JP2620378B2 - 生体適合性に優れた表面を有する医療用具の製造方法 - Google Patents

生体適合性に優れた表面を有する医療用具の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、生体適合性に優れた表面を有する医療用具
の製造方法に関する。
[従来の技術] 近年、医学の進歩とともに数多くの医療用具が開発さ
れている。これらの医療用具には、医用機能性、生体適
合性および経済性が要求される。
前記医用機能性とは、たとえば血液バッグのばあいに
は血液を貯蔵する機能、人工腎臓用透析膜や過膜のば
あいには血液を透析または過する機能、人工心臓のば
あいには血液ポンプとしての機能、コンタクトレンズの
ばあいにはレンズとしての機能などのように、その用具
の形状や力学的特性によって支配される性質である。
また、前記生体適合性とは、医療用具が生体組織や体
液などの生体成分と接触したときにそれら生体成分にダ
メージを与えない性質、すなわち安全性を確保する性質
であるが、これは生体組織や体液など生体成分と接触す
る医療用具の表面、とくに数10Åの極表面の性状によっ
て支配される性質である。
現在開発されている医療用具には、医用機能性は満た
しているが、生体適合性が不充分なため、その使用方法
が限定される欠点がある。とくに、血液と接触する医療
用具では、血液と接触する部位に血栓が形成したり、補
体を活性化するなどの大きな欠点がある。
このような現状を踏まえ、医療用具の表面改質によ
り、医用機能性を確保しながら生体適合性を向上させよ
うとする研究が積極的に進められている。
たとえば、材料表面に放射線照射やグロー放電処理を
行ない、アクリルアミドやエチレングリコールなどの親
水性モノマーをグラフト重合することにより表面を親水
性とし、生体適合性を向上させる方法がある。
しかし、この方法では、装置が高価なため経済性に劣
ったり、中空状の内面や複雑な形状を有するばあいには
均質にグラフトすることが困難であったり、親水性高分
子自体をグラフトすることは困難であるなど多くの欠点
を有する。
また、生理活性物質を利用する例として、ヘパリンを
医療用具表面から徐放させたり、ウロキナーゼを表面に
固定して、血栓形成を防ぐ方法が開発されている。
しかし、これらの方法では、ヘパリンが徐放し終った
りウロキナーゼが失活すると血栓が形成する点、さらに
成形方法や医療用具の基材が限定され、かつ高価になる
などの欠点がある。
一方、アジド基などの感光性基を有する化合物は、写
真、印刷技術、接着、塗装技術などの分野では広く応用
されており、とくにフォトレジスト方面において数多く
のアジド化合物が実用化されている。しかし、このよう
な技術を生体適合性を有する医療用具に応用しようとす
る試みはなされていない。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は、従来、医用機能性と経済性を有し、かつ生
体適合性に優れた表面を有する医療用具が開発されてい
ないという問題を解決するためになされたものである。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、生体適合性に優れた表面を医療用具の
表面に安定的かつ経済的に付与する方法について鋭意研
究を重ねた結果、2個以上のアジド基を有する化合物と
親水性高分子とからなる組成物を材料表面に存在させ、
短時間光照射することにより、アジド基が反応性に富む
ナイトレン基に転化し、材料表面と親水性高分子、ある
いはそれに加えて親水性高分子間に、チッ素原子を介す
る共有結合が生成し、親水性高分子よりなる層が材料表
面に固定され、前記問題が解決されることを見出し、本
発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、 2個以上のアジド基を有する化合物と親水性高分子と
からなる組成物を材料表面に存在させたのち、光照射す
ることにより該親水性高分子を材料表面に結合させるこ
とを特徴とする生体適合性に優れた表面を有する医療用
具の製造方法に関する。
[実施例] 本発明においては、前述のごとく、医療用具を構成す
る材料表面と親水性高分子、あるいはそれに加えて親水
性高分子間にチッ素原子を介する共有結合を形成せし
め、前記材料表面に親水性高分子よりなる層が固定され
るが、前記チッ素原子を介する共有結合は、アジド基を
有する化合物中のアジド基の反応により形成される。
前記アジド基を有する化合物の例としては、たとえば
カルボニルアジド基を有する化合物(R−CON3)、スル
ホニルアジド基を有する化合物(R−CO2N3)、芳香族
アジド基を有する化合物 などがあげられるが、安定性のよい芳香族アジド基を有
する化合物またはスルホニルアジド基を有する化合物が
好ましい。また、より長波長(>320nm)の光でナイト
レンに転化できる点で、ニトロ基のような電子吸引性置
換基を有する芳香族アジド基を有する化合物、i線また
はg線感光性のビスアジド化合物がさらに好ましい。
このようなアジド基を有する化合物のうち2個以上の
アジド基を有する化合物の具体例としては、たとえば第
1表に示すような一般のビスアジド化合物、1分子中に
2個以上のアジド基を導入したアジド化ポリマーなどが
あげられるが、これらに限定されるものではない。
前記親水性高分子の例としては、たとえば一般の合成
親水性高分子、蛋白質、多糖類、その他の生体適合性に
優れた高分子があげられるが、これらに限定されるもの
ではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用
してもよい。
前記合成親水性高分子の具体例としては、たとえばポ
リアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリ
ビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリヒド
ロキシエチルメタクリレート、ポリアクリル酸、ポリビ
ニル硫酸、ポリアリルアミンあるいはこれらの共重合体
などがあげられるが、これらに限定されるわけではな
い。体液成分が吸着しにくいという点から、ポリエチレ
ングリコールなどのノニオン系のものが好ましい。なか
でも、補体の活性化が少ないという点から水酸基を持た
ないポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド
などのアクリルアミド系のものがさらに好ましい。
前記蛋白質の具体例としては、たとえばアルブミン、
コラーゲン、ゼラチン;ウロキナーゼ、ストレプトキナ
ーゼ、プラスミノーゲンアクチベータなどの酵素類など
があげられるが、これらに限定されるものではない。こ
れらのうちでは、組織適合性に優れているという点から
はコラーゲンが好ましい。
前記多糖類の具体例としては、たとえばヘパリン、ヒ
アルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、デ
キストラン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパラン硫酸などがあ
げられる。これらのうちでは、血栓形成抑制作用という
点からはヘパリンが好ましい。
前記その他の生体適合性に優れた高分子の具体例とし
ては、たとえばキチン、プロスタグランジン、その誘導
体などがあげられる。
前記親水性高分子は、チッ素原子を介する共有結合で
医療用具の表面に固定されるが、前記結合は、アジド基
に光照射することにより生成したナイトレン基が、次式
に示すような化学反応、すなわち式(1)で表わされる
水素引抜反応、式(2)で表わされる2重結合への付加
やC−H結合への挿入、および式(3)で表わされるカ
ップリング反応を行なうことにより生成するものであ
る。
R−・+R′H→R′・+R−H→R−NH−R′
(1) 2R−・→R−N=N−R (3) なお、ナイトレン基は極めて反応性が高いために、前
記反応以外での結合が少数生成するばあいもありうる
が、実質的に親水性高分子が前記結合を介して医療用具
の表面に固定されているばあいには、本発明の範囲に含
まれる。
また、前記の反応が親水性高分子間に生じ、架橋が生
じるばあいがあるが、このようなばあいも本発明の範囲
に入る。なお、親水性高分子の水溶性が高いばあいに
は、このような架橋を積極的に生じさせるばあいもあ
る。
本発明にいう医療用具とは、生体組織や体液などの生
体成分と接触して用いられるものである。このような医
療用具の具体例としては、たとえば血液バッグ、採尿バ
ッグ、輸血セット、縫合糸、ドレーンチューブ、各種カ
テーテル、ブラッドアクセス、血液回路、人工血管、人
工腎臓、人工心肺、人工弁、血漿交換膜、各種吸着体、
CAPD、IABP、ペースメーカー、人工関節、人工骨頭、歯
科材料、眼内レンズ、ソフトコンタクトレンズ、各種シ
ャントなどがあげられるが、これらに限定されるわけで
はない。
これら医療用具において、全表面が親水性高分子を有
する表面であってもよく、生体組織や体液などの生体成
分と接触する部位のみが親水性高分子を有する表面から
なっていてもよい。
つぎに、本発明の医療用具の製法について説明する。
本発明に用いる2個以上のアジド基を有する化合物と
親水性高分子とからなる組成物を材料表面に存在させる
方法として、たとえば該組成物をメタノールのような揮
発性有機溶媒に溶解あるいは懸濁させ、この液を材料表
面に塗布あるいは噴霧したのち乾燥させ、該組成物の薄
層を材料表面に形成させる方法、該組成物の水溶液また
はコロイド溶液と材料表面を接触させ、材料表面に吸着
させる方法などがあげられる。また、アジド基を有する
化合物を材料表面に存在させたのち、そのうえに親水性
高分子を存在させるなどしてもよい。
前記親水性高分子の材料表面への結合は、2個以上の
アジド基を有する化合物と親水性高分子とからなる組成
物を材料表面に存在させたのち、光照射することによ
り、容易に行なうことができる。2個以上のアジド基を
有する化合物と該親水性高分子とからなる組成物を用い
るばあい、親水性高分子にアジド基を導入する特別な操
作が不要な点および非固定物の洗浄による除去が容易な
点で好ましい。
前記光照射に用いる光源としては、一般的に紫外線を
発する高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯などの各
種水銀灯、エキシマレーザーなどを用いることができる
が、i線あるいはg線感光性のビスアジド化合物を用い
るばあいや、ニトロ基を有する芳香族アジド基を有する
化合物のように320nm以上の光でナイトレン基が生成す
るばあいには、フィルターにより短波長域をカットする
ことにより、短波長紫外線による親水性高分子や材料へ
の影響を軽減することができる。この方法によると、蛋
白質などの親水性高分子を用いるばあいにとくに好まし
い。
なお、ナイトレン基の反応は極めて短時間で完了する
ため、紫外線の照射時間は5分以内でよい。
光照射の方法は、親水性高分子を存在させた材料表面
に直接照射する方法、または紫外線透過性を有する材料
のばあいは、親水性高分子を存在させた表面と反対側よ
り照射することもできる。
また、光ファイバーを利用することにより、複雑な形
状を有する用具の内部表面の任意の部位に照射すること
ができる。
つぎに実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
参考例1 N,N−ジメチルアクリルアミド4重量部(以下、部と
いう)に対してアクリルアミド1部を用い、アセトン
中、過酸化ベンゾイルおよびN,N−ジメチル−p−トル
イジルをレドックス系開始剤とする共重合を行なった。
生成した白沈をろ別し、アセトンで充分洗浄し、N,N−
ジメチルアクリルアミド−アクリルアミド共重合体(以
下、PDMAという)をえた。
このようにしてえられたPDMAを周知の方法でホフマン
分解し、アミド基をアミノ基に変換した(田中浩雄他、
高分子論文集、33、No.6、309頁(1976)、「ポリアク
リルアミドのホフマン分解」、他参照)。反応混合溶液
を大量のアセトン中に注ぎ、ポリマーを回収した。該乾
燥したポリマーを少量の水に溶かし、液酸酸性とした
後、アセトンより再沈殿し、アミノ基を導入したPDMA
(以下、アミノ化PDMAという)をえた。
このようにしてえられたアミノ化PDMA100mgを10mlの
水に溶かし、トリエチルアミンを加えてアミノ基を遊離
し、後に示す水溶性アジド化合物Sulfo−SANPAH(略
号、PIERCE社製)100mgを加えて溶かし、遮光下、室温
で1晩放置した。反応溶液を、分画分子量1000の透析膜
で透析して低分子不純物を除去した後、凍結乾燥し、ア
ジド基を導入したPDMA(以下、アジド化PDMA1という)
をえた。
このようにしてえられたアジド化PDMA1のメタノール
溶液(約1重量%)を調製し、この溶液約25μを、約
2cm2に切取った資料フィルム上に塗布、展開した後、風
乾して溶媒を留去した。アジド化PDMA1をキャストした
フィルム面に、高圧水銀灯を用いて紫外線を1分間照射
した。この後フィルムをメタノール、水で充分洗浄し
た。資料フィルムとして、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリスチレン、ポリウレタン製の各フィルムを用い
た。
光照射によりアジド化PDMA1に基づく親水性高分子層
を有するフィルム表面は、水ぬれ性が顕著に改善され、
ESCAによる表面分析の結果、表面より数10Å以上にわた
り、ほとんど均質な該親水性高分子層が形成されている
ことが確認された。
えられた該親水性高分子層を有するフィルムと、この
層を有さない元のフィルムとを健常人全血より調製した
多血小板血漿に浸漬し、37℃で1時間インキュベートし
たのち、生理食塩水でリンスし、グルタルアルデヒドで
固定した。これらのフィルム上の血小板粘着を観察した
ところ、親水性高分子層を有さない元のフィルムには数
多くの血小板が粘着していたが、該親水性高分子層を有
するフィルム面には、ほとんど血小板が粘着していなか
った。
参考例2 アミノ化PDMA100mgと、後に示すアジド化合物ANB−NO
S(略号、PIERCE社製)80mgを用いたほかは参考例1と
同様にしてアジド基を導入したPDMA(以下、アジド化PD
MA2という)をえた。ただし、溶媒として、水のかわり
にメタノールを用いた。溶媒を留去し、乾燥した後に少
量の水に溶かし、参考例1と同様に透析してアジド化PD
MA2を精製した。ついで参考例1と同様にしてえたアジ
ド化PDMA2に基づく親水性高分子層を有するフィルム表
面は、水ぬれ性が顕著に改善され、血小板の粘着もほと
んど見られなかった。また、ESCAによる表面解析でも、
参考例1と同様、数10Å以上の親水性高分子層が形成さ
れていることが確認された。
参考例3 アミノ化PDMA100mgと、後に示すアジド化合物HSAB
(略号、p−アジド安息香酸と、N−ヒドロキシコハク
酸イミドとを、ジオキサン中、N,N′−ジシクロヘキシ
ルカルボジイミドを用いて脱水縮合することによりえ
た)65mgとを用いたほかは、参考例2と同様にして、ア
ジド基を導入したPDMA(以下、アジド化PDMA3という)
をえた。ただし、HSABは少量のテトラヒドロフラン(TH
F)に溶解して加えた。以下、参考例2と同様にしてア
ジド化PDMA3の精製を行なった。参考例1と同様にして
えられたアジド化PDMA3に基づく親水性高分子層を有す
るフィルム表面は、水ぬれ性が顕著に改善され、血小板
の粘着もほとんど見られなかった。また、ESCAによる表
面解析でも、参考例1と同様、数10Å以上の親水性高分
子層が形成されていることが確認された。
参考例4 平均分子量約4万のポリアクリルアミドを参考例1と
同様の方法でホフマン分解し、アミド基の一部をアミノ
基に変換した。反応混合溶液を大量のメタノール中に注
ぎ、ポリマーを回収した。該乾燥したポリマーを少量の
水に溶かし、塩酸酸性とした後、メタノールより再び沈
殿し、アミノ基を導入したポリアクリルアミド(以下、
アミノ化PAAmという)をえた。アミノ化PAAmとSulfo−S
ANPAHを用い、参考例1と同様にして、アジド基を導入
したポリアクリルアミド(以下、アジド化PAAmという)
をえた。
このようにしてえられたアジド化PAAmの水溶液(1重
量%)を調製し、資料フィルムを浸漬して1時間放置し
た。資料フィルムを浸漬したまま、溶液を透過して、高
圧水銀灯より紫外線を5分間照射した。フィルムを取出
し充分水洗した。資料フィルムとしてテフロンフィル
ム、ポリスチレンフィルムを用いた。えられたアジド化
PAAmに基づく親水性高分子層に有するフィルム表面は、
水ぬれ性が顕著に改善され、血小板の粘着もほとんど見
られなかった。また、ESCAによる表面解析により、数10
Å以上の該親水性高分子層がフィルム表面に形成されて
いることが確認された。
参考例5 牛血清アルブミン1gを0.15molリン酸緩衝液(pH8.5)
に溶かし、約10重量%溶液とした。これに水溶性アジド
化合物Sulfo−SANPAH10mgを加えて溶かし、遮光下、冷
蔵庫中で放置し、アルブミンにアジド基を導入した。
この溶液中に、約2cm2に切取ったポリスチレンフィル
ムを1時間浸漬し、アジド基を導入したアルブミンをフ
ィルム表面に吸着させた。
フィルムを取出し、生理食塩水でリンスした後、高圧
水銀灯を用いて紫外線を5分間照射した。ただし、紫外
フィルターを用い310nm以下をカットして照射した。
フィルムを生理食塩水で充分洗浄した。
えられたアルブミン層を有するフィルム表面は、水ぬ
れ性が顕著に改善され、血小板の粘着もほとんど見られ
なかった。また、ESCAによる表面解析の結果、数10Å以
上のアルブミン層が形成されていることが確認された。
実施例1 参考例1でえられたPDMA10部に対して、ビスアジド化
合物2,6−ジ−(4′−アジドベンジリデン)−シクロ
ヘキサノン1部を混合してメタノールに溶かし、約1重
量%溶液を調製した。ポリエチレンテレフタレートフィ
ルムを資料フィルムとし、以下参考例1のばあいと同様
に実施した。フィルム表面の水ぬれ性は顕著に改善さ
れ、血小板の粘着もほとんど見られなかった。ESCAによ
る表面解析の結果、数10Å以上のPDMAに基づく親水性高
分子層が形成されていることが確認された。
実施例2 アセトン中、過酸化ベンゾイルおよびN,N−ジメチル
−p−トルイジルをレドックス系開始剤として、N,N−
ジメチルアクリルアミドモノマー((株)興人製)を重
合し、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)(以下、P
DMAAという)をえた。このようにしてえたPDMAA95部
(重量比)に対して、ビスアジド化合物として2,6−ジ
−(4′−アジドベンジリデン)−シクロヘキサノン5
部(重量比)を混合してメタノールに溶かし、約0.1重
量%溶液を調製した。
この溶液約20μを、約2cm2に切取った試料フィルム
上に塗布、展開したのち、風乾して溶媒を留去した。こ
のようにしてビスアジド化合物を含んだPDMAAをキャス
トしたフィルム面に、高圧水銀灯を用いて紫外線を1分
間照射した。こののちフィルムをメタノール、水で充分
洗浄した。前記試料フィルムとして、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリスチレンまたはポリウレタンからなる
各フィルムを用いた。
光照射によりPDMAAに基づく親水性高分子層を固定し
たフィルム表面は、水ぬれ性が顕著に改善され、血小板
の粘着もほとんどみられなかった。また、ESCAによる表
面分析の結果、表面より数10Å以上にわたり、ほとんど
均質な該親水性高分子層が形成されていることが確認さ
れた。
実施例3 牛血清アルブミン1gを0.15molリン酸緩衝液(pH8.5)
に溶かし、約10重量%溶液とした。これに、水溶性ビス
アジド化合物である4,4′−ジアジドスチルベン−2,2′
−ジスルホン酸ソーダ10mgを加えて溶かした。
この溶液中に、約2cm2に切取ったポリスチレンフィル
ムを1時間浸漬し、水溶性ビスアジド化合物を含んだア
ルブミンをフィルム表面に吸着させた。
フィルムを取出し、生理食塩水でリンスしたのち、高
圧水銀灯を用いて紫外線を5分間照射した。ただし、紫
外フィルターを用い310nm以下をカットして照射した。
ついでフィルムを生理食塩水で充分洗浄した。
このようにしてえたアルブミン層を有するフィルム表
面は、水ぬれ性が顕著に改善され、血小板の粘着もほと
んど見られなかった。また、ESCAによる表面解析の結
果、数10Å以上のアルブミン層が形成されていることが
確認された。
[発明の効果] 本発明による生体適合性に優れた親水性高分子よりな
る表面を有する医療用具は、生体組織や体液などの生体
成分と接触したばあいに優れた生体適合性を示し、高い
安全性を有するものである。
2個以上のアジド基を有する化合物と親水性高分子と
からなる組成物を材料表面に存在させたのち光照射する
本発明の方法により、親水性高分子をその表面に簡単に
固定できるため、既存の医療用具をはじめこれまで生体
適合性に欠け医療用具としては適していない材料にも容
易に生体適合性表面を付与することが可能となり、広範
な材料が医療用具として使用可能となる。さらに、医療
用具の極表面の改質であるため、その医療用具の有する
医用機能性や経済性にはほとんど影響を与えない利点も
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−170617(JP,A) 特開 昭58−170720(JP,A) 特表 平3−505979(JP,A) 国際公開90−1344(WO,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2個以上のアジド基を有する化合物と親水
    性高分子とからなる組成物を材料表面に存在させたの
    ち、光照射することにより、該親水性高分子を材料表面
    に結合させることを特徴とする生体適合性に優れた表面
    を有する医療用具の製造方法。
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