JP2530224Y2 - 車両用回転腰掛の自動回転装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、車両内に設置される回転腰掛に係り、特に
遠隔操作により自動的に前方又は後方へ回転させて腰掛
の向きを変換することができる車両用回転腰掛の自動回
転装置に関するものである。

〔従来の技術〕

従来この種の回転腰掛においては、脚台の側部に、常
時バネの張引力で上昇傾向に保持され、ペダル操作によ
り下降させることができるストッパピンを設け、このス
トッパピンを脚台と回転台枠に共通して透設された係合
孔内に挿通させることにより回転台枠の回り止めをする
手段が提案されている。

この種の回転腰掛は、乗客が手動操作により自由に腰
掛の向きを変換して使用することもできるため、始発駅
において腰掛の向きを進行方向に変換し、また個々に腰
掛の向きが不揃いになっている場合にはこれ等を全部同
一方向に揃えなければならない。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし、このような回転腰掛の向きを揃える作業は、
従来から入力に頼る所が多く、１脚ずつ手動操作で変換
していたため車両の車内整理に多くの時間と労力を必要
としていた。そこで回転台枠側に駆動機を固定し、該駆
動機の回転軸にスプロケットを取り付け、その歯部を回
転台枠の下面から突出させ、また脚台側に上記スプロケ
ットの突出部に噛み合うように円弧状に整列させて多数
の孔を形設して成る受板を固定して、自動的に回転台枠
を回転させる手段も提案されている。しかし、この種の
回転手段は、スプロケットの歯部と受板に形設した多数
の孔が正確に噛み合わないと、回転腰掛が円滑に回転せ
ず、また長期間の使用で受板の孔が摩耗して、噛み合い
不良を生じ、回転腰掛の向きを円滑に変換させることが
できないという問題を有していた。

また、自動的にストッパピンを上記回転台枠と脚台と
に共通して透設された係合孔から解除するために、ソレ
ノイドを用いたものにあっては、大変大きな電気的容量
が必要であり、カムを動作するためにはソレノイド自体
が大きく、かつコイルの重量が重たくなる等の問題も有
していた。

本考案は、上記問題に鑑みて創案されたものであり、
構造が簡単で、腰掛の回転を確実に為し得ると共に、耐
久性が高く、またストッパピンの構造も簡単な車両用回
転腰掛の自動回転装置を提供することを目的とするもの
である。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本考案に係る車両用回転
腰掛の自動回転装置は、座ぶとんを載置固定する回転台
枠を脚台上に回転可能に取り付け、脚台の側部に常時バ
ネの作用で上昇傾向に保たれ、ペダルの操作で下降させ
ることができるストッパピンを上記回転台枠と脚台とに
共通して透設された係合孔に挿通させることにより回転
台枠の回り止めを行う機構を具備する車両用回転腰掛に
おいて、上記回転台枠の略中央部に電動機を固定し、該
電動機の回転軸にゴムタイヤから成る駆動輪を取り付
け、該駆動輪の底部を回転台枠の下面から突出させると
共に、脚台の上面には、突出した上記駆動輪の底部に合
うように円弧状又は円周状に接する受板を固定し、かつ
ストッパピンにはこれを直接下降させる電動機を固定
し、この電動機を遠隔操作し得るように構成したことを
要旨とするものである。

また、上記ストッパピンの解錠と駆動輪の回転を同時
に作動するように構成することもできる。

〔作用〕

上記構成によれば、常時上昇傾向に保持されたペダル
を踏み下げるとストッパピンの頭部が脚台と回転台枠に
共通して透設された係合孔から脱出し、両者の係合を解
除する。従って、手動操作により回転台枠を脚台上で18
0度回転させ、個々にその向きを変換させることができ
る。

また、ストッパピンも遠隔操作で電動機を作動させる
ことにより係合孔から容易に脱出させることができ、電
動機を駆動して回転台枠を脚台上で回転させるとき、ゴ
ムタイヤから成る駆動輪が受板上を円滑に回動して、回
転腰掛を回動させ、一車両又は一編成の車両内に設置さ
れているすべての車両用回転腰掛の向きを一斉にかつ自
動的に変換することができる。

特に、従来のスプロケットでは、その歯部と受板の孔
との位置が噛み合わずに回転不良を生じたり、このスプ
ロケットの歯部によって孔が磨耗して回転不能になるこ
とがあったが、本考案に係るゴムタイヤから成る駆動輪
ではこのような回転台枠の回転不良や回転不能になるこ
とがない。

〔実施例〕

以下、本考案に係る車両用回転腰掛の自動回転装置の
実施例を図面に従って説明する。

第１図及び第２図は、本考案に係る自動回転装置を構
成する回転腰掛を示すものである。

１は脚台、２は該脚台１上に回転自在に載置された回
転台枠であり、その上面には座ぶとん３を載置固定す
る。この脚台１の下部にペダル４を配置し、その一端側
を上下方向へ回動自在に軸支すると共に、端側踏下部を
脚台１の側面から外方へ突出させ、かつ該ペダル４上に
ストッパピン５を立設する。

第３図乃至第４図（ａ）及び（ｂ）は、本考案に係る
自動回転装置を示すものである。

前記ストッパピン５は、回転腰掛６の向きを前向き又
は後向きに設定した位置で脚台１上における回転台枠２
の回転を止めるためのものであり、脚台１の上面側とペ
ダル４との間のストッパピン５に外装したコイルバネ７
により常時上昇傾向に保持され、その頭部5aを脚台１と
回転台枠２の枠板2aに共通して透設された係合孔8,9内
に貫入させている。このストッパピン５の上部には、フ
ランジ10を形成し、該フランジ10には、上方から下方へ
押圧するクランク形状をした上下動する解錠用金具11を
配置する。この解錠用金具11は、電動機12により作動す
るカム13を介して上下動し、ストッパピン５のフランジ
10を押し下げることにより、ストッパピン５を下降させ
得るものである。即ち、ストッパピン５はペダル４の踏
下動作によっても、また電動機12による電気的動作によ
ってもその頭部5aを係合孔8,9から脱出させることがで
きるようになっている。

また、回転台枠２側の係合孔９は、回転腰掛６を前向
き又は後向きに方向変換し、それぞれの位置で回転台枠
２を固定し得るように回転台枠２上における左右対称位
置にそれぞれ設けられている。

14は、上記回転台枠２の略中央に配置された電動機で
ある。この電動機14は、回転台枠２を脚台１上で回転さ
せるためのものであり、望ましくは減速機を内蔵し、か
つ正逆いずれの方向へも回転させ得るレバーシブルなも
のが用いられる。この電動機14の前後方向を回転台枠２
上において水平に、かつその回転軸15が回転台枠２の回
転円周の半径方向に沿って伸出するように固定し、その
先端に駆動輪と成るゴムタイヤ16を取り付ける。このゴ
ムタイヤ16は、回転台枠２を回転駆動するものであり、
その底面部16aの一部を回転台枠２に開口させた孔17か
らその下方へ突出させ、脚台１の上面に固定した回転作
動用の受板18の上面に当接させる。而して、該ゴムタイ
ヤ16は、該受板18上において摺接回転し、相対的に回転
台枠２を所定方向へ回転駆動するように成る。該ゴムタ
イヤ16を回転駆動する上記電動機14に正逆回転機能を有
するものを構成した場合には、回転腰掛６の向きが前向
き又は後向きに不揃いの状態になっていても正転又は逆
転をさせることにより一方向側に揃えることができる。
なお回転台枠２の固定位置には、この電動機14の回転を
停止させるスイッチ19が付設されている。従って、回転
腰掛６の向きが既に手動操作によって目的の方向に向い
ている場合には、その作動回路が開いており、因って電
動機14は回転せず、その状態を保持している。

なお、20は、回転腰掛６の過回転を防止するために回
転台枠２の下面両端から下方へ突設したストッパであ
り、21は、このストッパ20に当接する、脚台１上面に設
けられた板状の緩衝バネである。

本考案に係る回転腰掛には、第２図に示すように、背
ずり22のリクライニング装置を組み込むことができる。
したがって、この場合には回転台枠２の回転に先立って
リクライニング状態にある背ずり22を正常位置に復帰さ
せ、前後に配置された回転腰掛６の背ずり22が接触して
回転台枠２の回転を阻止することがないように構成する
必要がある。即ち、23は、背ずり22の下端部と回転台枠
２の間に掛け渡されたシートロックであり、レバー24を
操作することによりその先端に係合しているシートロッ
ク23のプランジャを押し、ガス圧によってシートロック
23を伸張させて背ずり22を正常位置に復帰させる。

なお、ストッパピン５を、レバー24とこのシートロッ
ク23のロッドとの間をケーブル25で接続し、背ずり18の
リクライニング解除動作をストッパピン５の下降動作に
連動させ得るように構成することもできる。

本考案に係る回転腰掛６の操作に際しては、先ず電動
機12を駆動してストッパピン５を下降させ、その頭部5a
を脚台１と回転台枠２に共通して透設された係合孔8,9
から脱出させ、脚台１の窓側に取り付けられた緩衝バネ
21により回転台枠２に反発力を加え初期回転を容易にす
る。また、これと同時に又はこれに先立って背ずり22を
正常使用位置に復帰させた後、電動機14等を駆動して回
転台枠２を脚台１上で回転させればよい。而して、回転
腰掛６は、第５図（ａ）及び（ｂ）に示すように、停止
位置（第５図（ａ））から駆動輪16の回転によって徐々
に方向を変換し（第５図（ａ））、180度の向き変換を
終了する。

〔考案の効果〕

本考案に係る車両用回転腰掛の自動回転装置は、以上
のように構成したから、回転台枠の回転駆動用にゴムタ
イヤから成る駆動輪を用いたので、簡単な構造で、確実
に回転腰掛を回転させることができる。

また、ゴムタイヤから成る駆動輪と受板という構成で
あるから、耐久性が高く、かつ軽量化することができ、
回転時には金属音が発生しない等、本考案実施後の実用
的効果は極めて大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る自動回転装置を構成した車両用回
転腰掛を示す一部切欠した正面図、 第２図は同じく一部切欠した側面図、 第３図は同じく自動回転装置を示す一部切欠した拡大正
面図、 第４図（ａ）及び（ｂ）はストッパピンの上下動作を示
すものであり、 （ａ）はストッパピンの解錠前の状態を示す拡大断面
図、 （ｂ）はストッパピンの解錠後の状態を示す拡大断面
図、 第５図（ａ）及び（ｂ）は脚台に対する回転台枠の動作
状態を示すものであり、 （ａ）は回転前の状態を示す要部拡大平面図、 （ｂ）は回転途中の状態を示す要部拡大平面図である。 １……脚台、２……回転台枠 ４……ペダル、５……ストッパピン ７……バネ、8,9……係合孔 12……電動機、14……電動機 15……回転軸、16……駆動輪

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】座ぶとんを載置固定する回転台枠を脚台上
   に回転可能に取り付け、脚台の側部に常時バネの作用で
   上昇傾向に保たれ、ペダルの操作で下降させることがで
   きるストッパピンを上記回転台枠と脚台とに共通して透
   設された係合孔に挿通させることにより回転台枠の回り
   止めを行う機構を具備する車両用回転腰掛において、 上記回転台枠の略中央部に電動機を固定し、該電動機の
   回転軸にゴムタイヤから成る駆動輪を取り付け、 該駆動輪の底部を回転台枠の下面から突出させると共
   に、脚台の上面には、突出した上記駆動輪の底部に合う
   ように円弧状又は円周状に接する受板を固定し、 かつストッパピンにはこれを直接下降させる電動機を固
   定し、該電動機を遠隔操作し得るように構成したことを
   特徴とする車両用回転腰掛の自動回転装置。
2. 【請求項２】上記ストッパピンの解錠と駆動輪の回転を
   同時に作動するように構成したことを特徴とする請求項
   １記載の車両用回転腰掛の自動回転装置。