JP2604822B2 - 不整地用二輪車タイヤ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、不整地用二輪車タイヤの改良に関するも
のであり、とくには、コーナリング特性の著しい向上を
もたらすものである。

（従来の技術） 通常の不整地用二輪車タイヤは、トレッド表面に、タ
イヤ周方向および幅方向へ所定の間隔をおいて位置する
複数のブロックを有しており、かかるタイヤでは、コー
ナリングに際するタイヤのグリップ力を、ブロックのエ
ッジの作用によってもたらすこととしている。

（発明が解決しようとする課題） ところが、かかる従来のタイヤは一般に、ブロック
が、タイヤ周方向には比較的粗に、そしてタイヤ幅方向
には比較的密に配置されていることから、とくには、タ
イヤに大きなキャンバー角を付与して、タイヤ幅方向の
再外側に位置するブロックの、タイヤ幅方向内側のエッ
ジによってタイヤのグリップ力を得ようとする場合に、
最外側ブロックの内側に位置するブロック、ひいては、
そのブロック外側肩部もまた最外側ブロックとともに接
地することとなって、エッジを十分に作用させ得ない傾
向にあり、これがため、コーナリング中にタイヤが流れ
るおそれがあった。

この発明は、従来技術のかかる問題を有利に解決する
もであり、コーナリングに際するタイヤのグリップ力を
大きく向上させることができる不整地用二輪車タイヤを
提供するものである。

（課題を解決するための手段） この発明の不整地用二輪車タイヤは、とくに、タイヤ
幅方向の最外側ブロックの内側に位置するブロックで、
それの外側区画面を、トレッド表面に隣接する第１の傾
斜面と、トレッド底部に隣接する第２の傾斜面とで形成
し、第１の傾斜面の、トレッド表面法線に対する傾斜角
α_１と、第２の傾斜面の、トレッド表面法線に対する傾
斜角α_２との相対関係を、 30゜＞α_２＞10゜の下で、 ３α_２＞α_１＞1.5α_２ とするとともに、第１の傾斜面の、トレッド表面との交
線A₁と、第２の傾斜面の仮想延長面の、トレッド表面と
の交線A₂と、該ブロックの内側区画面とトレッド表面と
の交線Ｂとの間で、 A₂〜Ｂ間のトレッド表面長さ×0.4＜A₁〜Ｂ間のトレ
ッド表面長さ＜A₂〜Ｂ間のトレッド表面長さ×0.7とし
たものである。

（作 用） この発明では、最外側ブロックの内側に位置するブロ
ックの外側区画面を、一定の相対関係を有する第１およ
び第２の傾斜面にて形成することにより、コーナリング
に際し、そのブロックの接地を極めて有効に防止するこ
とができるので、最外側ブロックの内側エッジを十分に
作用させて大きなグリップ力を発生させることができ
る。

しかもここでは、第１および第２の傾斜面の、上述し
た一定の相対関係に加え、それらの両傾斜面からなる外
側区画面を有するブロックで、それの内側区画面と第１
の傾斜面との間のトレッド表面長さを所定の値とするこ
とにより、そのブロックの、剛性の低下を防止して、各
種のタイヤ性能の発揮を十分に担保することができる。

（実施例） 以下にこの発明の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図は、この発明に係るタイヤのトレッドパターン
を例示する展開図であり、第２図は、第１図のII−II線
に沿うタイヤ子午線断面図である。

なお、タイヤの内部構造はこの発明の要旨ではないの
で、ここでは図示を省略する。

第１図から明らかなように、このタイヤは、トレッド
表面に、タイヤの周方向および幅方向へ所定の間隔をお
いて位置する複数のブロックB_Lを有する。

ここでは、これらのブロックB_Lのうち、タイヤ幅方向
の最外側のブロック１の内側に位置するブロック２にお
いて、それの外側区画面３を、トレッド表面４に隣接す
る第１の傾斜面3aと、トレッド底部５に隣接する第２の
傾斜面3bとで形成し、第１の傾斜面3aの、トレッド表面
法線に対する傾斜角α_１と、第２の傾斜面3bの、トレッ
ド表面法線に対する傾斜角α_２との相対関係を、 30゜＞α_２＞10゜の条件下で、 ３α_２＞α_１＞1.5α_２ とする。

ここで、30゜＞α_２＞10゜とするのと、α_２が10゜以
下では、コーナリング時の横方向力に対するブロックの
剛性低下を招き、α_２が30゜以上では、必要十分以上の
ブロック剛性となり、逆に、重量の増加を招くことによ
るものであり、また、３α_２＞α_１＞1.5α_２とするの
は、α_１が1.5α_２以下、または３α_２以上では、この
発明の意図するブロックエッジ効果が不十分であること
によるものである。

またここでは、第１の傾斜面3aの、トレッド表面４と
の交線A₁と、第２の傾斜面3bの仮想延長面の、トレッド
表面４との交線A₂と、ブロック２の内側区画面６とトレ
ッド表面４との交線Ｂとの間で、A₂〜Ｂ間のトレッド表
面長さ×0.4＜A₁〜Ｂ間のトレッド表面長さ＜A₂〜Ｂ間
のトレッド表面長さ×0.7とする。

ここで、A₁〜Ｂ間のトレッド表面長さをかかる範囲と
するのは、その長さが、A₂〜Ｂ間のトレッド表面長さの
40％以下では、トレッド表面積が小さくなりすぎ、路面
との接触面積が少なくなりすぎて、グリップ効果が低く
なり、A₂〜Ｂ間のトレッド表面長さの70％以上では、こ
の発明の意図するブロックエッジ効果が不十分であるこ
とによるものである。

〔比較例〕

以下に、この発明に係るタイヤと従来タイヤとの、ト
ラクション性、コーナリンググリップ性、コントロール
性およびラップタイムに関する比較試験について説明す
る。

供試タイヤ ・サイズ110/100−18 ・発明タイヤ 第1,2図に示すトレッドパターンを有するタイヤにお
いて、傾斜角α_１を55゜とし、傾斜角α_２を24゜とする
とともに、A₁〜Ｂ間のトレッド表面長さを、A₂〜Ｂ間の
トレッド表面長さの55％の長さとした。

・従来タイヤ 第1,2図に示したものと同様のトレッドパターンを有
するタイヤにおいて、傾斜角α_２を24゜とした。

試験方法 ・国際Ａ級ライセンスを有する２名のライダーによる実
車走行を行って、各性能についてのフィーリング評価
と、ラップタイム計測とを行った。

これらの試験結果を、従来タイヤを指数100とした指
数表示にて次表に示す。なおここでは、指数値が大きい
ものほどすぐれた結果を示すものとする。

この表によれば、発明タイヤは、トラクション性の低
下を生ずることなく、コーナリンググリップ性およびコ
ントロール性の両者を、従来タイヤに比して著しく向上
させ得ることが明白である。

（発明の効果） かくして、この発明によれば、トラクション性能にほ
とんどもしくは全く影響を与えることなく、コーナリン
グ特性の著しい向上をもたらすことができ、さらには、
コントロール性をもまた大幅に向上させることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この発明に係るタイヤのトレッドパターンを
例示する展開図であり、 第２図は、第１図のII−II線に沿うタイヤ子午線断面図
である。 １……最外側ブロック、２……ブロック 3a……第１の傾斜面、3b……第２の傾斜面 ３……外側区画面、４……トレッド表面 ５……トレッド底部、６……内側区画面

フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−244605（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−92903（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−166506（ＪＰ，Ａ) 特開 昭50−132605（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−203505（ＪＰ，Ａ) 実開 昭63−6902（ＪＰ，Ｕ) 特公 平４−35362（ＪＰ，Ｂ２) 特公 昭57−24243（ＪＰ，Ｂ２) 特公 昭54−17204（ＪＰ，Ｂ２) 実公 昭52−45922（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】トレッド表面に、タイヤの周方向および幅
   方向へ所定の間隔をおいて位置する複数のブロックを形
   成してなる二輪車タイヤにおいて、 タイヤ幅方向の最外側ブロックの内側に位置するブロッ
   クで、それの外側区画面を、トレッド表面に隣接する第
   １の傾斜面と、トレッド底部に隣接する第２の傾斜面と
   で形成し、第１の傾斜面の、トレッド表面法線に対する
   傾斜角α_１と、第２の傾斜面の、トレッド表面法線に対
   する傾斜角α_２との相対関係を、 30゜＞α_２＞10゜の下で、 ３α_２＞α_１＞1.5α_２ とするとともに、第１の傾斜面の、トレッド表面との交
   線A₁と、第２の傾斜面の仮想延長面の、トレッド表面と
   の交線A₂と、該ブロックの内側区画面とトレッド表面と
   の交線Ｂとの間で、 A₂〜Ｂ間のトレッド表面長さ×0.4＜A₁〜Ｂ間のトレッ
   ド表面長さ ＜A₂〜Ｂ間のトレッド表面長さ×0.7 としたことを特徴とする不整地用二輪車タイヤ。