JP2567295Y2 - 再使用容器用ラベル - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、自動洗ビン機の洗浄液
で洗浄される回収したビン等の容器に貼着するに適した
再使用容器用ラベルに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、ビールビン等の回収の慣行がある
ビンには、印刷された紙基材に熱アルカリで可溶する水
系接着剤を塗布したいわゆるグルーラベルを貼着し、自
動洗ビン機で熱アルカリ洗浄液により洗浄して再使用し
ている。また、一般的な粘着ラベルを貼着したワインボ
トルや清涼飲料水のビン等の容器には、ビンを冷却した
ときに剥がれない程度の比較的強い耐久性を備えた粘着
ラベルが使用されており、熱アルカリ洗浄液でラベルが
剥がれ落ちず、このような容器にも熱アルカリ洗浄液で
剥がれるラベルを使用することが省資源のためには好ま
しい。

【０００３】熱アルカリ洗浄液で溶解もしくは分解する
粘着ラベルとして、延伸ポリビニールアルコールのフィ
ルムと粘着剤を使用したものが提案されている（実開昭
５９−１４９１７３号公報）。又、熱収縮性フィルムを
基材とし、裏面に接着剤層を設けたラベルが提案されて
いる（実開平２−１０７１７９号公報）。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】上記ビールビン等に貼
着されたグルーラベルは、比較的長時間の間、熱アルカ
リ洗浄液に浸漬しなければならず、また、剥がれ残りの
ラベルは手作業で剥がし落とす必要がありその作業を能
率良く行なえない不都合があった。また、ビンごと冷却
水で冷却するものに紙製基材のラベルを貼着すると、該
基材が分離してしまう不都合がある。更に、熱収縮性フ
ィルムを基材としたラベルに直接印刷を施すと、その印
刷処理における熱により、容器へ貼着前にフィルムが熱
収縮してしまう欠点があった。

【０００５】本考案は、こうした不都合等がなく、熱ア
ルカリ洗浄液で短時間に剥がれ落ち、ビンごとの冷却に
も耐え得、又、印刷も容易に施せ、容器の再使用に適し
た粘着ラベルを提供することを目的とするものである。

【０００６】本考案では、再使用容器にプラスチックフ
ィルム基材と粘着剤から構成される粘着ラベルをその粘
着剤層により直接貼着する再使用容器用ラベルに於い
て、印刷可能なプラスチックフィルムを最上層に設け、
その下面にアルカリ水溶液で分散又は可溶する粘着剤層
を介して熱収縮性プラスチックフィルムに重合し、更に
その下面にアルカリ水溶液で分散又は可溶する粘着剤層
を設けたことにより、上記の目的を達成するようにし
た。

【０００７】

【作用】本考案のラベルが貼着された再使用容器を回収
し、従来と同様に自動洗ビン機で熱アルカリ洗浄液で洗
浄すると、ラベルを構成する熱収縮性プラスチックフィ
ルムが熱アルカリ洗浄液の熱により収縮され、そのため
アルカリ水溶液で分散又は可溶する粘着剤層の表面が外
部へ露出して該洗浄液に浴するようになる。その結果、
該粘着剤層が短時間で該容器の表面から消滅し、ラベル
を短時間で剥がすことができる。本考案のラベルは、プ
ラスチックフィルムの層で構成されるから、容器のまま
冷却水で冷却してもラベル基材が分離することもなく、
耐久性もよい。又、最上層に印刷可能なプラスチックフ
ィルムがあるため、ラベルに容易に印刷を施すことがで
きる。

【０００８】

【実施例】本考案の実施例を図面に基づき説明すると、
図１に於いて符号１は例えば回収される生酒用ビン等の
再使用容器に貼着される本考案の基本的構成のラベルを
示し、該ラベル１はポリエチレンテレフタレート、塩化
ビニル等の厚さが例えば１０〜２００μｍの熱収縮性プ
ラスチックフィルムの層２を設け、その背面側に例えば
アクリル系の組成物であって、２−ヒドロキシエチル
（メタ）アクリレート等の水酸基含有（メタ）アクリレ
ートに、酢酸ビニル、（メタ）アクリロニトリル、アク
リル酸アルキルエステル等の共重合性のモノマー成分を
加えて重合した、アルカリ水溶液で分散又は可溶する粘
着剤を層状に塗布して粘着剤層３が構成され、該粘着剤
層３で再使用容器７に貼着するようにした。該熱収縮性
プラスチックフィルム層２は、洗浄時に洗浄液の熱を受
けると収縮して皺を生じ、その皺の隙間から洗浄液が進
入して粘着剤層３の表面を溶かすが、その収縮性が小さ
いと洗浄液の粘着剤層３への浸透が悪くなるので、７０
℃で２０％以上収縮するフィルム層２を使用することが
好ましい。また、該粘着剤層３としてはビンの消費者間
の流通過程でラベル１が脱落しないように、水には溶け
ずガラスに対し５００ｇ／２５ｍｍ以上の粘着力を有す
るものを使用することが好ましい。

【０００９】ラベル１には、印刷による表示を行なう必
要があるが、該熱収縮性プラスチックフィルム層２に直
接印刷を施す場合には、これに熱収縮を与えないように
低温でインクの乾燥を行なう必要がある。こうした印刷
時の温度制限を解消するために、本考案では、別個にプ
ラスチックフィルムの層４を使用してこれに印刷層５を
施し、上記粘着剤層３により該熱収縮性プラスチックフ
ィルム層２にラミネートするようにした。該層４のプラ
スチックフィルムとしては、難熱収縮性プラスチックフ
ィルムや熱収縮率が７０℃で１０％以下のプラスチック
フィルムなどで、厚さ１０〜１００μｍの印刷可能のフ
ィルムが好ましい。

【００１０】図示の実施例は、印刷層５を予め施したプ
ラスチックフィルム層４をアルカリ水溶液で分散又は可
溶する粘着剤層３を介して熱収縮性プラスチックフィル
ム層２にラミネートし、これにアルカリ水溶液で分散又
は可溶する粘着剤層３を塗布してラベル１としたもの
で、この場合、熱アルカリ水溶液で該ラベル１を貼着し
たビンを洗浄すると、熱収縮性プラスチックフィルム層
２が収縮して該粘着剤層３の表面側に隙間が作られ、そ
こに熱アルカリ水溶液の洗浄液が浸透して該粘着剤層３
を溶解し、ラベル１がビンから剥がれ落ちる。尚、この
場合、熱収縮性プラスチックフィルム層２がその上の粘
着剤層３が溶けるために大きく収縮し、そのため洗浄液
が該フィルム層２と最下層の粘着剤層３の間に多く浸透
するようになり、迅速に粘着剤層３が溶解し、ビンから
迅速にラベル１が剥がれ落ちる。

【００１１】図に示す構成で、熱収縮性プラスチックフ
ィルム層２として厚さ４５μｍのシュリンクポリエチレ
ンテレフタレート（グンゼ（株）製）を使用し、粘着剤
層３として２−ヒドロキシエチル（メタ）アクリレート
に酢酸ビニル及びエチルアクリレートを加えて重合した
もので５００ｇ／２５ｍｍの貼着力を有するものを厚さ
２５μｍに塗布し、プラスチックフィルム層４として厚
さ１６μｍの難熱収縮性ポリエチレンテレフタレート
（東レ（株）、商品名「ルミラー」）を使用してラベル
１を製作した。印刷層５はラベル１としてラミネートす
る前にフィルムに行なうようにした。そして、図示構成
のラベルをビンに貼着し、７０℃、３％NaOH水溶液の熱
アルカリ洗浄液で通常の自動洗ビン機で洗浄してラベル
の剥離時間を調べた。その結果、本考案の構成のラベル
は３〜５分でビンから剥離落下した。このことから、印
刷の自由性があり剥離も早い本考案のラベルは再使用容
器のラベルとして適していることが分かった。

【００１２】

【考案の効果】以上のように本考案によるときは、再使
用容器にプラスチックフィルム基材と粘着剤から構成さ
れる粘着ラベルをその粘着剤層により直接貼着する再使
用容器用ラベルに於いて、印刷可能なプラスチックフィ
ルムを最上層に設け、その下面 にアルカリ水溶液で分散
又は可溶する粘着剤層を介して熱収縮性プラスチックフ
ィルムに重合し、更にその下面にアルカリ水溶液で分散
又は可溶する粘着剤層を設けたので、熱アルカリ洗浄液
で該容器を洗浄するとラベルの該熱収縮性プラスチック
フィルム層が収縮するため洗浄液が迅速に各粘着剤層へ
浸透してこれを溶解し、ラベルの剥落が迅速で剥がれ残
りも少なくなり、ラベル基材は耐水性のプラスチックフ
ィルムを使用するので、ビンの使用中にラベルが水で剥
がれることもなく安定して使用でき、印刷の自由性のあ
るプラスチックフィルムをラミネートしてあってもラベ
ル剥落の迅速性が保持できる等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例の断面線図

【符号の説明】

１ ラベル ２ 熱収縮性プラスチックフィルム層 ３ アルカリ洗浄液で分散又は可溶する粘着剤層 ４ プラスチックフィルム層 ５ 印刷層

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】再使用容器にプラスチックフィルム基材と
   粘着剤から構成される粘着ラベルをその粘着剤層により
   直接貼着する再使用容器用ラベルに於いて、印刷可能な
   プラスチックフィルムを最上層に設け、その下面にアル
   カリ水溶液で分散又は可溶する粘着剤層を介して熱収縮
   性プラスチックフィルムに重合し、更にその下面にアル
   カリ水溶液で分散又は可溶する粘着剤層を設けたことを
   特徴とする再使用容器用ラベル。