JP2660091B2 - カメラのフイルム初期送り装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、オートローディングカメラに用いられ、パ
トローネから引き出されているフイルム先端部が巻取り
スプールに巻き付くまでフイルムを給送するフイルム初
期送り装置に関するものである。

〔従来の技術〕

フイルム装填を簡便にするために、ドロップインロー
ディング式のコンパクトカメラが、「カルディア」（商
品名，本出願人の製品）として、既に市販されている。
このコンパクトカメラは、裏蓋が開かれた時に、カメラ
ボディの底にパトローネ挿入口が露呈され、またカメラ
ボディと裏蓋との間にスリットが形成される。このパト
ローネ挿入口からパトローネをその軸方向に挿入すれ
ば、同時にフイルム先端部がスリットを通ってカメラボ
ディ内に入り込んでフイルム通路にセットされる。この
ドロップインローディング式のコンパクトカメラのよう
に、フイルム先端部をフイルム巻取り室内に達した状態
にすることが不要なものでは、フイルム先端部がフイル
ム巻取り室内の巻取りスプールに完全に巻き付くまで、
フイルムを初期送りすることが必要である。

従来のフイルム初期送り装置は、例えば、実開昭61−
61532号公報に記載されているように、露光枠の近傍に
回転自在なフイルム送り部材が配置されており、この外
周に形成した１個の送り爪がフイルム通路に突出してい
る。このフイルム送り部材は、一方向クラッチやギヤト
レインを介して、巻取りスプールを回転させるための駆
動源から回転力が与えられるようになっている。パトロ
ーネをフイルム供給室に装填して裏蓋を閉めると、フイ
ルム送り部材が回転する。このフイルム送り部材の回転
中に、送り爪がフイルム先端部のパーフォレーションと
係合し、フイルム先端部をフイルム巻取り室に向けて給
送する。このフイルム先端部が巻取りスプールに到達す
ると、フイルム先端部のパーフォレーションが巻取りス
プールの外周に設けた複数の爪に係合される。このフイ
ルム初期送りによって、フイルム先端部が巻取りスプー
ルに完全に巻き付いた後は、巻取りスプールによるフイ
ルム送り速度の方が、フイルム送り部材によるフイルム
送り速度よりも早いために、フイルム送りは巻取りスプ
ールにより行われる。このスプール駆動によるフイルム
送り中と、フイルム巻戻し中には、フイルム送り部材は
一方向クラッチにより、フイルム送りに邪魔にならない
ようにフイルムに従動して回転する。また、フイルム初
期送りが終了した後に、フイルム送り部材の送り爪が、
フイルム通路から退避するものも知られている。

〔発明が解決しようとする課題〕

最近のコンパクトカメラは、撮影レンズとして二焦点
レンズやズームレンズを用いることで、高機能化を図る
傾向にあるが、このような撮影レンズは、レンズ枚数が
多いために大型化することになる。そこで、不使用時に
はカメラを小型にするために、撮影レンズの後端が露光
枠に近接した位置まで、カメラボディ内に充分に後退さ
せるのがよい。しかし、露光枠の近辺には、前述したフ
イルム初期送り装置が配置されているため、これと撮影
レンズとの干渉を回避することが必要となる。従って、
カメラの小型化を図る上での改良点の一つとして、フイ
ルム初期送り装置が配設されている露光枠周辺に撮影レ
ンズが入り込めるようなスペースを確保することであ
る。

また、従来のフイルム初期送り装置は、一方向クラッ
チや、フイルム送り部材に回転力を伝達するためのギヤ
トレイン等が必要であるため、部品点数が多くなり、構
造が非常に複雑であった。

本発明は、撮影レンズの光軸方向での占有スペースを
小さくすることができるとともに、簡単な構成のフイル
ム初期送り装置を提供することを目的とするものであ
る。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、請求項１に記載したフイ
ルム初期送り装置は、フイルム先端部のパーフォレーシ
ョンに係合する送り爪を備えたフイルム送り部材と、巻
取りスプールの端面の中心から外れた位置に形成された
係合部と、巻取りスプールの回転とともに、前記係合部
に係合してフイルム送り部材をフイルム送り方向に往復
動させるための駆動レバーと、送り爪が巻取りスプール
に向かって移動する際に、送り爪がフイルム通路から退
避した初期状態からフイルム通路に突出した状態へ変位
させ、そしてこの状態で前記フイルム通路に沿って移動
させるための案内手段とからなり、フイルム先端部が巻
取りスプールの外周に巻き付いた後は、前記駆動レバー
がフイルムの側縁によって押圧されて係合部の回転域か
ら退避されることによりフイルム初期送りが終了される
ようにしたものである。

請求項（２）に記載したフイルム初期送り装置は、フ
イルム送り部材を間欠的に往復動させることにより、フ
イルム先端部が巻取りスプールに確実に巻き付くように
したものである。

請求項（３）に記載したフイルム初期送り装置は、巻
取りスプールの１回転のうち所定の範囲内において前記
係合部に係合して、フイルム送り部材を巻取りスプール
に最も近接した位置へ移動させるためのフックと、この
フックと係合部との係合が解除された後に、フイルム送
り部材を巻取りスプールから最も離れた初期位置に戻す
バネ部材とを駆動レバーに備えたものである。

請求項（４）に記載したフイルム初期送り装置は、フ
イルム先端部のパーフォレーションに係合する送り爪を
備えたフイルム送り部材と、このフイルム送り部材に連
結されており、フイルム送り部材が巻取りスプールから
最も離れた状態となる第１の位置と、フイルム送り部材
が巻取りスプールに最も近づいた状態となる第２の位置
とを往復動する駆動レバーと、この駆動レバーを第１の
位置から第２の位置へ移動させるために、巻取りスプー
ルの端面に設けられた係合部が所定角度移動する間中、
この係合部に係合するフックレバーと、このフックレバ
ーが係合部から外れたときに、駆動レバーを第１の位置
へ復帰させるための付勢手段と、フックレバーと一体的
に設けられ、フイルム先端部が巻取りスプールの外周に
巻き付いた後は、フイルムの側縁によって押圧され、フ
ックレバーを係合部の回転域から退避させてフイルム初
期送りを終了させるフイルム側縁検知部材とから構成し
たものである。

請求項（５）に記載したフイルム初期送り装置は、駆
動レバーとフックレバーとを一体にし、１個の円弧状レ
バーとしたものである。

請求項（６）に記載したフイルム初期送り装置は、フ
イルム先端部のパーフォレーションに係合する係合部を
備えたフイルム送り部材と、巻取りスプールの端面の中
心から外れた位置に形成された突起と、この突起に当接
してフイルム送り部材をフイルム送り方向に間欠的に往
復動させるための駆動レバーと、この駆動レバーと巻取
りスプールとの間に設けられ、フイルム先端部が巻取り
スプールの外周に巻き付いた後は、フイルムの側縁によ
って押圧されることにより駆動レバーを変位させて突起
の回転域から退避させるフイルム側縁検知部材とから構
成したものである。

請求項（７）に記載したフイルム初期送り装置は、巻
取りスプールの端部に回転可能に配置したカム部材と、
巻取りスプールがフイルム巻取り方向に回転するときに
は、カム部材を巻取りスプールに連動させ、そしてフイ
ルム巻戻し方向に回転するときにはカム部材を巻取りス
プールから切り離すための一方向クラッチと、カム部材
が巻取りスプールと一緒に回転するときに、このカム部
材によって間欠的に揺動される駆動レバーと、フイルム
先端部のパーフォレーションに係合する送り爪を備え、
駆動レバーによってフイルム通路上を間欠的に往復動
し、フイルム先端部を巻取りスプールに向けて給送する
ためのフイルム送り部材とからなり、フイルム先端部が
巻取りスプールの外周に巻き付いた後は、前記駆動レバ
ーがフイルムの側縁によって押圧されてカム部材の回転
域から退避されることによりフイルム初期送りが終了さ
れるようにしたものである。

請求項（８）に記載したフイルム初期送り装置は、フ
イルム先端部のパーフォレーションに係合して、フイル
ム先端部を巻取りスプールに向けて間欠移送するための
フイルム送り部材と、板バネを介してフイルム送り部材
に連結され、フイルム送り部材が巻取りスプールから最
も離れた状態となる第１の位置と、フイルム送り部材が
巻取りスプールに最も近づいた状態となる第２の位置と
の間を揺動する駆動レバーと、駆動レバーを第１の位置
と第２の位置にそれぞれ保持するためのトグルバネと、
巻取りスプールの端面に設けられており、駆動レバーが
第２の位置にあるときに、その一部に当接して駆動レバ
ーを第１の位置に復帰させるための突起と、駆動レバー
が第１の位置にあるときに突起に係合し、そして駆動レ
バーが第２の位置へ移動したときに突起から外れるよう
にされたフックレバーとからなり、フイルム先端部が巻
取りスプールの外周に巻き付いた後に、フイルムの側縁
によってフックレバーが押圧され、板バネが湾曲してフ
ックレバーが突起の回転域から退避することによりフイ
ルム初期送りが終了されるようにしたものである。

〔作用〕

請求項（１）に記載したフイルム初期送り装置では、
巻取りスプールの回転とともに係合部が回転し、この係
合部に係合した駆動レバーが移動し、これに連結したフ
イルム送り部材をフイルム送り方向に往復動させる。こ
のフイルム送り部材は、その移動の初期に送り爪をフイ
ルム通路に突出させてフイルム先端部のパーフォレーシ
ョンに係合し、この状態でフイルム通路に沿って移動す
ることにより、フイルム先端部を巻取りスプールに向け
て給送する。そして、フイルム先端部が巻取りスプール
の外周に巻き付くと、駆動レバーがフイルムの側縁によ
って押圧されて係合部の回転域から退避され、フイルム
初期送りが終了する。

請求項（２）に記載したフイルム初期送り装置では、
駆動レバーがフイルム送り部材を間欠的に往復動させ
る。

請求項（３）に記載したフイルム初期送り装置では、
駆動レバーが、巻取りスプールの１回転のうち所定の範
囲内において巻取りスプールの係合部に係合して、フイ
ルム送り部材を巻取りスプールに最も近接した位置へ移
動させるためのフックと、このフックと係合部との係合
が解除された後に、フイルム送り部材を巻取りスプール
から最も離れた初期位置に戻すバネ部材とを備えたもの
である。

請求項（４）に記載したフイルム初期送り装置では、
巻取りスプールが回転すると、その端面に設けられた係
合部にフックレバーが係合することにより、巻取りスプ
ールが所定角度を回転する間だけフックレバーが巻取り
スプールに連動する。このフックレバーと一緒に駆動レ
バーが移動し、そしてフックレバーが巻取りスプールか
ら外れると、付勢手段によって駆動レバーがフックレバ
ーとともに初期位置へ復帰する。この駆動レバーの移動
により、フイルム送り部材がフイルム通路に沿って間欠
的に往復動し、フイルムリーダ部を巻取りスプールに向
けて給送する。そして、フイルム先端部が巻取りスプー
ルの外周に巻き付くと、フックレバーと一体的に設けら
れたフイルム側縁検知部材がフイルムの側縁に押圧さ
れ、フックレバーを係合部の回転域から退避させて、フ
イルム初期送りが終了する。

請求項（５）に記載したフイルム初期送り装置では、
駆動レバーとフックレバーとが１個の円弧状レバーとし
て一体に作られている。

請求項（６）に記載したフイルム初期送り装置では、
巻取りスプールが回転すると、その端面に形成した突起
によって駆動レバーが押される。この駆動レバーの揺動
により、フイルム送り部材がフイルム通路に沿って間欠
的に往復動し、フイルム先端部を巻取りスプールに向け
て給送する。このフイルム先端部が巻取りスプールの外
周に巻き付くと、駆動レバーがフイルム側縁検知部材を
介してフイルムの側縁によって押圧され、突起の回転域
から退避してフイルム初期送りが終了する。

請求項（７）に記載したフイルム初期送り装置では、
巻取りスプールが回転すると、一方向クラッチを介して
カム部材が回転し、このカム部材によって駆動レバーが
往復動する。この駆動レバーの揺動により、フイルム送
り部材がフイルム通路に沿って間欠的に往復動し、フイ
ルム先端部を巻取りスプールに向けて給送する。そし
て、フイルム先端部が巻取りスプールの外周に巻き付く
と、駆動レバーがフイルムの側縁によって押圧されてカ
ム部材の回転域から退避され、フイルム初期送りが終了
する。

請求項（８）に記載したフイルム初期送り装置では、
巻取りスプールが回転すると、その端面に設けた突起に
フックレバーが係合する。フックレバーが、駆動レバー
とともに巻取りスプールに追従して所定のストロークだ
け移動すると、フックレバーが突起から自然に外れる。
この駆動レバーにはトグルバネが掛けられているため、
フックレバーが突起から外れても、駆動レバーはその位
置に保持される。更に巻取りスプールが回転すると、突
起が駆動レバーに当接してこれを押すため、駆動レバー
がフックレバーとともに初期位置に戻される。駆動レバ
ーは、その移動の途中でトグルバネの死点を越えると、
このトグルバネによって初期位置の方向へ付勢される。
駆動レバーが所定範囲を揺動する際に、フイルム送り部
材をフイルム通路に沿って移動させ、フイルムリーダ部
を巻取りスプールに向けて給送する。このフイルム先端
部が巻取りスプールの外周に巻き付くと、フイルムの側
縁によってフックレバーが押圧され、板バネを変形させ
ながら、フックレバーが突起の回転域から退避し、フイ
ルム初期送りが終了する。

〔実施例〕

第１図は、ドロップインローディングカメラを示すも
のであり、内部を詳細に示すために、裏蓋がフイルム装
填位置を越えて完全に開かれている。カメラボディ２
に、蝶番４を介して裏蓋３が開閉自在に設けられてい
る。カメラボディ２の内側中央部には、画面サイズを定
めるための露光枠５が設けられており、その左右にはフ
イルム供給室７とフイルム巻取り室８が各々設けられて
いる。フイルム供給室７には、パトローネ10が装填さ
れ、このパトローネ10は、パトローネ本体2aと、このパ
トローネ本体12aに回転自在に収納されたスプール12b
と、このスプール12bに巻かれた135タイプのフイルム９
とから構成されている。フイルム供給室７には、フイル
ム巻戻し時にパトローネ10のスプール12bを回転させる
ためのフイルム巻戻し軸15が突出した状態で設けられて
いる。フイルム供給室７の底側には、裏蓋３が開いたと
きに露呈するパトローネ10の挿入口7aが形成されてい
る。フイルム供給室７の背後には、パトローネ10の位置
を規制するプレート16が設けられている。フイルム巻取
り室８には、フイルム９を巻き取るための巻取りスプー
ル11が回転自在に設けられており、この中にモータ13
（第２図参照）が内蔵されている。

前記露光枠５の上方には、フイルム９に従動して回転
し、フイルム９の送り量を検出するための従動スプロケ
ット17が配置されており、この従動スプロケット17には
フイルム９のパーフォレーション9aに係合する複数の歯
が一定ピッチで形成されている。露光枠５の下方には、
フイルム送り部材18が配置されており、その送り爪18a
はパーフォレーション9aと係合し、フイルム先端部9bを
巻取りスプール11に向けて間欠的に給送する。なお、第
１図では、送り爪18aはフイルムガイド面25から突出し
た状態で表してあるが、実際にはフイルム装填時にはフ
イルム先端部9bが送り爪18aにぶつからないように、フ
イルムガイド面25から退避している。また、巻取りスプ
ール11の一端部の外周には、フイルム９のパーフォレー
ション9aと係合するノコ歯状をした爪11aが複数個形成
されている。前記裏蓋３の内側中央には、フイルムガイ
ド面25上にあるフイルム９を押圧するためのフイルム圧
板30が設けられており、これらの間にフイルム通路19が
形成される。なお符号32は、フイルム巻取り室８内に入
ったフイルム先端部9bを巻取りスプール11の外周に向け
て案内するフイルムガイド板である。

第２図において、フイルム初期送り装置は、送り爪18
aを備えたフイルム送り部材18と、このフイルム送り部
材18を駆動するための駆動レバー20と、巻取りスプール
11の端面11bに形成されたスプールカム22と、フイルム
巻取り室８内に設けられたテーパ部23と、駆動レバー20
を付勢するためのスプリング40とから構成されている。
フイルム送り部材18は、その他端に駆動レバー20を連結
するための穴24が形成されている。そして、この穴24と
駆動レバー20の穴26に、連結ピン28が挿通されている。
この連結ピン28には、フイルム送り部材18に時計方向の
回転力を付与するためのスプリング30が掛けられてい
る。

前記フイルム送り部材18の左右に、２枚のガイド板34
が配置されており、これらの下面にガイドピン32が当接
することにより、フイルム送り部材18がガイドされる。
また、このガイド板34の左端部分には、傾斜面34aが形
成されており、フイルム送り部材18が初期位置にあると
きに、送り爪18aがフイルムガイド面25より上方に突出
しないようにしている。駆動レバー20はほぼ円弧状に形
成され、巻取りスプール11の回転力によってフイルム送
り部材18を往復動させる。この駆動レバー20の一端には
穴36が形成されており、カメラボディ２に支承された回
転軸38が挿通する。この回転軸38にはスプリング40が挿
通しており、このスプリング40は駆動レバー20を反時計
方向に付勢するとともに、駆動レバー20を巻取りスプー
ル11に向けて付勢している。

駆動レバー20の内側の一部にはフック41が設けられて
おり、このフック41はスプールカム22が第２図において
時計方向に回転するときに、その一定区画だけスプール
カム22の係合部22aと係合し、それにより駆動レバー20
が巻取りスプール11に前記区画だけ追従して揺動する。
また、駆動レバー20の先端部42はＶ字形に屈曲してお
り、この先端部42がテーパ部23に沿って移動する時に、
駆動レバー20全体が回転軸38に沿って外側に押し出され
る。これによって、駆動レバー20のフック41と、スプー
ルカム22の係合部22aとの係合が一時的に解除され、駆
動レバー20はスプリング40の蓄勢力で反時計方向に揺動
して初期位置に戻るようになっている。

次に、上記実施例の作用について、第３図を参照して
説明する。この第３図（Ｂ）では圧板とフイルムガイド
板は省略されている。カメラ１にフイルムを装填する場
合には、まず裏蓋３をフイルム装填位置に開く。この状
態では、パトローネ挿入口7aが露呈し、そしてカメラボ
ディ２と裏蓋３との間にスリットが形成される。パトロ
ーネ10を、その軸方向からパトローネ挿入内7aに挿入す
ると、パトローネ10から突出しているフイルム先端部9b
がスリットを通ってフイルム通路19内に差し込まれる。
パトローネ10は、フイルム供給室７内に完全に収納され
ると、スプール12bがフイルム巻戻し軸15に連結する。
裏蓋３を閉じると、裏蓋検知スイッチ（図示せず）がON
し、巻取りスプール11に収納されたモータ13が回転す
る。このモータ13の回転は、駆動ギヤ14,周知のギヤト
レインを介して巻取りスプール11にフィードバックされ
る。

モータ13によって巻取りスプール11が時計方向に回転
すると、第３図（Ａ）のようにスプールカム22の係合部
22aに駆動レバー20のフック41が係合する。この時点で
は、フイルム送り部材18のガイドピン32は、ガイド板34
の傾斜面34aに当接しているから、送り爪18aがフイルム
ガイド面25から退避している。巻取りスプール11がさら
に回転すると、これに追従して駆動レバー20が回転軸38
を支点にして時計方向に揺動する。これによって、フイ
ルム送り部材18は、第３図（Ｂ）に示すように、ガイド
板34にガイドされながらフイルム巻取り室８側へ移動す
る。このフイルム送り部材18が移動して、ガイドピン32
が傾斜面34aを通過すると、送り爪18aがフイルムガイド
面25から突出するため、この送り爪18aがパーフォレー
ション9aと係合して、フイルム先端部9bをフイルム巻取
り室８に向けて移送する。

駆動レバー20の端部42がテーパ部23に当接すると、駆
動レバー20は回転軸38に沿って紙面と垂直な方向に押し
出される。これによって、駆動レバー20のフック41とス
プールカム22の係合部22aとの係合が一時的に解除さ
れ、駆動レバー20はスプリング40の力によって反時計方
向に揺動して初期位置に戻る。この際に、送り爪18aは
停止中のフイルム９の下を滑動する。巻取りスプール11
が１回転すると、駆動レバー20がスプールカム22に再び
係合し、前述したように、フイルム送り部材18をフイル
ム送り方向に往復動させる。以下、フイルム送り部材18
が同様な動作を繰り返すことによって、フイルム先端部
9bをフイルム巻取り室８に向けて間欠的に移送する。フ
イルム巻取り室８に送られたフイルム先端部9bは、フイ
ルムガイド板32によって巻取りスプール11の外周に向け
て案内される。

第３図（Ｂ）のように、フイルム先端部9bが巻取りス
プール11に達すると、パーフォレーション9aが巻取りス
プール11の爪11aに係合し、フイルム先端部9aが巻取り
スプール11に巻き付けられる。フイルム送り部材18は、
フイルム先端部9bを間欠的に移送するから、フイルム先
端部9bが停止している間に、爪11aがパーフォレーショ
ン9aを確実に引っ掛けることができる。フイルム先端部
9bが巻取りスプール11に巻き付くと、フイルム先端部9b
の側縁9cが駆動レバー20の側面に押すから、駆動レバー
20がスプリング40に抗して外側に移動する。これによ
り、駆動レバー20がスプールカム22の回転域から退避す
るから、駆動レバー20と巻取りスプール11との連動が解
除される。なお、駆動レバー20と巻取りスプール11の連
動解除は、駆動レバー20が第３図（Ａ）に示す初期位置
に戻る間、あるいは駆動レバー20がスプールカム22に係
合している間でも発生する。後者の場合には、駆動レバ
ー20がスプールカム22から外されるから、スプリング40
によって反時計方向に揺動して初期位置に戻る。いずれ
の場合でも、フイルム送り部材18は、第３図（Ａ）に示
すように、送り爪18aがフイルムガイド面25から退避し
た状態となる。このフック41がスプールカム22の回転域
から外れた状態は、後述するフイルム巻戻しによってフ
イルム先端部9bが巻取りスプール11から離れるまで保た
れる。

フイルム初期送りの終了後は、巻取りスプール11の回
転によって、フイルム９の給送が行われ、第１コマ目が
露光枠５にセットされる。レリーズボタンを押して、シ
ャッタを作動させると、第１番目のコマが露光される。
この露光後に、モータ13が回転して巻取りスプール11に
フイルム９が１コマ分巻き取られる。そして、全コマが
撮影されたときには、パトローネ本体12aからフイルム
９が引き出せなくなるから、図示しない周知のトルク検
知機構により負荷の増大が検知され、モータ回路（図示
せず）がフイルム巻戻しモードにセットされる。

フイルム巻戻しモードでは、モータ13が逆転してフイ
ルム巻戻し軸15を介してパトローネ10内のスプール12b
を回転させる。このスプール12bの回転により露光済み
のフイルム９がパトローネ10内に戻され、この際に巻取
りスプール11がフイルム９によって回転される。フイル
ム巻戻し中には、フイルム９の側縁9cで駆動レバー20の
側面が押圧された状態のままで停止している。そして、
フイルム先端部9bが巻取りスプール11から離れると、こ
の回転が停止する。これとともに、駆動レバー20がスプ
リング40の力によって巻取りスプール11側に押し戻さ
れ、駆動レバー20がスプールカム22に係合可能となり、
次のフイルム初期送りの準備が完了する。なお、モータ
13は、パトローネ10内に露光済みフイルム９の全部を巻
き込んだときに停止する。

第４図ないし第５図は、駆動レバーと別体にフックレ
バーを設け、このフックレバーがスプールカムから自然
に外れるようにした実施例を示すものであり、前述した
実施例と同じ部材には同じ符号を付してある。第４図に
おいて、フイルム初期送り装置は、フイルム送り部材18
と、これを往復動させるための駆動レバー50と、スプー
ルカム52と、このスプールカム52と駆動レバー50とを連
結するためのフックレバー54と、フイルム側縁検知部材
68とから構成されている。ガイド板56には、ガイドピン
32が挿通するガイド穴56aが形成されており、フイルム
送り部材18がフイルム巻取り室８に向かって移動する際
に、ガイドピン32がこのガイド穴56aの上部内縁に沿っ
て移動する。また、ガイド穴56aの左端部分は傾斜面と
なっており、フイルム送り部材18の退避時に送り爪18a
がフイルムガイド面25より上方に突出しないようにして
いる。フイルム送り部材18の下方には、２本の固定ピン
57によってガイド板56に固定されたバネ部材58が配置さ
れている。このバネ部材58は、フイルム送り部材18を常
時上方向に付勢する板バネ58aと、この板バネ58aを片持
ち式に保持するベース板58bとから構成されている。

駆動レバー50はバネ材料で作られており、下端部がフ
イルム巻取り室８の内壁に沿うように円弧状に形成され
ている。また、駆動レバー50の上端にはフイルム送り部
材18の穴24に挿通するピン59が設けられている。駆動レ
バー50の円弧部分の中間位置には回転軸60が固着されて
おり、この回転軸60はカメラボディ２に回転自在に取り
付けられている。駆動レバー50の下端部分61は、バネ性
を付与するために細くなっており、その先端に凸状部61
aが形成されている。これにより、駆動レバー50が回転
軸60を支点にして時計方向に揺動したときに、凸状部61
aがカメラボディの内壁に押圧され、駆動レバー50を復
元させるための力を蓄える。

フックレバー54は、駆動レバー50を揺動させるもので
あり、駆動レバー50のピン64が回転自在に挿通する穴63
が一端に形成されている。なお、このフックレバー54と
駆動レバー50のピン64との間には、フックレバー54を時
計方向に付勢するためのスプリング66が配置されてい
る。このスプリング66はその一端がフックレバー54の突
起65に、そして他端が駆動レバー50に掛けられている。
フックレバー54の先端には、スプールカム52が時計方向
に回転する場合にのみ、スプールカム52の係合部52aと
係合するフック54aが形成されている。フックレバー54
の巻取りスプール11側の面には、フイルム側縁検知部材
68が設けられており、巻取りスプール11に巻き付いたフ
イルム９の側縁9cによって押圧され、フックレバー54が
ピン64に沿って移動されるようになっている。

次に、第５図を参照して第４図に示す実施例の作用に
ついて説明する。前記実施例と同様に、巻取りスプール
11が時計方向に回転すると、第５図（Ａ）に示すよう
に、スプールカム52の係合部52aにフックレバー54のフ
ック54aが係合する。巻取りスプール11がさらに回転す
ると、スプールカム52の回転がフックレバー54を介して
駆動レバー50に伝達され、駆動レバー50が回転軸60を中
心に時計方向に揺動する。そして、この駆動レバー50の
揺動により、フイルム送り部材18のガイドピン32がガイ
ド板56のガイド孔56aの左下部分から傾斜面に沿って上
方に移動し、送り爪18aをフイルム通路19へ突出させ
る。この送り爪18aは、第５図（Ｂ）に示すように、ガ
イドピン32とガイド孔56aとの協同により、フイルム通
路19上を左から右方向に直線移動する。この送り爪18a
が移動するときに、フイルム先端部9bのパーフォレーシ
ョン9aに係合し、フイルム先端部9bをフイルム巻取り室
８に向けて移送する。

巻取りスプール11が第５図（Ｂ）の状態以上に回転す
ると、フックレバー54はスプールカム52の外周面で規制
されるから、フック54aが係合部52aから自然に外れる。
そのために、駆動レバー50は、その下端部61のバネ力に
よって反時計方向に揺動して第５図（Ａ）に示す初期位
置に戻る。その際に、送り爪18aは、板バネ58aを変形さ
せながら、フイルム先端部9bの下面に沿って左方向に移
動する。フイルム送り部材18は、この動作を繰り返しな
がら、フイルム先端部9bを巻取りスプール11側に間欠的
に移送する。前述したように、フイルム先端部9bが巻取
りスプール11に巻きつくと、フイルム側縁検知部材63が
押されて、フックレバー54がスプリング66に抗しながら
ピン64に沿って外側に移動し、スプールカム52の回転域
から退避する。もし、駆動レバー50が巻取りスプール11
に連動しているときに、フックレバー54がスプールカム
52から外れると、駆動レバー50はそれ自体のバネ力によ
って反時計方向に揺動し、フイルム送り部材18は、第5A
図のように初期位置に戻る。前述したように、フイルム
初期送りに続くフイルム巻上げと、フイルム巻戻しの間
は、フックレバー54がスプールカム52に係合しない。そ
して、フイルム巻戻しによって、フイルム先端部9bが巻
取りスプール11から外れると、巻取りスプール11が停止
するとともに、スプリング66によってフックレバー54が
巻取りスプール11側に押し戻され、次のフイルム初期送
り準備が完了する。

この実施例では、スプールカム52の係合部52aが円連
動して、第５図（Ａ）おいて下方へ移動することによっ
て、フックレバー54のフック54aが係合部52aから自然に
外れるので、フイルム巻取り室８の軸方向のスペースが
小さくて済み、背の低いカメラを設計するのに適してい
る。更に、フックレバー54は、一方向クラッチ機能を有
するから、フイルム巻戻しの際にモータ13で巻取りスプ
ール11を逆転させることが可能となる。また、フックレ
バー54だけが軸方向に移動するから、巻取りスプール11
との係合解除がスムーズに行われる。

第６図ないし第７図は、カム機構を利用してフイルム
送り部材を往復動させるようにした実施例を示すもので
あり、前述した実施例と同じ部材には同じ符号を付して
ある。フイルム送り部材70は、２つのアーム71,72に切
り裂かれており、一方のアーム71の先端に送り爪71aが
形成されている。他方のアーム72は、バネ性を付与する
ために湾曲しており、また先端に設けた凸部72aは、第
７図（Ａ）に示されているようにカメラボディ２の凹部
2aに納まるようになっている。

フイルム送り部材70の上方にはガイド板74が配置され
ており、中央に形成されたガイド溝74aに送り爪71aが入
り込む。また、このガイド板74のフイルム供給室７側の
端部の下面には、送り爪71aがフイルムガイド面25より
上方に突出しないようにするために、傾斜した凸部74b
が形成されている。駆動レバー73は、ほぼ扇形をしてお
り、その右上部分に形成された長穴75に巻取りスプール
11の駆動ピン76が嵌合する。なお、長穴75の一部には、
駆動ピン76を逃がすための凹み75aが設けられている。

駆動レバー73の下端には、回転中心となる軸77が貫通
しており、この軸77はベース板78の穴79と、軸受け板80
の穴81とで回転自在に支持されている。このベース板78
は、カメラボディ２に固定されている。軸受け板80と軸
77との間には、一端が駆動レバー73のピン82に掛けられ
たスプリング83が配置されており、駆動レバー73をベー
ス板78側へ付勢している。なお、軸受け板80は、ネジ穴
86,87に螺合する２個のネジ84,85によって、ベース板78
に固定されている。また、駆動レバー73には、スプリン
グ90が掛けられており、このスプリング90によって駆動
レバー73が反時計方向に付勢されている。駆動レバー73
のスライドピン91は、ベース板78の円弧溝92を貫通して
フイルム送り部材70の穴93に嵌合している。

前記ベース板78は、巻取りスプール11の端部が回転自
在に嵌合する軸穴94と、フイルム側縁検知部材95の突起
95aが貫通する円弧孔96とが形成されている。このフイ
ルム側縁検知部材95は、フイルム先端部9bの側縁9cによ
って押されると、駆動レバー73をベース板78から離す方
向に移動させ、それにより駆動レバー73の長穴75と、巻
取りスプール11の駆動ピン76との係脱を制御する。な
お、符号97は、フイルム側縁検知部材95をベース板78に
固定するためのピンである。

次に、第７図（Ａ）〜（Ｃ）を参照して第６図に示す
実施例の作用について説明する。フイルム装填後に裏蓋
３を閉じれば、前述したように、巻取りスプール11が時
計方向に回転する。この巻取りスプール11の駆動ピン76
は、長孔75から駆動レバー73の側縁との間に形成された
凹部75aを通って長孔75内に入る。このような初期の段
階においては、フイルム送り部材70の送り爪71aは、ガ
イド部材74の突部74bの下に位置し、そして突起72aが凹
部2aに入っている。巻取りスプール11がさらに回転する
と、駆動ピン76の回転により駆動レバー73が軸77を中心
にして時計方向に揺動する。この駆動レバー73の揺動に
より、第７図（Ｂ）に示すように、フイルム送り部材70
がガイド板74の下面にガイドされながら巻取りスプール
11側に移動する。この移動の初期において、送り爪71a
がスリット74aを介してフイルム通路19に突出してパー
フォレーション9aと係合し、フイルム先端部9bを巻取り
スプール11に向けて送る。

駆動ピン76が第７図（Ｂ）の位置を過ぎると、駆動ピ
ン76が凹部75aと対面するから、駆動レバー73は、スプ
リング90の蓄勢力によって、反時計方向に急速に揺動し
て第７図（Ｃ）に示す位置へ移動する。他方、駆動ピン
76はそのまま回転を続け、再び凹部75aに達した時に、
これを通って長孔75内に入り、第７図（Ａ）に示す状態
となる。駆動レバー73及びフイルム送り部材70とがこの
動作を繰り返すことにより、フイルム先端部9bを巻取り
スプール11に向けて間欠的に給送する。前述したよう
に、フイルム先端部9bが巻取りスプール11の外周に巻き
付けられると、フイルム先端部9bの側縁9cがフイルム側
縁検知部材95の先端部95aを押圧する。これによって、
駆動レバー73は、スプリング83に抗して外側に移動し、
これとともに駆動レバー73はスプリング90によって反時
計方向に回動し、フイルム送り部材70が第７図（Ａ）に
示す状態となる。この状態は、前述したように、フイル
ム巻戻しによってフイルム先端部9bが巻取りスプール11
から離れるまで維持される。

第８図及び第11図は、第６図及び第７図に示す実施例
の改良を示すものである。この実施例では、巻取りスプ
ールと駆動レバーとの間に一方向クラッチ機構を配置
し、フイルム巻戻し中に巻取りスプールを逆転させるこ
とができるようにしたものである。第８図及び第９図に
示すように、巻取りスプール11の端面11bに、スプール
カム116が一体に形成されている。このスプールカム116
は、その中央部に軸部116aが設けられており、これにク
ラッチカム115の軸孔115aが回転自在に嵌合し、これら
によって一方向クラッチ機構が構成されている。このク
ラッチカム115は、第11図（Ａ）に示すように、クラッ
チレバー115bと係止爪115cとがプラスチックによって一
体成形されている。このクラッチレバー115bはバネ性を
備え、切欠き115d内で弾性変形する。

第10図に示すように、駆動レバー106に固定された軸1
04は、フイルム送り部材100の軸孔105に嵌合している。
このフイルム送り部材100は、前記実施例と同じ構造を
しているので、符号のみを付してその説明を省略する。
駆動レバー106の中央部は、軸108により軸支され、二点
鎖線に示すカメラ側に固定された止め具109との間にス
プリング110が架け渡され、駆動レバー106を反時計方向
に付勢している。また、軸108はカメラ側の部材111の穴
112の軸方向に進退自在に遊嵌されており、スプリング1
10によって駆動レバー106が巻取りスプール11側に付勢
されている。駆動レバー106の先端には、フック106aが
形成された円弧状の突起部106bが設けられている。ま
た、駆動レバー106の下部の裏面には、巻取りスプール1
1に巻きつけられたフイルム先端部9bの側縁9cで押圧さ
れるテーパ部106cが形成されている。

次に、第11図（Ａ）〜（Ｄ）を参照して上記実施例の
作用について説明する。フイルム送り部材100の送り爪1
01aは、第11図（Ａ）に示す初期位置では、フイルム先
端部9bに接触しないように、カメラボディ２のテーパ部
103の下に入り込んでいる。フイルム装填後に、モータ1
3によって巻取りスプール11がスプールカム116とともに
時計方向に回転されると、このスプールカム116に、ク
ラッチカム115のクラッチレバー115bが係合するため、
クラッチカム115がスプールカム116と一緒に時計方向に
回転する。ここで、スプリング110によって、駆動レバ
ー106は反時計方向に付勢されており、突起部106bは常
にクラッチカム115の外周部に当接しているので、クラ
ッチカム115が回転するに従って、駆動レバー106は軸10
8を中心に時計方向に回転される。

この駆動レバー106の回転に連動して、フイルム送り
部材100が巻取りスプール11に向かって移動する。第11
図（Ｂ）に示すように、フイルム送り部材100の移動の
初期に送り爪101aがフイルム通路19内に突出し、パーフ
ォレーション9aに係合する。クラッチカム115の回転が
進むと、第11図（Ｃ）に示すように、その半径が最も大
きい部分が突起部106bに当接し、このときにフイルム送
り部材100が最も巻取りスプール11寄りに移動される。
さらにクラッチカム115が回転すると、クラッチカム115
の最も半径が小さい部分に落ち込むので、駆動レバー10
6がスプリング110の蓄勢力によって、反時計方向に急速
に回転して、第11図（Ａ）に示す初期位置に戻る。この
ような動作が繰り返され、フイルム先端部9bがフイルム
巻取り室８側へ間欠的に送られて巻取りスプール11の外
周に巻き付く。

フイルム先端部9bが巻取りスプール11の外周に巻き付
くと、その側縁9cがテーパ部106cを押す。第10図に示す
ように、駆動レバー106はスプリング110の付勢に抗して
二点鎖線で示す位置から実線で示す位置に移動され、駆
動レバー106がクラッチカム115の回転域から離れる。フ
イルム初期送りが終了すると、引き続いて巻取りスプー
ル11によるフイルム巻上げが行われ、このフイルム巻上
げでは、スプールカム104とクラッチカム115とが一緒に
回転するが、駆動レバー106は、クラッチカム115と係合
しないから、第11図（Ａ）に示す位置に停止したままと
なる。

フイルム巻戻しでは、パトローネ10のスプール12bと
巻取りスプール11とがモータ13で回転される。スプール
カム116の爪の背中が、カム115のクラッチレバー115bに
接触するから、スプールカム116とクラッチカム115とが
一緒に反時計方向に回転する。しかし、駆動レバー106
は、クラッチカム115の回転域から退避しているため、
駆動レバー106は停止したままである。そして、フイル
ム巻戻しの終わり近くで、フイルム先端部9bが巻取りス
プール11から離れると、駆動レバー106はスプリング110
の蓄勢力により、巻取りスプール11側へ戻される。この
駆動レバー106は、第11図（Ｄ）に示すように、そのフ
ック106aがクラッチカム115の係止爪115cに係合する。
この結果、クラッチカム115の回転が停止するが、スプ
ールカム116のクラッチカム115は一方向クラッチ機構を
構成しているため、スプールカム116は巻取りスプール1
1とともにそのまま回転する。そして、フイルム先端部9
bがパトローネ12a内に完全に巻き込まれたとき、あるい
はフイルム先端部9bの一部が所定の長さだけパトローネ
本体12aから出ている状態となったときに、モータ13が
停止してフイルム巻戻しが終了する。

第12図及び第13図は、フックレバーが巻取りスプール
から外れた場合に、駆動レバーが直ぐに復帰しないよう
にした実施例を示すものである。駆動レバー120の一端
は、ピン121を介してフイルム巻取り室８の下端面に回
転自在に取り付けられ、また他端は板バネ123を介して
フックレバー124と連結されている。トグルバネ122は、
その一端122aが駆動レバー120の一部に掛けられ、他端1
22bがフイルム巻取り室８の下端面に固定されている。
このトグルバネ122は、第13図（Ａ）〜（Ｃ）に示す間
に死点があるため、第13図（Ａ）に示す位置では駆動レ
バー120が反時計方向に付勢され、第13図（Ｃ）に示す
位置では駆動レバー120が時計方向に付勢される。

前記フックレバー124にはフック125が形成され、この
フック125は巻取りスプール11に設けたスプールカム126
の突起126aと係合可能となっている。したがって、フイ
ルム初期送り時に巻取りスプール11が時計方向に回転す
ると、フックレバー124はスプールカム126によって移動
するとともに、駆動レバー120がピン121を中心にして時
計方向に回転する。このフックレバー124とスプールカ
ム126との係合は、第13図（Ｃ）に示す位置で自然に解
除される。フックレバー124の移動の案内するために、
突起127がフイルム巻取り室８の内壁8aに当接してい
る。

前記駆動レバー120には、スプールカム126の突起126a
に当接するようにカム面130が設けられており、スプー
ルカム126でカム面130が押されたときに、駆動レバー12
0はトグルバネ122に抗して反時計方向に回転して第13図
（Ｃ）に示す位置に戻る。駆動レバー120の端部には、
ピン131を介してフイルム送り部材132の一端が連結され
ている。このフイルム送り部材132は、フイルム初期送
りが終了すると、フイルム側縁によって第13図（Ａ）に
おいて紙面と垂直な方向に押され、板バネ123を湾曲さ
せながら、フック125をスプールカム126の回転域か退避
させる。また、フイルム送り部材132の他端にはピン132
bが設けられており、このピン132bがほぼＶ字形をした
ガイド溝133に嵌合している。なお、符号132aは、パー
フォレーション9aに係合する送り爪である。

次に、上記実施例の作用について説明する。フイルム
装填直後では、第13図（Ａ）に示すように、フイルム送
り部材132の送り爪132aは、フイルム通路19から退避し
ている。巻取りスプール11が時計方向に回転すると、ス
プールカム126の突起126aがフックレバー124のフック12
5に係合するため、このフックレバー124が内壁8aに沿っ
て移動する。このフックレバー124に連動して、駆動レ
バー120が時計方向に回転し、またフイルム送り部材132
がフイルム巻取り室８に向かって移動する。このフイル
ム送り部材132の移動の初期には、ピン132bがガイド溝1
33の部分133aに沿って移動して第13図（Ｂ）に示す位置
に達する。この示す位置では、フイルム送り部材132の
送り爪132aがフイルム通路19内に突出して、パーフォレ
ーション9aに係合可能となる。次に、フイルム送り部材
132は、そのピン132bがガイド溝133の部分133bに案内さ
れて、第13図（Ｃ）に示す位置に移動する。この移動時
にフイルム送り部材132の送り爪132aはフイルム先端部9
bを引っ掛けてフイルム巻取り室８側へ送る。

巻取りスプール11が第13図（Ｃ）に示す位置まで回転
すると、フックレバー124がスプールカム126から自然に
外れる。この第13C図に示す状態では、トグルバネ122が
駆動レバー120を時計方向に付勢しているため、駆動レ
バー120,フックレバー124,フイルム送り部材132は、図
示の位置に保たれる。巻取りスプール11が更に時計方向
に回転すると、スプールカム126の突起126aが駆動レバ
ー120のカム面130を押すため、駆動レバー120が第13図
（Ｂ）に示す位置を経て第13図（Ａ）に示す位置へ戻さ
れる。この第13図（Ａ）では、駆動レバー120がトグル
バネ122によって反時計方向に付勢にされているため、
フイルム送り部材124はフイルム通路19から退避した状
態に保たれる。以下同様に、巻取りスプール11が１回転
する毎に、フイルム送り部材132が第13図（Ａ）と第13
図（Ｃ）に示す２つの位置の間で往復動し、それよりフ
イルム先端部9bを巻取りスプール11に向けて間欠送りす
る。

フイルム先端部9bが巻取りスプール11に巻き付くと、
フイルム側縁9cによってフックレバー124が押されるた
め、板バネ123が変形する。これにより、フックレバー1
24がスプールカム126の回転域から退避する。他方、駆
動レバー120はスプールカム126の回転域に位置している
から、このスプールカム126によって押されると、フッ
クレバー124,フイルム送り部材132とともに、第13図
（Ａ）に示す位置に戻される。

フイルム初期送りが終了した後には、巻取りスプール
11の回転によって、フイルム９がその外周に巻き取られ
る。このフイルム巻取りでは、フイルム初期送り装置は
第13図（Ａ）に示す位置に停止している。フイルム巻戻
しでは、巻取りスプール11がフイルム９に引っ張られて
反時計方向に回転するが、フイル初期送り装置は停止し
たままである。フイルム巻戻しの終わり付近でフイルム
先端部9bが巻取りスプール11から離れると、巻取りスプ
ール11の回転が停止し、これとともにフックレバー124
が板バネ123によってスプールカム126の回転域に入り込
んで、次のフイルム初期送りの準備をする。

この実施例では、フックレバー124が板バネ123を介し
てフイルム送り部材132に連結されているため、フック
レバー124がフイルム側縁で押されたときに無理なく変
位することができる。更に、フックレバーの変位がフイ
ルム送り部材132に伝達されないから、フイルム送り部
材132が初期位置へ戻る際にガイド溝133の壁に擦られる
ことはなく、その動作がスムーズになる、また、トグル
バネ122を用いているから、フックレバー124とスプール
カム126との係合が解除されても、フックレバー124は直
ぐに復帰せずに、巻取りスプール11がほぼ半周するまで
はその位置に停止しているため、巻取りスプール11はフ
イルム先端部9aを確実に引っ掛けることができる。すな
わち、フックレバー124がフイルム送り部材132ととも
に、直ぐに戻る場合には、フイルム送り部材132がフイ
ルム先端部9bを多少持ち上げるため、巻取りスプール11
の爪11aとパーフォレーション9aとの係合が不確実とな
るが、この実施例では巻取りスプール11ほぼ半周してか
ら、フイルム送り部材132の戻りが開始されるから、フ
イルム先端部9bの引っ掛けが動作が安定する。

上記実施例は、ドロップインローディングタイプのコ
ンパクトカメラであるが、本発明は裏蓋を完全に開いて
フイルムを装填する在来のコンパクトカメラや、未露光
フイルムを巻取りスプールにいったん巻き取り、撮影毎
に露光済みフイルムをパトローネ内に巻き込んでゆくプ
レワインド式のコンパクトカメラに対しても利用するこ
とができるものである。

〔発明の効果〕

以上詳細に説明したように、本発明は、巻取りスプー
ルの回転に応じて、フイルム送り部材をフイルム通路に
沿って往復動させるようにしたから、光軸方向において
コンパクト化及び省スペース化を図ることができる。ま
た、フイルム送り部材を間欠的に往復動させるようにし
たから、フイルム先端部を巻取りスプールに確実に巻き
付けることができる。更に、本発明は、巻取りスプール
に連動して、フイルム送り部材を往復動させるようにし
たから、従来のように、駆動源とフイルム送り部材とを
連結するためのギヤトレインや一方向クラッチが不要と
なり、構造の簡素化とローコスト化を図ることができ
る。更にまた、巻取りスプールに巻き付いたフイルムの
側縁によって、巻取りスプールとフイルム送り部材との
連動を解除するから、簡単な構成でフイルム初期送りを
確実に停止させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明のフイルム初期送り装置を備えたドロ
ップインローディング式のコンパクトカメラを示す斜視
図である。 第２図は、本発明のフイルム初期送り装置の一実施例を
示す分解斜視図である。 第３図（Ａ），（Ｂ）は、第２図の実施例の作用をそれ
ぞれ示す断面図である。 第４図は、駆動レバーとフックレバーとを別体にした実
施例を示す分解斜視図である。 第５図（Ａ），（Ｂ）は、第４図の実施例の作用をそれ
ぞれ示す断面図である。 第６図は、カム機構を用いた実施例を示す分解斜視図で
ある。 第７図（Ａ）〜（Ｃ）は、第６図の実施例の作用をそれ
ぞれ示す断面図である。 第８図は、一方向クラッチ機構を用いた実施例の一部を
示す斜視図である。 第９図は、第８図に示すクラッチカムの断面図である。 第10図は、第８図に示す実施例の要部を裏蓋側から見た
断面図である。 第11図（Ａ）〜（Ｄ）は、第８図に示す実施例の作用を
それぞれ示す断面図である。 第12図は、駆動レバーをカム機構と係合機構とによって
揺動させる実施例を示す断面図である。 第13A図ないし第13C図は、第12図に示す実施例の作用を
それぞれ示す断面図である。 10……パトローネ 11……巻取りスプール 18……フイルム送り部材 18a……送り爪 20……駆動レバー 22……スプールカム 22a……係合部 41……フック 50……駆動レバー 52……スプールカム 52a……係合部 54……フックレバー 56……ガイド板 68……フイルム側縁検知部材 70……フイルム送り部材 71a……送り爪 73……駆動レバー 74……ガイド板 95……フイルム側縁検知部材 106……駆動レバー 115……クラッチカム 116……スプールカム 120……駆動レバー 122……トグルバネ 123……板バネ 124……フックレバー 126……スプールカム 132……フイルム送り部材 133……ガイド溝。

Claims (8)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】パトローネの装填後に、フイルム先端部が
   巻取りスプールに巻き付くまで、フイルムを巻取りスプ
   ールに向けて送り出すフイルム初期送り装置において、 フイルム先端部のパーフォレーションに係合する送り爪
   を備えたフイルム送り部材と、巻取りスプールの端面の
   中心から外れた位置に形成された係合部と、巻取りスプ
   ールの回転とともに、前記係合部に係合してフイルム送
   り部材をフイルム送り方向に往復動させるための駆動レ
   バーと、送り爪が巻取りスプールに向かって移動する際
   に、送り爪がフイルム通路から退避した初期状態からフ
   イルム通路に突出した状態へ変位させ、そしてこの状態
   で前記フイルム通路に沿って移動させるための案内手段
   とからなり、フイルム先端部が巻取りスプールの外周に
   巻き付いた後は、前記駆動レバーがフイルムの側縁によ
   って押圧されて係合部の回転域から退避されることによ
   りフイルム初期送りが終了されることを特徴とするフイ
   ルム初期送り装置。
2. 【請求項２】前記駆動レバーは、フイルム送り部材を間
   欠的に往復動させることを特徴とする請求項（１）に記
   載のフイルム初期送り装置。
3. 【請求項３】前記駆動レバーは、巻取りスプールの１回
   転のうち所定の範囲内において前記係合部に係合して、
   フイルム送り部材を巻取りスプールに最も近接した位置
   へ移動させるためのフックと、このフックと係合部との
   係合が解除された後に、フイルム送り部材を巻取りスプ
   ールから最も離れた初期位置に戻すバネ部材とを備えて
   いることを特徴とする請求項（１）に記載のフイルム初
   期送り装置。
4. 【請求項４】パトローネの装填後に、フイルム先端部が
   巻取りスプールに巻き付くまで、フイルムを巻取りスプ
   ールに向けて送り出すフイルム初期送り装置において、 フイルム先端部のパーフォレーションに係合する送り爪
   を備えたフイルム送り部材と、このフイルム送り部材に
   連結されており、フイルム送り部材が巻取りスプールか
   ら最も離れた状態となる第１の位置と、フイルム送り部
   材が巻取りスプールに最も近づいた状態となる第２の位
   置とを往復動する駆動レバーと、この駆動レバーを第１
   の位置から第２の位置へ移動させるために、巻取りスプ
   ールの端面に設けられた係合部が所定角度移動する間
   中、この係合部に係合するフックレバーと、このフック
   レバーが係合部から外れたときに、駆動レバーを第１の
   位置へ復帰させるための付勢手段と、フックレバーと一
   体的に設けられ、フイルム先端部が巻取りスプールの外
   周に巻き付いた後は、フイルムの側縁によって押圧さ
   れ、フックレバーを係合部の回転域から退避させてフイ
   ルム初期送りを終了させるフイルム側縁検知部材とから
   なることを特徴とするフイルム初期送り装置。
5. 【請求項５】前記駆動レバーとフックレバーは、円弧状
   をした１個のレバーとして一体に形成されていることを
   特徴とする請求項（４）に記載のフイルム初期送り装
   置。
6. 【請求項６】パトローネの装填後に、フイルム先端部が
   巻取りスプールに巻き付くまで、フイルムを巻取りスプ
   ールに向けて送り出すフイルム初期送り装置において、 フイルム先端部のパーフォレーションに係合する係合部
   を備えたフイルム送り部材と、巻取りスプールの端面の
   中心から外れた位置に形成された突起と、この突起に当
   接してフイルム送り部材をフイルム送り方向に間欠的に
   往復動させるための駆動レバーと、この駆動レバーと巻
   取りスプールとの間に設けられ、フイルム先端部が巻取
   りスプールの外周に巻き付いた後は、フイルムの側縁に
   よって押圧されることにより駆動レバーを変位させて突
   起の回転域から退避させるフイルム側縁検知部材とから
   なることを特徴とするフイルム初期送り装置。
7. 【請求項７】パトローネの装填後に、フイルム先端部が
   巻取りスプールに巻き付くまで、フイルムを巻取りスプ
   ールに向けて送り出すフイルム初期送り装置において、 巻取りスプールの端部に回転可能に配置したカム部材
   と、巻取りスプールがフイルム巻取り方向に回転すると
   きには、カム部材を巻取りスプールに連動させ、そして
   フイルム巻戻し方向に回転するときにはカム部材を巻取
   りスプールから切り離すための一方向クラッチと、カム
   部材が巻取りスプールと一緒に回転するときに、このカ
   ム部材によって間欠的に揺動される駆動レバーと、フイ
   ルム先端部のパーフォレーションに係合する送り爪を備
   え、駆動レバーによってフイルム通路上を間欠的に往復
   動し、フイルム先端部を巻取りスプールに向けて給送す
   るためのフイルム送り部材とからなり、フイルム先端部
   が巻取りスプールの外周に巻き付いた後は、前記駆動レ
   バーがフイルムの側縁によって押圧されてカム部材の回
   転域から退避されることによりフイルム初期送りが終了
   されることを特徴とするフイルム初期送り装置。
8. 【請求項８】パトローネの装填後に、フイルム先端部が
   巻取りスプールに巻き付くまで、フイルムを巻取りスプ
   ールに向けて送り出すフイルム初期送り装置において、 フイルム先端部のパーフォレーションに係合して、フイ
   ルム先端部を巻取りスプールに向けて間欠移送するため
   のフイルム送り部材と、板バネを介してフイルム送り部
   材に連結され、フイルム送り部材が巻取りスプールから
   最も離れた状態となる第１の位置と、フイルム送り部材
   が巻取りスプールに最も近づいた状態となる第２の位置
   との間を揺動する駆動レバーと、駆動レバーを第１の位
   置と第２の位置にそれぞれ保持するためのトグルバネ
   と、巻取りスプールの端面に設けられており、駆動レバ
   ーが第２の位置にあるときに、その一部に当接して駆動
   レバーを第１の位置に復帰させるための突起と、駆動レ
   バーが第１の位置にあるときに突起に係合し、そして駆
   動レバーが第２の位置へ移動したときに突起から外れる
   ようにされたフックレバーとからなり、フイルム先端部
   が巻取りスプールの外周に巻き付いた後に、フイルムの
   側縁によってフックレバーが押圧され、板バネが湾曲し
   てフックレバーが突起の回転域から退避することにより
   フイルム初期送りが終了されることを特徴とするフイル
   ム初期送り装置。