ６４を雌ネジ穴６２に螺合
させるための通孔７２が形成されている。

さらに、前述の説明から明らかなように、本実
施例では、ストツパ部５８の側面から側方に突出
した側方延出部材６６の外周縁部分が、受圧室４
４の内壁との間で狭窄部６７を形成する側方延出
部を構成している。

従つて、このような構造のエンジンマウントに
よれば、内筒金具１０と外筒金具１６との間に、
受圧室４４と空所３４との対向方向の低周波−大
振幅の振動が入力されると、ゴム弾性体１４の弾
性変形に基づいて、受圧室４４と各平衡室４６，
４８との間でオリフイス５０，５２を通じて非圧
縮性流体が流動せしめられることとなり、従来の
流体封入式エンジンマウントと同様に、それらオ
リフイス５０，５２を流動する、乃至はそこに位
置する非圧縮性流体の慣性質量効果乃至は液柱共
振作用に基づいて、その低周波−大振幅の振動が
良好に減衰されることとなる。

一方、受圧室４４と空所３４との対向方向に入
力される振動が高周波−小振幅のものである場合
には、最早、非圧縮性流体がオリフイス５０，５
２を通じて流動することが困難となるところか
ら、非圧縮性流体がそれらオリフイス５０，５２
を通じて流動することによつて達成される動バネ
定数の低下は殆ど期待できなくなる。しかし、こ
の場合には、受圧室４４内の非圧縮性流体が前記
狭窄部６７を通じてマウント径方向に流動するこ
とが許容されていることによつて、その狭窄部６
７に位置する非圧縮性流体の側方延出部材６６に
対する相対的な流動作用に従う慣性質量効果乃至
は液柱共振作用に基づいて、その高周波−小振幅
の振動が良好に遮断されることとなる。つまり、
そのような狭窄部６７が形成されていない従来の
流体封入式エンジンマウントに比べて、高周波−
小振幅振動に対する遮断効果が大幅に向上するの
である。

このように、本実施例に従う円筒型エンジンマ
ウントによれば、受圧室４４と空所３４との対向
方向に入力する低周波−大振幅の振動に対して、
従来と同様に、良好な減衰効果を発揮させること
ができる一方、高周波−小振幅の振動に対して、
従来よりも良好な遮断効果を発揮させることがで
きるのであり、従つてマウント径方向に入力され
る振動を従来のマウントよりも有利に減衰乃至は
遮断することができるのである。

また、本実施例のエンジンマウントにおいて
は、前述のように、パワーユニツトの取付状態に
おいて、ゴム弾性体１４が金具１０，１６の偏心
方向で圧縮されるようになつていると共に、空所
３４内に突出するストツパ部６０が設けられて、
ゴム弾性体１４に過大な引張力が作用することが
良好に回避されるようになつていることから、ゴ
ム弾性体１４、ひいてはエンジンマウントの耐久
性が優れているといつた利点があるのであり、ま
た受圧室４４内にストツパ部５８が延び出させら
れて、かかるストツパ部５８の外筒金具１６に対
する当接に基づいて、ゴム弾性体１４が過大に圧
縮変形されないようになつていることから、この
意味においても、ゴム弾性体１４，ひいてはエン
ジンマウントの耐久性が優れているといつた利点
があるのである。

さらに、ポケツト部３２および空所３４内にそ
れぞれストツパ部５８，６０が延び出させられて
いることから、前述のように、パワーユニツトと
車体との過大な変位を良好に防止できるといつた
利点もあるのである。

以上、本発明の一実施例を詳細に説明したが、
これはあくまでも例示であつて、本発明が、かか
る具体例に限定して解釈されるべきものでないこ
とは、勿論である。

例えば、前記実施例では、側方延出部を構成す
る側方延出部材６６がストツパ金具５４とは別体
に構成されていたが、側方延出部材６６、すなわ
ち側方延出部材６６の補強金具６８は、ストツパ
金具５４と一体に構成することも可能である。ま
た、受圧室４４の内壁との間で狭窄部６７を形成
する側方延出部は、ストツパ部５８の全周におい
てストツパ部５８の側方に延び出ている必要はな
く、例えば、ストツパ部５８の側面からマウント
周方向（ブツシユ周方向）のみに延び出すように
側方延出部を設けて、狭窄部６７を形成するよう
にすることも可能である。

また、前記実施例では、平衡室４６，４８を構
成する凹所４０，４２が、シールスリーブ１２の
窓部２２のそれぞれ一部を開口部とする状態で形
成されていたが、それら平衡室４６，４８の凹所
４０，４２は、シールスリーブ１２に形成された
互いに独立した窓部を開口部とする状態で形成す
ることも可能であり、またそれら平衡室４６，４
８を１つの平衡室として形成することも可能であ
り、更にはそれら平衡室４６，４８の一方のみを
平衡室として採用することも可能である。

更に、前記実施例では、平衡室４６，４８を形
成する薄肉壁部としてのゴム弾性膜３６，３８が
シールスリーブ１２に一体に装着されて設けられ
ていたが、薄肉壁部は必ずしもシールスリーブに
一体に接着されて設けられている必要はなく、薄
肉壁部をシールスリーブとは別体に構成し、シー
ルスリーブに対して機械的に取り付けることによ
り、平衡室を形成せしめるようにすることも可能
である。

また、前記実施例では、内筒金具１０と外筒金
具１６とがマウント径方向において所定量偏心し
た状態で配置されていたが、それらを同心的に配
置させることも可能である。

加えて、前記実施例では、本発明をFF車の円
筒型エンジンマウントに適用した例について述べ
たが、本発明は、自動車用のサスペンシヨンブツ
シユ等、FF車の円筒型エンジンマウント以外の
防振ブツシユや防振マウントにも適用することが
可能である。

その他、一々列挙はしないが、本発明が、その
趣旨を逸脱しない範囲内において、種々なる変
更、修正、改良等を施した態様で実施できること
は、言うまでもないところである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に従うFF車用の円筒型エンジ
ンマウントの一例を示す横断面図であり、第２図
および第３図はそれぞれ第１図における−断
面図および−断面図である。第４図は第１図
のエンジンマウントにおけるゴム弾性体の一体加
硫成形品を示す第１図に対応する断面図であり、
第５図、第６図および第７図はそれぞれ第４図に
おける−断面図、−断面図および−
断面図である。 １０……内筒金具（内筒部材）、１２……シー
ルスリーブ、１４……ゴム弾性体、１６……外筒
金具（外筒部材）、２０，２２……窓部、２４，
２６……オリフイス溝、３２……ポケツト部、３
４……空所、３６，３８……ゴム弾性膜（薄肉壁
部）、４０，４２……凹所、４４……受圧室、４
６，４８……平衡室、５０，５２……オリフイ
ス、５４……ストツパ金具、５８，６０……スト
ツパ部、６６……側方延出部材、６７……狭窄
部、６８……補強金具、７０……緩衝ゴム層。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 内筒部材と、 該内筒部材の外側に同心的に若しくは偏心して
   配置されたシールスリーブと、 該シールスリーブの外周面に嵌装された外筒部
   材と、 前記シールスリーブと前記内筒部材との間に介
   装せしめられてそれらを連結する、外周面に開口
   したポケツト部を有するゴム弾性体と、 前記シールスリーブと前記内筒部材との間の該
   ゴム弾性体にて連結されていない部位に設けられ
   た、ブツシユ軸心方向に貫通する空所と、 前記ゴム弾性体のポケツト部がその開口部を前
   記外筒部材で流体密に閉塞せしめられることによ
   つて形成された、防振すべき振動が入力せしめら
   れる受圧室と、 前記シールスリーブと内筒部材との間に設けら
   れた貫通空所内において、膨出変形の容易な薄肉
   壁部で少なくとも一部を画成されて形成された平
   衡室と、 該平衡室と前記受圧室とに封入された所定の非
   圧縮性流体と、 前記平衡室と前記受圧室とを相互に連通せしめ
   るオリフイスと、 前記受圧室内において、前記ポケツト部の底部
   から径方向外側に向かつて延び出す状態で設けら
   れた、所定高さのストツパ部と、 該ストツパ部の先端側部分から側方に延び出す
   状態で設けられ、前記受圧室の内壁との間で所定
   の狭窄部を形成する側方延出部とを、 含むことを特徴とする流体封入式防振ブツシユ。