JP2655361B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JP2655361B2 JP13258690A JP13258690A JP2655361B2 JP 2655361 B2 JP2655361 B2 JP 2655361B2 JP 13258690 A JP13258690 A JP 13258690A JP 13258690 A JP13258690 A JP 13258690A JP 2655361 B2 JP2655361 B2 JP 2655361B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は電子写真感光体に関し、詳しくは静電特性及
び耐湿性に優れた電子写真感光体に関する。特にCPC感
光体として性能の優れたものに関する。
〔従来の技術〕
電子写真感光体は、所定の特性を得るため、あるいは
適用される電子写真プロセスの種類に応じて、種々の構
成をとる。
電子写真感光体の代表的なものとして、支持体上に光
導電層が形成されている感光体及び表面に絶縁層を備え
た感光体があり、広く用いられている。
支持体と少なくとも1つの光導電層から構成される感
光体は、最も一般的な電子写真プロセスによる、即ち帯
電、画像露光及び現像、更に必要に応じて転写による画
像形成に用いられる。
更には、ダイレクト製版用のオフセット原版として電
子写真感光体を用いる方法が広く実用されている。特に
近年、ダイレクト電子写真平版は数百枚から数千枚程度
の印刷枚数で高画質の印刷物を印刷する方式として重要
となってきている。
電子写真感光体の光導電層を形成するために使用する
結着樹脂は、それ自体の成膜性および光導電性粉体の結
着樹脂への分散能力が優れるとともに、形成された記録
体層の基材に対する接着性が良好であり、しかも記録体
層の光導電層は帯電能力に優れ、暗減衰が小さく、光減
衰が大きく、前露光疲労が少なく、且つ、撮影時の湿度
の変化によってこれら特性を安定に保持していることが
必要である等の各種の静電特性および優れた撮像性を具
備する必要がある。
更に、電子写真感光体を用いた平版印刷用原版の研究
が鋭意行なわれており、電子写真感光体としての静電特
性と印刷原版としての印刷特性を両立させた光導電層用
の結着樹脂が必要である。
しかしながら従来公知の結着樹脂には、特に帯電性、
暗電荷保持性、光感度の如き静電特性、光導電層の平滑
性等に多くの問題があった。
これらの問題を解決するために、結着樹脂として酸性
基を重合体の側鎖に含有する共重合体成分を0.05〜10重
量%含有する低分子量の樹脂又は酸性基を重合体主鎖の
末端に結合する低分子量の樹脂(w103〜104)を用い
ることにより、光導電層の平滑性及び静電特性を良好に
し、しかも地汚れのない画質を得ることがそれぞれ特開
昭63−217354号及び特開昭64−70761号および特開平2
−67563号に記載されている。
また、結着樹脂として、酸性基を共重合体の側鎖に含
有し、又は重合体主鎖の末端に結合し、且つ熱及び/又
は光硬化性官能基を含有する重合成分を含有する樹脂を
用いる技術が特開平1−100554号、特願昭63−39690号
に、酸性基を共重合体の側鎖に含有し、又は重合体主鎖
の末端に結合する樹脂を架橋剤と併用する技術が特開平
1−102573号、同2−874号にそれぞれ開示され、更に
該樹脂の低分子量体(重量平均分子量103〜104)を高分
子量(重量平均分子量104以上)の樹脂と組合せて用い
る技術が特開昭64−564号、同63−220149号、同63−220
148号、特開平1−280761号、同1−116643号及び同1
−169455号に、かかる低分子量体を熱及び/又は光硬化
性樹脂と組合せて用いる技術が特開平1−211766号及び
同2−34859号、かかる低分子量体をクシ型ポリマーと
組合せて用いる技術が特開平2−53064号、同2−56558
号及び特願昭63−254786号にそれぞれ開示されている。
これらの技術により、側鎖又は末端に酸性基を含有する
樹脂を用いたことによる上記特性を阻害せずにさらに光
導電層の膜強度を充分ならしめ、機械的強度が増大され
ることが記載されている。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、これらの樹脂を用いても、環境が高温
・高湿から低温・低湿まで著しく変動した場合における
安定した性能の維持においてはいまだ不充分であること
が判った。特に半導体レーザー光を用いたスキャニング
露光方式では、従来の可視光による全面同時露光方式に
比べ、露光時間が長くなり、また露光強度にも制約があ
ることから、静電特性、特に暗電荷保持特性、光感度に
対して、より高い性能が要求される。
更には、電子写真式平版印刷用原版において、半導体
レーザー光を用いたスキャニング露光方式を採用した場
合、従来の感光体で実際に試験してみると、上記の静電
特性が不満足であるとともに、特にE1/2とE1/10との
差が大きく複写画像の階調が軟調となり、更には露光後
の残留電位を小さくするのが困難となり、複写画像のカ
ブリが顕著となってしまい、又、オフセットマスターと
して印刷しても、印刷物に印刷原稿の貼り込み跡が出て
しまう等の重大な問題となって現れた。
本発明は、以上の様な従来の電子写真感光体の有する
課題を改良するものである。
本発明の目的は、複写画像形成時の環境が低温低湿あ
るいは高温高湿の如く変動した場合でも、安定して良好
な静電特性を維持し、鮮明で良質な画像を有する電子写
真感光体を提供することである。
本発明の他の目的は、静電特性に優れ且つ環境依存性
の小さいCPC電子写真感光体を提供することである。
本発明の他の目的は、半導体レーザー光を用いたスキ
ャニング露光方式に有効な電子写真感光体を提供するこ
とである。
本発明の更なる目的は、電子写真式平版印刷原版とし
て、静電特性(特に暗電荷保持性及び光感度)に優れ、
原画に対して忠実な複写画像を再現し、且つ、印刷物の
全面一様な地汚れはもちろん点状の地汚れをも発生させ
ず、また耐刷性の優れた平版印刷原版を提供することで
ある。
(課題を解決するための手段) 上記目的は無機光導電体及び結着樹脂を少なくとも含
有する光導電層を有する電子写真感光体において該結着
樹脂が、下記に示される樹脂〔A〕の少なくとも1種と
樹脂〔B〕の少なくとも1種とを含有して成る事を特徴
とする電子写真感光体により達成されることが見出され
た。
樹脂〔A〕; 1×103〜2×104の平均分子量を有し、−PO3H2基、
−COOH基、−SO3H基、フェノール性OH基、 {Rは炭化水素基又は−OR′基(R′は炭化水素基)を
示す}及び環状酸無水物含有基から選択される少なくと
も1つの酸性基を含有する少なくとも1つの重合体成分
から成るAブロックと下記一般式(I)で示される重合
体成分を少なくとも含有するBブロックとから構成され
るABブロック共重合体を含有して成る樹脂。
一般式(I) (式(I)中、R1は炭化水素基を表わす。) 結着樹脂〔B〕: 下記一般式(IV a)及び(IV b)で示される重合体成
分のうちの少なくとも1種と−COOH基、−PO3H2基、−S
O3H基、−OH基、 (R0は前記Rと同一の内容を表わす)基、−CHO基及び
酸無水物含有基から選ばれる少なくとも1つの極性基を
含有する成分を少なくとも1種含有する重合体成分の少
なくとも1種とを含有する重合体主鎖の一方の末端にの
み下記一般式(III)で示される重合性二重結合基を結
合して成る重量平均分子量2×104以下の一官能性マク
ロモノマー(MB)と下記一般式(V)で示されるモノマ
ーとから少なくとも成る重量平均分子量5×104〜1×1
06の共重合体。
一般式(III) 式(III)中、X0は−COO−、−OCO−、−CH2OCO−、
−CH2COO−、−O−、−SO2−、−CO−、−CONHCOO−、
−CONHCONH−、 又は を表わす(ここでR31は水素原子又は炭化水素基を表わ
す)。
c1、c2は、互いに同じでも異なってもよく、各々水素
原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭化水素基、−COO−Z
4又は炭化水素を介した−COO−Z4(Z4は各々水素原子又
は置換されてもよい炭化水素基を示す)を表わす。
一般式(IV a) 一般式(IV b) 式(IV a)又は(IV b)中、X1は式(III)中のX0
同一の内容を表わす。Q1は、炭素数1〜18の脂肪族基又
は炭素数6〜12の芳香族基を表わす。d1、d2は、互いに
同じでも、異なってもよく、式(III)中のc1、c2と同
一の内容を表わす。
Q0は−CN、−CONH2又は を表わし、Yは水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基
又は−COOZ5(Z5はアルキル基、アラルキル基又はアリ
ール基を示す)を表わす。
一般式(V) 式(V)中、X2は、式(IV a)中のX1と同一の内容を
表わし、Q2は式(IV a)中のQ1と同一の内容を表わす。
e1、e2は互いに同じでも異なってもよく、式(III)中
のc1、c2と同一の内容を表わす。
本発明の結着樹脂は、上記特定の酸性基含有成分を含
有するAブロックと上記式(I)で示される重合体成分
を含有するBブロックとのABブロック共重合体を含有し
てなる樹脂〔A〕と、一官能性マクロモノマー(MB)と
一般式(V)で示されるモノマーとを少なくとも含むグ
ラフト型共重合体から成る高分子量の樹脂〔B〕とから
少なくとも構成される。
更には、低分子量の樹脂〔A〕としては、下記一般式
(I a)及び一般式(I b)で示される、2位に、及び/
又は2位と6位に特定の置換基を有するベンゼン環又は
無置換のナフタレン環を含有する、特定の置換基をもつ
メタクリレート成分と酸性基成分とを含有する樹脂
〔A〕(以降この低分子量体をとくに樹脂〔A′〕と称
する)であることが好ましい。
一般式(I a) 一般式(I b) 〔式(I a)又は(I b)中、M1及びM2は互いに独立に、
それぞれ水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、塩素原
子、臭素原子、−COZ2又は−COOZ2(Z2は各々炭素数1
〜10の炭化水素基を示す)を表わす。但し、M1とM2がと
もに水素原子を表わすことはない。
L1及びL2はそれぞれ−COO−とベンゼン環を結合する、
単結合又は連結原子数1〜4個の連結基を表わす。〕 本発明に用いられる樹脂〔A〕は、ABブロック共重合
体であり、Aブロックは、前記した特定の酸性基から選
ばれる少なくとも1種を含有する少なくとも1つの重合
成分から構成され、Bブロックは、式(I)で示される
メタクリレート成分を少なくとも1種含有する重合体成
分を含有することから成り、且つ重量平均分子量が1×
103〜2×104である事を特徴とする。
前述の光導電層の平滑性及び静電特性を良化させると
して公知の酸性基含有結着樹脂の中で低分子量体を用い
るものは、酸性基含有重合成分が重合体主鎖にランダム
に存在する樹脂あるいは、重合体主鎖の片末端にのみ酸
性基を結合して成る樹脂であった。
これに対し、本発明の結着樹脂で用いられる樹脂
〔A〕は、樹脂中に含有される酸性基が重合体主鎖中に
ランダムに存在するものでも重合体主鎖の末端にのみ結
合しているものでもなく、重合体主鎖中にブロックで存
在する様に、更に特定化された共重合体である。
本発明に従う共重合体は、重合体の主鎖のいずれか一
方の片側部分に偏在化された酸性基の部分の領域が無機
光導電体の化学量論的な欠陥に充分に吸着するととも
に、重合体主鎖を構成する他のブロック部分は、光導電
体の表面をゆるやかに且つ充分に被覆していると推定さ
れる。その作用機構により、本発明に従う共重合体は無
機光導電体の化学量論的な欠陥部が多少変動しても、充
分な吸着領域をもつ事から常に安定した無機光導電体と
樹脂〔A〕との相互作用が保たれると推論され、本発明
に従えば従来公知の酸性基含有樹脂に比べて一段と良好
に光導電体のトラップを充分に補償すると共に湿度特性
を向上させる一方、光導電体の分散が充分に行なわれ、
凝集を抑制することを見出した。
そして樹脂〔B〕は、樹脂〔A〕を用いたことによる
電子写真特性の高性能を全く阻害せずに、樹脂〔A〕の
みでは不充分な光導電層の機械的強度を充分ならしめる
とともに前記の如き環境が変動したり、低出力のレーザ
ー光を用いたりした場合でも十分に良好な撮像性を得る
ことができることが判った。
これは、無機光導電体の結着樹脂として、樹脂〔A〕
と樹脂〔B〕を各々樹脂の重量平均分子量並びに樹脂中
の酸性基の含有量及び結合位置等を特定化することで、
無機光導電体と樹脂との相互作用の強さを適度に変える
ことができたことによると推定される。即ち、相互作用
のより強い樹脂〔A〕が選択的に無機光導電体に適切に
吸着し、一方で樹脂〔A〕に比べて相互作用の弱い樹脂
〔B〕においては、電子写真特性を阻害しない程度に無
機光導電体とゆるやかに相互作用することで、上記した
如く電子写真特性及び機械的強度をともに著しく向上さ
せることができたと推定される。
また、樹脂〔A′〕を用いると樹脂〔A〕の場合より
も、より一層電子写真特性(特にV10、D.R.R、E1/10
の向上が達成できる。
また、本発明では光導電層表面の平滑性が滑らかとな
る。一方、電子写真式平版印刷原版として光導電層表面
の平滑性の粗らい感光体を用いると、光導電体である酸
化亜鉛粒子と結着樹脂の分散状態が適切でなく、凝集物
が存在する状態で光導電層が形成されるため、不感脂化
処理液による不感脂化処理をしても非画像部の親水化が
均一に充分に行なわれず、印刷時に印刷インキの付着を
引き起こし、結果として印刷物の非画像部の地汚れが生
じてしまう。
本発明の樹脂を用いた場合に、光導電体と結着樹脂の
吸着・被覆の相互作用が適切に行なわれ、且つ光導電層
の膜強度が保持されるものである。
本発明における低分子量体の樹脂〔A〕のみを結着樹
脂として用いる場合にも、光導電体と結着樹脂が充分に
吸着し、粒子表面を被覆し得るため、光導電層の平滑性
及び静電特性においても良好で、しかも地汚れのない画
質が得られ、更に、CPC感光体あるいは数千枚の印刷枚
数のオフセット原版としては充分な膜強度が保有され
る。しかし、ここで本発明の如く樹脂〔B〕を共存させ
ることで、樹脂〔A〕の機能を何ら疎外することなく樹
脂〔A〕のみではいまだ不充分な光導電層の機械的強度
をより向上させることができた。従って、本発明の感光
体は、環境条件が変動しても優れた静電特性を有し且
つ、膜強度も充分であり、過酷な印刷条件下(例えば、
大型印刷機で印圧が強くなる場合など)でも1万枚以上
の印刷枚数が可能となった。
更に、樹脂〔B〕は、重合体主鎖の片末端にのみ−PO
3H2基、−SO3H基、−COOH基、−OH基、−SH基及び (R0′はRと同一の内容を表わす)および環状酸無水物
含有基から選ばれる少なくとも1つの極性基を更に結合
して成るグラフト共重合体(以下この高分子量体をとく
に樹脂〔B′〕と称する)であることが好ましい。
樹脂〔B′〕を用いると、静電特性、特にD.R.R及び
1/10がより良好となり、樹脂〔A〕を用いたことによ
る優れた特性を全く妨げず、その効果は特に高温・高
湿、低温低湿等の如き環境変化においても変動が殆どな
く好ましい。更に、膜強度もより良好となり、耐刷性が
向上する。
通常可視光〜赤外光域に光感度を保有させるために用
いる分光増感色素は、光導電体に吸着することでその分
光増感作用が充分機能するものであることから、本発明
の共重合体を含有する結着樹脂は、分光増感色素の吸着
を阻害しないで光導電体と適切に相互作用するものと推
定される。この作用は、近赤外〜赤外光の分光増感用色
素として特に有効なシアニン色素あるいはフタロシアニ
ン系顔料で特に顕著な効果を示した。
ブロック共重合体〔A〕における、特定の酸性基含有
成分の重合体成分量は、共重合体〔A〕100重量部当り
好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは3〜15重量
部の割合で含有される。
一般式(I)で示されるメタクリレート成分を含有す
るブロック部分(Bブロック)における式(I)で示さ
れるメタクリレート成分量は、そのブロック全重量中、
好ましくは30重量%〜100重量%、より好ましくは50〜1
00重量%である。共重合体〔A〕の重量平均分子量は1
×103〜1×104、好ましくは3×103〜1×104である。
樹脂〔A〕の分子量が1×103より小さくなると、皮
膜形成能が低下し充分な膜強度が保てず、また分子量が
2×104より大きくなると本発明の樹脂〔A〕の効果が
少なくなり、従来公知の樹脂と同程度の電子特性になっ
てしまう。
結着樹脂〔A〕における酸性基含有量が0.5重量%よ
り少ないと、初期電位が低くて充分な画像濃度を得るこ
とができず、該酸性基含有量が20重量%よりも多いと、
分散性が低下し、膜平滑度及び電子写真特性の高湿特性
が低下し、更にオフセットマスターとして用いるときに
地汚れが増大するため、好ましくない。
該樹脂〔A〕のガラス転移点は、−10℃〜100℃の範
囲のものが好ましいが、より好ましくは−5℃〜85℃で
ある。
本発明のABブロック共重合体(樹脂〔A〕)のAブロ
ックを構成する特定の酸性基を含有する重合成分につい
て、更に具体的に説明する。
酸性基としては、−PO3H2基、−COOH基、−SO3H基、
フェノール性OH基、 {Rは炭化水素基又は−OR′基(R′は炭化水素基)を
示す}及び環状酸無水物含有基が挙げられ、好ましく
は、−COOH基、−SO3H基、フェノール性OH基、及び である。
において、Rは炭化水素基又は−OR′基(R′は炭化水
素基を表わす)を表わし、R及びR′は好ましくは炭素
数1〜22の脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル
基、ドデシル基、オクタデシル基、2−クロロエチル
基、2−メトキシエチル基、3−エトキシプロピル基、
アリル基、クロトニル基、ブテニル基、シクロヘキシル
基、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル
基、メチルベンジル基、クロロベンジル基、フロロベン
ジル基、メトキシベンジル基等)、又は置換されてもよ
いアリール基(例えば、フェニル基、トリル基、エチル
フェニル基、プロピルフェニル基、クロロフェニル基、
フロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロ−メチル
−フェニル基、ジクロロフェニル基、メトキシフェニル
基、シアノフェニル基、アセトアミドフェニル基、アセ
チルフェニル基、ブトキシフェニル基等)等を表わす。
フェノール性OH基としては、ヒドロキシフェノール又
はヒドロキシフェニル基を置換基として含有するメタク
リル酸エステルもしくはアミド類を例として挙げること
ができる。
また、環状酸無水物含有基とは、少なくとも1つの環
状酸無水物を含有する基であり、含有される環状酸無水
物としては、脂肪族ジカルボン酸無水物、芳香族ジカル
ボン酸無水物が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸無水物の例としては、コハク酸無
水物環、グルタコン酸無水物環、マレイン酸無水物環、
シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸無水物環、シクロ
ヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物環、シクロヘキセ
ン−1,2−ジカルボン酸無水物環、2,3−ピシクロ〔2.2.
2〕オクタンジカルボン酸無水物環等が挙げられ、これ
らの環は、例えば塩素原子、臭素原子等のハロゲン原
子、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基等のア
ルキル基等が置換されていてもよい。
又、芳香族ジカルボン酸無水物の例としては、フタル
酸無水物環、ナフタレン−ジカルボン酸無水物環、ピリ
ジン−ジカルボン酸無水物環、チオフェン−ジカルボン
酸無水物環等が挙げられ、これらの環は、例えば、塩素
原子、臭素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、ヒドロキシ
ル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基
(アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキ
シ基等)等が置換されていてもよい。
以上の如き「特定の酸性基を含有する重合体成分」と
しては、例えば、本発明の樹脂〔A〕においてBブロッ
ク成分を構成する重合体成分、即ち一般式(I)で示さ
れるメタクリレート成分等の如き相当するビニル系化合
物と共重合する、該酸性基を含有するビニル系化合物で
あればいずれでも用いることができる。
例えば、高分子学会編「高分子データ・ハンドブック
〔基礎編〕」培風館(1986刊)等に記載されているビニ
ル系化合物を用いることができ、具体的には、アクリル
酸、α及び/又はβ置換アクリル酸(例えばα−アセト
キシ体、α−アセトキシメチル体、α−(2−アミノ)
エチル体、α−クロロ体、α−ブロモ体、α−フロロ
体、α−トリブチルシリル体、α−シアノ体、β−クロ
ロ体、β−ブロモ体、α−クロロ−β−メトキシ体、
α,β−ジクロロ体等)、メタクリル酸、イタコン酸、
イタコン酸半エステル類、イタコン酸半アミド類、クロ
トン酸、2−アルケニルカルボン酸類(例えば2−ペン
テン酸、2−メチル−2−ヘキセン酸、2−オクテン
酸、4−メチル−2−ヘキセン酸、4−エチル−2−オ
クテン酸等)、マレイン酸、マレイン酸半エステル類、
マレイン酸半アミド類、ビニルベンゼンカルボン酸、ビ
ニルベンゼンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホ
スホ酸、ジカルボン酸類のビニル基又はアリル基の半エ
ステル誘導体、及びこれらのカルボン酸又はスルホン酸
のエステル誘導体、アミド誘導体の置換基中に該酸性基
を含有する化合物が挙げられる。
これらの化合物の具体例として以下のものを挙げるこ
とができる。但し、以下の各例において、aは−H、−
CH3、−Cl、−Br、−CN−、−CH2COOCH3又は−CH2COOH
を示し、bは−H又は−CH3を示し、nは2〜18の整数
を示し、mは1〜12の整数を示し、lは1〜4の整数を
示す。
(mは同じでも異なってもよい) (a−15) CH2=CH−CH2OCO(CH2)mCOOH (a−16) CH2=CHCH2 lCOOH 上記の如き特定の酸性基を含有する重合成分は該Aブ
ロック中に2種以上含有されていてもよく、その場合に
おける該2種以上の酸性基含有成分は該Aブロック中に
おいてランダム共重合又はブロック共重合のいずれの態
様で含有されていてもよい。
また、該酸性基を含有しない成分がAブロック中に含
まれていてもよく、該成分の例としては一般式(I)又
は(II)で示される成分等があげられる。かかる酸性基
非含有成分の含有量はAブロック中好ましくは0〜50重
量%、より好ましくは0〜20重量%であり、最も好まし
くは、かかる酸性基非含有成分はAブロック中に含まれ
ない。
次にABブロック共重合体〔A〕において、Bブロック
成分を構成する重合成分について詳しく説明する。
Bブロック成分は、少なくとも一般式(I)で示され
るメタクリレート成分を含有し、該式(I)のメタクリ
レート成分は好ましくはBブロック成分中、30〜100重
量%、より好ましくは50〜100重量%含有される。
一般式(I)で示される繰り返し単位において、R1
炭化水素基は置換されていてもよい。
R1は好ましくは炭素数1〜18の置換されていてもよい
炭化水素基を表わす。置換基としては上記該ABブロック
共重合体のAブロックを構成する重合成分に含有される
前記酸性基以外の置換基であればいずれでもよく、例え
ば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭
素原子等)−O−Z1、−COO−Z1、−OCO−Z1、(Z1は、
炭素数1〜22のアルキル基を表わし、例えばメチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチ
ル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタ
デシル基等である)等の置換基が挙げられる。好ましい
炭化水素基としては、炭素数1〜18の置換されてもよい
アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、
デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル
基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シ
アノエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−
メトキシエチル基、3−ブロモプロピル基等)、炭素数
4〜18の置換されてもよいアルケニル基(例えば、2−
メチル−2−プロペニル基、2−ブテニル基、2−ペン
テニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、1−ペンテ
ニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、4−メ
チル−2−ヘキセニル基等)、炭素数7〜12の置換され
てもよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチ
ル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2
−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジ
ル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシ
ベンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジル
基等)、炭素数5〜8の置換されてもよい脂環式基(例
えば、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル
基、2−シクロペンチルエチ基等)又は炭素数6〜12の
置換されてもよい芳香族基(例えば、フェニル基、ナフ
チル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、
ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェ
ニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブ
トキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、クロロフ
ェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、シ
アノフェニル基、アセチルフェニル基、メトキシカルボ
ニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブト
キシカルボニルフェニル基、アセトアミドフェニル基、
プロピオアミドフェニル基、ドデシロイルアミドフェニ
ル基等)等があげられる。
R1の炭化水素基において、R1が脂肪族基の場合には好
ましくは、炭素数1〜5の炭化水素基を式(I)で表わ
される成分中の60重量%以上含有することが好ましい。
更に、該樹脂〔A〕において、Bブロック成分を構成
する一般式(I)で示される繰り返し単位の一部又は全
部が下記一般式(I a)及び/又は(I b)で示される繰
り返し単位であることが好ましい。従ってBブロック成
分中下記一般式(I a)及び(I b)から選択される少な
くとも1つの繰り返し単位が該他のブロック中30重量%
以上、特に50〜100重量%含有されることが好ましい。
一般式(I a) 一般式(I b) 〔式(I a)又は(I b)中、M1及びM2は互いに独立に、
それぞれ水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、塩素原
子、臭素原子−COZ2又は−COOZ2(Z2は各々炭素数1〜1
0の炭化水素基を示す)を表わす。但し、M1とM2がとも
に水素原子を表わすことはない。
L1及びL2はそれぞれ−COO−とベンゼン環を結合す
る、単結晶又は連結原子数1〜4個の連結基を表わ
す。〕 該式(I a)及び/又は(I b)で示される繰り返し単
位を酸性基を含有しないBブロック中に含有させること
により、より一層電子写真特性(特にV10、D.R.R、E
1/10)の向上が達成できる。
この事の理由は不明であるが、1つの理由として、メ
タクリレートのエステル成分である、オルト位に置換基
を有する平面性のベンゼン環、又はナフタレン環の効果
により、膜中の酸化亜鉛界面でのこれらポリマー分子鎖
の配列が適切に行なわれることによるものと考えられ
る。
式(I a)において、好ましいM1及びM2としてそれぞ
れ、水素原子、塩素原子及び臭素原子のほかに、好まし
い炭化水素基として、炭素数1〜4のアルキル基(例え
ばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)、炭
素数7〜9のアラルキル基(例えばベンジル基、フェネ
チル基、3−フェニルプロピル基、クロロベンジル基、
ジクロロベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベンジ
ル基、メトキシベンジル基、クロロ−メチル−ベンジル
基等)及びアリール基(例えばフェニル基、トリル基、
シリル基、ブロモフェニル基、メトキシフェニル基、ク
ロロフェニル基、ジクロロフェニル基等)、並びに−CO
Z2及び−COOZ2(好ましいZ2としては上記好ましい炭化
水素基として記載したものを挙げることができる)を挙
げることができる。但し、M1とM2がともに水素原子を表
わすことはない。
式(I a)において、L1は−COO−とベンゼン環を結合
する、直接結合又はCH2 n1(n1は1〜3の整数を表
わす)、−CH2CH2OCO−、(CH2O)n2(n2は1又は2の
整数を表わす)、−CH2CH2O−等の如き連結原子数1〜
4個の連結基を表わす。
式(I b)におけるL2はL1と同一の内容を表わす。
本発明の樹脂〔A〕のBブロックにおいて好ましく用
いられる、式(I a)又は(I b)で示される繰り返し単
位の具体例を以下に挙げる。しかし、本発明の範囲は、
これらに限定されるものではない。
前記の特定の酸性基を含有する重合成分から成分Aブ
ロックとは別に構成される該Bブロックにおいて、前記
式(I){好ましくは(I a)又は(I b)}で示される
繰り返し単位は2種以上含有されていてもよく、更にこ
れら以外の他の重合成分を含有していてもよい。酸性基
を含有しないBブロックにおいて2種以上の重合成分が
含有される場合には、該ABブロック共重合成分は該Bブ
ロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の
いずれの態様で含有されていてもよいが、ランダムに含
有されることが好ましい。
前記した式(I),(I a)及び/又は(I b)で示さ
れる繰り返し単位から選ばれた重合成分とともにBブロ
ック中に含有され得る他の重合成分は、これらと共重合
する成分であればいずれでもよい。
例えば下記一般式(II)で示される繰り返し単位が挙
げられる。
一般式(II) 〔式(II)中、Tは−COO−,−COO−,CH2 m1OCO
−,CH2 m2COO−,−O−,SO2−, −CONHCOO−,−CONHCONH−,又は を表わし、m1,m2は、各々1〜2の整数を表わし、R
3は、式(I)中のR1と同一の内容を表わす。R2は式
(I)中のR1と同一の内容を表わす。
a1及びa2は、互いに同じでも異なってもよく、各々水
素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜8の炭化
水素基、−COO−Z3又は炭素数1〜8の炭化水素基を介
した−COO−Z3(Z3は炭素数1〜18の炭化水素基を表わ
す)を表わす。〕より好ましくは、a1,a2は、互いに同
じでも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜3のアル
キル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基
等)、−COO−Z3又は−CH2COO−Z3(Z3はより好ましく
は炭素数1〜18のアルキル基又はアルケニル基を表わ
し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、
トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オク
タデシル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル
基、デセニル基等が挙げられ、これらアルキル基、アル
ケニル基は前記R1で示したと同様の置換基を有していて
もよい)を表わす。
これら以外の繰り返し単位を構成する単量体として、
更にスチレン類(例えばスチレン、ビニルトルエン、ク
ロロスチレン、ブロモスチレン、ジクロロスチレン、ビ
ニルフェノール、メトキシスチレン、クロロメチルスチ
レン、メトキシメチルスチレン、アセトキシスチレン、
メトキシカルボニルスチレン、メチルカルバモイルスチ
レン、等)、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、
アクロレイン、メタクロレイン、ビニル基含有複素環化
合物(例えばN−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、
ビニルイミダゾール、ビニルチオフェン等)、アクリロ
アミド、メタクリロアミド等が例として挙げられるが、
これらの他の共重合成分はこれらに限定されるものでは
ない。
本発明のABブロック共重合体〔A〕は、従来公知の重
合反応法によって製造することができる。具体的には、
該特定の酸性基を含有する重合体成分に相当する単量体
において該酸性基を予め保護した官能基としておき、有
機金属化合物(例えばアルキルリチウム類、リチウムジ
イソプロピルアミド、アルキルマグネシウムハライド類
等)あるいはヨウ化水素/ヨウ素系等によるイオン重合
反応、ポルフィリン金属錯体を触媒とする光重合反応あ
るいはグループ移動重合反応等の公知のいわゆるリビン
グ重合反応でABブロック共重合体を合成した後、酸性基
を保護した官能基を加水分解反応、加水素分解反応、酸
化分解反応あるいは、光分解反応等によって脱保護反応
を行ない、酸性基を形成させる方法が挙げられる。その
1つの例を下記の反応スキーム(1)に示した。
例えば、P.Lutz,P.Masson etal,Polym.Bull.12.,79
(1984),B.C.Anderson,G.D.Andrews etal,Macromolecu
les,14,1601(1981),K.Hatada,K.Ute.etal,Polym.J.1
7,977(1985),18,1037(1986),右手浩一、畑田耕
一、高分子加工、36,366(1987),東村敏延、沢本光
男、高分子論文集、46,189(1989)、M.Kuroki,T.Aida,
J.Am.Chem.Soc.109,4737(1987)、相田卓三、井上祥
平、有機合成化学、43,300(1985)、D.Y.Sogah,W.R.He
rtler etal.Macromolecules,20,1473(1987)等に記載
の合成方法に従って容易に合成することができる。
更に、ABブロック共重合体〔A〕は、酸性基を保護し
ないままの単量体を用い、ジチオカルバメート化合物を
開始剤とした光イニファーター重合法によって合成する
こともできる。例えば、大津隆行、高分子、37,248(19
88)、槍森俊一、大津隆一、Polym.Rep.Jap.37.3508(1
988)、特開昭64−111号、特開昭64−26619号等に記載
の合成方法に従って合成することができる。
又、本発明の特定の酸性基を保護する保護基及びその
保護基の脱離(脱保護反応)については、従来公知の知
見を利用して容易に行なうことができる。例えば前記し
た引用文献にも種々記載されており、更には、岩倉義
男、栗田恵輔、「反応性高分子」(株)講談社刊(1977
年)、T.W.Greene,「Protective Groups in Organic Sy
nthesis」,John Wiley & Sons(1981年),J.F.W.McOmi
e,「Protective Groups in Organic Chemistry」Plenum
Press,(1973年)等の総説に詳細に記載されている方
法を適宜選択して行なうことができる。
樹脂〔A〕において、ABブロック共重合体中における
該特定の酸性基を含有する重合体成分の存在量は、樹脂
〔A〕100重量部中、0.5〜20重量%で、好ましくは3〜
15重量%である。樹脂〔A〕の重量平均分子量は好まし
くは3×103〜1×104である。
一方、樹脂〔B〕の重量平均分子量は5×104〜1×1
06、好ましくは8×104〜5×105である。一官能性マク
ロモノマー(MB)の重合体中における存在割合は、1〜
70重量%であることが好ましく、また、一般式(V)で
示される単量体の重合体中における存在割合は30〜99重
量%であることが好ましい。
共重合体主鎖末端に極性基が結合する場合における該
極性基の共重合体中における存在割合は0.1〜10重量
%、好ましくは0.2〜5重量%である。
樹脂〔B〕のガラス転移点は、好ましくは0℃〜110
℃、より好ましくは、20℃〜90℃である。
結着樹脂〔B〕の分子量が5×104より小さくなる
と、膜強度が充分に保てず、一方分子量が1×106より
大きくなると、分散性が低下し膜平滑度が劣化し、複写
画像の画質(特に、細線・文字の再現性が悪くなる)が
悪化し、更にオフセットマスターとして用いる時に地汚
れが著しくなってしまう。
結着樹脂〔B〕における一官能性マクロモノマー(M
B)の含有量が1.0重量%より少ないと電子写真特性(特
に暗減衰率、光感度)が低下し、又環境条件での電子写
真特性の変動が特に近赤外〜赤外光分光増感色素との組
み合わせにおいて、大きくなる。これはグラフト部とな
るマクロモノマーが微かとなることで結果として従来の
ホモポリマーあるいはランダム共重合体と殆んど同じ組
成になってしまうことによると考えられる。
一方一官能性マクロモノマー(MB)の含有量が70%を
越えると、他の共重合成分に相当する単量体と本発明に
従うマクロモノマーとの共重合性が充分でなくなり、結
着樹脂として用いても充分な電子写真特性が得られなく
なってしまう。
本発明の樹脂〔B〕において、グラフト型共重合樹脂
の共重合成分として供せられる、一官能性マクロモノマ
ー(MB)について更に具体的に説明する。一官能性マク
ロモノマー(MB)は、一般式(III)で示される重合性
二重結合基を、一般式(IV a)及び(IV b)で示される
重合体成分のうちの少なくとも1種と特定の極性基(−
COOH基、−PO3H2基、−SO3H基、−OH基、 −CHO基及び/又は酸無水物含有基)を含有する重合体
成分のうちの少なくとも1種を含有する重合体主鎖の一
方の末端にのみ結合して成る、重量平均分子量2×104
以下のものである。
一般式(III)、(IV a)及び(IV b)において、
c1、c2、X0、d1、d2、X1、Q1及びQ0に含まれる炭化水素
基は各々示された炭素数(未置換の炭化水素基として
の)を有するが、これら炭化水素基は置換基を有してい
てもよい。
一般式(III)において、X0は、−COO−、−OCO−、
−CH2OCO−、−CH2OO−、−O−、−SO2−、−CO−、−
CONHCOO−、−CONHCONH−、 又は を表わす。ここで、R31は水素原子のほか、好ましい炭
化水素基としては、炭素数1〜18の置換されてもよいア
ルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、
ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシ
ル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、
2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノ
エチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メト
キシエチル基、3−ブロモプロピル基等)、炭素数4〜
18の置換されてもよいアルケニル基(例えば、2−メチ
ル−1−プロペニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニ
ル基、3−メチル−2−ペンテニル基、1−ペンテニル
基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル
−2−ヘキセニル基等)、炭素数7〜12の置換されても
よいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル
基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−
ナフチルエチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル
基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベ
ンジル基、ジチルベンジル基、ジメトキシベンジル基
等)、炭素数5〜8の置換されてもよい脂環式基(例え
ば、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、
2−シクロペンチルエチル基等)又は炭素数6〜12の置
換されてもよい芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチ
ル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブ
チルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニ
ル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブト
キシフェニル基、デシルオキシフェニル基、クロロフェ
ニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、シア
ノフェニル基、アセチルフェニル基、メトキシカルボニ
ルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブトキ
シカルボニルフェニル基、アセトアミドフェニル基、プ
ロピオアミドフェニル基、ドデシロイルアミドフェニル
基等)があげられる。
X0を表わす場合、ベンゼン環は置換基を有してもよい。置
換基としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原
子等)、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、クロロメチル基、メトキシメチル基
等)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、
プロポキシ基、ブトキシ基等)等が挙げられる。
c1及びc2は、互いに同じでも異なっていてもよく、好
ましくは水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、
臭素原子等)、シアノ基、炭素数1〜4のアルキル基
(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基
等)、−COO−Z4又は炭化水素を介したCOOZ4(Z4は、好
ましくは水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基、アル
ケニル基、アラルキル基、脂環式基またはアリール基を
表わし、これらは置換されていてもよく、具体的には、
上記R31について説明したものと同様の内容を表わす)
を表わす。
上記炭化水素を介した−COO−Z4基における炭化水素
としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が
挙げられる。
更に好ましくは、一般式(III)について、X0は−COO
−、−OCO−、−CH2OCO−、−CH2COO−、−O−、−CON
HCOO−、−CONHCONH−、−CONH−、−SO2NH−又は を表わし、c1,c2は互いいに同じでも異なってもよく、
各々水素原子、メチル基、−COOZ6又は−CH2COOZ6{Z6
は、より好ましくは水素原子又は炭素数1〜6のアルキ
ル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ヘキシル基等)を表わす。}を表わす。更により好
ましくは、c1、c2においていずれか一方が水素原子を表
わす。
即ち、一般式(III)で表わされる重合性二重結合基
として、具体的には、 等が挙げられる。
一般式(IV a)又は(IV b)において、X1は式(II
I)中のX0と同一の内容を表わす。d1、d2は互いに同じ
でも異なってもよく、式(III)中のc1、c2と同一の内
容を表わす。
Q1は、炭素数1〜18の脂肪族基又は炭素数6〜12の芳
香族基を表わす。
具体的には、炭素数1〜18の置換されてもよいアルキ
ル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、
ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデ
シル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2
−ヒドロキシルエチル基、2−メトキシエチル基、2−
エトキシエチル基、2−シアノエチル基、3−クロロプ
ロピル基、2−(トリメトキシシリル)エチル基、2−
テトラヒドロフリル基、2−チエニルエチル基、2−N,
N−ジメチルアミノエチル基、2−N,N−ジエチルアミノ
エチル基等)、炭素数5〜8のシクロアルキル基(例え
ばシクロヘプチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチ
ル基等)、炭素数7〜12の置換されてもよいアラルキル
基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニル
プロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル
基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、ジクロロベ
ンジル基、メチルベンジル基、クロロ−メチル−ベンジ
ル基、ジメチルベンジル基、トリメチルベンジル基、メ
トキシベンジル基等)等の脂肪族基、更に炭素数6〜12
の置換されてもよいアリール基(例えば、フェニル基、
トリル基、キシリル基、クロロフェニル基、ブロモフェ
ニル基、ジクロロフェニル基、クロロ−メチル−フェニ
ル基、メトキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニ
ル基、ナフチル基、クロロナフチル基等)等の芳香族基
が挙げられる。
式(IV a)において、好ましくはX1は−COO−、−OCO
−、−CH2COO−、−CH2OCO−、−O−、−CO−、−CONH
COO−、−CONHCONH−、−CONH−、−SO2NH−又は を表わす。
d1、d2の好ましい例は、前記したc1、c2と同様の内容
を表わす。
一般式(IV b)において、Q0は−CN、−CONH2又は を表わし、Yは水素原子、ハロゲン原子(例えば塩素原
子、臭素原子等)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、
エトキシ基、プロピオキシ基、ブトキシ基等)又は−CO
OZ5(Z5は好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、炭素
数7〜12のアラルキル基又はアリール基を表わす)を表
わす。
マクロモノマー(MB)は、式(IV a)及び/又は (IV b)で示される重合体成分を2種以上含有してい
てもよい。又、Q1が脂肪族基の場合、炭素数6〜12の脂
肪族基は、マクロモノマー(MB)中の全重合体成分の20
重量%を越えない範囲で用いる事が好ましい。
更には、一般式(IV a)におけるX1が−COO−である
場合には、マクロモノマー(MB)中の全重合体成分中、
式(IV a)で示される重合体成分が少なくとも30重量%
以上含有されることが好ましい。
さらに、マクロモノマー(MB)において、式(IV a)
及び/又は(IV b)で示される共重合体成分とともに第
3の成分として共重合する、極性基(−COOH基、−PO3H
2基、−SO3H基、OH基、 −CHO基、酸無水物含有基)を含有する成分としては、
前記のマクロモノマー(MB)と共重合し得る上記極性基
を含有するビニル系化合物であればいずれでも用いるこ
とができる、例えば、高分子学会編「高分子データ・ハ
ンドブック〔基礎編〕」培風館(1986刊)等に記載され
ている。具体的には、アクリル酸、α及び/又はβ置換
アクリル酸(例えばα−アセトキシ体、α−アセトキシ
メチル体、α(2−アミノノエチル体、α−クロロ体、
α−ブロモ体、α−フロロ体、α−トリブチルシリル
体、α−シアノ体、β−クロロ体、β−ブロモ体、α−
クロロ体、β−メシキシ体、α,β−ジクロロ体等)、
メタクリル酸、イタコン酸、イタコン酸半エステル類、
イタコン酸半アミド類、クロトン酸、2−アルケニルカ
ルボキシ酸類(例えば2−ペンテン酸、2−メチル−2
−ヘキセン酸、2−オクテン酸、4−メチル−2−ヘキ
セン酸、4−エチル−2−オクテン酸等)、マレイン
酸、マレイン酸半エステル類、マレイン酸半アミド類、
ビニルベンゼンカルボン酸、ビニルベンゼンスルホン
酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホ酸、ジカルボン酸
類、アルコール類のビニル基又はアリル基の半エステル
誘導体、及びこれらのカルボン酸又はスルホン酸のエス
テル誘導体、アミド誘導体の置換基中に該極性基を含有
する化合物等が挙げられる。
においてR0は前記Rと同一の内容を表わし、酸無水物含
有基についても前記の通りである。OH基としては、前記
樹脂〔A〕にて述べたフェノール性OH基の他にビニル基
又はアリル基含有のアルコール類(例えばアリルアルコ
ール、メタクリル酸エステル、アクリルアミド等のエス
テル置換基、N−置換基中に、−OH基を含有する化合物
等)を挙げることができる。
例えば以下に挙げられる単量体が例として示される
が、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
ここで、以下の各例において、P1は−H、−CH3、−C
l、−Br、−CN、−CH2COOCH3又は−CH2COOHを示し、P2
は−H又は−CH3を示し、jは2〜18の整数を示し、k
は2〜5の整数を示し、hは1〜4の整数を示し、iは
1〜12の整数を示す。
(B−15) CH2=CH−CH2OCO(CH2iCOOH (B−16) CH2=CHCH2 hCOOH (B−49) CH2=CHCH2 hOH (B−52) CH2=CHCH2 hOCO(CH2 jOH マクロモノマー(MB)中の全重合体成分中、該極性基
を含有する共重合体成分として含有される量は、全重合
体成分100重量部当り好ましくは0.5〜50重量部、より好
ましくは1〜40重量部である。
これら極性基含有のランダム共重合体から構成される
一官能性マクロモノマー(MB)が共重合体成分として樹
脂〔B〕中に含有された時に、樹脂〔B〕中の全グラフ
ト部に含有される該極性基の含有成分の総量は、樹脂
〔B〕中の全重合体成分100重量部当り0.1〜10重量部含
有される事が好ましい。更に好ましくは、−COOH基、−
SO3H基及び−PO3H2基から選ばれる酸性基を含有する場
合には、樹脂〔B〕中、グラフト部に存在する総量は0.
1〜5重量%である。
マクロモノマー(MB)中の重合体成分として、これら
以外の他の重合体成分を含有してもよく、例えば重合し
うる他の繰り返し単位に相当する単量体として、アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド類、
メタクリルアミド類、スチレン及びその誘導体(例えば
ビニルトルエン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、
ブロモスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、N,N−ジ
メチルアミノメチルスチレン等)、複素環ビニル類(例
えばビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルピロ
リドン、ビニルチオフェン、ビニルピラゾール、ビニル
ジオキサン、ビニルオキサジン等)等が挙げられる。
これら他の単量体が含有される場合には、マクロモノ
マー(MB)の全重合体成分100重量部当り1〜20重量部
であることが好ましい。
本発明において供されるマクロモノマー(MB)は、上
述の如き、一般式(IV a)及び/又は(IV b)で示され
る繰返し単位及び特定の極性基を含有する繰り返し単位
から少なくとも成るランダムな重合体主鎖の一方の末端
にのみ、一般式(III)で示される重合性二重結合基
が、直接結合するか、あるいは、任意の連結基で結合さ
れた化学構造を有するものである。式(III)成分と式
(IV a)もしくは(IV b)成分又は極性基含有成分とを
連結する連結基としては、炭素−炭素結合(一重結合あ
るいは二重結合)、炭素−ヘテロ原子結合(ヘテロ原子
としては例えば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子、ケ
イ素原子等)、ヘテロ原子−ヘテロ原子結合の原子団の
任意の組合せで構成されるものである。
さらに具体的な連結基としては、 〔R32,R33は水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素
原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ヒドロキシ
ル基、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピ
ル基等)等を示す〕、 CH=CH、 −O−、−S−、 −COO−、−SO2−、 −NHCOO−、−NHCONH−、 〔R34、R35は、水素原子、 前記式(IV a)におけるQ1と同様の内容を表わす炭化
水素基等を示す〕等の原子団から選ばれた単独の連結基
もしくは任意の組合せで構成された2以上の連結基を表
わす。
マクロモノマー(MB)の重量平均分子量が2×104
超えると、式(V)で示されるモノマーとの共重合性が
低下するため好ましくない。他方、重量平均分子量が小
さすぎると、感光層の電子写真特性の向上効果が小さく
なるため、1×103以上であることが好ましい。
本発明に供されるマクロモノマー(MB)は、従来公知
の合成法によって製造することができる。具体的には、
分子中に、カルボキシル基、カルボキシハライド基、ヒ
ドロキシル基、アミノ基、ハロゲン原子、エポキシ基等
の反応性基を含有した重合開始剤及び/又は連鎖移動剤
を用いて、ラジカル重合して得られる末端反応性基結合
のオリゴマーと種々の試薬を反応させて、マクロモノマ
ーにするラジカル重合法による方法等により合成され
る。
具体的には、P.Dreyfuss & R.P.Quirk、Encycl.Poly
m.Sci.Eng.、、551(1987)、P.F.Rempp、E.Franta、
Adu、Polym.Sci.58、1(1984)、川上雄資、化学工
業、38、56(1987)、山下雄也、高分子、31、988(198
2)、小林四郎、高分子、30、伊藤浩一、高分子加工、3
5、262(1986)、東貴四郎、津田隆、機能材料、1987N
o.10、5等の総説及びそれに引例の文献・特許等に記載
の方法に従って合成することができる。
但し、本発明のマクロモノマー(MB)は、その繰り返
し単位の成立として酸性性基を含有している事から、合
成上、例えば次の配慮をして合成される。
その1つの方法としては、例えば下記反応式(2)で
示される様に、該極性基を保護した官能基の形で含有す
る単量体を用いて上記の方法でラジカル重合及び末端反
応性基を導入するものである。
本発明に供せられるマクロモノマー(MB)中にランダ
ムに含有される該極性基(−SO3H基、−PO3H2基、−COO
H基、 −OH基、−CHO基、酸無水物含有基)の保護基反応及び
脱保護反応(例えば加水分解反応、加水素分解反応、酸
化分解反応等)については、従来公知の方法により行な
うことができる。具体的には、J.F.W.McOmie、“Protec
tive Gvoups in Organic Chemistry"、Plenum Press(1
973年)、T.W.Greene、“Protective Gvoups in Organi
c Synthesis"、John Wiley & Sous(1981年)、小田良
平「高分子ファインケミカル」講談社(1976年)、岩倉
義男、栗田恵輔「反応性高分子」講談社(1977年)、G.
Berneretal、J.Radiation Curing、1986、No.10、P10、
特開昭62−212669号、特開昭62−286064号、特開昭62−
210475号、特開昭62−195684号、特開昭62−258476号、
特開昭63−260439号、特願昭62−220510号、特願昭62−
226692号等に記載の方法を用いて合成する事ができる。
他の1つの方法としては、例えば下記反応式(3)で
示される様に、前記の様にしてオリゴマーを合成した
後、オリゴマーの片末端に結合した「特定の反応性基」
とオリゴマー中に含有される該極性基との反応性の差を
利用して、「特定の反応性」とのみ反応する重合二重結
合性基含有の試薬と反応させることで合成する方法であ
る。
反応式(3)に示した様に、各特定の官能基の組合せ
についての具体例を表−Aに示すと次の如くなる。しか
し、本発明はこれらに限定されるものでなく、重要なこ
とは通常の有機化学反応における反応の選択性を利用す
ることで、オリゴマー中の該極性基を保護することなく
マクロモノマー化が達成されればよいものである。
用いることのできる連鎖移動剤としては、例えば該極
性基あるいは、後に該極性基に誘導しうる置換基含有の
メルカプト化合物(例えばチオグリコール酸、チオリン
ゴ酸、チオサリチル酸、2−メルカプトプロピオン酸、
3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプト酪酸、N
−(2−メルカプトプロピオニル)グリシン、2−メル
カプトニコチン酸、3−〔N−(2−メルカプトエチ
ル)カルバモイル〕プロピオン酸、3−〔N−(2−メ
ルカプトエチル)アミノ〕プロピオン酸、N−(3−メ
ルカプトプロピオニル)アラニン、2−メルカプトエタ
ンスルホン酸、3−メカルプトプロパンスルホン酸、4
−メルカプトブタンスルホン酸、2−メルカプトエタノ
ール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、1−
メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプト−2−
ブタノール、メルカプトフェノール、2−メルカプトエ
チルアミン、2−メカルプイミダゾール、2−メルカプ
ト−3−ピリジノール等)又はこれらメルカプト化合物
の酸化体であるシスルフィド化合物、あるいは上記極性
基又は置換基含有のヨード化アルキル化合物(例えばヨ
ード酢酸、ヨードプロピオン酸、2−ヨードエタノー
ル、2−ヨードエタンスルホン酸、3−ヨードプロパン
スルホン酸等)等が挙げられる。好ましくはメルカプト
化合物が挙げられる。
用いることのできる特定の反応性基含有の重合開始剤
としては、例えば、2,2′−アゾビス(2−シアノプロ
パノール)、2,2′−アゾビス(2−シアノペンタノー
ル)、4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、4,4′−
アゾビス(4−シアノ吉草酸クロライド)、2,2′−ア
ゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イ
ル)プロパン、2,2′−アゾビス〔2−(2−イミダゾ
リン−2−イル)プロパン〕、2,2′−アゾビス〔2−
(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロ
パン〕、2,2′−アゾビス{2−〔1−(2−ヒドロキ
シエチル)−2−イミダゾリン−2−イル〕プロパ
ン}、2,2′−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒド
ロキシエチル)−プロピオンアミド〕等又はこれらの誘
導体等が挙げられる。
これら連鎖移動剤あるいは重合開始剤は、各々全単量
体100重量部に対して0.1〜15重量%であり、好ましくは
0.5〜10重量%である。
本発明のマクロモノマー(MB)は、具体的には、下記
の化合物を例として挙げることができる。但し、本発明
の範囲は、これらに限定されるものではない。また、以
下の各例において、P2は−H又はCH3を示し、P3は−
H、−CH3又は−CH2COOCH3を示し、R41は−CnH2n+1(n
は1〜18の整数を示す)、−CH2C6H5(Y1、Y2は各々−H、−Cl、−Br、−CH3、−COCH3又は
−COOCH3を示す)、 を示し、W1は−CN、−OCOCH3、−CONH2又は−C6H5を示
し、W2は−Cl、−Br、−CN又は−OCH3を示し、αは2〜
18の整数を示し、βは2〜12の整数を示し、γは2〜4
の整数を示す。
他方、前記したマクロモノマー(MB)と共重合する単
量体は一般式(V)で示される。式(V)において、
e1、e2は互いに同じでも異なってもよく、式(III)のc
1、c2と同一の内容を表わす。X2は式(IV a)中のX
1と、Q2は式(IV a)中のQ1と各々同一の内容を表わ
す。
本発明の樹脂において、マクロモノマー(MB)を繰り
返し単位とする共重合成分と、一般式(V)で示される
単量体を繰り返し単位とする共重合成分の組成比は、好
ましくは1〜70/30〜99(重量組成比)、より好ましく
は5〜60/95〜40重量組成比である。
又、重合主鎖中には、−PO3H2基、−SO3H基、−COOH
基、−OH基、及び−PO3R0H基の極性基を含有する共重合
成分を含有しないものが好ましい。また、本発明の樹脂
〔B〕は、前記したマクロモノマー(MB)及び一般式
(V)の単量体とともにこれら以外の単量体を更なる共
重合成分として含有してもよい。
例えば、α−オレフィン類、アルカン酸ビニル又はア
リルエステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、ビニルエーテル類、アクリルアミド類、メタクリル
アミド類、スチレン類、複素環ビニル類(例えば、ビニ
ルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、
ビニルチオフェン、ビニルイミダゾリン、ビニルピラゾ
ール、ビニルジオキサン、ビニルキノリン、ビニルチア
ゾール、ビニルオキサジン等)等が挙げられる。
ただし、マクロモノマー(MB)及び式(V)の単量体
以外のこれら他の単量体は、共重合体中20重量%を越え
ることはない。
更に、樹脂〔B〕は、一般式(V)で示される繰り返
し単位を少なくとも1種及びマクロモノマーで示される
繰り返し単位を少なくとも1種含有する重合体主鎖の片
末端にのみ、前記極性基のうちの少なくとも1種を結合
して成る共重合体(樹脂〔B′〕)であってもよい。ま
た共重合体〔B〕と〔B′〕を併用してもよい。ここ
で、該極性基は重合体主鎖の一方の末端に直接結合する
か、あるいは任意の連結基を介して結合した化学構造を
有する。
結合基としては炭素−炭素結合(一重結合あるいは二
重結合)、炭素−ヘテロ原子結合(ヘテロ原子としては
例えば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子、ケイ素原子
等)、ヘテロ原子−ヘテロ原子結合の原子団の任意の組
合わせで構成されるものである。例えば、 CH=CH、 −O−、−S−、 −COO−、−SO2−、 −NHCOO−、−NHCONH−、 (R32〜R35は各々前記R32〜R35と同一の内容を示す)等
から選ばれる原子団の単独あるいは2以上の組合せで構
成される連結基である。
本発明に供される樹脂〔B〕において、重合体主鎖の
末端に該極性基を結合して成る樹脂〔B′〕を合成する
には、少なくとも前記したマクロモノマー(MB)と一般
式(V)で示される単量体との重合反応時に、該極性基
又はこれに誘導できる特定の反応基を分子中に含有した
重合開始剤又は連鎖移動剤を併用することで達成され
る。
具体的には、マクロモノマーの合成において前記した
様に片末端反応基結合のオリゴマーの方法と同様にして
得ることができる。
本発明の電子写真感光体において、その優れた電子写
真特性を保持しつつ、より大きな機械的強度が望まれる
場合がある。この目的の為には、グラフト型共重合体の
主鎖に熱及び/又は光硬化性官能基を導入する手法が適
用できる。
即ち、本発明では、樹脂〔A〕及び/又は樹脂〔B〕
において、更に少なくとも1種の熱及び/又は光硬化性
官能基を含有するモノマーを共重合成分として含有して
もよい。かかる熱及び/又は光硬化性官能基が適宜ポリ
マー間を架橋させることでポリマーの間の相互作用を強
固に、膜としての強度を向上させるものである。従っ
て、かかる熱及び/又は光硬化性官能基を更に含有する
本発明の樹脂は、酸化亜鉛粒子表面と結着樹脂の適切な
吸着・被覆を疎外することなく、結着樹脂間の相互作用
を強め、その結果、皮膜強度がより向上する効果を有す
るものである。
本発明の熱及び/又は光硬化性官能基とは熱及び光の
うちの少なくともいずれか一方で樹脂を硬化し得る官能
基をいう。
本発明の「熱硬化性官能基(熱硬化反応を行なう官能
基)」は、例えば、遠藤剛「熱硬化性高分子の精密化」
(C.M.C(株)、1986年刊)、原崎勇次「最新バインダ
ー技術便覧」第II−I章(総合技術センター、1985年
刊)、大津隆行「アクリル樹脂の合成・設計と新用途開
発」(中部経営開発センター出版部、1985年刊)、大森
英三「機能性アクリル系樹脂」(テクノシステム、1985
年刊)等の総説に引例の官能基を用いることができる。
例えば−OH基、−SH基、−NH2基、−NHR21基(R21
炭化水素基を表わし、具体的には式(III)のXにて前
出のB1と同一の内容を表わす。) −CONHCH2OR22(R22は、水素原子又は炭素数1〜8のア
ルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、
ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等)−N=C=O基
又は {γ及びγは、各々水素原子、ハロゲン原子(例え
ば塩素原子、臭素原子等)又は炭素数1〜4のアルキル
基(例えばメチル基、エチル基等)を表わす}等を挙げ
ることができる。又該重合性二重結合として、具体的に
は、CH2=CH−、 CH2=CH−NHCO−、CH2=CH−CH2− NHCO−、CH2=CH−SO2−、 CH2=CH−CO−、CH2=CH−O−、 CH2=CH−S−、 等を挙げることができる。
本発明の「光硬化性官能基」としては、例えば、角田
隆弘、「感光性樹脂」印刷学会出版部(1972年)、永松
元太郎、乾英夫、「感光性高分子」講談社(1977年)G.
A.Delgerne,“Encyclopedia of Polymer Science and T
echnology,Supplement."Vol I(1976年)等に記載の
官能基を用いることができる。具体的には、アリルエス
テル基、ビニルエステル基等の付加重合基、シンナモイ
ル基、置換されてもよいマレイイミド環基等の二重化基
等が挙げられる。
本発明において、熱及び/又は光硬化性官能基を含有
する樹脂を合成するには、該熱及び/又は光硬化性官能
基を含有する共重合体成分として該熱及び/又は光硬化
性官能基を含有する単量体を用いればよい。
本発明の樹脂が該熱硬化性官能基を含有する場合に
は、感光層膜中での架橋反応を促進させるために、必要
に応じて反応促進剤を添加してもよい。官能基間の化学
結合を形成する反応様式の場合には、例えば有機酸(酢
酸、プロピオン酸、酪酸、ベンゼンスルホン酸、p−ト
ルエンスルホン酸等)、架橋剤等が挙げられる。
架橋剤としては、具体的には、山下晋三、金子東助編
「架橋剤ハンドブック」大成社刊(1981年)等に記載さ
れている化合物等を用いることができる。例えば、通常
用いられる有機シラン、ポリウレタン、ポリイソシアナ
ートの如き架橋剤、エポキシ樹脂、メラミン樹脂の如き
硬化剤等を用いることができる。
重合性反応様式の場合には、重合開始剤(過酸化物、
アゾビス系化合物等が挙げられ、好ましくは、アゾビス
系重合開始剤である)、多官能重合性基含有の単量体
(例えばビニルメタクリレート、アクリルメタクリレー
ト、エチレングリコールジアクリレート、ポリエチレン
グリコールジアクリレート、ジビニルコハク酸エステ
ル、ジビニルアジピン酸エステル、ジアリルコハク酸エ
ステル、2−メチルビニルメタクリレート、ジビニルベ
ンゼン等)等が挙げられる。
また、本発明において、かかる熱硬化性官能基を含有
する結着樹脂を用いる場合には熱硬化処理が行われる。
この熱硬化処理は従来の感光体作製時の乾燥条件を厳し
くすることにより行うことができる。例えば、60℃〜12
0℃で5分〜120分間処理すればよい。上述の反応促進剤
を併用すると、より穏やかな条件で処理することが可能
となる。
本発明に用いる樹脂〔A〕と樹脂〔B〕の使用量の割
合は、使用する無機光導電材料の種類、粒径、表面状態
によって異なるが一般に樹脂〔A〕と樹脂〔B〕の用い
る割合は5〜80対95〜20(重量比)であり、好ましくは
10〜60対90〜40(重量比)である。
本発明では、本発明に従う樹脂〔A〕及び樹脂〔B〕
(〔B′〕も含む)の他に他の樹脂を併用させることも
できる。それらの樹脂としては、例えば、アルキッド樹
脂、ポリブチラール樹脂、ポリオレフィン類、エチレン
−酢ビ共重合体、スチレン樹脂、スチレン−ブタジエン
樹脂、アクリレートブタジエン樹脂、アルカン酸ビニル
樹脂等が挙げられる。
上記他の樹脂は、本発明の樹脂を用いた全結着樹脂量
の30%(重量比)を越えると本発明の効果(特に静電特
性の向上)が失われる。
本発明に使用する無機光導電材料としては、酸化亜
鉛、酸化チタン、硫化亜鉛、硫化カドミウム、炭酸カド
ミウム、セレン化亜鉛、セレン化カドミウム、セレン化
テルル、硫化鉛、等が挙げられる。
無機光導電材料に対して用いる結着樹脂の総量は、光
導電体100重量部に対して、結着樹脂を10〜100重量部な
る割合、好ましくは15〜50重量部なる割合で使用する。
本発明では、必要に応じて各種の色素を分光増感剤と
して併用することができる。例えば、宮本晴視、武井秀
彦、イメージング1973(No.8)第12頁、C.J.Young等,RC
A Review15,469(1954),清田航平等、電気通信学会論
文誌J 63−C(No.2),97(1980)、原崎勇次等、工
業化学雑誌66 78及び188(1963)、谷忠昭,日本写真
学会誌35,208(1972)等の総説引例のカーボニウム系色
素、ジフェニルメタン色素、トリフェニルメタン色素、
キサンテン系色素、フタレイン系色素、ポリメチン色素
(例えば、オキソノール色素、メロシアニン色素、シア
ニン色素、ロダシアニン色素、スチリル色素等)、フタ
ロシアニン色素(金属含有してもよい)等が挙げられ
る。
更に具体的には、カーボニウム系色素、トリフェニル
メタン色素、キサンテン系色素、フタレイン系色素を中
心に用いたものとしては、特公昭51−452号、特開昭50
−90334号、特開昭50−114227号、特開昭53−39130号、
特開昭53−82353号、米国特許第3,052,540号、米国特許
第4,054,450号、特開昭57−16456号等に記載のものが挙
げられる。
オキソノール色素、メロシアニン色素、シアニン色
素、ロダシアニン色素等のポリメチン色素としては、F.
M.Hamar「The Cyanine Dyes and Related Compounds」
等に記載の色素類が使用可能であり、更に具体的には、
米国特許第3,047,384号、米国特許第3,110,591号、米国
特許第3,121,008号、米国特許第3,125,447号、米国特許
第3,128,179号、米国特許第3,132,942号、米国特許第3,
622,317号、英国特許第1,226,892号、英国特許第1,309,
274号、英国特許第1,405,898号、特公昭48−7814号、特
公昭55−18892号等に記載の色素が挙げられる。
更に、700nm以上の長波長の近赤外〜赤外光域を分光
増感するポリメチン色素として、特開昭47−840号、特
開昭47−44180号、特公昭51−41061号、特開昭49−5034
号、特開昭49−45122号、特開昭57−46245号、特開昭56
−35141号、特開昭57−157254号、特開昭61−26044号、
特開昭61−27551号、米国特許第3,619,154号、米国特許
第4,175,956号、「Research Disclosure」1982年、21
6、第117〜118頁等に記載のものが挙げられる。本発明
の感光体は種々の増感色素を併用させても、その性能が
増感色素により変動しにくい点において優れている。更
には、必要に応じて、化学増感剤等の従来知られている
電子写真感光層用各種添加剤を併用することもできる。
例えば、前記した総説:イメージング1973(No.8)第12
頁等の総説引例の電子受容性化合物(例えば、ハロゲ
ン、ベンゾキノン、クロラニル、酸無水物、有機カルボ
ン酸等)、小門宏等、「最近の光導電材料と感光体の開
発・実用化」第4章〜第6章:日本科学情報(株)出版
部(1986年)の総説引例のポリアリールアルカン化合
物、ヒンダートフェノール化合物、p−フェニレンジア
ミン化合物等が挙げられる。
これら各種添加剤の添加量は、特に限定的ではない
が、通常光導電体100重量部に対して0.0001〜2.0重量部
である。
光導電層の厚さは1〜100μ、特には10〜50μが好適
である。
また、電荷発生層と電荷輸送層の積層型感光体の電荷
発生層として光導電層を使用する場合は電荷発生層の厚
さは0.01〜1μ、特には0.05〜0.5μが好適である。
感光体の保護および耐久性、暗減衰特性の改善等を主
目的として絶縁層を付設させる場合もある。この時は絶
縁層は比較的薄く設定され、感光体を特定の電子写真プ
ロセスに用いる場合に設けられる絶縁層は比較的厚く設
定される。
後者の場合、絶縁層の厚さは、5〜70μ、特には、10
〜50μに設定される。
積層型感光体の電荷輸送材料としてはポリビニルカル
バゾール、オキサゾール系色素、ピラゾリン系色素、ト
リフェニルメタン系色素などがある。電荷輸送層の厚さ
としては5〜40μ、特には10〜30μが好適である。
絶縁層あるいは電荷輸送層の形成に用いる樹脂として
は、代表的なものは、ポリスチレン樹脂、ポリエステル
樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、塩化ビニル
樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩ビ−酢ビ共重合体樹脂、ポリ
アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、エ
ポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂の熱可塑性樹
脂及び硬化性樹脂が適宜用いられる。
本発明による光導電層は、従来公知の支持体上に設け
ることができる。一般に云って電子写真感光層の支持体
は、導電性であることが好ましく、導電性支持体として
は、従来と全く同様、例えば、金属、紙、プラスチック
シート等の基体の低抵抗性物質を含浸させるなどして導
電処理したもの、基体の裏面(感光層を設ける面と反対
面)に導電性を付与し、更にはカール防止を図る等の目
的で少なくとも1層以上をコートしたもの、前記支持体
の表面に耐水性接着層を設けたもの、前記支持体の表面
層に必要に応じて少なくとも1層以上のプレコート層が
設けられたもの、Al等を蒸着した基体導電化プラスチッ
クを紙にラミネートしたもの等が使用できる。
具体的に、導電性基体あるいは導電化材料の例とし
て、坂本幸男,電子写真,14,(No.1),p2〜11(197
5)、森賀弘之,「入門特殊紙の化学」高分子刊行会(1
975),M.F.Hoover,J.Macromol.Sci.Chem.A−4(6),
第1327〜1417頁(1970)等に記載されているもの等を用
いる。
(実施例) 以下に本発明の実施例を例示するが、本発明の内容が
これに限定されるものではない。
〔樹脂〔A〕の合成〕 樹脂〔A〕の合成例1:〔A−1〕 エチルメタクリレート95g及びテトラヒドロフラン200
gの混合溶液を窒素気流下に充分に脱気し、−20℃に冷
却した。1,1−ジフェニルブチルリチウム1.5gを加え12
時間反応した。更に、この混合溶液に、トリフェニルメ
チルメタクリレート5g及びテトラヒドロフラン5gの混合
溶液を窒素気流下に充分に脱気した後添加し、更に8時
間反応した。この混合物を0℃にした後、メタノール10
mlを加え30分間反応し、重合を停止させた。得られた重
合体溶液を撹拌下にて温度30℃とし、これに30%塩化水
素エタノール溶液3mlを加え1時間撹拌した。次に、減
圧下に反応混合物を全体量が半分になるまで溶媒を留去
した後、石油エーテル1中に再沈した。
沈澱物を捕集し、減圧乾燥して得られた重合体は、
w8.5×103で収量70gであった。
樹脂〔A〕の合成例2:〔A−2〕 n−ブチルメタクリレート46g、(テトラフェニルポ
ルフィナート)アルミニウムメチル0.5g及び塩化メチレ
ン60gの混合溶液を窒素気流下にて温度30℃とした。こ
れに300W−キセノンランプ光をガラスフィルターを通し
て25cmの距離から光照射し、12時間反応した。この混合
物に更に、ベンジルメタクリレート4gを加え、同様に8
時間光照射した後、この反応混合物にメタノール3gを加
え30分間撹拌し反応を停止させた。次にこの反応混合物
にPd−Cを加え、温度25℃で1時間接触還元反応を行な
った。
不溶物を濾別した後石油エーテル500ml中に再沈し、
沈澱物を捕集し乾燥した。得られた重合体は収量33gで
w9.3×103であった。
樹脂〔A〕の合成例3:〔A−3〕 2−クロロ−6−メチルフェニルメタクリレート90g
及びトルエン200gの混合溶液を窒素気流下に充分に脱気
し0℃に冷却した。次いで1,1−ジフェニル−3−メチ
ルペンチルリチウム2.5gを加え、6時間撹拌した。更に
この混合物に4−ビニルフェニルオキシトリメチルシラ
ン10gを加え6時間撹拌した後、メタノール3gを加えて3
0分間撹拌した。
次にこの反応混合物に30%塩化水素エタノール溶液10
gを加え25℃で1時間撹拌した後、石油エーテル1中
に再沈し捕集した沈澱物をジエチルエーテル300mlで2
回洗浄し乾燥した。得られた重合体は、収量58gでw7.
8×103であった。
樹脂〔A〕の合成例4:〔A−4〕 フェニルメタクリレート95g、ベンジルN,N−ジエチル
ジチオカーバメート4.8gの混合物を、窒素気流下に容器
に密閉し、温度60℃に加温した。これに、400Wの高圧水
銀灯で10cmの距離からガラスフィルターを通して、10時
間光照射し光重合した。
これにアクリル酸5g及びメチルエチルケトン180gを加
えた後窒素置換し、再び10時間光照射した。
得られた反応物をヘキサン1.5に再沈、捕集し乾燥
した。得られた重合体は、68gでw9.5×103であった。
マクロモノマー(MB)の合成例1:M−1 エチルメタクリレート90g、2−ヒドロキシエチルメ
タクリレート10g、チオグリコール酸5g及びトルエン200
gの混合溶液を、窒素気流下撹拌しながら、温度75℃に
加温した。2,2′−アゾビスイソブチロニトリル(略称
A.I.B.N.)1.0gを加え、8時間反応した。次にこの反応
溶液にグリシジルメタクリレート8g、N,N−ジメチルド
デシルアミン1.0g及びt−ブチルハイドロキノン0.5gを
加え、温度100℃にて12時間撹拌した。冷却後この反応
溶液をn−ヘキサン2中に再沈し、白色粉末を82g得
た。重合体の重量平均分子量は3.8×103であった。
マクロモノマー(MB)の合成例2:M−2 ブチルメタクリレート90g、メタアクリル酸10g、2−
メルカプトエタノール4g、テトラヒドロフラン200gの混
合溶液を窒素気流下温度70℃に加温した。A.I.B.N.1.2g
を加え、8時間反応した。
次にこの反応溶液を水浴中で冷却した温度20℃とし、
トリエチルアミン10.2gを加え、メタクリル酸クロライ
ド14.5gを温度25℃以下で撹拌下滴下した。滴下後その
まま1時間更に撹拌した。その後、t−ブチルハイドロ
キノン0.5gを加え温度60℃に加温し、4時間撹拌した。
冷却後、水1中に撹拌しながら滴下し(約10分間)、
そのまま1時間撹拌して静置後、水をデカンテーション
で除去した。水での洗浄を更に2回行なった後、テトラ
ヒドロフラン100mlに溶解し、石油エーテル2中に再
沈した。沈澱物をデカンテーションで補集し、減圧下に
乾燥した。得られた粘稠物の収量は65gで重量平均分子
量5.6×103であった。
マクロモノマー(MB)の合成例3:M−3 ベンジルメタクリレート95g、2−ホスホノエチルメ
タクリレート5g、2−アミノエチルメルカプタン4g及び
テトラヒドロフラン200gの混合溶液を、窒素気流下撹拌
下に温度70℃に加温した。
A.I.B.N.1.5gを加え4時間反応させ、更にA.I.B.N.0.
5gを加えて4時間反応させた。次に、この反応溶液を温
度20℃に冷却し、アクリル酸無水物10gを加えて温度20
〜25℃で1時間撹拌した。次にt−ブチルハイドロキノ
ン1.0gを加え温度50〜60℃で4時間撹拌した。冷却後、
水1中に撹拌しながら、この反応混合物を約10分間で
滴下し、そのまま1時間撹拌した後静置して、水をデカ
ンテーションで除去した。水での洗浄を更に2回繰り返
した後、テトラヒドロフラン100mlに溶解し、石油エー
テル2中に再沈した。沈澱物をデカンテーションで補
集し、減圧下に乾燥した。得られた粘稠物の収量は70g
で重量平均分子量は7.4×103であった。
マクロモノマー(MB)の合成例4:M−4 2−クロロフェニルメタクリレート95g、下記構造
(I)の単量体5g、チオグリコール酸4g及びトルエン20
0gの混合溶液を、窒素気流下温度70℃に加温した。A.I.
B.N.1.5gを加え5時間反応し、更にA.I.B.N.0.5gを加え
4時間反応した。次にグリシジルメタクリレート12.4
g、N,N−ジメチルドデシルアミン1.0g及びt−ブチルハ
イドロキノン1.5gを加え温度110℃で8時間反応した。
冷却後この反応混合物をp−トルエンスルホン酸3g、90
vol%テトラヒドロフラン水溶液100mlに溶液に加え、温
度30〜35℃で1時間撹拌した。水/エタノール〔(1/
3)容積比〕の混合溶液2中に、上記混合物を再沈
し、デカンテーションで沈澱物を補集した。この沈澱物
をテトラヒドロフラン200mlに溶解しn−ヘキサン2
中に再沈し、粉末58gを得た。重量平均分子量は7.6×10
3であった。
マクロモノマー(MB)の合成例5:M−5 2,6−ジクロロフェニルメタクリレート95g、3−
(2′−ニトロベンジルオキシスルホニル)プロピルメ
タクリレート5g、トルエン150g及びイソプロピルアルコ
ール50gの混合溶液を窒素気流下に温度80℃に加温し
た。2,2′−アゾビス(2−シアノ吉草酸)(略称:A.C.
V.)5.0gを加え5時間反応し、更にA.C.V.1.0gを加えて
4時間反応した。冷却後、メタノール2中にこの反応
物を再沈し、粉末を濾集し、減圧乾燥した。
上記粉末50gグリシジルメタクリレート14g、N,N−ジ
メチルドシルアミン0.6g、t−ブチルハイドロキノン1.
0g及びトルエン100gの混合物を温度110℃で10時間撹拌
した。室温に冷却後80Wの高圧水銀灯にて、この混合物
を撹拌下に1時間光照射した。その後反応混合物をメタ
ノール1中に再沈し、粉末を濾集・減圧乾燥した。収
量34gで重量平均分子量は7.3×103であった。
本発明の樹脂〔B〕の合成例1:〔B−1〕 ベンジルメタクリレート80g、マクロモノマー(MB)
の合成例2の化合物(M−2)20g及びトルエン100gの
混合溶液を、窒素気流下に温度75℃に加温した。1,1′
−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニアニド)
(略称A.B.C.C.)0.8gを加え4時間反応し、更にA.I.B.
N.0.5gを加え3時間反応した。
得られた共重合体のwは1.0×105であった。
本発明の樹脂〔B〕の合成例2:〔B−2〕 2−クロロフェニルメタクリレート70g、マクロモノ
マー(MB)の合成例1の化合物(M−1)30g、チオグ
リコール酸0.7g及びトルエン150gの混合溶液を窒素気流
下に温度80℃に加温した。A.B.C.C.0.5gを加え5時間反
応し、後にA.B.C.C.0.3gを加え3時間、更にA.B.C.C.0.
2gを加え3時間反応した。
得られた共重合体のwは9.2×104であった。
本発明の樹脂〔B〕の合成例3:〔B−3〕 エチルメタクリレート60g、マクロモノマー(MB)の
合成例4の化合物:(M−4)25g、メチルアクリレー
ト15及びトルエン150gの混合溶液を窒素気流下温度75℃
に加温した。A.C.V.0.5gを加え5時間反応し更にA.C.V.
0.3gを加え4時間反応した。得られた共重合体のwは
1.1×105であった。
本発明の樹脂[B]の合成例4〜11:[B−4]〜[B
−11] 樹脂〔B〕の合成例1と同様にして、下記表−1に相
当するメタクリレートとマクロモノマーを用いて、各樹
脂〔B〕を合成した。
本発明の樹脂[B]の合成例12〜19:[B−12]〜[B
−19] 樹脂〔B〕の合成例2と同様にして、メタクリレー
ト、マクロモノマーメルカプト化合物を各々代えて下記
表−2の樹脂〔B〕を各々合成した。
各樹脂のwは9×104〜1.1×105であった。
本発明の樹脂[B]の合成例20〜27:[B−20]〜[B
−27] 樹脂〔B〕の合成例3と同様にして、メタクリレー
ト、マクロモノマー及びアゾビス系化合物を各々代え
て、下記表−3の樹脂〔B〕を各々合成した。
各樹脂〔B〕のwは9.5×104〜1.5×105であった。
実施例1及び比較例A〜C 樹脂〔A−3〕6g(固形分量として)、樹脂〔B−
1〕34g(固形分量として)、下記構造のシアニン色素
〔I〕0.018g及びトルエン300gの混合物をボールミル中
で4時間分散して、感光層形成物を調製し、これを導電
処理した紙に、乾燥付着量が25g/m2となる様に、ワイヤ
ーバーで塗布し、110℃で30秒間乾燥し、ついで暗所で2
0℃65%RHの条件下で24時間放置することにより、電子
写真感光材料を作製した。
比較例A: 実施例1において用いた結着樹脂の代わりに、下記構
造の樹脂〔R−1〕6g及びポリ(エチルメタクリレー
ト)(w2.4×105):樹脂〔R−2〕34gを用いる以外
は、実施例1と同様の操作で、電子写真感光材料を作製
した。
比較例B: 実施例1において用いた結着樹脂の代わりに、下記構
造の樹脂〔R−3〕6g及び樹脂〔R−2〕34gを用いる
以外は、実施例1と同様の操作で、電子写真感光材料を
作製した。
比較例C: 実施例1において用いた結着樹脂の代わりに、樹脂
〔R−3〕6g及び下記構造の樹脂〔R−4〕34gを用い
る以外は、実施例1と同様の操作で、電子写真感光材料
を作製した。
これらの感光材料の皮膜性(表面の平滑度)、静電特
性、撮像性及び環境条件を30℃、80%RHとした時の撮像
性を調べた。更に、これらの感光材料をオフセットマス
ター用原版として用いた時の光導電性の不感脂化性(不
感脂化処理後の光導電層の水との接触角で表わす)及び
印刷性(地汚れ、耐刷性等)を調べた。
以上の結果をまとめて表−4に示す。
表−4に示した評価項目の実施の態様は以下の通りで
ある。
注1)光導電層の平滑性: 得られた感光材料は、ベック平滑度試験機(熊谷理工
(株)製)を用い、空気容量1ccの条件にて、その平滑
度(sec/cc)を測定した。
注2)光導電層の機械的強度: 得られた感光材料面をヘイドン−14型表面性試験材
(新東化学(株)製)を用いて荷重60g/cm2のものでエ
メリー紙(#1000)で1000回繰り返し探り摩耗粉を取り
除き感光層の重量減少から残膜率(%)を求め機械的強
度とした。
注3)静電特性: 温度20℃、65%RHの暗室中で、各感光材料にペーパー
アナライザー(川口電機(株)製ペーパーアナライザー
SP−428型)を用いて−6kVで20秒間コロナ放電させた
後、10秒間放置し、この時の表面電位V10を測定した。
次いでそのまま暗中で120秒間静置させた後の電位V130
を測定し、120秒間暗減衰された後の電位の保持性、即
ち、暗減衰保持率〔DRR(%)〕を(V130/V10)×100
(%)で求めた。
又コロナ放電により光導電表面を−500Vに帯電させた
後、波長785nmの単色光で照射し、表面電位(V10)が1/
10に減衰するまでの時間を求め、これから露光量E1/10
(erg/cm2)を算出する。更にE1/10測定と同様にコロ
ナ放電により−500Vに帯電させた後、波長785nmの単色
光で照射し、表面電位(V10)が1/10に減衰するまでの
時間を求め、これから露光量E1/100(erg/cm2)を算出
する。
注4)撮像性: 各感光材料を以下の環境条件で1昼夜放置した。次に
−5kVで帯電し、光源として、2.8mW出力のガリウム−ア
ルミニウム−ヒ素、半導体レーザー(発振波長785nm)
を用いて、感光材料表面上で50erg/cm2の照射量下、ピ
ッチ25μm及びスキャニング速度300m/secのスピード露
光後液体現像剤として、ELP−T(富士写真フイルム
(株)製)を用いて現像し、定着することで得られた複
写画像(カブリ、画像の画質)を目視評価した。
撮像時の環境条件は20℃65%RHと30℃80%RHで実施し
た。
注5)水との接触角: 各感光材料を不感脂化処理液EPL−EX(富士写真フイ
ルム(株)製)を蒸留水で2倍に希釈した溶液を用い
て、エッチングプロセッサーに1回通して光導電層面を
不感脂化処理した後、これを蒸留水2III−の水滴を乗
せ、形成された水との接触角をゴニオメーターで測定す
る。
注6)耐刷性: 各感光材料を、上記注4)と同条件で、製版して、ト
ナー画像を形成し、上記注5)と同条件で不感脂化処理
し、これをオフセットマスターとして、オフセット印刷
機(桜井製作所(株)オリバー52型)にかけ、印刷物の
非画像物の地汚れ及び画像部の画質に問題が生じないで
印刷できる枚数を示す(印刷枚数が多い程、耐刷性が良
好なことを表わす)。
表−4に示す様に、本発明の感光材料は、光導電層の
平滑性膜の強度及び静電特性が良好で、実際の複写画像
も地カブリがなく複写画像も鮮明であった。このことは
光導電体と結着樹脂が充分に吸着し、且つ、粒子表面を
被覆していることによるものと推定される。同様の理由
で、オフセットマスター原版として用いた場合でも不感
脂化処理液による不感脂化処理が充分に進行し、非画像
部の水との接触角が10度以下と小さく、充分に親水化さ
れていることが判る。実際に診察して印刷物の地汚れを
観察しても地汚れは全く認められなかった。
又、比較例A〜Cは、本発明の感光材料に比べると、
静電特性が低下してしまった。比較例Cは、膜強度が向
上し、静電特性においても、V10、D.R.R.、E1/10は、
かなり良好な値が得られた。しかし、E1/10値を見る
と、本発明の感光材料に比べ倍以上の大きな値となって
しまった。E1/100値は、実際の撮像性において、露光
後、非画像部(既に露光された部位)にどれだけの電位
が残っているかを示すものであり、この値が小さい程現
像後の非画像部の地汚れが生じなくなる事を示す。
具体的には−10V以下の残留電位にすることが必要と
なり、即ち実際にはVR−10V以下とするために、どれだ
け露光量が必要となるかということで、半導体レーザー
光によるスキャンニング露光方式では、小さい露光量で
VRを−10V以下にすることは、複写機の光学系の設計上
(装置のコスト、光学系光路の精度等)非常に重要なこ
とである。
以上の事より、露光照射量を少し少なくした装置で実
際に撮像すると、比較例Aは、D.R.R.が著しく低いた
め、満足な複写画像はえられなかった。比較例Bは、高
温・高湿の条件下でその画像の悪化が著しく、画像部の
濃度低下、細線・文字のカスレが発生し、又、非画像部
に地カブリが発生してしまった。比較例Cは、常温・常
湿条件下では、ほぼ満足する画像であったが、高温・高
湿条件下では、地カブリの発生、画像部の細線のカスレ
等が発生してしまった。又、オフセットマスター原版と
して用いた場合でも、本発明の感光材料が1万枚以上印
刷できる印刷条件で、比較例A〜Cのいずれも、刷り出
しの印刷物から、非画像部の地汚れが発生してしまっ
た。これは、鮮明な複写画像が得られず、地カブリが不
感脂化処理でも除去できずに生じたものであった。
以上のことより、本発明の樹脂を用いた場合にのみ静
電特性及び印刷適性を満足する電子写真感光体が得られ
る。
実施例2〜17 実施例1において、樹脂〔A−3〕及び樹脂〔B−1
1〕に代えて、下記表−5の各樹脂〔A〕及び各樹脂
〔B〕に代えた他は、実施例1と同様に操作して、各電
子写真感光体を作製した。
実施例1と同様にして静電特性を測定した。結果を表
−5に示す(但し、30℃,80%RHの条件下のみ記載)。
又、オフセットマスター原版として用いて、実施例1
と同様にして印刷した所、いずれも1万枚以上印刷する
ことができた。
以上から、本発明の各感光材料は光導電層の平滑性、
膜強度、静電特性及び印刷性の全ての点において良好な
ものであった。
さらに、樹脂〔A′〕を用いることにより静電特性が
さらに向上することが判った。
実施例18〜33 実施例1において結着樹脂として下記表−6の樹脂
〔A〕7.6g及び樹脂〔B〕34gに代え、又、シアニン色
素〔I〕0.02gの代わりに下記構造の色素〔II〕0.019g
に代えた他は、実施例1と同様の条件で電子写真感光材
料を作製した。
本発明の感光材料は、いずれも帯電性、暗電荷保持
率、光感度に優れ、実際の複写画像も高温・高湿の(30
℃、80%RH)の過酷な条件においても、地カブリの発生
のない、鮮明な画像を与えた。
更に、これをオフセットマスターの原版として用いて
印刷した所、地カブリのない鮮明な画質の印刷物を1万
枚以上印刷できた。
実施例34及び35並びに比較例D 樹脂〔A−1〕(実施例34)又は樹脂〔A−10〕(実
施例35)のいずれか6.5g、樹脂〔B−16〕33.5g、酸化
亜鉛200g、ウラニン0.02g、ローズベンガル0.04g、ブロ
ムフェノールブルー0.03g、無水フタル酸0.20g及びトル
エン300gの混合物をボールミル中で4時間分散して感光
層形成物を調整し、これを導電処理した紙に、乾燥付着
量が25g/m2となる様にワイヤーバーで塗布し、110℃で
1分間乾燥した。次いで暗所で20℃、65%RHの条件下で
24時間放置することにより各電子写真感光体を作製し
た。
比較例D 実施例34において、樹脂〔A−1〕6.5g、樹脂〔B−
16〕33.5gの代わりに、樹脂〔R−3〕6.5g及び樹脂
〔R−4〕33.5gを用いた他は、実施例34と同様にし
て、感光材料を作製した。
実施例1と同様に、各感光材料の各特性を調べた。そ
の結果を下記表−7にまとめた。
上記の測定において、静電特性及び撮像性については
下記の操作に従った他は、実施例1と同様の操作で行な
った。
注7)静電特性のE1/10及びE1/100の測定方法 コロナ放電により光導電層表面を−400Vに帯電させた
後、該光導電層表面を照度2.0ルックスの可視光で照射
し、表面電位(V10)が1/10又は1/100に減衰するまでの
時間を求め、これから露光量E1/10又はE1/100(ルッ
クス・秒)を算出する。
注8)撮像性 各感光材料を以下の環境条件で1昼夜放置した後、全
自動製版機EPL−404V(富士写真フイルム(株)製)でE
PL−Tをトナーとして用いて製版して得られた複写画像
(カブリ、画像の画質)を目視評価した。撮像時の環境
条件は、20℃65%RH(I)と30℃80%RH(II)で実施し
た。但し、複写用の原稿(即ち、版下原稿)には、ほか
の原稿を切り抜いて、貼り込みを行なって作成したもの
を用いた。
各感光材料において、光導電層の平滑性及び強度にお
いて、その差は認められなかった。しかし、静電特性に
おいて、比較例Dは、特に光感度E1/100の値が大きく
なった。本発明の感光材料の静電特性は良好であり、更
に、特定の置換基を有する樹脂〔A〕を用いた実施例35
は、非常に良好であり、特にE1/100の値が小さくなっ
た。
実際の撮像性を調べて見ると、比較例Dは、複写画像
として原稿以外に、切り抜いて貼り込んだ部分の枠(即
ち、貼り込み跡)が非画像部の地汚れとして認められ
た。しかし、本発明のものは、いずれも、地汚れのな
い、鮮明な画像のものが得られた。
更に、これらをオフセット印刷用原版として不感脂化
処理して印刷した所、本発明のものはいずれも地汚れの
ない鮮明な画質の印刷物が1万枚得られた。しかし、比
較例Dは、上記の貼り込み跡が、不感脂化処理でも除去
されず、刷り出しの印刷物から発生してしまった。
以上のことより、本発明の感光材料のみが、良好な特
性を与えることができた。
実施例36〜49 実施例34において、樹脂〔A−1〕6.5g及び樹脂〔B
−16〕33.5gの代わりに、下記表−8の樹脂〔A〕6.5g
及び樹脂〔B〕33.5gを用いた他は、実施例34と同様に
して各感光材料を作製した。
本発明の感光材料はいずれも帯電性、暗電荷保持率、
光感度に優れ、実際の複写画像も高温高湿(30℃、80%
RH)の過酷な条件においても地カブリの発生や細線飛び
の発生等のない鮮明な画像を与えた。
更にオフセットマスター原版として印刷した所、1万
枚印刷しても地汚れの発生のない鮮明な画質の印刷物が
得られた。
実施例50 下記構造の樹脂〔A−21〕8g及び樹脂〔B−14〕28
g、酸化亜鉛200g、ウラニン0.02g、ローズベンガル0.04
g、ブロモフェノールブルー0.03g、無水フタル酸0.20g
及びトルエン300gの混合物をボールミル中で4時間分散
し、更に、1,3−キシリレンジイソシアナート3.5gを加
え、更にボールミルで10分間分散した。
これを導電処理した紙に、乾燥付着量が18g/m2となる
様にワイヤーバーで塗布し、110℃で30秒間加熱し、
後、120℃で2時間加熱した。次いで暗所で20℃、65%R
Hの条件下で24時間放置することにより各電子写真感光
体を作製した。
本発明の感光材料は、いずれも帯電性、暗電荷保持
率、光感度に優れ、実際の複写画像も高温・高湿の(30
℃,80%RH)の過酷な条件においても、地カブリの発生
のない、鮮明な画像を与えた。
更に、これをオフセットマスターの原版として用いて
印刷した所、1万枚の所でも鮮明な画質の印刷物を得
た。
(発明の効果) 本発明によれば、静電特性(特に厳しい条件下での静
電特性)に優れた、鮮明で良質な画像を有し、更に優れ
た機械的強度わ有する電子写真感光体を得ることができ
る。特に半導体レーサー光を用いたスキャニング露光方
式に有効である。
式(I a)又は(I b)で示される特定のメタクリレー
ト成分を含有する繰り返し単位を本発明の樹脂に用いる
ことにより、更に静電特性が向上する。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機光導電材料及び結着樹脂を少なくとも
    含有する光導電層を有する電子写真感光体において、該
    結着樹脂が、下記に示される樹脂〔A〕の少なくとも1
    種と樹脂〔B〕の少なくとも1種とを含有して成る事を
    特徴とする電子写真感光体。 樹脂〔A〕; 1×103〜2×104の重量平均分子量を有し、−PO3H
    2基、−COOH基、−SO3H基、フェノール性OH基、 {Rは炭化水素基又は−OR′基(R′は炭化水素基)を
    示す}及び環状酸無水物含有基から選択される少なくと
    も1つの酸性基を含有する少なくとも1つの重合体成分
    から成るAブロックと下記一般式(I)で示される重合
    体成分を少なくとも含有するBブロックとから構成され
    るABブロック共重合体。 一般式(I) 〔式(I)中、R1は炭化水素基を表わす。〕 樹脂〔B〕; 下記一般式(IV a)及び(IV b)で示される重合体成分
    のうちの少なくとも1種と−COOH基、−PO3H2基、−SO3
    H基、−OH基、 (R0は前記Rと同一の内容を表わす)基、−CHO基及び
    環状酸無水物含有基から選ばれる少なくとも1つの極性
    基を含有する成分を少なくとも1種含有する重合体成分
    の少なくとも1種とを含有する重合体主鎖の一方の末端
    にのみ下記一般式(III)で示される重合性二重結合基
    を結合して成る重量平均分子量2×104以下の一官能性
    マクロモノマー(MB)と下記一般式(V)で示されるモ
    ノマーとから少なくとも成る重量平均分子量5×104
    1×106の共重合体。 一般式(III) 〔式(III)中、X0は−COO−、−OCO−、−CH2OCO−、
    −CH2COO−、−O−、−SO2−、−CO−、−CONHCOO−、
    −CONHCONH−、 を表わす(ここでR31は水素原子又は炭化水素基を表わ
    す)。 c1、c2は、互いに同じでも異なってもよく、各々水素原
    子、ハロゲン原子、シアノ基、炭化水素基、−COO−Z4
    又は炭化水素を介した−COO−Z4(Z4は各々水素原子又
    は置換されてもよい炭化水素基を示す)を表わす。〕 一般式(IV a) 一般式(IV b) 〔式(IV a)又は(IV b)中、X1は式(III)中のX0
    同一の内容を表わす。Q1は、炭素数1〜18の脂肪族基又
    は炭素数6〜12の芳香族基を表わす。d1、d2は、互いに
    同じでも異なってもよく、式(III)中のc1、c2と同一
    の内容を表わす。 Q0は−CN、−CONH2又は を表わし、Yは水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基
    又は−COOZ5(Z5はアルキル基、アラルキル基又はアリ
    ール基を示す)を表わす。〕 一般式(V) 〔式(V)中、X2は式(IV a)中のX1と同一の内容を表
    わし、Q2は式(IV a)中のQ1と同一の内容を表わす。
    e1、e2は互いに同じでも異なってもよく、式(III)中
    のc1、c2と同一の内容を表わす。〕
  2. 【請求項2】該ABブロック共重合体におけるBブロック
    が下記一般式(I a)及び一般式(I b)から選択される
    少なくとも1つの繰り返し単位を30重量%以上含有する
    事を特徴とする請求項(1)記載の電子写真感光体。 一般式(I a) 一般式(I b) 〔式(I a)又は(I b)中、M1及びM2は互いに独立に、
    それぞれ水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、塩素原
    子、臭素原子、−COZ2又は−COOZ2(Z2は各々炭素数1
    〜10の炭化水素基を示す)を表わす。但し、M1とM2がと
    もに水素原子を表わすことはない。 L1及びL2はそれぞれ−COO−とベンゼン環を結合する、
    単結合又は連結原子数1〜4個の連結基を表わす。〕
  3. 【請求項3】該樹脂〔B〕が、−PO3H2基、−SO3H基、
    −COOH基、−OH基、 (R0′はRと同一の内容を表わす)および環状酸無水物
    含有基から選択される少なくとも1種の極性基を該共重
    合体主鎖の片末端に結合して成る樹脂である請求項
    (1)又は(2)記載の電子写真感光体。
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