JP2737182B2 - オーディオデータの変速再生方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 Ａ 産業上の利用分野 本発明は、傾斜記録トラックをダイナミックトラッキ
ングヘッドにて走査してオーディオデータを変速再生す
るための変速再生方法に関し、例えばディジタルオーデ
ィオデータを記録トラックに２重記録するようにした所
謂D1フォーマットやD2フォーマットのディジタルビデオ
テープレコーダ等に適用される。

Ｂ 発明の概要 本発明は、傾斜記録トラックに記録されたオーディオ
データを変速再生するにあたり、傾斜記録トラックを分
割した記録領域に記録トラックを異ならしめて同一オー
ディオデータを二重記録しておき、上記傾斜記録トラッ
クをダイナミックトラッキングヘッドにて走査して、ト
ラックジャンプ前後の再生オーディオデータをクロスフ
ェード処理にてつなぐことにより、トラックジャンプ前
後の再生オーディオデータの不連続による不自然さを軽
減できるようにしたものである。

Ｃ 従来の技術 従来より、所謂D1フォーマットやD2フォーマットのデ
ィジタルビデオテープレコーダでは、例えば第３図に示
すような回転磁気ヘッド装置（RH）にて、それぞれディ
ジタル化した映像データおよび音声データを第４図に示
すように磁気テープ（10）の長手方向に対して傾斜した
記録トラック（Ｔ）に順次記録するようにしている。

すなわち、第３図に示した回転磁気ヘッド装置（RH）
は、180゜対向に配された一対のペアの記録ヘッド
（A₁）・（B₁），（A₂）・（B₂）と、上記記録ヘッド
（A₁）・（B₁），（A₂）・（B₂）に対して直交する方向
に配された180゜対向の一対のペアの再生ヘッド（C₁）
・（D₁），（C₂）・（D₂）とを備え、上記各ペアの記録
ヘッド（A₁）・（B₁），（A₂）・（B₂）および再生ヘッ
ド（C₁）・（D₁），（C₂）・（D₂）がそれぞれ１トラッ
ク幅分だけ高さを異ならしめて配設されている。そし
て、この回転磁気ヘッド装置（RH）は、例えばNTSC方式
の場合、１フィールド当たり1.5回転の回転速度で駆動
されて、第３図に示すように、１フィールド分の映像デ
ータを磁気テープ（10）上の３組のトラック（T₁）〜
（T₃）に記録する。

なお、上記磁気テープ（10）の各傾斜記録トラック
は、その中央部が各フィールド（F₁）・（F₂）‥‥の映
像データ（V₁₁），（V₁₂），（V₁₃）・（V₂₁），
（V₂₂），（V₂₃）‥‥の記録される映像領域とされ、そ
の入口側および出口側に時間軸を圧縮した音声データ
（A₁₁），（A₁₂），（A₁₃）・（A₂₁），（A₂₂），
（A₂₃）‥‥の二重記録される音声領域が設けられてい
る。

上記D1フォーマットやD2フォーマットのようにオーデ
ィオデータがトラック方向にブロック単位に記録された
テープを変速再生する場合は、ダイナミックトラッキン
グヘッドを用いてトラックジャンプさせながら変速再生
を行い、上記トラックジャンプによって生じたオーディ
オ信号の不連続を補間処理やミューティング処理にてつ
なぐようにした処理方式や、ドラムの回転速度およびテ
ープの走行速度を比例して変化させ、全てのオーディオ
およびビデオトラックを再生し、オーディオ信号はその
まま出力し、ビデオ信号に間引処理は補充処理を施すよ
うにした処理方式等が採用されている。

Ｄ 発明が解決しようとする課題 ところで、D1フォーマットやD2フォーマットのディジ
タルビデオテープレコーダにおいて変速再生を行う場合
に、次のような問題点が生じていた。

すなわち、上述のようにダイナミックトラッキングヘ
ッドを用いる前者の処理方式を採用した場合には、補間
処理を行うとつなぎ部分でノイズが発生するという問題
点があり、また、ミューティング処理を行ったのでは音
声の欠落が聴感上に現れてしまうという問題点があっ
た。さらに、上述ようにドラムの回転速度およびテープ
の走行速度を比例して変化させる後者の処理方式を採用
した場合には、ドラムの回転速度が変化するために再生
処理周波数が変化し、ビデオ信号の時間軸処理等のため
にハードウエアの負担が増加するとともに、音声のピッ
チが変わってしまうという問題点があった。しかも、音
声をディジタル出力するに場合には、サンプリング周波
数の変換処理を必要とする。

そこで、本発明は、上述の如き従来の実情に鑑み、D1
フォーマットやD2フォーマットのディジタルビデオテー
プレコーダにおいて変速再生を行う場合に、オーディオ
データの品位の向上および処理の簡略化を目的としたオ
ーディオデータの変速再生方法を提供するものである。

Ｅ 課題を解決するための手段 本発明に係るオーディオデータの変速再生方法は、傾
斜記録トラックを分割して映像領域の入口側と出口側に
音声領域を設け、入口側の音声領域と出口側の音声領域
にトラックを異ならしめて一連のオーディオデータを二
重記録しておき、ダイナミックトラッキングヘッドによ
りトラックジャンプしながら上記傾斜記録記録トラック
を走査して、トラックジャンプ前後の再生オーディオデ
ータをクロスフェード処理によりつないでオーディオデ
ータの変速再生出力を得ることを特徴とする。

Ｆ 作用 本発明に係るオーディオデータの変速再生方法では、
ダイナミックトラッキングヘッドによりトラックジャン
プしながら上記傾斜記録記録トラックを走査してトラッ
クジャンプ前後に映像領域の出口側の音声領域と入口側
の音声領域から得られる再生オーディオデータをクロス
フェード処理によりつないでオーディオデータの変速再
生出力とする。

Ｇ 実施例 以下、本発明に係るオーディオデータの変速再生方法
の一実施例について、図面に従い詳細に説明する。

第１図および第２図に示す実施例は、上述の第４図に
示したトラックフォーマットのディジタルビデオテープ
レコーダのオーディオ信号の再生系に本発明を適用した
ものである。

この実施例において、磁気テープ（20）の各傾斜記録
トラックには、第１図に示してあるように、各フィール
ド（F₁）・（F₂）‥‥の映像データ（V₁₁），（V₁₂），
（V₁₃）・（V₂₁），（V₂₂），（V₂₃）‥‥を記録した映
像領域の入口側の音声領域に一連の音声データ
（A₁₁），（A₁₂），（A₁₃）・（A₂₁），（A₂₂），
（A₂₃）‥‥が記録されるとともに、上記映像領域の出
口側の音声領域にも同じ一連の音声データ（A₁₁），（A
₁₂），（A₁₃）・（A₂₁），（A₂₂），（A₂₃）‥‥が上記
入口側の音声領域とトラックを１組だけずらして記録さ
れている。

すなわち、第１フィールドの映像データ（V₁₁）の記
録された第１組の傾斜記録トラック（T₁₁）の映像領域
の入口側の音声領域に音声データ（A₁₁）が記録され、
上記映像領域の出口側の音声領域には音声データ
（A₁₁）が記録され、第１フィールドの映像データ
（V₁₁）の記録された第２組の傾斜記録トラック（T₁₂）
の映像領域の入口側の音声領域に音声データ（A₁₂）が
記録され、上記映像領域の出口側の音声領域には音声デ
ータ（A₁₃）が記録され、第１フィールドの映像データ
（V₁₃）の記録された第３組の傾斜記録トラック（T₁₃）
の映像領域の入口側の音声領域に音声データ（A₁₃）が
記録され、上記映像領域の出口側の音声領域には音声デ
ータ（A₂₁）が記録され、以下同様に、上記一連の音声
データ（A₁₁），（A₁₂），（A₁₃）・（A₂₁），
（A₂₂），（A₂₃）‥‥が上記映像領域の入口側の音声領
域と出口側の音声領域とにトラックを異ならしめて二重
記録されている。

そして、上記磁気テープ（20）の各傾斜記録トラック
を走査して各フィールド（F₁）・（F₂）‥‥の映像デー
タ（V₁₁），（V₁₂），（V₁₃）・（V₂₁），（V₂₂），（V
₂₃）‥‥および音声データ（A₁₁），（A₁₂），（A₁₃）
・（A₂₁），（A₂₂），（A₂₃）‥‥を再生するための再
生ヘッドとして、バイモルフ等の変位素子によりトラッ
ク幅方向に変位可能なダイナミックトラッキングヘッド
を用いて、フィールド単位のトラックジャンプによる変
速再生を行い、トラックジャンプ前後の再生オーディオ
データをクロスフェード処理にてつないで一連の再生オ
ーディオデータを形成する。

第１図には、第１フィールド（F₁）の各傾斜記録トラ
ック（T₁₁），（T₁₂），（T₁₃）を走査した時点で、同
図中に斜線を施して示した第２フィールド（F₂）の傾斜
記録トラック（T₂₁），（T₂₂），（T₂₃）をジャンプし
て、上記第１フィールド（F₁）の傾斜記録トラック（T
₁₃）から第３フィールド（F₃）の傾斜記録トラック（T
₃₁）の走査に移るようにした２倍速再生動作の走査状態
の一例を鎖線および破線の矢印にて示してある。

そして、第２図に示すように上記トラックジャンプ後
の最初の1/3フィールド期間をクロスフェード期間
（T_X）として、上記トラックジャンプ前後の再生オーデ
ィオデータ（A₂₁），（A₃₁）をクロスフェード処理にて
つないで一連の再生オーディオデータを形成する。

上記クロスフェード処理にてつながれる再生オーディ
オデータ（A₂₁），（A₃₁）は、上記再生オーディオデー
タ（A₂₁）がその前のに再生されている再生オーディオ
データ（A₁₃）に連続しており、また、上記再生オーデ
ィオデータ（A₃₁）がその後に再生される再生オーディ
オデータ（A₃₂）に連続しているので、上記クロスフェ
ード処理を良好に行うことができ、しかも、上記クロス
フェード期間（T_X）中に再生オーディオデータの不連続
点が発生するので上記不連続点を聴感上で目立たなくす
ることができる。

このようにトラックジャンプ前後の再生オーディオデ
ータをクロスフェード処理にてつなぐようにすれば、変
速再生時にピッチが変化することなく品質の良好な再生
オーディオ信号を簡単なハードウエアにて得ることがで
きる。また、変速再生動作時にも再生オーディオデータ
のサンプリング周波数が変化しないので、そのままディ
ジタル出力することができる。さらに、５フィールド・
シーケンス等によって生じるオーディオデータの位相ず
れ等も上記クロスフェード処理の際に補正することもで
きる。さらにまた、再生オーディオデータのつなぎ目の
位相をオーディオ信号の内容によてアダプティブに可変
して、より品質の高い再生オーディオ信号を得るように
することも可能である。

Ｈ 発明の効果 本発明に係るオーディオデータの変速再生方法では、
ダイナミックトラッキングヘッドによりトラックジャン
プしながら上記傾斜記録記録トラックを走査してトラッ
クジャンプ前後に映像領域の出口側の音声領域と入口側
の音声領域から得られる再生オーディオデータをクロス
フェード処理によりつないでオーディオデータの変速再
生出力とするので、変速再生時にピッチが変化すること
なく品質の良好な再生オーディオ信号を簡単なハードウ
エアにて得ることができる。

従って、本発明を適用することによって、D1フォーマ
ットやD2フォーマットのディジタルビデオテープレコー
ダにて変速再生動作を行う場合に、オーディオデータの
品位の向上および処理の簡略化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るオーディオデータの変速再生方法
をディジタルビデオテープレコーダに適用して２倍速再
生を行う場合の磁気テープ上のトラックフォーマットお
よびダイミックトラッキングヘッドによる走査状態の一
例を示す模式図、第２図はクロスフェード処理を施した
再生オーディオデータを示す模式図である。 第３図はディジタルビデオテープレコーダに用いられる
回転磁気ヘッド装置の構成例を示す模式図、第４図は上
記回転磁気ヘッド装置を用いたディジタルビデオテープ
レコーダのトラックフォーマットを示す模式図である。 （20）……磁気テープ （T₁₁）〜（T₃₃）……傾斜記録トラック

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】傾斜記録トラックを分割して映像領域の入
   口側と出口側に音声領域を設け、入口側の音声領域と出
   口側の音声領域にトラックを異ならしめて一連のオーデ
   ィオデータを二重記録しておき、 ダイナミックトラッキングヘッドによりトラックジャン
   プしながら上記傾斜記録記録トラックを走査して、 トラックジャンプ前後の再生オーディオデータをクロス
   フェード処理によりつないでオーディオデータの変速再
   生出力を得ることを特徴とするオーディオデータの変速
   再生方法。