JP2682266B2 - 表面強度を付与したオパール色調を呈する印刷物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、単票シート、冊子ある
いは本の表紙や頁、あるいはカードなどの表面に、オパ
ール（真珠色）調の表面反射光を発するオパール加工を
施したオパール色調を呈する印刷物に関し、特にオパー
ル加工面に表面強度を付与したオパール色調を呈する印
刷物に関する。

【０００２】

【従来の技術】オパール加工の施された従来の印刷物
は、例えば図３に示すように用紙(1) あるいは合成樹脂
フィルム層、樹脂コート層を施した用紙(1) 面に、アル
ミ箔、アルミ蒸着を施して金属反射層(2) を設け、該金
属反射層(2) 面に、オパール調の表面反射効果を高める
ために、所望な色の彩色、絵柄など印刷インキ層(3) を
施し、該用紙(1) の金属反射層(2) 面にオパール反射効
果を与えるための微細凹凸状のエンボス金型を押圧して
回折格子状のオパール色調を呈する微細なオパールエン
ボス凹凸部(4) を施してオパール加工を行っていた。

【０００３】図４に示すように上記オパール加工を施し
た用紙(1) を、例えば本(5) の表紙として使用した場合
は、用紙(1) 開閉支点部(6) に特に応力が掛かり、やが
て用紙(1) の表面より印刷インキ層(3) が剥離して、本
の見栄えを悪くしていた。

【０００４】また、表紙となる用紙(1) の外表面に、オ
パール色( 真珠色) 調を呈するエンボスされた微細凹凸
(4) が存在するため、外界の衝撃力によって、その凹凸
部(4) に傷が入ったり、凹凸部(4) が平坦化されたり、
変形を起こしたりし易く、オパール効果を損なうもので
あった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、外界の衝撃
力によっては、簡単に印刷インキが剥離したり、オパー
ル色調にエンボスされた微細凹凸部が損傷や変形を生じ
ないようにすることを目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、基材上(7) に
接着剤層(12)と、金属反射層(8) と、表面保護用の透明
樹脂層(11)とをこの順に設け、反射層(8) の前記透明樹
脂層(11)と接する面に全面的若しくは部分的に、オパー
ル色調を呈する回折格子状の微細エンボス凹凸部(9) を
備え、前記透明樹脂層(11)の外表面にも微細エンボス凹
凸部(9) を備えることを特徴とする表面強度を付与した
オパール色調を呈する印刷物である。

【０００７】

【実施例】本発明を実施例に従って詳細に説明する。図
１は、本発明印刷物の一実施例の側面図であり、紙、合
成樹脂等のシート基材(7) （例えば、厚さ０．０５mm前
後〜２mm前後) 上に接着剤層(12)を介して、オパール反
射効果を与えるための回折格子状のオパール色調を呈す
るエンボスによる微細オパール凹凸部(9) を有する金属
反射層(8) を備え、該金属反射層(8)上に、外界からの
衝撃力から前記オパール凹凸部(9)(例えば、エンボス深
さ０．０５mm〜０．５mm、ピッチ０．０１mm前後〜０．
９０mm前後))を保護するための透明樹脂層(11)（例え
ば、厚さ０．０２mm〜０．２５mm前後) を備え、該透明
樹脂層(11)の外表面にも微細エンボス凹凸部(9) の凹凸
面に沿った微細エンボス凹凸部(9) を備え、該透明樹脂
層(11)上に、オパール効果を一層励起させるために適宜
印刷方式による彩色、絵柄などの印刷された印刷インキ
層(10)を備えるものである。

【０００８】前記基材(7) と金属反射層(8) とを貼着さ
せる前記接着剤層(12)としては、例えば、基材(7) に板
紙などの用紙を使用する場合には、アクリル系樹脂、ポ
リスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル
−酢酸ビニル共重合体樹脂など熱可塑性樹脂を主体とす
る溶剤揮散型接着剤又はこれらの熱架橋硬化型樹脂、紫
外線架橋硬化型樹脂、あるいは水性エマルジョン系接着
剤、ホットメルトタイプの接着剤、エポキシ系樹脂など
を使用できる。

【０００９】また、例えば、基材(7) に熱可塑性樹脂シ
ートを使用する場合には、アクリル系樹脂、ポリスチレ
ン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビ
ニル共重合体樹脂など熱可塑性樹脂を主体とする溶剤揮
散型接着剤、又はこれらの熱架橋硬化型樹脂、紫外線架
橋硬化型樹脂、あるいは水性エマルジョン系接着剤、ホ
ットメルトタイプの接着剤、エポキシ系樹脂などを使用
できる。

【００１０】また、例えば、基材(7) に熱硬化性( 熱縮
重合性) 樹脂シートを使用する場合には、エポキシ系樹
脂、ウレタン系樹脂など熱縮重合系の樹脂を主体とする
接着剤を使用するものである。

【００１１】前記金属反射層(8) は、前記透明樹脂層(1
1)に金属箔を貼着して、該金属箔を反射層(8) としても
よく、または、前記透明樹脂層(11)に金属蒸着を施して
金属蒸着層を形成し、該蒸着層を反射層(8) とすること
ができる。金属反射層(8) の層厚は、例えば、０．００
５mm〜０．０５mm程度が適当であり、層厚は比較的薄い
ものが良好である。

【００１２】 なお、上記図１の本発明の印刷物におい
て、基材(7) 上に接着剤層(12)を介して反射層(8) と透
明樹脂層(11)とをこの順に積層する場合は、基材(7) の
全面に積層する以外に、該基材(7) 上の一部分に積層す
るようにしてもよい。

【００１３】 また、図１の本発明印刷物における前記微
細オパール凹凸部(9) は、金属反射層(8) の全面に施す
以外に、該金属反射層(8) の一部に施すようにしてもよ
い。

【００１４】 次に、上記図１の実施例における本発明印
刷物の製造工程を図２に従って説明すれば、（ａ）透明
な合成樹脂製シートからなる透明樹脂層(11)上に、必要
に応じて適宜彩色、絵柄の印刷インキ層(10)を施し、
（ｂ）該印刷インキ層(10)上より該透明樹脂層(11)上に
アルミ金属による蒸着を施して金属反射層(8) を設け、
（ｃ）該金属反射層(8) 側から、オパール色調を呈する
微細オパールエンボス金型を用いて加圧又は加熱加圧し
て、表裏両面に微細オパール凹凸部(9) を設け、( ｄ）
該透明樹脂層(11)を外表面にして、金属反射層(8) 側
を、紙、合成樹脂などのシート状基材(7) 表面に、接着
剤(12)を介して貼着することによって本発明印刷物が得
られる。

【００１５】 なお、前記製造工程において、前記印刷イ
ンキ層(10)は、オパール効果を励起するために必要に応
じて施すものである。

【００１６】 上記本発明において使用する透明樹脂層(1
1)の素材としては、加圧、あるいは加熱加圧による成形
性の良好な無色透明、乃至は着色透明な熱可塑性の合成
樹脂（例えばポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリスチ
レン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂）、あるいは
これらの樹脂を主体とする熱重合硬化型樹脂、紫外線重
合硬化型樹脂、二液反応重合硬化型樹脂、あるいは加熱
により縮重合する加熱硬化性樹脂（例えばポリエチレン
テレフタレート樹脂、ウレタン樹脂）などが使用でき
る。

【００１７】 また、図１に示す本発明印刷物において透
明樹脂層(11)上又は透明樹脂層(11)と反射層(8) との間
に必要に応じて施される印刷インキ層(10)は、一色乃至
は数色の印刷インキを用いて彩色図柄、絵柄、文字など
を表現するものである。

【００１８】 また場合によっては、図１の外表面の透明
樹脂層(11)上には、該樹脂層(11)に対して接着性のある
隠蔽性のホワイトインキ層( 塩化ビニル系白色インキ、
アクリル系白色インキ、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
系白色インキなどを使用）を該樹脂層(11)上の所定の領
域に亘ってある形状にベタ状に塗布して、塗布された該
ホワイトインキ層上に適宜、筆記ができるようにするこ
とができる。

【００１９】

【発明の作用】本発明印刷物は、紙、合成樹脂などの基
材上に、接着剤を介して回折格子（ストライプ状）によ
るオパール色調を呈する微細オパール凹凸部(9) を最外
層表面に備える印刷物であり、この最外層表面の凹凸部
(9) は透明樹脂層(11)によって形成されているので、本
発明印刷物を本の表紙として使用したり、メンバーズカ
ード、キャッシュカードなどカードとして使用する場合
に、本の表紙の繰り返し開閉動作、あるいはカードのリ
ーダーライターなど読取装置との接触応力など、外界か
らの衝撃力に対しては、最外層の透明樹脂層(11)によっ
て、その下層にある薄膜状の金属反射層(8) の微細凹凸
部(9) の損傷、変形などを回避できる。

【００２０】 また、本発明印刷物においては、オパール
色調を呈する回折格子状の微細凹凸部(9) を透明樹脂層
(11)に施された反射層(8) 側からエンボスすることが可
能であり、反射層(8) に対する良好な深度と精度のある
エンボスができ、オパール反射効果を十分に強調でき
る。

【００２１】 また、本発明印刷物は、本の表紙やカード
として使用でき、本発明印刷物の基材全面に接着剤層(1
2)を介して反射層(8) と透明樹脂層(11)とを積層し、そ
の反射層(8) の一部分領域に、オパール色調を呈する微
細凹凸部(9) をエンボス形成することによって、表紙全
体、カード全体の強度を前記透明樹脂層(11)によって補
強することができるだけでなく、該表紙やカード全面に
装飾デザイン的な鏡面反射面と該面の一部分領域に対し
てオパール色調を呈するデザインとを付与することがで
きるものである。

【００２２】

【発明の効果】本発明印刷物のオパール色調を呈する最
外層の微細凹凸部は、透明樹脂層によって被覆保護さ
れ、外界からの衝撃力に対する耐性が向上する。また、
本発明印刷物における基材の全面に透明樹脂層を積層す
ることによって基材本体が補強され、本発明印刷物を、
本の表紙や、カードとして利用しても、その使用に耐え
ることができるなどの優れた効果を発揮するものであ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明印刷物の一実施例を説明する側面図であ
る。

【図２】本発明における一実施例の印刷物の製造工程を
示す側面図である。

【図３】従来のオパール色調を呈する印刷物の積層構造
を示す側面図である。

【図４】従来のオパール色調を呈する印刷物を本の表紙
に使用した場合の印刷物の使用例を示す斜視図である。

【符号の説明】

1 …基材 2 …金属反射層 3 …印刷インキ層 4 …微
細凹凸部 5 …本 6 …開閉支点部 7 …基材 8 …金属反射層 9 …微細
凹凸部 10…印刷インキ層 11…透明樹脂層 12…接着剤層

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 樽見 英朗 東京都台東区台東一丁目５番１号 凸版 印刷株式会社内 審査官 小野 忠悦 (56)参考文献 実開 昭64−30286（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】基材上(7) に接着剤層(12)と、金属反射層
   (8) と、表面保護用の透明樹脂層(11)とをこの順に設
   け、反射層(8) の前記透明樹脂層(11)と接する面に、全
   面的若しくは部分的に、オパール色調を呈する回折格子
   状の微細エンボス凹凸部(9) を備え、前記透明樹脂層(1
   1)の外表面にも微細エンボス凹凸部(9) を備えることを
   特徴とする表面強度を付与したオパール色調を呈する印
   刷物。