JP2024018487A - ニッケル合金粉末及び、ニッケル合金粉末の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塩素及び酸素の含有量が比較的少ないニッケル合金粉末及び、ニッケル合金粉末の製造方法を提供する。【解決手段】この発明のニッケル合金粉末は、ニッケルを90質量%~97質量%、タンタルを3.0質量%~10.0質量%でそれぞれ含有し、塩素含有量が0.05質量%以下、BET比表面積(m2/g)に対する酸素含有量(質量%)の割合が0.25(質量%・g/m2)以下である。【選択図】なし

Description

この発明は、ニッケル合金粉末及び、ニッケル合金粉末の製造方法に関するものである。
ニッケル含有粉末は、その優れた放熱特性や電気特性の故に、多機能携帯電話を含む電子計算機用の積層セラミックチップコンデンサ(MLCC)の電極材料、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池の材料として用いられることがある。
このうち、積層セラミックチップコンデンサは、誘電体層と内部電極層とを交互に積層し、その両端に外部電極を設けた構成を有する。その誘電体層には、チタン酸バリウム等の誘電率の高いセラミックを主成分とする材料が、また、内部電極層にはニッケル含有粉末がそれぞれ使用される。
ニッケル含有粉末を積層セラミックチップコンデンサの製造に用いるには、ニッケル含有粉末を有機バインダ等と混ぜ合わせてペーストとする。その後、ニッケル含有粉末を含むペーストとセラミック粉末によるグリーンシートとを積層させ、それらを同時に加熱してセラミック粉末及びニッケル含有粉末をそれぞれ焼結させることで、内部電極層及び誘電体層を形成する。
ここで、ニッケル含有粉末を、実質的にニッケルからなるニッケル粉末とした場合、上記のように互いに積層させたペースト及びグリーンシートを同時に加熱する際に、ニッケル粉末がセラミック粉末とは異なる温度で焼結し、それらの焼結時の収縮挙動に差異が生じることがある。その結果、積層セラミックチップコンデンサに、デラミネーションやクラック等といったような欠陥が発生するおそれがある。
これに対処するには、ニッケル含有粉末として、ニッケル粉末ではなく、たとえば特許文献1~3に記載されているようなニッケル合金粉末を用いることが考えられる。
特許文献1には、「ニッケルを主成分とし、これに5価あるいは6価の遷移金属元素を添加した合金粉末からなることを特徴とする電極組成物」が開示されている。より詳細には、「前記遷移金属元素が、Nb,Ta,V,Mo,Wのうち少なくとも1種類以上からなること」、「前記ニッケルの含有量が95~99.5wt%、前記遷移金属元素の含有量が0.5~5wt%であること」が記載されている。
特許文献2には、「Ni:70~99.9質量%及びV,Cr,Zr,Nb,Mo,Ta,Wから成る群から選ばれた1又は2以上の元素0.1~30質量%から成り、平均粒径が0.1~1μmであることを特徴とする導電ペースト用Ni合金粉」が記載されている。
特許文献3には、「塩化ニッケルガスと、タングステン、モリブデン、ニオブ、タンタルから選ばれる少なくとも一種類の金属塩化物ガスとの混合ガスを、980℃以上1150℃以下で気相水素還元することにより、平均粒径が10nm以上100nm未満のニッケル合金粉末を得ることを特徴とするニッケル合金粉末の製造方法」が記載されている。
特開2000-49031号公報 特開2002-60877号公報 特開2009-13456号公報
ところで、ニッケル合金粉末は、塩化ニッケル及び合金元素の金属塩化物を気体の状態で接触させるとともに還元する気相還元法により製造することができる。
但し、気相還元法により生成されたニッケル合金粉末は、その生成過程に塩素が使用されたこと等に起因して、塩素が含まれる。塩素を含むニッケル合金粉末は、たとえば積層セラミックチップコンデンサの製造に用いた場合に、クラックやデラミネーションを招くことが懸念される。また、ニッケル合金粉末には酸素が含まれることがある。酸素含有量がある程度多いと、焼成時の収縮率が大きくなるため、クラック及びデラミネーションを招くことが懸念される。
この発明は、このような問題を解決することを課題とするものであり、その目的は、塩素及び酸素の含有量が比較的少ないニッケル合金粉末及び、ニッケル合金粉末の製造方法を提供することにある。
発明者は鋭意検討の結果、気相還元法で還元性ガスをある程度多くし、それにより生成された反応生成粉末を、不活性雰囲気の下、水で洗浄することにより、塩素含有量が少なくなるとともに、酸素含有量の増大を抑制できることを見出した。
この発明のニッケル合金粉末は、ニッケルを90質量%~97質量%、タンタルを3.0質量%~10.0質量%でそれぞれ含有し、塩素含有量が0.05質量%以下、BET比表面積(m2/g)に対する酸素含有量(質量%)の割合が0.25(質量%・g/m2)以下であるものである。
上記のニッケル合金粉末は、塩素含有量が0.0001質量%~0.03質量%であることが好ましい。
また、上記のニッケル合金粉末は、BET比表面積(m2/g)に対する酸素含有量(質量%)の割合が0.10(質量%・g/m2)~0.23(質量%・g/m2)であることが好ましい。
この発明のニッケル合金粉末の製造方法は、ニッケルを90質量%~97質量%、タンタルを3.0質量%~10.0質量%でそれぞれ含有するニッケル合金粉末を製造する方法であって、塩化ニッケルガス、塩化タンタルガス及び還元性ガスを接触させ、塩化ニッケルガス及び塩化タンタルガスを還元しながら、ニッケルとタンタルとを合金化させて、反応生成粉末を得る還元工程と、前記反応生成粉末を、不活性雰囲気の下、水で洗浄する洗浄工程とを含むものである。
上記の製造方法の前記洗浄工程では、前記水として、水中に不活性ガスを供給することにより溶存酸素量が低減された水を用いることが好ましい。
また、上記の製造方法の前記洗浄工程では、前記水として、溶存酸素量が3mg/L未満である水を用いることが好ましい。
この発明のニッケル合金粉末は、塩素及び酸素の含有量が比較的少ないものである。この発明のニッケル合金粉末の製造方法によれば、塩素を有効に除去しながら、酸素含有量の増大を抑制することができ、上記のニッケル合金粉末の製造に適している。
実施例1のニッケル合金粉末のSEM画像である。 実施例1のニッケル合金粉末及び、ニッケル粉末のそれぞれのTMA分析結果における温度と収縮率との関係を表すグラフである。
以下に、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
この発明の一の実施形態のニッケル合金粉末は、ニッケルを90質量%~97質量%、タンタルを3.0質量%~10.0質量%でそれぞれ含有するものである。そして、その塩素含有量は0.05質量%以下であり、BET比表面積(m2/g)に対する酸素含有量(質量%)の割合は0.25(質量%・g/m2)以下である。
気相還元法により生成された反応生成粉末は、比較的多量の塩素が含まれている。この反応生成粉末を単純に大気雰囲気下で水によって洗浄した場合は、塩素が除去されたとしても、その洗浄時の雰囲気に起因して酸素が取り込まれて酸化し、酸素含有量の多いニッケル合金粉末となることがわかった。これに対し、この発明の実施形態の製造方法では、洗浄工程にて、反応生成粉末を水で洗浄する際の雰囲気を不活性雰囲気とする。水による洗浄を不活性雰囲気下で行うことにより、塩素含有量及び酸素含有量がともに十分に少ないニッケル合金粉末を製造することができる。さらに、洗浄工程に供する反応生成粉末を還元工程で得る際に、還元性ガスをある程度多く供給することで、塩素含有量が有効に低減されたニッケル合金粉末が製造される。
(ニッケル合金粉末)
ニッケル合金粉末は、ニッケル(Ni)を90質量%~97質量%、タンタル(Ta)を3.0質量%~10.0質量%でそれぞれ含有するものである。典型的には、ニッケル合金粉末は、タンタルを3.0質量%~10.0質量%で含有し、残部がニッケル及び不純物からなる。
ニッケル含有量は94質量%~97質量%であること、タンタル含有量は3.0質量%~6.0質量%であることが好ましい。
この実施形態のニッケル合金粉末は、塩素(Cl)の含有量が0.05質量%以下であり、たとえば0.0001質量%~0.03質量%となる場合がある。このように塩素含有量が少ないことにより、焼結させたときのクラックやデラミネーションの発生が抑制される。塩素含有量が0.01質量%以下の場合、燃焼-電量滴定法より測定する。より詳細には、塩素含有量の測定装置として三菱化学社製のTOX-2100Hを使用する。また、塩素含有量が0.01質量%超の場合、硝酸銀滴定法により測定する。より詳細には、測定装置として三菱化学社製のGT-200を使用する。
また、ニッケル合金粉末の、後述するBET比表面積に対する酸素含有量の割合が多い場合も、焼結後のクラックやデラミネーションが発生しやすくなる傾向がある。これに対し、この実施形態のニッケル合金粉末は、BET比表面積(m2/g)に対する酸素含有量(質量%)の割合は0.25(質量%・g/m2)以下であり、たとえば0.10(質量%・g/m2)~0.23(質量%・g/m2)である場合がある。酸素含有量は、不活性ガス融解-赤外線吸収法により測定する。酸素含有量の測定は、堀場製作所社製のEMGA-920を使用する。
ニッケル合金粉末は、BET比表面積が1.5m2/g~6.0m2/gとなる場合がある。BET比表面積の測定は、BET法(ガス吸着法)により行い、株式会社マウンテック製の全自動比表面積測定装置(Macsorb(登録商標))を用いることができる。
ニッケル合金粉末は、平均円形度が0.85~0.95となる場合がある。平均円形度は、ニッケル合金粉末を顕微鏡で観察して得られる画像内の500個以上の各粒子について、粒子の投影面の周長A及び、その投影面と面積が等しい円の周長Bとの比(B/A)として算出される円形度Cの平均値として求める。
ニッケル合金粉末の10%粒子径D10は0.075μm~0.3μm、50%粒子径D50は0.1μm~0.4μm、90%粒子径D90は0.15μm~0.6μmとなる場合がある。10%粒子径D10、50%粒子径D50及び90%粒子径D90の測定はそれぞれ、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置で測定して得られる粒子径分布グラフで、体積基準の頻度の累積が50%、10%及び90%になる粒子径を求めることにより行う。また、ニッケル合金粉末のSPAN値は、式:SPAN値=(D90-D10)/D50で求められ、0.5~0.8となる場合がある。
ニッケル合金粉末は、個数基準の平均径が0.1μm~0.4μmとなる場合がある。この平均径は、走査型電子顕微鏡(SEM:株式会社日立ハイテクノロジーズ製、商品名 SU5000)を用いて、倍率30000倍におけるSEM像の一つの視野中に存在する500個の銅粒子を画像解析ソフト(株式会社マウンテック製、商品名 Macview4.0)を用いて解析により求める。
ニッケル合金粉末の上記平均径の標準偏差は0.02~0.12となることがある。標準偏差は、走査型電子顕微鏡(SEM:株式会社日立ハイテクノロジーズ製、商品名 SU5000)を用いて、倍率30000倍におけるSEM像の一つの視野中に存在する500個の銅粒子を画像解析ソフト(株式会社マウンテック製、商品名 Macview4.0)を用いて解析により求める。
ニッケル合金粉末のCV値は0.2~0.3となる場合がある。CV値は、上記標準偏差を上記の個数基準の平均径で割ったものである。
(製造方法)
上述したようなニッケル合金粉末は、たとえば次に述べるようにして製造することができる。
ここでは、気相還元法により生成された反応生成粉末を準備する。この反応生成粉末は、市販品でもよいが、以下に述べる気相還元法を行うことで得ることもできる。
気相還元法では、塩化ニッケルガス及び塩化タンタルガスを混合状態で還元しながら、そこに含まれるニッケルとタンタルを合金化させる。これには、典型的には、固体の金属ニッケルを塩素と反応させて塩化ニッケルガスを生成させるとともに、固体の金属タンタルを塩素と反応させて塩化タンタルガスを生成させる塩化工程と、塩化ニッケルガス、塩化タンタルガス及び還元性ガスとを反応させる還元工程とが含まれる。なお、還元工程で用いる塩化ニッケルガス及び塩化タンタルガスを別途入手可能であれば、塩化工程は省略してもよい。
塩化工程では、たとえば、ニッケル塩化炉及び、それとは分離したタンタル塩化炉が用いることがある。ニッケル塩化炉では、金属ニッケルを含む固体原料を、たとえば900℃~1100℃に加熱して蒸発させ、これを塩素ガスと接触させて塩化ニッケルガスを生成させる。また、タンタル塩化炉では、金属タンタルを含む固体原料を、たとえば900℃~1100℃に加熱して蒸発させ、これを塩素ガスと接触させて塩化タンタルガスを生成させる。
還元工程では、上記の塩化ニッケルガス及び塩化タンタルガスをそれぞれ、たとえば還元炉に送り込み、そこでさらに還元性ガスと混合させることで、還元反応を起こしながら、ニッケルとタンタルを合金化する。
なお、ニッケル塩化炉及びタンタル塩化炉のそれぞれと還元炉とを接続することで、塩化工程で塩化ニッケルガス及び塩化タンタルガスをそれぞれ発生させながら、それらを還元工程に供給して還元及び合金化が起こるようにして、塩化工程と還元工程を連続的に行ってもよい。
還元工程では、還元炉にさらに、窒素やアルゴン等の不活性ガスを供給することができる。不活性ガスの供給により、塩化ニッケルガス及び塩化タンタルガスの分圧が調整され、その後に得られる反応生成粉末やニッケル合金粉末の粒径や合金組成を制御することができる。
還元炉に供給される還元性ガスとしての水素ガスの供給比率は、気相還元反応に必要な理論値の100モル%以上、好ましくは110モル%~200モル%とすることが好ましい。また、還元炉へ供給する塩化タンタルガスの分圧、吐出速度、塩化タンタルガスに対する水素ガスの割合、還元炉内に各ガスを噴出するノズルの形状や構造等は適宜変更して、適切に調整することが望ましい。
還元炉内の温度は、たとえば980℃~1150℃とすることができる。粒径が小さいニッケル合金粉末を得るとの観点からは、温度を高くしすぎないほうが良いが、温度が低すぎると、塩化物が析出するおそれがある。
還元工程で反応生成粉末が得られた後は、凝集による二次粒子の生成を抑制するため、たとえば低温の窒素等の不活性ガスを供給すること等により、反応生成粉末を400℃~800℃程度に急冷することが好ましい。その後、バグフィルター等を用いて、反応生成粉末を回収する。
上述したようにして生成された反応生成粉末に対しては、洗浄工程を行う。洗浄工程では、たとえば反応生成粉末を、純水その他の水に投入すること等により、当該水で洗浄する。洗浄工程を経ることにより、反応生成粉末に含まれていた塩素が有効に取り除かれ、塩素含有量が少ないニッケル合金粉末が得られる。
洗浄工程での洗浄は、窒素又はアルゴン等の不活性雰囲気下で行う。それにより、反応生成粉末の洗浄時の酸化が抑えられて、酸素含有量の増大を抑制することができる。
洗浄では、たとえば、反応生成粉末を水に投入した後に、攪拌後、静置して反応生成粉末を沈降させてから上澄みを除去する操作を行うことができ、この操作の回数は1回又は、必要に応じて複数回とすることができる。
また、洗浄に用いる水は、溶存酸素量が3mg/L未満に低減されたものであることが好適である。洗浄用の水の溶存酸素量がある程度多いと、その溶存酸素によって反応生成粉末の酸化が進行し、ニッケル合金粉末の酸素含有量が増大し得るからである。この観点から、洗浄に先立ち、洗浄に用いる水に対して、当該水中にアルゴン等の不活性ガスを供給してバブリングを行い、溶存酸素量を低減しておくことが望ましい。
洗浄工程の後、乾燥その他の処理を行い、ニッケル合金粉末を製造することができる。このニッケル合金粉末は、ニッケルを90質量%~97質量%、タンタルを3.0質量%~10.0質量%でそれぞれ含有するものであって、塩素及び酸素の含有量が比較的少ないものになる。
次に、この発明のニッケル合金粉末を製造する試験を行ったので、その詳細について以下に説明する。但し、この説明は単なる例示を目的としたものであり、これに限定されることを意図するものではない。
実施例1及び2では、気相還元法により、塩化ニッケルガス、塩化タンタルガス及び、還元性ガスとしての水素ガスを含むガスを混合させて反応させ、反応生成粉末を得た。実施例2では、実施例1よりも水素ガスの供給比率を低くした。
その後、上記の反応生成粉末をアルゴン雰囲気の下、水で洗浄した。洗浄に用いた水は、アルゴンガスを供給してバブリングを行い、予め溶存酸素を3mg/L未満に低減させたものとした。洗浄では、水の投入、攪拌5分、静置10分~15分、沈降及び上澄み除去の操作を5回行った。洗浄後にアルゴン雰囲気の下で乾燥させ、ニッケル合金粉末を得た。参考として、実施例1のSEM画像を図1に示す。
比較例1では、気相還元法での水素ガスの供給比率を低くしたことを除いて、実施例1と同様にしてニッケル合金粉末を製造した。比較例2では、水素ガスの供給比率を若干低くしたこと、洗浄を大気雰囲気下で行ったこと、及び、洗浄に用いた水の溶存酸素量が7mg/Lであったことを除いて、実施例1と同様にしてニッケル合金粉末を製造した。比較例3では、反応生成粉末に対して洗浄を行わなかったことを除いて、実施例2と同様にしてニッケル合金粉末を製造した。
実施例1及び2並びに比較例1~3の各ニッケル合金粉末について、塩素含有量、酸素含有量、BET比表面積、平均円形度、10%粒子径D10、50%粒子径D50、90%粒子径D90、SPAN値、平均径、標準偏差及び、CV値を、先述した方法により求めた。その結果を表1、2に示す。なお、表1中、酸素(O)含有量の「増分」とは、ニッケル合金粉末の酸素含有量から、反応生成粉末の酸素含有量を差し引いたものであり、洗浄によって増加した酸素含有量を意味する。
表1より、実施例1及び2では、反応生成粉末を水で洗浄したことにより、ニッケル合金粉末の塩素含有量が十分に少なくなった。また、実施例1及び2のニッケル合金粉末は、洗浄したことにより、反応生成粉末よりも酸素含有量が増加しているが、その増分を小さく抑えることができた。
また、実施例1のニッケル合金粉末(Ni-Ta)及び、実質的にニッケルのみからなるニッケル粉末(Ni)のそれぞれについて、熱機械分析装置(TMA、株式会社リガク製のTMA8311)を用いて、昇温時の収縮率を測定する分析を行った。測定条件は、φ5×10mmhのプレス成型体を作製し、2%H2-N2雰囲気下にて5℃/minの連続昇温にて測定した。その結果を図2に示す。図2のTMA分析結果より、実施例1は、ニッケル粉末(Ni単体)と比較して、焼結開始温度(収縮率2%に到達するときの温度)が280℃向上したことが確認された。
比較例1では、気相還元法で水素ガスの供給比率が低かったことにより、反応生成粉末の塩素含有量が多くなり、洗浄後のニッケル合金粉末でも多くの塩素が残留した。比較例2では、反応生成粉末の洗浄を大気雰囲気下で行ったことにより、その洗浄によって酸素含有量が大きく増加し、酸素を多く含有するニッケル合金粉末となった。比較例3は、洗浄を行わなかったことにより、ニッケル合金粉末に塩素が多量に含まれていた。
以上より、この発明によれば、塩素及び酸素の含有量が比較的少ないニッケル合金粉末が得られることがわかった。

Claims (6)

  1. ニッケル合金粉末であって、
    ニッケルを90質量%~97質量%、タンタルを3.0質量%~10.0質量%でそれぞれ含有し、
    塩素含有量が0.05質量%以下、BET比表面積(m2/g)に対する酸素含有量(質量%)の割合が0.25(質量%・g/m2)以下であるニッケル合金粉末。
  2. 塩素含有量が0.0001質量%~0.03質量%である請求項1に記載のニッケル合金粉末。
  3. BET比表面積(m2/g)に対する酸素含有量(質量%)の割合が0.10(質量%・g/m2)~0.23(質量%・g/m2)である請求項1又は2に記載のニッケル合金粉末。
  4. ニッケルを90質量%~97質量%、タンタルを3.0質量%~10.0質量%でそれぞれ含有するニッケル合金粉末を製造する方法であって、
    塩化ニッケルガス、塩化タンタルガス及び還元性ガスを接触させ、塩化ニッケルガス及び塩化タンタルガスを還元しながら、ニッケルとタンタルとを合金化させて、反応生成粉末を得る還元工程と、
    前記反応生成粉末を、不活性雰囲気の下、水で洗浄する洗浄工程と
    を含む、ニッケル合金粉末の製造方法。
  5. 前記洗浄工程で、前記水として、水中に不活性ガスを供給することにより溶存酸素量が低減された水を用いる、請求項4に記載のニッケル合金粉末の製造方法。
  6. 前記洗浄工程で、前記水として、溶存酸素量が3mg/L未満である水を用いる、請求項4又は5に記載のニッケル合金粉末の製造方法。
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