JP2555867Y2 - 熱交換器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、例えばカークーラーの凝縮器等に用いら
れるいわゆるヘッダータイプの熱交換器に関する。

従来の技術 例えばカーエアコン用凝縮器に用いられる熱交換器に
あっては、ハーモニカチューブと称されるような多孔偏
平押出チューブを蛇行状に曲げ、その平行状部間にフィ
ンを配置してコアを構成した、いわゆるサーペンタイン
型と称されるものに代えて、複数本の偏平チューブとコ
ルゲートフィンとを交互配置に積層すると共に、各チュ
ーブの両端を筒状中空ヘッダーに連結したいわゆるヘッ
ダータイプのものが提供され、脚光を浴びている。

而して、かかるヘッダータイプの熱交換器を車体等へ
取付けるには、従来、断面コ字状のチャンネル部材をヘ
ッダーの中間部分に嵌め合わせ、かつ該チャンネル部材
の対向端部どおしをボルト等で締結することにより挾持
固定し、該チャンネル部材に溶接固定された取付金具を
介して車体等へ固定していた。

考案が解決しようとする課題 しかし、かかる取付用金具を用いることはその取付作
業が煩雑であり作業性が悪く、しかも重量の増大を招く
等の欠点があった。そこで、本願出願人は先の出願にお
いて、ヘッダー端部に、外方突出状の係止用突起を有す
るキャップ形状の嵌合部材を取着し、該嵌合部材の係止
用突起を取付側の対応係止孔に係止することにより、熱
交換器本体を車体等に取付けるようにしたものを提案し
た。しかし、この種の熱交換器本体は、仮組した状態あ
るいはこれを炉中にて一括ろう付した状態におけるいわ
ゆる炉上がり寸法、特にヘッダー間の寸法に若干のバラ
ツキを生ずるのが普通であり、従ってそのヘッダー端部
に取着した蓋体の係止用突起の間隔にも誤差を生ずる。
そしてその誤差が許容範囲を越えた場合には、もはや取
付側の対応係止孔に係止することができないとうい事態
を生じかねない。またこの種の熱交換器本体はチューブ
とその両端に連通接続された一対のヘッダーと構成され
てなるものであり、上記のような方法で取付けるとねじ
れ方向の剛性に欠けるものとなるという難を有するもの
であった。

この考案は、上述のような問題点に鑑みてなされたも
ので、熱交換器本体に多少の寸法誤差があっても、取付
側に確実に取付けることができると共に、ねじれ剛性に
優れた熱交換器を提供することを目的とするものであ
る。

課題を解決するための手段 而して、この考案は、偏平チューブとフィンとが交互
配置に積層されると共に、前記チューブの両端に一対の
中空ヘッダーが連通接続された熱交換器本体を有する熱
交換器において、 上記両ヘッダーの端部に外方突出状の係止用突起を有
する蓋体が取着されると共に、上記係止用突起に対応す
る係止孔を有する緩衝部材がその係止孔に前記係止用突
起を係止された状態で蓋体に被嵌され、更に両端が前記
緩衝部材に適合する嵌合部となされた取付用ブラケット
が、その両端嵌合部を対応する緩衝部材にそれぞれ嵌合
されることにより対応ヘッダー間にまたがる態様で熱交
換器本体に取付けられてなることを特徴とする熱交換器
を要旨とするものである。

緩衝部材としては、熱交換器本体に多少の寸法誤差が
あっても確実にブラケットを取付けうるようにすると共
に、車体等に取付けられたブラケットの振動を吸収しう
るようにする目的で、ゴムあるいは軟質合成樹脂等より
なる弾性体が好適に用いられる。

ブラケットは、これを介して熱交換器本体を車体等の
取り付け側に取付け得るようにする目的で、取付用ステ
ーが延設されたものが好適に用いられる。またこのブラ
ケットは、取付側との関係で熱交換器本体の一端側にの
み取付けるようにしても良いし、またその両端に取付け
るようにしても良い。

作用 ヘッダーの端部に取付けられた外方突出状の係止用突
起を有する蓋体に緩衝部材がその係止孔に前記係止用突
起を係止させた状態で被嵌され、この緩衝部材にブラケ
ットがその両端を嵌合されているので、蓋体から緩衝部
材がずれ動くことがないのはもとより、熱交換器本体に
若干の寸法誤差が生じてもこれが緩衝部材により吸収さ
れてブラケットが熱交換器本体に難無く取付けられる。

またこのように緩衝部材を介してブラケットが熱交換
器本体に取付けられていることより、ブラケットよりの
振動が緩衝部材に吸収される。また熱交換器本体として
アルミニウム合金製のものを用い、かつブラケットとし
て鉄製のものを用いた場合でも両者が直接接触しないの
で電位腐食の問題が生ずることはない。

また熱交換器本体の構成部材を仮組した状態、あるい
はそれを炉中にて一括ろう付した状態における熱交換器
本体の寸法、特にヘッダー間の寸法に多少の誤差があっ
ても、ブラケットに穿設されたネジ孔や取付用ステー等
の取付部は常に一定であるので、取り付け側に対し容易
かつ確実に取付けられる。

またブラケットは両端嵌合部を対応ヘッダー端部にま
たがる態様で熱交換器本体に取付けられているので、ね
じれ剛性に優れた熱交換器となる。

実施例 以下、この考案を、凝縮器用アルミニウム製熱交換器
に適用した実施例に基づいて説明する。

なお、この明細書において、アルミニウムの語はアル
ミニウム合金を含む意味において使用する。

第１図ないし第６図において、（Ａ）は熱交換器本
体、（Ｂ）は熱交換器本体（Ａ）を車体等の取付側
（Ｃ）等へ取付けるためのブラケットである。

熱交換器本体（Ａ）は、水平状態で上下方向に配置さ
れた複数のチューブ（１）、その隣接するチューブ
（１）（１）間に介在されたフィン（２）およびチュー
ブ（１）の両端に連通接続されたヘッダー（３）（４）
とで構成されている。

前記チューブ（１）は多孔偏平アルミニウム押出型材
からなるものである。もっとも、内部にインナーフィン
を挿入固定した偏平状の電縫管を用いても良い。

前記フィン（２）としては蛇行状に曲成したアルミニ
ウム製のコルゲートフィンであり、ろう付によりチュー
ブ（１）に接合されている。フィン（２）は、望ましく
はルーバーを切り起こしたものを用いるのが良い。

前記ヘッダー（３）（４）は断面円形のアルミニウム
製パイプからなり、前記各チューブ（１）の両端が連通
接続されている。このヘッダー（３）（４）としては、
チューブ（１）とのろう付を容易にする目的で芯材の片
面または両面にろう材層が被覆形成されたブレージング
シートを筒状に成形してその衝き合わせ縁部どおしをろ
う付した成形パイプを用いることが望ましい。

上記ヘッダー（３）（４）は、これを構成するパイプ
の上下両端に、特に第４図に示すように、中央部にヘッ
ダーの軸線方向に沿って外方突出状に延設された係止用
突起（5a）を有する蓋体（５）がそのキャップ状嵌合部
（5b）を外嵌状態に被嵌され、かつろう付されることに
よって端部がそれぞれ閉塞されたものである。

また、第１図に示すように、右ヘッダー（４）の上部
外側には冷媒入口管（６）が連結される一方、同ヘッダ
ー（４）の下部外側には同出口管（７）が連結されてい
る。また、左ヘッダー（３）の上下方向の下から３分の
１程度の位置には該ヘッダー（３）を上下２室に分割す
る仕切板（８）が設けられる一方、右ヘッダー（４）の
上下方向の中間部よりやや上方位置および下から６分の
１程度の位置にも仕切板（８）（８）が設けられ、もっ
て冷媒入口管（６）から右ヘッダー（４）に流入した冷
媒は、チューブ群によって構成される全冷媒流通路をめ
ぐって蛇行状に流通して冷媒出口管（７）から流出し、
この間にチューブ（１）間に形成されたコルゲートフィ
ン（２）を含む空気流通間隙を流通する空気と熱交換を
行い、凝縮するものとなされている。なお、第１図に示
す（９）は最外側のコルゲートフィン（２）の外側に配
置された上下のサイドプレートである。

上記ヘッダー（３）（４）の上下端部に取着された各
蓋体（５）には、緩衝部材（10）が被嵌されている。こ
の緩衝部材（10）は、ゴムあるいは軟質合成樹脂等より
なる弾性体からなるもので、第５図に示すように、中央
部に前記蓋体（５）の係止突起（5a）に対応する係止孔
（10a）が形成されると共に、下半分が上半分より径大
状となされて外周部にブラケット係止用段部（10b）が
形成されている。而して、その係止孔（10a）に蓋体
（５）の係止突起（5a）を差し込まれた状態で該蓋体
（５）に抜脱不能な状態でしっかりと被嵌されている。

上記熱交換器本体（Ａ）の上部には、対応するヘッダ
ー端部（3a）（4a）どおしを連結する態様でブラケット
（Ｂ）が取着されている。このブラケット（Ｂ）として
は強度に優れた鉄製のものが好適に用いられるが、勿論
これに代えて熱交換器本体（Ａ）と同様なアルミニウム
合金製のものを用いるようにしても良い。上記ブラケッ
ト（Ｂ）は、左右のヘッダー（３）（４）の間隔に対応
する長さの断面下向きコ字状の主体部（11）を有する。
この主体部（11）の左右両端には、前記緩衝部材（10）
の上半分をしっくりと嵌め合わせ得る大きさの嵌合孔
（12a）が形成され、かつその周縁に沿って上方突出状
のフランジ部（12b）が延設された嵌合部（12）を有す
る。そして該ブラケット（Ｂ）は、その両端嵌合部（1
2）（12）を対応する緩衝部材（10）（10）にそれぞれ
嵌合されることにより両ヘッダー（３）（４）間にまた
がる態様で熱交換器本体（Ａ）に取付けられている。な
お、この取付状態において容易に抜脱されないようにす
る目的で、主体部（11）の両端裏面側に、先端部がヘッ
ダー（３）（４）側に曲成された係止部（13a）を有す
る係止片（13）が取着され、かつその係止部（13a）が
緩衝部材（10）の下端縁部に係止されている。また、こ
の実施例にかかるブラケット（Ｂ）には、その左右両端
上面部に側面視略Ｌ字状の取付用ステー（14）が前方突
出状に固着されている。そのステー（14）の突出端面に
は取付用孔（14a）が穿設されており、これに一致させ
た状態で内面側にナット（14b）が固着されている。こ
の実施例のようにブラケット（Ｂ）として鉄製のものを
採用するとより一層ねじれ剛性に優れたものとなすこと
ができるが、ヘッダー（３）（４）と同様のアルミニウ
ム製のものを採用してもよい。

而して、上記熱交換器本体（Ａ）は、そのヘッダー
（３）（４）の下端に取付けられた緩衝部材（10）（1
0）を車体等の取付側（Ｃ）に形成された対応係止孔に
係止させると共に、ブラケット（Ｂ）の取付用ステー
（14）を介して取付側（Ｃ）に取付けられるものであ
る。

なお、上記実施例では、熱交換器本体（Ａ）の上端側
にのみブラケット（Ｂ）を取着したものを示したが、熱
交換器本体（Ａ）の取付側（Ｃ）等への取付態様等に応
じて上下両端に取付けるようにしても良い。

考案の効果 この考案にかかる熱交換器は、上述のとおり、ヘッダ
ーの端部に取付けられた外方突出状の係止用突起を有す
る蓋体に緩衝部材が被嵌され、この緩衝部材にブラケッ
トがその両端を嵌合されているので、蓋体から緩衝部材
がずれ動くことがないのはもとより、熱交換器本体に若
干の寸法誤差が生じてもこれが緩衝部材により吸収され
てブラケットを熱交換器本体に難無く取付けることがで
きる。

またこのように緩衝部材を介してブラケットが熱交換
器本体に取付けられていることより、ブラケットよりの
振動が緩衝部材に吸収されるので、耐振動性に優れたも
のとなる。また熱交換器本体としてアルミニウム合金製
のものを用い、かつブラケットとして鉄製のものを用い
た場合でも両者が直接接触しないので電位腐食の問題が
生ずることもなく耐食性に優れたものとしうる。

また熱交換器本体の構成部材を仮組した状態、あるい
はそれを炉中にて一括ろう付した状態における熱交換器
本体の寸法、特にヘッダー間の寸法に多少の誤差があっ
ても、ブラケットに穿設されたネジ孔やステー等の取付
部は常に一定であるので、取り付け側に対し容易かつ確
実に取付けられる。

またブラケットは両端嵌合部を対応ヘッダー端部にま
たがる態様で熱交換器本体に取付けられているので、ね
じれ剛性に優れた熱交換器を提供することができる。

またブラケットが、その両端嵌合部を対応する緩衝部
材にそれぞれ嵌合されることにより両ヘッダー間にまた
がる態様で熱交換器本体に取付けられてなるから、ヘッ
ダー間の寸法誤差等に起因して、ブラケットと熱交換器
本体との間に大きな応力が生じている状態でブラケット
が熱交換器本体に取付けられていても、この応力が車体
等の取付け側に加わることはなく、従って取付け側と熱
交換器との適正な取付状態を維持しえて、熱交換器本体
をブラケットを介することなく、あるいは両ヘッダー間
にまたがらない単なるブラケットを介して、取付側に取
付ける場合のような過度の応力が長期間作用することに
よる取付側の曲損や劣化を防止でき、熱交換器を交換等
する場合にも、その取外し、取付けを容易かつ円滑に行
うことができる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示すもので、第１図は熱交
換器本体に取付用ブラケットを取付けた状態を示す全体
正面図、第２図は同右側面図、第３図は同平面図、第４
図はヘッダーの蓋体の側面図、第５図は一部を断面で示
した緩衝部材の側面図、第６図はブラケット、緩衝部
材、熱交換器本体とを分離して示した状態を示す要部斜
視図である。 （１）……チューブ、（２）……フィン、（３）（４）
……ヘッダー、（3a）（4a）……ヘッダー端部、（５）
……蓋体、（5a）係止用突起、（10）……緩衝部材、
（10a）……係止孔、（12）……ブラケットの嵌合部、
（Ａ）……熱交換器本体、（Ｂ）……ブラケット。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】偏平チューブとフィンとが交互配置に積層
   されると共に、前記チューブの両端に一対の中空ヘッダ
   ーが連通接続された熱交換器本体を有する熱交換器にお
   いて、 上記両ヘッダーの端部に外方突出状の係止用突起を有す
   る蓋体が取着されると共に、上記係止用突起に対応する
   係止孔を有する緩衝部材がその係止孔に前記係止用突起
   を係止された状態で蓋体に被嵌され、更に両端が前記緩
   衝部材に適合する嵌合部となされた取付用ブラケット
   が、その両端嵌合部を対応する緩衝部材にそれぞれ嵌合
   されることにより両ヘッダー間にまたがる態様で熱交換
   器本体に取付けられてなることを特徴とする熱交換器。