JP2640932B2 - Tan−866、その製造法および微生物 - Google Patents

Tan−866、その製造法および微生物

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は細菌感染症の治療剤として有用な新規物質TA
N−866A,B,CまたはDあるいはそれらの鉄遊離体および
それらの製造法ならびにTAN−866A,B,CおよびDのうち
少くとも1種を生産する能力を有する微生物に関する。
従来の技術 後述するTAN−866A,B,CおよびDの物理化学的性状に
最も類似する化合物としてサクシニマイシン[Succinim
ycin−ジャーナル・オブ・アンティビオティクス(Jour
nal of Antibiotics),第16巻,67頁(1963年)]が挙
げられる。
発明が解決しようとする問題点 細菌によって惹起される疾病は抗生物質投与による治
療法の発達によってかなり克服されている。しかし、従
来の抗生物質を長期あるいは大量に投与することによる
起因菌の変化(菌交代減少)および耐性菌の出現(耐性
化現象)などによる疾患の増大、あるいは免疫力低下に
起因する日和見菌感染の増加などは現在の感染症治療医
学分野で大きな問題となっている。この問題を克服する
ために、当分野では、常に新規骨格を有し、新しい生物
活性を示す物質、あるいはそれらを合成するための中間
原料が求められている。
問題点を解決するための手段 本発明者らは、新規な物質の探索を目的として多数の
微生物を土壌より分離し、その産生する物質を分離探索
したところ、ある種の微生物が新規な物質を産生するこ
と、該微生物がシュードモナス属に属する菌種であるこ
と、該微生物を適宜の培地に培養することによって主と
してグラム陰性菌に対して抗菌力を示す物質を培地中に
蓄積しうることなどを知り、これらの物質を単離し、そ
の物理化学的および生物学的緒性質から、当該物質が新
規な物質であることを確め、これらをTAN−866A,B,Cお
よびDとそれぞれ称することにした。
本発明者らは、これらの知見に基づいてさらに研究を
重ねた結果、本発明を完成した。
すなわち本発明は、 (1) 一般式(I) [式中、R1は水素または水酸基を、R2,R3およびR4は水
素またはメチル基を示す。ただし、(1)R1が水素であ
る時は、R2,R3およびR4は水素であるか、またはR2,R3
よびR4のうち2つは水素であり残り1つはメチルであ
り、(2)R1が水酸基である時は、R2,R3およびR4は水
素である。]で表される化合物またはその鉄遊離体、 (2) シュードモナス属に属し、化合物(I)のうち
少くとも1種を生産する能力を有する微生物を培地に培
養し、培養物中に該化合物を生成蓄積せしめ、これを採
取し、必要に応じて鉄遊離反応に付すことを特徴とする
化合物(I)の製造法、 および (3) 化合物(I)のうち少くとも1種を生産する能
力を有するシュードモナス・フルオレッセンスに関す
る。
なお、本明細書においてはペプチドTAN−866A,B,Cお
よびDは次の化合物を意味するものとする。
TAN−866A:一般式(I)においてR1,R2,R3およびR4がす
べて水素である。
TAN−866B:一般式(I)においてR1は水酸基、R2,R3
よびR4はすべて水素である。
TAN−866C:一般式(I)においてR1は水素であり、R2,R
3およびR4のうち2つが水素であり、残り1つはメチル
でかつ後述するHPLCのRtが5.8分である。
TAN−866D:一般式(I)においてR1は水素であり、R2,R
3およびR4のうち2つが水素であり、残り1つはメチル
でかつ後述するHPLCのRtが6.2分である。
本願ではペプチドTAN−866A,B,CおよびDを単に「TAN
−866A,B,CおよびD」、それらの鉄遊離ペプチドを「鉄
遊離体」、とそれぞれ称し、また、TAN−866A,B,Cおよ
びDを総称して「TAN−866」と称することもある。
本発明で使用されるTAN−866生産菌としては、シュー
ドモナス(Pseudomons)属に属し、TAN−866を産生する
能力を有するものであれば如何なる微生物でもよい。そ
の例としては、たとえばシュードモナス・フルオレッセ
ンス(Pseudomons fluorescens)があげられる。その
具体例としては、本発明者らが香川県善通寺市の土壌よ
り採取したシュードモナス・フルオレッセンスYK−310
株(以下、「YK−310株」と略称することもある。)が
あげられる。
YK−310株の菌学的性状は下記のとおりである。
(a)形態 肉汁寒天斜面上で24℃,5日間培養後の観察では、細胞
は直径0.6〜1.2μm、長さ0.8〜2.1μmの桿状であり、
極毛の鞭毛を有し、運動性を有する。胞子を形成せず、
またグラム染色は陰性である。
(b)各種培地上での成育状態 24℃で培養し、1ないし14日間にわたって観察した。
肉汁寒天平板培養:コロニーは無色、不透明、円形、
表面は頭状、周縁は波状である。拡散性色素は生成しな
い。
肉汁寒天斜面培養:良好な光沢のある拡布状の成育を
示し、不透明、無色を呈する。
肉汁液体培養:混濁状に成育し、弱い菌膜を形成す
る。沈澱は生じない。
肉汁ゼラチン穿刺培養:主として上部で生育し、液化
する。
リトマス・ミルク:リトマスの還元能は認められな
い。ペプトン化活性は認められるが凝固は認められな
い。
(c)生理的性質 硝酸塩の還元:− 脱窒反応:− MR(メチルレッド)テスト:− VP(フォーゲス・プロスカウエル)テスト:− インドールの生成:− 硫化水素の生成(TSI寒天および酢酸鉛紙):− デンプンの加水分解:− クエン酸の利用(コーゼル,クリステンセンおよびシ
モンズの各培地):+ 無機窒素源の利用 i)硝酸カリウム:+ ii)硫酸アンモニウム:+ 色素の生成(キングA,Bおよびマンニット酵母エキス
寒天の各培地):キングB培地で黄緑色の拡散性色素の
生成が認められる。キングAおよびマンニット酵母エキ
ス寒天培地では、拡散性色素の生成は認められない。
ウレアーゼ:+ オキシダーゼ:+ カタラーゼ:+ 成育の範囲 i)pH:pH4.7〜10.0で成育するが、最適pHは7.2〜8.4。
培地:グルコース0.1%,イーストエキストラクト0.01
%,硫酸アンモニウム0.1%,食塩0.1%,硫酸マグネシ
ウム(7水塩)0.05%,リン酸バッファー0.1%M(別
滅菌)。
ii)温度:10〜34℃で成育するが最適温度は10〜30℃。
培地:肉汁液体培地。
酸素に対する態度:好気的 O−F(オキシダテイブーファーメンタテイブ)テス
ト[ヒュー・レイフソン(Hugh・Leifson)法]:酸化
型 糖からの酸,ガスの生成および糖の利用性: DNAのG+C(グアニン−シトシン)含量:65.9%±1.
0%(Tm法) 多糖の分解能: カルボキシメチルセルロース:− コロイダルキチン:− アルギン酸ナトリウム:− トウィーン(Tween)80の分解:+ 以上の菌学的性状を有するYK−310株を、バージーズ
・マニュアル・オブ・デターミネイテイブ・バクテリオ
ロジー(Bergey′s Manual of Determinative Bacterio
logy)第8版およびインターナショナル・ジャーナル・
オブ・システマテイック・バクテリオロジー(Internat
ional Journal of Systematic Bacteriology)第30巻22
5〜420頁(1980年)、同第32巻146〜149頁(1982年)に
記載の種と照合すると、グラム陰性桿菌で、鞭毛による
運動性を示し、好気性で、カララーゼ陽性、オキシダー
ゼ陽性であり、DNAのG+C含量あ65.9±1.1モル%であ
ることから、シュードモナス(Pseudomons)属に属する
と考えられた。
上記バージーズ・マニュアル・オブ・デターミネイテ
イブ・バクテリオロジーによれば、シュードモナス属
は、栄養要求性,ポリ・ベータ・ヒドロキシブチレート
の菌体内蓄積、DL−アルギニンの利用性および40℃にお
ける成育からセクションI,II,IIIおよびIVに分けられて
いる。
YK−310株の性質について追加実験し得られた結果を
第1表に示した。
+:陽性,−:陰性※※ スティナー(Stanier)の培地[ジャーナル・オブ
・ゼネラル・マイクロバイオロジー(Journal of Gener
al Microbiology)43巻,159頁〜271頁(1966年)に記
載]を使用した。
YK−310株は、栄養要求性がなく、菌体内にポリ・ベ
ータ・ヒドロキシチレートを蓄積しないことから、セク
ションIに属すると考えられた。
セクションIには、10種の菌種が含まれている。YK−
310株は、蛍光性の色素を生成し、アルギニン・ジヒド
ロラーゼを有することから、シュードモナス・エルギノ
ーザ,シュードモナス・プチダ,シュードモナス・フル
オレッセンス,シュードモナス・クロロライフィス,シ
ュードモナス・オーレオファッシエンスのいずれかの菌
種に属するものと考えられた。
YK−310株は、脱窒反応において、シュードモナス・
エルギノーザおよびシュードモナス・クロロラフィスと
相違した。また、ゼラチンの加水分解、ショ糖の利用性
で、シュードモナス・プチダと、非蛍光性色素の生成
能,硝酸塩の還元においてシュードモノナス・オーレオ
ファッシエンスと相違した。YK−−310株の性質は、シ
ュードモナス・フルオレッセンスのそれと良く一致を示
したので、YK−310株を、シュードモナス・フルオレッ
センスと同定し、シュードモナス・フルオレッセンスYK
−310(Pseudomons fluorescens YK−310)と呼称する
ことにした。
上記シュードモナス・フルオレッセンスYK−310株
は、昭和61年7月3日から通商産業省工業技術院微生物
工業技術研究所(FRI,日本国茨城県筑波郡谷田部町東1
丁目1番3号)に受託番号FERM P−8833として寄託さ
れ、該寄託がブタペスト条約に基づく寄託に切換えられ
て、受託番号FERM BP−1369として同研究所に保管され
ている。また昭和61年6月24日から財団法人発酵研究所
(IFO,日本国大阪府大阪市淀川区十三本町2丁目17番85
号)にIFO 14516として寄託されている。
本発明に用いられるシュードモナス属細菌は一般にそ
の性状が変化しやすく、たとえば紫外線,X線,化学薬品
(例、ニトロソグアニジン,エチルメタンスルホン酸)
などを用いる人工変異手段で容易に変異しうるものであ
り、どの様な変異株であっても本発明の対象とするTAN
−866の生産能を有するものはすべて本発明に使用する
ことができる。
TAN−866生産菌の培養に際しては、炭素源としは、た
とえばグルコース,フラクトース,ガラクトース,ソル
ブル・スターチ,デキストリン,油脂類(例、大豆油,
オリーブ油など),有機酸類(例、クエン酸,コハク
酸,グルコン酸など)など菌が資化しうるものが適宜用
いられる。窒素源としては、とたえば大豆油粉,棉実
粉,コーン・グルテン・ミール,乾燥酵母,酵母エキ
ス,肉エキス,ペプトン,尿素などの有機窒素化合物が
利用できる。また、無機塩としては、たとえば塩化ナト
リウム,塩化カリウム,炭酸カルシウム,硫酸マグネシ
ウム,リン酸一カリウム,リン酸二ナトリウムなどの通
常細菌の培養に必要な無機塩類が単独もしくは適宜、組
合せて使用される。
また、硫酸第1鉄,硫酸銅などの重金属類,ビタミン
B1,ビオチンなどのビタミン類なども必要に応じて添加
される。さらにシリコーンオイルやポリアルキレングコ
ールエーテルなどの消泡剤や界面活性剤を培地に添加し
てもよい。その他菌の発育を助け、TAN−866の生産を促
進するような有機物や無機物を適宜に添加してもよい。
培養方法としては、一般の抗生物質の生産方法と同様
に行なえばよく、固体培養でも液体培養でもよい。液体
培養の場合は静置培養,撹拌培養,振盪培養,通気培養
などいずれを実施してもよいがとくに通気撹拌培養が好
ましい。又培養温度はおよび15℃〜32℃の範囲が好まし
く、培地のpHは約5〜8の範囲でおよそ8時間〜168時
間、好ましくは24時間〜144時間培養する。
培養物から目的とするTAN−866を採取するには微生物
の生産する代謝物をその微生物の培養物から採取するの
に通常使用される分離手段が適宜利用される。たとえば
TAN−866は中性物質の性質を示し、主として培養ろ液中
に含まれるので、まず培養液にろ過補助剤を加えてろえ
過あるいは遠心分離によって菌体を除去し、得られた培
養ろ液を水と混和しない有機溶媒で有効成分を抽出する
抽出法,あるいはろ液を適宜の担体に接触させてろ液中
の有効成分を吸着させ、次いで適宜の溶媒で有効物質を
脱着させ、分別採取するクロマトグラフィー法などが有
利に利用される。クロマトグラフィーの担体としてはシ
リカゲル、粉末セルロース、吸着性樹脂など化合物の吸
着性の差を利用、あるいは分子ふるい性担体類など化合
物の分子量の差を利用するものが有利に用いられる。こ
れら担体から目的とする化合物を溶出するためには担体
の種類、性質によって組み合せが異なるが、たとえば有
機溶媒,水溶性有機溶媒の含水溶液すなわち、含水アセ
トン、含水アルコール類などが適宜組み合わせて用いら
れる。また、これらのクロマトグラフィーによって得ら
れた本化合物の粗物質を分取用逆相系高速液体クロマト
グラフィー(HPLC)に付し、さらに精製する事もでき
る。
さらに詳しく述べるならば、担体として吸着性樹脂た
とえばアンバーライトンXAD−II(ローム・アンド・ハ
ース社製,米国),タイアイオンHP−10,HP−20およびS
P−207(三菱化成工業株式会社製)などを用いるとろ液
中の活性物質は吸着され、有機溶媒と水溶液の混合液す
なわちアセトンあるいはメタノールなどを適宜含有させ
た水または塩類あるいは酸含有の水溶液もしくは緩衝液
などとの混合液で溶出される。
またTAN−866は水溶液中から水と分離し得る有機溶媒
たとえばn−ブタノール,iso−ブタノール,n−アミルア
ルコール,iso−アミルアルコールなどで抽出される。さ
らにTAN−866Aはシリカゲルたとえばキーゼルゲル60
(メルク社製,***)あるいは分子ふるい性担体たとえ
ばセファデックスLH−20(ファルマシア社製,スウェー
デン)などの担体に吸着され、適当な有機溶媒たとえば
クロロフォルム,酢酸エチル,アセトン,アルコール類
(例、メタノール等)あるいはこれらの混合溶媒によっ
て溶出される。
逆相系HPLCに用いられる担体としてはたとえばYMCゲ
ル(山村化学研究所製)が挙げられ、移動相としてはメ
タノールあるいはアセトニトリルなどと緩衝液との混合
液などが用いられる。TAN−866の精製には以上述べた方
法の組み合わせの他に濃縮,晶出,凍結乾燥など通常の
実験室で用いられる方法が随時組み合わされる。
TAN−866は三価の鉄錯体として培養液中に存在し、そ
のままの形態で上述した方法により精製,単離される
が、単離された鉄錯体は通常の鉄イオン除去剤たとえば
8オキシキノリンを用いて、あるいは強酸性イオン交換
樹脂たとえばアンバーライトIR−120(ローム・アンド
・ハース社製,米国),ダウエックス50W(ダウ・ケミ
カル社製,米国)などを用いて、TAN−866の鉄遊離体に
変えることができる。またデアシルTAN−866についても
同様の方法により、鉄遊離体に変えることができる。さ
らに、TAN−866の遊離体の水溶液に三価の鉄イオン化合
物、たとえば塩化第2鉄あるいは硫酸第2鉄などを加え
るとTAN−866が得られる。
後述する実施例1および2で得られたTAN−866A,B,C
およびDの物理化学的性状は下記のとおりである。
TAN−866 1)外観:赤橙色固体 2)比旋光度:▲[α]25 D▼+170゜(c=0.1,水中) 3)分子式:C51H82N13O19Fe 4)元素分析値(%):五酸化リン上で40℃,6時間乾燥
した試料(水5モルを含むとして計算) 実測値 計算値 C, 45.86 46.15 H, 6.67 6.99 N, 13.68 13.72 O, 28.93 Fe, 5.0 4.21 5)分子量測定値:SI−MS法による m/z 1237(M+H) 6)紫外部および可視部吸収(UV&VS)スペクトル: 7)紫外部吸収(IR)スペクトル:臭化カリウム(KB
r)中,主な吸収を示す。(第1図) 3350,2950,1750,1660,1530,1460,1380,124,1040,980,
720,550(cm-1) 8)構成アミノ酸組成: a)6N塩酸中,110℃,15時間加水分解した 試料:セリン(2モル),グリシリン(3モル),アラ
ニン(1モル),バリン(1モル) b)57%ヨウ化水素酸中,100℃,15時間加水分解した試
料:セリン(2モル),グリシン(3モル),アラニン
(1モル),バリン(1モル),オルニチン(3モル) 9)HPLC:担体;YMCパックA312(山村化学研究所製),
移動相;36%CH3CN水,流速;2ml/min,Rt=5.3(min.) 10)溶解性: 可溶;水,ジメチルスルフォキサイド,メタノール 難溶;n−ヘキサン,ジエチルエーテル 11)物質の区分:中性物質 TAN−866B 1)外観:赤橙色固体 2)比旋光度:▲[α]25 D▼+164゜(c=0.1,水中) 3)分子式:C51H82N13O19Fe 4)元素分析値(%):五酸化リン上で40℃,6時間乾燥
した試料(水6モルを含むとして計算) 実測値 計算値 C, 45.07 45.00 H, 6.88 6.96 N, 13.47 13.38 O, 30.56 Fe, 3.0 4.10 5)分子量測定値:SI−MS法による m/z 1253(M+H) 6)紫外部および可視部吸収(UV&VS)スペクトル: 7)紫外部吸収(IR)スペクトル:臭化カリウム(KB
r)中,主な吸収を示す。(第2図) 3370,2930,1750,1660,1530,1470,1380,123,1040,980,
720,560(cm-1) 8)構成アミノ酸組成: a)6N塩酸中,110℃,15時間加水分解した 試料:セリン(3モル),グリシリン(3モル),バリ
ン(1モル) b)57%ヨウ化水素酸中,100℃,15時間加水分解した試
料:セリン(3モル),グリシン(3モル),バリン
(1モル),オルニチン(3モル) 9)HPLC:担体;YMCパックA312(山村化学研究所製),
移動相;36%CH3CN水,流速;2ml/min,Rt=4.7(min.) 10)溶解性: 可溶;水,ジメチルスルフォキサイド,メタノール 難溶;n−ヘキサン,ジエチルエーテル 11)物質の区分:中性物質 TAN−866C 1)外観:赤橙色固体 2)比旋光度:▲[α]25 D▼+187゜(c=0.1,水中) 3)分子式:C51H84N13O19Fe 4)元素分析値(%):五酸化リン上で40℃,6時間乾燥
した試料(水4モルを含むとして計算) 実測値 計算値 C, 47.29 47.20 H, 7.12 7.01 N, 13.88 13.76 O, 27.81 Fe, 4.3 4.22 5)分子量測定値:SI−MS法による m/z 1251(M+H) 6)紫外部および可視部吸収(UV&VS)スペクトル: 7)紫外部吸収(IR)スペクトル:臭化カリウム(KB
r)中,主な吸収を示す。(第3図) 3400,2930,1750,1660,1540,1470,1380,1240,1020,98
0,730,560(cm-1) 8)構成アミノ酸組成: a)6N塩酸中,110℃,15時間加水分解した 試料:セリン(2モル),グリシリン(3モル),アラ
ニン(1モル),バリン(1モル) b)57%ヨウ化水素酸中,100℃,15時間加水分解した試
料:セリン(2モル),グリシン(3モル),アラニン
(1モル),バリン(1モル),オルニチン(3モル) 9)HPLC:担体;YMCパックA312(山村化学研究所製),
移動相;36%CH3CN水,流速;2ml/min,Rt=5.8(min.) 10)溶解性: 可溶;水,ジメチルスルフォキサイド,メタノール 難溶;n−ヘキサン,ジエチルエーテル 11)物質の区分:中性物質 TAN−866D 1)外観:赤橙色固体 2)比旋光度:▲[α]25 D▼+176゜(c=0.1,水中) 3)分子式:C51H84N13O19Fe 4)元素分析値(%):五酸化リン上で40℃,6時間乾燥
した試料(水4モルを含むとして計算) 実測値 計算値 C, 47.10 47.20 H, 7.07 7.01 N, 13.80 13.76 O, 27.81 Fe, 4.2 4.22 5)分子量測定値:SI−MS法による m/z 1251(M+H) 6)紫外部および可視部吸収(UV&VS)スペクトル: 7)紫外部吸収(IR)スペクトル:臭化カリウム(KB
r)中,主な吸収を示す。(第4図) 3400,2940,1750,1660,1530,1370,1240,1010,980,730,
560(cm-1) 8)構成アミノ酸組成: a)6N塩酸中,110℃,15時間加水分解した 試料:セリン(2モル),グリシリン(3モル),アラ
ニン(1モル),バリン(1モル) b)57%ヨウ化水素酸中,100℃,15時間加水分解した試
料:セリン(2モル),グリシン(3モル),アラニン
(1モル),バリン(1モル),オルニチン(3モル) 9)HPLC:担体;YMCパックA312(山村化学研究所製),
移動相;36%CH3CN水,流速;2ml/min,Rt=6.2(min.) 10)溶解性: 可溶;水,ジメチルスルフォキサイド,メタノール 難溶;n−ヘキサン,ジエチルエーテル 11)物質の区分:中性物質 さらに、前記TAN−866A,B,CおよびDの1H NMRスペク
トル(重水中,400MHz,δppm,JEOL GX−400)はそれぞ
れ第5,6,7および8図に示すとおりである。
TAN−866各成分の構成アミノ酸中オルニチンが各3モ
ル検出されるが、これらのデータと1H NMRスペクトル
[COSY法(1H−1H)]の結果からTAN−866AおよびB中
には3個のN5−アセチル−N5−ハイドロキシ−オルニチ
ンが含まれており、またTAN−866CおよびD中には2個
のN5−アセチル−N5−ハイドロキシ−オルニチンと1個
のN5−プロピオニル−N5−ハイドロキシ−オルニチンが
含まれていることが推定される。該アミノ酸のN−水酸
基は3価の鉄イオンが存在するとN−ハイドロキシアニ
オン となって3個で鉄イオン1個と配位することが知られて
いる[ジャーナル・オブ・アンチビオティクス(J.Anti
biotics),24,830,(1974)]。
TAN−866Aを塩基性水溶液中20℃ないし60℃、好まし
くは25℃ないし50℃で30分ないし8時間、好ましくは1
時間ないし4時間撹拌あるいは放置するとTAN−866Aの
分子中に存在するラクトン基が加水分解され、カルボン
酸体が得られる。該化合物はダイアイオンHP−20などの
クロマトグラフィーで精製され、モノナトリウム塩(C
51H83N13O20FeNa)として単離された。
上記カルボン酸体をシュードモナス・アシドボランス
(Pseudomonas acidovorans)IFO 13582の菌体中に含
まれるアミダーゼを用いて加水分解すると脂肪酸部分が
除去され、アミノ酸のみで精製される鎖状の鉄配位ペプ
チド,デアシルTAN−866A(C41H68N13O19Fe)が得られ
る。該酵素反応はpH3ないし9、好ましくはpH5ないし8
のリン酸バッファー中で行なわれ、反応温度は25℃ない
し45℃、好ましくは30℃ないし40℃で、反応時間は5時
間なしい30時間、好ましくは10時間ないし25時間であ
る。基質に対する素酵素の濃度は重量比で5ないし15倍
量、好ましくは8ないし12倍量が用いられる。
後述する参考例1で得られたデアシルTAN−866Aの物
理化学的性状は以下に示す通りである。
1)外観:赤橙色固体 2)分子量測定値:m/z 1103(M+H) (SI−MS
法) 3)元素分析値: 実測値 計算値 C, 40.19 40.07 H, 6.37 6.72 N, 14.34 14.82 O, 33.85 Fe, 4.0 4.54 (水分子7モルを含むとして計算) 4)分子式:C41H68N13O19Fe 5)可視部吸収スペクトル(メタノール中): 6)赤外部吸収スペクトル:臭化カリウム中主な吸収 3380,3070,2950,1660,1590,1540,1470,1380,1240,105
0,980,790,730,560(cm-1) 7)溶解性: 可溶;水,ジメチルスルフォキサイド,メタノール 難溶;酢酸エチル,クロロフォルム 8)物質の区分:両性物質 次に、TAN−866B,CおよびDを上記加水分解に付す
と、それぞれ対応したデアシル体が得られた。これら化
合物のHPLCとSI−MSのデータを下記に示す。
カラム:ODS,YMC−Pack A−312,移動相:8%アセトニ
トリル/0.01Mリン酸バッファー(pH6.3),流速:2ml/mi
n,検出法:214nm またこれらの化合物のアミノ酸組成は対応するTAN−8
66A,B,CおよびDのそれらと同一であった。
以上述べたデータおよび以下に述べる方法によりTAN
−866の化学構造は式(I)のとおり決定された。すな
わち脂肪酸部分はTAN−866各成分およびそれらに対応す
るデアシル体のSI−MS法によるデータおよび1H NMRス
ペクトル[COSY法(1H−1H)]のデータからすべて、CH
3(CH25CH=CHCH2CO−であることが判明した。次に、
各デアシル体をアミノ酸シークエンサー(Amino acid s
equencer)に付すことによりCおよびN−末端アミノ酸
を含む各アミノ酸の配列順序が決定した。また、TAN−8
66各成分はラクトン体であるが、これはC−末端アミノ
酸とセリンの水酸基によって形成され、その位置はTAN
−866各成分の1H NMRスペクトル[NOE法]データから
確認された。
次にTAN−866およびその鉄遊離体の生物学的性状につ
いて述べる。TAN−866の各種細菌に対する抗菌活性は、
第2表に示す通りである。
(注1)培地として、バクト・アンテイビオテイック・
メディウム3(デイフコ・ラボラトリーズ,米国);17.
5g,バクト・イースト・エキストラクト(デイフコ・ラ
ボラトリーズ,米国);5.0g,バクト・アガー(デイフコ
・ラボラトリーズ,米国);20g,蒸留水;1000ml(pH無調
整)を用い、接種菌液として約106コロニー・フォーミ
ング・ユニット/mlを用いた。
また、TAN−866およびその鉄遊離体のシュードモナス
・エルギノーサP−9を用いた実験的マウス感染症にお
ける皮下投与による治療効果は第3表に示すとおりであ
る。
さらに、TAN−866Aを1000mg/kgでマウスに腹腔内投与
あるいは経口投与しても急性毒性は全く認められなかっ
た。
これらのデータから明らかなようにTAN−866およびそ
の鉄遊離体は主としてグラム陰性菌に体して抗菌性を示
し、哺乳動物などに毒性を示さない抗生物質であると言
える。したがってTAN−866またはその鉄遊離体はヒトお
よび家畜(例、牛,馬,豚等),家禽(例、ニワトリ
等)などの細菌感染症の治療に用いることが出来る。
TAN−866またはその鉄遊離体をたとえば緑濃菌感染症
の治療薬として用いるには、たとえばTAN−866またはそ
の鉄遊離体を生理的食塩水に溶解して注射剤として非経
口的に皮下または筋肉内に0.1〜20mg/kg/日,好ましく
は0.5〜10mg/kg/日投与する。また経口剤として、TAN−
866またはその鉄遊離体を乳糖と混合してカプセル剤と
し、TAN−866またはその鉄遊離体として0.5〜100mg/kg/
日、好ましくは2〜50mg/kg/日投与する。
またデアシルTAN−866は、その構造中にアミノ基およ
びカルボキシル基を有しており、炭素数1ないし20の脂
肪酸ハライド(例、塩化ミリスチル,塩化リノレイニ
ル,塩化カプリル等)と弱アルアリ溶液中で反応させる
ことにより、N−アシル誘導体を製造することができ
る。このようにして得られたN−アシル化合物は、適当
な溶媒(例、DMF)中で縮合反応試薬(例、DCC)によ
り、あるいは反応溶液を酸性化することによりラクトン
化される。かくして得られた新規化合物は、たとえば抗
緑濃菌活性を有すると予想される。
上記のように、TAN−866は新規医薬品の合成原料とし
ても有望な化合物である。
実施例 以下に実施例および参考例をもってさらに詳細に本発
明の内容を説明するが、これによって本発明が限定され
るものではない。なおパーセントは、特にことわりのな
いかぎり重量/容量%を示す。
実施例1 栄養寒天斜面上に成育させたシュードモナス・フルオ
レッセンスYK−310(FERM BP−1369:IFO 14516)の菌
株を、グルコース2%,ソルブル・スターチ3%,生大
豆粉1%,コーン・スティープ・リカー0.3%,ポリペ
プトン(大五栄養化学社製)0.5%,食塩0.3%を含有す
る水溶液(pH7.0)に沈降性炭酸カルシウム0.5%を添加
した培地500mlを含む2容坂口フラスコに接種して、2
4℃で48時間往復振盪培養した。この培養液全量を上記
培地に消泡剤アクトコール(武田薬品工業社製)0.05%
を添加した培地120を含む容量200のタンクに接種
し、24℃で通気量120/分,180回転/分の条件下で、4
8時間培養した。この培養液50をグリセリン2%,グ
ルコース0.5%,ポリペプトン0.5%,肉エキス(和光純
薬工業社製)0.5%,食塩0.1%,酵母エキス(大五栄養
化学社製)0.1%を含有する水溶液(pH6.5)にアクトコ
ール0.05%を添加した培地1200を含む容量2000のタ
ンクに接種し、17℃で通気量1200/分,150回転/分の
条件下で42時間培養した。
かくして得られた培養液をハイフロ・スーパーセル
(ジョンズ・マンビル社製,米国)を用いてろ過。ろ液
(1300)をダイアイオンHP−20(50)のカラムクロ
マトグラフィーに付した。活性物質を80%メタノール水
(350)で溶出し、溶出液を濃縮し、メタノールを留
去した。水層部(30)をpH7に調整後、イソ−ブタノ
ール(20)で抽出した。抽出液を2%炭酸水素ナトリ
ウム溶液,0.05N塩酸水などで洗滌後、イソ−ブタノール
層を濃縮した。濃縮液(3)をn−ヘキサン(10)
中に加え、沈澱物を得た。上澄液をデカンテーションで
分離し、さらにn−ヘキサン(3)を加えて、TAN−8
66Aが含まれる粗物質(21.1g)が得られた。粗物質(2
0.5g)を50%メタノール水に溶解し、ダイアイオンHP−
20(50−100メッシュ,1)のカラムクロマトグラフィ
ーに付し、60%メタノール水(6)でカラムを洗滌
後、70%メタノール水(6)で抗菌性物質を溶出,分
画した。溶出分画を濃縮し、残渣を少量のメタノールに
溶かし、エーテル溶液中に加えると粉末(532mg)が得
られた。同様に処理して得られた粉末(1g)をメタノー
ル(20ml)にとかしてセファデックスLH−20(1)の
カラムクロマトグラフィーに付し、メタノールで溶出し
た。溶出液の濃縮残渣(530mg)を水(10ml)にとか
し、ダイアイオンHP−20(50−100メッシュ,200ml)の
クロマトグラフィーで精製した。得られた精製粉末(27
4mg)はHPLCのピークパターンから近接した化合物の混
合物と推定された。そこでこの粉末(250mg)を分取用
逆相系HPLC(カラム:YMCパックSH343;移動相:30%アセ
トニトリル/水)に付し、主成分のピーク部分を採取
し、濃縮後TAN−866Aの赤橙色粉末(64mg)を得た。
実施例2 実施例1と同様のスケールで培養,ろ過,HP−20カラ
ムクロマトグラフィー,イソ−ブタノール抽出を行った
後、抽出液の濃縮液(3)をシリカゲル(1.5)の
クロマトグラフィーに付した。イソ−ブタノール(4.5
),イソ−プロパノール(4.5),イソ−プロパノ
ール:メタノール(1:1)(4.5)でカラムを洗滌後、
メタノール(4.5)で溶出した溶出液を濃縮乾固し、
粉末(10.6g)を得た。この粉末中にはTAN−866A(3.5
g)が含まれていることがHPLCによって定量された。
次に上記と同様に処理して得られた粉末31gを50%メ
タノール水(1)に溶解し、ダイアイオンHP−20(10
0〜200メッシュ,1)のカラムクロマトグラフィーに付
した。カラムを50%メタノール水(3)および60%メ
タノール水(1)で洗滌後、70%メタノール水(3
)および75%メタノール水(2)で抗菌性物質を溶
出,分画した。各分画を濃縮,凍結乾燥し、粉末I(A
の含量67%,7.6g),粉末II(Aの含量48%,8.0g)およ
び粉末III(Aの含量34%,4.4g)を得た。
次に粉末I(7.5g)を分取用逆相系液体クロマトグラ
フィーに付した。カラムはYMCパックR−355(25/44)
(山村化学研究所製)を用い、溶媒系32%アセトニトリ
ル水で抗生物質を溶出した。各フラクションを分析用高
速液体クロマトグラフィーにより各成分量を定量し、濃
縮,凍結乾燥すると成分AおよびBが含まれる粉末(1.
7g),成分Aのみが含まれる粉末(2.2g),成分A,Cお
よびDが含まれる粉末(0.33g)を得た。AおよびBが
含まれる粉末を再度分取用液体クロマトグラフィー(カ
ラム:YMCパックS−363 I−15,溶媒系は上記の分取用
HPLCと同じ)に付し、成分A(1.15g),成分B(209m
g)を赤橙色粉末として単利した。また成分A,CおよびD
を含む粉末を同様に処理して成分C(70mg)および成分
D(150mg)を赤橙色粉末として得た。
実施例3 実施例1で得られたTAN−866Aの精製粉末(40mg)を
水(2ml)にとかし、8−オキシノリン(40mg)のメタ
ノール(2ml)溶液を加えた。反応液を4℃で15時間放
置後、生じた黒色沈澱物をろ紙でろ過した。ろ液中のメ
タノールを留去後、水(20ml)を加えて、クロロフォル
ム(10ml)で4回洗浄した。水槽部を濃縮、凍結乾燥
し、TAN−866Aの鉄遊離体(29mg)を白色粉末として得
た。
分子式:C51H85N13O19 元素分析値(%):(五酸化リン上,60℃で8時間乾燥
した試料,水3モルを含むとして計算) 実測値 計算値 C, 49.33 49.47 H, 7.45 7.41 N, 14.78 14.70 O, 28.42 分子量測定値:SI−MS法による m/z 1184(K+H) UVスペクトル:(水中) 末端吸収 IRスペクトル:(KBr中)主の吸収を示す。
3300,2930,1640,1520,1230,570(cm-) 実施例4 実施例3と同様の方法により、実施例2で得られたTA
N−866B,C,Dの精製粉末(それぞれ20mg,10mg,20mg)か
ら、TAN−866B,C,Dの鉄遊離体を白色粉末(それぞれ20m
g,8mg,19mg)として得た。
TAN−866B鉄遊離体 分子式:C51H85N13O20 元素分析値(%):(五酸化リン上,60℃で8時間乾燥
した試料,水2.5モルを含むとして計算) 実測値 計算値 C, 49.03 49.19 H, 7.24 7.28 N, 14.59 14.67 分子量測定値:SI−MS法による m/z 1200(K+H) UVスペクトル:(水中) 末端吸収 IRスペクトル:(KBr中)主の吸収を示す。
3300,2940,1665,1530,1240,590(cm-) TAN−866C鉄遊離体 分子式:C52H87N13O19 元素分析値(%):(五酸化リン上,60℃で8時間乾燥
した試料,水3.5モルを含むとして計算) 実測値 計算値 C, 49.36 49.51 H, 7.21 7.35 N, 14.26 14.38 分子量測定値:SI−MS法による m/z 1198(K+H) UVスペクトル:(水中) 末端吸収 IRスペクトル:(KBr中)主の吸収を示す。
3300,2940,1665,1530,1235,590(cm-) TAN−866D鉄遊離体 分子式:C52H87N13O19 元素分析値(%):(五酸化リン上,60℃で8時間乾燥
した試料,水3モルを含むとして計算) 実測値 計算値 C, 49.71 49.87 H, 7.22 7.48 N, 14.41 14.54 分子量測定値:SI−MS法による m/z 1198(K+H) UVスペクトル:(水中) 末端吸収 IRスペクトル:(KBr中)主の吸収を示す。
3400,2940,1665,1530,1240,590(cm-) 参考例1 TAN−866A(150mg)0.05Mリン酸バッファー(pH9.150
ml)に溶解し、40℃で2時間撹拌した。反応液をダイア
イオンHP−20(20ml)(三菱化成社製)のカラムクロマ
トグラフィーに付し、50%メタノール水で溶出した。溶
出液を濃縮,乾固するとTAN−866Aのカルボン酸体がナ
トリウム塩として得られた[SI−MS:m/z 1277(M+
H)+,分子式:C51H83N13O20FeNa]。
上記カルボン酸体(150mg)をシュードモナス属菌の
生産するアミダーゼ粗酵素(1.5g)を含む0.05Mリン酸
バッファー(pH7,150ml)中に加え、37℃で18時間撹拌
した。反応液を遠心分離し、上清液をpH2.5に調整し、
酢酸エチルで抽出した。抽出液には脂肪酸が含有されて
いる。水層をダイアイオンHP−20(50−100メッシュ,30
ml)のカラムクロマトグラフィーに付し、5〜20%メタ
ノール水で溶出分画した。ペプチドを含む画分を濃縮,
乾固するとデアシルTAN−866Aの赤橙色粉末(97mg)が
得られた。
参考例2 参考例1と同様の方法でTAN−866B(10mg),C(2mg)
またはD(10mg)を加水分解すると、対応するデアシル
TAN−866B(5mg),C(1.5mg)またはD(5.7mg)が得ら
れた。
発明の効果 シュードモナス属に属する菌が産生する鉄含有ペプチ
ドTAN−866およびその鉄遊離体は、主としてグラム陰性
菌に対し抗菌作用を有し、哺乳動物,家禽等の緑濃菌感
染症などの治療剤として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
第1〜4図および第5〜8図は実施例1および2で得ら
れたTAN−866A,B,CおよびDの赤外部吸収スペクトル(K
Br法)および1H−NMRスペクトルをそれぞれ示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 21/02 C12R 1:39) C07K 103:00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 [式中、R1は水素または水酸基を、R2,R3およびR4は水
    素またはメチル基を示す。ただし、(1)R1が水素であ
    る時は、R2,R3およびR4は水素であるか、またはR2,R3
    よびR4のうち2つは水素であり残り1つはメチルであ
    り、(2)R1が水酸基である時は、R2,R3およびR4は水
    素である。]で表される化合物またはその鉄遊離体。
  2. 【請求項2】シュードモナス属に属し、一般式 [式中、R1は水素または水酸基を、R2,R3およびR4は水
    素またはメチル基を示す。ただし、(1)R1が水素であ
    る時は、R2,R3およびR4は水素であるか、またはR2,R3
    よびR4のうち2つは水素であり残り1つはメチルであ
    り、(2)R1が水酸基である時は、R2,R3およびR4は水
    素である。]で表される化合物のうち少くとも1種を生
    産する能力を有する微生物を培地に培養し、培養物中に
    該化合物を生産蓄積せしめ、これを採取し、必要に応じ
    て鉄遊離反応に付すことを特徴とする前記式で表される
    化合物またはその鉄遊離体の製造方法。
  3. 【請求項3】一般式 [式中、R1は水素または水酸基を、R2,R3およびR4は水
    素またはメチル基を示す。ただし、(1)R1が水素であ
    る時は、R2,R3およびR4は水素であるか、またはR2,R3
    よびR4のうち2つは水素であり残り1つはメチルであ
    り、(2)R1が水酸基である時は、R2,R3およびR4は水
    素である。]で表される化合物のうち少くとも1種を生
    産する能力を有するシュードモナス・フルオレッセン
    ス。
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