JP3051480B2 - 金属製熱交換器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、カークーラー用凝縮
器、ルームエアコン用熱交換器等として用いられるアル
ミニウム等の金属製熱交換器に関する。

【０００２】

【従来の技術】近時、例えばカークーラー用の凝縮器と
して、高熱交換性能、低圧力損失を実現しうる、いわゆ
るマルチフロータイプと称されるアルミニウム製熱交換
器が好んで使用される傾向にある。このマルチフロー熱
交換器は、一般に、所定間隔をおいて並列状に配置され
た複数本のチューブの両端に１対の中空ヘッダーが連通
状態に接続され、チューブ間にフィンが介在されたもの
となされている。そして、該熱交換器には、車体側への
取付けに用いられるブラケット、配管支持用のブラケッ
トなどの各種の取付け用金具が、一般に、チューブとフ
ィンからなる熱交換器コア等に対し取り付けられてい
る。

【０００３】従来、この取付け用金具の取付けは、該金
具を熱交換器コアに対し取り付ける場合には、熱交換器
コアの前後に配置した１対の当て金板部を、チューブ間
の間隙を通じて通したボルト等の締結部材にて締結する
ことにより行われていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような取付け構造では、締結部材がチューブに当たって
チューブに傷等の損傷を与えるおそれがあった。特に、
上記のようなマルチフロータイプの熱交換器では、一般
に、チューブピッチが例えば１０mmなどと非常に狭く設
計される傾向にあり、またチューブの薄肉化に伴って、
締結部材によりチューブに損傷を生じる危険性はますま
す高いものとなっていた。

【０００５】この発明は、上記のような従来の欠点を解
消し、チューブに損傷を与えない態様で取付け用金具を
熱交換器コアに取り付けた構造の熱交換器を提供するこ
とを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的において、この
発明は、熱交換管部（１）とフィン（２）とが交互に配
置された熱交換器コアに対し、台座部材（９）を介して
取付用ブラケット（10）が取付けられてなり、 前記台座
部材（10）は、アルミニウムブレージングシートからな
り、コ字状でかつ両側片部（11a ）にフィン（２）の位
置に対応して開口部（13）が形成された嵌合部（11）
と、該嵌合部の上面に折返しによって二重に形成された
上方突出状の取付部（12）とを有し、上記嵌合部（11）
を熱交換管部の長さ方向と直交する方向において熱交換
器コアの外側縁部に嵌合配置して該コアとろう付け接合
一体化されると共に、 前記取付用ブラケット（10）は、
Ｕ字状の嵌合部（17）と、該嵌合部から上方 に突出され
た取付け部（18）とを有し、上記嵌合部（17）を前記台
座部材（10）の取付部（12）に嵌合してねじ等の締結部
材（20）で締結することにより前記台座部材（10）に取
付けられてなることを特徴とする金属製熱交換器を要旨
とする。

【０００７】

【作用】上記構成では、台座部材（10）が熱交換器コア
に対しろう付けにより接合一体化されていることによ
り、締結部材を使用する場合のように熱交換管部に損傷
を与える危険性がない。また、熱交換器コアに台座部材
（10）を強固にできると共に、この固定状態において開
口部（13）の形成によりコアの熱交換性能を阻害するこ
とが少ない。

【０００８】

【実施例】次に、この発明の熱交換器を、カークーラー
凝縮器用のマルチフロー熱交換器に適用した実施例を説
明する。なお、本発明は、ルームエアコン用熱交換器、
オイルクーラー等の、ヘッダーを有するタイプの各種熱
交換器、あるいはチューブを蛇行状に曲成してコアを形
成した、いわゆるサーペンタインタイプの熱交換器にも
広く適用され得るものであることはいうまでもない。

【０００９】第２図（イ）（ロ）に示される熱交換器に
おいて、（１）は偏平チューブ、（２）はコルゲートフ
ィンで、これらは並列状態に交互に上下方向に配置され
ている。（３）はアルミニウム製のサイドプレートで、
最外側のコルゲートフィン（２）の外側に該フィンを保
護するために配置されている。（４）（４）は左右１対
のヘッダーで、チューブ（１）に連通状態に接続されて
いる。（６）は、左側ヘッダー（４）の上端部外側面に
配置された冷媒入口用管、（７）は右側ヘッダー（４）
の下端部外側面に配置された同出口用管である。（８）
は冷媒がチューブ（１）群を蛇行状に流通するようにヘ
ッダー（４）内を仕切るアルミニウム製仕切り板であ
る。そして、（９）は、取付け用金具としての台座部材
で、第１図に示されるように、該台座部材（９）に熱交
換器本体を車体に取り付けるためのブラケット（10）が
取り付けられるものとなされている。

【００１０】上記偏平チューブ（１）は、アルミニウム
製の押出型材によるもので、内部が仕切り壁により複数
個の室に区画され、伝熱性能が高められた、いわゆるハ
モニカチューブが使用されている。なお、押出型材によ
らず、電縫管が使用されることもある。

【００１１】コルゲートフィン（２）は、チューブ
（１）の幅と略同じ幅のシート材をコルゲート状に成形
して製作されたもので、このシート材としてろう材層が
クラッドされたアルミニウムブレージングシートが使用
されている。

【００１２】ヘッダー（４）は、片面又は両面にろう材
層がクラッドされたアルミニウムブレージングシートを
両側縁部突き合わせ状態に成形してパイプ状となした円
筒状のヘッダーパイプの端部開口をアルミニウム製ヘッ
ダーキャップにて塞いだものである。なお、ヘッダーと
しては、押出型材、電縫管等が採用されてもよい。この
ヘッダー（４）の内側面には、図示しないが、周方向ス
リット状のチューブ挿入孔が長さ方向に所定の間隔をお
いて列設されている。

【００１３】そして、台座部材（９）は、片面にろう材
層がクラッドされたアルミニウムブレージングシートを
ろう材層を内面側にしてプレス成形して製作されたもの
で、第１図（イ）（ロ）に示されるように、下向きコ字
状の嵌合部（11）と、該嵌合部（11）の上面に折り返し
によって二重に形成された上方突出状の取付け部（12）
とを有するものとなされている。そして、この取付け部
（12）には、ブラケット（10）を取り付けるための左右
１対の取付け孔（13）（13）が形成されている。この取
付け孔（13）（13）は、ブラケット（10）側の取付け孔
（14）に比べて大きく形成され、ブラケット（14）の取
付け位置の自由度が確保されるようになされている。ま
た、嵌合部（11）の両側片部（11a ）には、フィン
（２）の位置に対応して、開口部（15）（15）が形成さ
れている。

【００１４】車体への取付け用ブラケット（10）は、下
向きＵ字状の嵌合部（17）と上方突出状の取付け部（1
8）とを有するもので、金属プレートにプレス成形を施
して成形されたものである。これに使用される金属とし
ては、鉄やアルミニウムが使用される。

【００１５】そして、ブラケット（10）を除く上記各熱
交換器構成部材は、複数本のチューブ（１）をその厚さ
方向に所定間隔おきに並列状態に配置して、その両端に
ヘッダー（４）（４）を、チューブ（１）をチューブ挿
入孔に挿入することにより、嵌め込み、コルゲートフィ
ン（２）をチューブ（１）間に挿入し、サイドプレート
（３）等を配置すると共に、台座部材（９）の嵌合部
（11）をサイドプレート（３）側からチューブ（１）の
長さ方向と直交する方向において熱交換器コアの外側縁
部に嵌合配置することによって、熱交換器組立て体に組
み合わされ、そして、この組立て体がろう付け炉内に通
されることによって、台座部材（９）と熱交換器コアと
の接合を含め、全体がろう付けにより接合一体化され、
熱交換器に製作されている。

【００１６】上記のように、台座部材（９）の嵌合部
（11）の側片部（11a ）には、フィンの対応位置に開口
（15）が設けられていることにより、該開口（15）を通
じてろう付け中の熱が嵌合部（11）の内方にも良く伝え
られ、ろう付けが良好に達成される。

【００１７】そして、この熱交換器の台座部材（９）
に、第１図（ロ）に示されるように、車体への取付け用
ブラケット（10）が締結部材（20）にて取り付けられ
る。すなわち、台座部材（９）の取付部（12）にブラケ
ット（10）の嵌合部（17）を嵌合し、取付け孔（13）
（14）にねじ等の締結部材（20）を通して締結すること
により取付けられている。

【００１８】上記のような構成により、締結部材（20）
をチューブ（１）間の間隙を通じて挿通する必要がなく
なるから、締結部材によってチューブ（１）が損傷され
るというような事態を回避できる。

【００１９】しかも、熱交換器コアに台座部材（９）を
ろう付けし、この台座部材（９）にブラケット（10）を
取り付ける構造としていることにより、例えば車体への
取付け用ブラケットを直接熱交換器コアにろう付けする
場合に該ブラケットにろう付け時の熱により材質劣化を
生じるというような不都合も回避でき、ブラケット（1
0）の強度保持の点で非常に有利である。

【００２０】

【発明の効果】上述の次第で、この発明の金属製熱交換
器は、熱交換管部（１）とフィン（２）とが交互に配置
された熱交換器コアに対し、台座部材（９）を介して取
付用ブラケット（10）が取付られたものであり、しかも
台座部材（９）がろう付けにより接合一体化されたもの
であるから、従来の、締結部材による取付け構造の場合
のような熱交換管部の損傷の危険性をなくすことができ
る。

【００２１】また、台座部材（９）は、コ字状の嵌合部
（11）を熱交換器コアの外側縁部に熱交換管部の長さ方
向と直交する方向において嵌合してろう付け接合された
ものであるから、それ自体強固な接合固定を達成しうる
と共に、ブラケット取付用の上部取付部（12）が二重壁
によって形成されているため、これにＵ字状嵌合部（1
7）を嵌合して取付けられるブラケット（10）の取付強
度も十分にしっかりとしたものに確保できる。

【００２２】かつまた、熱交換器コアに台座部材（９）
をろう付けし、この台座部材（９）にブラケット（10）
を取り付ける構造としていることにより、例えば車体へ
の取付け用ブラケットを直接熱交換器コアにろう付けす
る場合に該ブラケットにろう付け時の熱により材質劣化
を生じるというような不都合も回避でき、ブラケット
（10）の強度保持の点で非常に有利である。

【００２３】更に、台座部材（９）の嵌合部（11）の側
片部（11a ）には、フィンの対応位置に開口（15）が設
けられていることにより、該開口（15）を通じてろう付
け中の熱が嵌合部（11）の内方にも良く伝えられ、ろう
付けが良好に達成されると共に、台座部材（９）の取付
けによって熱交換器コアへの通風が妨げられることが少
なく、該コアの熱交換性能を良好に保持しうる。

【図面の簡単な説明】

【図１】一実施例を示すもので、図（イ）は台座部材を
熱交換器コアに配置した状態を示す正面図、図（ロ）は
図（イ）のI-I 線断面矢視図である。

【図２】図（イ）は熱交換器の全体正面図、図（ロ）は
全体平面図である。

【符号の説明】

１…偏平チューブ（熱交換管部） ２…フィン ９…台座部材（取付け用金具） １０…取付用ブラケット １１…嵌合部 １２…取付部 １３…開口部 １７…嵌合部 １８…取付け部 ２０…締結部材

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 熱交換管部（１）とフィン（２）とが交
   互に配置された熱交換器コアに対し、台座部材（９）を
   介して取付用ブラケット（10）が取付けられてなり、 前記台座部材（10）は、アルミニウムブレージングシー
   トからなり、コ字状でかつ両側片部（11a ）にフィン
   （２）の位置に対応して開口部（13）が形成された嵌合
   部（11）と、該嵌合部の上面に折返しによって二重に形
   成された上方突出状の取付部（12）とを有し、上記嵌合
   部（11）を熱交換管部の長さ方向と直交する方向におい
   て熱交換器コアの外側縁部に嵌合配置して該コアとろう
   付け接合一体化されると共に、 前記取付用ブラケット（10）は、Ｕ字状の嵌合部（17）
   と、該嵌合部から上方に突出された取付け部（18）とを
   有し、上記嵌合部（17）を前記台座部材（10）の取付部
   （12）に嵌合してねじ等の締結部材（20）で締結するこ
   とにより前記台座部材（10）に取付けられ てなることを
   特徴とする金属製熱交換器。