JP2872178B2 - L−アスパラギン酸の製造方法 - Google Patents

L−アスパラギン酸の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばマレイン酸
とアンモニアとから得られるマレイン酸及び/又はその
塩を随伴している、結晶L−アスパラギン酸製品に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、アスパルターゼ活性を有する微生
物を用いてフマル酸アンモニウムからL−アスパラギン
酸を製造する方法としては、α−アミノ酪酸に耐性を有
する微生物を好気的に培養後反応に供する方法(特公昭
61−29718号公報)、フマル酸添加培地で培養し
た微生物菌体を用いる方法(特開昭60−120983
号公報)、天然物多糖由来のポリマー等に大腸菌(Es
cherichia coli)を固定化した固定化微
生物充填カラムを用いる方法(特開昭53−6483号
公報)など種々の方法が知られている。
【0003】しかし、これらの製造方法では、原料とし
てマレイン酸より高価なフマル酸を利用しているため、
酵素あるいは微生物菌体を高度に利用したプロセスが種
々開発されてきているが、原料面でのコスト増は否めな
かった。また、反応生成物であるL−アスパラギン酸の
回収は通常硫酸などの鉱酸を反応液に添加することによ
りL−アスパラギン酸を晶析、分離して行われている
が、この場合、硫安などの副生成物が多量に発生し、こ
れらを除去する必要や廃棄物の問題などがあり、経済的
にも、環境的にもL−アスパラギン酸を沈澱させた母液
を循環使用する閉鎖系のシステムが望まれていた。
【0004】US4560653においてL−アスパラ
ギン酸生産の際にアスパルターゼもしくはアスパルター
ゼ生産菌をフマル酸とアンモニアに作用させ、生成した
L−アスパラギン酸アンモニウムの水溶液にマレイン酸
を添加することによりL−アスパラギン酸を析出させ溶
液を異性化することにより、晶析後の母液を循環使用す
る方法が開示されている。しかし、母液中のマレイン酸
をフマル酸に変換するために母液にブロミドなどの化学
触媒添加後加熱して異性化しており、異性化触媒の除去
など煩雑な工程になっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明は、安価
な原料を用い、工程が簡単であり、且つ多量のアンモニ
ウム塩を排出しない、L−アスパラギン酸の製造方法を
提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記のよう
な問題点を解決するために鋭意検討を行った結果、異性
化工程においても酵素、あるいは微生物を用いた生化学
的な方法を用いることにより安価なマレイン酸より直接
L−アスパラギン酸が得られ、しかも、母液の循環使用
を可能にできる方法を確立し、本発明を完成させるに至
った。
【0007】従って本発明は、マレイン酸とアンモニ
ア、及び/又はマレイン酸アンモニウムを含有する基質
媒体に、マレイン酸イソメラーゼ活性とアスパルターゼ
活性とを有する酵素含有物、又はマレイン酸イソメラー
ゼ活性を有する酵素含有物とアスパルターゼ活性を有す
る酵素含有物を作用せしめることによりL−アスパラギ
ン酸を生成せしめ、次にL−アスパラギン酸を含有する
反応済媒体からL−アスパラギン酸を採取することによ
りL−アスパラギン酸を製造する方法において、前記反
応済媒体に無水マレイン酸、及び/又はマレイン酸を添
加することによりL−アスパラギン酸を析出せしめて採
取し、残った母液にアンモニアを添加し基質媒体として
再使用することを特徴とする方法を提供する。
【0008】本発明はまた、上記の方法により製造され
たマレイン酸を含有する工業用結晶L−アスパラギン酸
製品を提供する。
【0009】
【発明の効果】本発明によれば、フマル酸より安価なマ
レイン酸を原料にL−アスパラギン酸が得られ、しか
も、ブロミドなどの化学触媒を母液に添加することなく
母液を循環使用できるため、L−アスパラギン酸を安価
にかつ効率よく製造することができる。
【0010】
【具体的な説明】本発明に使用する微生物としては、マ
レイン酸イソメラーゼ活性とアスパルターゼ活性を有す
る微生物であれば特に限定されないが、例えばアルカリ
ゲネス(Alcaligenes)属に属する微生物
(アルカリゲネス・フェカーリス(Alcaligen
es faecalis)ATCC8750)などマレ
イン酸よりL−アスパラギン酸を収率よく生成する特徴
を有する微生物が好適に用いられる。またマレイン酸イ
ソメラーゼ活性を有する微生物およびアスパルターゼ活
性を有する微生物をくみあわせて使用することも可能で
ある。
【0011】マレイン酸イソメラーゼ活性を有する微生
物としては例えばシュードモナス(Pseudomon
as)属に属する微生物(シュードモナス・マルトフィ
リア(Pseudomonas maltophili
)ATCC13270)などマレイン酸よりフマル酸
を収率よく生成する特徴を有する微生物であれば特に限
定されない。
【0012】またアスパルターゼ活性を有する微生物と
しては例えばエッシェリシア(Escherichi
)属に属する微生物(エッシェリシア・コリ(Esc
herichia coli)ATCC11303,A
TCC9637,ATCC27325)、ブレビバクテ
リウム(Brevibacterium)属に属する微
生物などフマル酸よりL−アスパラギン酸を収率よく生
成する特徴を有する微生物であれば特に限定されない。
【0013】マレイン酸イソメラーゼ活性を有する微生
物とアスパルターゼ活性を有する微生物は混合して反応
に用いてもまた別々に反応に用いることも可能である。
本発明の方法に使用される上記微生物菌体の調製に使用
する培地は特に限定されるものではなく、一般の微生物
に使用される培地でよい。培地の炭素源としては、例え
ば、グルコース、フラクトース、ショ糖などの糖類、マ
レイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酢酸などの有機酸、お
よびエタノールなどのアルコールが使用できる。
【0014】培地の窒素源としては、アンモニア、硫酸
アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、
尿素などの無機塩類が使用できる。さらにペプトン、酵
母エキス、コーンスティープリカー、カサミノ酸などの
有機窒素源も使用できる。無機塩としては、燐酸−水素
カリウム、燐酸二水素カリウム、硫酸マグネシウム、硫
酸第一鉄等が用いられる。また必要に応じてビタミン類
も適宜添加できる。
【0015】培養は通気攪拌、振とうなどの好気的条件
下で行い、培養温度は20〜40℃、好ましくは28〜
37℃である。培養液のpHはpH5〜10、好ましくはpH
7〜8で行い、pHの調整は酸またはアルカリの添加によ
り行う。培養開始時の培地中の炭素源の濃度は0.05
〜10重量%、好ましくは0.5〜2重量%で行う。培
養期間は10時間から4日間、好ましくは15時間から
3日間で行う。
【0016】上記のごとく培養して得られる微生物菌体
は遠心または濾過により集め、水または適当な緩衝液を
用いて洗浄し、本発明の反応に使用する。本発明の反応
に使用する酵素含有物としては、微生物菌体をそのまま
用いることもできるし、超音波、摩砕、凍結融解、界面
活性剤処理などにより物理的または生化学的に処理して
破砕した菌体破砕物、さらに、硫酸アンモニウム塩析、
アセトン沈澱等常法により得られる酵素を用いることも
できる。
【0017】また当該菌体又は菌体破砕物もしくは酵素
をセルロース、アルギン酸、κ−カラギーナンなどの適
当な天然系高分子、あるいはイオン交換樹脂やポリアク
リルアミドなどの適当な合成系高分子を担体として常法
により固定化して用いることも可能である。固定化する
ことにより、酵素含有物と生産物との分離が容易にな
り、反応済媒体からの母液の循環使用の操作がより容易
に行うことが可能である。
【0018】また、反応に用いる酵素含有物中からフマ
ラーゼなど該反応の妨げになりうる酵素を予め失活させ
た後に酵素含有物を反応に用いることも可能である。例
えば、酵素含有物を、予め、L−アスパラギン酸および
アンモニウムイオン存在下、アルカリ域で40〜60℃
に加熱処理を行うことでフマラーゼ活性を予め失活させ
ておくこともできる。
【0019】本発明に用いられる基質となるカルボン酸
は無水マレイン酸、マレイン酸あるいはマレイン酸塩か
ら選ばれる少なくとも1つである。また本発明に用いら
れるアンモニアは液体アンモニア、アンモニア水溶液等
が使用可能であるが、取扱上、アンモニア水溶液が有利
である。アンモニア水の濃度としては特に限定されるも
のではないが、10〜35重量%が工業的に利用するの
が望ましい。
【0020】使用されるアンモニアの量は母液中に含有
されるマレイン酸に対して1.0倍モル以上3倍モル以
下が好ましい。アンモニアの量が1倍モル未満ではL−
アスパラギン酸の収率が低下する結果を招いてしまい好
ましくない。またアンモニア量が3倍モル以上では反応
に関与する生体触媒の安定性が悪くなる結果を招く可能
性が高く好ましくない。また必要に応じて上記のアンモ
ニア量の範囲で水酸化ナトリウムあるいは水酸化カリウ
ムなどのアルカリ金属水酸化物を併用することもでき
る。
【0021】なお、基質媒体のpHは5から10の範囲、
好ましくは7.0から9.0の範囲、さらに8.0〜
9.0の範囲がより好ましい。マレイン酸とアンモニア
を混合する場合、混合は、どのように行ってもよいが、
両者の全量を一度に混合するのではなく、一方の全量に
対して他方を徐々に添加するのが好ましく、特にマレイ
ン酸の水溶液に対してアンモニアまたはアンモニア水を
徐々に添加するのが好ましい。
【0022】マレイン酸とアンモニアとの反応はそれら
を溶解した水性媒体、例えば水又は緩衝液中で行う。緩
衝液としてはリン酸緩衝液等、常用の緩衝液を用いるこ
とができる。反応の際の原料のマレイン酸の濃度は5〜
40重量%が好ましいが、マレイン酸塩の溶解性と生体
触媒の反応性を考えると特に10〜30重量%の範囲の
水溶液で反応させるのが効果的であり、より好ましくは
10〜25重量%の範囲の水溶液で反応させるのが効果
的である。
【0023】また基質媒体には、さらに塩化マンガン、
硫酸マンガンなどのマンガン塩、または塩化マグネシウ
ム、硫酸マグネシウムなどのマグネシウム塩または、亜
鉛塩、カルシウム塩、ニッケル塩、コバルト塩、鉄塩な
どの金属塩を0.1〜50mM、好ましくは1〜10mMの
濃度で添加することが望ましい。またメルカプトエタノ
ール、グルタチオン、システイン、ジチオスレイトール
などのSH基を有する化合物を0.1〜50mM、好まし
くは1〜10mMの濃度で添加することが望ましい。
【0024】本発明における反応槽の態様は特に限定さ
れないが、例えば、バッチ型反応装置、カラム型反応装
置など従来から知られている反応槽で反応を行うことが
できる。反応槽は1つであってもよいし、複数あっても
差し支えない。またカラム型の反応装置の場合には、通
液速度をカラムに充填されている酵素含有物の種類によ
って変えて反応することも可能である。
【0025】反応温度は20〜50℃、好ましくは25
〜40℃の範囲で実施するのが望ましい。上記のような
条件でマレイン酸とアンモニアを反応させた後、得られ
た反応済媒体に無水マレイン酸、および/またはマレイ
ン酸を添加してL−アスパラギン酸を晶析させる。ま
た、母液の循環使用の妨げにならない範囲でマレイン酸
塩の添加も可能である。マレイン酸塩としては、マレイ
ン酸アンモニウム、マレイン酸ナトリウム、マレイン酸
カリウム等が使用される。
【0026】前記マレイン酸などを用いてL−アスパラ
ギン酸の析出を行うことにより母液の循環使用が可能に
なる。晶析に鉱酸を用いると母液を循環使用するために
は鉱酸のアンモニウム塩が蓄積し脱塩工程が必要となり
好ましくない。ここでL−アスパラギン酸の析出のため
に添加されるマレイン酸は無水物でも有水物でも、また
酸でも塩でも使用可能である。またマレイン酸を水溶液
やスラリーの状態で添加することも可能である。この場
合マレイン酸水溶液の濃度は操作上20重量%以上が望
ましい。いずれにせよ無機塩が生成しないため晶析物や
母液からの無機塩の除去操作は不要にすることが可能で
ある。
【0027】L−アスパラギン酸の析出のために反応済
媒体に添加されるマレイン酸などの量は反応済媒体中に
含まれているL−アスパラギン酸(塩として存在)の量
に応じて決めることができる。添加されるマレイン酸の
モル比は、反応済媒体に含まれているL−アスパラギン
酸に対して0.5〜1.5倍モルが好ましく、0.8〜
1.2倍モルがより好ましく、1.005〜1.1倍モ
ルがさらに好ましい。このモル比より少ないと晶析時に
回収されるL−アスパラギン酸の収率が低くなる恐れが
あり、過剰であるとL−アスパラギン酸以外の結晶が析
出する恐れがあり好ましくない。
【0028】L−アスパラギン酸を析出せしめる際に
は、反応済媒体にマレイン酸等を徐々に添加していく方
法が好ましい。この方法であれば、析出したL−アスパ
ラギン酸の結晶が大きく、母液からの遠心分離などによ
り分離に適したものとなる。L−アスパラギン酸の晶析
は、0〜100℃で10分間〜4時間、好ましくは、2
0〜80℃で30〜120分間攪拌して晶析を完了させ
ることができる。
【0029】また、反応済媒体を全く加温することなし
に、例えば酵素含有物との反応温度である20〜50℃
の温度において、マレイン酸を添加し、30〜120分
間攪拌することにより同様にL−アスパラギン酸を高収
率で析出、回収することが可能である。20〜50℃の
範囲での晶析は、反応済媒体を加熱、冷却する操作を行
うことなく、L−アスパラギン酸を析出、採取できるた
め、工業的に極めて有利な方法である。
【0030】析出したL−アスパラギン酸は、遠心濾
過、濾別などの従来の方法と同じやり方に従って母液と
分離される。分離されたL−アスパラギン酸は、必要に
応じて従来の方法と同じやり方に従って洗浄される。母
液と分離されたL−アスパラギン酸の粗結晶は、約15
〜7重量%のマレイン酸又はその塩を含有しており、こ
の結晶を水洗することによりマレイン酸及び/又はマレ
イン酸塩の量を減少させることができる。
【0031】例えば上記粗結晶を一回水洗することによ
り、マレイン酸及び/又はその塩の含量は約1重量%と
なり、さらに1回水洗することにより、マレイン酸及び
/又はその塩の量は約0.03重量%となり、さらに数
回水洗することによりマレイン酸及び/又はその塩の量
は約0.01重量%にまで減少させることができる。た
だし、母液の循環使用を考えた場合、あまり多量の水で
結晶を洗浄することはあまり好ましくない。なお、マレ
イン酸を含む洗液はL−アスパラギン酸晶析物を分離し
た母液と混合してL−アスパラギン酸の製造用原料とし
て再利用することが可能である。この場合、洗液は濃縮
した後に母液に混合しても何ら差しつかえない。
【0032】こうして、極めて簡単な方法により、例え
ば0.01〜15重量%好ましくは0.01〜1重量%
のマレイン酸及び/又はその塩を随伴するL−アスパラ
ギン酸の結晶を得ることができ、こうして得られたL−
アスパラギン酸の結晶の平均サイズは、晶析の方法を変
えることにより所望の平均サイズにすることができる
が、特にとり扱いやすい結晶の平均サイズとして50〜
500μmの範囲結晶を得ることも可能である。このL
−アスパラギン酸は工業用アスパラギン酸として、例え
ば界面活性剤、金属イオン封鎖剤、洗剤用組成物、化粧
品用組成物、腐食防止剤、医薬品、塗料などの原料とし
て、また、アスパラギン酸(1)ポリマー及びそれらの
誘導体などの工業用有用なポリマーの原料として極めて
有用である。
【0033】L−アスパラギン酸晶析物と分離した母液
は、L−アスパラギン酸の製造用原料として使用され
る。またL−アスパラギン酸の結晶を洗浄して生じた洗
液も母液と混合してL−アスパラギン酸の製造用原料と
して再使用される。すなわち、この母液(洗液を含んで
もよい)にマレイン酸、アンモニア、水などを適宜添加
したり、あるいは母液を濃縮したりして、母液中のマレ
イン酸濃度を例えば初期反応液と同じ濃度としたり、マ
レイン酸に対するアンモニアの当量比を1〜3倍モルに
調整したり、また容量を、例えば初期反応混合物と同じ
容積とするなど、適宜調整し、基質媒体としてから、マ
レイン酸とアンモニアの微生物菌体あるいは菌体破砕物
との反応→L−アスパラギン酸の上記晶析→L−アスパ
ラギン酸晶析物の上記分離(洗浄)→母液の上記使用を
繰り返すことにより、母液が循環使用される。本発明に
よれば、母液の循環使用は、10回以上可能である。
【0034】母液へのアンモニアの添加は、例えば、次
の点を考慮して行うのが、母液の循環使用を繰り返すた
めに、また微生物菌体あるいはその破砕物の寿命を長く
するためには好ましい。すなわち、循環使用される母液
中に含まれるアンモニア量が該母液に含まれるマレイン
酸に対して1〜3倍モル、好ましくは1.5〜2.5倍
モルになるように、アンモニアを添加する。
【0035】本発明では、マレイン酸とアンモニア、あ
るいはマレイン酸アンモニウム塩をマレイン酸に対して
アンモニアを1〜3倍モル用い、マレイン酸イソメラー
ゼ活性とアスパルターゼ活性とを有する微生物菌体、あ
るいはマレイン酸イソメラーゼ活性を有する微生物菌体
およびアスパルターゼ活性を有する微生物菌体からなる
少なくとも2種類の微生物菌体、あるいはそれらの菌体
破砕物と20〜50℃で反応させる。
【0036】マイレン酸イソメラーゼ活性を有する微生
物菌体などの酵素含有物およびアスパルターゼ活性を有
する酵素含有物は混合して用いてもよいし、あるいはマ
イレン酸イソメラーゼ含有物を用いて得られた反応済媒
体にアスパルターゼ含有物を作用させても差しつかえな
い。また反応に使用する微生物菌体あるいは菌体破砕物
などの酵素含有物は活性の低下に応じて適宜活性の高い
酵素含有物に一部ないし全部を交換したり、又は活性の
高い酵素含有物を追加すればよい。
【0037】この反応によりL−アスパラギン酸アンモ
ニウムが生成するが、得られた反応済媒体に無水マレイ
ン酸、マレイン酸あるいはマレイン酸塩を添加してL−
アスパラギン酸結晶を析出させる。析出したL−アスパ
ラギン酸を母液と分離してL−アスパラギン酸が得られ
る。採取したL−アスパラギン酸結晶は水洗することに
よりマレイン酸及び/又はその塩の量を減少させること
ができる。このようにして製造されたL−アスパラギン
酸は工業用アスパラギン酸として極めて有用である。
【0038】晶析物を分離した母液は、L−アスパラギ
ン酸結晶を洗浄した液とともにL−アスパラギン酸の製
造用原料として循環使用を繰り返すことができる。これ
により、原料の効率的利用、および、廃棄物の減少が図
られる。
【0039】
【実施例】以下に本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。なお反応
生成物は、液体クロマトグラフィーにより分析した。実施例1. マレイン酸1重量%、マロン酸0.5重量
%、硫酸アンモニウム0.5重量%、燐酸1水素カリウ
ム0.3重量%、燐酸2水素カリウム0.1重量%、硫
酸マグネシウム7水塩0.05重量%、酵母エキス2重
量%からなる組成の培地(pH6.5)6Lを全容10L
のジャーファーメンターに仕込み、アルカリゲネス・フ
ェカーリス(Alcaligenes faecali
)ATCC8750を接種し、30℃で通気攪拌培養
を行った。培養20時間目後に培養を終了し菌体を遠心
分離によって集めた。
【0040】マレイン酸400gをイオン交換水に溶解
し、25重量%アンモニア水溶液470g(マレイン酸
に対して2.0倍モル)を添加して、pH8.4のマレイ
ン酸アンモニウム溶液2Lを調整した。得られたマレイ
ン酸アンモニウム水溶液に0.1重量%の濃度になるよ
うにTriton X−100を、また1mMの濃度にな
るように硫酸マグネシウムおよび10mMの濃度になるよ
うにβ−メルカプトエタノールを添加し、基質媒体とし
た。基質媒体に上記の方法で集菌したアルカリゲネス・
フェカーリスの菌体を添加し、30℃で24時間にわた
り軽く基質媒体を攪拌した。
【0041】反応後の反応済媒体の分析の結果、L−ア
スパラギン酸アンモニウムが、初期仕込マレイン酸に対
して99.0モル%生成していた。遠心により菌体と分
離した反応済媒体を70〜80℃に保ちながら、マレイ
ン酸を410g該反応済媒体に添加し、30℃に冷却し
た。このときの液のpHは3.7であった。析出したL−
アスパラギン酸を濾別し、母液1.6Lを回収した。
【0042】一方、濾別されたL−アスパラギン酸粗結
晶は510g(水分を除く)(アスパラギン酸88.4
重量%、マレイン酸11.0重量%、平均結晶サイズ4
00μm)であった。濾過器内の結晶を約300mlの水
で洗浄し、乾燥したところ、得られたL−アスパラギン
酸結晶は450g(アスパラギン酸99.0重量%、マ
レイン酸0.58重量%、平均結晶サイズ150μm)
であった。
【0043】ついで結晶を分離した母液と洗液を減圧濃
縮し、25重量%アンモニア水溶液を添加してpHを8.
4に調整し、水を加えて2Lとした。これを基質媒体と
して、遠心回収した菌体と再度上記と同条件で反応させ
た。反応後の反応済媒体を分析したところ、反応済媒体
中にL−アスパラギン酸アンモニウムが、晶析のために
添加されたマレイン酸基準で99.2モル%存在してい
た。
【0044】この反応済媒体を同様に遠心分離して菌体
を除去後、マレイン酸を410g添加して、上記と同様
な方法で加熱・冷却の操作を行った。析出したL−アス
パラギン酸を吸引濾過し、約300mlの水で2回洗浄
し、再度吸引濾過し、十分に水分をきり、乾燥してL−
アスパラギン酸結晶460gを得た。この結晶の純度は
99.6重量%(マレイン酸含有率0.02重量%)
(水分を除く)(結晶平均サイズ80μm)であった。
【0045】得られた結晶を2Lの水中に懸濁させなが
ら水洗し、再度吸引濾過後、乾燥したところ、L−アス
パラギン酸の結晶の純度は99.6重量%(マレイン酸
含有量0.01重量%)(水分除く)(結晶平均サイズ
80μm)であった。
【0046】実施例2.実施例1の要領でマレイン酸4
00gを含むマレイン酸アンモニウム基質媒体2Lにア
ルカリゲネス・フェカーリスATCC8750の菌体を
添加し30℃で24時間にわたり軽く基質媒体を攪拌し
た。反応後の反応済媒体の分析の結果、L−アスパラギ
ン酸アンモニウムが、初期仕込マレイン酸に対して9
9.0モル%生成していた。遠心により菌体と分離した
反応済媒体に30℃で、マレイン酸410gを添加し
た。添加後の液温は34.5℃、液のpHは3.8であっ
た。
【0047】析出したL−アスパラギン酸を濾別し、母
液1.6Lを回収した。一方、濾別されたL−アスパラ
ギン酸粗結晶は502g(水分を除く)(アスパラギン
酸89.1重量%、マレイン酸10.2重量%、平均結
晶サイズ250μm)であった。濾過器内の結晶を約3
00mlの水で洗浄し、乾燥したところ、得られたL−ア
スパラギン酸の結晶は447g(アスパラギン酸99.
0重量%、マレイン酸0.62重量%、平均結晶サイズ
100μm)であった。
【0048】ついで結晶を分離した母液と洗液を減圧濃
縮し、25重量%アンモニア水溶液を添加してpHを8.
4に調整し、水を加えて2Lとした。これを基質媒体と
して、遠心回収した菌体と再度上記と同条件で反応させ
た。反応後の反応済媒体を分析したところ、反応済媒体
中にL−アスパラギン酸アンモニウムが、晶析時に添加
されたマレイン酸基準で99.3モル%存在していた。
この反応済媒体から菌体を除去後、上記と同様の方法で
マレイン酸を410g添加して、上記と同様の方法でL
−アスパラギン酸の晶析、回収を行った後に、約300
mlの水で2回洗浄し、乾燥してL−アスパラギン酸結晶
を455g(水分除く)得た。得られたL−アスパラギ
ン酸は純度99.4重量%、結晶平均サイズ60μmで
あった。
【0049】実施例3.実施例1の要領でマレイン酸4
00gを含むマレイン酸アンモニウム基質媒体2Lにア
ルカリゲネス・フェカーリスATCC8750の菌体を
添加し30℃で24時間にわたり軽く基質媒体を攪拌し
た。反応後の反応済媒体の分析の結果、L−アスパラギ
ン酸アンモニウムが、初期仕込マレイン酸に対して9
9.0モル%生成していた。遠心により菌体と分離した
反応済媒体に30℃で、33.3重量%のマレイン酸水
溶液1.23kgを添加した。添加後の液温は38.5
℃、液のpHは3.7であった。析出したL−アスパラギ
ン酸を濾別し、母液2.37Lを回収した。
【0050】一方、濾別されたL−アスパラギン粗結晶
は481g(水分を除く)(アスパラギン酸93.6重
量%、マレイン酸6.0重量%、平均結晶サイズ250
μm)であった。濾過器内の結晶を約300mlの水で洗
浄し、乾燥したところ、得られたL−アスパラギン酸の
結晶は448g(水分を除く)(アスパラギン酸99.
1重量%、マレイン酸0.50重量%、平均結晶サイズ
200μm)であった。
【0051】ついで結晶を分離した母液2.37Lと洗
液を混合後、1.7Lまで減圧濃縮した。濃縮液に25
重量%アンモニア水溶液240gを添加してpHを8.4
に調整後、水を加えて全量を2Lに調整した。これを基
質媒体として、上記に述べた菌体と再度上記の条件で反
応させた。反応後の反応済媒体を分析したところ、反応
済媒体中にL−アスパラギン酸アンモニウムが、晶析の
ために添加されたマレイン酸基準で99.3モル%存在
していた。
【0052】この反応済媒体を同様に遠心分離して菌体
を除去後、加温することなしに室温で33.3重量%の
マレイン酸水溶液1.23kgを添加してL−アスパラギ
ン酸の晶析を行った。析出したL−アスパラギン酸を吸
引濾過し、約300mlの水で2回洗浄し、乾燥してL−
アスパラギン酸結晶460g(水分を除く)を得た。こ
の結晶の純度は99.3重量%(マレイン酸含有率0.
44重量%)(結晶平均サイズ200μm)であった。
【0053】実施例4.実施例1の要領でマレイン酸2
00gをイオン交換水に溶解し、25重量%のアンモニ
ア水溶液235g(対マレイン酸2.0倍モル)を添加
してマレイン酸200gを含むマレイン酸アンモニウム
基質媒体(pH8.4)2Lにアルカリゲネス・フェカー
リスATCC8750の菌体を添加し30℃で24時間
にわたり軽く基質媒体を攪拌した。反応後の反応済媒体
の分析の結果、L−アスパラギン酸アンモニウムが、初
期仕込マレイン酸に対して99.0モル%生成してい
た。遠心により菌体と分離した反応液に30℃で、マレ
イン酸を205gを添加した。添加後の液温は32.5
℃、液のpHは3.7であった。
【0054】析出したL−アスパラギン酸を濾別し、母
液1.75Lを回収した。一方、濾別されたL−アスパ
ラギン粗結晶は245g(水分を除く)(アスパラギン
酸91.4重量%、マレイン酸8.0重量%、平均結晶
サイズ300μm)であった。濾過器内の結晶を約30
0mlの水で洗浄し、乾燥したところ、得られたL−アス
パラギン酸の結晶は225g(水分を除く)(アスパラ
ギン酸99.0重量%、マレイン酸0.69重量%、平
均結晶サイズ150μm)であった。ついで結晶を分離
した母液と洗液を減圧濃縮し、25重量%アンモニア水
溶液を添加してpHを8.4に調整し、水を加えて2Lと
した。
【0055】これを基質媒体として、遠心回収した菌体
と再度上記と同条件で反応させた。反応後の反応済媒体
を分析したところ、反応済媒体中にL−アスパラギン酸
アンモニウムが、晶析時に添加されたマレイン酸基準で
98.9モル%存在していた。この反応済媒体から菌体
を除去後、上記と同様の方法でマレイン酸を205g添
加して、上記と同様の方法でL−アスパラギン酸の晶
析、回収を行った後に、約300mlの水で2回洗浄し、
乾燥してL−アスパラギン酸結晶を228g(水分除
く)得た。得られたL−アスパラギン酸は純度99.5
重量%、結晶平均サイズ80μmであった。
【0056】実施例5.実施例1の要領でマレイン酸6
00gをイオン交換水に溶解し、25重量%のアンモニ
ア水溶液705g(対マレイン酸2.0倍モル)を添加
してマレイン酸600gを含むマレイン酸アンモニウム
基質媒体(pH8.4)2Lにアルカリゲネス・フェカー
リスATCC8750の菌体を添加し30℃で72時間
にわたり軽く基質媒体を攪拌した。反応後の反応済媒体
の分析の結果、L−アスパラギン酸アンモニウムが、初
期仕込マレイン酸に対して98.8モル%生成してい
た。遠心により菌体と分離した反応済媒体に30℃で、
マレイン酸を610gを添加した。添加後の液温は37
℃、液のpHは3.8であった。
【0057】析出したL−アスパラギン酸を濾別し、母
液1.5Lを回収した。一方、濾別されたL−アスパラ
ギン粗結晶は769g(水分を除く)(アスパラギン酸
88.0重量%、マレイン酸11.4重量%、平均結晶
サイズ250μm)であった。濾過器内の結晶を約60
0mlの水で洗浄し、乾燥したところ、得られたL−アス
パラギン酸の結晶は675g(水分を除く)(アスパラ
ギン酸98.8重量%、マレイン酸0.77重量%、平
均結晶サイズ100μm)であった。
【0058】ついで結晶を分離した母液と洗液を減圧濃
縮し、25重量%アンモニア水溶液を添加してpHを8.
4に調整し、水を加えて2Lとした。これを基質媒体と
して、遠心回収した菌体と再度上記と同条件で反応させ
た。反応後の反応済媒体を分析したところ、反応済媒体
中にL−アスパラギン酸アンモニウムが、晶析時に添加
されたマレイン酸基準で98.8モル%存在していた。
この反応済媒体から菌体を除去後、上記と同様の方法で
マレイン酸を610g添加して、上記と同様の方法でL
−アスパラギン酸の晶析、回収を行った後に、約1Lの
水で2回洗浄し、乾燥してL−アスパラギン酸結晶を6
73g(水分除く)得た。得られたL−アスパラギン酸
は純度99.5重量%、結晶平均サイズ150μmであ
った。
【0059】実施例6.マレイン酸1重量%、硫酸アン
モニウム0.5重量%、燐酸1水素カリウム0.3重量
%、燐酸2水素カリウム0.1重量%、硫酸マグネシウ
ム7水塩0.05重量%、酵母エキス2重量%からなる
組成の培地(pH6.5)6Lを全容10Lのジャーファ
ーメンターに仕込み、シュードモナス・マルトフィリラ
Pseudomonas maltophilia
ATCC13270を接種し、30℃で通気攪拌培養を
行った。培養20時間目後に培養を終了し菌体を遠心分
離によって集めた。
【0060】また、フマル酸2重量%、コーンスティー
プ・リカー2重量%、酵母エキス2重量%、リン酸一カ
リウム0.1重量%、硫酸マグネシウム・7水塩0.0
5重量%の組成からなる培地(アンモニア水でpHを7.
5に調整)1Lを全容2Lのジャーファーメンターに仕
込み、エッシェリシア・コリ(Escherichia
coli)ATCC11303を接種し、37℃で通
気攪拌培養を行った。培養20時間目後に培養を終了し
菌体を遠心分離によって回収した。
【0061】マレイン酸400gをイオン交換水に溶解
し、25%アンモニア水溶液470g(マレイン酸に対
して2.0倍モル)を添加してpHを8.4に調整したマ
レイン酸アンモニウム溶液2Lを調整した。得られたマ
レイン酸アンモニウム水溶液に0.1%の濃度になるよ
うにTriton X−100を、また1mMの濃度にな
るように硫酸マグネシウムおよび10mMの濃度になるよ
うにβ−メルカプトエタノールを添加し、基質媒体とし
た。基質媒体に上記の方法で集菌して得られたシュード
モナス・マルトフィリアの菌体及びエッシェリシア・コ
リの菌体を添加し、30℃で24時間にわたり軽く基質
媒体を攪拌した。
【0062】反応後の反応済媒体の分析の結果、L−ア
スパラギン酸アンモニウムが、初期仕込マレイン酸に対
して99.3モル%生成していた。遠心により菌体と分
離した反応済媒体を70〜80℃に保ちながら、マレイ
ン酸410gを該反応液に添加し、30℃に冷却した。
このときの液のpHは3.8であった。析出したL−アス
パラギン酸は濾別し、母液1.70Lを回収した。一
方、濾別されたL−アスパラギン酸は505g(水分を
除く)(アスパラギン酸90.0重量%、マレイン酸
9.5重量%、結晶平均サイズ350μm)であった。
濾過器内の結晶を約300mlの水で洗浄し、乾燥したと
ころ、得られたL−アスパラギン酸結晶は451g(ア
スパラギン酸99.1重量%、マレイン酸0.55重量
%、結晶平均サイズ100μm)であった。
【0063】ついで結晶を分離した母液と洗液を濃縮
し、25重量%アンモニア水溶液を添加したpHを8.4
に調整した後、水を加えて2Lとした。これを基質媒体
として、遠心回収した2種類の菌体と再度上記と同条件
で反応させた。反応後の反応済媒体を分析したところ、
L−アスパラギン酸アンモニウムが、晶析のために添加
されたマレイン酸基準で99.5モル%生成していた。
この反応済媒体から菌体を除去後、マレイン酸を410
g添加し、上記と同様な方法で析出したL−アスパラギ
ン酸の結晶を水洗、乾燥したところ、455g(水分除
く)の結晶を得た。得られたL−アスパラギン酸結晶は
純度99.0%(マレイン酸0.6重量%、結晶平均サ
イズ100μm)であった。
【0064】結晶を分離した母液と結晶を洗浄した洗液
を循環使用し、上記と同様の操作を上記に述べた2種類
の新鮮な菌体を用いてさらに繰り返しマレイン酸とアン
モニアの反応を合計10回行った(母液の循環使用回数
は9回)。10回目の操作により、得られたL−アスパ
ラギン酸は、9回目の操作において晶析のために添加さ
れたマレイン酸に対して収率95.0モル%、純度9
9.3%、マレイン酸0.52重量%、結晶平均サイズ
100μmであった。
【0065】実施例7.実施例6の要領でマレイン酸4
00gを含むマレイン酸アンモニウム基質媒体2Lにシ
ュードモナス・マルトフィラ(ATCC13270)の
菌体及びエッシェリシア・コリ(ATCC11303)
の菌体を添加し、30℃で24時間にわたり軽く基質媒
体を攪拌した。反応後の反応済媒体の分析の結果、L−
アスパラギン酸アンモニウムが、初期仕込マレイン酸に
対して99.3モル%生成していた。遠心により菌体と
分離した反応済媒体に30℃で、マレイン酸を410g
を添加した。添加後の液温は34℃、液のpHは3.7で
あった。
【0066】析出したL−アスパラギン酸を濾別し、母
液1.6Lを回収した。一方、濾別されたL−アスパラ
ギン粗結晶は517g(水分を除く)(アスパラギン酸
88.0重量%、マレイン酸10.7重量%、平均結晶
サイズ400μm)であった。濾過器内の結晶を約40
0mlの水で洗浄し、乾燥したところ、得られたL−アス
パラギン酸の結晶は452g(水分を除く)(アスパラ
ギン酸98.6重量%、マレイン酸1.0重量%、平均
結晶サイズ300μm)であった。
【0067】ついで結晶を分離した母液と洗液を減圧濃
縮し、25重量%アンモニア水溶液を添加してpHを8.
4に調整し、水を加えて2Lとした。これを基質媒体と
して、遠心回収した菌体と再度上記と同条件で反応させ
た。反応後の反応済媒体を分析したところ、反応済媒体
中にL−アスパラギン酸アンモニウムが、晶析時に添加
されたマレイン酸基準で98.5モル%存在していた。
この反応済媒体から菌体を除去後、上記と同様の方法で
マレイン酸を410g添加して、上記と同様の方法でL
−アスパラギン酸の晶析、回収を行った後に、約300
mlの水で2回洗浄し、乾燥してL−アスパラギン酸結晶
を457g(水分除く)得た。得られたL−アスパラギ
ン酸は純度99.5重量%、結晶平均サイズ100μm
であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12P 13/20 C12R 1:19) (56)参考文献 特開 平8−205880(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12P 13/00 - 13/24

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.01〜15重量%のマレイン酸及び
    /又はその塩を随伴しており、且つ結晶サイズが50〜
    500μmである結晶L−アスパラギン酸製品。
  2. 【請求項2】 0.01〜1重量%のマレイン酸及び/
    又はその塩を随伴しており且つ結晶の平均サイズが50
    〜500μmであるL−アスパラギン酸製品。
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