JP2502929Y2 - 保温筒を有する縦型熱処理装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は保温筒を有する縦型熱処理装置に係り、ウエ
ーハ支持ボートを設置する円筒状保温台の下側空間域
に、内部に多数の微小空間を有する保温筒を収納した縦
型熱処置装置に関する。

「従来の技術」 従来より、例えば第３図に示すごとく周囲に加熱手段
１を囲繞した石英ガラス製炉芯管２内に、半導体ウエハ
４を積層配置した支持ボート３を収納可能に構成し、前
記加熱手段１により支持ボート３上に戴設した半導体ウ
エハ４を所定温度域まで加熱し制御しながら、該半導体
ウエハ４表面域に反応ガス又は不活性ガスを流し、半導
体ウエハ４表面域の酸化、拡散、気相成長、アニール等
の各種熱処理を行う熱処理装置は公知であり、この種の
熱処理装置においては省設置面積化を図るために、前記
炉心管２を垂直に立設した縦型構造の加熱処理炉を多用
しているが、かかる装置においてはウエハ４表面域に形
成又は注入される薄膜の厚さや不純物濃度分布のバラツ
キを防止する為に、炉芯管２内の加熱区域Ａと炉芯管２
開口端側間に石英ガラス製の保温筒５を配して前記ウエ
ハ４熱処理用空間温度の均等化を図るとともに、前記炉
芯管２周囲に囲繞した加熱手段１を保温筒５上方に位置
せしめ、前記保温筒５を断熱材として機能させる事によ
り、炉芯管２開口端側に設けたＯリング６その他のシー
ル部分に高温が伝搬するのを防いでいる。

そしてかかる装置においては、前記保温筒５上面に直
接支持ボート４を載置する構成を取るが、保温筒５は一
般に、密封された石英ガラス製の円筒体5a内に、長繊維
状の石英ガラスウール5bを封入して構成されている為に
耐荷重性に乏しく、この為ウエーハ枚数を多くしたり又
大口径化に制限を受ける。

而も前記保温筒５はその上方の炉芯管２周囲に囲繞し
た加熱手段１よりの輻射熱により、上面側が常に高温に
曝されてている為に、密閉された円筒体5a内のガス（空
気）が熱膨張して前記圧力負荷が一層強まり、該円筒体
5aが破壊してしまう場合がある。

この為本考案者は先に、第２図に示すように前記保温
筒５を例えば発砲ガラス体のように多数の微小空間を内
部に有し且つそれ自体は硬質な薄膜石英ガラスが網目状
に縦横に張りめぐらされている石英ガラス体、言い換え
れば内部に多数の微小空間を有する石英ガラス製塑性体
5cで形成した保温筒５′を用いるとともに、該保温筒
５′上に直接支持ボート４を載置する事なく、該保温筒
５′を複数の小円筒体に分割して該分割した円筒体を一
体的に収納する円筒状の枠体７を用意し、該枠体７を介
して前記支持ボート４を設置するように構成した技術を
開示している。（特願昭62−203499号） 「考案が解決しようとする技術的課題」 しかしながら前記保温筒は例え枠体７内に収納されて
いても、結果として支持ボート４側の加熱域と通気状態
で炉芯管２内に配置される構成を取るために、例えばCV
D装置の様にほぼ真空状態で気相成長を行なう装置等に
おいては、前記塑性体31を真空引きした後、該塑性体31
の表面側を透明ガラス層32で隠蔽し減圧封止する構成が
好ましいが、独立気泡もしくは連続気泡として存在する
塑成体を真空引きを行なうのは中々困難であり、而も該
真空引きは前記保温筒５を大径化すればするほど困難と
なり且つ長時間化する。この為前記従来技術においては
前記保温筒を小径に複数に分割しているが、このような
構成を取ると保温筒自体の機能（保温力と断熱力）も低
下するとともに全体としての表面積が大になり、その分
前記真空処理時にはその表面に吸着しているガスやパー
ティクルが飛出し、ウエーハ汚染の原因ともなる。

又前記のように複数の保温筒に分割するのはその取付
け取り出しが繁雑化するのみならず、これらを囲繞する
枠体40の構成も複雑化する。

又前記の様に保温筒がウエーハ処理域と直接通気する
構成を取る事は保温筒表面に処理ガス膜が付着し、該膜
を除去するために前記加熱処理後に保温筒をフッ酸等で
洗浄する必要があるが、洗浄により前記ガラス層がエッ
チングされ、前記洗浄液が気泡内部に入り込んでしまう
場合がある。

本考案はかかる従来技術の欠点に鑑み、大口径化と多
数枚化に耐えられるだけの断熱性、保温性及び高耐圧性
を有し、特にCVD等の減圧処理装置として好適に使用さ
れる保温筒を有する縦型熱処理装置を提供する事を目的
とする。

「問題点を解決するための手段」 本考案は、上面にウエーハ支持ボート４を設置し、下
側空間に前記塑成体からなる保温筒50を収納した保温台
40を用い、該保温台40を介して保温筒収納空間Ｂとウエ
ーハ支持ボート収納空間Ａを気密的に区分けした点を第
一の特徴とする。

そして第二の特徴とする所は、前記保温台40を支持す
る基台70若しくは保温台フランジ部41との間の接触部を
介して前記保温筒収納空間Ｂを通気又は減圧可能に構成
した点にある。

そして好ましくは前記保温筒50を一の保温筒50で形成
するとともに、該一の保温筒50と保温台40を夫々炉芯管
２に対し同心状に配置するとともに、前記保温筒50上面
側で前記保温台40のウエーハ支持部背面側を支持可能に
構成した点にある。

「作用」 かかる技術手段によれば、保温台40を介して保温筒収
納空間Ｂとウエーハ支持ボート収納空間Ａを気密的に区
分けしつつ保温筒収納空間Ｂ側を通気状態に維持したた
めに、前記保温筒収納空間Ｂを常に常圧下に維持でき、
これにより前記保温筒50を形成する塑性体31を真空引き
する必要がなく常圧のまま形成可能である為、前記保温
筒505を大径化するのが容易となる。

又、第４図に示すCVD装置の様にほぼ真空状態で気相
成長を行う装置においても前記収納空間Ｂを基台の通気
孔を通して減圧にすればよくこの時保温筒がウールでは
なく、石英ガラス塑成体からなる為、減圧配管系にウー
ルダストが吸込まれ詰ることがない。

即ちこの事は保温筒50を分割する事なく、炉芯管２形
状に合せて一の保温体で形成できる為に、大口径化に対
応するのに十分なる断熱容量と保温容量を持つ事が可能
となり、而も前記保温筒50の微小気泡内に空気等の気体
が存在するために前記断熱機能と保温機能が一層向上す
る。

又一の保温筒50で足りる事は該保温筒50を収納する保
温台40等の形状が簡単化し且つ該保温筒50の取付け取り
出しも容易であるため、洗浄も膜の付着する保温台50の
みでよく容易である。

又、前記の様に炉芯管２に合わせて支持ボート４を搭
載する保温台40を大径化した場合その分保温台40の耐強
度性が低下するが、本考案は前記保温筒50がそれ自体耐
圧強度を有する石英ガラス塑成体で形成したために、該
一の保温筒50と保温台40を夫々炉芯管２に対し同心状に
配置するとともに、前記保温筒50上面側で前記保温台40
のウエーハ支持部背面側を支持可能に構成する事により
前記保温台40を大径化した場合においても耐強度性が低
下する事がなく、これにより支持ボート４のウエーハ搭
載枚数を多数枚化した場合においても十分対処し得る。

「実施例」 以下、図面を参照して本考案の好適な実施例を例示的
に詳しく説明する。ただしこの実施例に記載されている
構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に
特定的な記載がない限りは、この考案の範囲をそれのみ
に限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。

第１図は本第１考案の実施例に係る縦型構造の熱処理
装置の要部構成を示し、保温筒505が配置された炉芯管
２下方部分を図示している。

２は円筒ドーム状の縦型炉芯管２でその下端側開口部
にフランジ部21を設け、該フランジ部21を保温台40側の
フランジ部41上面に設置可能に構成するとともに、気密
的に構成する。

保温台40は、前記炉芯管２内径より僅かに小なる外径
を有する透明石英ガラス製円筒体で形成され、上面を支
持ボート４が搭載可能な平面状をなすとともに、下端開
口部に設けたフランジ部41を炉芯管２側のフランジ部21
と同径に形成する。そして前記平面状をなす上面に同心
状にリング体42を突設し、該リング体42上に支持ボート
４を位置決め搭載可能に構成する。

基台70は前記フランジ部41外径と同径の円板状をな
し、前記保温台40のフランジ部41の下面側に前記基台70
周縁面が設置可能に構成する。

又前記基台70はその保温台40内壁面と近接する上面側
にに同心状にリング体71を突設し、該リング体71上に保
温筒50が位置決め設置可能に構成するとともに、該基台
70中央部には貫通孔72を穿設し、外部と通気可能に構成
する。

この結果、保温台40と基台70間に挟まれる保温筒収納
空間Ｂが通気可能に又保温台40上面側には炉芯管２が気
密的に設置されているために、該炉芯管２内部のウエー
ハ支持ボート収納空間Ａと前記保温筒収納空間Ｂとが気
密的に区分けされる事となる。

そして前記基台70上に設置される保温筒50は、内部に
多数の微小気泡を有する塑性体31と、その周囲を囲繞す
る透明石英ガラス製の囲繞体32から形成されている。

次に前記塑性体31の製造手順について説明するに、先
ず上方が開口し、前記囲繞体32と同形で且つ背高のみが
大なる石英製ルツボ32内に結晶質又はガラス質の石英微
粉を投入し、真空炉中で1300〜1600℃前後の温度で加熱
する事により、内部に多数の微小空間を有し、石英薄膜
が縦横に張りめぐらされた、いわゆる発泡ガラス状の塑
性体31が形成される。

この際前記石英微粉内にカーボン粉とともに水を混入
して泥状にした状態で、加熱させる事により更に多数の
真空微小空間を有する発泡ガラス状の塑性体31が形成出
来、好ましい。

そしてこのようにして形成された塑性体31は前記加熱
により、その表面が石英製ルツボ32と一体的に溶着する
とともに、体積が減少する為に、その減少したルツボの
上側部分を切断し、その上面に蓋体を溶着して、前記塑
性体31外周囲を囲繞体32にて囲繞させる。

尚、本実施例においては保温筒収納空間Ｂがウエーハ
支持ボート収納空間Ａと気密的に区分けさているため
に、該ルツボ32より取り出した塑性体31そのまま保温筒
50として利用する事も可能であり、又その表面をバーナ
であぶる事により表面層にのみ薄膜の透明石英ガラス層
を形成してもよい。

そして前記保温筒50は前記塑成体自体も耐圧強度を有
し、而もその表面にルツボとしても利用可能な厚肉の囲
繞体を有するために、その背高を前記収納空間高さとほ
ぼ同一に設定し、該保温筒50上面側で前記保温台40のウ
エーハ支持部背面側を支持可能に構成するのがよい。

第４図はCVD装置に適用した実施例を示し、前記実施
例との差異を中心に説明するに、基台70の通気孔72に減
圧管系73を、又炉芯管２、保温台40の下端側に設けられ
たフランジ21、41及び基台70間に夫々Ｏリング22、43を
介在させ、ウエーハ収納空間Ａと保温筒収納空間Ｂのい
ずれをも減圧若しくは真空維持可能に構成している。

又この時前記収納空間Ｂを基台70の通気孔72を通して
減圧ににした場合に保温筒50がウールではなく、石英ガ
ラス塑成体からなる為、減圧配管系73にウールダストが
吸込まれ詰ることがない。

「考案の効果」 以上記載した如く、本考案によれば、大口径化と多数
枚化に耐えられるだけの断熱性、保温性及び高耐圧性を
十分満足しつつ、CVD等の減圧処理装置としても好適に
使用される保温筒を有する縦型熱処理装置を提供する事
が出来る。

等の種々の著効を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第４図は本考案の実施例に係る縦型構造の熱
処理装置の要部構成を示す要部正面断面図、第２図及び
第３図は従来公知の熱処理装置を示す正面断面図であ
る。 3:ウエーハ支持ボート 31:石英ガラス塑成体、50:保温筒 40:保温台、B:保温筒収納空間 A:ウエーハ支持ボート収納空間 70:基台、2:炉芯管

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】上面にウエーハ支持ボートを設置し、下側
   空間に内部に多数の微小空間を有する石英ガラス塑成体
   からなる保温筒を収納した保温台を有し、該保温台を介
   して前記保温筒収納空間とウエーハ支持ボート収納空間
   を気密的に区分けするとともに、下側より前記保温台を
   支持する基台若しくは該基台との間の接触部を介して前
   記保温筒収納空間を通気又は減圧可能に構成した事を特
   徴とする縦型熱処理装置
2. 【請求項２】前記一の保温筒と保温台を夫々炉芯管に対
   し同心状に配置するとともに、前記保温筒上面側で前記
   保温台のウエーハ支持部背面側を支持可能に構成した請
   求項１）記載の縦型熱処理装置