JP2533479Y2 - コーナー窓 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、建物躯体の隅角部に形成されるコーナー窓
開口部に窓枠が取着され、該窓枠に窓障子が設けられる
コーナー窓に関する。

（従来技術及びその問題点） 近年、住宅の窓は機能性よりもむしろ外観性、即ちデ
ザインを重視する傾向にあり、したがって従来では云わ
ば盲点となっていた建物躯体の隅角部にも窓開口部を設
けてコーナー窓を設置しているケースが多くなってい
る。

ところが、コーナー窓は建物室内の隅部に位置し、し
かも一般に嵌め殺し窓とされることが多いことから、室
内の換気を十分に行うことができないという問題があっ
た。

本考案はこのような問題点に鑑み、コーナー窓の上横
枠を通じて外気を室内隅部に効果的に取り入れることが
できて十分な換気を行わせることができるようにしたも
のである。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、建物躯体２の隅角部に形成されるコーナー
窓開口部３に、少なくとも上下横枠5,6及び左右縦枠7,7
からなる窓枠１が取着され、該窓枠１に窓障子８が設け
られるコーナー窓において、前記上横枠５は、前記コー
ナー窓開口部３の横断面形状に沿って交叉状に配置され
る２本の中空角筒状型材よりなる横枠部材5a,5aの対向
端部を各々斜切りして互いに突合せ、両者を接合するこ
とによって形成され、角横枠部材5aにはその室外側側壁
14に室内側へ陥没する凹溝条16が横枠部材全長に亘って
形成されると共に、該凹溝条16の上壁部16aには横枠部
材5a内部の中空室15aに通じる換気口が形成され、該横
枠部材5aの室内側側壁13に前記中空室15aから室内に通
じる換気口が形成され、凹溝条16の上壁部側換気口は、
凹溝条長手方向に沿って一定のピッチで穿設された多数
の孔部17からなり、これらの孔部17と同一のピッチで穿
設された多数の孔部18を有する換気口開閉板19が凹溝条
16の上壁部16a上面に長手方向スライド自在に取付けら
れ、換気口開閉板19は開閉板スライド駆動機構34に連動
連結され、開閉板スライド駆動機構34は、両端部にガイ
ド溝36,37を有し前記横枠部材5a内の所要部に枢着され
たベルクランク38と、縦枠７内に操作片44にて室内側か
ら昇降操作可能に嵌合された昇降杆41と、換気口開閉板
19側と昇降杆41側とにそれぞれ突設されてベルクランク
38の両ガイド溝36,37にそれぞれ係合されたガイド軸40,
43とからなることを特徴とするものである。

（実施例） 実施例について図面を参照して説明すると、第１図は
コーナー窓の水平横断面図、第２図はその外観図、第３
図はコーナー窓の詳細な縦断面図及び第４図はその詳細
な平面図を示しており、これらの図において１は建物躯
体２の隅角部に形成されるコーナー窓開口部３にアンカ
ー金具4a,4bを介して取着された平面Ｌ字形窓枠で、コ
ーナー窓開口部３の横断面形状に対応する平面Ｌ字形の
上下横枠5,6と左右縦枠7,7とによって構成され、この窓
枠１に窓障子８が嵌め殺し式に配装されている。

前記窓枠１の上下横枠5,6はそれぞれコーナー窓開口
部３の横断面形状に沿って互いに直交するように配置さ
れるアルミ押出し型材よりなる２本ずつの横枠部材5a,5
a,6a,6aからなるもので、上横枠５の横枠部材5a,5aはコ
ーナージョイントプレート９を介しまた下横枠６の横枠
部材6a,6aはコーナージョイントプレート10を介してそ
れぞれ端部相互が突合せ接合されている。各縦枠７はア
ルミ押出し型材よりなるもので、上下横枠5,6の各横枠
部材5a,6aの端部にビスによって連結されている。

前記上横枠５を形成する各横枠部材5aは、上壁11及び
下壁12と室内側及び室外側の側壁13,14とによって中空
室15a,15bを形成する中空角筒状のアルミ押出し型材か
らなるもので、室外側側壁14には室内側へ陥没する横向
き凹溝条16が横枠部材全長に亘って形成され、この凹溝
条16の上壁部16aには中空室15aと上下方向に連通する多
数の孔部17…（換気口）が横枠部材長手方向に一定のピ
ッチで穿設されている。そして凹溝条16の上壁部16a上
面には前記孔部17と同じ大きさの孔部18がそれらと同一
ピッチで穿設された換気口開閉板19が長手方向スライド
自在に取付けてあって、この開閉板19の各孔部18が上壁
部16aの各孔部17と合致したとき換気口が全開状態とな
り、この状態から開閉板19を孔部18の半ピッチ分（最大
ストローク）スライドさせることによって全閉状態とな
り、また小刻みにスライドさせることにより換気口の開
口度を任意調整できる。尚、この開閉板19のスライド駆
動機構については後述する。また、横枠部材5aの室内側
側壁13には開口部20が横枠部材全長に亘って形成され、
この開口部20に、防虫機能を有する多数のスリット状孔
部21を一定ピッチで穿設したスリット板22が嵌装されて
いる（第１図及び第３図参照）。第１図中23は室外側側
壁14に長手方向全長に亘って形成された装飾用の溝条
部、24aは上方の中空室15a内に雨水が侵入したときこれ
を下方の中空室15b側へ排水するための水抜孔、また24b
は下方の中空室15b内の雨水を排出する水抜孔である。

上横枠５を形成するために上記のような２本の横枠部
材5a,5aを直角に接合するようにあたっては、第４図に
示すように、各横枠部材5aの接合端部を45°の角度で斜
切りし（その斜切り端縁を第４図にＰで示す）、直角に
突合せた両接合端部間に例えば２枚のコーナージョイン
トプレート9,9を介在させ（第３図参照）、ビス25によ
ってこれらのコーナージョイントプレート9,9と横枠部
材5a,5a端部とを一体的に連結する。下横枠６を形成す
る横枠部材6a,6aの直角接合についても上横枠５と同様
である。

前記窓障子８は上下の横枠部材5a,6a及び縦枠７の内
側面にそれぞれ一体形成されている障子枠部26,27,28に
コーキング材を介してガラス板29を嵌装してなるもの
で、第１図に示すように双方のガラス板29,29が直角に
突合さる部分にコーキング材を介装するようにしてい
る。

上述したような窓枠１における上横枠５の換気構造に
よると、外気は各横断枠部材5aの全長に設けてある凹溝
条16より室外側換気口（即ち、孔部17,18）を通って横
枠部材5a内部の中空室15aに入り、室内側の換気口（即
ち、スリット21）から室内へと流入することができ、特
に双方の横枠部材5a,5aの突合せ接合部分にも凹溝条1
6、室外側換気口、中空室15a及び室内側換気口が他の部
分より連続して形成されているために、Ｌ字形上横枠５
の一端部から他端部に至るその全長に亘ってほとんど一
様に通気作用を行わせることができる。

更にこの上横枠５の換気構造によると、室外から上横
枠４内を通過して室内側へ流入しようとする外気は先ず
凹溝条16内へ横向きに流入してその奥壁部16bや斜壁部1
6cにぶつかりながら向きを上方へ変えて上下方向に開口
する換気用孔部17,18を通過して中空室15aに入り、そこ
からスリット状孔部21を通って室内に流入することにな
る。したがって、強風下においてもその強い風は凹溝条
16から中空室15aへ流入する過程で勢いを弱められ、ま
た風を伴って雨水も凹溝条16内において上横枠５内部へ
の直接浸入を阻止されることになる。

前記窓枠１の室内側には木製の化粧枠30が配設してあ
り、この化粧枠30は上化粧板30aと下化粧板30bと左右の
化粧板30c,30cとからなるもので、それらの室外側端部
が窓枠１の室内側端部に取着されている。尚、31は上横
枠５の室内側面に取着された化粧板、32,33は化粧枠30
の室内側開口面の上部に設けられたグリル形成用の格子
部材である。

第５図は上横枠５の各横枠部材5aに設けた開閉板スラ
イド駆動機構34を示すもので、窓枠１の上横枠５を構成
している横枠部材5a内部における室内側にして且つ縦枠
７に近い所要部に取付台片35を固着し、この取付台片35
には両端部に切欠ガイド溝36,37を形成したベルクラン
ク38を枢着し、このベルクランク38の一方のガイド溝36
には、換気口開閉板19の一端部に一体に連結してある連
結部片39の上端部から室内側へ突設されたガイド軸40を
係合し、他方のガイド溝37には、昇降杆41に固着された
取付片42から室内側へ突設されたガイド軸43を係合し、
昇降杆41は窓枠１の縦枠６内に昇降自在に嵌合し、この
昇降杆41の所要部に操作片44（第４図参照）を取着し、
しかしてこの操作片44を把持して昇降杆41を適宜に下降
または上昇させることにより一方のガイド軸43及びガイ
ド溝37を介してベルクランク38を所定角度回動させ、こ
れにより他方のガイド溝36を介しガイド軸40を水平方向
に移動させ、このガイド軸40及び連結部片39を介して開
閉板19を最大限孔部18の半ピッチ分スライドさせること
により換気口の開閉及びその開口度の調整を行えるよう
にしたものである。

この実施例では窓障子を嵌め殺し式に設けた例を示し
たが、引違い式や開き式の窓障子でもよい。

（考案の効果） 本考案のコーナー窓によれば、窓枠１の上横枠５を換
気構造としているため、室内隅部においても換気を行わ
せることができることになり、そしてこの上横枠５の換
気構造によると、外気は上横枠５を構成している各横枠
部材5aの全長に設けた凹溝条16より室外側の換気口を通
って中空室15aに入りそこから室内側換気口を経て建物
室内へと流入することができるが、特に双方の横枠部材
5a,5aの突合せ接合部分にも上記のような外気流通路が
他の部分より連続して形成されているために、そのよう
な接合部分を含む上横枠５の全長に亘ってほとんど一様
で効果的な換気作用を行わせることができ、コーナー窓
の換気窓枠として最適なものと云える。

更にこの上横枠５の換気構造によると、強風時には外
気は一旦凹溝条16内に入ってその奥部等にて衝当しなが
ら上向きに向きを変えて上下方向に開通する室外側の換
気口より中空室15a内に流入しそこから室内側の換気口
へと流入するようになるため、これら凹溝条16、室外側
換気口及び中空室15aを蛇行状に流通する過程で風の勢
いを弱められることになり、したがって強風がそのまま
上横枠内を吹き抜けて室内に吹き込むと云った不都合が
なくなり、また風を伴う降雨時にも上横枠５外面に吹き
つける雨は凹溝条16及び上下方向に開通する換気口によ
って中空室15a内部側への侵入を阻止され、したがって
上横枠内部の腐蝕を防止できると共に、室内への雨水を
侵入、飛散を防止することができる。

更に、上記凹溝条16の上壁部16aに形成される換気口
が、該凹溝条の長手方向に沿って一定のピッチで穿設し
た多数の孔部17とされ、これらの孔部17と同一のピッチ
で穿設した多数の孔部18を有する換気口開閉板19が、凹
溝条上壁部16aの上面に長手方向スライド自在に取付け
られているから、外気の取入量を任意に調整することが
できる。

そして、上記換気口開閉板19は、これに連動連結され
た開閉板スライド駆動機構34により開閉されるもので、
この開閉板スライド駆動機構34は、両端部にガイド溝3
6,37を有し横枠部材5a内の所要部に枢着されたベルクラ
ンク38と、窓枠１の縦枠６内に操作片44にて室内側から
昇降操作可能に嵌合された昇降杆41と、換気口開閉板19
側と昇降杆41側とにそれぞれ突設されてベルクランク38
の両ガイド溝36,37にそれぞれ係合されたガイド軸40,43
とで構成されるから、室内側から操作片44を把持して昇
降杆41を適宜に昇降させることにより、一方のガイド軸
43及びガイド溝37を介してベルクランク38を所要角度回
動させ、これにより他方のガイド溝36を介してガイド軸
40を水平方向に移動させ、このガイド軸40を介して換気
口開閉板19をスライドさせることができる。従って、換
気口開閉板19が高所にあって室内側から手の届き難い位
置にあっても、縦枠７内の昇降杆41を操作片44により昇
降させることによって、室外側換気口の開閉及びその開
口度の調整を容易に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示すコーナー窓の全体概略水
平横断面図、第２図は同コーナー窓を第１図の矢印Ａよ
り見た正面図、第３図は第１図のIII-III線拡大断面
図、第４図は第３図のIV-IV線断面図、第５図は上横枠
内の室外側換気口に設けた開閉板のスライド駆動機構を
示す斜視図である。 １……窓枠、３……コーナー窓開口部、５……上横枠、
６……下横枠、７……縦枠、８……窓障子、5a……上横
枠の横枠部材、15a,15b……中空室、16……凹溝条、16a
……上壁部、17……孔部（室外側換気口）、18……孔部
（室外側換気口）、19……換気口開閉板、21……スリッ
ト状孔部（室内側換気口）、22……スリット板、34……
開閉板スライド駆動機構、36,37……ガイド溝、38……
ベルクランク、40……ガイド軸、41……昇降杆、43……
ガイド軸、44……操作片。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】建物躯体２の隅角部に形成されるコーナー
   窓開口部３に、少なくとも上下横枠5,6及び左右縦枠7,7
   からなる窓枠１が取着され、該窓枠１に窓障子８が設け
   られるコーナー窓において、前記上横枠５は、前記コー
   ナー窓開口部３の横断面形状に沿って交叉状に配置され
   る２本の中空角筒状型材よりなる横枠部材5a,5aの対向
   端部を各々斜切りして互いに突合せ、両者を接合するこ
   とによって形成され、角横枠部材5aにはその室外側側壁
   14に室内側へ陥没する凹溝条16が横枠部材全長に亘って
   形成されると共に、該凹溝条16の上壁部16aには横枠部
   材5a内部の中空室15aに通じる換気口が形成され、該横
   枠部材5aの室内側側壁13に前記中空室15aから室内に通
   じる換気口が形成され、凹溝条16の上壁部側換気口は、
   凹溝条長手方向に沿って一定のピッチで穿設された多数
   の孔部17からなり、これらの孔部17と同一のピッチで穿
   設された多数の孔部18を有する換気口開閉板19が凹溝条
   16の上壁部16a上面に長手方向スライド自在に取付けら
   れ、換気口開閉板19は開閉板スライド駆動機構34に連動
   連結され、開閉板スライド駆動機構34は、両端部にガイ
   ド溝36,37を有し前記横枠部材5a内の所要部に枢着され
   たベルクランク38と、縦枠７内に操作片44にて室内側か
   ら昇降操作可能に嵌合された昇降杆41と、換気口開閉板
   19側と昇降杆41側とにそれぞれ突設されてベルクランク
   38の両ガイド溝36,37にそれぞれ係合されたガイド軸40,
   43とからなることを特徴とするコーナー窓。