JP2588688C - - Google Patents

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JP2588688C
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resin
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evoh
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、ポリスチレン樹脂とエチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物との相溶
性が著しく改善された組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】 エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物(以下、EVOHと省略することがある)
とポリスチレン樹脂のブレンド組成物は特徴のある物性を備えている。殊に、各
種熱可塑性樹脂とEVOHの多層共押出成形時に、熱可塑性樹脂層あるいはEV
OH層に代えて、ブレンド組成物を使用したり、あるいは熱可塑性樹脂とEVO
H層の中間にブレンド組成物の層を設けることによって層間接着力を向上させる
ことができる。 また、ブレンド組成物単独を溶融押出成形し、さらに必要に応じて延伸および
/あるいは熱処理して得られるフィルム、シートあるいはボトルなどの成形物は
気体遮断性と力学的物性に優れている。このようなポリスチレン樹脂とEVOH
のブレンド組成物の特徴は従来も知られていたが、この組成物は一般に相溶性が
悪く、押出成形によりフィルム、シート、ボトルなどを成形すると、不均一な相 分離異物を生じやすく、特に長時間の運転によりこの異物が増加して外観を著し
く損ねることが知られている。こうして、ポリスチレン樹脂とEVOHのブレン
ド組成物は、その優れた特徴にもかかわらず押出成形が実用的に全く実施できな
いか、できても短時間しか運転できないのが実情であった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 本発明は、このような相溶性不良を解消するためになされたものであり、外観
美麗な成形物を得ることを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】 上記目的は、ポリスチレン樹脂(A)およびEVOH(B)に炭素数が8〜2
2の範囲の高級脂肪酸の周期律表I族、II族およびIII族から選ばれる少なくと
も1種の金属の塩(C)を適当量含有させることによって達成される。この組成
物を用いて成形した場合にはポリスチレン樹脂とEVOHの相溶性が顕著に改善
され、外観が美しく、かつ層間接着力の高い共押し出し成形品、あるいは気体遮
断性と力学的物性に優れた成形物が得られる。 【0005】 本発明にいうポリスチレン樹脂とは、スチレンの単独重合体または後述の実施
例に使用している耐衝撃性ポリスチレン樹脂をいう。ここで耐衝撃性ポリスチレ
ン樹脂とは、ポリブタジエン等のゴム状重合体をスチレン系単量体に溶解してグ
ラフト重合したもの、あるいはポリスチレンとスチレン−ブタジエン共重合ゴム
(SBR)とを混合したものをいう。 【0006】 また、本発明にいうエチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物(EVOH)(B)
とはエチレンと酢酸ビニルの共重合体中の酢酸ビニル単位を加水分解したもので
あれば任意のものを含むものであるが、熱可塑性樹脂との相溶性が不良であるも
のは比較的エチレン単位が少なく酢酸ビニル単位の鹸化度(加水分解度)が高い
ものである。特に、エチレン単位の含量が20〜50モル%で、酢酸ビニル単位
の鹸化度が96%以上、とりわけ99%以上のものは酸素などの気体に対する気 体遮断性が熱可塑性樹脂中で最高の水準にあり、かつ、ポリオレフィンと複合し
て用いることにより優れた容器類が得られることから、本発明の適用対象として
特に重要である。 【0007】 更に、本発明の組成物を構成する、炭素数が8〜22の範囲の高級脂肪酸の周
期律表I族、II族およびIII族から選ばれる少なくとも1種の金属の塩(C)と
しては多くの化合物が挙げられるが、とりわけマグネシウム、カルシウム、亜鉛
など周期律表II族の金属の脂肪酸塩が特に有効に作用する傾向が見出されている
脂肪酸の金属(I族、II族あるいはIII族)塩を構成する炭素数が8〜22の
範囲の高級脂肪酸としてはラウリン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸などの高級
脂肪酸が挙げられる。とりわけ、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩が本発
明の目的に特に好適である。これらの(C)成分は、単独または2種以上混合し
て使用される。 【0008】 本発明の組成物を構成する(A)および(B)の組成としては、ポリスチレン
樹脂(A):EVOH(B)の重量比として60:40〜99.9:0.1、と
りわけ70:30〜99.7:0.3の範囲のものが挙げられ、この範囲内の組
成を選択することによって、力学的特性に優れるのみならず、気体遮断性に優れ
る樹脂組成物とすることができる。また、相溶性を改善する、脂肪酸塩(C)の
添加量は(A)、(B)および(C)成分の種類に応じて相溶性改良効果が得ら
れ、なおかつ組成物の力学的物性、透明性、気体遮断性などの諸物性を損なわな
い範囲で調整されるが、多くの場合、その量はポリスチレン樹脂(A)とEVO
H(B)の重量の和(A+B)100部に対して0.00001〜10部、とり
わけ0.0001〜1部の範囲で用いられる。10部を越えると相溶性以外の諸
物性が損なわれやすく好ましくない場合が多い。また、(C)成分をあらかじめ
ポリスチレン樹脂および/あるいはEVOHに配合しておく場合には使用効果が
高い傾向にある。EVOHに配合しておく例としてはEVOH100部に(C)
成分を0.002〜0.5部配合したものが挙げられる。この配合物0.5部と
ポリスチレン樹脂99.5部を添加した組成物の溶融成形における相溶性改良効 果は顕著である。この場合、ポリスチレン樹脂とEVOHの重量の和100部に
対する(C)成分の量は0.00001〜0.0025部となる。(C)成分の
量が0.00001部より少ない場合には一般にその効果は小さい。こうして、
(C)成分をEVOHにブレンドした場合にはその添加量は見かけ上少なくなる
場合でも効果は大きいといえる。 【0009】 本発明の組成物を得るためのブレンド方法は特別に制限はなく、3者をドライ
ブレンドする方法、あるいは(C)成分をポリスチレン樹脂またはEVOHの全
部または一部にあらかじめ配合しておき、それをポリスチレン樹脂および/また
はEVOHに配合して、前記(A)、(B)および(C)からなる組成物を得る
方法などが目的に応じて任意に選ばれる。一般には、前述のようなEVOHに配
合しておく方法に加えて、ドライブレンドする方法あるいはあらかじめポリスチ
レン樹脂に配合しておく方法を組合せることによりとりわけ顕著に相溶性改良効
果を得ることができる。 【0010】 本発明において、炭素数が8〜22の範囲の高級脂肪酸の周期律表I族、II族
およびIII族から選ばれる少なくとも1種の金属の塩(C)が、ポリスチレン樹
脂とEVOHの溶融成形における相溶性をかくも顕著に向上させる機構は十分明
らかではないが、ポリスチレン樹脂とEVOHの溶融系におけるレオロジー的効
果、不純物の化学的作用などが複雑に組合わさった状態において(C)成分が有
効に作用しているものと推定される。 【0011】 本発明の組成物に対しては熱可塑性樹脂に慣用の他の添加剤を配合することが
できる。このような添加剤の例としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、
帯電防止剤、滑剤、着色剤、充填剤、あるいは他の高分子化合物を挙げることが
でき、これらを本発明の作用効果が阻害されない範囲内でブレンドすることがで
きる。添加剤の具体的な例としては次の様なものが挙げられる。 【0012】 酸化防止剤:2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチ ル−p−クレゾール、4,4´−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、2
,2´−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタデ
シル−3−(3´,5´−ジ−t−ブチル−4´−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート、4,4´−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)等。紫外線吸収剤
:エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−(2´−ヒドロ
キシ−5´−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2´ヒドロキシ−3
´−t−ブチル−5´−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアール、2−
ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2´−ジヒドロキシ−4−メト
キシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン等。可塑
剤:フタル酸ジメチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジオクチル、ワックス、流
動パラフィン、リン酸エステル等。帯電防止剤:ペンタエリスリットモノステア
レート、ソルビタンモノパルミテート、硫酸化オレイン酸、ポリエチレンオキシ
ド、カーボワックス等。滑剤:エチレンビスステアロアミド、ブチルステアレー
ト等。着色剤:カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン、インドリン
、アゾ系顔料、酸化チタン、ベンガラ等。充填剤:グラスファイバー、アスベス
ト、マイカ、バラストナイト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カ
ルシウム等。 【0013】 本発明の組成物を得るための各成分の配合手段としては、リボンブレンダー、
高速ミキサー、コニーダー、ミキシングロール、押出機、インテイシブミキサー
等が例示される。 【0014】 本発明の樹脂組成物は、周知の溶融押出成形機、圧縮成形機、トランスファ成
形機、射出成形機、吹込成形機、熱成形機、回転成形機、ディップ成形機などを
使用して、フィルム、シート、チューブ、ボトルなどの任意の成形品に成型する
ことができる。成形に際しての押出温度は樹脂の種類、分子量、組成物の配合割
合あるいは押出機の性質などのより適宜選択されるが、多くの場合170〜35
0℃の範囲である。 【0015】 また、本発明の樹脂組成物は多層材の一層として使用するとき接着性の点で特
異な特長が発揮されることは前述したとおりであるが、熱可塑性樹脂層をP,E
VOH層をE、接着性樹脂層をD、本発明の組成物の層をFとするときE/F/
E、F/E/F、F/F/F(中間層のFはEVOHの含量が多い)、F/D/
E、F/D/E/D/F、P/E/P/F、P/F/D/E/D/F/P、P/
F/D/E/D/Pなどの層構成をとるとき、層間接着性が高く、相溶性に優れ
た美麗な成形物を得ることができる。このような多層成形材においては、本発明
のブレンド組成物は多層成形物のスクラップで代用することもできる。 【0016】 多層成形方法としては、一般的にいって樹脂層の種類に対応する数の押出機を
使用し、この押出機内で溶融された樹脂の流れを重ねあわせた層状態で同時押出
成形するいわゆる共押出成形により実施される。別の方法として、エキストルー
ジョンコーティング、ドライラミネーションなどの多層成形方法も採用されうる
。また、本発明の組成物の単独成形品、あるいは本発明の組成物を含む多層成形
品を一軸延伸、二軸延伸あるいはブロー延伸などの延伸を実施することにより、
力学的物性、気体遮断性などにさらに特長のある物性を有する成形物を得ること
ができる。こうして、本発明の組成物で得られた成形物は、ブレンド組成物が均
一で外観が美麗であるばかりでなく、相溶性が良好で均一であることから強度物
性、気体遮断性など多くの優れた特長を有しておりその工業的意義は大きい。 以下、実施例により更に具体的に説明する。なお、部は重量部を意味している
。 【0017】 【実施例】 実施例1 耐衝撃性ポリスチレン樹脂(ポリブタジエン系ゴムをスチレンモノマーに溶解
してグラフト重合して得られた樹脂:メルトフローインデックス2.2g/10
min)(A)、エチレン単位の含有量32.5モル%、鹸化度99.9モル%
、メルトインデックス1.4g/10minのEVOH(B)、ステアリン酸カ
ルシウム(C)、および無水マレイン酸をグラフトしたエチレン−酢酸ビニル共
重合体系接着性樹脂(D)の96:3:1:0.2の比率のブレンド品(F)を
作 製した。このブレンド品(F)および上述のEVOH(B)と接着性樹脂(D)
を別々の押出機に仕込み、F/D/B/D/F(膜厚比15:1:2:1:15
)の構成を有する3種5層の共押出成形を実施し、シートを得た。押出成形はB
とDは直径が50mm、L/D=25の一軸スクリューを備えた押出機を180
〜215℃の温度として、Fは直径100mm、L/D=22のスクリューを2
本備えた同方向回転噛み合い型二軸押出機を150〜220℃の温度とし、フィ
ードブロック型ダイ(巾1000mm)を225℃として、厚さ1000μのシ
ートを得た。24時間の連続運転後も良好なシートが得られ、相溶不良の相分離
異物は見られなかった。 【0018】 比較例1 実施例1において、ステアリン酸カルシウム(C)を使用しない他は、実施例
1と同様にして共押出成形を実施し、シートを得た。運転開始後1時間頃から実
施例1では見られない不均一な相分離異物が観察され、その数は時間経過と共に
増大した。 【0019】 実施例2〜5 実施例1に示したポリスチレン樹脂(PS)、EVOH、接着性樹脂(AD)
と各種(C)成分とを表3に示す割合でドライブレンドし、このブレンド品(F
)および上述のEVOH(B)と接着性樹脂(D)を別々の押出機に仕込み、実
施例1と同様にして共押出成形を実施した。得られたシートの膜面状態の評価を
表1に示した。 【0020】 【表1】 【0021】 注1)膜面状態の評価は次の基準により判定した。 秀:均一かつ良好な相溶性を示し相分離異物が見られない。 優:均一かつ良好な相溶性を示しているが、長時間の成形において、小さい相分
離異物が僅かに見られる。 良:相溶性は良好であるが、一部僅かに相分離異物が見られる。 可:相溶性に改善効果は見られるが、相分離異物含有量僅かに見られる。 【0022】 【発明の効果】 ポリスチレン樹脂とEVOHとの相溶性が顕著に改善され、さらに得られた成
形物は外観が美しく、気体遮断性も優れている。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 (A)ポリスチレン樹脂、(B)エチレン単位20〜50モル
    %、酢酸ビニル単位の鹸化度96%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物
    および(C)炭素数が8〜22の範囲の高級脂肪酸の周期律表I族、II族および
    III族から選ばれる少なくとも1種の金属の塩からなり、かつ上記樹脂(A)と
    上記樹脂(B)との配合割合が60:40〜99.9:0.1(重量比)であり
    、上記成分(C)を上記樹脂(A)と(B)の重量の和100部に対し0.00
    001〜10部含有する樹脂組成物。

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