JP2622772B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JP2622772B2
JP2622772B2 JP2129264A JP12926490A JP2622772B2 JP 2622772 B2 JP2622772 B2 JP 2622772B2 JP 2129264 A JP2129264 A JP 2129264A JP 12926490 A JP12926490 A JP 12926490A JP 2622772 B2 JP2622772 B2 JP 2622772B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は電子写真感光体に関し、詳しくは静電特性及
び耐湿性に優れた電子写真感光体に関する。特にCPC感
光体として性能の優れたものに関する。
〔従来の技術〕
電子写真感光体は、所定の特性を得るため、あるいは
適用される電子写真プロセスの種類に応じて、種々の構
成をとる。
電子写真感光体の代表的なものとして、支持体上に光
導電層が形成されている感光体及び表面に絶縁層を備え
た感光体があり、広く用いられている。
支持体と少なくとも1つの光導電層から構成される感
光体は、最も一般的な電子写真プロセスによる、即ち帯
電、画像露光及び現像、更に必要に応じて転写による画
像形成に用いられる。
更には、ダイレクト製版用のオフセット原版として電
子写真感光体を用いる方法が広く実用されている。特に
近年、ダイレクト電子写真平版は数百枚から数千枚程度
の印刷枚数で高画質の印刷物を印刷する方式として重要
となってきている。
電子写真感光体の光導電層を形成するために使用する
結着樹脂は、それ自体の成膜性および光導電性粉体の結
着樹脂への分散能力が優れるとともに、形成された記録
体層の基材に対する接着性が良好であり、しかも記録体
層の光導電層は帯電能力に優れ、暗減衰が小さく、光減
衰が大きく、前露光疲労が少なく、且つ、撮影時の湿度
の変化によってこれら特性を安定に保持していることが
必要である等の各種の静電特性および優れた撮像性を具
備する必要がある。
更に、電子写真感光体を用いた平版印刷用原版の研究
が鋭意行なわれており、電子写真感光体としての静電特
性と印刷原版としての印刷特性を両立させた光導電層用
の結着樹脂が必要である。
しかしながら従来公知の結着樹脂には、特に帯電性、
暗電荷保持性、光感度の如き静電特性、光導電層の平滑
性等に多くの問題があった。
これらの問題を解決するために、結着樹脂として酸性
基を重合体の側鎖に含有する共重合体成分を0.05〜10重
量%含有する低分子量の樹脂又は酸性基を重合体主鎖の
末端に結合する低分子量の樹脂(w103〜104)を用い
ることにより、光導電層の平滑性及び静電特性を良好に
し、しかも地汚れのない画質を得ることがそれぞれ特開
昭63−217354号及び同64−70761号及び特開平2−67563
号に記載されている。
また、結着樹脂として、酸性基を共重合体の側鎖に含
有し、又は重合体主鎖の末端に結合し、且つ熱及び/又
は光硬化性官能基を含有する重合成分を含有する樹脂を
用いる技術が特開平1−100554号、特願昭63−39690号
に、酸性基を共重合体の側鎖に含有し、又は重合体主鎖
の末端に結合する樹脂を架橋剤と併用する技術が特開平
1−102573号、同2−874号にそれぞれ開示され、更に
該樹脂の低分子量体(重量平均分子量103〜104)を高分
子量(重量平均分子量104以上)の樹脂と組合せて用い
る技術が特開昭64−564号、同63−220149号、同63−220
148号、特開平1−280761号、同1−116643号及び同1
−169455号に、かかる低分子量体を熱及び/又は光硬化
性樹脂と組合せて用いる技術が特開平1−211766号及び
同2−34859号に、かかる低分子量体をクシ型ポリマー
と組合せて用いる技術が特開平2−53064号、同2−565
58号及び特願昭63−254786号にそれぞれ開示されてい
る。これらの技術により、側鎖又は末端に酸性基を含有
する樹脂を用いたことによる上記特性を阻害せずにさら
に光導電層の膜強度を充分ならしめ、機械的強度が増大
されることが記載されている。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、これらの樹脂を用いても、環境が高温
・高湿から低温・低湿まで著しく変動した場合における
安定した性能の維持においてはいまだ不充分であること
が判った。特に半導体レーザー光を用いたスキャニング
露光方式では、従来の可視光による全面同時露光方式に
比べ、露光時間が長くなり、また露光強度にも制約があ
ることから、静電特性、特に暗電荷保持特性、光感度に
対して、より高い性能が要求される。
更には、電子写真式平版印刷用原版において、半導体
レーザー光を用いたスキャニング露光方式を採用した場
合、従来の感光体で実際に試験してみると、上記の静電
特性が不満足であるとともに、特にE1/2とE1/10との
差が大きく複写画像の階調が軟調となり、更には露光後
の残留電位を小さくするのが困難となり、複写画像のカ
ブリが顕著となってしまい、又、オフセットマスターと
して印刷しても、印刷物に印刷原稿を貼り込み跡が出て
しまう等の重大な問題となって現れた。
本発明は、以上の様な従来の電子写真感光体の有する
課題を改良するものである。
本発明の目的は、複写画像形成時の環境が低温低湿あ
るいは高温高湿の如く変動した場合でも、安定して良好
な静電特性を維持し、鮮明で良質な画像を有する電子写
真感光体を提供することである。
本発明の他の目的は、静電特性に優れ且つ環境依存性
の小さいCPC電子写真感光体を提供することである。
本発明の他の目的は、半導体レーザー光を用いたスキ
ャニング露光方式に有効な電子写真感光体を提供するこ
とである。
本発明の更なる目的は、電子写真式平版印刷原版とし
て、静電特性(特に暗電荷保持性及び光感度)に優れ、
原画に対して忠実な複写画像を再現し、且つ、印刷物の
全面一様な地汚れはもちろん点状の地汚れをも発生させ
ず、また耐刷性が優れ、貼り込み跡が生じない平版印刷
原版を提供することである。
(課題を解決するための手段) 上記目的は、無機光導電体及び結着樹脂を少なくとも
含有する光導電層を有する電子写真感光体において、該
結着樹脂が、下記で表わされる樹脂〔A〕の少なくとも
1種及び樹脂〔B〕の少なくとも1種を含有する事を特
徴とする電子写真感光体により達成されることが見出さ
れた。
樹脂〔A〕: 1×103〜2×104の重量平均分子量を有し、−PO3H2
基、−COOH基、−SO3H基、フェノール性OH基、 {Rは炭化水素基又は−OR′基(R′は炭化水素基)を
示す}及び環状酸無水物含有基から選択される少なくと
も1つの酸性基を含有する重合体成分を少なくとも1種
含有するAブロックと、下記一般式(I)で示される重
合体成分を少なくとも含有するBブロックとから構成さ
れるA・Bブロック共重合体のBブロックの重合体主鎖
の末端に重合性二重結合基を結合して成る一官能性マク
ロモノマー(M)を少なくとも1種共重合成分として含
有するグラフト型共重合体。
一般式(I) 〔式(I)中、a1及びa2はそれぞれ水素原子、ハロゲン
原子、シアノ基又は炭化水素基を表わす。V1は−COO
−、−OCO−、CH2 l1OCO−、CH2 l2COO−(l1、l
2は1〜3の整数を表わす)、−O−、−SO2−、−CO
−、 −CONHCOO−、−CONHCONH−又は を表わす(ここでP1は水素原子又は炭化水素基を表わ
す)。
R1は、炭化水素基を表わす。但しV1を表わす場合、R1は水素原子又は炭化水素基を表わ
す。〕 樹脂〔B〕: 5×104以上の重量平均分子量を有し、下記一般式(I
II)で示される繰り返し単位を重合体成分として少なく
とも含有し、且つ光導電層形成用分散物調整前に予め架
橋構造を有する樹脂。
一般式(III) 〔式中、V3は−COO−、−OCO−、−CH2OCO−、−CH2COO
−、−O−又は−SO2−を表わす。
R3は炭素数1〜22の炭化水素基を表わす。
d1及びd2は、互いに同じでも異なってもよく、各々水
素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜8の炭化
水素基、−COO−Z3又は炭素数1〜8の炭化水素基を介
した−COO−Z3(Z3は炭素数1〜18の炭化水素基を表わ
す)を表わす。〕 即ち、本発明に供される結着樹脂は、酸性基含有のA
ブロックと、一般式(I)で示される重合体成分として
含有するBブロックとから構成されるA,Bブロック共重
合体を含有して成るグラフト型共重合体の樹脂〔A〕
と、予め架橋構造を有する高分子量の樹脂〔B〕とから
少なくとも構成される。
前述の光導電層の平滑性及び静電特性を良化させると
して公知の酸性基含有結着樹脂の中で低分子量体を用い
るものとして、酸性基含有重合成分が重合体主鎖にラン
ダムに存在する樹脂あるいは重合体主鎖の片末端にのみ
酸性基を結合して成る樹脂が挙げられる。これに対し、
本発明の結着樹脂〔A〕は樹脂中に含有される酸性基
が、グラフト部分に存在し、且つ重合体主鎖から離れた
所にブロック(即ちAブロック)で存在する様にした、
著しくポリマー分子鎖の化学構造を特定化したものであ
る。
本発明の樹脂〔A〕は重合体中のグラフト部の末端領
域に偏在する酸性基群が無機光導電体の化学量論的な欠
陥に充分に吸着し、重合体主鎖を構成する他の成分は、
無機光導電体の表面をゆるやかに且つ充分に被覆してい
ると推定される。この無機光導電体表面への充分な吸着
と表面近傍の被覆の効果が公知の樹脂に比べより一層効
果的に行なわれることにより、無機光導電体の化学量論
的な欠陥部が多少変動しても充分な吸着領域をもつ事か
ら、常に安定した無機光導電体と樹脂〔A〕との相互作
用が保たれると推論され、本発明に従えば従来公知の酸
性基含有樹脂に比べて一段と良好に光導電体のトラップ
を充分に補償すると共に湿度特性を向上させる一方、光
導電体の分散が充分に行なわれ、凝集を抑制することを
見出した。
従って、電子写真式平版印刷原版として光導電層表面
の平滑性の粗らい感光体を用いると、光導電体である酸
化亜鉛粒子と結着樹脂の分散状態が適切でなく、凝集物
が存在する状態で光導電層が形成されるため、不感脂化
処理液による不感脂化処理をしても非画像部の親水化が
均一に充分に行なわれず、印刷時に印刷インキの付着を
引き起こし、結果として印刷物の非画像部の地汚れが生
じてしまう。
そして、樹脂〔B〕は、樹脂〔A〕を用いたことによ
る電子写真特性の高性能を全く阻害せずに、樹脂〔A〕
のみでは不充分な光導電層の機械的強度を充分ならしめ
るとともに前記の如き環境が変動したり、低出力のレー
ザー光を用いたりした場合でも十分に良好な撮像性を得
ることができることが判った。
本発明の樹脂〔A〕における該マクロモノマー(M)
中の重合体成分は、上記の如く、A−ブロックとB−ブ
ロックとから構成されるが、このA−ブロック/B−ブロ
ックの存在割合は、好ましくは1〜70/99〜30(重量
比)であり、より好ましくは3〜50/97〜50(重量比)
である。
本発明のグラフト共重合体〔A〕において、マクロモ
ノマー(M)と他の単量体(例えば式(II)の単量体)
の存在割合は、1〜60/99〜40(重量比)であり、好ま
しくは5〜40/95〜60(重量比)である。
本発明の樹脂〔A〕における、マクロモノマー(M)
中に含有される酸性基含有成分の存在量は、樹脂〔A〕
100重量部中に1〜20重量部であり、好ましくは3〜15
重量部である。即ち、上記樹脂〔A〕中での酸性基の存
在割合は、マクロモノマー(M)中でのA−ブロックの
組成比及び樹脂〔A〕でのマクロモノマー(M)の共重
合比によって、好ましい比率に調整することができるも
のである。
更にこの樹脂〔A〕において、マクロモノマー(M)
と共重合する成分として、下記一般式(II)で示される
単量体が好ましく、特に下記一般式(II a)及び/又は
(II b)から選ばれる単量体が好ましい。
式(II) 〔式(II)中、R2は炭化水素基を表わす。〕 式(II a) 式(II b) 〔式中、X1及びX2は互いに独立に、それぞれ水素原子、
炭素数1〜10の炭化水素基、塩素原子、臭素原子、−CO
Z2又は−COOZ2(Z2は各々炭素数1〜10の炭化水素基を
示す)を表わす。但し、X1とX2がともに水素原子を表わ
すことはない。
L1及びL2はそれぞれ−COO−とベンゼン環を結合す
る、単結合又は連結原子数1〜4個の連結基を表わ
す。〕 樹脂〔A〕においてマクロモノマー(M)と共重合す
る単量体として上記一般式(II a)及び/又は一般式
(II b)で示される置換ベンゼン環又はナフタレン環を
含有する置換基含有のメタクリレート単量体との共重合
体とを少なくとも含有する樹脂(以降この樹脂〔A〕を
樹脂〔A′〕と称する)の場合には、より一層の電子写
真特性(特にV10、D.R.R.E1/10)の向上が達成される。
この事の理由は不明であるが、1つの理由として、メ
タクリレートのエステル成分である、オルト位に置換基
を有する平面性のベンゼン環、又はナフタレン環の効果
により、膜中の酸化亜鉛界面でのこれらポリマー分子鎖
の配列が適切に行なわれることによるものと考えられ
る。
結着樹脂〔A〕の分子量が1×103より小さくなる
と、皮膜形成能が低下し充分な膜強度が保てず、一方分
子量が2×104より大きくなると本発明の樹脂であって
も高温・高湿・低温・低湿の過酷な条件下での電子写真
特性(特に初期電位、暗減衰保持率)の変動が大きくな
り、安定した複写画像が得られるという本発明の効果が
薄れてしまう。
樹脂〔A〕のガラス転移点は好ましくは−40℃〜110
℃である。
更に、高分子量の樹脂〔B〕が、更に、少なくとも1
つの重合体主鎖の片末端のみに−PO3H2基、−SO3H基、
−COOH基、−OH基、−SH基、 基(R0はRは同一の内容を表わす)、環状酸無水物含有
基、−CHO基、−CONH2基、−SO2NH2基及び (e1、e2は同じでも異なってもよく、水素原子又は炭化
水素基を表わす)から選択される少なくとも1つの極性
基を結合して成る樹脂(以下この樹脂を特に樹脂
〔B′〕と称することもある。)であることが好まし
く、更には樹脂〔B〕は、樹脂〔A〕で示される酸性基
又は環状酸無水物含有基を含有する繰り返し単位を重合
体成分として含有しない樹脂であることがより好まし
い。
結着樹脂〔A〕におけるマクロモノマー含有量が1.0
重量%より少ないと電子写真特性(特に暗減衰率、光感
度)が低下し、又環状条件での電子写真特性の変動が特
に近赤外〜赤外光分光増感色素との組み合わせにおい
て、大きくなる。これはグラフト部となるマクロモノマ
ーが微かとなることで結果として従来のホモポリマーあ
るいはランダム共重合体と殆んど同じ組成になってしま
うことによると考えられる。
一方マクロモノマーの含有量が60%を越えると、他の
共重合成分に相当する単量体と本発明に従うマクロモノ
マーとの共重合性が充分でなくなり、結着樹脂として用
いても充分な電子写真特性が得られなくなってしまう。
結合樹脂〔A〕と高分子量体対樹脂〔B〕の使用割合
は5〜60重量部対95〜40重量部であり、好ましくは10〜
50重量部対90〜50重量部である。
本発明によれば、無機光導電体の結着樹脂として、樹
脂〔A〕と樹脂〔B〕を各々樹脂の重量平均分子量並び
に樹脂中の酸性基の含有量及び結合位置等を特定化する
ことで、無機光導電体と樹脂との相互作用の強さを適度
に変えることができたことによると推定される。即ち、
相互作用のより強い樹脂〔A〕が選択的に無機光導電体
に適切に吸着し、一方で本発明の樹脂〔B〕は、適度に
架橋され、更に、樹脂〔B′〕は主鎖の片末端にのみ極
性基を結合した共重合体であることから、高分子鎖間の
相互作用、更には極性基と光導電性粒子との弱い相互作
用等が相乗作用して、電子写真特性及び膜強度において
著しく優れた性能を両立しているものと考えられる。
また、樹脂〔B〕の重合体成分中に樹脂〔A〕の主鎖
末端に任意に含有されると同様の極性基が含有されると
光導電体の分散が破壊され、凝集物あるいは沈澱物が生
成するかあるいはたとえ塗膜ができたとしても、得られ
た光導電体の静電特性は著しく低下してしまったり、感
光体表面の平滑度が粗くなり機械的摩耗に対する強度等
が悪化してしまうため好ましくない。
本発明における低分子量体の樹脂〔A〕のみを結着樹
脂として用いる場合にも、光導電体と結着樹脂が充分に
吸着し、粒子表面を被覆し得るため、光導電層の平滑性
及び静電特性においても良好で、しかも地汚れのない画
質が得られ、更に、CPC感光体あるいは数千枚の印刷枚
数のオフセット原版としては充分な膜強度が保有され
る。しかし、ここで本発明の如く樹脂〔B〕を共存させ
ることで、樹脂〔A〕の機能を何ら疎外することなく樹
脂〔A〕のみではいまだ不充分な光導電層の機械的強度
をより向上させることができた。従って、本発明の感光
体は、環境条件が変動しても優れた静電特性を有し且
つ、膜強度も充分であり、過酷な印刷条件下(例えば、
大型印刷機で印圧が強くなる場合など)でも8000枚以上
の印刷枚数が可能となった。
以下、本発明の結着樹脂〔A〕について説明する。
本発明のグラフト型共重合体に供される一官能性マク
ロモノマー(M)について更に具体的に説明する。
マクロモノマー(M)のA−ブロックを構成する成分
中に含有される酸性基としては、−PO2H2基、−COOH
基、−SO3H基、フェノール性OH基、 {Rは炭化水素基又は−OR′基(R′は炭化水素基)を
示す}及び/又は環状酸無水物含有基が挙げられ、好ま
しくは、−COOH基、−SO3H基、フェノール性OH基、又は である。
の場合、Rは炭化水素基又は−OR′基(R′は炭化水素
基を表わす)を表わし、R及びR′は好ましくは炭素数
1〜22の脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル
基、ドデシル基、オクタデシル基、2−クロロエチル
基、2−メトキシエチル基、3−エトキシプロピル基、
アリル基、クロトニル基、ブテニル基、シクロヘキシル
基、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル
基、メチルベンジル基、クロロベンジル基、フロロベン
ジル基、メトキシベンジル基等)、又は置換されてもよ
いアリール基(例えば、フェニル基、トリル基、エチル
フェニル基、プロピルフェニル基、クロロフェニル基、
フロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロ−メチル
−フェニル基、ジクロロフェニル基、メトキシフェニル
基、シアノフェニル基、アセトアミドフェニル基、アセ
チルフェニル基、ブトキシフェニル基等)等を表わす。
また、環状酸無水物含有基とは、少なくとも1つの環
状酸無水物を含有する基であり、含有される環状酸無水
物としては、脂肪族ジカルボン酸無水物、芳香族ジカル
ボン酸無水物が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸無水物の例としては、コハク酸無
水物環、グルタコン酸無水物環、マレイン酸無水物環、
シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸無水物環、シクロ
ヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物環、シクロヘキセ
ン−1,2−ジカルボン酸無水物環、2,3−ピシクロ〔2.2.
2〕オクタンジカルボン酸無水物環等が挙げられ、これ
らの環は、例えば塩素原子、臭素原子等のハロゲン原
子、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基等のア
ルキル基等が置換されていてもよい。
又、芳香族ジカルボン酸無水物の例としては、フタル
酸無水物環、ナフタレン−ジカルボン酸無水物環、ピリ
ジン−ジカルボン酸無水物環、チオフェン−ジカルボン
酸無水物環等が挙げられ、これらの環は、例えば、塩素
原子、臭素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、ヒドロキシ
ル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基
(アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキ
シ基等)等が置換されていてもよい。
以上の如き「特定の酸性基を含有する重合体成分」
は、例えば、本発明のマクロモノマー(M)の他のブロ
ック成分を構成する重合体成分、即ち一般式(I)で示
されるメタクリレート成分等の相当するビニル系化合物
と共重合する、該酸性基を含有するビニル系化合物であ
ればいずれでも用いることができる。
例えば、高分子学会編「高分子データ・ハンドブック
〔基礎編〕」培風館(1986刊)等に記載されている。具
体的には、アクリル酸、α及び/又はβ置換アクリル酸
(例えばα−アセトキシ体、α−アセトキシメチル体、
α−(2−アミノ)メチル体、α−クロロ体、α−ブロ
モ体、α−フロロ体、α−トリブチルシリル体、α−シ
アノ体、β−クロロ体、β−ブロモ体、α−クロロ−β
−メトキシ体、α,β−ジクロロ体等)、メタクリル
酸、イタコン酸、イタコン酸半エステル類、イタコン酸
半アミド類、クロトン酸、2−アルケニルカルボン酸類
(例えば2−ペンテン酸、2−メチル−2−ヘキセン
酸、2−オクテン酸、4−メチル−2−ヘキセン酸、4
−エチル−2−オクテン酸等)、マレイン酸、マレイン
酸半エステル類、マレイン酸半アミド類、ビニルベンゼ
ンカルボン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルスル
ホン酸、ビニルホスホ酸、ジカルボン酸類のビニル基又
はアリル基の半エステル誘導体、及びこれらのカルボン
酸又はスルホン酸のエステル誘導体、アミド誘導体の置
換基中に該酸性基を含有する化合物が挙げられる。
これらの化合物の具体例として以下のものを挙げるこ
とができる。但し、以下の各例において、aは−H、−
CH3、−Cl、−Br、−CN−、−CH2COOCH3又は−CH2COOH
を示し、bは−H又は−CH3を示し、nは2〜18の整数
を示し、mは1〜12の整数を示し、lは1〜4の整数を
示す。
(a−15) CH2=CH−CH2OCO(CH2)mCOOH (a−16) CH2=CHCH2 lCOOH 上記の如き酸性基含有成分はAブロック中に2種以上
含有されていてもよく、これら2種以上の酸性基含有成
分はAブロック中においてランダム共重合又はブロック
共重合のいずれで含有されていてもよい。更に、酸性基
含有成分とともに、酸性基を含有しない成分(例えば後
述式(I)で示される成分)をAブロック中に含有して
いてもよいが、酸性基含有成分はAブロック中において
30〜100重量%存在することが好ましい。
次に上記マクロモノマーにおいて、B−ブロックを構
成する成分即ち一般式(I)で表わされる繰り返し単位
について説明する。
一般式(I)においてV1は−COO−、−OCO−、CH2
l1OCO−、CH2 l2COO−(l1,l2は1〜3の整数を表
わす)、−O−、−SO2−、−CO−、 −CONHCOO−、−CONHCONH−又は を表わす。
ここで、P1は水素原子のほか、好ましい炭化水素基と
しては、炭素数1〜18の置換されてもよいアルキル基
(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、
ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2−ク
ロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル
基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエ
チル基、3−ブロモプロピル基等)、炭素数4〜18の置
換されてもよいアルケニル基(例えば、2−メチル−1
−プロペニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、
3−メチル−2−ペンテニル基、1−ペンテニル基、1
−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル−2−
ヘキセニル基等)、炭素数7〜12の置換されてもよいア
ラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−
フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチル
エチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、メチ
ルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル
基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジル基等)、
炭素数5〜8の置換されてもよい脂環式基(例えば、シ
クロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シ
クロペンチルエチル基等)、又は炭素数6〜12の置換さ
れてもよい芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル
基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブチ
ルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニル
基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキ
シフェニル基、デシルオキシフェニル基、クロロフェニ
ル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、シアノ
フェニル基、アセチルフェニル基、メトキシカルボニル
フェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブトキシ
カルボニルフェニル基、アセトアミドフェニル基、プロ
ピオアミドフェニル基、ドデシロイルアミドフェニル基
等)があげられる。
R1は炭化水素基を表わし、好ましくは上記P1で好まし
い炭化水素基として挙げたものと同様のものである。
V1を表わす場合、R1は上記炭化水素の他水素原子を表わ
し、更にベンゼン環は置換基を有してもよい。置換基と
しては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子
等)、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基、クロロメチル基、メトキシメチル基
等)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、
プロピオキシ基、ブトキシ基等)等が挙げられる。
a1及びa2は、互いに同じでも異なっていてもよく、好
ましくは水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、
臭素原子等)、シアノ基、炭素数1〜4のアルキル基
(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基
等)、−COOZ1又は炭化水素を介したCOOZ1(Z1は、水素
原子又は炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基、ア
ラルキル基、脂環式基またはアリール基を表わし、これ
らは置換されていてもよく、具体的には、上記Z1につい
て説明したものと同様の内容を表わす)を表わす。
上記炭化水素を介した−COO−Z1基における炭化水素
としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が
挙げられる。
更に好ましくは、一般式(I)において、V1は−COO
−、−OCO−、−CH2OCO−、−CH2COO−、−O−、−CON
H−、−SO2NH−又は を表わし、a1、a2は互いに同じでも異なってもよく、水
素原子、メチル基、−COOZ1又は−CH2COOZ1{Z1はより
好ましくは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基(例
えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキ
シル基等)を表わす}を表わす。更により好ましくは、
a1,a2においていずれか一方が水素原子を表わす。
更には該B−ブロック中に式(I)の単量体以外の重
合体成分が含有されていてもよく、式(I)に示される
重合体成分とともに共重合しうる他の繰り返し単位に相
当す単量体として、アクリロニトリル、メタクリロニト
リル、複数環ビニル類(例えばビニルピリジン、ビニル
イミダゾール、ビニルピロリドン、ビニルチオフェン、
ビニルピラゾール、ビニルジオキサン、ビニルオキサジ
ン等)等が挙げられる。これら他の単量体はB−ブロッ
クの全重合体成分100重量部中20重量部を越えない範囲
で用いられる。又、該Bブロック中には、該A−ブロッ
クの構成成分である酸性基を含有する重合体成分を含有
しない事が好ましい。Bブロックにおいて2種以上の共
重合成分が存在する場合には、これら2種以上の共重合
成分はBブロックにおいてランダム共重合又はブロック
共重合のいずれで含有されていてもよいが、合成の簡便
さよりランダムに含有されることが好ましい。
次に本発明のマクロモノマー(M)において上記した
酸性基を含有する成分から成るAブロックと一般式
(I)で示される重合体成分を含有することから成るB
ブロックをA−B型で連結し且つA−ブロックと連結す
るBブロックの他の末端に連結される重合性二重合基に
ついて説明する。
具体的には下記一般式(IV)で示される重合性二重結
合基が例として挙げられる。
一般式(IV) 〔式(IV)中、V2は式(I)中のV1と同一の内容を表わ
す。b1,b2は互いに同一でも異なってもよく、式(I)
中のa1,a2と同一の内容を表わす。〕即ち、一般式(I
V)で示される重合性二重結合基として、より具体的に
は、 CH2=CHCH2−COO−、CH2=CH−CO−、 等が挙げられる。
本発明に供されるマクロモノマー(M)は上述の如き
B−ブロックの片末端に、一般式(IV)で示される如き
重合性二重結合基が、直接結合するか、あるいは、任意
の連結基で結合された化学構造を有するものである。連
結する基としては、炭素−炭素結合(一重結合あるいは
二重結合)、炭素−ヘテロ原子結合(ヘテロ原子として
は例えば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子、ケイ素原
子等)、ヘテロ原子−ヘテロ原子結合の原子団の任意の
組合せで構成されるものである。即ち、具体的には、単
なる結合または、 〔R4は同じでも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原
子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シ
アノ基、ヒドロキシル基、アルキル基(例えはメチル
基、エチル基、プロピル基等)等を示す〕、 〔R5,R6はそれぞれ水素原子、前記式(I)におけるR1
と同様の内容を表わす炭化水素基等を示す〕等の原子団
から選ばれた単独の連結基もしくは任意の組合せで構成
された連結基を表わす。
マクロモノマー(M)の重量平均分子量が2×104
超えると、他のモノマー(例えば式(II)との共重合性
が低下するため好ましくない。他方、重量平均分子量が
小さすぎると、感光層の電子写真特性の向上効果が小さ
くなるため、1×103以上であることが好ましい。
本発明のマクロモノマー(M)は、従来公知の合成方
法よって製造することができる。例えば、該特定の酸性
基を含有する重合体成分に相当する単量体において、酸
性基を予め保護した官能基としておき、有機金属化合物
(例えばアルキルリチウム類、リチウムジイソプルアミ
ド、アルキルマグネシウムハライド類等)あるいはヨウ
化水素、ヨウ素系等によるイオン重合反応で、ポリフィ
リン金属錯体を触媒とする光重合反応、あるいはグルー
プ移動重合反応等の公知のいわゆるリビング重合反応で
A−Bブロック共重合体を合成した後、このリビングポ
リマーの末端に種々の試薬を反応させて重合性二重結合
基を導入する。この後、酸性基を保護した官能基を加水
分解反応、加水素分解反応、酸化分解反応あるいは、光
分解反応等によって、脱保護反応を行ない、酸性基を形
成させる方法が挙げられる。その1つの例を下記の反応
スキーム(1)に示した。
例えば、P.Lutz,P.Masson etal,Polym,Bull.,12,79
(1984)B.C.Anderson,G.D.Andrews etal,Macromolecul
es,14,1601(1981)K.Hatada,K.Ute.etal,Polym.J.17,9
77(1985),18,1037(1986),右手浩一、畑田耕一、
高分子加工、36,366(1987)東村敏延、沢本光男、高分
子論文集、46,189(1989)M.Kuroki,T.Aida,T.Am.Chem.
Soc.109,4737(1987)、相田卓三、井上祥平、有機合成
化学、43,300(1985)D.Y.Sogah,W.R.Hertler etal,Mac
romolecules,20,1473(1987)等に記載の合成方法に従
って容易にリビングポリマーを合成することができる。
又、該リビングポリマーの末端に重合性二重結合基を導
入する方法としては、従来公知のマクロモノマー法の合
成法に従って容易に本発明のマクロモノマーとすること
ができる。
具体的には、P.Dreyfuss & R.P.Quirk,Encycl,Poly
m,Sci.Eng.,7,551(1987),P.F.Rempp,E.Franta,Adu.,P
olym.Sci.58,1(1984),V.Percec,Appl.,Polym.Sci.,28
5,95(1984),R.Asami,M.TakaRi,Makvamol.Chem.Suppl.
12,163(1985),P.Rempp.etal,Makvamol.Chem.Suppl.8,
3(1984)川上雄資、化学工業、38,56(1987)、山下
雄也、高分子、31,988(1982)、小林四郎、高分子、3
0,625(1981)、東村敏延、日本接着協会誌18,536(198
2)、伊藤浩一、高分子加工、35、262(1986)、東貴四
郎、津田隆、機能材料、1987 No.10,5等の総説及びそれ
に引例の文献・特許等に記載の方法に従って合成するこ
とができる。
又、本発明の特定の酸性基を保護する保護基及びその
保護基の脱離(脱保護反応)については、従来公知の知
見を利用して容易に行なうことができる。例えば前記し
た引用文献にも種々記載されており、更には、岩倉義
男、栗田恵輔、「反応性高分子」(株)講談社刊(1977
年)、T.W.Greene「Protective Groups in Organic Syn
thesis」、John Wiley & Sous(1981年)、J.F.W.McOm
ie,「Protective Groups in Organic Chemistry」Plenu
m Press,(1973年)等の総説に詳細に記載されている方
法を適宜選択して行なうことができる。
他のA−B型ブロック共重合体の合成法としては、ジ
シオカーバメント化合物を開始剤とした光イニファータ
ー重合法によって合成することもできる。例えば、大津
隆行、高分子、37,248(1988)、槍森俊一、大津隆一、
Polym.Rep.Jap.37,3508(1988)、特開昭64−111号、特
開昭64−26619号等に記載の合成方法に従って合成され
る。これを上記したマクロモノマー合成法を利用して本
発明のマクロモノマーを得ることができる。
本発明のマクロモノマー(M)は、具体的には、下記
の化合物を例として挙げることができる。但し、本発明
の範囲は、これらに限定されるものではない。但し、下
記化合物例において、c,d及びeはそれぞれ、−H、−C
H3又は−CH2COOCH3を示し、fは−H又は−CH3を示し、
R11は−CpH2p+1(pは1〜18の整数)、−(CH2qC6H5
(qは1〜3の整数)、 (Y1は−H、−Cl、−Br、−CH3、−OCH3又は−COCH3
示す)又は (rは0又は1〜3の整数)を示す、R12は−CSH
2S+1(Sは1〜8の整数)又は−(CH2qC6H5を示し、
Y2は−OH、−COOH、−SO3H、 を示し、Y3は−COOH、−SO3H、 を示し、t=2〜12の整数を示し、uは2〜6の整数を
示す。
前記したマクロモノマー(M)と共重合する単量体は
例えば一般式(II)で示される。式(II)においてR2
式(I)中のR1と同一の内容を表わす。
又、重合体主鎖中には、−PO3H2基、−SO3H基、−COO
H基、−OH基、−SH基及び−PO3RH基の酸性基を含有する
共重合成分を含有しないものが好ましい。
更に、本発明の低分子量の樹脂〔A〕は、一般式(II
a)及び/又は一般式(II b)で示される2位又は2,6
−位に特定の置換基を有するベンゼン環又はナフタレン
環を含有する特定の置換基をもつメタクリレートを共重
合成分として含有するグラフト共重合体〔A′〕である
事が好ましい。
一般式(II a)において、好ましいX1及びX2としてそ
れぞれ、水素原子、塩素原子及び臭素原子のほかに、好
ましい炭化水素基として、炭素数1〜4のアルキル基
(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基
等)、炭素数7〜9のアラルキル基(例えばベンジル
基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、クロロベ
ンジル基、ジクロロベンジル基、プロモベンジル基、メ
チルベンジル基、メトキシベンジル基、クロロ−メチル
−ベンジル基等)及びアリール基(例えばフェニル基、
トリル基、シリル基、ブロモフェニル基、メトキシフェ
ニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基等)、
並びに−COZ3及び−COOZ3(好ましいZ3としては上記好
ましい炭化水素基として記載したものを挙げることがで
きる)を挙げることができる。但し、X1とX2がともに水
素原子を表わすことはない。
式(II a)において、L1は−COO−とベンゼン環を結
合する、単結合又はCH2 m1(m1は1〜3の整数を表
わす)、−CH2CH2OCO−、CH2Om2(m2は1又は2の
整数を表わす)、−CH2CH2O−等の如き連結原子数1〜
4個の連結基を表わす。
式(II b)におけるL2はL1と同一の内容を表わす。
本発明の樹脂〔A′〕で用いられる、式(II a)又は
(II b)で示される単量体の具体例を以下に挙げる。し
かし、本発明の範囲は、これらに限定されるものではな
い。
更には、本発明のグラフト型共重合体において上記マ
クロモノマー(M)と共重合する成分としては、一般式
(II)、(II a)又は(II b)以外の単量体であっても
よく、例えば、α−オレフィン類、アルカン酸ビニル又
はアリルエステル類、アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル、ビニルエーテル類、アクリルアミド類、メタク
リルアミド類、スチレン類、複素環ビニル類〔例えば窒
素原子以外の非金属原子(酸素原子、イオウ原子等)を
1〜3個含有する5員〜7員環の複素環であり、具体的
な化合物として、ビニルチオフェン、ビニルジオキサ
ン、ビニルフラン等)等が挙げられる。好ましい例とし
ては、例えば、炭素数1〜3のアルカン酸ビニル又はア
リルエステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、スチレン及びスチレン誘導体(例えばビニルトルエ
ン、ブチルスチレン、メトキシスチレン、クロロスチレ
ン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、エトキシスチ
レン等)等が挙げられる。
本発明の結着樹脂は、前記マクロモノマー(M)及び
他の単量体(例えば一般式(II)で示される単量体)の
うちから各々少なくとも1種選ばれた化合物を所望の割
合で共重合させることによって製造することができる。
重合方法としては溶液重合、懸濁重合、沈殿重合、乳化
重合等の公知の方法を用いることにより製造することが
できる。例えば溶液重合ではベンゼン、トルエン等の溶
媒中、単量体を所定の割合で添加し、アゾビス系化合
物、過酸化化合物、ラジカル重合開始剤によって重合せ
しめ共重合体溶液を得ることができる。これを乾燥また
は負溶剤に添加することにより所望の共重合体を得るこ
とができる。また、懸濁重合ではポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン等の分散剤の存在下、単量体
を懸濁させ、ラジカル重合開始剤の存在下で共重合せし
め共重合体を得ることができる。
樹脂〔A〕において、A−B型ブロック共重合体中に
おける該特定の酸性基を含有する重合体成分の存在量
は、樹脂〔A〕100重量部中、好ましくは1〜20重量%
で、より好ましくは3〜15重量%である。
樹脂〔A〕の重量平均分子量は好ましくは3×103
1×104である。
一方、樹脂〔B〕は一般式(III)で示される繰り返
し単位を少なくとも1種含有する重合体で、かつ重合体
の一部が架橋された重量平均分子量が5×104以上の樹
脂であり、より好ましくは重量平均分子量8×104〜6
×105である。
樹脂〔B〕のガラス転移点は好ましくは0℃〜120℃
の範囲、より好ましくは10℃〜95℃である。
樹脂〔B〕の重量平均分子量が5×104未満となる
と、膜強度が不充分となってくる。又、樹脂〔B〕の重
量平均分子量が上記の好ましい上限値を超えると、有機
溶媒の溶解性が殆んどなくなり、実際上使用できなくな
るため、好ましくない。
本発明の樹脂〔B〕は、前記した物性を満たし、重合
体の一部分が架橋され、更に、一般式(III)で示され
る繰返し単位の中から選ばれた重合体成分を、ホモ重合
体成分としてまたは一般式(III)で示される繰り返し
単位に相当する単量体と共重合し得る他の単量体との共
重合体成分として含有する重合体又は共重合体である。
一般式(III)で示される繰返し単位において、炭化
水素基は置換されていてもよい。
一般式(III)において、V3は好ましくは−COO−、−
OCO−、−CH2OCO−、−CH2COO−又は−O−を表わし、
より好ましくは−COO−、−CH2COO−又は−O−を表わ
す。
R3は好ましくは炭素数1〜18の置換されていてもよい
炭化水素基を表わす。置換基としては上記重合体主鎖の
片末端に結合し得る極性基以外の置換基であればいずれ
でもよく、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原
子、塩素原子、臭素原子等)、−O−Z4、−COO−Z4
−OCO−Z4、(Z4は、炭素数6〜22のアルキル基を表わ
し、例えばヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシ
ル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等である)等の
置換基が挙げられる。好ましい炭化水素基としては、炭
素数1〜18の置換されてもよいアルキル基(例えば、メ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル
基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、
ヘキサデシル基、オクタデシル基、2−クロロエチル
基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−メ
トキシカルボニルエチル基、2−メトキシエチル基、3
−ブロモプロピル基等)、炭素数4〜18の置換されても
よいアルケニル基(例えば、2−メチル−1−プロペニ
ル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メチル
−2−ペンテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニ
ル基、2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセニル
基等)、炭素数7〜12の置換されてもよいアラルキル基
(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプ
ロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、
クロロベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル
基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチル
ベンジル基、ジメトキシベンジル基等)、炭素数5〜8
の置換されてもよい脂環式基(例えば、シクロヘキシル
基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチル
エチル基等)又は炭素数6〜12の置換されてもよい芳香
族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キ
シリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オ
クチルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェ
ニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デ
シルオキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフ
ェニル基、ブロモフェニル基、シアノフェニル基、アセ
チルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エト
キシカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニ
ル基、アセトアミドフェニル基、プロピオアミドフェニ
ル基、ドデシロイルアミドフェニル基等)が挙げられ
る。
d1、d2は、互いに同じでも異なってもよく、好ましく
は水素原子、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原
子、臭素原子等)、シアノ基、炭素数1〜3のアルキル
基、−COO−Z3又は−CH2COO−Z3(Z3は好ましくは炭素
数1〜22の脂肪族基を表わす)を表わす。より好ましく
は、d1、d2は、互いに同じでも異なってもよく、水素原
子、炭素数1〜3のアルキル基(例えば、メチル基、エ
チル基、プロピル基等)、−COO−Z3又は−CH2COO−Z3
(Z3はより好ましくは炭素数1〜18のアルキル基又はア
ルケニル基を表わし、例えば、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル
基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキ
サデシル基、オクタデシル基、ペンテニル基、ヘキセニ
ル基、オクテニル基、デセニル基等が挙げられ、これら
アルキル基、アルケニル基は前記R3で示したと同様の置
換基を有していてもよい)を表わす。
樹脂〔B〕において、重合体中に架橋構造を導入する
方法としては通常知られている方法を利用することがで
きる。即ち、単量体の重合反応において多官能性単量体
を共存させて重合する方法及び重合体中に架橋反応を進
行する官能基を含有させ高分子反応で架橋する方法であ
る。
本発明の樹脂〔B〕は、製造方法が簡便なこと(例え
ば、長時間の反応を要する、反応が定量的でない、反応
促進助剤を用いる等で不純物が混入する等の問題が少な
い)等から、自己橋かけ反応をする官能基:−CONHCH2O
R31(R31は水素原子又はアルキル基を表わす)による、
あるいは、重合による橋かけ反応が有効である。
重合反応性基の場合には、好ましくは重合性官能基を
2個以上有する単量体を上記した式(III)の単量体と
とに重合することでポリマー鎖間を橋架けする方法が好
ましい。
重合性官能基として具体的に、CH2=CH−、 CH2=CH−CH2−NHCO−、CH2=CH−SO2−、CH2=CH−CO
−、CH2=CH−O−、CH2=CH−S−等を挙げることがで
きるが、上記の重合性官能基を2個以上有する単量体
は、これらの重合性官能基を同一のものあるいは異なっ
たものを2個以上有する単量体であればよい。
重合性官能基を2個以上有した単量体の具体例は、例
えば同一の重合性官能基を有する単量体として、ジビニ
ルベンゼン、トリビニルベンゼン等のスチレン誘導体:
多価アルコール(例えば、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレ
ングリコール#200、#400、#600、1,3−ブチレングリ
コール、ネペンチルグリコール、ジプロピレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパ
ン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールな
ど)又はポリヒドロキシフェノール(例えばヒドロキノ
ン、レゾルシン、カテコールおよびそれらの誘導体)の
メタクリル酸、アクリル酸又はクロトン酸のエステル
類、ビニルエーテル類又はアリルエーテル類:二塩基酸
(例えばマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、イタコン酸
等)のビニルエステル類、アリルエステル類、ビニルア
ミド類又はアリルアミド類:ポリアミン(例えばエチレ
ンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブチレン
ジアミン等)とビニル基を含有するカルボン酸(例え
ば、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、アリル酢
酸等)との縮合体などが挙げられる。
又、異なる重合性官能基を有する単量体として、例え
ば、ビニル基を含有するカルボン酸〔例えば、メタクリ
ル酸、アクリル酸、メタクリロイル酢酸、アクリロイル
酢酸、メタクリロイルプロピオン酸、アクリロイルプロ
ピオン酸、イタコニロイル酢酸、イタコニロイルプロピ
オン酸、カルボン酸無水物とアルコール又はアミンの反
応体(例えばアリルオキシカルボニルプロピオン酸、ア
リルオキシカルボニル酢酸、2−アルリオキシカルボニ
ル安息香酸、アリルアミノカルボニルプロピオン酸等)
等〕のビニル基を含有するエステル誘導体又はアミド誘
導体(例えば、メタクリル酸ビニル、アクリル酸ビニ
ル、イタコン酸ビニル、メタクリル酸アリル、アクリル
酸アリル、イタコン酸アリル、メタクリロイル酢酸ビニ
ル、メタクリロイルプロピオン酸ビニル、メタクリロイ
ルプロピオン酸アリル、メタクリル酸ビニルオキシカル
ボニルメチルエステル、アクリル酸ビニルオキシカルボ
ニルメチルオキシカルボニルエチレンエステル、N−ア
リルアクリルアミド、N−アルリメタクリルアミド、N
−アリルイタコン酸アミド、メタクリロイルプロピオン
酸アリルアミド等)又はアミノアルコール類(例えばア
ミノエタノール、1−アミノプロパノール、1−アミノ
ブタノール、1−アミノヘキサノール、2−アミノブタ
ノール等)と、ビニル基を含有したカルボン酸の縮合体
などが挙げられる。
本発明では、これらの2個以上の重合性官能基を有す
る単量体を、全単量体の20重量%以下用いて重合するこ
とにより本発明の部分的に架橋された樹脂〔B〕を形成
することができる。更に好ましくは該単量体を、後述の
連鎖移動剤で末端に極性基を導入する方法で合成する樹
脂の場合には15重量%以下、それ以外の場合には5重量
%以下とすることが好ましい。
一方、樹脂〔B〕が末端極性基を含有しない場合(後
述の樹脂〔B′〕でない場合)には、熱及び/又は光で
硬化反応を起こす架橋性官能基を含有する樹脂を用いて
樹脂〔B〕に架橋構造を形成させてもよい。
該官能基は、分子間で化学反応を生じ化学結合を形成
し得るものであればいずれでもよい。即ち、縮合反応、
付加反応等による分子間の結合あるいは重合反応による
架橋等を熱及び/又は光によって生じさせる反応様式を
利用することができる。具体的には、解離性の水素原子
を有する官能基〔例えば−COOH基、−PO3H2基、 (Raは炭素数1〜18のアルキル基、好ましくは炭素数1
〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、ヘキシル基等)、炭素数7〜11のア
ラルキル基(例えばベンジル基、フェネチル基、メチル
ベンジル基、クロロベンジル基、メトキシベンジル基、
等)もしくは炭素数6〜12のアリール基(例えばフェニ
ル基、トリル基、キシリル基、メシチレン基、クロロフ
ェニル基、エチルフェニル基、メトキシフェニル基、ナ
フチル基等)又は−OR32基(R32はR31で示した上記炭化
水素基と同一の内容)を表わす)、−OH基、−SH基、−
NH・R33基(R33は、水素原子又はメチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基等の如き炭素数1〜4のアルキル
基を表わす)〕と −NCO、−NCSとの群から各々選ばれた官能基の組合せを
少なくとも1組含有する場合あるいは、−CONHCH2OR34
(R34は水素原子又はメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ヘキシル基等の如き炭素数1〜6のアル
キル基を表わす)又は重合性二重結合基等を含有する場
合が挙げられる。
該重合性二重結合基として具体的には、前記の重合性
官能基の具体例として挙げたものを挙げることができ
る。
更には、例えば、遠藤剛、「熱硬化性高分子の精密
化」(C.M.C.(株)、1986年刊)、原崎勇次、「最新バ
インダー技術便覧」第II−1章(総合技術センター、19
85年刊)、大津隆行「アクリル樹脂の合成・設計と新用
途開発」(中部経営開発センター出版部、1985年刊)、
大森英三「機能性アクリル系樹脂」(テクノシステム19
85年刊)乾英夫、永松元太郎、「感光性高分子」(講談
社、1977年刊)、角田隆弘、「新・感光性樹脂」(印刷
学会出版部、1981年刊)、G.E.Green and,B.P.Star R,
J.Macro.Sci Revs Macro.Chem.,C21(2),187〜273(1
981〜82),C.G.Roffey,「Photopolymerization of Surf
ace Coatings」(A.Wiley Interscience Pub.1982年
刊)等の総説に引例された官能基・化合物等を用いるこ
とができる。
これらの架橋性官能基は、一つの共重合体成分中に含
有されていてもよいし、別個の共重合体成分中に含有さ
せて架橋反応を行なってもよい。
これらの架橋性官能基を含有する共重合体成分に相当
する単量体の具体的なものとしては、例えば、一般式
(III)の単量体と共重合し得る該官能基を含有するビ
ニル系化合物を挙げることができる。
例えば、高分子学会編「高分子データ・ハンドブック
〔基礎編〕」培風館(1986刊)等に記載されている。具
体的には、アクリル酸、α及び/又はβ置換アクリル酸
(例えばα−アセトキシ体、α−アセトキシメチル体、
α−(2−アミノメチル体、α−クロロ体、α−ブロモ
体、α−フロロ体、α−トリブチルシリル体、α−シア
ノ体、β−クロロ体、β−ブロモ体、α−クロロ−β−
メトキシ体、α,β−ジクロロ体等)、メタクリル酸、
イタコン酸、イタコン酸半エステル類、イタコン酸半ア
ミド類、クロトン酸、2−アルケニルカルボン酸類(例
えば2−ペンテン酸、2−メチル−2−ヘキセン酸、2
−オクテン酸、4−メチル−2−ヘキセン酸、4−エチ
ル−2−オクテン酸等)、マレイン酸、マレイン酸半エ
ステル類、マレイン酸半アミド類、ビニルベンゼンカル
ボン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルスルホン
酸、ビニルホスホ酸、ジカルボン酸類のビニル基又はア
リル基の半エステル誘導体、及びこれらのカルボン酸又
はスルホン酸のエステル誘導体、アミド誘導体の置換基
中に該架橋性官能基を含有する化合物等が挙げられる。
本発明の樹脂〔B〕における上記「架橋性官能基を含
有する共重合体成分」の割合は、該樹脂中好ましくは1
〜80重量%である。より好ましくは、5〜50重量%であ
る。
かかる樹脂を製造する際には、架橋反応を促進させる
ために、必要に応じて反応促進剤を添加してもよい。例
えば、酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、ベンゼンスルホ
ン酸、P−トルエンスルホン酸等)、過酸化物、アゾビ
ス系化合物、架橋剤、増感剤、光重合性単量体等が挙げ
られる。架橋剤としては、具体的には、山下晋三、金子
東助編「架橋剤ハンドブック」大成社刊(1981年)等に
記載されている化合物等を用いることができる。例え
ば、通常用いられる、有機シラン、ポリウレタン、ポリ
イソシアナートの如き架橋剤、エポキシ樹脂、メラミン
樹脂の如き硬化剤等を用いることができる。
光架橋反応性の官能基を含有する場合には、前記した
感光性樹脂に関する総説に引例された化合物等を用いる
ことができる。
また、樹脂〔B〕は、前記した一般式(III)で示さ
れる繰返し単位に相当する単量体及び前記した多官能性
単量体とともに、これら以外の他の単量体〔例えば樹脂
〔A〕にて含有され得る他の単量体として前記したも
の)を共重合成分として含有してもよい。
以上の如く、本発明の樹脂〔B〕は、架橋構造を重合
体の少なくとも1部に有することを特徴とするが、更に
無機光導電体及び該結着樹脂を少なくとも含有する光導
電層形成用分散物調整時の有機溶媒に可溶性であること
を必要とする。具体的には、例えばトルエン溶媒100重
量部に対して、温度25℃において、樹脂〔B〕が少なく
とも5重量部以上溶解するものであればよい。これら塗
布用の溶媒としては、ジクロロメタン、ジクロロエタ
ン、クロロホルム、メチルクロロホルム、トリクレン等
のハロゲン化炭化水素類、メタノール、エタノール、プ
ロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、
テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸
メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロ
ピオン酸メチル等のエステル類、エチレングリコールモ
ノメチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート等の
グリコールエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類等が挙げら
れ、これらは単独で又は混合して使用することができ
る。
更に、樹脂〔B〕の好ましい態様として、一般式(II
I)で示される繰返し単位を少なくとも1種含有する重
合体で、一部が架橋されており、且つ、少なくとも1つ
の主鎖の片末端にのみ、−PO3H2基、−SO3H基、−COOH
基、−OH基、−SH基、 (R0はRと同一の内容を表わす)、環状酸無水物含有
基、−CHO基、−CONH2基−SO2NH2基及び (e1,e2は同じでも異なっていてもよく、水素原子又は
炭化水素基を示す)から選ばれる少なくとも一つの極性
基を結合して成る重量平均分子量5×104以上の好まし
くは重量平均分子量8×104〜6×105の重合体(以下樹
脂〔B′〕とする)を挙げることができる。
樹脂〔B′〕のガラス転移点は好ましくは0℃〜120
℃の範囲、より好ましくは10℃〜95℃である。
ここで、−OH基としては、ビニル基又はアリル基含有
のアルコール類(例えば、アリルアルコール、メタクリ
ル酸エステル、アクリルアミド等のエステル置換基、N
−置換基中に−OH基を含有する化合物等)、ヒドロキシ
フェノール又はヒドロキシフェニル基を置換基として含
有するメタクリル酸エステルもしくはアミド類を挙げる
ことができる。
環状酸無水物含有基としては、前記樹脂〔A〕にて前
記したものと同様のものを挙げることができる。
e1及びe2の具体例としては、水素原子のほか炭素数1
〜10の置換されてもよい脂肪族(例えばメチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル
基、2−シアノエチル基、2−クロロエチル基、2−エ
トキシカルボニルエチル基、ベンジル基、フェネチル
基、クロロベンジル基等)、置換されてもよいアリール
基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、クロ
ロフェニル基、ブロモフェニル基、メトキシカルボニル
フェニル基、シアノフェニル基等)等が挙げられる。
また、樹脂〔B〕における好ましい末端極性基は、−
PO3H2基、−COOH基、−SO3H基、−OH基、−SH基、 −CONH2基及び−SO2NH2基である。
重合体主鎖の片末端のみに結合する前記特定の極性基
は重合体主鎖の一方の末端に直接結合するか、あるいは
任意の連結基を介して結合した化学構造を有する。
結合基としては炭素−炭素結合(一重結合あるいは二
重結合)、炭素−ヘテロ原子結合(ヘテロ原子としては
例えば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子、ケイ素原子
等)、ヘテロ原子−ヘテロ原子結合の原子団の任意の組
合わせで構成されるものである。例えば、 〔R35、R36は水素原子、ハロゲン原子(例えば,フッ素
原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ヒドロキシ
ル基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロ
ピル基等)等を示す〕、CH=CH、 〔ここでR37、R38は各々水素原子、炭素数1〜8の炭化
水素基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチ
ル基、ペンチル基、ヘキシル基、ベンジル基、フェネチ
ル基、フェニル基、トリル基等)又は−OR39(R39は、R
37の炭化水素基と同一の内容を表す)を表わす〕等が挙
げられる。
重合体主鎖の少なくとも1つの片末端にのみ特定の極
性基を結合して成る本発明の樹脂〔B〕は、従来公知の
アニオン重合あるいはカチオン重合によって得られるリ
ビングポリマーの末端に種々の試薬を反応させる方法
(イオン重合法による方法)、分子中に特定の極性基を
含有する重合開始剤及び/又は連鎖移動剤を様いてラジ
カル重合させる方法(ラジカル重合法による方法)、あ
るいは以上の如きイオン重合法もしくはラジカル重合法
によって得られた末端に反応性基含有の重合体を高分子
反応によって本発明の特定の極性基に変換する方法等の
合成法によって容易に製造することができる。
具体的には、P.Dreyfuss,R.P.Quirk,Encycl.Polym.Sc
i.Eng.,:551(1987)、中條善樹、山下雄也「染料と
薬品」、30、232(1985)、上田明、永井進「科学と工
業」60、57(1986)等の総説及びそれに引用の文献等に
記載の方法によって製造することができる。
本発明に用いられる樹脂〔B′〕の重合体は、具体的
には、一般式〔III〕で示される繰返し単位に相当する
単量体、前記した架橋構造を形成させるための多官能性
単量体及び片末端に結合させるべき極性基を含有する連
鎖移動剤の混合物を重合開始剤(例えばアゾビス系化合
物、過酸化物等)により重合する方法、あるいは上記連
鎖移動剤を用いずに、該極性基を含有する重合開始剤を
用いて重合する方法、あるいは連鎖移動剤及び重合開始
剤のいずれにも該極性基を含有する化合物を用いる方
法、更には、前記3つの方法において、連鎖移動剤ある
いは重合開始剤の置換基として、アミノ基、ハロゲン原
子、エポキシ基、酸ハライド基等を含有する化合物を用
いて重合反応後、更に高分子反応でこれらの官能基と反
応させることで該極性基を導入する方法、等を用いて製
造することができる。用いる連鎖移動剤としては、例え
ば該極性基あるいは該極性基に誘導しうる置換基を含有
するメルカプト化合物(例えばチオグリコール酸、チオ
リンゴ酸、チオサリチル酸、2−メルカプトプロピオン
酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプト酪
酸、N−(2−メルカプトプロピオニル)グリシン、2
−メルカプトニコチン酸、3−〔N(2−メルカプトエ
チル)カルバモイル〕プロピオン酸、3−〔N−(2−
メルカプトエチル)アミノ〕プロピオン酸、N−(3−
メルカプトプロピオニル)アラニン、2−メルカプトエ
タンスルホン酸、3−メルカプトプロパンスルホン酸、
4−メルカプトブタンスルホン酸、2−メルカプトエタ
ノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、1
−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプト−2
−ブタノール、メルカプトフェノール2−メルカプトエ
チルアミン、2−メルカプトイミダゾール、2−メルカ
プト−3ピリジノール等)、あるいは上記極性基又は置
換基を含有するヨード化アルキル化合物(例えばヨード
酢酸、ヨードプロピオン酸、2−ヨードエタノール、2
−ヨードエタンスルホン酸、3−ヨードプロパンスルホ
ン酸等)が挙げられる。好ましくはメルカプト化合物が
挙げられる。
これらの連鎖移動剤あるいは重合開始剤は、各々全単
量体100重量部に対して、0.5〜15重量部であり、好まし
くは1〜10重量部である。
本発明では、本発明に従う樹脂〔A〕及び樹脂〔B〕
(〔B′〕も含む)の他に他の樹脂を併用させることも
できる。それらの樹脂としては、例えば、アルキッド樹
脂、ポリブチラール樹脂、ポリオレフィン類、エチレン
−酢ビ共重合体、スチレン樹脂、スチレン−ブタジエン
樹脂、アクリレートブタジエン樹脂、アルカン酸ビニル
樹脂等が挙げられる。
上記他の樹脂は、本発明の樹脂を用いた全結着樹脂量
の30%(重量比)を越えると本発明の効果(特に静電特
性の向上)が失われる。
本発明に用いる樹脂〔A〕と樹脂〔B〕の使用量の割
合は、使用する無機光導電材料の種類、粒径、表面状態
によって異なるが一般に樹脂〔A〕と樹脂〔B〕の用い
る割合は5〜60対95〜40(重量比)であり、好ましくは
10〜50対90〜50(重量比)である。
本発明に使用する無機光導電材料としては、酸化亜
鉛、酸化チタン、硫化亜鉛、硫化カドミウム、炭酸カド
ミウム、セレン化亜鉛、セレン化カドミウム、セレン化
テルル、硫化鉛等が挙げられる。
好ましくは、酸化亜鉛、酸化チタン等が挙げられる。
無機光導電材料に対して用いる結着樹脂の総量は、光導
電体100重量部に対して結着樹脂を10〜100重量部なる割
合、好ましくは15〜50重量部なる割合で使用する。
本発明では、必要に応じて各種の色素を分光増感剤と
して併用することができる。例えば、宮本晴視:武井秀
彦;イメージング1973(No.8)第12頁、C.J.Young等、R
CA Review15、469(1954)、清田航平等,電気通信学会
論文誌J63−C(No.2),97(1980)、原崎勇次等、工業
化学雑誌66、78及び188(1963),谷忠昭、日本写真学
会誌35、208(1972)等の総説引例のカーボニウム系色
素、ジフェニルメタン色素、トリフェニルメタン色素、
キサンテン系色素、フタレイン系色素、ポリメチン色素
(例えばオキソノール、メロシアニン色素、シアニン色
素、ロダシアニン色素、スチリル色素年)、フタロシア
ニン色素(金属を含有していてもよい)等が挙げられ
る。
更に具体的には、カーボニウム系色素、トリフェニル
メタン系色素、キサンテン系色素、フタレイン系色素を
中心に用いたものとしては、特公昭51−452号、特開昭5
0−90334号、特開昭50−114227号、特開昭53−39130
号、特開昭53−82353号、米国特許第3052540号、米国特
許第4054450号、特開昭57−16456号等に記載のものが挙
げられる。
オキソノール色素、メロシアニン色素、シアニン色
素、ロダシアニン色素等のポリメチン色素としてはF.M.
Hammer、「The Cyanine Dyes and Related Compounds」
等に記載の色素類が使用可能であり、更に具体的には、
米国特許第3047384号、米国特許第3110591号、米国特許
3121008号、米国特許第3125447号、米国特許第3128179
号、米国特許第3132942号、米国特許第3622317号、英国
特許第1226892号、英国特許第1309274号、英国特許第14
05898号、特公昭48−7814号、特公昭55−18892号等に記
載の色素が挙げられる。
更に、700nm以上の長波長の近赤外〜赤外光域を分光
増感するポリメチン色素として、特開昭47−840号、特
開昭47−44180号、特公昭51−41061号、特開昭49−5034
号、特開昭49−45122号、特開昭57−46245号、特開昭56
−35141号、特開昭57−157254号、特開昭61−26044号、
特開昭61−27551号、米国特許第3619154号、米国特許第
4175956号、「Research Disclosure」1982年、216、第1
17〜118頁等に記載のものが挙げられる。
本発明の感光体は種々の増感色素を併用させても、そ
の性能が増感色素により変動しにくい点でも優れてい
る。
更には、必要に応じて、化学増感剤等の従来知られて
いる電子写真感光層用各種添加剤を併用することもでき
る。例えば、前記した総説:イメージング1973(No.8)
第12頁等の総説引例の電子受容性化合物(例えばハロゲ
ン、ベンゾキノン、クラニル、酸無水物、有機カルボン
酸等)、小門宏等、「最近の光導電材料と感光体の開発
・実用化」第4章〜第6章:日本科学情報(株)出版部
(1986年)の総説引例のポリアリールアルカン化合物、
ヒンダートフェノール化合物、p−フェニレンジアミン
化合物等が挙げられる。
これら各種添加剤の添加量は特に限定的ではないが、
通常光導電体100重量部に対して0.001〜2.0重量部であ
る。
光導電層の厚さは1〜100μ、特に10〜50μ、が好適
である。
また、電荷発生層と電荷輸送層の積層型感光体の電荷
発生層として光導電層を使用する場合は電荷発生層の厚
さは0.01〜1μ、特に0.05〜0.5μ、が好適である。
積層型感光体の電荷輸送材料としてはポリビニルカル
バゾール、オキサゾール系色素、ピラゾリン系色素、ト
リフェニルメタン系色素などがある。電荷輸送層の厚さ
としては5〜40μ、特には10〜30μが好適である。
絶縁層あるいは電荷輸送層の形成に用いる樹脂として
は、代表的なものは、ポリスチレン樹脂、ポリエステル
樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、塩化ビニル
樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩ビ−酢ピ共重合体樹脂、ポリ
アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、エ
ポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂の熱可塑性
樹脂および硬化性樹脂が適宜用いられる。
本発明による光導電層は、従来公知の支持体上に設け
ることができる。一般に言って電子写真感光層の支持体
は、導電性であることが好ましく、導電性支持体として
は、従来と全く同様、例えば、金属、紙、プラスチック
シート等の基体に低抵抗性分質を含浸させるなどして導
電処理したもの、基体の裏面(感光層を設ける面と反対
面)に導電性を付与し、更にはカール防止を図る等の目
的で少なくとも1層以上をコートしたもの、前記支持体
の表面に耐水性接着層を設けたもの、前記支持体の表面
層に必要に応じて少なくとも1層以上のプレコート層が
設けられたもの、Al等を蒸着した基体導電化プラスチッ
クを紙にラミネートしたもの等、が使用できる。
具体的に、導電性基体あるいは導電化材料の例とし
て、坂本幸男,電子写真、14、(No.1)、第2〜11頁
(1975)、森賀弘之、「入門特殊紙の化学」高分子刊行
会(1975)、M.F.Hoover,J.Macromol.Sci.Chem.A−4
(6),第1327〜1417頁(1970)等に記載されているも
の等を用いる。
(実施例) 以下に本発明の実施例を例示するが、本発明の内容が
これらに限定されるものではない。
マクロモノマー(M)の合成例1:(M−1) トリフェニルメチルメタクリレート30g及びトルエン1
00gの混合溶液を窒素気流下に充分に脱気し−20℃に冷
却した。1,1−ジフェニルブチルリチウム1.0gを加え10
時間反応した。
更にこの混合溶液に、エチルメタクリレート70g及び
トルエン100gの混合溶液を窒素気流下に充分に脱気した
後、添加し、更に10時間反応した。この混合物を0℃に
した後炭酸ガスを60ml/minの流量で30分間通気し、重合
反応を停止させた。
得られた反応液を撹拌下に、温度25℃とし、2−ヒド
ロキシエチルメタクリレート6gを加え、更に、ジシクロ
ヘキシルカルボジイミド12g、4−N,N−ジメチルアミノ
ピリジン1.0g及び塩化メチレン20gの混合溶液を30分間
で滴下し、そのまま3時間撹拌した。
析出した不溶物を濾別後、この混合溶液に、30%塩化
水素エタノール溶液10mlを加え1時間撹拌した。次に、
減圧下に反応混合物を全体量が半分になるまで溶媒を留
去した後、石油エーテル1中に再沈した。沈殿物を補
集し、減圧乾燥して得られた重合体は、w6.5×103
収量56gであった。
マクロモノマー(M)の合成例2:(M−2) ベンジルメタクリレート5g、(テトラフェニルポルフ
ィナート)アルミニウムメチル0.1g及び塩化メチレン60
gの混合溶液を窒素気流下に温度30℃とした。これに300
W−キセノンランプ光をガラスフィルターを通して25cm
の距離から光照射し、12時間反応した。この混合物に更
にブチルメタクリレート45gを加え、同様に8時間光照
射した後、この反応混合物に4−ブロモメチルスチレン
10gを加え、30分間撹拌し反応を停止させた。
次にこの反応混合物にPd−Cを加え、温度25℃で1時
間接触還元反応を行なった。
不溶物を濾別した後石油エーテル500ml中に再沈し、
沈殿物を補集し乾燥した。得られた重合体は収量33gで
w7×103であった。
マクロモノマー(M)の合成例3:(M−3) 4−ビニルフェニルオキシトリメチルシラン20g及び
トルエン100gの混合溶液を窒素気流下に、充分に脱気
し、0℃に冷却した。1,1−ジフェニル−3−メチルペ
ンチルリチウム2gを加え、6時間撹拌した。更にこの混
合物に2−クロロ−6−メチルフェニルメタクリレート
80g及びトルエン100gの混合溶液を窒素気流下に充分脱
気した後、添加して8時間反応した。この反応混合物に
充分に撹拌しながらエチレンオキサイドを30ml/minの流
量で30分間通気した後、温度15℃に冷却しメタクリル酸
クロライド12gを30分間で滴下し、更にそのまま3時間
撹拌した。
次にこの反応混合物に30%塩化水素エタノール溶液10
gを加え、25℃で1時間撹拌した後、石油エーテル1
中に再沈し、補集した沈殿物をジエチルエーテル300ml
で2回洗浄し乾燥した。得られた重合体は、収量55gで
w7.8×103であった。
マクロモノマー(M)の合成例4:(M−4) トリフェニルメチルメタクリレート40g及びトルエン1
00gの混合溶液を窒素気流下に充分に脱気し、−20℃に
冷却した。
sec−ブチルリチウム2gを加え10時間反応した。次
に、この混合溶液に、スチレン60g及びトルエン100gの
混合溶液を充分に窒素気流下で脱気した後、添加し12時
間反応した。この混合物を0℃にした後、ベンジルブロ
マイド11gを加え1時間反応し、温度25℃で更に2時間
反応させた。
この反応混合物に30%塩水素含有エタノール溶液10g
を加え、2時間撹拌した。不溶物を濾別後、n−ヘキサ
ン1中に再沈し、沈殿物を補集して減圧乾燥した。得
られた重合体の収量は58gでw4.5×103であった。
マクロモノマー(M)の合成例5:(M−5) フェニルメタクリレート70g、ベンジル−N−ヒドロ
キシルエチル−N−エチルジチオカーバメート4.8gの混
合物を、窒素気流下に容器に密閉し、温度60℃に加温し
た。これに400Wの高圧水銀灯で10cmの距離からガラスフ
ィルターを通して、10時間光照射し光重合した。これに
アクリル酸30g及びメチルエチルケトン180gを加えた
後、窒素置換し再び10時間光照射した。
得られた反応混合物に、2−イソシアナートエチルメ
タクリレート12gを、温度30℃で1時間で滴下し、更に
2時間撹拌した。
得られた反応物をヘキサン1.5に再沈、補集し乾燥
した。得られた重合体は、68gでw6.0×103であった。
樹脂〔A〕の合成例1:〔A−1〕 エチルメタクリレート80g、マクロモノマー(M−
1)120g、トルエン150gの混合溶液を窒素気流下に温度
95℃に加温した。2,−アゾビス(イソブチロニトリ
ル)(AIBN)6gを加え3時間反応し、更に2時間毎にA.
I.B.N2gを加え反応した。
得られた共重合体のwは9×103であった。
樹脂〔A〕の合成例2:〔A−2〕 2−クロロフェニルメタクリレート70g、マクロモノ
マー(M−2)30g、n−ドデシルメルカプタン2g及び
トルエン100gの混合溶液を窒素気流下に温度80℃に加温
した。2,−アゾビス(イソバレロニトリル)(AIVN)
3gを加え3時間反応し、更にA.I.V.N.1gを加え2時間反
応した。次にA.I.B.N.1gを加え温度90℃に加温して3時
間反応した。得られた共重合体のwは7.6×103であっ
た。
樹脂〔A〕の合成例3〜18:[A−3]〜[A−18] 樹脂〔A〕の合成例1と同様の重合条件で、エチルメ
タクリレートを他の単量体に代えて下記表−1の共重合
体を合成した。得られた各重合体のwは5×103〜9
×103であった。
樹脂〔A〕の合成例19〜35:[A−19]〜[A−35] 樹脂〔A〕の合成例2において、マクロモノマー(M
−2)の代わりに他のマクロモノマー(M)を用いた他
は、合成例2と同様の重合条件で下記表−2の共重合体
を合成した。得られた各重合体のwは2×103〜1×1
04であった。
樹脂〔B〕の合成例1:〔B−1〕 エチルメタクリレート100g、エチレングリコールジメ
タクリレート1.0g及びトルエン200gの混合溶液を窒素気
流下75℃の温度に加温した後、アゾビスイソブチロニト
リル1.0gを加え、10時間反応させた。得られた共重合体
〔B−1〕の重量平均分子量は4.2×105であった。
樹脂〔B〕の合成例2〜19:〔B−2〜B−19〕 樹脂〔B〕の合成例1と同様の重合条件でモノマー
と、架橋モノマーを下記表−3の化合物を用いて、樹脂
〔B〕を製造した。
樹脂〔B〕の合成例20:〔B−20〕 エチルメタクリレート99gエチレングリコールジメタ
クリレート1gトルエン150g及びメタノール50gの混合溶
液を窒素気流下70℃の温度に加温した後、4,4′−アゾ
ビス(4−シアノペンタン酸)1.0gを加え、8時間反応
した。
得られた共重合体のwは1.0×105であった。
樹脂〔B〕の合成例21〜24:〔B−21〜B−24〕 上記樹脂〔B〕の合成例20において、重合開始剤:4,
4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)の代わりに下
記表−4の化合物を用いて、合成例20と同様の条件で樹
脂〔B〕を各々製造した。各樹脂のwは1.0×105〜3
×105であった。
樹脂〔B〕の合成例25:〔B−25〕 エチルメタクリレート99g、チオグリコール酸1.0g、
ジビニルベンゼン2.0g及びトルエン200gの混合溶液を窒
素気流下撹拌しながら温度80℃に加温した。2,2′−ア
ゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(略称
A.C.H.N.)0.8gを加え4時間反応し、更に、A.C.H.N.を
0.4g加えて2時間、その後A.C.H.N.を0.2g加えて、2時
間反応した。得られた共重合体のwは1.2×105であっ
た。
樹脂〔B〕の合成例26〜38:〔B−26〜B−38〕 樹脂〔B〕の合成例25において、架橋用多官能性単量
体であるジビニルベンゼン2.0gの代わりに、下記表−5
の多官能性単量体又はオリゴマーを用いる他は、合成例
25と同様に操作して、樹脂〔B〕を製造した。
樹脂〔B〕の合成例39〜46:〔B−39〜B−46〕 メチルメタクリレート39g、エチルメタクリレート60
g、下記表−6のメルカプト化合物1.0gエチレングリコ
ールジメタクリレート2gトルエン150g及びメタノール50
gの混合溶液を窒素気流下70℃の温度に加温した後、2,
2′−アゾビス(イソブチロニトリル)0.8gを加え4時
間反応し、更に、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリ
ル)0.4gを加えて4時間反応した。
得られた各重合体のwは9.5×104〜2×105であっ
た。
実施例1及び比較例A〜B 樹脂〔A−2〕6g(固形分量として)、樹脂〔B−2
0〕34g(固形分量として)、下記構造のシアニン色素
〔I〕0.018g及びトルエン300gの混合物をボールミル中
で3時間分散して、感光層形成物を調製し、これを導電
処理した紙に、乾燥付着量が25g/m2となる様に、ワイヤ
ーバーで塗布し、110℃で30秒間乾燥し、ついで暗所で2
0℃65%RHの条件下で24時間放置することにより、電子
写真感光材料を作製した。
シアニン色素〔I〕 比較例A: 実施例1において用いた結着樹脂〔A−2〕6gの代わ
りに下記に示す樹脂〔R−1〕6gを用いる以外は、実施
例1と同様の操作で、電子写真感光材料を作製した。
〔R−1〕 比較例B: 実施例1において用いた結着樹脂〔A−2〕6gの代わ
りに下記に示す樹脂〔R−2〕6gを用いる以外は、実施
例1と同様の操作で、電子写真感光材料を作製した。
これらの感光材料の皮膜性(表面の平滑度)、静電特
性、撮像性及び環境条件を30℃、80%RHとした時の撮像
性を調べた。更に、これらの感光材料をオフセットマス
ター用原版として用いた時の光導電性の不感脂化性(不
感脂化処理後の光導電層の水との接触角で表わす)及び
印刷性(地汚れ、耐刷性等)を調べた。
以上の結果をまとめて表−7に示す。
表−7に示した評価項目の実施の態様は以下の通りで
ある。
注1)光導電層の平滑性: 得られた感光材料は、ベック平滑度試験機(熊谷理工
(株)製)を用い、空気容量1ccの条件にて、その平滑
度(sec/cc)を測定した。
注2)光導電層の機械的強度: 得られた感光材料面をヘイドン−14型表面性試験材
(新東化学(株)製)を用いて荷重60g/cm2のものでエ
メリー紙(#1000)で1000回繰り返し探り摩耗粉を取り
除き感光層の重量減少から残膜率(%)を求め機械的強
度とした。
注3)静電特性: 温度20℃、65%RHの暗室中で、各感光材料にペーパー
アナライザー(川口電機(株)製ペーパーアナライザー
SP−428型)を用いて−6kVで20秒間コロナ放電させた
後、10秒間放置し、この時の表面電位V10を測定した。
次いでそのまま暗中で120秒間静置させた後の電位V130
を測定し、120秒間暗減衰させた後の電位の保持性、即
ち、暗減衰保持率〔DRR(%)〕を(V130/V10)×100
(%)で求めた。
又コロナ放電により光導電層表面を−500Vに帯電させ
た後、波長785nmの単色光で照射し、表面電位(V10)が
1/10に減衰するまでの時間を求め、これから露光量E
1/10(erg/cm2)を算出する。更にE1/10測定と同様に
コロナ放電により−500Vに帯電させた後、波長785nmの
単色光で照射し、表面電位(V10)が1/100に減衰するま
での時間を求め、これから露光量E1/100(erg/cm2)を
算出する。
注4)撮像性: 各感光材料を以下の環境条件で1昼夜放置した。次に
−5kVで帯電し、光源として2.8mW出力のガリウム−アル
ミニウム−ヒ素、半導体レーザー(発振波長785nm)を
用いて、感光材料表面上で50erg/cm2の照射量下、ピッ
チ25μm及びスキャニング速度300m/secのスピード露光
後液体現像剤として、ELP−T(富士写真フイルム
(株)製)を用いて現像し、定着することで得られた複
写画像(カブリ、画像の画質)を目視評価した。
撮像時の環境条件は20℃65%RHと30℃80%RHで実施し
た。
注5)水との接触角: 各感光材料を不感脂化処理液EPL−EX(富士写真フイ
ルム(株)製)を蒸留水で2倍に希釈した溶液を用い
て、エッチングプロセッサーに1回通して光導電層面を
不感脂化処理した後、これに蒸留水2μの水滴を乗
せ、形成させた水との接触角をゴニオメーターで測定す
る。
注6)耐刷性: 各感光材料を、上記注4)と同条件で、製版して、ト
ナー画像を形成し、上記注5)と同条件で不感脂化処理
し、これをオフセットマスターとして、オフセット印刷
機(桜井製作所(株)オリバー52型)にかけ、印刷物の
非画像部の地汚れ及び画像部の画質に問題が生じないで
印刷できる枚数を示す(印刷枚数が多い程、耐刷性が良
好なことを表わす)。
表−7に示す様に、本発明の感光材料は、光導電層の
平滑性膜の強度及び静電特性が良好で、実際の複写画像
も地カブリがなく複写画質も鮮明であった。このことは
光導電体と結着樹脂が充分に吸着し、且つ、粒子表面を
被覆していることによるものと推定される。同様の理由
で、オフセットマスター原版として用いた場合でも不感
脂化処理液による不感脂化処理が充分に進行し、非画像
部の水との接触角が10度以下と小さく、充分に親水化さ
れていることが判る。実際に診察して印刷物の地汚れを
観察しても地汚れは全く認められなかった。
又、比較例A,Bは、静電特性が低下し、特に高温・高
湿下では、D.R.R.値が更に低下した。(E値が小さくな
っているが、これはD.R.R.値が小さくなるため、見かけ
上小さい値となる)。
これらのレベルでは、撮像条件によっては、実用可能
なレベルになるが、環境条件の変動あるいは粗悪な原稿
(例えば、文字が薄い、背景が白地でない等)等の場合
には、複写画像は悪化して、実用に供しえなくなる。
更には、本発明の感光体と比較例の感光体とではE
1/100値が大きく異なる。E1/100値は、実際の撮像性に
おいて、露光後、非画像部(既に露光された部位)にど
れだけの電位が残っているかを示すものであり、この値
が小さい程現像後の非画像部の地汚れが生じなくなる事
を示す。
具体的には−10V以下の残留電位にすることが必要と
なり、即ち実際にはVR−10V以下とするために、どれだ
け露光量が必要となるかということで、半導体レーザー
光によるスキャンニング露光方式では、小さい露光量で
VRを−10V以下にすることは、複写機の光学系の設計上
(装置のコスト、光学系光路の精度等)非常に重要なこ
とである。
以上の事より、露光照射量を少し少なくした装置で実
際に撮像すると、比較例A,Bの感光材料は、画像部に細
線等のカスレ部分又は非画像部に地カブリが発生してし
まった。又、オフセットマスター原版として用いた場合
でも、本発明の感光材料が1万枚以上印刷できる印刷条
件で、比較例A,Bでは複写画像の地カブリが、刷り出し
からの印刷物の地汚れとして発生してしまった。
以上のことより、本発明の樹脂を用いた場合にのみ静
電特性及び印刷適正を満足する電子写真感光体が得られ
る。
実施例2〜17 実施例1において、樹脂〔A−2〕及び樹脂〔B−2
0〕に代えて、下記表−8の各樹脂〔A〕及び各樹脂
〔B〕に代えた他は、実施例1と同様に操作して、各電
子写真感光体を作製した。
実施例1と同様にして静電特性を測定した。結果を表
−8に示す。
又、オフセットマスター原版として用いて、実施例1
と同様にして印刷した所、いずれも1万枚以上印刷する
ことができた。
以上から、本発明の各感光材料は光導電層の平滑性、
膜強度、静電特性及び印刷性の全ての点において良好な
ものであった。
さらに、樹脂〔A′〕を用いることにより静電特性が
さらに向上することが判った。
実施例18〜27 実施例1において結着樹脂として下記表−9の樹脂
〔A〕6g及び樹脂〔B〕34gに代え、又、シアニン色素
〔I〕0.02gの代わりに下記構造の色素〔II〕0.019gに
代えた他は、実施例1と同様の条件で電子写真感光材料
を作製した。
色 素〔II〕 本発明の感光材料は、いずれも帯電性、暗電荷保持
率、光感度に優れ、実際の複写画像も高温・高湿の(30
℃、80%RH)の過酷な条件においても、地カブリの発生
のない、鮮明な画像を与えた。
更に、これをオフセットマスターの原版として用いて
印刷した所、地カブリのない鮮明な画質の印刷物を1万
枚以上印刷できた。
実施例28及び29並びに比較例C 樹脂〔A−1〕(実施例28)又は樹脂〔A−2〕(実
施例29)のいずれか6.5g、樹脂〔B−21〕33.5g、酸化
亜鉛200g、ウラニン0.02g、下記構造のメチン色素
〔D〕0.03g、下記構造のメチン色素〔E〕0.03gP−ヒ
ドロキシ安息香酸0.18g及びトルエン300gの混合物をホ
モジナイザー(日本精機(株)製)中、1×104r.p.m.
で15分間分散して感光層形成物を調整し、これを導電処
理した紙に、乾燥付着量が25g/m2となる様にワイヤーバ
ーで塗布し、110℃で1分間乾燥した。次いで暗所で20
℃、65%RHの条件下で24時間放置することにより各電子
写真感光体を作製した。
メチン色素〔D〕 メチン色素〔E〕 比較例C 実施例28において、樹脂〔B−1〕6.5gの代わりに、
前記樹脂〔R−2〕6.5gを用いた他は、実施例28と同様
にして、感光材料を作製した。
実施例1と同様に、各感光材料の各特性を調べた。そ
の結果を下記表−10にまとめた。
上記の測定において、静電特性及び撮像性については
下記の操作に従った他は、実施例1と同様の操作で行な
った。
注7)静電特性のE1/10及びE1/100の測定方法 コロナ放電により光導電層表面を−400Vに帯電させた
後、該光導電層表面を照度2.0ルックスの可視光で照射
し、表面電位(V10)が1/10又はE1/100に減衰するまで
の時間を求め、これから露光量E1/10又はE1/100(ル
ックス・秒)を算出する。
注8)撮像性 各感光材料を以下の環境条件で1昼夜放置した後、全
自動製版機EPL−404V(富士写真フイルム(株)製)でE
PL−Tをトナーとして用いて製版して得られた複写画像
(カブリ、画像の画質)を目視評価した。撮像時の環境
条件は、20℃65%RH(I)と30℃80%RH(II)で実施し
た。但し、複写用の原稿(即ち、版下原稿)には、ほか
の原稿を切り抜いて、貼り込みを行なって作成したもの
を用いた。
各感光材料において、光導電層の平滑性及び強度にお
いて、その差は認められなかった。しかし、静電特性に
おいて、比較例Cは、特に光感度E1/100の値が大き
く、これは高温、高湿になるとより一層助長され、劣化
してしまった。本発明の感光材料の静電特性は良好であ
り、更に、特定の置換基を有する樹脂〔A〕を用いた実
施例29は、非常に良好であり、特にE1/100の値が小さ
くなった。
実際の撮像性を調べて見ると、比較例Cは、複写画像
として原稿以外に、切り抜いて貼り込んだ部分の枠(即
ち、貼り込み跡)が非画像部の地汚れとして認められ
た。しかし、本発明のものは、いずれも、地汚れのな
い、鮮明な画像のものが得られた。
更に、これらをオフセット印刷用原版として不感脂化
処理して印刷した所、本発明のものはいずれも地汚れの
ない鮮明な画質の印刷物が1万枚得られた。しかし、比
較例Cは、上記の貼り込み跡が、不感脂化処理でも除去
されず、刷り出しの印刷物から発生してしまった。
以上のことより、本発明の感光材料のみが、良好な特
性を与えることができた。
実施例30〜41 実施例28において、樹脂〔A−1〕6.5g及び樹脂〔B
−21〕33.5gの代わりに、下記表−11の樹脂〔A〕6.5g
及び樹脂〔B〕33.5gを用いた他は、実施例28と同様に
して各感光材料を作製した。
本発明の感光材料はいずれも帯電性、暗電荷保持率、
光感度に優れ、実際の複写画像も高温高湿(30℃、80%
RH)の過酷な条件においても地カブリの発生や細線飛び
の発生等のない鮮明な画像を与えた。
更にオフセットマスター原版として印刷した所、少な
くとも7000枚以上印刷しても地汚れの発生のない鮮明な
画質の印刷物が得られた。
実施例42 下記構造の樹脂〔A−36〕7g、樹脂〔B−18〕31g、
酸化亜鉛200g、ウラニン0.02g、ローズベンガル0.04g、
ブロムフェノールブルー0.03g、無水フタル酸0.20g及び
トルエン300gの混合物をボールミル中で3時間分散し
た。次にこの分散物に1,3−キシリレンジイソシアナー
ト2.5gを加え、更にボールミルで10分間分散した。
これを導電処理した紙に、乾燥付着量が20g/m2となる
様にワイヤーバーで塗布し、110℃で1分間乾燥し、更
に120℃で1.5時間加熱した。次いで暗所で20℃、65%RH
の条件下で24時間放置することにより各電子写真感光体
を作製した。
これらの感光材料を実施例28と同様にして、静電特性
及び撮像性を調べたところ、良好な性能を示した。
更に、オフセット印刷用原版として印刷した所、樹脂
〔B〕を用いても、1万枚以上の印刷が可能となった。
これは、樹脂〔A〕中の硬化性基が成膜後の加熱処理
で架橋し、膜強度が向上したものと考えられる (発明の効果) 本発明によれば、過酷な条件下において優れた静電特
性と機械的強度を有する電子写真感光体を得ることがで
きる。また、本発明の感光体は、半導体レーザー光を用
いたスキャンニング露光方式に有効である。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機光導電材料及び結着樹脂を少なくとも
    含有する光導電槽を有する電子写真感光体において、該
    結着樹脂が、下記樹脂〔A〕の少なくとも1種及び下記
    樹脂〔B〕の少なくとも1種を含有して成ることを特徴
    とする電子写真感光体。 樹脂〔A〕; 1×103〜2×104の重量平均分子量を有し、−PO3H
    2基、−COOH基、−SO3H基、フェノール性OH基、 {Rは炭化水素基又は−OR′基(R′は炭化水素基)を
    示す}及び環状酸無水物含有基から選択される少なくと
    も1つの酸性基を含有する重合体成分を少なくとも1種
    含有するAブロックと、下記一般式(I)で示される重
    合体成分を少なくとも含有するBブロックとから構成さ
    れるA・Bブロック共重合体のBブロックの重合体主鎖
    の末端に重合性二重結合基を結合して成る一官能性マク
    ロモノマー(M)を少なくとも1種共重合成分として含
    有するグラフト型共重合体。 一般式(I) 〔式(I)中、a1及びa2はそれぞれ水素原子、ハロゲン
    原子、シアノ基又は炭化水素基を表わす。V1は−COO
    −、−OCO−、CH2 l1OCO−、CH2 l2COO−(l1、l
    2は1〜3の整数を表わす)、−O−、−SO2−、−CO
    −、 −CONHCOO−、−CONHCONH−又は を表わす(ここでP1は水素原子又は炭化水素基を表わ
    す)。 R1は、炭化水素基を表わす。但しV1を表わす場合、R1は水素原子又は炭化水素基を表わ
    す。〕 樹脂〔B〕; 5×104以上の重量平均分子量を有し、下記一般式(II
    I)で示される繰り返し単位を重合体成分として少なく
    とも含有し、且つ光導電層形成用分散物調整前に予め架
    橋構造を有する樹脂。 一般式(III) 〔式中、V3は−COO−、−OCO−、−CH2OCO−、−CH2COO
    −、−O−又は−SO2−を表わす。 R3は炭素数1〜22の炭化水素基を表わす。 d1及びd2は、互いに同じでも異なってもよく、各々水素
    原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜8の炭化水
    素基、−COO−Z3又は炭素数1〜8の炭化水素基を介し
    た−COO−Z3(Z3は炭素数1〜18の炭化水素基を表わ
    す)を表わす。〕
  2. 【請求項2】該樹脂〔A〕において、該マクロノマー
    (M)とともに下記一般式(II)で表わされる単量体を
    少なくとも1種共重合成分として含有する事を特徴とす
    る請求項(1)記載の電子写真感光体。 一般式(II) 〔式(II)において、R2は炭化水素基を表わす。〕
  3. 【請求項3】該樹脂〔A〕において、該マクロモノマー
    (M)とともに、下記一般式(II a)及び一般式(II
    b)で示される単量体のうちの少なくとも1種を共重合
    成分として30重量%以上含有する事を特徴とする請求項
    (2)記載の電子写真感光体。 一般式(II a) 一般式(II b) 〔式中、X1及びX2は互いに独立に、それぞれ水素原子、
    炭素数1〜10の炭化水素基、塩素原子、臭素原子、−CO
    Z2又は−COOZ2(Z2は各々炭素数1〜10の炭化水素基を
    示す)を表わす。但し、X1とX2がともに水素原子を表わ
    すことはない。 L1及びL2はそれぞれ−COO−とベンゼン環を結合する、
    単結晶又は連結原子数1〜4個の連結基を表わす。〕
  4. 【請求項4】樹脂〔B〕が、更に、少なくとも1つの重
    合体主鎖の片末端のみに−PO3H2基、−SO3H基、−COOH
    基、−OH基、−SH基、 (R0はRと同一の内容を表わす)、環状酸無水物含有
    基、−CHO基、−CONH2基、−SO2NH2基及び 基(e1、e2は同じでも異なってもよく、各々水素原子ま
    たは炭化水素基を表わす)から選択される少なくとも1
    つの極性基を結合して成る樹脂である請求項(1)〜
    (3)項のいずれかに記載の電子写真感光体。
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