JP2578820B2 - 無線通信方式 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は小ゾーン方式（セルラ方式）の無線通信方式
およびこの方式に用いる移動端末に関する。

〔従来の技術〕

自動車電話のような移動通信システムでは、広範囲な
サービスエリアの複数の小さな無線ゾーンに分割し、そ
れぞれのゾーンに無線基地局を配置してそのゾーン内の
移動端末と通信を行う小ゾーン方式（セルラ方式）が用
いられている。小ゾーン方式では電波の伝搬する範囲が
ゾーン内および周辺に限定されるために、同一の周波数
を地域内に繰り返して使用することが可能であり、周波
数資源の有効利用を図ることもできる。また送信電力も
少なくて済む。ゾーン半径を小さくするほど、これらの
効果は大きくなる。

一方、社会生活の高度情報化に伴って、どこでも、ど
ことでも可能な移動通信に対する要求も高まってきてい
る。このような要求に応じるために、自動車から取り外
し携帯して使用することもできる自動車電話のサービス
が開始されている。また携帯専用の電話のサービスもま
もなく始まろうとしている。これらの新しいサービスは
自動車電話の設備を共用している。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら現行の自動車電話のシステムのままで携
帯電話のサービスを提供しようとすると、電源およびア
ンテナ利得の制約から携帯端末の送信電力は車載端末に
比べ低下するために、無線基地局周辺の限られた地域で
しかサービスを受けることができない。

また携帯端末の送信電力に合わせてゾーン半径を小さ
くすると、ゾーンの大きさに比べて自動車の移動速度が
非常に速いために車載端末の通話中に他のゾーンへ移動
する確率が高くなり、通話中チャンネル切り換え回数が
大幅に増大し通話品質の劣化、システムの処理量の増加
を招く。

このように送信電力や移動速度の大きく異なる車載端
末と携帯端末の両方に対し、同一の小ゾーン方式でサー
ビスを提供しようとすると問題が発生する。

本発明の目的はこの問題点を解決した、車載端末と携
帯端末とを統合した無線通信方式およびこの無線通信方
式に用いる移動端末を提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は、車載および携帯の両方の移動端末に対しサ
ービスを提供する無線通信方式において、 サービスエリアを車載端末無線ゾーンおよび携帯端末
用無線ゾーンにより重ねて覆い、 車載端末用無線ゾーンおよび携帯端末用無線ゾーンの
それぞれに無線基地局を配置し、 車載であるか、携帯であるかという移動端末の使用さ
れている状態を示す情報に応じて、移動端末が車載端末
用無線ゾーンおよび携帯端末用無線ゾーンに配置された
無線基地局のいずれかを選択して通信を行うことを特徴
とする。

〔作用〕 本発明においては、サービスエリアを大きさの異なる
２種類の無線ゾーン（車載端末用無線ゾーンおよび携帯
端末用無線ゾーン）により重ねて覆い、それぞれに車載
端末用無線基地局および携帯端末用無線基地局を置いて
いる。移動端末の状態、すなわち車載か携帯かに応じ
て、車載端末用無線基地局または携帯端末用無線基地局
と接続し通信を行う。

自動車に備え付けられた車載端末の場合には、車載端
末用無線基地局と接続する。車載端末は、自動車バッテ
リを電源として使用し、携帯端末に比べアンテナの利得
も高いので送信電力も比較的大きくでき、大きなゾーン
に十分対応可能である。このようにすると、移動速度が
速い車載端末の場合でも通話中に他のゾーンに移動する
確率は低く、チャンネル切り換え回数の増加を抑えるこ
とができる。

また加入者が持ち歩く携帯端末の場合には、携帯端末
用無線基地局と接続する。携帯端末は、車載端末に比べ
て電源およびアンテナの制約が厳しく送信電力をそれほ
ど大きくすることができない。このためゾーンを更に小
さくすることにより、送信電力の小さな端末を収容して
いる。車載端末用無線基地局に比べ、多数の携帯端末用
無線基地局を設置することにより、車載端末と同等のサ
ービスエリアを確保できる。

自動車から取り外して携帯端末としても用いることも
できる車載端末では、自動車との接触部分にスイッチを
設けることにより自動車との着脱状態を検出し、その着
脱状態に応じて接続する無線基地局を切り換える制御を
行えばよい。

無線回線の接続制御は制御チャンネルにより行われ
る。制御チャンネルの割り当ては、車載端末と携帯端末
とで共通する方法と、分離する方法が考えられる。前者
では複数の車載端末用無線ゾーンおよび複数の携帯端末
用無線ゾーンから一つの制御ゾーンが構成され、この制
御ゾーン内では車載端末も携帯端末も共通の制御チャン
ネルを用いる。この場合には、上り制御信号が車載端末
からなのか携帯端末からなのかを基地局側で識別する必
要がある。一方、後者では複数の車載端末用無線ゾーン
から構成される車載端末用制御ゾーンや、複数の携帯端
末用無線ゾーンから構成される携帯端末用制御ゾーン
に、それぞれ異なる制御チャンネルが割り当てられる。
すなわち同一地域に居る車載端末と携帯端末とでは異な
る制御チャンネルを用いるため、上り制御信号が車載端
末からなのか携帯端末からなのかを基地局側で識別する
必要はない。既存の自動車電話システムからの発展形態
として本発明の無線通信方式を考える場合、後者の方が
既存システムの変更が少なくて済み有望である。

車載端末と、携帯端末とが異なる制御チャンネルを用
いる場合、携帯端末にもなりうる車載端末の端末着呼の
際に、端末の状態を識別し呼び出しに用いる制御チャン
ネルを選択すると効率がよい。端末状態の管理のために
は加入者メモリを設け、車載から携帯へ、または携帯か
ら車載へ変わる際に、端末から登録信号を送出する方法
が考えられる。

この端末状態の管理を位置登録で代用することも可能
である。このためには複数の車載端末用無線ゾーンから
なる車載端末用制御ゾーン、および複数の携帯端末用無
線ゾーンからなる携帯端末用制御ゾーンに対し、それぞ
れ異なる地域識別コードを与えておくだけでよい。この
ようにしておくと例えば地理的な位置が同一でも車載端
末から携帯端末に変わった場合には、地域識別コードも
変わるために位置登録の動作を始める。この位置登録の
動作は電子通信学会発行自動車電話（桑原守二監修）第
185頁の記載により当業者に良く知られておりここでは
説明しない。このように加入者メモリの位置情報を書き
換えることにより、端末状態の管理が行える。

携帯端末としても用いることのできる車載端末では、
その状態が変わった際に制御チャンネルを切り換え、登
録信号を送信する必要がある。このために移動体との着
脱状態を検出するスイッチを設けておき、着脱状態が変
化した際に制御チャンネルを切り換え、登録信号を送出
する方法がある。先に述べた端末状態の管理を位置登録
で代用する場合には、着脱状態が変化した際に制御チャ
ンネルを切り換えるだけでよく、登録信号は位置登録信
号として送出される。

〔実施例〕

次に、本発明の実施例について図面を参照して詳細に
説明する。

第１図は本発明の無線通信方式のゾーン構成例を示す
図である。制御ゾーン以下の階層について示し、これよ
り上位の階層は本発明の範囲外であり説明を省略する。
車載用制御ゾーン１は複数の車載用無線ゾーン２から構
成されており、車載用無線基地局３は各車載用無線ゾー
ン２内の車載端末４と無線により通信する。携帯用制御
ゾーン５は複数の携帯用無線ゾーン６から構成されてお
り、携帯用無線基地局７は各携帯用無線ゾーン６内の携
帯端末８と無線により通信する。

車載用制御ゾーン１には車載用無線回線制御局９が割
り当てられ、車載用制御ゾーン１内の全ての車載用無線
基地局３はスター状に、この制御局９と有線回線により
接続されている。同様に携帯用制御ゾーン５には携帯用
無線回線制御局10が割り当てられ、携帯用制御ゾーン５
内の全ての携帯用無線基地局７はスター状に、この制御
局10と有線回線により接続されている。さらに各車載無
線回線制御局９と各携帯用回線制御局10はスター状に、
交換局11と有線回線により接続されている。交換局11に
は、加入者メモリ12が置かれている。

車載端末、携帯端末に対し異なる無線チャンネル（通
話チャンネルおよび制御チャンネル）を割り当てること
にすると、車載用無線回線制御局９以下のシステムは既
存の自動車電話システムをほとんど変更することなく利
用できる。

第２図は制御ゾーン構成法の一例を示す図である。サ
ービスエリア21は車載用制御ゾーン22および携帯用制御
ゾーン23によって重ねて覆われ、車載用制御ゾーン22お
よび携帯用制御ゾーン23には、それぞれ異なる地域識別
コード＃A01〜＃A03および＃B01〜＃B14が付与されてい
る。同一地域にある車載用制御ゾーンと携帯端末用制御
ゾーンに対しても異なる地域識別コードを付与してい
る。

位置登録は、着信制御チャンネルを切り換えた時に位
置情報信号の地域識別コードを受信し、このコードがこ
れまで受信していたものと異なる場合に、発信制御チャ
ンネルで位置登録信号を送出する制御である。端末が移
動し、制御ゾーンを移行した場合には当然位置登録信号
が送出されるが、本発明のように制御ゾーンを構成して
おくと、端末の状態が車載から携帯へまたは携帯から車
載へ変わった際にも地域識別コードが変わるため位置登
録信号が送出される。この位置登録信号により交換局の
加入者メモリが書き換えられる。このように車載制御ゾ
ーンと携帯用制御ゾーンに対して異なる地域識別コード
を付与しておくと、端末の状態の管理を位置情報の管理
と同時に行えるためシステム構成が簡易になる。

第３図は本発明の移動端末の実施例を示す図である。
移動端末は車載固定部30と、着脱部40と、車載固定部30
および着脱部40を容易に着脱可能に結合する結合部50と
から構成されている。結合部50を通じて、車載固定部30
と着脱部40との間で無線信号の授受、電源の供給を行
う。このような構造により、着脱部40だけで携帯端末と
して、また車載固定部30と結合して車載端末として利用
可能である。

車載固定部30は、車載アンテナ31、増幅回路32、車載
電源36、充電器34、電源端子35とから構成される。増幅
回路32は、車載アンテナ31からの受信信号を増幅し結合
部50を介して着脱部40へ送り、一方、着脱部40からの結
合部50を介しての送信信号を増幅して車載アンテナ31か
ら送信する。車載電源33は、電源端子35を通じて自動車
バッテリから電源の供給を受け、増幅回路32および充電
器34へ電源を供給する。充電器34は、着脱部40が結合し
ている場合に結合部50を通じて着脱部40の内蔵電源47を
充電する。

着脱部40は、内蔵アンテナ41、切り換えスイッチ42、
無線回路43、制御回路44、電話機45、着脱検出回路46、
内蔵電源47とから構成される。切り換えスイッチ42は着
脱検出回路46により制御されており、無線回路43を、着
脱部40が車載固定部30に結合している場合は車載アンテ
ナ31に、また車載固定部30から切り離されている場合は
内蔵アンテナ41に接続するスイッチである。無線回路43
は、制御回路44からの制御信号および電話機45からの音
声信号を無線信号に変調し切り換えスイッチ42へ送り、
また切り換えスイッチ42からの無線信号を復調して制御
回路44および電話機45へ送る。着脱検出回路46は、結合
部50に設けた機械的スイッチ51により着脱状態を検出
し、その情報を切り換えスイッチ42および制御回路44へ
入力する。制御回路44は、着脱検出回路46からの信号に
より無線回路43の制御チャンネルおよび通話チャンネル
の周波数を切り換え、状態登録信号を送出する。内蔵電
源47は、着脱部40の各回路へ電源を供給する。

〔発明の効果〕

以上述べたように本発明によれば、自動車電話と携帯
電話とを結合した無線通信方式およびこの無線通信方式
に用いるのに適した移動端末を提供することができる。

【図面の簡単な説明】 第１図は本発明の無線通信方式のゾーン構成例を示す
図、 第２図は制御ゾーン構成法の一例を示す図、 第３図は本発明の移動端末の実施例を示す図である。 1,22……車載用制御ゾーン ２……車載端末用無線ゾーン ３……車載端末用無線基地局 ６……携帯端末用無線ゾーン ７……携帯端末用無線基地局 23……携帯端末用制御ゾーン 44……制御回路 46……着脱検出回路

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】車載および携帯の両方の移動端末に対しサ
   ービスを提供する無線通信方式において、 サービスエリアを車載端末用無線ゾーンおよび携帯端末
   用無線ゾーンにより重ねて覆い、 車載端末用無線ゾーンおよび携帯端末用無線ゾーンのそ
   れぞれに無線基地局を配置し、 移動端末に備えられたスイッチの状態により移動端末の
   使用状態を検知し、検知された使用状態が車載状態であ
   る場合は、移動端末が前記車載端末用無線ゾーンに配置
   された無線基地局を選択し通信を行い、検知された使用
   状態が携帯状態である場合は、移動端末が前記携帯端末
   用無線ゾーンに配置された無線基地局を選択し通信を行
   うことを特徴とする無線通信方式。
2. 【請求項２】特許請求の範囲第１項に記載の無線通信方
   式において、 車載端末用無線基地局と携帯端末用無線基地局とが異な
   る周波数の制御チャンネルを用いることを特徴とする無
   線通信方式。
3. 【請求項３】特許請求の範囲第１項に記載の無線通信方
   式において、 複数の前記車載端末用無線ゾーンから車載端末用制御ゾ
   ーンを構成し、複数の前記携帯端末用無線ゾーンから携
   帯端末用制御ゾーンを構成し、 同一地域にある車載端末用制御ゾーンと携帯端末用制御
   ゾーンとに対し、異なる地域識別コードを付与すること
   を特徴とする無線通信方式。