JPH0648500Y2 - カメラのフイルム初期送り機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、フイルム簡易装填型のカメラに関し、特にフ
イルムリーダ部を巻取りスプール方向へ送るカメラのフ
イルム初期送り機構の改良に関するものである。

〔従来の技術〕

35ミリフイルムを用いるカメラの多くにはフイルムオー
トローデイング装置が設けられている。実開昭61−6153
2号公報に記載されたオートローデイング装置によれ
ば、パトローネをカメラに装填して裏蓋を閉めると、露
光枠の近傍に設けた初期送り用の一歯爪スプロケットが
回転し、パトローネから予め引き出されているフイルム
リーダー部を巻取りスプールまで送り込むようになって
おり、その後は巻取りスプールに設けた爪がフイルムリ
ーダー部のパーフォレーションを捕捉して巻取り軸の駆
動によってフイルムの給送が行われるようになる。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで、近年コンパクトカメラは自動化が進むととも
に、二焦点レンズ，ズームレンズ搭載の高機能を付加し
たコンパクトカメラが主流になりつつある。この種カメ
ラでは、撮影レンズの構成枚数が多く大型化する傾向に
ある。一方、カメラを使用しない場合には小型化する為
に、この撮影レンズを露光枠空間を利用して繰込み可能
とすることが考えられるが、この空間部分にはフイルム
給送用スプロケット，フイルム計尺用スプロケットを配
置するスペースが必要であり、これらの干渉を解決しな
ければ充分な小型化が達成できないという問題点があっ
た。

従って、小型化を図る上での改良点の一つとしては、フ
イルムの初期送り装置が配設されている露光枠周辺の省
スペース化がレンズ鏡筒設計上必須となってきている。

また、従来のフイルム初期送り機構においては、フイル
ム巻き戻し時にスプロケットが障害にならないように、
巻き戻し時に一歯爪スプロケットを空転させるワンウェ
イクラッチ等の機構を設けているため、部品点数が多く
構造が非常に複雑であった。

〔考案の目的〕

本考案はかかる点に鑑みて成されたものであり、コンパ
クト且つ簡素な構成のカメラの初期送り機構を提供する
ことを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は上記目的を達成するために、フイルムリーダ部
のパーフォレーションに係合する係合爪を有する送り部
材と、この送り部材がフイルム案内面と平行にフイルム
巻取り軸に向かう往動路とフイルム巻取り軸から離れる
復動路とを循環して移動するように案内し、往動路では
係合爪がフイルム案内面から突出し、復動路ではフイル
ム案内面から引っ込むように規制するガイド手段と、送
り部材に一端が連結され他端が巻取り軸の端面に輪状に
形成された一方向性の溝部に係合し、巻取り軸のフイル
ム巻取り方向への回転時には巻取り軸の回転に連動して
送り部材を往動路および復動路に沿って循環移動させ、
巻取り軸のフイルム巻取り方向への回転時には巻取り軸
と送り部材との連動を断つ連結手段とを備えている。

〔作用〕

本考案は以上のように構成しているため、巻取り軸を回
転をさせると、連結手段を介して送り部材がガイド手段
にガイドされつつ直線的に移動し、送り部材に設けられ
た係合部によってフイルムが一定サイクルで間欠的に給
送されることになる。従って、従来のように大きなスペ
ースを要する歯車列等を設ける必要がない。

また、ガイド手段の構造によって係合部をフイルムのパ
ーフォレーションから離脱させることができ、従来のよ
うなワンウェイクラッチ等の複雑な装置を用いることな
く、係合部がフイルム巻き戻し時の障害になることを容
易に回避できる。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を添付図面を参照しつつ詳細に
説明する。

第２図には、本実施例に係るカメラ１の裏蓋を開けた状
態が示されている。カメラ本体２に対し裏蓋３が蝶番４
を介して開閉自在に設けられている。カメラ本体２の内
側中央部にはフイルム１コマ分の露光域を画定する露光
枠５が形成されており、その左右にはパトローネ収納室
７とフイルム巻取り室８が各々設けられている。

前記パトローネ収納室７には、35mmフイルム９を収納し
たパトローネ10が装填される。このパトローネ収納室７
には、パトローネ10のスプール12を回転させるフイルム
巻き戻し軸15が設けられている。底側にはパトローネ10
の挿入口7aが形成されている。また、パトローネ収納室
７の背後には、パトローネ10の位置を規制するプレート
16が設けられている。

フイルム巻取り室８には、フイルム９を巻き取る巻取り
軸11が回動自在に設けられている。

前記露光枠５の上方には、フイルム９のパーフォレーシ
ョン9aに係合し、フイルム９の移送に伴って回転し、フ
イルム９の送り量を検出するための従動スプロケット17
が設けられている。

前記露光枠５の下方には、パトローネ10を装填した時
に、フイルムリーダー部と係合するような位置に係合爪
18aが設けられている。

第１図には、このような初期送りを行う機構の構成が示
されている。初期送り機構は、前記係合爪18aを備えた
送り部材18と、この送り部材18をガイドするガイド溝20
と、一端が巻取り軸11に接続され他端が前記送り部材18
に接続されたロッド22と、このロッド22を巻取り軸11方
向に付勢する圧板23と、この圧板23を付勢するバネ24と
から構成されている。

送り部材18は、ピン18bによってロッド22と回転自在に
接続され、ピン18bがガイド溝20内を摺動するようにな
っている。

ガイド溝20は、フイルム９の移送方向に平行な２辺を含
む形状に形成されており、ガイド溝20の両折り返し点20
a,20bには送り部材18のピン18bが通過後は元の方向に戻
らないようにピン18bの径より僅かに狭くしてあり且つ
フレキシブルになっている。そして、上辺を送り部材18
が移動する時に係合爪18aがフイルム案内面25から突出
してフイルムパーフォレーション9aに係合し、それ以外
の時は係合爪18aがフイルム案内面25から突出せずフイ
ルム９のパーフォレーション9aから離脱するようになっ
ている。これによって、フイルム９が巻取り軸11側に一
定サイクルで間欠的に給送される。

ロッド22は巻取り軸11の回転運動を送り部材18に伝える
ものであり、一端は上述したように送り部材18のピン18
bに回転自在に接続され、他端のピン27は巻取り軸11の
底面の一部に設けられたドーナツ状の溝26に付勢部材23
によって当接している。前記巻取り軸11に設けられてい
るドーナツ状の溝26には、巻取り軸11が時計方向に回転
したとき、回転運動をロッド22に伝えるように溝の深さ
方向にトラップ段溝26aが設けてある。

前記巻取り軸11の内部には、巻取り軸11を回転駆動する
モータ（図示せず）が収納されている。また、巻取り軸
11の外周の一端部には、フイルム９のパーフォレーショ
ン9aと係合する。

前記裏蓋３の内側中央には圧板30と、フイルム９を巻取
り軸11に押圧するフイルム押さえ板32が取り付けられて
いる。

次に、以上のように構成された実施例の作用について説
明する。

上記カメラ１を使用するに際し、裏蓋３を開いて未露光
のフイルム９が収納されたパトローネ10をドロップイン
式に挿入口7aから落とし込む。そして、パトローネ10を
最後まで押し込むと、スプール12がフイルム巻き戻し軸
15に係合する。

次に、裏蓋３を閉じると図示しないフイルム給送スイッ
チが押圧され、巻取り軸11に収納されたモータが駆動す
る。

モータにより巻取り軸11が時計方向に回転すると、巻取
り軸11に設けてあるドーナツ状の溝26のトラップ段溝26
aにピン27の回転によりロッド22を介して送り部材18が
ガイド溝20に沿って移動する。そして、送り部材18が上
辺を移動する時に係合爪18aがフイルム案内面25より突
出してフイルム９のパーフォレーション9aに係合し、ガ
イド上辺の長さ分フイルム９を巻取り軸11側に給送す
る。

送り部材18がガイド溝26の折り返し点20aにきた時ピン1
8bは20aの狭い箇所を通り抜け、元に戻ることなく矢印
方向に導かれる。一方、20bの部分で上方に指向し、再
び上記の移動を繰り返す。

このような動作によってフイルム９のリーダー部が間欠
的に移送され、巻取り軸11に達すると、フイルム９のパ
ーフォレーション9aが爪11aと係合し、フイルム９は巻
取り軸11に巻き付けられる。以後は巻取り軸11の駆動に
よりフイルム給送が行われ、１コマ目が露光枠５にセッ
トされて撮影準備が完了する。

全コマ撮影された後、パトローネ10からフイルム９が引
き出せなくなると、図示しない周知のトルク検知機構に
より負荷の増大が検知され、フイルム巻戻しが開始され
る。

フイルム巻戻しは、フイルム巻戻し軸15の駆動によって
行われ、巻取り軸11はフイルム９に従動して逆転され
る。この際、ロッド22のピン27は巻取り軸11のトラップ
溝26aからフリーとなり、送り部材18は巻取り軸11が逆
回転している間、従動しないで停止している。

なお、上記実施例においては、ロッド22の一端27を巻取
りスプールの周面に付勢手段により圧接させたが、ロッ
ド22と溝26が外れないようになっていれば、付勢手段は
必ずしも必要ではない。

また、上記実施例においては所謂「順巻き方式」のカメ
ラについて説明したが、フイルム装填後、一旦全てのフ
イルムを巻取り軸に巻き取っておき、撮影毎にフイルム
をパトローネに巻き込んでゆくようにした所謂「予備巻
き方式」のカメラにも適用することができる。

また、上述したフイルム９と同様なリーダ部を有するフ
イルムを収納したものであれば、35mmフイルムを収納し
たパトローネ以外のカートリッジを使用するカメラに適
用することができる。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案に係るフイルム初期送り機構
は、ガイド手段にガイドされつつ移動する送り部材にフ
イルムのパーフォレーションと係合する係合爪を設け
て、フイルムを間欠的に給送する構成であるため、従来
の歯車列やワンウェイクラッチ等を利用した機構に比
べ、コンパクト化及び構成の簡素化が図れるという効果
がある。

【図面の簡単な説明】

第１図（Ａ）は、本考案の一実施例に係るフイルム初期
送り機構の構成を示す正面図である。 第１図（Ｂ）は、実施例に係るフイルム初期送り機構の
構成を示す平面図である。 第２図は、実施例に係るフイルム初期送り機構を採用し
たカメラの構成を示す斜視図である。 １……カメラ ７……パトローネ収納室 ８……フイルム巻取り室 ９……フイルム 9a……パーフォレーション 10……パトローネ 11……巻取り軸 18……送り部材 18a……係合爪 18b……ピン 20……ガイド溝 22……ロッド 25……フイルム案内面 27……ピン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】カートリッジから引き出されているフイル
   ムのリーダ部を巻取り軸方向へ給送するカメラのフイル
   ム初期送り機構において、 前記フイルムリーダ部のパーフォレーションに係合する
   係合爪を有する送り部材と、 この送り部材がフイルム案内面と平行にフイルム巻取り
   軸に向かう往動路とフイルム巻取り軸から離れる復動路
   とを循環して移動するように案内し、往動路では前記係
   合爪がフイルム案内面から突出し、復動路ではフイルム
   案内面から引っ込むように規制するガイド手段と、 前記送り部材に一端が連結され他端が巻取り軸の端面に
   輪状に形成された一方向性の溝部に係合し、巻取り軸の
   フイルム巻取り方向への回転時には巻取り軸の回転に連
   動して前記送り部材を前記往動路および復動路に沿って
   循環移動させ、巻取り軸のフイルム巻戻し方向への回転
   時には巻取り軸と送り部材との連動を断つ連結手段とを
   備えたことを特徴とするカメラのフイルム初期送り機
   構。