JP2555356B2 - 脂質の酸化及びビタミンａの劣化を伴わない鉄製剤 - Google Patents
脂質の酸化及びビタミンａの劣化を伴わない鉄製剤Info
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- JP2555356B2 JP2555356B2 JP62125398A JP12539887A JP2555356B2 JP 2555356 B2 JP2555356 B2 JP 2555356B2 JP 62125398 A JP62125398 A JP 62125398A JP 12539887 A JP12539887 A JP 12539887A JP 2555356 B2 JP2555356 B2 JP 2555356B2
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- Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、鉄欠乏性貧血患者等に補給するための鉄製
剤に関する。
剤に関する。
技術的背景 鉄は、銅、マンガン及び亜鉛とともに生体の正常な代
謝と発育にとつて不可欠であつて、微量で重要な役割を
果たすことから必須微量金属と称され、一般に摂取され
ている食品中に含まれている。
謝と発育にとつて不可欠であつて、微量で重要な役割を
果たすことから必須微量金属と称され、一般に摂取され
ている食品中に含まれている。
特に、鉄は、生体内含量の約70％が血液中のヘモグロ
ビンに存在しているといわれ、その摂取不足により鉄欠
乏性貧血を起こす。
ビンに存在しているといわれ、その摂取不足により鉄欠
乏性貧血を起こす。
したがつて、胃全摘出手術などの外科的な手術や外傷
を受けた患者のような、通常食を摂取できないヒトに対
して与えられる栄養剤等には鉄分の補給が重要である。
を受けた患者のような、通常食を摂取できないヒトに対
して与えられる栄養剤等には鉄分の補給が重要である。
而して、従来、このような栄養剤への鉄分は無機塩の
形態で添加されるので、その栄養剤に含有されている脂
質の酸化が促進されて栄養剤の品質の劣化が生じるとい
う問題がある。また、本発明者らの得た知見によると、
無機塩形態の鉄をビタミンＡ含有栄養剤へ添加した場合
には、ビタミンＡの安定性が失われて劣化し、しかもビ
タミンＣが共存すると一層脂質の酸化が促進されること
がわかつた。
形態で添加されるので、その栄養剤に含有されている脂
質の酸化が促進されて栄養剤の品質の劣化が生じるとい
う問題がある。また、本発明者らの得た知見によると、
無機塩形態の鉄をビタミンＡ含有栄養剤へ添加した場合
には、ビタミンＡの安定性が失われて劣化し、しかもビ
タミンＣが共存すると一層脂質の酸化が促進されること
がわかつた。
発明が解決しようとする課題 本発明は、叙上の状況に鑑みなされたものであつて、
栄養剤等に添加しても、それに含まれる脂質の酸化やビ
タミンＡの劣化を伴わない、鉄分補給のための鉄製剤を
提供することを課題とする。
栄養剤等に添加しても、それに含まれる脂質の酸化やビ
タミンＡの劣化を伴わない、鉄分補給のための鉄製剤を
提供することを課題とする。
以下本発明を詳しく説明する。
発明の構成 本発明の特徴は、鉄結合蛋白質を加水分解して得られ
る鉄結合ペプチドを有効成分とする鉄製剤にある。
る鉄結合ペプチドを有効成分とする鉄製剤にある。
課題を解決するための手段 本発明において、鉄分供給源として用いる鉄結合ペプ
チドは、乳蛋白質、大豆蛋白質、卵白等の蛋白質を鉄と
結合させた鉄結合蛋白質を加水分解することにより調製
し得る。
チドは、乳蛋白質、大豆蛋白質、卵白等の蛋白質を鉄と
結合させた鉄結合蛋白質を加水分解することにより調製
し得る。
次に、鉄結合ペプチドの調製例を示すと、鉄塩水溶液
（例えば、グルコン酸鉄、クエン酸鉄等の有機鉄塩及び
硫酸鉄、塩化鉄等の無機鉄塩の水溶液が使用し得る）
に、乳蛋白質（例えばカゼインやホエ−蛋白）、大豆蛋
白質もしくは卵白等の蛋白質を0.5〜30％、好ましくは
５〜15％濃度になるように溶解、混合して鉄結合蛋白質
を調製しておき、この鉄結合蛋白質を、必要に応じて加
熱殺菌した後、約50℃の温度、pH7〜11、好ましくはpH8
〜10で、蛋白質分解酵素（中性又はアルカリ性で作用す
るプロテアーゼの１種もしくは２種以上使用）により加
水分解を行う。次いで、加水分解後、分解生成物を高速
遠心分離に付し、必要に応じ濃縮、乾燥して鉄結合ペプ
チドを得る。
（例えば、グルコン酸鉄、クエン酸鉄等の有機鉄塩及び
硫酸鉄、塩化鉄等の無機鉄塩の水溶液が使用し得る）
に、乳蛋白質（例えばカゼインやホエ−蛋白）、大豆蛋
白質もしくは卵白等の蛋白質を0.5〜30％、好ましくは
５〜15％濃度になるように溶解、混合して鉄結合蛋白質
を調製しておき、この鉄結合蛋白質を、必要に応じて加
熱殺菌した後、約50℃の温度、pH7〜11、好ましくはpH8
〜10で、蛋白質分解酵素（中性又はアルカリ性で作用す
るプロテアーゼの１種もしくは２種以上使用）により加
水分解を行う。次いで、加水分解後、分解生成物を高速
遠心分離に付し、必要に応じ濃縮、乾燥して鉄結合ペプ
チドを得る。
上記加水分解においては、鉄結合蛋白質溶液及び分解
により得られる蛋白質加水分解物溶液は、酸性領域（pH
6以下）で蛋白質又は蛋白質加水分解物と鉄との結合が
切れて鉄が遊離してしまうので、蛋白質加水分解酵素に
は中性又はアルカリ性で作用するものを用い、加水分解
をアルカリ性領域で行うことが肝要である。
により得られる蛋白質加水分解物溶液は、酸性領域（pH
6以下）で蛋白質又は蛋白質加水分解物と鉄との結合が
切れて鉄が遊離してしまうので、蛋白質加水分解酵素に
は中性又はアルカリ性で作用するものを用い、加水分解
をアルカリ性領域で行うことが肝要である。
また、加水分解終了後、生成した鉄結合ペプチドと不
溶解物を分離するには、鉄結合ペプチドが低比重の不溶
解物中に高濃度で存在しているため、高速遠心分離を採
用することが好ましい。
溶解物を分離するには、鉄結合ペプチドが低比重の不溶
解物中に高濃度で存在しているため、高速遠心分離を採
用することが好ましい。
本発明による鉄結合ペプチドを鉄分補給のための鉄製
剤として栄養剤等に添加して用いた場合、栄養剤中の脂
質の酸化やビタミンＡの劣化を伴わない利点があること
に加えて、いわゆるペプチド吸収によるアミノ酸吸収速
度の増大が期待される。
剤として栄養剤等に添加して用いた場合、栄養剤中の脂
質の酸化やビタミンＡの劣化を伴わない利点があること
に加えて、いわゆるペプチド吸収によるアミノ酸吸収速
度の増大が期待される。
すなわち、オリゴペプチドは腸管腔内で細胞内に取り
込まれ、細胞内で遊離アミノ酸に分解されるが、その際
のアミノ酸吸収速度は、同一組成のアミノ酸混合物から
のアミノ酸吸収速度より速いことが実証されているから
である。
込まれ、細胞内で遊離アミノ酸に分解されるが、その際
のアミノ酸吸収速度は、同一組成のアミノ酸混合物から
のアミノ酸吸収速度より速いことが実証されているから
である。
以上述べたとおり、本発明によると、鉄分補給のため
の鉄製剤を栄養剤等に添加して鉄欠乏症患者等の与える
場合、従来の鉄製剤にみられるような栄養剤に含まれる
脂質やビタミンＡを損なうことなく、鉄分を有効に補給
し得る効果がある。
の鉄製剤を栄養剤等に添加して鉄欠乏症患者等の与える
場合、従来の鉄製剤にみられるような栄養剤に含まれる
脂質やビタミンＡを損なうことなく、鉄分を有効に補給
し得る効果がある。
実施例と効果 以下に実施例を示して本発明及びその効果を具体的に
説明する。
説明する。
実施例 鉄結合ペプチドの調製 酸カゼイン（ニユージランド製、ラクテイツクカゼイ
ン）1kgを、K2CO320g及びNa2CO320g添加した吸９に加
え、60℃まで加熱しながら、溶解させた溶液を90℃以上
の温度で15分間加熱殺菌を行い、次いで、この溶液を50
℃まで冷却し保持した。
ン）1kgを、K2CO320g及びNa2CO320g添加した吸９に加
え、60℃まで加熱しながら、溶解させた溶液を90℃以上
の温度で15分間加熱殺菌を行い、次いで、この溶液を50
℃まで冷却し保持した。
グルコン酸第一鉄、塩化第二鉄、クエン酸第二鉄及び
硫酸第一鉄の各鉄剤を、鉄が150mgになるように計りと
り、各々別途水１に添加溶解させ、除菌フイルターに
て除菌した。
硫酸第一鉄の各鉄剤を、鉄が150mgになるように計りと
り、各々別途水１に添加溶解させ、除菌フイルターに
て除菌した。
上記のごとく調製したカゼイン溶液と鉄剤溶液を混合
し、次いで、４規定苛性ソーダ水溶液100mlを添加してp
H8.0〜9.0に調整し、50℃の温度に保持した。
し、次いで、４規定苛性ソーダ水溶液100mlを添加してp
H8.0〜9.0に調整し、50℃の温度に保持した。
得られた鉄添加酸カゼイン溶液に、予め、適当量の水
に溶解もしくは懸濁したパンクレアチン（天野製薬社
製：日本薬局方記載品）7g及びバチルス・ズブチリス
（Bacillus subtilis）由来のプロテアーゼＮ（天野製
薬社製）15gを別々の溶液として順次添加し、50℃に保
持したまま、16時間反応させた。反応終了後、85℃で10
分以上加熱して酵素を失活させた後、高速遠心機で不溶
物を除去し、ロータリーエバポレーターで濃縮し、さら
に凍結乾燥して、鉄結合ペプチド粉末890gを得た。（収
率89％） この標品の鉄の含量は100g当り約16mgであり、平均ペ
プチド鎖長2.0、遊離アミノ酸含量は30％であつた。
に溶解もしくは懸濁したパンクレアチン（天野製薬社
製：日本薬局方記載品）7g及びバチルス・ズブチリス
（Bacillus subtilis）由来のプロテアーゼＮ（天野製
薬社製）15gを別々の溶液として順次添加し、50℃に保
持したまま、16時間反応させた。反応終了後、85℃で10
分以上加熱して酵素を失活させた後、高速遠心機で不溶
物を除去し、ロータリーエバポレーターで濃縮し、さら
に凍結乾燥して、鉄結合ペプチド粉末890gを得た。（収
率89％） この標品の鉄の含量は100g当り約16mgであり、平均ペ
プチド鎖長2.0、遊離アミノ酸含量は30％であつた。
鉄係合ペプチドの脂質酸化及びビタミン劣化効果 まず、鉄の脂質酸化及びビタミン劣化に及ぼす影響を
調べた結果を示す。
調べた結果を示す。
試験方法： カゼインを中性プロテアーゼで加水分解して得られた
乳蛋白質加水分解物を窒素源として用い、これに脂肪、
糖質及びビタミンＡを配合して調製した経腸栄養剤に、
表１に示した組合わせでビタミンＣと鉄分を添加したも
のを強制劣化試験に供給した。
乳蛋白質加水分解物を窒素源として用い、これに脂肪、
糖質及びビタミンＡを配合して調製した経腸栄養剤に、
表１に示した組合わせでビタミンＣと鉄分を添加したも
のを強制劣化試験に供給した。
強制劣化試験は、供試栄養剤を60℃の温度に保温した
状態で２、５及び８時間にわたつて空気を吹き込む方法
で行い、ビタミンＡの残存率と過酸化物価（POV）を測
定した。
状態で２、５及び８時間にわたつて空気を吹き込む方法
で行い、ビタミンＡの残存率と過酸化物価（POV）を測
定した。
なお、鉄分としてグルコン酸鉄（17mg/100ml）、ビタ
ミンＣとしてアスコルビン酸（50mg/100ml）を用いた。
ミンＣとしてアスコルビン酸（50mg/100ml）を用いた。
結果は表１に示すとおりである。
表１にみられるとおり、グルコン酸鉄がビタミンＣと
共存するばあいには、ビタミンＡ（VA）の劣化と脂質の
酸化が著しいことがわかる。
共存するばあいには、ビタミンＡ（VA）の劣化と脂質の
酸化が著しいことがわかる。
次に、前記実施例の手順に準じて調製した各種鉄結合
ペプチドを窒素源として用い、脂肪、糖質、ビタミンＡ
を含むビタミン類及びミネラルを配合して調製した経腸
栄養剤を上記と同様な方法により強制劣化試験に供し
た。なお、アスコルビン酸をビタミンＣとして50mg/100
ml添加した。
ペプチドを窒素源として用い、脂肪、糖質、ビタミンＡ
を含むビタミン類及びミネラルを配合して調製した経腸
栄養剤を上記と同様な方法により強制劣化試験に供し
た。なお、アスコルビン酸をビタミンＣとして50mg/100
ml添加した。
結果は表２に示すとおりである。
表２にみられるとおり、本発明による鉄結合ペプチド
を添加した栄養剤では、いずれの鉄塩を用いた場合でも
優れたビタミンＡの安定化と脂質の酸化防止の効果が認
められた。
を添加した栄養剤では、いずれの鉄塩を用いた場合でも
優れたビタミンＡの安定化と脂質の酸化防止の効果が認
められた。
Claims (3)
- 【請求項１】鉄結合ペプチドを有効成分として含有す
る、脂質の酸化及びビタミンＡの劣化防止性鉄製剤。 - 【請求項２】鉄結合ペプチドは、鉄結合乳蛋白質、鉄結
合大豆蛋白質又は鉄結合卵白を加水分解したものである
特許請求の範囲第（１）項記載の鉄製剤。 - 【請求項３】加水分解を、中性又はアルカリ性で作用す
る蛋白質分解酵素を用いて行う特許請求の範囲第（１）
項記載の鉄製剤。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP62125398A JP2555356B2 (ja) | 1987-05-22 | 1987-05-22 | 脂質の酸化及びビタミンａの劣化を伴わない鉄製剤 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP62125398A JP2555356B2 (ja) | 1987-05-22 | 1987-05-22 | 脂質の酸化及びビタミンａの劣化を伴わない鉄製剤 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS63290827A JPS63290827A (ja) | 1988-11-28 |
| JP2555356B2 true JP2555356B2 (ja) | 1996-11-20 |
Family
ID=14909148
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP62125398A Expired - Lifetime JP2555356B2 (ja) | 1987-05-22 | 1987-05-22 | 脂質の酸化及びビタミンａの劣化を伴わない鉄製剤 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2555356B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| DE60002678T2 (de) * | 1999-03-01 | 2004-03-11 | Société des Produits Nestlé S.A. | System zur anreicherung mit eisen |
| JP4435271B1 (ja) * | 2009-06-24 | 2010-03-17 | イーエヌ大塚製薬株式会社 | 脂溶性ビタミンの保存方法 |
-
1987
- 1987-05-22 JP JP62125398A patent/JP2555356B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS63290827A (ja) | 1988-11-28 |
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