JP2579592Y2 - 自動車のドア - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、ドア本体と窓ガラス固
定枠とに、ウェザストリップを介して窓ガラスを固定し
て成る自動車のドアに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図４は上記形式のドア１を備えたトラッ
クのキャブ２を示す斜視図であり、図５及び図６はそれ
ぞれ図４のＶ−Ｖ線及びVI−VI線断面図である。また図
７は図４に示したドア１の分解斜視図である。

【０００３】これらの図から判るように、キャブ２に開
閉自在に枢支されたドア１は、車外側のアウタパネル３
と車内側のインナパネル４を有するドア本体５を有し、
これらのパネル３，４はその周縁部がヘミング加工によ
って一体化され、両パネル３，４の上部は図５に示すよ
うに互いに離間している。またインナパネル４の車室内
側の面はドアトリム６によって覆われている。

【０００４】ドア本体５の上部には窓枠７が一体に連設
され、かかる窓枠７とドア本体５の上部によって区画さ
れた部分のほぼ中央部には上下に延びるディビジョンバ
ー８が配置され、その上部と下部が窓枠７とドア本体５
とにそれぞれ固着されている。

【０００５】図４に示すように、ディビジョンバー８と
窓枠７の後部７ａとによって区画された部分には上下に
昇降する昇降ガラス９が配置されているが、ディビジョ
ンバー８と窓枠７の前部７ｂとによって区画された部分
には、図５及び図７に示すように周囲にウェザストリッ
プ１０が取付けられた窓ガラス１１が不動に固定されて
いる。

【０００６】このように、図４に示した例では、窓枠７
の前部７ｂとディビジョンバー８とによって、窓ガラス
１１用の固定枠が構成され、かかる窓ガラス固定枠はド
ア本体５の上部に一体的に連設されたものとなってい
る。窓ガラス１１は、その周囲のウェザストリップ１０
を介して窓ガラス固定枠とドア本体５の上部とに不動に
固定されている。

【０００７】ウェザストリップ１０は、キャブ２の内部
に雨水や風が侵入することを防止するシール材としての
用をなすものである。また図４乃至図７に示した例で
は、窓枠７が、ドア本体５のアウタパネル３と一体に成
形されたアウタパネル３ａと、同じくドア本体５のイン
ナパネル４と一体に成形されたインナパネル４ａとから
成り、これらのパネル３ａ，４ａも図６及び図７に示す
ように一方の周縁部がヘミング加工により一体化され、
他方の周縁部は互いに離間している。

【０００８】上述のように窓ガラス１１はドア本体５と
窓ガラス固定枠とに取付けられるが、従来の取付構造は
次のように構成されていた。

【０００９】図５及び図７に示すように、ドア本体５を
構成するアウタパネル３とインナパネル４の上部は互い
に離間しているが、この離れた部分に、両パネル３，４
に固着され、ほぼＵ字状の断面形状を有するスティフナ
１２が配置されている。このスティフナ１２は、ドア１
を開閉するときに、ドア本体５に加えられた外力によっ
て該本体５のインナパネル４とアウタパネル３の上部が
大きく弾性変形することを阻止するものである。ドア１
を開閉する毎に、両パネル３，４の上部が大きく弾性変
形すれば、ユーザに対して品質劣悪感を与えることにな
るので、かかる変形をスティフナ１２によって阻止して
いるのである。

【００１０】上述のようにドア本体５の上部にはスティ
フナ１２が固着されているが、そのＵ字状の凹溝１２ａ
に窓ガラス１１の周囲に取付けられたウェザストリップ
１０が図５に示すように嵌着される。また窓枠７の部分
では、そのインナパネル４ａとアウタパネル３ａの周縁
部の互いに離間した部分に、図６に示すように、ウェザ
ストリップ１０が嵌着される。

【００１１】このように窓ガラス周囲に取付けられたウ
ェザストリップ１０はスティフナ１２のＵ字状の凹溝１
２ａに嵌着されるのであるが、このような凹溝１２ａに
ウェザストリップ１０を嵌着するには、その凹溝１２ａ
の上方からウェザストリップ１０を押し込むようにして
溝１２ａに嵌め込まなければならぬため、その作業が大
変やりずらく、窓ガラス１１の組付作業性が低下せざる
を得ない。また図８に示すように、キャブ２の車室内か
らの視界を拡大する目的で、窓ガラス１１を下方に拡大
すると、これに合せてスティフナ１２（図５）を曲折形
成する必要があるが、このようなスティフナの凹溝にウ
ェザストリップ１０を嵌着する作業は特に面倒であり、
その作業性は一段と低下する。

【００１２】一方、窓ガラス１１をドア１に取付けた
後、アウタパネル３の外面には、装飾用のガーニッシュ
１３が図５に示すようにねじ止め固定される。その際、
従来はガーニッシュ１３をアウタパネル３に対して強固
に固定できるように、図７に示す如く、複数のねじ、例
えば３本のタッピングスクリュー１４をアウタパネル３
に嵌合したスクリューグロメット１５にねじ込んでガー
ニッシュ１３をアウタパネル３に固定していた。ところ
が、このように多数のスクリュー１４を用いれば、それ
だけ部品点数が増大し、しかもそのねじ込み作業に多大
な手間を必要とする。またタッピングスクリュー１４を
締付けた後、これらのスクリュー１４が外部から見えな
いように、ガーニッシュ１３に対して蓋１６を嵌着して
いるが、スクリュー１４の数が多ければ、その蓋１６の
数も多くなり、増々部品点数が増大し、その組付作業が
煩雑となる。

【００１３】

【考案が解決しようとする課題】本考案の目的は、上記
従来の欠点を一挙に解決した自動車のドアを提供するこ
とにある。

【００１４】

【課題を解決するための手段】本考案は、上記目的を達
成するため、車外側のアウタパネルと車内側のインナパ
ネルを有するドア本体と、該本体の上部に一体に連設さ
れた窓ガラス固定枠と、周囲にウェザストリップが取付
けられていて、該ウェザストリップを介して前記窓ガラ
ス固定枠とドア本体の上部とに不動に固定される窓ガラ
スとを有し、前記アウタパネルの上部をインナパネル側
にほぼ水平に延ばし、かつその先端フランジ部を上方に
立上がらせて延長部を形成し、該延長部の先端フランジ
部とインナパネルの上端フランジ部とを合せてこれらを
一体に固着し、アウタパネルの延長部に窓ガラス周囲に
取付けられたウェザストリップを配置し、該延長部と協
働してウェザストリップを挟み付ける板状のブラケット
をアウタパネルに固着し、該ブラケットを覆い隠すガー
ニッシュを該ブラケットに係止すると共に、アウタパネ
ルにねじ止め固定した自動車のドアを提案する。

【００１５】

【実施例】以下、本考案の実施例を図面に従って詳細に
説明する。

【００１６】図１は本考案一実施例のドア１を備えたト
ラックのキャブ２を示す斜視図であり、図２は図１のII
−II線断面図、また図３は図１に示したドア１の分解斜
視図である。これらの図に示したドア１の基本的な構成
は従来のドアと変りはなく、従って従来と同一ないしは
同様な部分には、図４乃至図７に付した符号と同一の符
号を付し、従来と同一の部分についての説明は省略す
る。

【００１７】従来と異なるところは、先ず、図２及び図
３に示すようにドア本体５を構成する車外側のアウタパ
ネル３と車内側のインナパネル４の上部にスティフナ１
２（図５参照）が設けられておらず、その代り、窓ガラ
ス１１を固定するドア本体部分の上部が次のように構成
されている点にある。

【００１８】すなわち、図２及び図３に示すように、ア
ウタパネル３の上部がインナパネル４の側にほぼ水平に
延び、しかもその先端フランジ部１７ａが上方に立上げ
られて延長部１７が形成され、かかる延長部１７の先端
フランジ部１７ａと、インナパネル４の上端フランジ部
１８とが合せられ、これらが例えばスポット溶接によっ
て一体に固着されている。

【００１９】周囲にウェザストリップ１０が取付けられ
た窓ガラス１１は、このウェザストリップ１０を介し
て、ドア本体５の上部に一体的に連設された窓ガラス固
定枠とドア本体５の上部とに不動に固定されることは従
来と変りはないが、その組付時に、窓ガラス１１の周囲
に取付けられたウェザストリップ１０を、アウタパネル
３の延長部１７に図３に示すように近づけて図２に示し
た如く配置する。

【００２０】このとき、従来のようにスティフナの凹溝
にウェザストリップ１０を嵌合するのではないので、楽
にウェザストリップ１０を延長部１７にセットすること
ができる。窓ガラス１１が図８に示したように下方に大
きく突出しているときも同様である。窓枠７に対するウ
ェザストリップ１０の嵌着は従来と同じであり、図６に
示した通りである。

【００２１】上述のように窓ガラス１１をセットした
後、図３に示す如く板状に形成されたブラケット１９を
図２に示すように配置し、該ブラケット１９とアウタパ
ネル３の延長部１７と協働して延長部１７にセットされ
たウェザストリップ１０を挟み付ける。次いでこのブラ
ケット１９を、アウタパネル３に予め溶接されたナット
２０と、ボルト２１とによってアウタパネル３に固着す
る。このようにしてウェザストリップ１０を確実に保持
することができる。

【００２２】次に、上記ブラケット１９を覆い隠すよう
にガーニッシュ１３を図２に示す如く取付けるが、その
際、図３に示すようにブラケット１９には予め一対の舌
片２２が突設され、ガーニッシュ１３にはブラケット１
９を向いた方の面に一対の爪片２３が固定されており、
これらの爪片２３をブラケット１９の舌片２２に係合
し、ガーニッシュ１３をブラケット１９に対して係止す
る。

【００２３】しかる後、アウタパネル３に嵌着したスク
リューグロメット１５に対してタッピングスクリュー１
４より成るねじをねじ込んでガーニッシュ１３をアウタ
パネル３にねじ止め固定し、蓋１６をガーニッシュ１３
に嵌め込んでスクリュー１４を覆い隠す。その際、ガー
ニッシュ１３は既に舌片２２と爪片２３とによってアウ
タパネル３に係止されているので、タッピングスクリュ
ー１４の数を従来よりも少なくでき、例えば図３の例の
ように１本のタッピングスクリュー１４を用いるだけで
ガーニッシュ１３をアウタパネル３に強固に固定するこ
とができる。この場合には、蓋１６も１つで足りる。こ
のように、スクリュー１４と蓋１６の数を減少でき、そ
の組付時の作業性を格段と向上させることができるので
ある。

【００２４】本考案はトラック以外の自動車のドアにも
広く適用できるものである。

【００２５】

【考案の効果】本考案によれば、周囲にウェザストリッ
プが取付けられた窓ガラスを、ドア本体に楽に組付ける
ことができ、しかもガーニッシュをアウタパネルに固定
するためのねじの数を減らし、ガーニッシュの組付作業
性を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案一実施例のドアを備えたトラックのキャ
ブを示す斜視図である。

【図２】図１のII−II線断面図である。

【図３】図１に示したドアの分解斜視図である。

【図４】従来のドアを備えたトラックのキャブを示す斜
視図である。

【図５】図４のＶ−Ｖ線断面図である。

【図６】図４のVI−VI線断面図である。

【図７】図４に示したドアの分解斜視図である。

【図８】窓ガラスが下方に拡大形成されたドアを示す図
である。

【符号の説明】

１ ドア ３ アウタパネル ４ インナパネル ５ ドア本体 １０ ウェザストリップ １１ 窓ガラス １３ ガーニッシュ １７ 延長部 １７ａ 先端フランジ部 １８ 上端フランジ部 １９ ブラケット

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 車外側のアウタパネルと車内側のインナ
   パネルを有するドア本体と、該本体の上部に一体に連設
   された窓ガラス固定枠と、周囲にウェザストリップが取
   付けられていて、該ウェザストリップを介して前記窓ガ
   ラス固定枠とドア本体の上部とに不動に固定される窓ガ
   ラスとを有し、前記アウタパネルの上部をインナパネル
   側にほぼ水平に延ばし、かつその先端フランジ部を上方
   に立上がらせて延長部を形成し、該延長部の先端フラン
   ジ部とインナパネルの上端フランジ部とを合せてこれら
   を一体に固着し、アウタパネルの延長部に窓ガラス周囲
   に取付けられたウェザストリップを配置し、該延長部と
   協働してウェザストリップを挟み付ける板状のブラケッ
   トをアウタパネルに固着し、該ブラケットを覆い隠すガ
   ーニッシュを該ブラケットに係止すると共に、アウタパ
   ネルにねじ止め固定した自動車のドア。