JP2576731Y2

JP2576731Y2 - コンパクト

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Publication number: JP2576731Y2
Application number: JP1992058206U
Authority: JP
Inventors: 宏哲百合
Original assignee: Key Trading Co Ltd
Current assignee: Key Trading Co Ltd
Priority date: 1992-08-19
Filing date: 1992-08-19
Publication date: 1998-07-16
Anticipated expiration: 2007-08-19
Also published as: JPH0617609U

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、化粧皿の底面に接着
剤層を設けることなく、化粧皿を化粧皿収容凹部に保
持，収容することのできるコンパクトに関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来から化粧用のコンパクトは、種々の
ものが開発されて実用化されており、最近では、高級感
のあるコンパクトの人気が高まっている。このようなコ
ンパクトは高価であるため、内部に収容された化粧料を
使い果たした後、別売されている詰め替え用化粧料（化
粧皿に入れられ販売される）と取り替え繰り返し使用す
ることが行われている。このような化粧料の詰め替え可
能なコンパクトは、例えば図７および図８に示すように
構成されている。すなわち、このコンパクトは、容器本
体１の上面の前部にパフ４等の化粧具の収容凹部１ａを
形成し、後部に化粧皿３の収容凹部１ｂを形成するとと
もに、この化粧皿収容凹部１ｂの底部に貫通穴５を穿設
している。また、上記容器本体１の後端部に凹部１ｃを
形成し、この凹部１ｃに設けたヒンジ軸９に蓋体２の後
端部の連結用凸部２ａをヒンジ連結して構成されてい
る。そして、上記化粧皿３には、その裏面にホットメル
トタイプの粘着剤よりなる粘着剤層６を設け、この粘着
剤層６を介して化粧皿３を化粧皿収容凹部１ｂの底面に
仮固定している。このようなコンパクトでは、化粧皿３
に充填された化粧料３ａを使い切ったのち上記化粧皿３
を化粧皿収容凹部１ｂから取り外す場合、上記貫通穴５
に細い棒７等を挿入し、粘着剤層６により仮固定されて
いる化粧皿３を上方に押し上げて取り外すことが行われ
る。図において、８は蓋体２の裏面に貼着された鏡であ
る。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記コ
ンパクトのように、粘着剤を化粧皿３の裏面に付着させ
て粘着剤層６を設ける場合には、その作業に手間がかか
る。しかも、上記粘着剤の在庫，保管等の管理をしなけ
ればならないうえ、上記作業に必要な道具や部品の保管
等の管理をもしなければならず、管理面が煩雑になる。
さらに、化粧皿３を取り外した際に、その裏面に付着し
ている粘着剤で手指を汚す等の不都合も生じる。

【０００４】そこで、上記のように、化粧皿の裏面に粘
着剤層６を設けることなく、化粧皿を容器本体に固定で
きるようにしたものとして、実公昭６３−１２８１０号
公報，実公平６−３００９９号公報，実開昭５９−９８
８０７号公報および実公昭６２−１４９７０号公報にそ
れぞれ示す化粧用のコンパクトが提案されている。

【０００５】上記実公昭６３−１２８１０号公報に示す
化粧用コンパクトは、容器本体と蓋体と化粧品収納皿を
備え、容器本体の後端部に蓋体の後端部を枢着させてい
る。そして、上記容器本体の上面に形成した枠嵌合孔の
内壁面に枠体を嵌合させ、この枠体の左右両側壁の相対
向する一部（の下半部分）に所定間隔をあけて一対の区
割りを枠体の下端まで縦設して上記各一部を弾性片と
し、これら各弾性片の下端内縁に突条を横設し、かつ、
上記各弾性片と枠嵌合孔との間に間隙（各弾性片の逃げ
代）を設けるようにしている。また、化粧品収納皿の周
壁の左右両側面には上記各弾性片の突条と嵌合する凹条
を凹設している。このものでは、枠体上に化粧品収納皿
を位置させ、その化粧品収納皿を押し下げることによ
り、化粧品収納皿の凹条と各弾性片の突条とが嵌合し、
化粧品収納皿が容器本体に取り付けられるようになって
いる。

【０００６】しかしながら、上記化粧用コンパクトで
は、容器本体の枠嵌合孔内に、化粧品収納皿以外に枠体
を取り付けなければならないうえ、この枠体と枠嵌合孔
との間に上記弾性片の逃げ代として間隙を確保しなけれ
ばならないため、枠体の厚みおよび逃げ代の幅の分だけ
化粧用コンパクト自体が大形化する。また、容器本体と
蓋体と化粧品収納皿以外に、弾性片を形成した枠体を製
作しなければならないため、製作工程が増加，複雑化す
る。しかも、容器本体に枠体を取付ける作業も必要で、
作業工程も増加，複雑化する。さらに、枠体を必要とす
る分だけ、部品点数が多く、在庫管理等の管理面が煩雑
になる。そのうえ、上記枠体は、その加工精度を高くし
なければならないという問題もある。すなわち、枠体が
大き目であると、容器本体の枠嵌合孔に枠体を嵌合させ
ることができなくなる。一方、枠体が小さ目であると、
枠嵌合孔と枠体との嵌合が緩くなる結果、化粧用コンパ
クトを落とす等して大きな衝撃を与えると枠嵌合孔から
枠体が外れやすくなる。そのうえ、上記化粧用コンパク
トは、弾性片の下端内縁に横設した突条と化粧品収納皿
の周壁の凹条との嵌合により化粧品収納皿を抜け止めす
るものであり、嵌合状態において化粧品収納皿に弾性片
の弾性力が作用せず、化粧品収納皿のがたつきが生じや
すいという問題もある。

【０００７】また、上記実公平６−３００９９号公報に
示すコンパクト容器は、容器本体と蓋体と化粧皿とを備
え、上記容器本体の中央を仕切板で仕切って化粧皿収納
用の収納凹所とパフ収納用の凹所とを形成している。そ
して、上記化粧皿収納用の収納凹所の後側壁部の内面下
端にスリットを形成するとともに、このスリットの上方
に係止部を突設し、上記仕切板の後側面に係止部を形成
している。また、上記化粧皿の外周面に、上記両係止部
に対応する係止部が形成されている。そして、化粧皿を
化粧皿収納用の収納凹所の上方から押し下げることによ
り、化粧皿外周面の係止部が後側の壁部に形成された係
止部を外側に向かって押圧し、スリットの上の壁部を後
方に弾性変形させ、容器本体に化粧皿を取付けるように
なっている。

【０００８】しかしながら、上記コンパクト容器は、化
粧皿を取り付ける際、化粧皿外周面の係止部により、後
側の壁部内面に形成された係止部を外側に向かって押圧
してスリットの上側の壁部を弾性変形させなければなら
ない。このとき、両係止部同士の引っ掛かりや摩擦抵抗
のため、壁部がスムーズに変形しにくく、化粧皿をこじ
入れるようにして取り付けなければならない等、取り付
け作業が行いにくいという問題がある。

【０００９】また、上記実開昭５９−９８８０７号公報
に示すコンパクト容器は、上面に凹所が形成された容器
本体と、上記凹所の前方部に摺動自在に配設される収納
皿と、上記凹所の後方部に配設される中皿とを備えてい
る。そして、上記収納皿の前端に、この収納皿を後方へ
付勢するスプリングを設けるとともに、この収納皿の後
端縁部に爪片を形成している。また、上記中皿の前端に
は、上記収納皿の爪片と係止するフック状突部が設けら
れ、この中皿の後端縁部は、容器本体の後端の固定壁に
係止されている。このものでは、凹所の後方部の上に中
皿を位置させ、この中皿を押し下げることにより、収納
皿の爪片と中皿のフック状突部が係止して中皿が容器本
体に取り付けられる。そして、上記収納皿を前方に摺動
させることにより、上記収納皿の爪片と中皿のフック状
突部との係合が解除され、上記中皿が取り出せるように
なっている。

【００１０】しかしながら、このコンパクト容器では、
中皿の取り付け取り外しのために、収納皿を容器本体の
凹所内で前後に摺動させる必要があるため、容器本体の
凹所内に、収納皿の摺動スペースを確保しなければなら
ず、コンパクト容器自体が大形化する。また、上記収納
皿を付勢するスプリングが必要であるため、部品点数が
多く、在庫管理等の管理面が煩雑になる。

【００１１】また、上記実公昭６２−１４９７０号公報
に示す化粧用コンパクトは、容器本体と蓋体と化粧品充
填皿を備え、容器本体の後端部に蓋体の後端部を枢着さ
せている。そして、上記容器本体の上面に形成した皿装
着孔の内壁面に、化粧品充填皿の周壁外面に圧接する突
条が縦設されている。このものでは、皿装着孔の上に化
粧品充填皿を位置させ、その化粧品充填皿を押し下げる
ことにより、化粧品充填皿の周壁外面が突条に圧接さ
れ、化粧品充填皿が容器本体に取り付けられるようにな
っている。

【００１２】しかしながら、この化粧用コンパクトで
は、化粧品充填皿の周壁外面と、皿装着孔の突条との圧
接だけにより、化粧品充填皿が抜け止めされている。こ
のため、化粧品充填皿の加工精度を高くしなければなら
ないという問題がある。すなわち、化粧品充填皿が大き
目であると、容器本体の皿装着孔に化粧品充填皿を取り
付けることができなくなる。一方、化粧品充填皿が小さ
目であると、皿装着孔と化粧品充填皿との圧接が緩くな
る結果、化粧用コンパクトを落とす等して大きな衝撃を
与えると化粧品充填皿が皿装着孔から外れやすくなる。

【００１３】この考案は、このような事情に鑑みなされ
たもので、化粧皿の底面に粘着剤層を設けることなく、
化粧皿を化粧皿収容凹部に保持，収容することのできる
コンパクトの提供をその目的とする。

【００１４】

【課題を解決するための手段】上記の目的を解決するた
め、この考案のコンパクトは、上面に化粧皿収容凹部が
形成された容器本体と、上記容器本体の上面を蓋する蓋
体と、上記化粧皿収容凹部に収容される化粧皿とを備
え、上記化粧皿収容凹部の周側壁の少なくとも１個所に
Ｕ字状の切欠き部を穿設することにより、上記Ｕ字状の
切欠き部で囲われた部分を弾性押圧片に形成し、この弾
性押圧片の下端部に内側に向かって下り傾斜状に延びる
状態で内向傾斜片部を設け、上記化粧皿の後側面の下端
部に突条を形成し、化粧皿収容凹部に化粧皿を収容する
際、上記弾性押圧片の内向傾斜片部が化粧皿の突条を内
向きに押圧するように当接して外側に弾性変形しその復
元力で化粧皿を着脱自在に保持するようにしたという構
成をとる。

【００１５】

【作用】すなわち、この考案のコンパクトは、化粧皿収
容凹部の周側壁の少なくとも１個所にＵ字状の切欠き部
を穿設することにより、上記Ｕ字状の切欠き部で囲われ
た部分を弾性押圧片に形成し、この弾性押圧片の下端部
に内向傾斜片部を設けるようにしている。このため、化
粧皿収容凹部に化粧皿を収容する場合には、化粧皿を化
粧皿収容凹部の上側等の所定位置に位置決めしたのち、
その状態で化粧皿を化粧皿収容凹部内に押し込むことが
行われる。この場合、上記押し込みにより、上記化粧皿
収容凹部内において、化粧皿の周側面の上記弾性押圧片
に対応する部分が弾性押圧片を外側に押し拡げる状態で
当接しながら下降し、この弾性押圧片の下端部の内向傾
斜片部に当接したのちは、この内向傾斜片部を外側に押
し拡げながら下降し、そののち、化粧皿収容凹部の底面
に到達する。そして、この状態では、上記弾性押圧片
は、弾性変形により生じた復元力を有するため、この復
元力で上記弾性押圧片の下端部の内向傾斜片部が化粧皿
の外周面を内方に押圧して化粧皿を化粧皿収容凹部に抜
け止め状に保持する。他方、上記化粧皿収容凹部から化
粧皿を取り外す場合には、従来例と同様に、化粧皿収容
凹部の底部にあけた貫通穴から棒を挿入して化粧皿を押
し上げること等が行われる。また、この考案のコンパク
トは、弾性押圧片の下端部に内側に向かって下り傾斜状
に延びる状態で内向傾斜片部を設け、この内向傾斜片部
を利用して化粧皿を保持している。このように、このコ
ンパクトは弾性押圧片に内向傾斜片部を設けるだけでよ
く、その構造は簡単であり、かつ製作が容易である。ま
た、内向傾斜片部が弾性押圧片の下端部に内側に向かっ
て下り傾斜状に延びる状態で設けられているため、化粧
皿を化粧皿収容凹部に収容する際には、化粧皿に形成さ
れた突条が下り傾斜状の内向傾斜片部に沿ってすべり落
ちるように下降し、上記内向傾斜片部を外向きに押し広
げて化粧皿収容凹部に化粧皿が収容される。このよう
に、化粧皿の収容作業をスムーズに行うことができる。
さらに、この考案のコンパクトは、化粧皿の後側面の下
端部に突条を形成し、化粧皿収容凹部に化粧皿を収容す
る際、弾性押圧片の内向傾斜片部が化粧皿の突条を内向
きに押圧するように当接して外側に弾性変形しその復元
力で化粧皿を着脱自在に保持するようにしている。この
ため、弾性押圧片の内向傾斜片部が外側に弾性変形する
量が上記突条の分だけ大きくなり、復元力も大きくな
る。このように大きな復元力で化粧皿が安定して保持さ
れるため、化粧皿収容凹部から化粧皿が脱落しにくくな
る。また、化粧皿の寸法にバラツキがある場合や、内向
傾斜片部の先端が欠けたり摩耗したりしても、化粧皿収
容凹部から化粧皿が脱落しにくい。さらに、このコンパ
クトをバッグ等に入れて持ち運ぶ等して振動を与えて
も、上述のように化粧皿が化粧皿収容凹部内で極めて安
定して保持されているため、化粧皿に収容された化粧料
が割れたり、欠けたりしにくい。

【００１６】つぎに、この考案を実施例にもとづいて詳
しく説明する。

【００１７】

【実施例】図１はこの考案の一実施例を示している。図
において、１１はプラスチック製の容器本体であり、そ
の上面に形成された化粧皿収容凹部１１ａには、図２に
示すように、その後側壁１１ｃに弾性押圧片１３が形成
されており、この弾性押圧片１３を利用してプラスチッ
ク製の化粧皿１２が上記化粧皿収容凹部１１ａに着脱自
在に保持，収容されている。より詳しく説明すると、上
記化粧皿収容凹部１１ａの後側壁１１ｃには、図３およ
び図４に示すように、蓋体２の後端部に形成された連結
用凸部２ａを配設するための凹部１１ｂが形成されてい
るため、上記後側壁１１ｃは、その肉厚が薄く形成され
ており、この肉厚の薄い後側壁１１ｃの略中央部に、図
５に示すように、Ｕ字状の切欠き部１４を穿設すること
により、上記Ｕ字状の切欠き部１４で囲われた部分が弾
性押圧片１３として作用する構造にしている。また、上
記弾性押圧片１３には、その下端部に内向傾斜片部１３
ａが、内側に向かって下り傾斜状に延びる状態で一体的
に形成されており、その先端部は上記後側壁１１ｃのや
や内側に入った位置において化粧皿収容凹部１１ａの底
面より少し上側の位置まで延びている。

【００１８】上記化粧皿収容凹部１１ａの前側壁（すな
わち、化粧皿収容凹部１１ａとパフ収容凹部１ａとを仕
切る仕切り壁）１１ｄの内面（上記仕切り壁１１ｄの化
粧皿収容凹部１１ａ側の側面）には、左右方向に延びる
係合用突条１５が上記弾性押圧片１３と対峙する位置に
おいて化粧皿収容凹部１１ａの底面から所定高さの位置
に突出形成されている。

【００１９】上記化粧皿１２には、その前後両側面の下
端部に前後一対の突条１６ａ，１６ｂが形成されてお
り、上記仕切り壁１１ｄに形成した係合用突条１５の下
方に嵌入しうる形状に形成されている。また、上記化粧
皿１２の前後両側面の上端には前後一対のフランジ部１
７ａ，１７ｂが形成されており、上記化粧皿１２を化粧
皿収容凹部１１ａ内に収容した際に、上記化粧皿収容凹
部１１ａの後側壁１１ｃおよび仕切り壁１１ｄの上面に
載置される。それ以外の部分は従来例と同様であり、同
様の部分には同じ番号を付している。

【００２０】このように構成されたコンパクトにおい
て、化粧皿１２を化粧皿収容凹部１１ａに収容する場合
には、まず、化粧皿１２の後側フランジ部１７ｂを手で
持ちながら化粧皿１２を操作し、化粧皿１２の前側面の
下端部に形成した前側突条１６ａを仕切り壁１１ｄの係
合用突条１５の下側に位置決めするとともに、化粧皿１
２の後側面の下端部に形成された後側突条１６ｂを上記
化粧皿収容凹部１１ａの後側壁１１ｃに形成した弾性押
圧片１３の上端部に当接させる。ついで、そのままの状
態で後側フランジ部１７ｂを下向きに押して化粧皿収容
凹部１１ａ内に押し込む。これにより、図６に示すよう
に、上記化粧皿１２の後側突条１６ｂが弾性押圧片１３
を外側に押し拡げながら下降し、この下降の途中で上記
弾性押圧片１３の下端部の内向傾斜片部１３ａに当接
し、当接後はこの内向傾斜片部１３ａを外側に押し拡げ
ながら下降し、化粧皿収容凹部１１ａの底面に到達す
る。この状態では、化粧皿１２の前側突条１６ａが仕切
り壁１１ｄの係合用突条１５の下部に嵌入するととも
に、弾性押圧片１３の弾性変形により生じた復元力によ
り上記内向傾斜片部１３ａが化粧皿１２の後側突条１６
ａを内向きに押圧し、この状態で化粧皿１２が化粧皿収
容凹部１１ａの底面上に着脱自在に保持，収容される。
また、化粧皿１２を取り替えるため化粧皿収容凹部１１
ａから化粧皿１２を取り外す場合には、従来例と同様
に、上記化粧皿収容凹部１１ａの底部にあけた貫通孔５
から棒等を挿入し化粧皿１２を上方に押し上げる。

【００２１】このように、このコンパクトによれば、化
粧皿１２の下面に粘着剤層を設けなくても、化粧皿１２
を化粧皿収容凹部１１ａに保持，収容することができ
る。このため、従来例では化粧皿１２を化粧皿収容凹部
１１ａに保持，収容するために必要であった粘着剤が不
要になる。したがって、化粧皿１２の裏面に粘着剤を付
着させる作業が省略でき、その分作業の手間を省くこと
ができる。しかも、上記粘着剤の在庫，保管等の管理を
する必要がないうえ、上記作業のための道具や部品の保
管等の管理もする必要がなく、管理面を大いに合理化す
ることができるようになる。さらに、従来例のように化
粧皿１２の裏面に粘着剤が付着していないため、化粧皿
１２を取り外す際に上記粘着剤で手を汚すこともなくな
る。そのうえ、容器本体１１と蓋体２とのヒンジ連結部
を利用して弾性押圧片１３を形成しているため、大幅な
設計変更を必要とせず、また、大形化することもない。

【００２２】なお、上記実施例では、化粧皿収容凹部１
１ａの底部に貫通穴５をあけ、この貫通穴５を利用して
化粧皿１２を取り外すようにしているが、これに限定す
るものではなく、上記仕切り壁１１ｄに指入れ用凹部を
形成し、この指入れ用凹部を利用して化粧皿１２を手で
取り外すようにしてもよい。

【００２３】また、上記実施例では、化粧皿収容凹部１
１ａの後側壁１１ｃに弾性押圧片１３を形成し、前側壁
１１ｄに係合用突条１５を形成するようにしているが、
これに限定するものではなく、上記化粧皿収容凹部１１
ａの後側壁１１ｃおよび仕切り壁１１ｄに、それぞれ対
峙するように弾性押圧片１３を形成するようにしてもよ
い。また、上記実施例では、化粧皿１４としてプラスチ
ック製のものを用いているが、鉄製のものを用いてもよ
い。

【００２４】

【考案の効果】以上のように、この考案のコンパクトに
よれば、化粧皿の下面に粘着剤層を設けなくても、化粧
皿を化粧皿収容凹部に保持，収容することができるた
め、図７および図８に示す従来例では化粧皿を化粧皿収
容凹部に保持，収容するために必要であった粘着剤が不
要となる。したがって、化粧皿の裏面に粘着剤を付着さ
せる作業が省略できて、上記作業の手間を省くことがで
きる。しかも、上記粘着剤の在庫，保管等の管理および
上記作業のための道具や部品の保管等の管理が必要でな
くなり、管理面での合理化が実現できる。さらに、従来
例のように化粧皿の裏面に粘着剤が付着していないた
め、化粧皿を取り外す際に上記粘着剤で手を汚すことも
なくなる。また、この考案のコンパクトは、弾性押圧片
の下端部に内側に向かって下り傾斜状に延びる状態で内
向傾斜片部を設け、この内向傾斜片部を利用して化粧皿
を保持している。このように、このコンパクトは弾性押
圧片に内向傾斜片部を設けるだけでよく、その構造は簡
単であり、かつ製作が容易である。また、内向傾斜片部
が弾性押圧片の下端部に内側に向かって下り傾斜状に延
びる状態で設けられているため、化粧皿を化粧皿収容凹
部に収容する際には、化粧皿に形成された突条が下り傾
斜状の内向傾斜片部に沿ってすべり落ちるように下降
し、上記内向傾斜片部を外向きに押し広げて化粧皿収容
凹部に化粧皿が収容される。このように、化粧皿の収容
作業をスムーズに行うことができる。さらに、この考案
のコンパクトは、化粧皿の後側面の下端部に突条を形成
し、化粧皿収容凹部に化粧皿を収容する際、弾性押圧片
の内向傾斜片部が化粧皿の突条を内向きに押圧するよう
に当接して外側に弾性変形しその復元力で化粧皿を着脱
自在に保持するようにしている。このため、弾性押圧片
の内向傾斜片部が外側に弾性変形する量が上記突条の分
だけ大きくなり、復元力も大きくなる。このように大き
な復元力で化粧皿が安定して保持されるため、化粧皿収
容凹部から化粧皿が脱落しにくくなる。また、化粧皿の
寸法にバラツキがある場合や、内向傾斜片部の先端が欠
けたり摩耗したりしても、化粧皿収容凹部から化粧皿が
脱落しにくい。さらに、このコンパクトをバッグ等に入
れて持ち運ぶ等して振動を与えても、上述のように化粧
皿が化粧皿収容凹部内で極めて安定して保持されている
ため、化粧皿に収容された化粧料が割れたり、欠けたり
しにくい。

【００２５】さらに、容器本体と蓋体と化粧品収容皿と
からなり、実公昭６３−１２８１０号公報に示す従来の
化粧用コンパクトのような枠体が不要であるため、コン
パクト容器自体が大形化することがない。そのうえ、上
記枠体製作のために製作工程が増加，複雑化することが
ないうえ、枠体取り付けのために作業工程が増加，複雑
化することがない。さらに、部品点数も少なく、在庫管
理等の管理面が簡素化される。しかも、容器本体に化粧
皿を取り付けた状態では、弾性押圧片の内向き傾斜部が
化粧皿の外周面に当接し、常に、化粧皿に弾性押圧片の
弾性力が作用している。したがって、振動等が加わって
も容器本体内で化粧皿ががたつくことがない。しかも、
上記したように枠体が不要であるうえ、化粧皿に弾性押
圧片の弾性力が作用して固定されているため、加工精度
が多少悪くても化粧皿を取り付けることができ、品質が
安定する。

【００２６】しかも、上記コンパクト容器では、化粧皿
を取り付けるときには、化粧皿の外周面が内向傾斜片部
の下り傾斜状の内側面に当接し、化粧皿を押し下げる
際、この化粧皿の外周面が内向傾斜片部の内側面をスム
ーズにすべりながら弾性押圧片を外側に押し拡げる。し
たがって、実公平６−３００９９号公報に示す従来のコ
ンパクト容器のように、係止部同士が引っ掛かるような
ことがなく、化粧皿をこじ入れなくてもスムーズに取り
付けることができる。

【００２７】また、この考案において、容器本体の後側
壁に上面開放状の凹部が形成され、この凹部と化粧皿収
容凹部との間に位置する上記後側壁の部分に切欠き部が
穿設され、蓋体の後端部に、上記凹部に収容される連結
用凸部が形成され、この連結用凸部が上記凹部に収容さ
れヒンジ連結されている場合には、容器本体と蓋体との
ヒンジ連結部を利用して弾性押圧片を形成することがで
き、大幅な設計変更を必要としないうえ、コンパクト容
器が大形化することがない。すなわち、実公昭６３−１
２８１０号公報に示す従来の化粧用コンパクトのような
枠体を設ける構造にしようとすると、コンパクト容器自
体を大幅に設計変更しなければならない。また、枠体の
後側壁に弾性片を形成する場合には、枠体の厚みや逃げ
代等を加算した長さが蓋体の連結部と化粧品収容皿との
間に必要となり、コンパクト容器の前後長さが長くなっ
てコンパクト容器が大形化する。この考案において、上
記のように容器本体と蓋体とのヒンジ連結部を利用して
弾性押圧片を形成することにより、大幅な設計変更を必
要とせず、しかも、容器本体内のスペースを有効活用で
きてコンパクト容器を大形化することがないのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例を示すコンパクトの斜視図
である。

【図２】上記コンパクトの要部を示す断面図である。

【図３】上記容器本体の平面図である。

【図４】上記容器本体の断面図である。

【図５】弾性押圧片を示す斜視図である。

【図６】化粧皿収容凹部に化粧皿を収容しているところ
を示す断面図である。

【図７】従来例を示す斜視図である。

【図８】従来例の要部の説明図である。

【符号の説明】

２蓋体１１容器本体１１ａ化粧皿収容凹部１２化粧皿１３弾性押圧片１３ａ内向傾斜片部１４切欠き部

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】上面に化粧皿収容凹部１１ａが形成され
た容器本体１１と、上記容器本体１１の上面を蓋する蓋
体２と、上記化粧皿収容凹部１１ａに収容される化粧皿
１２とを備え、上記化粧皿収容凹部１１ａの周側壁の少
なくとも１個所にＵ字状の切欠き部１４を穿設すること
により、上記Ｕ字状の切欠き部１４で囲われた部分を弾
性押圧片１３に形成し、この弾性押圧片１３の下端部に
内側に向かって下り傾斜状に延びる状態で内向傾斜片部
１３を設け、上記化粧皿１２の後側面の下端部に突条１
６ｂを形成し、化粧皿収容凹部１１ａに化粧皿１２を収
容する際、上記弾性押圧片１３の内向傾斜片部１３ａが
化粧皿１２の突条１６ｂを内向きに押圧するように当接
して外側に弾性変形しその復元力で化粧皿１２を着脱自
在に保持するようにしたことを特徴とするコンパクト。
【請求項２】弾性押圧片１３が化粧皿収容凹部１１ａ
の相対向する側壁１１ｃ，１１ｄの一方の側壁１１ｃに
形成され、他方の側壁１１ｄに係合部１５が形成され、
化粧皿１２の上記他方の側壁１１ｄに対応する側面に、
上記係合部１５と着脱自在に係合する被係合部１６ａが
形成されている請求項１記載のコンパクト。
【請求項３】弾性押圧片１３が化粧皿収容凹部１１ａ
の相対向する側壁１１ｃ，１１ｄに、それぞれ対峙する
ように形成されている請求項１記載のコンパクト。
【請求項４】容器本体１１の後側壁１１ｃに上面開放
状の凹部１１ｂが形成され、この凹部１１ｂと化粧皿収
容凹部１１ａとの間に位置する上記後側壁１１ｃの部分
に切欠き部１４が穿設され、蓋体２の後端部に、上記凹
部１１ｂに収容される連結用凸部２ａが形成され、この
連結用凸部２ａが上記凹部１１ｂに収容されヒンジ連結
されている請求項１記載のコンパクト。