JP2532506Y2 - 自動車の縁飾り取付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は自動車の縁飾り取付構造
に関する。

【０００２】

【従来の技術】自動車の車体開口縁には通常、図２，３
に示すように縁飾りを装着して、外観および乗員の感触
の向上を図るようにしている。これを具体的に説明する
と、１は車体開口縁を形成するセンターピラーで、その
側縁のフランジ２に縁飾り３を装着してある。この縁飾
り３は、断面略Ｕ字状に形成されて前記フランジ２に嵌
着したウエルト本体４と、このウエルト本体４の車外側
の側壁に一体成形されて、図外のドアの閉扉時にドアウ
インドウパネルと密接して車室内，外をシールする中空
のシールリップ５とを備えている。前記ウエルト本体４
はその両側壁の内面にフランジ保持リップ６を一体に形
成してあり、これらフランジ保持リップ６によって前記
フランジ２を挾持している。また、ウエルト本体４の車
外側の側壁の端縁には、フランジ２の成形基部のパネル
面に密接して、フランジ挾着部内への水の侵入を阻止す
るシールリップ７を付帯成形してある。

【０００３】一方、センターピラー１の車室側の側面に
は、前記ウエルト本体３の装着部分までをも隠蔽するガ
ーニッシュ８を取付けて室内装飾するようにしている。
この類似構造は、例えば実開昭５５−１１７３６３号公
報に示されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】ウエルト本体４のフラ
ンジ２への嵌入形態によっては、その両側壁の端縁がフ
ランジ２の成形基部に突き当って、該ウエルト本体４が
口開きを生じ、延いてはフランジ保持リップ６がフラン
ジ２面から浮き上がって保持性能が低下するおそれがあ
る。また、フランジ２の周縁方向の突出量のバラツキに
よって、ウエルト本体４が蛇行したり、波打ちして外観
を損なってしまう可能性もあり、更には、フランジ２自
体のスポット溶接痕による波打ち変形によって、ウエル
ト本体４が波打って、該ウエルト本体４とガーニッシュ
８の端末とのパーティング部に隙間が生じて、外観，品
質感を損なってしまう不具合がある。

【０００５】そこで、本考案はウエルト本体が蛇行，波
打ちすることがなく、かつ、ウエルト本体と室内装飾部
品との密接状態を常に保持できて、外観，品質感を一段
と向上することができる自動車の縁飾り取付構造を提供
するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】ウエルト本体を断面略Ｕ
字状に形成すると共に、その両側壁内面にフランジ保持
リップを一体に形成し、このウエルト本体を車体開口縁
のフランジに嵌装して、前記フランジ保持リップにより
該フランジに挾着，保持した構造において、前記ウエル
ト本体の凹底部に、その凹底面から車室側の側壁の内面
に跨ってブリッジ壁を一体成形して、前記フランジの端
末に突き当る中空のリップ部を形成すると共に、該ブリ
ッジ壁の前記側壁との連設基部の肉厚を、凹底面側の連
設基部の肉厚よりも大きく設定して、これら両連設基部
に反力差を付与し、ウエルト本体を車室側に傾動配置し
てある。

【０００７】

【作用】ウエルト本体凹底部の中空のリップ部にフラン
ジ端末が弾接することによって、該ウエルト本体の過度
の嵌装が規制され、かつ、該リップ部のブリッジ壁の弾
性変形によってフランジの突出量のバラツキが吸収され
る。また、ブリッジ壁の車室側側壁との連設基部の反力
が大きいため、中空のリップ部がフランジ端末に突き当
ることによって、ウエルト本体がフランジ挾持部を支点
として車室側に傾動し、ウエルト本体の車室側の側壁と
室内装飾部品との密接状態を得る。

【０００８】

【実施例】以下、本考案の一実施例を図面と共に前記従
来の構成と同一部分に同一符号を付して詳述する。

【０００９】図１，２において、車体開口縁を形成する
センターピラー１の側縁のフランジ２に嵌装した縁飾り
３は、該フランジ２に嵌着した断面略Ｕ字状のウエルト
本体４と、このウエルト本体４の車外側の側壁に一体成
形した中空のシールリップ５とを備え、かつ、該車外側
の側壁の端末にフランジ２の成形基部のパネル面に密接
するシールリップ７を備えていると共に、該ウエルト本
体４の両側壁内面にフランジ保持リップ６を備えて、こ
れらフランジ保持リップ６でフランジ２に挾持，固定し
てある点、および、センターピラー１の車室側の側面に
はウエルト本体４の装着部分までをも隠蔽するガーニッ
シュ８を取付けてある点、等の基本的構成は前記従来と
同様である。

【００１０】ここで、前記ウエルト本体４は、その凹底
部に凹底面から車室側の側壁の内面に跨ってブリッジ壁
９を一体成形して、前記フランジ２端末に突き当る中空
のリップ部１０を形成してある。前記ブリッジ壁９は、
ウエルト本体４の車室側の側壁との連設基部９ａの肉厚
を、凹底面側の連設基部９ｂの肉厚よりも大きくして、
両連設基部９ａ，９ｂに反力差を持たせてあって、ブリ
ッジ壁９がフランジ２端末に突き当って撓み変形する場
合に、該ブリッジ壁９の前記凹底面との連設基部９ｂ側
が大きく撓み変形してずれ動き、ウエルト本体４が全体
的にフランジ保持リップ６によるフランジ挾持部を支点
として車室側に傾動するようにしてある。

【００１１】以上の実施例構造によれば、ウエルト本体
４をフランジ２に嵌装すると、フランジ保持リップ６で
フランジ２を挾持して、これらフランジ保持リップ６に
よりウエルト本体４がフランジ２に固定されるが、ウエ
ルト本体４の凹底部の中空のリップ部１０がフランジ２
の端末に弾接し、ウエルト本体４の過度の嵌装が規制さ
れる。従って、ウエルト本体４の両側壁の端縁がフラン
ジ２成形基部のパネル面に突き当って口開きを生じるの
が回避される。また、フランジ２の突出量にセンターピ
ラー１の長さ方向でバラツキを生じていたとしても、前
記リップ１０のブリッジ壁９の撓み変形でこのバラツキ
を吸収することができて、ウエルト本体４が波打ちする
ことはない。

【００１２】更に、ブリッジ壁９がフランジ２端末に突
き当って撓み変形する場合に、前述のようにブリッジ壁
９の前記凹底面との連設基部９ｂ側の反力が小さく、該
連設基部９ｂ側が大きく撓み変形してずれ動くため、ウ
エルト本体４が全体的にフランジ保持リップ６によるフ
ランジ挾持部を支点として車室側に傾動して取付けされ
る。この結果、ウエルト本体４の車室側の壁側がガーニ
ッシュ８の端縁に積極的に密接するようになる。従っ
て、フランジ２にスポット溶接痕による波打ち変形があ
ったり、あるいはガーニッシュ８に取付誤差，成形誤差
があったとしても、これらウエルト本体４の車室側の側
壁と、ガーニッシュ８の端末とのパーティング部に隙間
が生じたり、段差が生じるのを回避することができる。

【００１３】なお、前記実施例では自動車のセンターピ
ラー周りの構造を例示したが、これに限定されるもので
ないことは言うまでもない。

【００１４】

【考案の効果】以上のように本考案によれば、ウエルト
本体凹底部の中空のリップ部を形成するブリッジ壁は、
その両端連設基部の肉厚を変えて反力差を持たせてあっ
て、フランジ端末に突き当って撓み変形した場合に、ブ
リッジ壁のウエルト本体凹底面連設側が大きく撓み変形
してずれ動いて、ウエルト本体が全体的に車室側に傾動
して装着されるため、該ウエルト本体と車室内に装着さ
れるガーニッシュ，トリム等の室内装飾部品との密接状
態を良好にすることができて、パーティング間隙の発生
を防止することができる。また、フランジの突出量にバ
ラツキが生じていても、前記中空のリップ部によってこ
れを吸収できて、ウエルト本体が蛇行したり波打ちを生
じたりすることもなく、仍って、外観，品質感を一段と
向上することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す図２のＡ−Ａ線に沿う
断面図。

【図２】自動車のセンターピラー周りを示す斜視図。

【図３】従来の構造を示す図２のＡ−Ａ線に沿う断面
図。

【符号の説明】

１…車体開口縁、２…フランジ、３…縁飾り、４…ウエ
ルト本体、６…フランジ保持リップ、９…ブリッジ壁、
９ａ，９ｂ…連設基部、１０…中空のリップ部。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ウエルト本体を断面略Ｕ字状に形成する
   と共に、その両側壁内面にフランジ保持リップを一体に
   形成し、このウエルト本体を車体開口縁のフランジに嵌
   装して、前記フランジ保持リップにより該フランジに挾
   着，保持した構造において、前記ウエルト本体の凹底部
   に、その凹底面から車室側の側壁の内面に跨ってブリッ
   ジ壁を一体成形して、前記フランジの端末に突き当る中
   空のリップ部を形成すると共に、該ブリッジ壁の前記側
   壁との連設基部の肉厚を、凹底面側の連設基部の肉厚よ
   りも大きく設定して、これら両連設基部に圧力差を付与
   し、ウエルト本体を車室側に傾動配置したことを特徴と
   する自動車の縁飾り取付構造。