JP2601117Y2 - 通り穴用穿孔ねじ切り結合工具 - Google Patents

通り穴用穿孔ねじ切り結合工具

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JP2601117Y2
JP2601117Y2 JP1992055530U JP5553092U JP2601117Y2 JP 2601117 Y2 JP2601117 Y2 JP 2601117Y2 JP 1992055530 U JP1992055530 U JP 1992055530U JP 5553092 U JP5553092 U JP 5553092U JP 2601117 Y2 JP2601117 Y2 JP 2601117Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、被加工物に下穴を加工
する穿孔刃とその下穴に雌ねじを加工するねじ切り刃と
を一体に備えた通り穴用穿孔ねじ切り結合工具の改良に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】雌ねじを切削加工するための工具として
ねじ切りフライスがある。これは、形成すべき雌ねじの
ねじ溝に対応する形状のねじ切り刃を外周部に備え、例
えばNCフライス盤やマシニングセンタなどに取り付け
られて軸心まわりに回転駆動されつつ、被加工物の下穴
内周面に切込みを加える状態でその下穴の周方向および
軸方向へ相対移動させられることにより、その下穴内周
面に雌ねじを切削加工するもので、上記ねじ切り刃を軸
方向に複数連なって備えた多山ねじ切りフライスが広く
用いられている。このようなねじ切りフライスを用いて
雌ねじを切削加工する場合、その前工程として形成すべ
き雌ねじの内径と略同一寸法の下穴を予め穿孔しておく
必要があるが、穿孔専用工具を用いる方法では工具交換
のための設備と時間が必要であるため、最近では、ねじ
切りフライスの先端に穿孔工具を一体に設けた結合工具
が提案されている。特開昭63−200916号公報や
特開平3−184722号公報に記載されている工具は
その一例であり、雌ねじを加工するためのねじ切り刃の
外径は、下穴を加工する穿孔刃の外径と同じか、下穴加
工時に下穴内周面と干渉することを防止する上で穿孔刃
の外径より少し小さめとされている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】ところで、上記ねじ切
りフライスのように、リードの無いねじ切り刃でリード
のある雌ねじを切削加工する場合、雌ねじのねじ溝形状
がねじ切り刃の形状より大きくなる干渉切削が避けられ
ず、これは、リードの大きい雌ねじを加工する場合や、
フライス径が加工すべき雌ねじの谷径と近い場合に顕著
となる。上述した従来の穿孔ねじ切り結合工具は、ねじ
切り刃の外径が穿孔刃の外径(下穴径)と略等しいた
め、雌ねじの内径は一般に谷径の85〜95%程度で、
その内径は下穴径と略等しいことから、谷径に対するね
じ切り刃の外径は同じく85〜95%程度となり、上記
干渉切削が問題となる。この対策として、干渉による切
削分を考慮してねじ切り刃の刃幅を狭くすることが行わ
れているが、このような刃形修正には強度的に限界があ
る。
【0004】本考案は以上の事情を背景として為された
もので、その目的とするところは、干渉切削が少ない通
り穴用の穿孔ねじ切り結合工具を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、本考案は、下穴を切削加工する穿孔刃を軸方向前
端部に有するとともに、その穿孔刃によって形成された
下穴に雌ねじを切削加工するリードの無い多山ねじ切り
刃がその穿孔刃よりも軸方向後部側に一体に設けられ、
軸心まわりに回転駆動されつつ被加工物に対して軸方向
へ相対移動させられることにより前記穿孔刃によってそ
の穿孔刃の径寸法と略等しい径寸法で被加工物を貫通す
る下穴を加工した後に、軸心まわりに回転駆動されつつ
その下穴内を軸方向および周方向へ相対移動させられる
ことにより前記多山ねじ切り刃によってその下穴の内周
面に内径が下穴径と略等しい雌ねじを切削加工する、通
り穴用の穿孔ねじ切り結合工具において、(a)前記多
山ねじ切り刃の外径を前記穿孔刃の外径の90%以下と
、(b)前記多山ねじ切り刃の工具軸方向における前
端に、最大径がその多山ねじ切り刃の外径より大きくて
その多山ねじ切り刃により雌ねじを切削加工する際に前
記下穴の開口部に面取りを行う第2面取り刃をその多山
ねじ切り刃の頂部に連続して設けたことを特徴とする。
【0006】
【作用および考案の効果】このような通り穴用穿孔ねじ
切り結合工具においては、多山ねじ切り刃の外径が穿孔
刃の外径の90%以下であるため、加工すべき雌ねじの
谷径に対する多山ねじ切り刃の外径の割合が小さくな
り、例えば内径が谷径の95%程度の雌ねじを切削加工
する場合には、多山ねじ切り刃の外径は雌ねじ谷径の8
5%程度以下となり、内径が谷径の85%程度の雌ねじ
を切削加工する場合には、多山ねじ切り刃の外径は雌ね
じ谷径の76%程度以下となる。これにより、干渉切削
量が少なくなり、その干渉切削を考慮した刃形修正量
も、強度的に実用上問題のない範囲で済むようなる。
【0007】M10×1.5の60°三角ねじを加工す
る場合について具体的に説明すると、JISねじ山形に
おける谷の丸みの許容範囲tは、尖り山山頂からの寸法
で尖り山の高さの1/8までであり、ピッチが1.5m
mの60°ねじの場合は、尖り山の高さが約1.299
mmであるためt≒0.162mmとなる。この場合
に、穿孔刃の外径を雌ねじの内径8.5mmと等しく
し、多山ねじ切り刃の外径をその100%すなわち8.
5mmとした時、干渉切削による谷の丸みの尖り山山頂
からの範囲ta を計算によって求めると約0.208m
mとなり、上記許容範囲t≒0.162mmを超える。
図7の(a)は、この場合の切削状態を示したもので、
斜線部が干渉切削範囲である。これに対し、多山ねじ切
り刃の外径を穿孔刃の外径(雌ねじ内径)の90%、す
なわち7.65mmとした場合には、干渉切削による谷
の丸みの尖り山山頂からの範囲tb ≒0.114mmと
なり、許容範囲t≒0.162mmより小さくなる。図
7の(b)は、この場合の切削状態を示したもので、斜
線部が干渉切削範囲である。多山ねじ切り刃の外径を穿
孔刃の外径(雌ねじ内径)の80%、すなわち6.8m
mとした場合には、干渉切削による谷の丸みの尖り山山
頂からの範囲は0.072mmとなり、多山ねじ切り刃
の外径を穿孔刃の外径(雌ねじ内径)の70%、すなわ
ち5.95mmとした場合には、干渉切削による谷の丸
みの尖り山山頂からの範囲は0.052mmとなり、多
山ねじ切り刃の外径を穿孔刃の外径(雌ねじ内径)の6
0%、すなわち5.1mmとした場合には、干渉切削に
よる谷の丸みの尖り山山頂からの範囲は0.041mm
となる。90%の場合、許容範囲tとの間に0.162
−0.114=0.048mmの余裕があるが、ねじ切
り刃の山頂はチッピングを防ぐため、実用的には少なく
とも0.02〜0.04mm程度の切り取りによる平部
またはR部を必要とし、これを考慮すると90%弱とな
り、実用的に90%以下とすることの必要性がわかる。
【0008】ここで、穿孔刃の外径に対する多山ねじ切
り刃の外径の割合を小さくする程干渉切削量は少なくな
るが、それに伴って工具のたわみ剛性や捩り強度、抗折
力、切屑排出性が悪くなるため、多山ねじ切り刃の外径
は、穿孔刃の外径の70%程度以上の範囲で設定するこ
とが望ましい。70%以下では、これを更に小さくして
も干渉切削量は殆ど変わらず、それよりも工具の剛性や
強度を重視することが必要となるのである。
【0009】また、上記多山ねじ切り刃よりも工具軸方
向の後部側に、最大径が前記穿孔刃の外径より大きくて
軸心まわりに回転駆動されつつ軸方向へ相対移動させら
れることにより下穴の入口側に面取りを行う第1面取り
刃を設ければ、多山ねじ切り刃による雌ねじの加工前ま
たは加工後において、単一の工具により下穴の入口側に
面取り加工を連続して行うことが可能となり、面取り用
の専用工具を用いる場合に比較して加工設備や加工時間
を節減できる。
【0010】また、前記多山ねじ切り刃の工具軸方向に
おける前端に、最大径がその多山ねじ切り刃の外径より
大きくてその多山ねじ切り刃により雌ねじを切削加工す
る際に前記下穴の開口部に面取りを行う第2面取り刃
その多山ねじ切り刃の頂部に連続して設けられるので
多山ねじ切り刃による雌ねじの加工時に下穴の出口側の
面取り加工が同時に行われ、面取り用の専用工具を用い
る場合に比較して加工設備や加工時間が節減される。ま
た、その面取りによって雌ねじ開口部の不完全ねじ山が
面取りされるため、そのような不完全ねじ山の変形や損
傷に起因する雌ねじ寿命の低下が防止される。
【0011】また、前記多山ねじ切り刃の工具軸方向に
おける前端および後端の少なくとも一方に、その多山ね
じ切り刃の外径と略等しい外径の不完全山削除用切れ刃
をその多山ねじ切り刃の頂部に連続して設ければ、多山
ねじ切り刃による雌ねじの加工時に下穴の入口側や出口
側における不完全ねじ山が除去されるため、そのような
不完全ねじ山の変形や損傷に起因する雌ねじ寿命の低下
が防止される。
【0012】また、前記多山ねじ切り刃の工具軸方向に
おける長さ寸法を、雌ねじを加工すべき前記被加工物の
肉厚と略同じ寸法とすれば、雌ねじ加工に必要な工具の
下穴に対する公転回数は通常1回転半(食付き、逃げを
除く実質的なねじ加工は1回転)であるため、その雌ね
じの切削加工時に前記第2面取り刃により下穴の出口側
面取りを行ったり、不完全山削除用切れ刃により下穴
の入口側および出口側の双方の不完全ねじ山を削除した
りすることができる。すなわち、1回転の公転で雌ねじ
を切削加工する場合には、工具は1ピッチ分だけ軸方向
へ移動するため、多山ねじ切り刃の長さ寸法を被加工物
の肉厚より1ピッチ程度短くすれば、下穴の両端部にそ
れぞれ最大1ピッチ程度の面取りや不完全ねじ山の除去
を行うことができる。下穴の入口側については前記第1
面取り刃で面取りが行われ、下穴の出口側については上
記第2面取り刃で面取りが行われるようにしても良く、
その場合には、多山ねじ切り刃の工具軸方向における長
さ寸法が被加工物の肉厚より大きくても差支えない。な
お、多山ねじ切り刃の工具軸方向における長さ寸法が被
加工物の肉厚より大きい場合に、上記第2面取り刃で下
の出口側の面取りを行ったり不完全山削除用切れ刃で
下穴両端の不完全ねじ山を除去したりするには、例えば
雌ねじ加工後に工具を軸方向へずらすか、雌ねじ加工時
に工具を下穴の周方向へ何回も公転させつつ軸方向へ移
動させるかして、下穴の両端に面取り加工や不完全ねじ
山の除去が行われるようにすれば良い。
【0013】また、前記多山ねじ切り刃および穿孔刃
が、工具軸方向に延びている共通のランドに形成されて
いる場合には、その穿孔刃のランド外周部にマージンを
設けておくことが望ましい。すなわち、多山ねじ切り刃
の再研削は通常すくい面で行われるため、穿孔刃が多山
ねじ切り刃と共通のランドに形成されている場合には、
その多山ねじ切り刃の再研削時に穿孔刃のすくい面も研
削され、マージンが設けられていないと研削に伴って穿
孔刃の外径、更には下穴径が小さくなってしまうのであ
るが、穿孔刃のランド外周部にマージンを設けておけ
ば、その多山ねじ切り刃の再研削に拘らず穿孔刃の外径
が一定に維持されるのである。
【0014】
【実施例】以下、本考案の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。図1は、本考案の一実施例である通り穴
用穿孔ねじ切り結合工具(以下、単に結合工具という)
10を軸心と直角な方向から見た正面図で、図2は、そ
の結合工具10を先端側から見た底面図である。かかる
結合工具10は、NCフライス盤等に把持されて軸心ま
わりに回転駆動されるシャンク12と、被加工物に切削
加工を行う刃部14とを一体に備えている。刃部14に
は、回転切削方向すなわちこの実施例では右まわりにね
じれた一対のねじれ溝16が軸心に対して対称的に形成
され、工具軸方向に延びるとともに螺旋状にねじれた一
対のランド18が設けられている。なお、図2ではシャ
ンク12が省略されている。
【0015】上記ランド18の工具軸方向における前端
部には穿孔刃20が設けられている。穿孔刃20は底刃
22および外周刃(リーディングエッジ)24を備えて
おり、外周刃24の径寸法(穿孔刃20の外径)d1
加工すべき雌ねじの内径と同じか少し小さめとされてい
るとともに、穿孔刃20の外周部には外周刃24に連続
して同一寸法のマージン26が設けられている。また、
ランド18の工具軸方向における中間部、すなわち上記
穿孔刃20よりも工具軸方向の後部側には、リードの無
い多山ねじ切り刃28が設けられている。この多山ねじ
切り刃28の外径寸法d2 は、上記外周刃24の径寸法
1 の70%〜90%の範囲内で定められているととも
に、多山ねじ切り刃28の工具軸方向における長さ寸法
Lは、雌ねじを加工すべき被加工物30(図3参照)の
肉厚と略同じ、この実施例では多山ねじ切り刃28のね
じ山の0.5ピッチ程度だけ短い寸法に定められてい
る。
【0016】上記多山ねじ切り刃28の工具軸方向にお
ける前端、すなわち穿孔刃20と多山ねじ切り刃28と
の間の部分には、穿孔刃20から多山ねじ切り刃28に
向かうに従って小径となる面取り刃32が、穿孔刃20
の外周刃24から多山ねじ切り刃28の頂部に連続して
設けられている。また、多山ねじ切り刃28の工具軸方
向における後端には、その多山ねじ切り刃28の外径寸
法d2 と略等しい外径の不完全山削除用切れ刃34が、
多山ねじ切り刃28の頂部に連続して設けられている。
これ等の面取り刃32,不完全山削除用切れ刃34の工
具軸方向における長さ寸法は、それぞれ多山ねじ切り刃
28のねじ山の1ピッチと略同じ寸法である。面取り刃
32は第2面取り刃に相当する。
【0017】前記ねじれ溝16はシャンク12の前端部
まで達しており、上記不完全山削除用切れ刃34の後部
には、シャンク12に向かう程大径となる面取り刃36
が、その不完全山削除用切れ刃34に連続して設けられ
ている。面取り刃36は第1面取り刃に相当し、その最
大径はシャンク12の径寸法と同じで前記穿孔刃20の
外径寸法d1 より大きい。
【0018】以上のように構成された結合工具10は、
例えばNCフライス盤やマシニングセンタなどに取り付
けられて雌ねじの切削加工に用いられる。図3は、ワー
ク取付位置に固定された被加工物30に対して結合工具
10が予め定められた初期位置に位置させられた状態で
あり、その後、矢印a〜fで示されているように順次移
動させられることにより、その被加工物30に雌ねじを
加工する。図4および図5は、かかる雌ねじ加工時の各
工程を示す図で、(a)〜(f)はそれぞれ図3におけ
る矢印の符号に対応する。以下、この雌ねじ加工工程に
ついて具体的に説明する。
【0019】先ず、図3の初期位置において結合工具1
0は軸心まわりに回転駆動され、矢印aで示されている
ように軸方向へ送られる。図4の(a)はこの状態であ
り、被加工物30には穿孔刃20によって下穴40が切
削加工されるとともに、その下穴40の上端開口部すな
わち入口側の開口部には、面取り刃36によって面取り
42が施される。結合工具10は軸心まわりに回転駆動
されつつ軸方向へ送られるだけであるため、下穴40の
径寸法は穿孔刃20の外径d 1 と略同じであり、加工す
べき雌ねじの内径と同じか少し小さめである。その後、
結合工具10は矢印bで示されているように上方へ持ち
上げられ、図4の(b)の状態となる。この位置は、不
完全山削除用切れ刃34が多山ねじ切り刃28のねじ山
の略1ピッチ分だけ下穴40内に入り込むとともに、多
山ねじ切り刃28の下端部(先端部)がねじ山の0.5
ピッチ程度だけ下穴40から下方へ突き出すように定め
られている。
【0020】次に、結合工具10は軸心まわりに回転駆
動されつつ矢印cで示されているように下穴40の径方
向へ移動させられ、多山ねじ切り刃28がその下穴40
の内周面に切り込む。この径方向への移動量は、形成す
べき雌ねじの谷径から多山ねじ切り刃28の外径d2
差し引いた寸法の1/2である。図4の(c)はこの状
態であり、下穴40の内周面の一部に多山ねじ切り刃2
8に対応するねじ山が形成されるとともに、前記面取り
42の一部が不完全山削除用切れ刃34によって切削除
去される。続いて、結合工具10は軸心まわりに回転駆
動されつつ、矢印dで示されているように下穴40の中
心まわりに1回転半公転させられるとともに、多山ねじ
切り刃28のねじ山の1.5ピッチだけ上方へ持ち上げ
られる。結合工具10の公転方向は上側から見て左まわ
り方向であり、これにより、図4の(d)に示されてい
るように、下穴40の内周面に多山ねじ切り刃28のね
じ山のピッチと等しいピッチの右ねじの雌ねじ44が形
成される。また、前記不完全山削除用切れ刃34によ
り、面取り42の一部に雌ねじ44の谷径と略同じ内径
の円筒面46が形成されるとともに、雌ねじ44の下端
開口部すなわち出口側の開口部には、面取り刃32によ
って面取り48が施される。これ等の円筒面46,面取
り48を形成する不完全山削除用切れ刃34,面取り刃
32は、何れも多山ねじ切り刃28の頂部に接続されて
いるため、その多山ねじ切り刃28によって形成される
雌ねじ44の両端部に不完全ねじ山が形成されることが
防止される。
【0021】その後、結合工具10は矢印eで示されて
いるように雌ねじ44の中心へ移動させられるととも
に、軸心まわりの回転を停止させられる。図5の(e)
はこの状態である。また、矢印fで示されているように
初期位置まで上昇させられ、これにより一連の雌ねじ加
工を終了する。図5の(f)はこの状態である。
【0022】ここで、かかる本実施例の結合工具10
は、多山ねじ切り刃28の外径d2 が穿孔刃20の外径
1 の90%以下であるため、加工すべき雌ねじ44の
谷径に対する多山ねじ切り刃28の外径の割合が小さく
なり、例えば雌ねじ44の内径が谷径の95%程度の場
合には、多山ねじ切り刃28の外径は雌ねじ谷径の85
%程度以下となり、雌ねじ44の内径が谷径の85%程
度の場合には、多山ねじ切り刃28の外径は雌ねじ谷径
の76%程度以下となる。これにより、干渉切削量が少
なくなり、その干渉切削を考慮した刃形修正量も、強度
的に実用上問題のない範囲で済むようなる。
【0023】上記穿孔刃20の外径d1 に対する多山ね
じ切り刃28の外径d2 の割合を小さくする程干渉切削
量は少なくなるが、それに伴って工具のたわみ剛性や捩
り強度、抗折力、切屑排出性が悪くなる。これに対し、
本実施例の結合工具10は、上記多山ねじ切り刃28の
外径d2 が穿孔刃20の外径d1 の70%以上の範囲で
設定されているため、上記たわみ剛性や捩り強度、抗折
力、切屑排出性についても実用上問題のない範囲に維持
される。
【0024】図6の斜線部は、穿孔刃20の外径d1
対する多山ねじ切り刃28の外径d2 の割合が70〜9
0%の範囲で定められた本実施例の結合工具10におい
て、雌ねじ44の谷径に対する多山ねじ切り刃28の外
径d2 の割合の範囲を示したもので、実線は雌ねじ44
の内径が谷径の95%の場合で一点鎖線は雌ねじ44の
内径が谷径の85%の場合である。また、この図6は、
穿孔刃20の外径d1が雌ねじ44の内径と同じ場合で
ある。
【0025】一方、本実施例の結合工具10は、上記多
山ねじ切り刃28よりも工具軸方向の後部側に、最大径
が前記穿孔刃20の外径d1 より大きい面取り刃36が
設けられ、図4の(a)に示されているように、穿孔刃
20による下穴40の切削加工に連続してその上端開口
部に面取り42を施すようになっているため、面取り用
の専用工具を用いる場合に比較して加工設備や加工時間
が節減される。
【0026】また、前記多山ねじ切り刃28の工具軸方
向における前端には、穿孔刃20に向かうに従って大径
となる面取り刃32がそれ等の多山ねじ切り刃28およ
び穿孔刃20に連続して設けられ、図4の(d)に示さ
れているように、多山ねじ切り刃28により雌ねじ44
を切削加工する際に雌ねじ44の下端開口部に面取り4
8を施すようになっているため、面取り用の専用工具を
用いる場合に比較して加工設備や加工時間が節減され
る。また、その面取り48によって下端開口部の不完全
ねじ山が面取りされるため、そのような不完全ねじ山の
変形や損傷に起因する雌ねじ44の寿命低下が防止され
る。
【0027】また、前記多山ねじ切り刃28の工具軸方
向における後端には、その多山ねじ切り刃28の外径d
2 と等しい外径の不完全山削除用切れ刃34がその多山
ねじ切り刃28に連続して設けられ、図4の(c)〜
(d)に示されているように、多山ねじ切り刃28によ
り雌ねじ44を切削加工する際に前記面取り42の一部
に円筒面46を形成し、上端開口部に不完全ねじ山が形
成されることを防止しているため、そのような不完全ね
じ山の変形や損傷に起因する雌ねじ44の寿命低下が防
止される。
【0028】また、前記多山ねじ切り刃28の工具軸方
向における長さ寸法Lは、被加工物30の肉厚よりも
0.5ピッチ程度だけ短い寸法に定められており、図4
の(c)に示されているように、不完全山削除用切れ刃
34が略1ピッチ分だけ下穴40内に入り込むととも
に、多山ねじ切り刃28の先端部が略0.5ピッチ分だ
け下穴40から下方へ突き出す状態から、図4の(d)
に示されているように、上方へ1.5ピッチ移動させら
れつつ下穴40の周方向へ1.5回転公転させられるこ
とにより、雌ねじ44を切削加工するようになっている
ため、その切削加工時に、不完全山削除用切れ刃34に
よって前記円筒面46が切削加工されるとともに、面取
り刃32によって面取り48が施される。したがって、
これ等の円筒面46や面取り48を別工程で加工する場
合に比較して加工時間が短縮される。
【0029】また、前記多山ねじ切り刃28および穿孔
刃20は共通のランド18に設けられているため、多山
ねじ切り刃28の再研削をそのすくい面、すなわちねじ
れ溝16を研削加工して行うと、穿孔刃20の外周刃2
4のすくい面にも研削加工が施されてランド18を狭く
する方向へ外周刃24が後退させられるが、その外周刃
24にはマージン26が設けられているため、ランド1
8を狭くする方向へ外周刃24が後退しても、その外径
1 は一定に維持される。これにより、多山ねじ切り刃
28の再研削に拘らず、常に一定の径寸法の下穴40が
切削加工される。
【0030】以上、本考案の一実施例を図面に基づいて
詳細に説明したが、本考案は他の態様で実施することも
できる。
【0031】例えば、前記実施例では結合工具10を上
側から見て左まわりに公転させつつ軸方向の上方へ移動
させて右ねじの雌ねじ44を切削加工する場合について
説明したが、この公転方向や軸方向における送り方向は
適宜変更できる。
【0032】また、前記実施例では一対のねじれ溝16
が設けられていたが、このねじれ溝の数は適宜変更でき
るし、軸心と平行な直溝が設けられても良い。多山ねじ
切り刃28の刃数と穿孔刃20の刃数は必ずしも同じで
ある必要はない。
【0033】また、前記実施例の結合工具10は面取り
刃32,36や不完全山削除用切れ刃34を備えていた
が、それ等は必要に応じて適宜設けられれば良い。多山
ねじ切り刃28の長さ寸法Lについても適宜設定でき
る。
【0034】その他一々例示はしないが、本考案は当業
者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実
施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例である通り穴用穿孔ねじ切り
結合工具の正面図である。
【図2】図1の実施例の底面図である。
【図3】図1の工具を用いて雌ねじ加工を行う際に被加
工物に対して初期位置に位置させられた状態を示す図で
ある。
【図4】図5と共に、図1の工具を用いて雌ねじ加工を
行う際の各工程を示す図である。
【図5】図4と共に、図1の工具を用いて雌ねじ加工を
行う際の各工程を示す図である。
【図6】図1の工具において雌ねじ谷径に対する多山ね
じ切り刃の外径の割合を示す図である。
【図7】多山ねじ切り刃の外径の違いが干渉切削に与え
る影響を説明する図で、(a)は穿孔刃の外径の100
%の場合であり、(b)は90%の場合である。
【符号の説明】
10:通り穴用穿孔ねじ切り結合工具 18:ランド 20:穿孔刃 26:マージン 28:多山ねじ切り刃 30:被加工物 32:面取り刃(第2面取り刃) 34:不完全山削除用切れ刃 36:面取り刃(第1面取り刃) 40:下穴 44:雌ねじ d1 :穿孔刃の外径 d2 :多山ねじ切り刃の外径
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23G 5/06

Claims (3)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】下穴を切削加工する穿孔刃を軸方向前端部
    に有するとともに、該穿孔刃によって形成された下穴に
    雌ねじを切削加工するリードの無い多山ねじ切り刃が該
    穿孔刃よりも軸方向後部側に一体に設けられ、軸心まわ
    りに回転駆動されつつ被加工物に対して軸方向へ相対移
    動させられることにより前記穿孔刃によって該穿孔刃の
    径寸法と略等しい径寸法で被加工物を貫通する下穴を加
    工した後に、軸心まわりに回転駆動されつつ該下穴内を
    軸方向および周方向へ相対移動させられることにより前
    記多山ねじ切り刃によって該下穴の内周面に内径が下穴
    径と略等しい雌ねじを切削加工する、通り穴用の穿孔ね
    じ切り結合工具において、 前記多山ねじ切り刃の外径を前記穿孔刃の外径の90%
    以下とし 前記多山ねじ切り刃の工具軸方向における前端に、最大
    径が該多山ねじ切り刃の外径より大きくて該多山ねじ切
    り刃により雌ねじを切削加工する際に前記下穴の開口部
    に面取りを行う第2面取り刃を該多山ねじ切り刃の頂部
    に連続して設けた ことを特徴とする通り穴用穿孔ねじ切
    り結合工具。
  2. 【請求項2】前記多山ねじ切り刃の工具軸方向における
    前端および後端の少なくとも一方に、該多山ねじ切り刃
    の外径と略等しい外径の不完全山削除用切れ刃が該多山
    ねじ切り刃の頂部に連続して設けられていることを特徴
    とする請求項1に記載の通り穴用穿孔ねじ切り結合工
    具。
  3. 【請求項3】前記多山ねじ切り刃の工具軸方向における
    長さ寸法は、雌ねじを加工すべき前記被加工物の肉厚と
    略同じ寸法である請求項1または2に記載の通り穴用穿
    孔ねじ切り結合工具。
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