JP2558188B2 - 入浴剤組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は入浴剤組成物に関し、更
に詳細には浴湯への溶解性が良く、入浴中及び入浴後の
使用感が良好で、かつ入浴効果に優れた入浴剤組成物に
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、浴湯に投入して用いられる入浴剤
組成物としては種々のものが知られているが、特に塩化
ナトリウム（食塩泉）、硫酸ナトリウム（芒硝泉）、硫
酸マグネシウム（正苦味泉）、炭酸水素ナトリウム（重
曹泉）、硫酸アルミニウムカリウム（ミョウバン泉）な
どの温泉成分を配合したものが多く使用されている。

【０００３】これらの温泉のうちミョウバン泉は、主要
成分として陽イオンのアルミニウムイオン及び陰イオン
の硫酸イオンを含有するものであり、強い皮膚・粘膜の
引き締め作用（収斂作用）、及び結膜炎などの慢性の皮
膚疾患あるいは粘膜の炎症治療効果を有し、また、手足
の多汗症や静脈瘤にも有効であることが知られている。

【０００４】従って、硫酸アルミニウムを入浴剤の素材
として応用しようとする試みが種々なされてきた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、硫酸アルミニ
ウムを入浴剤に多量に配合した場合、浴湯中の硫酸還元
菌により湯が変色したり、硫酸アルミニウムは浴湯への
溶解性が悪いため製剤化が難しいという問題があった。
また、炭酸塩と酸を主成分とするいわゆる炭酸ガス入浴
剤に硫酸アルミニウムを配合すると硫酸アルミニウムが
凝集し、浮遊物が生じてしまうという問題があった。

【０００６】従って、ミョウバン泉と同様の入浴効果を
有し、かつ浴湯への溶解性が良く、入浴中及び入浴後の
使用感に優れた入浴剤の開発が望まれていた。

【０００７】

【課題を解決するための手段】かかる実情において、本
発明者は鋭意研究を行った結果、可溶性カルボン酸アル
ミニウム塩を使用することにより、浴湯への溶解性が良
く、入浴中及び入浴後にさっぱりとした肌感触が得られ
ることを見出し本発明を完成させた。

【０００８】すなわち、本発明は可溶性カルボン酸アル
ミニウム塩を含有する入浴剤組成物を提供するものであ
る。

【０００９】本発明において使用される可溶性カルボン
酸アルミニウム塩としては、グリコール酸アルミニウ
ム、乳酸アルミニウム、グリセリン酸アルミニウム、グ
ルコン酸アルミニウムなどのモノカルボン酸アルミニウ
ム；酒石酸アルミニウム、リンゴ酸アルミニウムなどの
ジカルボン酸アルミニウム；クエン酸アルミニウムなど
のトリカルボン酸アルミニウムなどが挙げられる。なか
でも、乳酸アルミニウムなどのヒドロキシモノカルボン
酸アルミニウムが好ましい。

【００１０】これらの可溶性カルボン酸アルミニウム塩
は単独で又は二種以上混合して用いることができる。ま
たその配合量は特に制限されないが、入浴剤組成物１回
あたりの使用量によって異なる。当該使用量は通常0.1
〜２０ｇ、特に0.5 〜１５ｇとなるようにするのが好ま
しく、この場合、可溶性カルボン酸アルミニウム塩は通
常、入浴剤組成物全量中に0.1 重量％以上、好ましくは
0.5 〜５０重量％配合される（浴量１５０ｌ）。

【００１１】本発明の入浴剤組成物は酸及び炭酸塩を併
用することによって、その入浴効果を更に向上させるこ
とができる。本発明において、酸及び炭酸塩は、通常入
浴剤に用いられているものであればいずれをも使用する
ことができるが、酸としては、コハク酸、フマル酸、リ
ンゴ酸、アジピン酸、酒石酸などの有機酸が好ましく、
また、炭酸塩としては炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリ
ウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウムなどが好まし
い。

【００１２】これらの酸及び炭酸塩はそれぞれから選ば
れる一種を単独で又は二種以上を混合して用いることが
できる。その配合量は特に制限されないが、適宜酸と炭
酸塩の配合割合を選択して浴湯のpHが５〜７（0.01重量
％水溶液）となるようにすれば浴湯中に炭酸ガスを溶解
した状態で存在せしめることが可能なため、血行促進効
果等の優れた入浴効果を得ることができる。また浴湯の
pHが５〜７をはずれるような範囲において酸と炭酸塩が
配合された場合でも、発泡入浴剤として利用することが
できる。

【００１３】また、本発明の入浴剤組成物には、更に通
常入浴剤に用いられている下記の入浴剤原料を配合する
ことができるが、配合できる入浴剤原料は下記に例示さ
れたものに限定されるものではない。

【００１４】例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫
酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ホウ砂、硫化ナト
リウム、硝酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ポリリン
酸ナトリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、硫
化カリウム等の無機塩；ホウ酸、メタケイ酸、無水ケイ
酸等の無機酸及びその塩；ウイキョウ、オウバク、カミ
ツレ、桂皮、紅花、芍薬、ショウキョウ、菖蒲、センキ
ュウ、トウキ、チンピ、ソウジュツ、カノコソウ、ビャ
クシ、トウヒ、薄荷、ブクリョウ、人参等の生薬；色
素；香料等を配合することができる。

【００１５】本発明の入浴剤組成物は可溶性カルボン酸
アルミニウム塩に必要により酸及び炭酸塩並びに前記任
意成分を加え、常法によって混合することにより調製さ
れる。また、その剤型としては、粉末、粒、顆粒、錠剤
等が挙げられるが、酸と炭酸塩を配合した場合には炭酸
ガスの浴湯への溶解量を向上させることができるため錠
剤が好ましい。尚、これらの剤型に調製する際に必要に
応じて通常使用されている賦形剤、滑沢剤等を添加する
ことができる。

【００１６】

【発明の効果】本発明の入浴剤組成物は、浴湯への溶解
性が良く、入浴中及び入浴後にさっぱりとした肌感触を
得ることができる。

【００１７】

【実施例】次に、実施例を挙げて本発明を詳しく説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。

【００１８】実施例１ 表１に示す組成の入浴剤組成物を常法に従って製造し、
１回使用量５０ｇの錠剤又は粉末とした。それぞれにつ
いて後記に示す評価方法により、溶解状態及び肌の感触
の評価を行った。

【００１９】

【表１】

【００２０】（溶解状態の評価）本発明品の入浴剤組成
物と比較品の入浴剤組成物の溶解状態を、１回使用量
（５０ｇ）を１５０ｌの湯（４０℃）に溶かして評価し
た。結果を表１に示す。比較品３は浮遊物が生じ、溶解
性は不良であった。

【００２１】（肌の感触の評価）本発明品１〜２、比較
品１〜３の入浴剤組成物を、１回使用量（５０ｇ）が１
５０ｌとなるように、２０ｌの湯（約４０℃）に溶かし
て評価に用いた。１０名の被験者に、室温３０℃、相対
湿度７０〜９０％の部屋で、前腕部を湯に（片方の腕は
本発明品の入浴剤を溶かした湯、もう片方の腕は比較品
の入浴剤を溶かした湯に）１０分間つけてもらった。湯
中での肌の感触を評価後、湯から腕を出しタオルドライ
し、浴後の肌の感触を評価してもらった。結果を表２に
示す。

【００２２】

【表２】

【００２３】表１及び表２の結果から明らかなように、
本発明の入浴剤組成物は極めて溶解性が良く、また使用
感も良好なものである。

【００２４】実施例２ 表３に示す組成の入浴剤組成物を常法に従って製造し、
１回使用量５０ｇの錠剤とした。これを１５０ｌの湯
（約４０℃）に溶かして評価に用いた。すなわち、５名
の被験者について、室温３０℃、相対湿度７０〜９０％
の部屋で、５分間の全身浴を実施した。湯中での肌の感
触を評価後、湯から出てタオルドライし、さっぱり感、
浴後の肌の感触を評価してもらった。連続する２日間に
それぞれ評価を実施した。評価は、下記のように点数化
し、平均点で表示した。結果を表３に示す。

【００２５】 ５：良い ４：やや良い ３：どちらとも言えない ２：やや良くない １：良くない

【００２６】

【表３】

【００２７】表３の結果から明らかなように、本発明の
入浴剤組成物は極めて使用感の良好なものである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−195321（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−360834（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−116517（ＪＰ，Ａ) 特開 昭59−204120（ＪＰ，Ａ) 特開 昭53−41416（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−105622（ＪＰ，Ａ)

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 可溶性カルボン酸アルミニウム塩を含有
   する入浴剤組成物。
2. 【請求項２】 可溶性カルボン酸アルミニウム塩、酸及
   び炭酸塩を含有する入浴剤組成物。