JP2520155C - - Google Patents

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JP2520155C
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田辺製薬株式会社
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、酵素や微生物菌体のような生体触媒を基質と反応させて種々の有用
物質を製造する方法において、該触媒反応を効率良く行う方法および該方法に用
いるための装置に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、限外濾過膜を
併置した反応部と、生成物の分離機能を備えた晶析部とで構成される反応装置を
用い、反応混合物を該装置に循環させて生成物を析出させ、分離することにより
、高い基質濃度の反応混合物から生成物を蓄積させ、効率よく生体触媒反応を行
う方法およびそのための装置に関するものである。 [従来技術と解決すべき課題] 酵素や微生物を触媒とする反応は、その高い基質特異性により、常温、常圧の
緩和な条件下で効率良く進むことから、これらの生体触媒を用いて種々の有用物 質を製造する試みがなされている。これらの生体触媒を用いる反応は通常、水溶
液または水性懸濁液中で行なわれるが、これら生体触媒は、高温等の苛酷な条件
下では極めて容易に失活してしまうので、反応後、生成物を懸濁状の反応混合物
から分離し、さらに生体触媒をその活性を維持したままで回収して再利用するこ
とは極めて困難である。従って、たとえ充分な活性が残っていても反応液と一緒
に捨てなければならず、極めて不経済であった。 近年、上記問題の解決策として、固定化生体触媒の利用が高まっている。固定
化生体触媒とは、生体触媒を、適当な固体担体に吸着させるか、もしくは固体担
体に包括せしめてなる不溶性の触媒である。この固定化生体触媒を用いた物質生
産プロセスの利点として、生体触媒が安定化されており、反応の連続操作が可能
であること、生成物と生体触媒との分離が容易であり、澄明な反応液が得られる
こと、生体触媒の反復利用が可能であること等を挙げ得るが、他方、欠点として
、固定化時に生体触媒の一部変性および失活を免れ得ず活性が低下していること
、また、このような生体触媒反応の反応性は基質濃度に依存しているが、基質濃
度を高くすると生成物が飽和溶解度以上に生成し、触媒内部や表面に析出して反
応を円滑に行えなくなるという点が指摘される。即ち、多くの固定化生体触媒反
応では、蓄積できる生成物の濃度は、それ自身の反応温度における飽和溶解度に
よって決まるために、一般には飽和溶解度以上の生成物を得ることができなかっ
たのである。 このような状況下、固定化生体触媒反応での生産効率を向上する手段として、
基質や生成物等の低分子量物質は透過させるが、生体触媒等の高分子量物質を透
過させないような膜を用いて生体触媒を隔離することにより、全体として固定化
生体触媒作用を発揮させ、生体触媒の固定化操作に伴う活性の低下を防ぐ方法が
提案されている。しかしながら、この方法では、活性は充分に発現され得るが、
安定性は従来の吸着法や包括法で調製された固定化生体触媒の安定性に比べて低
く、失活し易いために、回収再利用には不適当である。他方、本出願人は、固定
化生体触媒を用いる反応において、反応の進行と同時に生成物の分離、精製を行
うことにより、反応液中の生成物濃度を高める方法を開示した(特開昭61−5789 号)。この方法によって、生成物の高濃度化は達成されたが、固定化に伴う活性
の低下という問題点は未解決のままであった。従って、本発明者らは、より効率
のよい生体触媒による反応方法を開発することを目的として鋭意、研究を重ねて
きた。 [課題を解決するための手段] 本発明は、上記の様々な課題を解決するものであって、生体触媒の活性を高く
維持しつつ、固定化生体触媒の機能を充分に発揮させ、高濃度の生成物を蓄積さ
せて効率よく反応させる方法および該方法に用いるための装置を提供するもので
ある。本発明方法は、生体触媒を透過させない限外濾過膜(以下、UF膜と称する
)を併置する反応部と、生成物の析出、分離機能を備えた晶析部とからなる反応
装置を用いることによって達成された。 即ち、本発明は、基質と固定化されていない生体触媒とを反応させて有用物質
を製造する方法において、限外濾過膜を併置する反応槽からなる反応部と、温度
調節機構を備えた晶析槽に濾過器を併置してなる晶析部とで構成された装置を用
い、反応混合物を反応槽から限外濾過膜に循環させて生成物に富む濾液を得、該
濾液を生成物の析出温度に設定した晶析槽に送って生成物を析出させ、濾過器で
分離した後、その母液を反応槽に循環させることを特徴とする方法、並びに該方
法に用いるための装置を提供するものである。 本発明方法は、たとえば、攪拌下、反応部の反応槽内で基質と生体触媒とを反
応させながら、これら出発物質と生成物とを含有する反応混合物を循環させてUF
膜に接触させ、生成物に富む濾液を分離し、該濾液を、生成物の溶解度が反応部
での飽和溶解度よりも低くなるように温度設定された晶析槽に送って析出させ、
得られた生成物を分離し、蓄積させた後、母液を再び反応部に戻して再使用する
ことで実施される。 本発明装置の反応槽に併置されるUF膜としては、生体触媒である微生物細胞や
酵素タンパク質の透過を妨げ、低分子量の基質や生成物のみを透過させる適当な
孔径の細孔膜である限り、その種類に制限なく、平膜、中空糸(ホローファイバ
ー)膜等から任意に選択することができる。しかしながら、分画分子量が約5,00 0〜50,000であって、単位体積当たりの透過面積が約2ないし30m2と大きいホロ
ーファイバー型式の膜が好ましい。 反応槽としては、基質と生体触媒間の外部拡散抵抗を除去するための機能を備
えたものであればいずれの型式のものであってもよく、適当な攪拌機の付いた攪
拌槽や、液流動用ポンプの付いた塔型式のものを用いることができる。 また、晶析槽としては、熱交換機能、固−液分離機能、攪拌機能を有するもの
であれば、いかなる型式のものを選択してもよい。 上記の如く、本発明方法では、反応槽〜UF膜、およびUF膜〜晶析槽〜反応槽間
に、反応液を循環させる。従って、本発明装置は、これらの各部位を送液ライン
で連結すると共に、液を循環させるための循環ポンプを適宜配設して構成されて
いる。 本発明方法は、通常の生体触媒による反応に広く適用可能である。そのような
反応には、たとえば、トランスアミナーゼのような酵素を粗酵素のまま、または
精製酵素として用いることができ、あるいは、トランスアミナーゼ活性を有する
パラコッカス・デニトリフィカンス(Paracoccus denitrificans)IFO12442やエ
ッシェリヒア・コリ(Escherichia coli)PA501株(特願昭62−313505号)の如
き微生物細胞の培養液をそのまま、あるいは濃縮精製した濃縮菌体として用いる
こともできる。このような生体触媒は市販されているか、または調製可能である
が、微生物細胞を用いるときには、反応液中に培養液由来の來雑物が混入するこ
とを避けると共に、取り扱いを容易にするために、培養液を1/5〜1/50程度に濃
縮精製したものを用いることが好ましい。 また、基質は、目的物質に対応するものが選択されるが、それが水溶性の場合
には、適当に高濃度の水溶液として用い、難溶性であれば、懸濁液として用いる
。反応槽への添加は、最初に一括して加えるか、あるいは反応中に数回に分けて
加えるいずれの方法でもよい。生体触媒反応が基質で阻害される場合には後者の
方法が好ましい。 本発明方法では、上記の如く、反応槽内の反応混合物を循環させてUF膜に接触
させ、生成物に富む濾液と生体触媒を含有する反応液とを分離する。後者はその まま反応槽に戻されるが、前者の濾液を晶析槽に導き、該槽内で生成物を析出さ
せて分離した後、反応母液を反応槽に戻す。この一連の反応機構を通して循環さ
れる反応液の流速は、反応槽〜UF膜間では生体触媒がUF膜内に貯溜されない程度
であればよく、UF膜〜晶析槽〜反応槽間では、反応効率の観点から、UF膜の濾液
中に基質が若干残存している状態が得られる程度の流速とするのが好ましい。 反応槽の温度は生体触媒の活性と安定性を維持するために、通常、0〜60℃の
範囲とするが、20〜45℃に設定することが好ましい。 晶析槽の温度は、反応温度における生成物の飽和溶解度よりも低い飽和溶解度
を与える温度に設定することが必要である。即ち、溶解度が温度上昇に伴って上
昇する物質の場合には、晶析槽の温度を反応槽の温度よりも低くし、その逆の場
合には高くすればよい。 次に、上記本発明方法の1実施態様を、図面に従って説明する。 第1図は本発明の反応装置の該略ブロック図である。反応槽(1)にはホロー
ファイバー型のUF膜(2)が、晶析槽(3)には濾過器(4)がそれぞれ併設さ
れており、これらの間にはポンプ(5)、(6)および(7)が配設され、反応
槽(1)からUF膜(2)には反応混合物が、UF膜(2)から晶析槽(3)にはUF
膜濾液が、そして濾過器(4)から反応槽(1)間には生成物分離後の母液が夫
々送液ライン(10)、(10′)、(10″)を通って循環するように構成されてい
る。反応槽(1)および晶析槽(3)にはそれぞれ、攪拌機(8)および(9)
が設けられている。晶析槽(3)に併置される濾過器(4)の形状および設置方
法は特に限定されるものでなく、第1図に示すように、晶析槽(4)にオーバー
フロー管を付け、その管の出口に設置してもよいが、晶析槽(3)の断面全域に
吸引式の平板式濾過板を設置したり、あるいは、円筒式濾過板を晶析槽(3)内
に浸漬して設ける方法(第2図参照)でもよい。 本発明装置を用いて生体触媒反応を行うには、まず、反応槽(1)に基質溶液
または基質懸濁液と生体触媒を入れ、反応混合物を攪拌機(8)で攪拌する。同
時に、反応混合物を、ポンプ(5)により送液ライン(10)を経てUF膜(2)に
導く。UF膜(2)がホローファイバー膜であれば、循環液を膜の内、外いずれに 導いてもよい。次いで、UF膜(2)を透過した濾液をポンプ(6)によって抜き
出し、送液ライン(10′)を経て晶析槽(3)に送り込むと、反応生成物の溶解
度が反応槽(1)内におけるよりも低くなるように温度設定された晶析槽(3)
内で生成物は過飽和となり、析出する。生成物が析出し、反応槽(1)内よりも
低濃度で飽和されたUF膜(2)濾液はオーバーフローして濾過機(4)に入り、
生成物が分離される。析出した生成物を晶析部に残し、母液をポンプ(7)によ
り送液ライン(10″)を経て反応槽(1)に戻すと、該液は未飽和の基質を溶解
し、再度反応に供せられる。 基質が消耗されるまでこの操作を繰り返して行うと、晶析部には懸濁状の生成
物のみが蓄積されることになる。 第2図は他の実施例を示す図であって、第1図の反応装置において、反応槽(
1)が除かれている。この場合には、基質を晶析槽(3)内に入れ、生体触媒を
UF膜(2)の空間に置いて、反応混合物を晶析槽(3)からUF膜(2)に循環さ
せて反応させる。この装置では、晶析部[晶析槽(3)と濾過器(4)]の実効
容積に対する反応部[UF膜(2)]の実効容積の比が小さいので、反応液への生
成物量の損失を少なくすることができる。 [実施例] 以下に実施例および実験例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。実施例1 トランスアミナーゼ活性を有するDNA組換えエッシェリヒア・コリPA5
01株によるフェニルピルビン酸とL−アスパラギン酸からのL−フェニルアラニ
ンの生産 (1)装置 ホローファイバー型UF膜(旭化成、SIP1013、透過面積0.2m2、分画分子量6000
)の併置した反応槽(実効容積0.55l)と実効容積0.45lの外浴付き晶析槽およ
び円筒型平板濾過器(直径8cmφガラスフィルター)を第1図の様式で連結した
ものを用いる。 (2)生体触媒 微生物細胞を次の如く調製した。 まず、グルコース 0.2%、ラクトース1%、コーンスチープリカー2%、ミー
ストN 2%、グルタミン酸ナトリウム 0.5%、(NH4)2SO4 0.1%、K2HPO4 0.7%、
KH2PO4 0.3%、MgSO4・7H2O 0.025%、カラリン 0.03%を含む培地10l(pH 7.0
)にDNA組換えエッシェリヒア・コリPA501株(宿主:エッシェリヒア・コリHB10
1株;ベクター:pUC18;挿入DNA:パラコッカス・デニトリフィカンスのゲノムD
NAの一部)の前培養液0.1lを植菌し、37℃で22h 通気攪拌培養した。 培養液を遠心分離して1/37に濃縮し、濃縮微生物細胞を調製した。 (3)操作 濃縮微生物細胞5g、フェニルピルビン酸ナトリウム(1水塩)0.2mol、L−ア
スパラギン酸アンモニウム1.625molを反応槽に充填し全量を0.97l(pH8.0)とし
た。 反応槽の温度を30℃に設定し、攪拌を行うと同時に槽内の基質と微生物細胞を
UF膜の外側(シェル側)を循環させた。 同時に、UF膜から濾液を0.51lの流速で抜き出し、5℃に設定した晶析槽に送
り、晶析槽からのオーバフロー液は濾過器を通して反応槽に戻した。 反応開始0.5時間後に反応槽に0.02molのフェニルピルビン酸ナトリウムを加え
、以後0.5時間間隔で同量のフェニルピルビン酸ナトリウムを加えて行き、7.5時
間で総量0.5molを仕込んだ。 24時間で反応を停止したところ、反応液中のフェニルピルビン酸は完全に消失
し、0.486molのL−フェニルアラニンが生成していた。 生成したL−フェニルアラニンのうち57%は固相に、残りの43%が液相に存在
していた。 この固相のL−フェニルアラニンを濾別し、その時得られた母液と洗滌液(0.
985l>)に新たに濃縮微生物細胞5gとフェニルピルビン酸ナトリウムを加え(初
回0.05mol、以後は0.5時間毎に0.02mol、総仕込量0.25mol)、pHを8.0として24
時間反応させ、1回目の反応と同様に、蓄積したL−フェニルアラニンの結晶を
濾別した。この操作を合計3回行った(フェニルピルビン酸の総仕込量1.25mol
)ところ、生成したL−フェニルアラニンは1.185mol(転換率94.5%)となり、
こ のうち76.5%が結晶として回収できた。実施例2 トランスアミナーゼ活性を有するパラコッカス・デニトリフィカンス
IFO12442によるフェニルピルビン酸とL−アスパラギン酸からのL−フェニルア
ラニンの生産 (1)装置 ホローファイバー型UF膜(アミコン社、HIP10−8、透過面積0.083m2、分画分
子量10,000)と実効容積0.17lの外浴付晶析槽とを第2図の様式に従って連結し
て用いる。 (2)生体触媒 微生物細胞を次の如く調製した。 まず、グルコース1%、(NH4)2HPO4 0.2%、ミーストN(ビール酵母エキス)
1%、コーンスチープリカー1%、ペプトン 0.5%、KH2PO4 0.1%、MgSO4・7H2
O 0.05%、カラリン0.03%を含む培地5l(pH7.0)にパラコッカス・デニトリ
フィカンスIFO12442の前培養液0.05lを植菌し、30℃で24時間通気攪拌培養した
。培養液に1%のセチルトリメチルアンモニウムブロマイドを0.05l添加し、30
℃で0.5時間放置して微生物細胞の活性化を行った後、遠心分離によって1/15に
濃縮し、濃縮微生物細胞を調製した。 (3)操作 この濃縮微生物細胞16gに水を加えて全量を0.031lとし、30℃に保温したUF膜
の外側空間部に充填した。他方、晶析槽には、0.064molのフェニルピルビン酸ナ
トリウム(1水塩)、0.204molのL−アスパラギン酸アンモニウム、2×10-5mo
lのピリドキサル5′−リン酸(補酵素)を充填し、水で全量を0.165lとした。 晶析槽の温度を5℃に設定し、0.09lの循環流速で濾液循環を行い反応を開始
した。反応開始2,3,および12時間目にフェニルピルビン酸ナトリウムをそれぞ
れ0.031molずつ追加し、反応を続けたところ、25.5時間後フェニルピルビン酸は
完全になくなり、晶析槽にL−フェニルアラニンの結晶が蓄積した。 フェニルピルビン酸のL−フェニルアラニンへの転換率は92.4%で、そのうち
65.5%が固相に、そして残りの34.5%が液相に存在していた。 上記の実施例2で使用した生体触媒の固定化標品を用い、従来の晶析槽を備え
た装置、およびカラムを用いる連続系で以下の実験例に従って反応を行い、その
結果を比較した。実験例1 (a)晶析槽を備えた装置を用いる方法 実施例2−(2)で調製した濃縮微生物細胞をκ−カラギーナンゲルで包括し
た固定化パラコッカスデニトリフィカンスを用いてL−フェニルアラニンのけん
濁反応を行った。 (1)装置 実施例2の装置におけるUF膜に代えて、目皿式攪拌槽型反応器(実効容積0.13
l)と実効容積0.325lの晶析槽を閉回路で連結(連結様式は第2図参照)した
ものを用いた。 (2)固定化生体触媒 固定化微生物細胞は次の如く調製した。 まず上記濃縮固定化微生物細胞80gに生理食塩水を加えて全量を0.16lとして4
0℃に保温した。 これと別にκ−カラギーナン12.5gを含んだ45℃の溶液0.207lを用意し、両者
を混合して10℃に冷却してゲル化した。 得られたゲルの塊を2%塩化カリウム溶液に浸せきし、10℃以下で一夜放置し
てから、平均粒径3m/mφに成形し、成形品を2%塩化カリウム溶液で洗浄して標
品とした。 (3)操作 上記(2)で調製した標品55gを反応槽に充填し、同時に晶析槽には0.1molの
フェニルピルビン酸ナトリウム、0.45molのL−アスパラギン酸アンモニウム、4
.5×10-5molピリドキサル5′−リン酸を充填し、全量を0.315l(pH8.0)とし
た。 反応槽の温度を30℃、晶析槽の温度を5℃に調節して濾液を1.16l/hの流速で
循環し反応を開始した。 反応開始5.5、30.5、47.5、および55.5時間目にフェニルピルビン酸ナトリウ ムを0.05molずつ加えて反応を続けたところ、95時間目にフェニルピルビン酸は
完全になくなり、晶析槽にはL−フェニルアラニンの結晶が蓄積した。 この場合、フェニルピルビン酸のL−フェニルアラニンへの転換率は71.2%で
、生成したL−フェニルアラニンのうち、65.3%が固相に、残りの34.7%が液相
に存在した。 (b)連続系による方法 上記(a)−(2)で調製した固定化微生物細胞を用い、連続系でL−フェニ
ルアラニンの生産を行った。 (1)装置および操作 使用した反応器は直径3cmφ、高さ25cmの外浴付円筒カラムで、この中に固定
化微生物細胞0.0685l充填(充填率0.585)した。 カラムを30℃に制御し、その中へフェニルピルビン酸ナトリウム0.25M、L−
アスパラギン酸アンモニウム0.325M、ピリドキサル5′−リン酸10-4Mの基質溶
液(pH8.0)をポンプによって連続的に供給した。 流速が0.0076l/h(平均滞留時間9h)の時、カラム出口のフェニルピルビン酸
の濃度は0であり、L−フェニルアラニンの濃度は0.197Mであった。この値から
、フェニルピルビン酸のL−フェニルアラニンへの転換率は78.8%と計算される
。 以上の実施例2および実験例(a)および(b)の反応で実際に蓄積したL−
フェニルアラニンの濃度と、微生物細胞当たりのL−フェニルアラニンの生産性
をまとめると第1表の如くとなった。 上記表より明らかな如く、本発明方法によれば従来の晶析槽を併置した固定化 生体触媒反応器や、カラム型反応器による生産法よりも、高濃度のL−フェニル
アラニンを蓄積でき、生産性が向上される。 [発明の効果] 上記の如く、本発明方法によれば、簡単な装置と操作により、生体触媒が高活
性を保った状態で、高濃度の基質の存在下、生成物を高濃度に製造し、蓄積させ
ることができる。従って、基質および生体触媒を無駄なく利用し、効率よく反応
を行うことができる。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の実施例を示す装置の概略ブロック図、第2図は他の実施例を
示す装置の概略ブロック図である。 図中、(1)は反応槽、(2)はUF膜、(3)は晶析槽、(4)は濾過器、(
5)〜(7)はポンプ、(8)および(9)は攪拌機、(10)、(10′)および
(10″)は送液ライン。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.基質と固定化されていない生体触媒とを反応させて有用物質を製造する方
    法において、限外濾過膜を併置する反応槽からなる反応部と、温度調節機構を備
    えた晶析槽に濾過器を併置してなる晶析部とで構成された装置を用い、反応混合
    物を反応槽から限外濾過膜に循環させて生成物に富む濾液を得、該濾液を生成物
    の析出温度に設定した晶析槽に送って生成物を析出させ、濾過器で分離した後、
    その母液を反応槽に循環させることを特徴とする方法。 .生体触媒がトランスアミナーゼであり、基質がフェニルピルビン酸および
    L−アスパラギン酸であり、生成物がL−フェニルアラニンである請求項1
    記載の方法。 .反応槽および固定化されていない生体触媒を透過させない限外濾過膜から
    なる反応部と、温度調節機構を有する晶析槽および濾過器からなる晶析部とを相
    互に連結してなることを特徴とする生体触媒反応用の装置。

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