JP2709522B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、インクジェット記録ヘッドを搭載したキャ
リッジを記録媒体に沿って移動させながら、液滴を吐出
して画像を形成するインクジェット記録装置に関し、特
に、記録ヘッドのインク吐出口面に生じた結露や漏れを
除去するためのワイピング手段を備えた当該インクジェ
ット記録装置に関する。

〔従来の技術〕

プリンタ、複写機、ファクシミリ等の記録装置は、転
送されてくる画像情報に基づいて、用紙やプラスチック
薄板等の記録媒体上にドットパターンから成る画像を記
録していくように構成されている。

前記記録装置は、記録方式により、インクジェット
式、ワイヤドット式、サーマル式、レーザービーム式等
に分けることができ、そのうちのインクジェット式（イ
ンクジェット記録装置）は、記録ヘッドの吐出口から液
滴（インク等の記録液）を吐出飛翔させ、これを記録媒
体に付着させて記録するように構成されている。

このインクジェット記録載置にはノンインパクト型の
記録装置であり、騒音が少ないこと、高速記録が容易で
あること、さらには、多色インクを使うことによってカ
ラー画像記録も容易であること等の特長を有しており、
近年急速に普及しつつある。

前記インクジェット記録装置においては、記録液（イ
ンク）や記録媒体に含まれる水分が蒸発して記録ヘッド
周りの雰囲気が高湿度になり、記録ヘッドおよび雰囲気
の温度やその他の条件次第で、インク吐出口が形成され
た吐出口面（記録媒体に対面するフェイス面）に結露が
生じることがある。

また、吐出インクの記録媒体からの跳ね返りによっ
て、吐出口面に濡れを生じることもある。

このような結露や濡れなどの現象は、記録媒体上の画
像の定着を促進するためのヒーターを使用する場合、あ
るいは記録画像のドットデューティーが高い場合に、よ
り顕著に現れる。

吐出口面に結露や濡れが生じた場合は、吐出口面に水
滴等が不均一に付着し、この水滴によって吐出分離する
際の吐出インクが引っ張られるので、インクの吐出方向
や吐出速度が変動したり、液滴（インク滴）の粒径にバ
ラツキが生じて、記録品位が低下することになる。

また、吐出口面の濡れによって紙粉や塵埃等が付着し
易くなり、これらによって記録品位が低下することもあ
る。

従来、このような現象を防止する方策として、吐出口
面を所定のタイミングでワイピング（拭き取り）して、
結露や濡れを除去することが行われてきた。

第３図の（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）は、従来のワイピン
グ手段の構造および動作を示す平面図である。

第３図において、20は記録ヘッドであり、該記録ヘッ
ド20には、用紙等の記録媒体33の記録面に対向して液滴
吐出を行なう吐出口群が所定の配列で形成されている。

16は前記記録ヘッド20を保持するキャリッジであり、
該キャリッジ16は、駆動ベルト18の一部に連結され、平
行な２本のガイドシャフト19A、19Bに沿って摺動可能に
案内支持されている。

前記キャリッジ16は、記録ヘッド20を記録媒体33のほ
ぼ全幅にわたって往復移動させるように、制御すること
ができる。

26は、記録ヘッド20の移動経路の一端、例えばホーム
ポジションと対向する位置に配設された記録ヘッド回復
装置であり、その正面には記録ヘッド20をキャッピング
するためのキャップ部26Aが設けられている。

その記録ヘッド回復装置26は、不図示のモータおよび
伝達機構によって記録ヘッド20に接近離反する方向に駆
動され、接近位置で記録ヘッド20のキャッピングを行
う。

このヘッド回復装置26のキャップ部26Aによる記録ヘ
ッド20へのキャッピングに関連させて、ヘッド回復装置
26内に設けた吸引手段によるインク吸引もしくは記録ヘ
ッド20内へのインク供給経路に設けた加圧手段によるイ
ンク圧送を行うことにより、インク吐出口より強制的に
インクを排出させ、吐出口内部（液路内）の増粘インク
やインク中の気泡等を除去する吐出回復処理が行なわれ
る。

また、記録終了時等に吐出口面をキャッピングするこ
とにより、記録ヘッド20の保護が行なわれる。

31は前記記録ヘッド回復装置26の側部に設けられたワ
イピング部材である。

図示の例では、このワイピング部材31は、シリコンゴ
ム等で作られたブレードで形成され、ブレード保持部材
31Aにカンチレバー方式で保持されている。

したがって、前記ワイピング部材31は、記録ヘッド回
復装置26の移動とともに、突出および退避するように移
動することができる。

これにより、記録ヘッド20の記録動作における適切な
タイミングで、あるいは記録ヘッド回復装置26による吐
出回復処理後に、ブレード31を記録ヘッド20の移動経路
中に突出させ、記録ヘッド20の往復動作に伴って記録ヘ
ッド20の吐出口面上の結露、漏れあるいは塵埃等を抜き
取ることができる。

以上のような構成によるワイピング動作について以下
に説明する。

第３図の（Ａ）は、記録ヘッド20が記録終了後、矢印
Ａの方向に移動してホームポジションに戻る途中の状態
を示しており、この時記録ヘッド回復装置26およびブレ
ード31は記録ヘッド20の移動径路から退避した位置にあ
る。

第３図の（Ｂ）は、記録ヘッド20がホームポジション
に停止し、記録ヘッド回復装置26が矢印Ｂ方向に前進し
てそのキャップ部26Aが記録ヘッド20の吐出口面に当接
してキャッピングを行っている状態を示す。

この時、ブレード31は、記録ヘッド回復装置26と共に
移動し、記録ヘッド回復装置26に対しては相対移動しな
い。

第３図の（Ｃ）は、記録ヘッド20がホームポジション
から矢印Ｄ方向へ移動し、記録開始位置へ向かっている
状態を示す。

この時、記録ヘッド回復装置26のキャップ部26Aは記
録ヘッド20の移動経路から退避している。

一方、ブレード31は、記録ヘッド回復装置26に対して
矢印Ｃ方向に移動し、記録ヘッド20の移動経路中に突出
しており、その結果、記録ヘッド20の吐出面はブレード
（ワイピング部材）31によってワイピングされる。

このようなプレート31によるワイピングによれば、前
述のような吐出口上の結露や濡れを除去することができ
る。

〔発明が解決しようとしている課題〕

しかしながら、前述のような従来のワイピング手段に
おいては、記録ヘッド20のワイピングに際し、ブレード
31およびブレード保持部材31Aを突出、退避する方向に
移動させる必要があり、ワイピング部材31を作動させる
ための機構が複雑で大掛かりになってしまう。

本発明は、このような従来の技術的課題に鑑みてなさ
れたものであり、記録ヘッドの動きを利用してワイピン
グ部材を突出または退避させることができる簡略化駆動
機構を提供するとともに、記録ヘッドが所定方向に移動
する時だけワイピングすることができ、ワイピングによ
る吐出口面の摩耗を軽減するとともに、ワイピング時の
液滴飛散による記録媒体の汚損を防止し得るワイピング
手段を備えたインクジェット記録装置を提供することを
目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は、上記目的を達成するため、記録ヘッドを搭
載したキャリッジを記録媒体に沿って移動させながら記
録していくインクジェット記録装置において、記録ヘッ
ド移動経路に対して、前記記録ヘッドの吐出口面をワイ
ピング可能なワンピング位置に付勢手段によって付勢さ
れるとともに、前記付勢手段に抗した力の作用によって
前記ワイピング位置から退避した非ワイピング位置に移
動可能なワイピング機構と、前記ワイピング機構の一部
を備えられたカム部材と、前記キャリッジに設けられ、
一方向へのみ回動可能に付勢支持されたラチェット部材
と、を備え、前記キャリッジの一方向への移動によって
前記ラチェット部材を前記カム部材に当接させることで
前記付勢手段に対する抗力を作用させてワイピング部材
を非ワイピング位置に退避させ、前記キャリッジの反対
方向への移動によって前記ラチェット部材を前記カム部
材に当接させることによって前記ラチェット部材の付勢
支持に抗して前記ラチェット部材を回動させることで前
記ワイピング部材はワイピング位置に維持され前記記録
ヘッドの吐出口面のワイピングが行われることを特徴と
する。

本発明は、記録ヘッドの動きを利用してワイピング部
材を突出または退避させることにより駆動機構を簡略化
することができ、記録ヘッドが所定方向に移動する時だ
けワイピングすることによりワイピングによる吐出口面
の摩耗を軽減するとともに、ワイピング時の液滴飛散に
よる記録手段の汚損を防止することができるワイピング
手段を備えたインクジェット記録装置を提供するもので
ある。

〔作用〕

上記構成によれば、ワイピング部材側に設けたカム部
とキャリッジ側に設けたラチェットで、記録ヘッドの移
動方向によってワイピング部材を突出または退避させる
係合手段を構成したので、記録ヘッドの所定の方向への
移動に際してワイピング部材を記録ヘッドの移動経路中
に突出させてワイピングを行い、記録ヘッドのインク吐
出面の結露、濡れあるいは塵埃等を除去し、前記方向と
は異なる方向への記録ヘッドの移動に際しては、ワイピ
ング部材を記録ヘッドの移動経路から退避させて余分な
ワイピングを行わなくてすませることができる。

〔実施例〕

以下、第１図および第２図を参照して本発明を具体的
に説明する。

第１図の（Ａ）〜（Ｃ）は本発明によるインクジェッ
ト記録装置の第１実施例の構造および動作を示す平面図
である。

第１図においても、第３図に示した各要素と同様の要
素は同一符号で表示されている。

第１図において、記録ヘッド20の吐出口面（記録媒体
33に対面するフェイス面）には、用紙やプラスチック薄
板等の記録媒体33の記録面に対して液滴吐出を行なう吐
出口群が所定の配列で形成されている。

前記記録ヘッド20は、熱エネルギーを利用してインク
を吐出するインクジェット記録ヘッドであって、熱エネ
ルギーを発生するための電気熱変換体を備えたものであ
る。

また、前記インクジェット記録ヘッド20は、前記電気
熱変換体によって印加される熱エネルギーにより生じる
膜沸騰による気泡の成長によって、吐出口よりインクを
吐出させ、記録を行なうものである。

前記記録ヘッド20を保持するキャリッジ16は、駆動ベ
ルト18の一部に連結され、平行な２本のガイドシャフト
19A、19Bに沿って摺動可能に案内支持されている。

前記キャリッジ16は、不図示のキャリッジ駆動モータ
により、搭載した記録ヘッド20が記録媒体33のほぼ全幅
および必要な記録領域外の所定範囲にわたって往復移動
するように、制御される。

記録ヘッド20の移動経路の記録領域外の一端、例えば
ホームポジションと対向する位置には、記録ヘッド回復
装置26が配設されており、該記録ヘッド回復装置26の正
面には記録ヘッド20をキャッピングするためのキャップ
部26Aが設けられている。

この記録ヘッド回復装置26は、不図示のモータおよび
伝達機構によって記録ヘッド20に接近離反する方向に駆
動され、接近位置で記録ヘッド20のキャッピングを行
う。

この記録ヘッド回復装置26のキャップ部26Aによる記
録ヘッド20へのキャッピングに関連させて、記録ヘッド
回復装置26内に設けた吸引手段で吐出口からインクを吸
引したり、あるいは、記録ヘッド20内へのインク供給経
路に設けた加圧手段でインクを圧送したりすることによ
り、前記吐出口から強制的にインクを排出させ、吐出口
内部（液路内）の増粘インクやインク中の気泡等を除去
する吐出回復処理が行なわれる。

また、記録終了時等に吐出口面をキャッピングするこ
により、記録ヘッド20の保護が行なわれる。

キャリッジ16のホームポジションと記録開始位置との
間、すなわち、図示の例では記録ヘッド回復装置26の記
録開始位置側の側部には、ワイピング部材としてのブレ
ード31が設けられている。

このブレード31はブレード保持部材31Aに保持されて
おり、該ブレード保持部材31Aは矢印Ｅ方向およびその
逆方向に摺動可能に案内支持されている。

通常では、前記ブレード保持部材31Aはばね31Bにより
矢印Ｅ方向と逆の方向に付勢され、これに保持されたブ
レード31は記録ヘッド20の移動径路中へ突出している。

前記ブレード保持部材31Aの先端部、すなわち、記録
ヘッド20の移動経路へ突出する方の端部には、カム部31
Cが設けられている。

一方、前記キャリッジ16の前記カム部31Cと係合する
位置には、ラチェット34が装着されている。このラチェ
ット34は、キャリッジ16に設けられた垂直なピン35に回
動可能に支持され、かつ、ばね34Aにより第１図中時計
回りに付勢されている。

次に、第１図に示した本発明によるワイピング手段の
ワイピング動作について以下に説明する。

第１図の（Ａ）は、記録終了時など、記録ヘッド20が
ホームポジション（記録ヘッド回復装置26に対向する位
置）へ向かって矢印Ａ方向に移動している状態を示す。

この状態では、記録ヘッド回復装置26のキャップ部26
Aは記録ヘッド20の移動経路から退避している。

また、この状態では、記録ヘッド20の矢印Ａ方向の移
動に伴ないラチェット34がカム部31Cと係合するが、該
ラチェット34は図示の位置からさらに時計方向には回動
できないので、該ラチェット34が前記カム部31Cに衝当
することによりブレード保持部材31Aの方がばね31Bに抗
して矢印Ｅ方向に退避することになる。

このため、該ブレード保持部材31Aに保持されたブレ
ード31は記録ヘッド20の移動経路から退避することにな
り、記録ヘッド20の吐出口面はワイピングされない。

第１図の（Ｂ）は、記録ヘッド20が回復装置26に対向
するホームポジションに停止した状態を示す。

この状態では、記録ヘッド回復装置26が矢印Ｂ方向に
前進駆動され、キャップ部26Aが記録ヘッド20の吐出口
面に当接してキャッピングが行われている。

また、ブレード31は、ばね31Bの付勢力により、記録
ヘッド20の移動経路中に突出している。

第１図の（Ｃ）は、記録ヘッド20がホームポジション
から記録開始位置に向かって矢印Ｄ方向に移動している
状態を示す。

この状態では、記録ヘッド回復装置26のキャッブ部26
Aは記録ヘッド20の移動経路から退避している。

また、この状態では、記録ヘッド20の移動に伴ないラ
チェット34がカム部31Cと衝当するが、ラチェットばね3
4Aの方がブレード付勢ばね31Bより弱く設定されている
ので、ラチェット34はばね34に抗して反時計方向に回動
し、ブレード保持部材31Aは退避せず突出位置に保持さ
れたままになる。

このため、ブレード31が記録ヘッド20の移動径路中に
突出しており、記録ヘッド20の吐出口面は該記録ヘッド
の移動によってワイピングされる。

このように、第１図の（Ａ）〜（Ｃ）に示すワイピン
グ部材では、記録ヘッド20がホームポジションへ向かっ
て移動する場合には吐出口前のワイピングを行われず、
ホームポジションから記録開始位置へ向かって移動する
場合だけ、吐出口面のワイピングが行われ、該ワイピン
グ動作によって吐出口面の結露、濡れあるいは塵埃等が
充分に除去される。

なお、ワイピングのための記録ヘッド20の往復動作
は、記録ヘッド回復装置26によるキャッピングまたは吐
出回復処理の際に行なう他、任意に所定のタイミングで
行なうことができ、記録動作の途中などでも、所定のタ
イミングで上記ワイピング動作を実行することができ
る。

第２図の（Ａ）〜（Ｃ）は本発明によるインクジェッ
ト記録装置の第２実施例の構造および動作を示す平面図
である。

第２図においても、第１図および第３図に示した各要
素と同様の要素は同一符号で表示されている。

第２図においても、記録ヘッド20の吐出口前（記録媒
体33に対面するフェイス面）には、用紙やプラスチック
薄板等の記録媒体33が記録面に対して液滴吐出を行なう
吐出口群が所定の配列で形成されている。

前記記録ヘッド20を保持するキャリッジ16は、駆動ベ
ルト18の一部に連結され、平行な２本のガイドシャフト
19A、18Bに沿って摺動可能に案内支持されている。

前記キャリッジ16は、不図示のキャリッジ駆動モータ
により、搭載した記録ヘッド20が記録媒体33のほぼ全幅
および必要な記録領域外の所定範囲にわたって往復移動
するように、制御される。

記録ヘッド20の移動経路の記録領域外の一端、例えば
ホームポジションと対向する位置には、前述と同様、不
図示のモータおよび伝達機構によって記録ヘッド20に接
近離反する方向に駆動され、接近位置で記録ヘッド20を
キャッピングするキャップ部26Aを備えた記録ヘッド回
復装置26が配設されている。

また、記録ヘッド20のキャッピングに関連させて、記
録ヘッド回復装置26内に設けた吸引手段またはインク供
給経路に設けた加圧手段により、前記吐出口から強制的
にインクを排出させることにより、吐出口内部（液路
内）の増粘インクやインク中の気泡等を除去する吐出回
復処理が行なわれる。

キャリッジ16のホームポジションと記録開始位置との
間、すなわち、図示の例では記録ヘッド回復装置26の記
録開始位置側の側部には、ワイピング部材としてのブレ
ード31が設けられている。

このブレード31はブレード保持部材31Aに保持されて
いる。

そこで、本実施例においては、このブレード保持部材
31Aは記録ヘッド回復装置26に回動自在に軸支されてい
る。

すなわち、前記記録ヘッド回復装置26の側部に支点部
材31Dが設けられ、前記ブレード保持部材31Aの中間部が
該支点部材31Dに回動自在に軸支されている。

前記ブレート保持部材31Aの後端部（ブレード31を保
持する端部の反対側の端部）には、記録ヘッド回復装置
26に連結されたばね31Eの他端が連結されており、前記
ブレード保持部材31Aは、前記ばね31Eによって反時計方
向に付勢され、通常状態では該ブレード保持部材31Aの
一部が記録ヘッド回復装置26に設けられたストッパ31F
に当接している。

また、前記ブレード保持部材31Aのキャリッジ16側の
前端部、すなわち、記録ヘッド20の移動経路へ突出しブ
レード31を保持する側の端部には、前述の場合と同様、
カム部31Cが設けられている。

一方、キャリッジ16側の前記カム部31Cと係合する位
置には、ラチェット34が装着されている。このラチェッ
ト34は、キャリッジ16に設けられた垂直なピン35に回動
可能に支持され、かつ、ばなね34Aにより第２図中時計
回りに付勢されている。

次に、第２図に示した本発明によるワイピング手段の
ワイピング動作について以下に説明する。

第２図の（Ａ）は、記録終了時など、記録ヘッド20が
ホームポジション（記録ヘッド回復装置26に対向する位
置）へ向かって矢印Ａ方向に移動している状態を示す。

この状態では、記録ヘッド回復装置26のキャップ部26
Aは記録ヘッド20の移動経路から退避している。

また、この状態では、記録ヘッド20の矢印Ａ方向の移
動に伴ないラチェット34がカム部31Cと係合するが、該
ラチェット34は図示の位置からさらに時計方向には回動
できないので、該ラチェット34が前記カム部31Cに衝当
することにより、ブレード保持部材31Aの方がばね31Eに
抗して支点部材31Dの支点を中心に第２図中時計方向に
回動する。

このため、該ブレード保持部材31Aの先端に保持され
たブレード31は記録ヘッド20の移動経路から退避するこ
とになり、記録ヘッド20の吐出口面はワイピングされな
い。

第２図の（Ｂ）は、記録ヘッド20が回復装置26に対向
するホームポジションに停止した状態を示す。

この状態では、記録ヘッド回復装置26が矢印Ｂ方向に
前進駆動され、キャップ部26Aが記録ヘッド20の吐出口
面に当接してキャッピングが行われている。

また、ブレード保持部材31Aは、ばね31Eによって反時
計方向に付勢され、図示のようにストッパ31Fに当接す
る位置に保持され、その先端のブレード31は記録ヘッド
20の移動径路中に突出している。

第２図の（Ｃ）は、記録ヘッド20がホームポジション
から記録開始位置に向かって矢印Ｄ方向に移動している
状態を示す。

この状態では、記録ヘッド回復装置26のキャップ部26
Aは記録ヘッド20の移動経路から退避している。

また、この状態では、記録ヘッド20の移動に伴ないラ
チェット34がカム部31Cと衝当するが、ラチェット34は
ばね34Aに抗してピン35回りを反時計方向に回動可能で
あり、ブレード保持部材31Aはストッパ31Fに当接して反
時計方向に回動できないため、ラチェット34の方が反時
計方向に回動し、ブレード保持部材31Aは退避せず突出
位置に保持されたままになる。

このため、ブレード31が記録ヘッド20の移動経路中に
突出しており、記録ヘッド20の吐出口面は該記録ヘッド
の移動によってワイピングされる。

このように、第２図の（Ａ）〜（Ｃ）に示すワイピン
グ動作においても、第１図の（Ａ）〜（Ｃ）に示す動作
と同様、記録ヘッド20がホームポジションへ向かって移
動する場合には吐出口面のワイピングは行われず、ホー
ムポジションから記録開始位置へ向かって移動する場合
だけ、吐出口面のワイピングが行われ、該ワイピング動
作によって吐出口面の結露、濡れあるいは塵埃等が充分
に除去される。

なお、第２図の場合も、ワイピングのための記録ヘッ
ド20の往復動作は、記録ヘッド回復装置26によるキャッ
ピングまたは吐出回復処理の際に行なう他、任意に所定
のタイミングで行なうことができ、記録動作の途中など
でも、所定のタイミングで上記ワイピング動作を実行す
ることができる。

以上説明した各実施例によれば、キャリッジ16のホー
ムポジションと記録開始位置との間に、記録ヘッド移動
経路に対して突出および後退可能なワイピング部材31を
設け、該ワイピング部材側に設けたカム部31Cと前記キ
ャリッジ16側に設けたラチェット34とを係合させること
により、キャリッジ16がホームポジションから記録開始
位置へ向かう方向に移動する時のみ、前記ワイピング部
材31を突出状態に保持して記録ヘッド20の吐出口面をワ
イピングする構成としたので、記録ヘッド20の動きを利
用してワイピング部材31を突出または退避させることに
より駆動機構を簡略化することができた。

また、記録ヘッド20がホームポジションから記録開始
位置の方へ向かって移動する時だけワイピングするの
で、ワイピングによる吐出口面の摩耗を軽減することが
でき、しかも、記録位置からホームポジションへ戻る方
向へ移動する時にはワイピングしないので、インクの飛
び散りによる記録媒体33の汚損を無くすことができた。

なお、前記ブレード31およびブレード保持部材31Aを
配設する位置は、記録ヘッド回復装置26上またはその側
方部（記録装置本体側）に限定されるものではなく、ホ
ームポジションと記録開始位置との間であれば、任意の
位置に配置することができる。

また、上記各実施例では、ワイピング部材31として所
謂ブレードを用いる場合を説明したが、本発明を実施す
る場合には、吐出口面を拭き払ったり、拭き取ったり、
吸い取ったりすることも含めて、広くワイピングするこ
とができるものであれば、種々のワイピング部材を使用
することができる。

例えば、１枚のブレードではなく、短冊状にしたブレ
ードやブラシ状の部材をワイピング部材として使用する
こともできる。

本発明の上記実施例は、ブレード（他に吸収フェル
ト、ゴム、金属、ローラ等のものが可）31のクリーニン
グ作用が、記録ヘッドがホームポジションへ移動する時
のみの実施例であるが、これを逆に記録或へ移動する時
のみの実施例にするべく、ラチェット34をキャリッジの
ヘッド20に関して右側にのみ設けて、ラチェットのテー
パを図とは逆にすることでもよい。

また、ブレードの位置を記録領域の図でいう右側端部
にのみに、または第１図または第２図の構成とともに設
けてもよく、この場合のクリーニング方向は所望によっ
て設定すればよい。

好ましくは、従来例で説明した第３図の方向のみにク
リーニングを行なうか、第１図または第２図のブレード
構成を右側端部に設けてキャリッジ構成をそのままにし
たものがよい。

これは、クリーニング方向が記録域から非記録域へ向
かうためで、ブレードに付着したインクの飛散が記録域
には及ぼないようにすることができるからである。

なお、本発明は、カラー記録のように複数個の記録ヘ
ッドを用いる場合など、記録ヘッドの数に関係無く実施
することができ、同様の作用効果を達成し得るものであ
る。

本発明は、特にインクジェット記録方式の中でもバブ
ルジェット方式のインクジェット記録ヘッドを用いるイ
ンクジェット記録装置において、優れた効果をもたらす
ものである。

その代表的な構成や原理については、例えば、米国特
許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示され
ている基本的な原理を用いて行なうのが好ましい。

この方式は、所謂オンデマンド型、コンティニュアス
型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド
型の場合には、液体（インク）が保持されているシート
や液路に対して配置されている電気熱変換体に、記録情
報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与え
る少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、
電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッド
の熱作用面に膜沸騰させて、結果的にこの駆動信号に一
対一対応し液体（インク）内の気泡を形成出来るので有
効である。

この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体
（インク）を吐出させて、少なくとも一つの滴を形成す
る。

この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡
の成長収縮が行なわれるので、特に応答性に優れた液体
（インク）の吐出が達成でき、より好ましい。このパル
ス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細
書、同第4345262号明細書に記載されているようなもの
が適している。

尚、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特
許第4313124号明細書に記載されている条件を採用する
と、更に優れた記録を行なうことができる。

記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示さ
れているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わ
せ構成（直線状液流路又は直角液流路）の他に熱作用部
が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特
許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書を用
いた構成も本発明に含まれるものである。

加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリ
ットを前記熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開
昭59年第123670号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収す
る開孔を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59年
第138461号公報に基づいた構成としても本発明は有効で
ある。

更に、記録装置が記録できる最大記録媒体の幅に対応
した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとして
は、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘ
ッドの組み合わせによって、その長さを満たす構成や一
体的に形成された一個の記録ヘッドとしての構成のいず
れでも良いが、本発明は、上述した効果を一層有効に発
揮することができる。

加えて、装置本体に装着されることで、装置本体との
電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能にな
る交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいは記録
ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッジタイプの
記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。

又、本発明の記録装置の構成として設けられる、記録
ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付加
することは本発明の効果を一層安定できるので好ましい
ものである。

これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対しての、
キャッピング手段、クリーニング手段、加圧或は吸引手
段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或はこれら
の組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別の吐出を
行なう予備吐出モードを行なうことも安定した記録を行
なうために有効である。

更に、記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色
のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に
構成するか複数個の組み合わせによってでもよいが、異
なる色の複色カラー又は、混色によるフルカラーの少な
くとも一つの備えた装置にも本発明は極めて有効であ
る。

以上説明した本発明実施例においては、インクを液体
として説明しているが、室温やそれ以下で固化するイン
クであって、室温で軟化もしくは液体、あるいは上述の
インクジェットではインク自体を30℃以上70℃以下の範
囲で温度調整を行なってインクの粘性を安定吐出範囲に
あるように温度制御するものが一般的であるから、使用
記録信号付与時にインクが液状をなすものであればよ
い。

加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの
固形状態から液体状態への態変化のエネルギーとして使
用することで防止するか、または、インクの蒸発防止を
目的として放置状態で固化するインクを用いるかして、
いずれにしても、熱エネルギーの記録信号に応じた付与
によってインクが液化してインク液状として吐出するも
のや、被記録材に到達する時点で既に固化し始めるもの
等のような、熱エネルギーによって初めて液化する性質
のインク使用も本発明には適用可能である。

このような場合、インクは、特開昭54−56847号公報
のように、多孔質シートの凹部または貫通孔に液状また
は固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対し
て対向するような形態としてもよい。

本発明においては、上述したインクに対して最も有効
なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。

〔発明の効果〕

以上の説明から明らかなごとく、本発明によれば、記
録ヘッドを搭載したキャリッジを記録媒体に沿って移動
させながら記録していくインクジェット記録装置におい
て、記録ヘッド移動経路に対して、前記記録ヘッドの吐
出口面をワイピング可能なワンピング位置に付勢手段に
よって付勢されるとともに、前記付勢手段に抗した力の
作用によって前記ワイピング位置から退避した非ワイピ
ング位置に移動可能なワイピング機構と、前記ワイピン
グ機構の一部に備えられたカム部材と、前記キャリッジ
に設けられ、一方向へのみ回動可能に付勢支持されたラ
チェット部材と、を備え、前記キャリッジの一方向への
移動によって前記ラチェット部材を前記カム部材に当接
させることで前記付勢手段に対する抗力を作用させてワ
イピング部材を非ワイピング位置に退避させ、前記キャ
リッジの反対方向への移動によって前記ラチェット部材
を前記カム部材に当接させることによって前記ラチェッ
ト部材の付勢支持に抗して前記ラチェット部材を回動さ
せることで前記ワイピング部材はワイピング位置に維持
され前記記録ヘッドの吐出口面のワイピングが行われる
構成としたので、記録ヘッドの動きを利用してワイピン
グ部材を突出または退避させる駆動機構を簡略化するこ
とができ、かつ、記録ヘッドが所定方向に移動する時だ
けワイピングすることによりワイピングによる吐出口面
の磨耗を軽減するとともに、ワイピング時の液滴飛散に
よる記録手段の汚損を防止することができるワイピング
手段を備えたインクジェット記録装置が提供される。

【図面の簡単な説明】

第１図の（Ａ）、（Ｂ）および（Ｃ）はそれぞれ本発明
によるインクジェット記録装置の第１実施例の要部構成
および動作を示す部分平面図、第２図の（Ａ）、（Ｂ）
および（Ｃ）はそれぞれ本発明によるインクジェット記
録装置の第２実施例の要部構成および動作を示す部分平
面図、第３図の（Ａ）、（Ｂ）および（Ｃ）はぞれぞれ
従来のインクジェット記録装置のワイピング手段の構成
および動作を示す平面図である。 以下に図面中の主要部分を表示する符号を列挙する。 16……キャリッジ、20……記録ヘッド、26……記録ヘッ
ド回復装置、26A……キャップ部、31……ワイピング部
材（ブレード）、31A……ブレード保持部材、31B……ば
ね、31C……カム部材（カム部）、31D……支点部材、31
E……ばね、31F……ストッパ、33……記録媒体、34……
ラチェット部材（ラチェット）、34A……ばね、35……
ピン（ラチェットの回動中心）。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｆ２８Ｆ 9/00 ３２１ Ｂ４１Ｊ 29/00 Ｍ

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】記録ヘッドを搭載したキャリッジを記録媒
   体に沿って移動させながら記録していくインクジェット
   記録装置において、 記録ヘッド移動経路に対して、前記記録ヘッドの吐出口
   面をワイピング可能なワイピング位置に付勢手段によっ
   て付勢されるとともに、前記付勢手段に抗した力の作用
   によって前記ワイピング位置から退避した非ワイピング
   位置に移動可能なワイピング機構と、 前記ワイピング機構の一部に備えられたカム部材と、 前記キャリッジに設けられ、一方向へのみ回動可能に付
   勢支持されたラチェット部材と、 を備え、 前記キャリッジの一方向への移動によって前記ラチェッ
   ト部材を前記カム部材に当接させることで前記付勢手段
   に対する抗力を作用させてワイピング部材を非ワイピン
   グ位置に退避させ、前記キャリッジの反対方向への移動
   によって前記ラチェット部材を前記カム部材に当接させ
   ることによって前記ラチェット部材の付勢支持に抗して
   前記ラチェット部材を回動させることで前記ワイピング
   部材はワイピング位置に維持され前記記録ヘッドの吐出
   口面のワイピングが行われることを特徴とするインクジ
   ェット記録装置。
2. 【請求項２】前記記録ヘッドが、熱エネルギーを利用し
   てインクを吐出する記録ヘッドであって、熱エネルギー
   を発生するための電気熱変換体を備えているインクジェ
   ット記録ヘッドであることを特徴とする請求項１に記載
   のインクジェット記録装置。
3. 【請求項３】前記電気熱変換体によって印加される熱エ
   ネルギーにより生じる膜沸騰による気泡の成長によっ
   て、吐出口よりインクを吐出させることを特徴とする請
   求項２に記載のインクジェット記録装置。