JP2528041B2 - 屠殺した鳥の胴部を処理する方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の分野】本発明は、屠殺した鳥の胴部から機械
によって肉を切り離して切り身にする処理を行う方法に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】そのような処理は、「前半身」として知
られる形として前処理された鳥胴部に対して行われ、す
なわち、左右の対称面を有するよう斜めに横断して切断
されていて、骨盤は脚と一緒に切り落とされ、手羽も取
り除かれており、従って、主要部分として、胸郭と、脊
柱の対応部分と、肋骨と、胸骨稜及び胸骨板を含む胸骨
と、手羽関節及び鴨思骨を含み、胸骨によって支持され
た烏がい骨と、肩甲骨とを有している胴部分として前処
理された鳥胴部に対して行われる。この胴部分は、手羽
関節を前にして帽子を被せるようにサドルに載せて取り
付けられ、鳥胴部の左右の対称面に平行な方向に搬送さ
れながら処理される。鳥胴部のそのような処理では、高
品質の切り身肉の収量を最大にする、すなわち骨格に残
る肉の量を最小に抑えることが特に経済面で重要であ
る。同時に、消費者はこのようにして得られた肉の良好
な外観を大いに重視し、そのような外観は主として切断
した部分の面の滑らかさによるものである。

【０００３】

【発明が解決する課題】本発明の主たる課題は、高品質
の切り身の収量を最大にする方法を提供することことで
ある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記の
課題は、次の方法によって達成される。すなわち、屠殺
した鳥の胴部から機械によって肉を切り離して切り身に
する処理を行う方法であって、前記胴部は「前半身」と
して知られる形として前処理されており、すなわち、左
右の対称面を有するよう斜めに横断して切断されてい
て、骨盤は脚と一緒に切り落とされ、手羽も取り除かれ
ており、従って、主要部分として、胸郭と、脊柱の対応
部分と、肋骨と、胸骨稜及び胸骨板を含む胸骨と、手羽
関節及び鴨思骨を含み、胸骨によって支持された烏がい
骨と、扁甲骨とを有している胴部分として前処理されて
おり、前記胴部分は、前記手羽関節を前にしてサドルに
載せられてそれに取り付けられ、前記対称面にほぼ平行
な方向に搬送されるようになっており、 ａ）背中部分を覆っている皮を背中の肉から引き離し
て、前記脊柱（３）付近で前記皮を切断する段階と、 ｂ）肉部分を、前記鴨思骨（９）の外形に沿ってかき取
るようにして前記鴨思骨（９）から切り離す段階と、 ｃ）前記手羽関節（８）の前部分に付着している肉部分
を、前記手羽関節（８）の前部分から切り離す段階と、 ｄ）背中部分の前記助骨（２）に付着している肉を、そ
の部分の前記肋骨（２）および前記肩甲骨（１０）から
切り離す段階と、 ｅ）前記肋骨（２）の上記以外の部分及び前記胸骨板
（５）に付着している肉部分をこれらの骨から切り離す
段階と、 ｆ）最後に切り身を前記胸骨（６）の前記稜（４）から
切り落とす段階とを有し、これらの段階それぞれは、少
なくとも１つの工具を用いて行われることを特徴とする
方法、によって達成される。この方法によって得られる
主要な利点は、処理具を、注目している限定された処理
領域に合わせて設計すること、すなわち、特に解剖学に
基づいた、それぞれの処理領域に存在する非常に特殊な
状況に、妥協せずに完全に合わせて設計する ことができ
る点にある。

【０００５】このように、処理具の非常に正確な設計及
び制御を実現することができることから、比較的滑らか
で美しい切断面の切り身肉の収量を高めることができ
る。本発明は、さらに胸骨の稜付近で皮を把持すること
によって皮を完全に取り除く段階ａ'）を段階ａ）と
ｂ）との間に設けてもよい。また、各処理段階にある鳥
胴部の処理位置は、それぞれの肉部分の浮き上がりを重
力によって支持できるように定められていることが好都
合である。

【０００６】本発明のその他及びさらなる目的は、本発
明の原理及びこれらの原理を適用するのに現時点で最良
の態様と考えられる本発明の好適な実施例を概略的に示
している添付の図面を参照した以下の説明から明らかに
なるであろう。当業者であれば、本発明の範囲内におい
て同一または同等の原理による本発明の別の実施例を用
いたり、所望通りの構造的変更を加えることができるで
あろう。

【０００７】

【実施例】全般的理解を得るため、まず本発明による処
理方法を実施する際に本質的に重要である部分の鳥胴部
の解剖構造を説明する。これは、図１に示されている部
分の鳥胴部に限定することができる。この部分の鳥胴部
は、専門家の間では「前半身」と呼ばれており、斜めに
横断方向に切断されており、骨盤は脚と一緒に切り落と
されている。本実施例の場合、好ましくは手羽関節と手
羽の上腕骨との間の骨のない部分で切断して手羽も切り
落とされている。

【０００８】このため、処理すべき鳥胴部の骨格は、主
要部分として肋骨２を備えた胸郭１と、それを通る脊柱
３部分と、胸骨稜４及び胸骨板５を含む胸骨６と、自由
端部に手羽関節が設けられている烏がい骨７とを有して
おり、烏がい骨の一方側から鴨思骨９が、反対側から肩
甲骨10が延びている。

【０００９】本発明に従って処理するため、「前半身」
は、適当な方法で回転駆動されるコンベヤ11の上に取り
付けるか、帽子のように被せられる。このコンベヤは、
処理機の図示しないフレーム内に設けられており、その
周囲には、本発明の方法の各段階を実施し、その目的の
ために適当に設計されてコンベヤ11の移動と同期するよ
うに制御された一連の処理具が配置されている。処理具
は、コンベヤの搬送サドル12の対称面の両側に対にして
配置されている。各処理具の個々の部材は、それらの水
平方向移動成分が互いに同期するが互いに逆向きに発生
する一方、垂直方向成分は互いに同期して同一方向に発
生するように、制御されている。

【００１０】コンベヤ11は無端ガイドチェーンを有して
おり、これに上記搬送サドル12が取り付けられ、サドル
の各々の前端部にサドルホーン13が形成されている。
「前半身」の搬送サドル12への取り付けは、「被せる」
すなわち帽子をサドルに載せるようにして実施されるた
め、サドルホーンが胸郭１にはまり、胸骨板５がサドル
の背で支持されるようにする。このように、脊柱３の頭
側の端部が搬送方向を指し、胸部分が上に向き、背中部
分16が下向きになって搬送される。「前半身」は、脊柱
３をサドルに係合させることによって長手方向に固定さ
れるが、この状態は搬送サドル12上に設けられた図示し
ないクランプ機構によってさらに固定して、処理中に発
生する力を受け取って吸収できるようにすれば好都合で
ある。

【００１１】上記のようにして準備された鳥胴部はコン
ベヤ11によって前方へ運ばれて、処理段階ａ）を実施す
る処理具14の作業または作動領域に達する。これらの処
理具14は、搬送方向の逆に向けられた１対の拡張フィン
ガ15を有している。これらのフィンガは、首の開口部付
近で背中部分16に付着している皮と肉との間に差し込ま
れ、この差し込み作業はサドルホーン13の下側で実施さ
れる。フィンガは制御されながら横方向に移動すると共
に外形に沿って案内されることによって皮を持ち上げ
る。拡張フィンガ15の先端部は最終的に「前半身」を形
成した切断面の部分から外に出る。同時に、拡張フィン
ガ15は拡張位置へ移動するように制御されて、これによ
って最終的に皮の渡り部分が引っ張り過ぎによって脊柱
３の上の最も弱い部分で裂ける。

【００１２】このように皮が部分的にはがされた鳥胴部
は、コンベヤ11の下側部分の、特にまず処理段階ａ'）
を実施する処理具17の作動領域に達する。この処理具17
は、互いに反対方向に回転する１対の歯付きの円錐形ロ
ーラ18を有しており、これらのローラはその間に皮19を
引き込み、処理具14で下処理されているために全体をや
ぶれ目のない一体状にして引き離す。

【００１３】皮がはがされた鳥胴部は続いて処理段階
ｂ）を実施する処理具20の作業段階に入る。この処理具
は、手羽関節８付近から延びている鴨思骨９の外形に沿
って案内されて鴨思骨９を肉から切り離す１対のナイフ
刃21を有している。

【００１４】次の処理段階ｃ）は、手羽関節８の部分に
付着している肉部分を切り離す１対のナイフ刃27で実施
され、このためにナイフ刃は制御を受けながら短時間内
向きに作動位置へ移動する。

【００１５】次の処理段階ｄ）は処理具22によって実施
される。これは１対のかき取り刃23を有しており、これ
らは凹状の外形が鳥胴部の出張りに合わされている。か
き取り刃23の各々には搬送方向の反対を向いた先端部24
と、かき取り縁部25とが設けられており、かき取り縁部
25は先端部24から続き、すき状に窪んでいる。かき取り
刃23はこのような構造になっているため、それらは先端
部24と共に基本位置で手羽関節８のすぐ下側及びこの位
置から脊柱３に沿って延在している肩甲骨10の外側の横
腹の平面上の肉にはいり込む。かき取り刃23は、肩甲骨
10に沿って摺動することによって、その位置にあって脊
柱３に続いている部分の肋骨２に付着している肉部分を
切り離すことができるように制御される。

【００１６】この処理段階の後、背中部分に存在してい
る肉部分26が骨格から切り離されて、鳥胴部の横腹から
下向きに重力の影響で垂れ下がる。このように処理され
た鳥胴部は次に、処理段階ｅ）を実施する処理具28及び
／または29の作動領域に達する。これらの処理具は、そ
れぞれ対になったかき取りフィンガ30及び31を有してお
り、それらはまず烏がい骨７及び肋骨２のまだ覆われて
いる部分に付着している肉部分を持ち上げてから、胸骨
板５の上の部分を持ち上げる。

【００１７】この時、肉は胸骨６の稜４に付着している
だけの状態まで骨格から切り離されている。この接続部
分は処理段階ｆ）で切り離され、このために１対のかき
取りフィンガ３３を有している処理具３２が用いられ
る。このようにして得られた肉部分はバタフライ型の切
り身３４として落下する一方、骨格は適当な方法で搬送
サドル１２から取り外されて、次のサイクルを開始でき
るようにする。

【００１８】本発明による方法はまた、鳥胴部の処理の
進行に伴って生じる鳥胴部の安定性の低下に従って制御
を実施できるように選択された所定の順序で処理段階を
実施すれば、それぞれの後続の作業段階が受ける影響を
最小限に抑えることができるため、高い製品収量及び品
質を保証することができる。

【００１９】

【発明の効果】以上のように本発明は、それぞれ分離さ
れた各処理行程でそれぞれに適した処理具によって処理
されるので、高品質の切り身の収量を最大にすることが
でき、かつ、その切り口をスムースにすることができる
ので外観の優れた肉を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】鳥の骨格の斜視図である。

【図２】本発明による方法を実施するための装置を概略
的に示す側面図である。

【符号の説明】

１ 胸郭 ２ 肋骨 ３ 脊柱 ４ 胸骨稜 ５ 胸骨板 ６ 胸骨 ７ 烏がい骨 ８ 手羽関節 ９ 鴨思骨 10 肩甲骨 11 コンベヤ 12 サドル

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 カール−ハインツ・ディージング ドイツ連邦共和国 2400 リューベック １・ハイムシュテッテン 21 (72)発明者 ペーター・グロス ドイツ連邦共和国 2418 ラッツェブル ク・ベルケンブッシュ・18 (72)発明者 ヴォルフガング・ヴァグナー ドイツ連邦共和国 2067 ラインフェル ト・ゾンネンタオヴェーク・21 (56)参考文献 特開 昭61−139334（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−72823（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−19645（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−224433（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−126033（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】屠殺した鳥の胴部から機械によって肉を切
   り離して切り身にする処理を行う方法であって、前記胴
   部は「前半身」として知られる形として前処理されてお
   り、すなわち、左右の対称面を有するよう斜めに横断し
   て切断されていて、骨盤は脚と一緒に切り落とされ、手
   羽も取り除かれており、従って、主要部分として、胸郭
   と、脊柱の対応部分と、肋骨と、胸骨稜及び胸骨板を含
   む胸骨と、手羽関節及び鴨思骨を含み、胸骨によって支
   持された烏がい骨と、肩甲骨とを有している胴部分とし
   て前処理されており、前記胴部分は、前記手羽関節を前
   にしてサドルに載せられてそれに取り付けられ、前記対
   称面にほぼ平行な方向に搬送されるようになっており、 ａ）背中部分を覆っている皮を背中の肉から引き離し
   て、前記脊柱（３）付近で前記皮を切断する段階と、 ｂ）肉部分を、前記鴨思骨（９）の外形に沿ってかき取
   るようにして前記鴨思骨（９）から切り離す段階と、 ｃ）前記手羽関節（８）の前部分に付着している肉部分
   を、前記手羽関節（８）の前部分から切り離す段階と、 ｄ）背中部分の前記助骨（２）に付着している肉を、そ
   の部分の前記肋骨（２）および前記肩甲骨（１０）から
   切り離す段階と、 ｅ）前記肋骨（２）の上記以外の部分及び前記胸骨板
   （５）に付着している肉部分をこれらの骨から切り離す
   段階と、 ｆ）最後に切り身を前記胸骨（６）の前記稜（４）から
   切り落とす段階とを有し、これらの段階それぞれは、少なくとも１つの工具を用い
   て行われること を特徴とする方法。