JP2573046Y2 - ピンスライド型車両用ディスクブレーキ - Google Patents

ピンスライド型車両用ディスクブレーキ

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JP2573046Y2
JP2573046Y2 JP1992062980U JP6298092U JP2573046Y2 JP 2573046 Y2 JP2573046 Y2 JP 2573046Y2 JP 1992062980 U JP1992062980 U JP 1992062980U JP 6298092 U JP6298092 U JP 6298092U JP 2573046 Y2 JP2573046 Y2 JP 2573046Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、自動車や自動二・三輪
車等の車両に搭載されるピンスライド型の車両用ディス
クブレーキに係り、詳しくはキャリパ案内用の摺動ピン
に設けられる弾性ブッシュの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】キャリパボディを、摺動ピンの案内でデ
ィスク軸方向へ移動させて制動作用を行なうピンスライ
ド型のディスクブレーキでは、摺動ピンが走行時に挿通
孔の内部で振動することがあるため、例えば実開平1ー
150230号公報に示される如く、摺動ピンの先端側
に形成された周溝に、環状の弾性ブッシュを嵌着したも
のが知られている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】しかし、このような構
成で急激な制動が行なわれると、キャリパボディに過大
な制動トルクがかかって、ディスク軸に対して大きく傾
くと同時に、摺動ピンも弾性ブッシュを撓ませながら挿
通孔内で傾き、摺動ピンの先端が、挿通孔を大きく叩い
て打音を発生する虞がある。
【0004】そこで本考案は、急制動による摺動ピンの
打音の発生を極力抑えることのできるピンスライド型の
ディスクブレーキを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本考案は、上述の目的に
従い、車体に固設されるキャリパブラケットから、ディ
スクロータの外側へディスク軸方向へ延設される一対の
キャリパ支持腕と、該キャリパ支持腕の間で前記ディス
クロータを跨いで配設されるキャリパボディのいずれか
一方に摺動ピンを突設し、他方にこの摺動ピンを収容す
る挿通孔を形成して、前記キャリパボディを、摺動ピン
の案内にてディスク軸方向へ移動可能に支持すると共
に、摺動ピンの先端部に形成された周溝に、環状の弾性
ブッシュを嵌着したピンスライド型の車両用ディスクブ
レーキにおいて、前記弾性ブッシュの外径を、前記挿通
孔よりも小径に形成し、該弾性ブッシュの外周面に、挿
通孔の内壁と接触する複数の突部を設けたことを特徴と
している。
【0006】
【作用】かかる構成によれば、弾性ブッシュ外周の突部
間の空隙が、突部の変形を吸収する領域となり、急制動
によってキャリパボディが大きく傾動し、更に摺動ピン
が挿通孔内で傾いて、摺動ピンの荷重が弾性ブッシュに
かかると、外周の突部が、摺動ピンの荷重を吸収しなが
ら空隙内へ変形して行くので、摺動ピン先端と挿通孔と
の当たりは緩やかなものとなる。
【0007】
【実施例】以下、本考案の第1実施例を図1乃至図5に
基づいて説明する。
【0008】ディスクブレーキ1は、ディスクロータ2
の一側部で車体に固設されるブラケット3に、ディスク
ロータ2の外周をディスク軸方向に跨ぐ一対のキャリパ
支持腕3a,3aが延設されており、両キャリパ支持腕
3a,3aの間には、キャリパボディ4が、両側部の取
付け腕4f,4fに突設された各摺動ピン5を、キャリ
パ支持腕3aに穿設された挿通孔3bに挿通して、ディ
スク軸方向へ移動可能に支持されている。
【0009】上記キャリパボディ4は、ディスクロータ
2の外側から2分割された作用部側ピース4aと反作用
部側ピース4bとを、4本の連結ボルト6にて一体化し
たもので、ディスクロータ2の両側に対向配置される作
用部4c及び反作用部4dと、これらをディスクロータ
2の外周を跨いで連結するブリッジ部4eとからなって
いる。作用部4cには、上述の取付け腕4f,4fと、
ピストン7が収容されるシリンダ孔8と、該ピストン7
及びシリンダ孔8間の液圧室9へ圧液を導入するための
インレットポート10とが設けられ、また反作用部4d
には、反力爪4gが設けられている。
【0010】ピストン7と反力爪4gとの間には、一対
の摩擦パッド11,11が、ディスクロータ2を挟んで
対向配置されており、インレットポート10を通して液
圧室9へ圧液が供給されると、ピストン7がシリンダ孔
8をディスクロータ方向へ前進して、一方の摩擦パッド
11をディスクロータ2の一側面へ押圧する。次に、こ
の反作用によって、キャリパボディ4が摺動ピン5,5
に案内されながら、作用部4c方向へ移動して行き、反
力爪4gが、他方の摩擦パッド11をディスクロータ2
の他側面へ押圧して、制動作用が行なわれる。
【0011】摺動ピン5は、その基部5aを取付けボル
ト12にて前記取付け腕4fに固着され、キャリパ支持
腕3aに穿設された挿通孔3bへ挿通される軸部5b
が、挿通孔3bよりもやや小径に形成されている。この
摺動ピン5は、挿通孔3bから突出する基部5aを、環
状シール13aと一体のブーツ13bにて被覆され、軸
部5bの基端側を、挿通孔3bの開口部内周に嵌着され
た上記環状シール13aに、また先端側を弾性ブッシュ
14にて、それぞれ弾持されている。
【0012】図1は、摺動ピン5の先端部詳細図で、軸
部5bの先端部には周溝5cが設けられ、該周溝5c
に、上述の弾性ブッシュ14が嵌着されている。この弾
性ブッシュ14は、全体がゴムや軟質の合成樹脂等によ
って形成され、環状体14aの外径は挿通孔3bよりも
小径で、その外周面には、挿通孔3bの内壁と接触する
複数の突部14bが設けられている。この突部14b
は、球面状の小突起で、環状体の外周面全体を挿通孔3
bに接触させる従来の弾性ブッシュに較べると、挿通孔
3bとの接触面積が大幅に少なくなっている。
【0013】本実施例は、以上のように構成されてお
り、摺動ピン5の周溝5cに嵌着された弾性ブッシュ1
4は、外周面の突部14aが挿通孔3bの内壁と接触し
て、摺動ピン5の先端側を弾持し、走行時には摺動ピン
5の小刻みな振動を防止する。また、上述の制動が急激
に行なわれると、摺動ピン5がキャリパボディ4と一体
となって大きく傾いて、弾性ブッシュ14に摺動ピン5
の偏荷重がかかるが、突部14b,14b…間の空隙1
4cが、突部14bの変形を吸収する領域となり、突部
14bが、摺動ピン5からの荷重を吸収しながら空隙1
4c内へ変形して行くので、摺動ピン5の先端が挿通孔
3bへ当接するとしても、その当たりは緩やかなものと
なり、当接音は極めて小さなものに抑えられる。
【0014】また、摺動ピン5を挿通孔3bへ差し込む
際には、突部14b,14b…間の空隙14cがエア通
路となり、挿通孔3a内のエアを、この空隙14cから
外部へ速かに排出するので、摺動ピン5の差し込み作業
を、短時間で簡便に行なえると共に、制動時には摺動ピ
ン5の移動が円滑に行なうことができる。更に、摺動ピ
ン5の摺動性能を高めるために、突部14b,14b…
間の空隙14cを利用してグリスを充填すれば、グリス
が散ったり垂れたりしにくくなるので、潤滑効果を長持
ちさせることができる。
【0015】図6乃至図8の第2実施例に示す弾性ブッ
シュ14は、環状体14aの内周に、4条の縦溝4dを
軸方向へ等間隔に成形した点で、第1実施例と異なって
おり、縦溝14dの形成によって、環状体14a内周の
剛性を弱めることにより、弾性ブッシュ14を、摺動ピ
ン5の周溝5cへ容易に組付けできるようにしている。
【0016】図9乃至図11は、本考案の第3実施例を
示すもので、弾性ブッシュ15は、キャリパ支持腕3a
の挿通孔3bよりも小径に形成された環状体15aの外
周に、複数の環状リブを、環状体15aの軸方向に断続
して設けると共に、4条の縦溝15dを、環状体15a
の外周面よりも深く切り込んで、該縦溝15cに分断さ
れ突条となった環状リブのそれぞれを突部15bとな
し、これら突部15b,15bの間に周方向の空隙15
cを設定している。
【0017】本実施例の弾性ブッシュ15は、突部15
bが、摺動ピン5から伝達される横からの急激な偏荷重
によって、撓み易い周方向の突条となっているため、摺
動ピン5からの荷重を吸収しながら空隙15c内へ変形
して行くので、第1及び第2実施例と同様に、当接音を
極力小さく抑えることができ、また空隙15cがグリス
溜りに、縦溝15dをエア通路とすることができる。
【0018】
【考案の効果】本考案のピンスライド型車両用ディスク
ブレーキは、急激な制動によって、摺動ピンが大きく傾
いたとしても、弾性ブッシュの外周に設けた複数の突部
が、摺動ピンからの偏荷重を吸収しながら突部間の空隙
へ変形して行くので、摺動ピンの先端と挿通孔との当た
りが緩やかなものとなり、当接音が極めて小さなものに
抑えられる。また突部間の空隙を利用してグリスを充填
すれば、グリスが散ったり垂れたりしにくくなるので、
潤滑効果を長持ちさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2の要部拡大図
【図2】本考案の第1実施例を示すディスクブレーキの
平面図
【図3】図2のIII −III 断面図
【図4】図1のIV−IV断面図
【図5】第1実施例に用いる弾性ブッシュの斜視図
【図6】本考案の第2実施例を示すディスクブレーキの
要部詳細断面図
【図7】図6のVII −VII 断面図
【図8】第2実施例に用いる弾性ブッシュの斜視図
【図9】本考案の第3実施例を示すディスクブレーキの
要部詳細断面図
【図10】図9のX−X断面図
【図11】第3実施例に用いる弾性ブッシュの斜視図
【符号の説明】
1…ディスクブレーキ 2…ディスクロータ 3…ブラケット 3a…キャリパ支持腕 3b…摺動ピン5が差し込まれる挿通孔 4…キャリパボディ 4a…作用部 4b…反作用部 5…摺動ピン 5a…摺動ピン5の基部 5b…摺動ピン5の軸部 5c…軸部5bの先端に設けられた周溝 7…ピストン 8…シリンダ孔 11…摩擦パッド 13a…環状シール 13b…ブーツ 14…弾性ブッシュ 14a…環状体 14b…球面状の小突部

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体に固設されるキャリパブラケットか
    ら、ディスクロータの外側へディスク軸方向へ延設され
    る一対のキャリパ支持腕と、該キャリパ支持腕の間で前
    記ディスクロータを跨いで配設されるキャリパボディの
    いずれか一方に摺動ピンを突設し、他方にこの摺動ピン
    を収容する挿通孔を形成して、前記キャリパボディを、
    摺動ピンの案内にてディスク軸方向へ移動可能に支持す
    ると共に、摺動ピンの先端部に形成された周溝に、環状
    の弾性ブッシュを嵌着したピンスライド型の車両用ディ
    スクブレーキにおいて、前記弾性ブッシュの外径を、前
    記挿通孔よりも小径に形成し、該弾性ブッシュの外周面
    に、挿通孔の内壁と接触する複数の突部を設けたことを
    特徴とするピンスライド型車両用ディスクブレーキ。
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