JP2023163979A - ブラシレス同期機の保護装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】正常動作の場合のみ、同期電動機を停止することが可能な、ブラシレス同期機の保護装置を提供する。【解決手段】素子故障検出装置30によって半導体素子25の故障が発報されたときに、半導体素子25の故障が発報された時刻に励磁電流帰還記憶手段に記憶された励磁電流帰還値である第1励磁電流帰還値と、半導体素子25の故障が発報された時刻から所定の電流変化監視時間遡った時刻に励磁電流帰還記憶手段に記憶された励磁電流帰還値である第2励磁電流帰還値との間の差分電流を算出し、算出された差分電流が、所定の電流閾値より大きいときは、半導体素子25に故障が発生したと判定し、ブラシレス同期機を停止させる指令を出力させ、差分電流が、所定の電流閾値以下のときは、素子故障検出装置30の故障又は誤動作が発生したと判定し、ブラシレス同期機を停止させる指令は出力させず、所定の警報を出力させる。【選択図】図1
Description
本発明は、ブラシレス同期機の回転整流器故障検出装置の不要動作を防止できる保護装置に関する。
一般に、ブラシレス同期電動機では、励磁機固定子の磁界内で励磁機回転子が回転することにより、励磁機回転子に三相交流電圧が発生し、回転整流器によって整流され、同期電動機界磁巻線に直流電流が供給される。
従来、同期電動機における回転整流器では、半導体素子が使用されているため、半導体素子の故障を検出する回転整流器故障検出装置が具備されている場合が多い。そして、例えば、半導体素子に故障が発生すると、回転整流器による整流の際に、通常時とは異なる大きな電圧リップルが発生する。電圧リップルは励磁機固定子に伝播されるため、回転整流器故障検出装置は、故障検出巻線を介して当該電圧リップルを検出することで、半導体素子の故障を検出している(例えば、特許文献1参照)。そして、回転整流器故障検出装置が動作した場合には、機器保護の観点から、同期電動機の交流入力を遮断して同期電動機を停止していた。
しかしながら、回転整流器故障検出装置が動作した場合であっても、実際に回転整流器内の半導体素子が故障しているのか、回転整流器故障検出装置の故障又は誤動作なのかは、判別が難しい。このため、従来、回転整流器故障検出装置によって故障が検出されると、運転中の同期電動機は安全のため即座に停止(即時停止)させていた。すなわち、従来、回転整流器故障検出装置によって故障が発報された場合、回転整流器内の半導体素子の故障なのか、回転整流器故障検出装置の故障又は誤動作なのかといった故障発報の理由によらず、同期電動機を停止させていた。例えば、同期電動機の回転整流内の半導体素子が実際に故障していた場合、そのまま同期電動機の運転を継続すると、同期電動機は、拡大故障(回転整流器の当該部分以外の部分の故障や、同期電動機の本体の故障)となり、修理に長期間を要することとなる。この場合、工場の生産プロセスに大きな影響を与えるため、同期電動機は、緊急停止が行われ、直ちに点検が実施され、故障部位の特定が行われていた。
なお、回転整流器の故障としては、例えば、半導体素子の短絡又は開放等の素子故障が挙げられる。一方、回転整流器故障検出装置の故障又は誤動作としては、例えば、接続されている故障検出巻線の不良や、内部回路(例えば、フィルタ回路やレベル検出回路等)の基板上に実装された電子部品の偶発故障や経年劣化による不良等によるものが挙げられる。
このため、従来の方式では、回転整流器故障検出装置の故障又は誤動作の場合、同期電動機の運転には影響がないにも関わらず、同期電動機の不要な運転停止の動作を発生させるという課題があった。なお、同期電動機に限らず、同期発電機でも同様である。
そこで、本件開示は、回転整流器故障検出装置が、正常動作か故障又は誤動作の場合かを判別し、正常動作の場合のみ、同期電動機を停止することが可能な、ブラシレス同期機の保護装置を提供することを目的とする。
一態様に係るブラシレス同期機の保護装置は、ブラシレス励磁装置と、ブラシレス励磁装置内の回転子に配され、半導体素子を有する回転整流器と、回転整流器における半導体素子の故障を検出する素子故障検出装置と、を有するブラシレス同期機に用いられる保護装置であって、ブラシレス励磁装置の励磁電流帰還値を取得し、取得した時刻に関連付けて記憶する励磁電流帰還記憶手段と、を備え、素子故障検出装置によって半導体素子の故障が発報されたときに、半導体素子の故障が発報された時刻に励磁電流帰還記憶手段に記憶された励磁電流帰還値である第1励磁電流帰還値と、半導体素子の故障が発報された時刻から所定の電流変化監視時間遡った時刻に励磁電流帰還記憶手段に記憶された励磁電流帰還値である第2励磁電流帰還値との間の差分電流を算出し、算出された差分電流が、所定の電流閾値より大きいときは、半導体素子に故障が発生したと判定し、ブラシレス同期機を停止させる指令を出力させ、差分電流が、所定の電流閾値以下のときは、素子故障検出装置の故障又は誤動作が発生したと判定し、ブラシレス同期機を停止させる指令は出力させず、所定の警報を出力させることを特徴とする。
別の態様に係るブラシレス同期機の保護装置は、ブラシレス励磁装置と、ブラシレス励磁装置内の回転子に配され、半導体素子を有する回転整流器と、回転整流器における半導体素子の故障を検出する素子故障検出装置と、を有するブラシレス同期機に用いられる保護装置であって、ブラシレス同期機の有効電力値を取得し、取得した時刻に関連付けて記憶する有効電力記憶手段と、ブラシレス同期機の進相分を正とし遅相分を負とした無効電力値を取得し、取得した時刻に関連付けて記憶する無効電力記憶手段と、を備え、素子故障検出装置によって半導体素子の故障が発報されたときに、半導体素子の故障が発報された時刻に有効電力記憶手段に記憶された有効電力値である第1有効電力値と、半導体素子の故障が発報された時刻から所定の有効電力変化監視時間遡った時刻に有効電力記憶手段に記憶された有効電力値である第2有効電力値との間の差分有効電力を算出し、算出された差分有効電力が、所定の有効電力閾値より大きい場合において、半導体素子の故障が発報された時刻に無効電力記憶手段に記憶された無効電力値である第1無効電力値と、半導体素子の故障が発報された時刻から所定の無効電力変化監視時間遡った時刻に無効電力記憶手段に記憶された無効電力値である第2無効電力値との間の差分無効電力を算出し、算出された差分無効電力が、所定の無効電力閾値より小さいときは、半導体素子に故障が発生したと判定し、ブラシレス同期機を停止させる指令を出力させ、差分有効電力が、所定の有効電力閾値以下、又は、差分無効電力が、所定の無効電力閾値以上のときは、素子故障検出装置の故障又は誤動作が発生したと判定し、ブラシレス同期機を停止させる指令は出力させず、所定の警報を出力させることを特徴とする。
別の態様に係るブラシレス同期機の保護装置は、ブラシレス励磁装置と、ブラシレス励磁装置内の回転子に配され、半導体素子を有する回転整流器と、回転整流器における半導体素子の故障を検出する素子故障検出装置と、を有するブラシレス同期機に用いられる保護装置であって、ブラシレス励磁装置の励磁機固定子巻線の入力電流に相当する励磁電流帰還値を取得し、取得した時刻に関連付けて記憶する励磁電流帰還記憶手段と、ブラシレス同期機の有効電力値を取得し、取得した時刻に関連付けて記憶する有効電力記憶手段と、ブラシレス同期機の進相分を正とし遅相分を負とした無効電力値を取得し、取得した時刻に関連付けて記憶する無効電力記憶手段と、ブラシレス同期機が力率制御の制御方式で運転されているか、定励磁制御の制御方式で運転されているかを判別する信号を取得する手段と、を備え、ブラシレス同期機が、力率制御の制御方式で運転され、かつ、素子故障検出装置によって半導体素子の故障が発報されたときに、半導体素子の故障が発報された時刻に励磁電流帰還記憶手段に記憶された励磁電流帰還値である第1励磁電流帰還値と、半導体素子の故障が発報された時刻から所定の電流変化監視時間遡った時刻に励磁電流帰還記憶手段に記憶された励磁電流帰還値である第2励磁電流帰還値との間の差分電流を算出し、算出された差分電流が、所定の電流閾値より大きいときは、半導体素子に故障が発生したと判定し、ブラシレス同期機を停止させる指令を出力させ、差分電流が、所定の電流閾値以下のときは、素子故障検出装置の故障又は誤動作が発生したと判定し、ブラシレス同期機を停止させる指令は出力させず、所定の警報を出力させ、ブラシレス同期機が、定励磁制御の制御方式で運転され、かつ、素子故障検出装置によって半導体素子の故障が発報されたときに、半導体素子の故障が発報された時刻に有効電力記憶手段に記憶された有効電力値である第1有効電力値と、半導体素子の故障が発報された時刻から所定の有効電力変化監視時間遡った時刻に有効電力記憶手段に記憶された有効電力値である第2有効電力値との間の差分有効電力を算出し、算出された差分有効電力が、所定の有効電力閾値より大きい場合において、半導体素子の故障が発報された時刻に無効電力記憶手段に記憶された無効電力値である第1無効電力値と、半導体素子の故障が発報された時刻から所定の無効電力変化監視時間遡った時刻に無効電力記憶手段に記憶された無効電力値である第2無効電力値との間の差分無効電力を算出し、算出された差分無効電力が、所定の無効電力閾値より小さいときは、半導体素子に故障が発生したと判定し、ブラシレス同期機を停止させる指令を出力させ、差分有効電力が、所定の有効電力閾値以下、又は、差分無効電力が、所定の無効電力閾値以上のときは、素子故障検出装置の故障又は誤動作が発生したと判定し、ブラシレス同期機を停止させる指令は出力させず、所定の警報を出力させることを特徴とする。
本件開示によれば、回転整流器故障検出装置が、正常動作か故障又は誤動作の場合かを判別し、正常動作の場合のみ、同期電動機を停止することが可能な、ブラシレス同期機の保護装置を提供することができる。
以下、本件開示のブラシレス同期機の保護装置の実施形態について、図面を用いて説明する。
<一実施形態の構成>
図1は、一実施形態に係るブラシレス同期電動機システム1の全体構成例を示す図である。
図1は、一実施形態に係るブラシレス同期電動機システム1の全体構成例を示す図である。
本実施形態では、ブラシレス同期機の保護装置80が、ブラシレス同期機の一例として、ブラシレス同期電動機システム1に適用された場合の例について説明する。なお、ブラシレス同期機の保護装置80の詳細については、後述する。
図1に示すとおり、ブラシレス同期電動機システム1は、ブラシレス同期電動機本体10と、ブラシレス励磁装置20と、回転整流器故障検出装置30と、励磁装置主回路部40と、励磁装置制御部50と、保護装置80とを備える。また、ブラシレス同期電動機システム1は、第1遮断器61と、計器用変圧器62と、第2遮断器71と、マルチメータ64とを備える。ブラシレス同期電動機システム1は、ブラシレス同期電動機本体10が交流回路67及び第1遮断器61を介して3相の交流電源60と接続され、励磁装置主回路部40が交流回路72及び第2遮断器71を介して3相の交流電源70と接続される。
ブラシレス同期電動機本体10は、シンクロナスモーター(SM:Synchronous motor)とも称され、一次側の主回路入力電源である交流電源60の周波数によって決まる同期速度でその回転軸が回転する電動機である。ブラシレス同期電動機本体10は、一般に固定速であり、一次電圧の周波数が変われば回転速度が変わる。ブラシレス同期電動機本体10は、交流電源60から供給される電気エネルギーを回転軸が回転することにより機械エネルギー(回転エネルギー)に変換して出力する。以下、本明細書において、ブラシレス同期電動機システム1は、単に「同期電動機システム1」とも称される。また、ブラシレス同期電動機本体10とブラシレス励磁装置20とは、これらを合わせて、単に「同期電動機」とも称される。
ブラシレス同期電動機本体10は、同期電動機励磁巻線11と、同期電動機固定子巻線12とを有する。以下、本明細書において、ブラシレス同期電動機本体10は、単に「同期電動機本体10」とも称される。
同期電動機励磁巻線11は、円筒状の同期電動機固定子巻線12の内部に挿入される回転子24を構成し、ブラシレス励磁装置20によって供給される励磁電流によって磁束を発生させ、同期電動機固定子巻線12の回転磁界に吸引されて追従し回転する。
同期電動機固定子巻線12は、交流電源60と接続される固定子であり、交流電源60によって供給される交流電流によって回転磁界が作られる。同期電動機固定子巻線12は、例えば、円筒状の固定子巻線であり、円筒状の内部に回転子24の同期電動機励磁巻線11が挿入される。
ブラシレス励磁装置20は、励磁機固定子巻線21と、励磁機回転子22と、回転整流器23とを有する。励磁機回転子22と、回転整流器23とは、同期電動機励磁巻線11とともに回転子24を構成する。以下、本明細書において、ブラシレス励磁装置20は、単に「励磁装置20」とも称される。
励磁機固定子巻線21は、励磁装置主回路部40を介して交流電源70と接続される。励磁機固定子巻線21は、励磁装置主回路部40によって交流電流から直流電流に変換された励磁電流が流れることで磁界を発生させる。励磁機固定子巻線21は、例えば、円筒状の固定子巻線であり、円筒状の内部に回転子24の励磁機回転子22が挿入される。
励磁機回転子22は、励磁機固定子巻線21の磁界内で回転することにより、三相交流電圧を発生させる。励磁機回転子22は、発生させた交流電流を、回転子24として回転軸で機械的に接続されている回転整流器23に供給する。
回転整流器23は、例えば、複数の半導体素子25が3相ブリッジにて接続配置され、直流側が同期電動機励磁巻線11と接続され、交流側が励磁機回転子22と接続される。回転整流器23は、励磁機回転子22から供給される交流電流を半導体素子25によって直流電流に変換し(整流し)、変換された直流電流を機械的に接続されている同期電動機励磁巻線11に供給する。
回転子24は、一端側から他端側に向けて、同期電動機励磁巻線11と、回転整流器23と、励磁機回転子22と、不図示の回転子コアとが回転軸に機械的に固定されたものであり、回転軸の回転と共に回転する。同期電動機本体10は回転子24を回転することにより、回転軸の回転を介して機械エネルギー(回転エネルギー)を出力する。
半導体素子25は、例えば、ダイオード等であり、例えば、回転整流器に6個配置される。半導体素子25は、励磁機回転子22から供給される交流電流を直流電流に変換する(整流する)。半導体素子25は、例えば、短絡(ショート)又は開放(オープン)故障が発生すると、整流の際に通常とは異なる電圧リップルを発生させる。発生した電圧リップルは、励磁機固定子巻線21に伝搬される。
回転整流器故障検出装置30は、素子故障検出巻線31と、不図示のフィルタ回路やレベル検出回路等を有する。回転整流器故障検出装置30は、素子故障検出巻線31を介して検出された電圧リップルを、内部に有する不図示のフィルタ回路やレベル検出回路等を用いて判定することで、半導体素子25に故障が発生したか否かを判定する。回転整流器故障検出装置30は、保護装置80と接続されており、半導体素子25に故障が発生したと判定したときは、例えば、Hレベルの素子故障検出信号を保護装置80に発報する。以下、本明細書において、回転整流器故障検出装置30は、「素子故障検出装置30」とも称される。
素子故障検出巻線31は、励磁機固定子巻線21の近傍に配置され、例えば、半導体素子25に故障が発生した場合、整流の際に励磁機固定子巻線21に伝搬された電圧リップルを検出する。素子故障検出巻線31は、検出した電圧リップルを素子故障検出装置30に出力する。
なお、素子故障検出装置30は、正常時には、半導体素子25に故障が発生したときに、故障検出信号をHレベルとして保護装置80に発報するが、回転整流器故障検出装置30の故障又は誤動作のときにもHレベルを保護装置80に発報する可能性がある。例えば、素子故障検出装置30は、素子故障検出巻線31の不良や、不図示のフィルタ回路やレベル検出回路等の内部回路の基板上に実装された電子部品の不良等の場合、Hレベルを保護装置80に発報する可能性がある。なお、以下、本明細書において、回転整流器故障検出装置30の故障又は誤動作により素子故障信号をHレベルとして発報した場合は、単に「不要動作」とも称される。また、励磁装置20の内部で異常が発生、例えば半導体素子25の異常の場合に、回転整流器故障検出装置30が素子故障信号をHレベルとして発報した場合は、「正常動作」とも称される。
励磁装置主回路部40は、励磁回路用サイリスタ整流器41と、励磁電流検出用シャント42とを有する。
励磁回路用サイリスタ整流器41は、直流出力の一端が励磁機固定子巻線21の一端と接続され、直流出力の他端が励磁電流検出用シャント42を経由して励磁機固定子巻線21の他端と接続されている。励磁回路用サイリスタ整流器41の交流入力は、第2遮断器71を介して3相の交流電源70と接続される。励磁回路用サイリスタ整流器41は、励磁装置制御部50とも接続される。励磁回路用サイリスタ整流器41は、励磁装置制御部50から出力されるサイリスタ整流器制御信号に従って、交流電源70から供給される交流電流を直流電流に変換し(整流し)、変換された直流電流を励磁機固定子巻線21に供給する。以下、本明細書において、励磁回路用サイリスタ整流器41は、単に「サイリスタ整流器41」とも称される。
励磁電流検出用シャント(直流電流検出器)42は、サイリスタ整流器41から出力される直流電流を検出し、検出された値を用いた励磁電流フィードバック信号として励磁装置制御部50と保護装置80とに出力する。なお、励磁電流検出用シャント42はホールCTでもよい。また、励磁電流検出用シャント42の代わりに励磁装置主回路部40の交流入力側にCT等を設け、CT等の出力を整流して直流化し、励磁電流フィードバック信号として使用してもよい。
励磁装置制御部50は、例えば、プログラムを実行することにより動作するCPU(Central Processing Unit)等の後述のプロセッサ91を有する。励磁装置制御部50は、例えば、後述のメモリ92に記憶された所定のプログラムを実行することにより後述のプロセッサ91を動作させて、励磁装置主回路部40を制御する。励磁装置制御部50は、例えば、励磁回路用サイリスタ整流器41にサイリスタ整流器制御信号を送信することにより、励磁回路用サイリスタ整流器41を制御して、励磁装置主回路部40を制御し、同期電動機本体10を統括的に制御する。
励磁装置制御部50は、励磁電流設定器51と、第1減算器52と、電流制御部53と、力率設定器54と、第2減算器55と、力率制御部56と、切替スイッチ57と、励磁モード設定器58とを有する。
励磁電流設定器51は、不図示の上位装置やオペレータからの指示や所定のプログラムによる指示を受け付けて、励磁電流の所定の励磁電流設定値を設定し、第1減算器52に出力する。なお、定励磁制御とは、同期電動機本体10の負荷や交流電源70が変動しても同期電動機本体10の励磁電流を励磁電流設定値に追従するように調整する励磁電流制御のことである。
第1減算器52は、励磁電流設定器51によって設定された値から励磁電流検出用シャント42から取得した励磁電流フィードバック信号の値を減算した制御信号を電流制御部53へ出力する。
電流制御部53は、第1減算器52から取得した制御信号に応じて所定の演算を行い、定励磁制御運転が行われるためのサイリスタ整流器制御信号を切替スイッチ57に出力する。
力率設定器54は、不図示の上位装置やオペレータからの指示や所定のプログラムによる指示を受け付けて、力率を所定の指令力率の値に設定し、第2減算器55に出力する。なお、力率制御とは、同期電動機本体10の負荷が変動しても同期電動機本体10の力率が力率制御の所定の指令力率の値となるように同期電動機本体10の励磁電流を調整する励磁電流制御のことである。例えば、力率制御の場合、負荷が増加すると、同じ逆起電力では力率が低下し、同期電動機本体10の消費無効電力が増加とともに効率が低下してしまう。そこで、励磁電流を増加し、同期電動機本体10の逆起電力を増加させ、同期電動機本体10の入力交流電流位相が所定の位相となるよう調整する。
第2減算器55は、力率設定器54によって設定された値からマルチメータ64から取得した力率信号の値を減算した制御信号を力率制御部56へ出力する。
力率制御部56は、第2減算器55から取得した制御信号に応じて所定の演算を行い、力率制御運転が行われるためのサイリスタ整流器制御信号を切替スイッチ57に出力する。
切替スイッチ(SW:switch)57は、例えば、c接点であり、励磁モード設定器58によって設定されているモードに従って定励磁制御と力率制御とを切り替える。例えば、励磁モード設定器58によって定励磁制御モードが設定されている場合、切替スイッチ57は、図1中、接点2と接点3とを接続させる。すなわち、電流制御部53の出力をサイリスタ整流器制御信号として励磁回路用サイリスタ整流器41に出力する。一方、例えば、励磁モード設定器58によって力率制御モードが設定されている場合、切替スイッチ57は、図1中、接点1と接点3とを接続させる。すなわち、力率制御部56の出力をサイリスタ整流器制御信号として励磁回路用サイリスタ整流器41に出力する。以下、本明細書において、切替スイッチ57は、「切替SW57」とも称される。
励磁モード設定器58は、例えば、不図示の操作盤を介したオペレータからの指示や、不図示の上位装置等からの所定のプログラムによる指示を受け付けて、定励磁制御モードか力率制御モードかの何れかのモード(制御方式)を設定する。励磁モード設定器58は、切替SW57と保護装置80とに接続されており、設定されたモード(制御方式)を、切替SW57と保護装置80とにそれぞれ出力する。
交流電源60は、交流回路67と第1遮断器61とを介して同期電動機本体10の同期電動機固定子巻線12と接続されており、同期電動機固定子巻線12に三相交流電力を供給する。交流回路67には、計器用変圧器62が接続され、交流母線の電圧が測定され、マルチメータ64と、脱調継電器65とに出力される。交流回路67の第1遮断器61の同期電動機本体10と接続される側には、変流器63が接続され、同期電動機本体10の入力電流が測定され、脱調継電器65と、過電流継電器66とに出力される。
第1遮断器61は、保護装置80から出力されるトリップ指令TC1に基づいて、交流電源60から同期電動機本体10の同期電動機固定子巻線12へ流れる交流電流を遮断する。これにより、同期電動機システム1が停止する。これにより、第1遮断器61は、同期電動機システム1を保護し、同期電動機システム1やこれが用いられる設備への故障波及を防止する。
なお、以下、本明細書において、計器用変圧器(PT:Potential Transformer)62は、「PT62」とも称される。また、以下、本明細書において、変流器(CT:Current Transformer)63は、「CT63」とも称される。
マルチメータ64は、指示計器と変換器とが一体化された計器であり、PT62及びCT63と接続され、PT62及びCT63を介して、交流電源60から出力される交流回路67の電流、電圧等の値を測定する。マルチメータ64は、有効電力検出器と、無効電力検出器と、力率検出器との機能を有し、測定された電流、電圧等の値に所定の変換等を行って、有効電力、無効電力、力率等の値を検出(算出)する。マルチメータ64は、検出された有効電力の値である有効電力信号と、検出された無効電力の値である無効電力信号とを保護装置80に出力し、検出された力率の値である力率信号を励磁装置制御部50の第2減算器55に出力する。なお、図1に示す実施形態では、対象となる同期機が電動機であるので、有効電力の値は、電動機が力行している場合に正の値となる様に定義する。また、無効電力の値は、対象となる同期機が進相分の無効電力を出力する場合に正の値となり、遅相分の無効電力を出力する場合に負の値となるように定義する。
脱調継電器65は、PT62及びCT63と接続され、同期電動機本体10が負荷や交流電源60の著しい変動等で同期速度が保てず脱調したときに、保護装置80に脱調信号を出力して同期電動機システム1を保護する保護リレーである。
過電流継電器66は、CT63と接続され、電流の過大や短絡等が発生したときに、保護装置80に過電流信号を出力して同期電動機システム1を保護する保護リレーである。
交流電源70は、例えば、三相交流電源であり、第2遮断器71と、交流回路72とを介して励磁装置主回路部40の励磁回路用サイリスタ整流器41と接続されており、励磁回路用サイリスタ整流器41に三相交流電力を出力する。
第2遮断器71は、保護装置80から出力されるトリップ指令TC2に基づいて、交流電源70からサイリスタ整流器41へ流れる交流電流(励磁電流)を遮断する。これにより、同期電動機システム1が停止する。これにより、第2遮断器71は、同期電動機の励磁回路(同期電動機励磁巻線11、励磁装置20、及び励磁装置主回路部40)を保護し、同期電動機システム1やこれが用いられる設備への故障波及を防止する。
交流回路72は、交流電源70とサイリスタ整流器41とを接続する回路であり、第2遮断器71が配される。
保護装置80は、同期電動機システム1の各構成の何れかに異常が発生した場合に同期電動機システム1を保護する機能を有するものであり、ブラシレス同期機用素子故障検出不要動作防止回路81を有する。保護装置80は、例えば、プログラムを実行することにより動作するCPU等の後述のプロセッサ91を有する。保護装置80は、例えば、後述のメモリ92に記憶された所定のプログラムを実行することにより後述のプロセッサ91を動作させて、同期電動機システム1を保護するとともに不要動作を防止する。
ブラシレス同期機用素子故障検出不要動作防止回路81の構成及び機能は、後述する(図2等参照)。なお、以下、本明細書において、ブラシレス同期機用素子故障検出不要動作防止回路81は、単に「不要動作防止回路81」とも称される。
図2は、図1に示す同期電動機システム1の保護装置80及び不要動作防止回路81の構成の一例を示す図である。なお、保護装置80又は不要動作防止回路81の構成又は機能は、例えば、同期電動機システム1内の励磁装置制御部50等の他の構成等が有していてもよく、同期電動機システム1と接続された外部における保護装置又は不要動作防止装置等が有していてもよい。
図2に示すとおり、保護装置80は、ブラシレス同期機用素子故障検出不要動作防止回路(不要動作防止回路)81を有し、不要動作防止回路81は、判定部87と、取得部82と、タイマ83と、記憶部84と、出力部85の構成又は機能を有する。不要動作防止回路81において、判定部87と、取得部82と、タイマ83と、記憶部84と、出力部85とは、例えば、システムバス86を介して相互に接続される。
判定部87は、素子故障検出装置30から故障検出レベルであるHレベルの素子故障検出信号が発報された場合、正常動作か、素子故障検出装置30の不要動作が発生したかを判定する。
そして、不要動作防止回路81は、判定部87が正常動作と判定した場合、トリップ指令TC1及びトリップ指令TC2を出力させ、同期電動機システム1の運転を停止させる。なお、不要動作防止回路81は、半導体素子25の素子故障が発生したと判定した場合、トリップ指令TC1とトリップ指令TC2とを出力させるとともに重故障警報AL2を出力させてもよい。
一方、不要動作防止回路81は、判定部87が素子故障検出装置30の不要動作が発生したと判定した場合、軽故障警報AL1を出力させ、トリップ指令TC1及びトリップ指令TC2は出力させず、同期電動機システム1の不要な運転停止の動作を防止する。なお、不要動作防止回路81の詳細な機能及び動作は、後述する(図3及び図4等参照)。
取得部82は、素子故障検出装置30と接続され、素子故障検出装置30によって半導体素子25に故障が発生したと判定されたときに、素子故障検出装置30から発報される故障検出レベルであるHレベルの素子故障検出信号を取得する。また、取得部82は、励磁装置主回路部40の励磁電流検出用シャント42と接続され、励磁電流検出用シャント42から出力される励磁電流フィードバック信号を取得する。また、取得部82は、励磁装置制御部50の励磁モード設定器58と接続され、励磁モード設定器58によって出力される定励磁制御モードか力率制御モードかの何れかを判別できる信号を取得する。
また、取得部82は、マルチメータ64と接続され、マルチメータ64から出力される有効電力信号と無効電力信号とを取得する。また、取得部82は、脱調継電器65と接続され、脱調継電器65から出力される脱調信号を取得する。また、取得部82は、過電流継電器66と接続され、過電流継電器66から出力される過電流信号を取得する。
取得部は、取得したHレベルの素子故障検出信号と、励磁電流フィードバック信号と、制御モードと、有効電力信号と、無効電力信号と、脱調信号と、過電流信号とを、システムバス86を介して記憶部84に記憶させる。
タイマ83は、判定部87による制御又は所定の条件に基づいて、カウントを開始又は終了し、また、判定部87による制御又は所定の条件に基づいて、カウントされた時間Tをクリアする。また、タイマ83は、判定部87による制御又は所定の条件に基づいて、カウントされた時間Tを記憶部84に記憶させ、また、判定部87による制御又は所定の条件に基づいて、記憶部84に記憶された時間Tをリセットさせる。
記憶部84は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の揮発性又は不揮発性の記憶媒体であり、不要動作防止回路81の動作に必要なプログラムを記憶する。記憶部84は、例えば、取得部82によって取得された現在又は過去のHレベルの素子故障検出信号、励磁電流フィードバック信号、制御モード、有効電力信号と、無効電力信号、脱調信号、過電流信号等の各種の値を、例えば、測定時刻に関連付けて記憶する。また、記憶部84は、例えば、タイマ83によってカウントされた現在又は過去の時間Tを記憶する。
なお、記憶部84は、例えば、保護装置80(不要動作防止回路81)による演算で用いられる各種係数、各種演算式、各種閾値、及び各種テーブル等を記憶してもよい。記憶部84は、保護装置80の外部に設けられ、有線又は無線で保護装置80と接続されていてもよく、メモリカード、DVD(Digital Versatile Disc)等の外部記憶媒体であってもよい。なお、記憶部84は、後述のメモリ92(図5参照)と共通であってもよい。なお、記憶部84は、不要動作防止回路81以外の保護装置80の部分と共用されてもよい。記憶部84は、「励磁電流帰還記憶手段」の一例であるとともに、「有効電力記憶手段」の一例でもあり、「無効電力記憶手段」の一例でもある。
出力部85は、第1遮断器61と接続され、判定部87あるいはその他の不図示の保護部の制御に基づいて、第1遮断器61にトリップ指令TC1を出力し、第1遮断器61を開放させて、交流電源60から流れる交流電流を遮断する。また、出力部85は、第2遮断器71と接続され、判定部87あるいはその他の不図示の保護部の制御に基づいて、第2遮断器71にトリップ指令TC2を出力し、第2遮断器71を開放させて、交流電源70から流れる交流電流を遮断する。また、出力部85は、不図示の表示部や制御装置や上位装置等と接続され、判定部87あるいはその他の不図示の保護部の制御に基づいて、当該表示部や制御装置や上位装置等向けて、各種の警報(アラーム)ALを出力する。
例えば、出力部85は、判定部87によって、正常動作と判定されたときは、トリップ指令TC1とトリップ指令TC2とを出力し、また、重故障警報AL2を出力する。一方、例えば、出力部85は、判定部87によって、素子故障検出装置30の不図示の内部回路や素子故障検出巻線31等に不要動作が発生したと判定されたときは、軽故障警報AL1を出力する。
システムバス86は、保護装置80の内部で各構成要素を結ぶデータ伝送路(バス)である。システムバス86は、判定部87と、取得部82と、タイマ83と、記憶部84と、出力部85とを相互に接続し、接続された各部の構成により、情報の伝送が相互に行われる。また、システムバス86は、保護装置80の内部で不要動作防止回路81以外の部分と接続され、それらのデータ伝送を行ってもよい。
<一実施形態の動作>
図3は、図1及び図2に示す同期電動機システム1の保護装置80における不要動作防止回路81の動作の一例を示すフローチャートである。図3に示すフローチャートは、同期電動機システム1が運転を開始すると開始される。
図3は、図1及び図2に示す同期電動機システム1の保護装置80における不要動作防止回路81の動作の一例を示すフローチャートである。図3に示すフローチャートは、同期電動機システム1が運転を開始すると開始される。
ステップS102において、不要動作防止回路81は、タイマ83をクリアしてタイマ83によってカウントされた時間Tをリセットさせる。
ステップS104において、不要動作防止回路81は、取得部82に、マルチメータ64から出力された有効電力信号の値と無効電力信号の値とを取得させ、取得された有効電力値Pと無効電力値Qとを読み込む。また、不要動作防止回路81は、取得部82に、励磁電流検出用シャント42から出力された励磁電流フィードバック信号の値を取得させ、取得された値を励磁電流帰還値Ifとして読み込む。なお、励磁電流帰還値Ifは、ブラシレス励磁装置20の励磁機固定子巻線21の入力電流に相当する。
ステップS106において、不要動作防止回路81は、ステップS104で読み込んだ有効電力値Pを測定時刻に関連付けて記憶部84に記憶させる。また、不要動作防止回路81は、ステップS104で読み込んだ無効電力値Qを測定時刻に関連付けて記憶部84に記憶させる。また、不要動作防止回路81は、ステップS104で読み込んだ励磁電流帰還値Ifを測定時刻に関連付けて記憶部84に記憶させる。
ステップS108において、不要動作防止回路81は、素子故障検出信号がHレベルであるか否かを判定する。すなわち、不要動作防止回路81は、取得部82によって、素子故障検出装置30から、故障検出レベルであるHレベルの素子故障検出信号の発報が取得されたか否かを判定する。なお、取得部82は、随時又は所定間隔毎に素子故障検出装置30から発報される故障検出信号を取得しても良く、Hレベルの素子故障検出信号の発報が行われたときにのみ、素子故障検出装置30から発報される故障検出信号を取得しても良い。
不要動作防止回路81は、素子故障検出信号がHレベルであると判定したときは(Yes側)、ステップS110に処理を移行させる。一方、不要動作防止回路81は、素子故障検出信号がHレベルでないと判定したときは(No側)、ステップS202に処理を移行させる。
ステップS110において、不要動作防止回路81は、タイマ83に時間Tのカウントを開始させる。なお、不要動作防止回路81は、既にタイマ83が時間Tのカウントを開始しているときは、そのままタイマ83に時間Tのカウントを続けさせる。
ステップS112において、不要動作防止回路81は、同期電動機システム1の制御モードが力率制御モードであるか否かを判定する。すなわち、不要動作防止回路81は、取得部82によって、励磁モード設定器58から取得された制御モードを示す信号が、力率制御モードであるか、定励磁制御モードであるかを判定する。なお、取得部82は、随時又は所定間隔毎に励磁モード設定器58か制御モードを取得しても良く、制御モードの変更が行われたときにのみ、励磁モード設定器58から制御モードを取得しても良い。
不要動作防止回路81は、同期電動機システム1の制御モードが力率制御モードであると判定したときは(Yes側)、A(図4のステップS302)に処理を移行させる。一方、不要動作防止回路81は、同期電動機システム1の制御モードが定励磁制御モードであると判定したときは(No側)、B(図4のステップS402)に処理を移行させる。
ステップS202において、不要動作防止回路81は、ステップS108で素子故障検出信号がHレベルでないと判定したときは、現在時刻よりも保持時間T6より以前の有効電力値Pと無効電力値Qと励磁電流帰還値Ifとの記録値を記憶部84からクリアする。そして、不要動作防止回路81は、ステップS102に処理を移行させ、ステップS102からステップS108の動作を繰り返す。ステップS202の処理により、記憶部84における、測定時刻に関連付けられて記憶される有効電力値Pと、無効電力値Qと、励磁電流帰還値Ifとの記憶容量を限定することができる。
なお、本実施形態において、各時間の長短は、保持時間T6≧T4≧T1であり、また、T6≧T7≧T2、T6≧T5≧T3であるものとする。所定時間T2と所定時間T3とは、等しくてもよい。また、所定時間T1は、「電流変化監視時間」の一例である。所定時間T2は、「有効電力変化監視時間」の一例である。所定時間T3は、「無効電力変化監視時間」の一例である。所定時間T4は、「励磁電流帰還判定の不要動作確認時間」の一例である。所定時間T5は、「無効電力判定の不要動作確認時間」の一例である。所定時間T7は、「有効電力判定の不要動作確認時間」の一例である。
図4は、図3に示すフローチャートの処理の続きを示すフローチャートである。図4に示すフローチャートにおいて、図3のステップS112で、不要動作防止回路81によって、同期電動機システム1の制御モードが力率制御モードであると判定されたときは、Aの動作が開始される。一方、図3のステップS112で、不要動作防止回路81によって、同期電動機システム1の制御モードが定励磁制御モードであると判定されたときは、Bの動作が開始される。
ステップS302において、不要動作防止回路81は、最新時刻における励磁電流帰還値If1と、最新時刻から所定時間T1前に遡った時刻の励磁電流帰還値If2との差である差分励磁電流ΔIeを演算して算出する。なお、ステップS202で、現在時刻よりも保持時間T6より以前の励磁電流帰還値Ifは記憶部84からクリアされている。一方、上述のとおり、時間Tは、T6≧T4≧T1であるため、所定時間T1前に遡った時刻の励磁電流帰還値If2は、記憶部84に記憶されている。このため、不要動作防止回路81は、記憶部84を参照して、最新時刻における励磁電流帰還値If1と、最新時刻から所定時間T1前に遡った時刻の励磁電流帰還値If2との差である差分励磁電流ΔIeを演算して算出することができる。
差分励磁電流ΔIeは、下記の式(1)により求められる。なお、励磁電流帰還値If1は、「第1励磁電流帰還値」の一例であり、励磁電流帰還値If2は、「第2励磁電流帰還値」の一例である。差分励磁電流ΔIeは、「差分電流」の一例である。
ΔIe=If1-If2 ・・・・・・(1)
ステップS304において、不要動作防止回路81は、ステップS302で算出された差分励磁電流ΔIeが所定の閾値Ietよりも大きい(ΔIe>Iet)か否かを判定する。なお、所定の閾値Ietは正の値であり、固定値であってもよく、変動値、例えば、励磁電流帰還値If2に対する割合(If2×k(kは1より小さい正の値))であってもよく、固定値+変動値であってもよい。所定の閾値Ietは、「電流閾値」の一例である。
ここで、同期電動機システム1の制御モードが力率制御モードである場合、回転整流器23の半導体素子25の素子故障が発生すると、同期電動機励磁巻線11の電流が低下し、遅相の無効電力が増加及び有効電力が低下し、力率が低下する。このとき、同期電動機システム1の励磁装置制御部50は、力率回復のため、励磁電流を多く流す方向に励磁装置主回路部40を制御する。従って、励磁電流フィードバック信号の値は、増加する。このため、素子故障検出装置30の正常動作の場合は、Hレベルの故障検出信号の発報前の励磁電流帰還値If2と、発報後から所定時間T1が経過するまでに力率復帰時の励磁電流帰還値If1とを比較すれば、素子故障検出装置の正常動作と判定できる。すなわち、差分励磁電流ΔIeが所定の閾値Ietより大きければ、回転整流器23の異常であり、素子故障検出装置の正常動作と判断できる。
一方、半導体素子25の素子故障が発生していない場合は、素子故障検出装置30によるHレベルの故障検出信号の発報時には、力率は変化しない。よって、励磁電流帰還値If1と、発報時から所定時間T1以前の励磁電流帰還値If2とを比較しても、差分励磁電流ΔIeが所定の閾値Iet以下である。すなわち、この場合、素子故障検出装置30の不要動作が発生したと判断できる。
なお、正常動作の場合でも、例えば、素子故障検出装置30によるHレベルの故障検出信号の発報直後は、力率制御部56の応答時間により、差分励磁電流ΔIeは所定の閾値Iet以下となる場合があると考えられる。しかし、本フローチャートのステップS104~S308の処理を繰り返し、Hレベルの故障検出信号の発報から所定時間T1が経過すれば、差分励磁電流ΔIeが所定の閾値Ietより大きくなると考えられる。すなわち、この場合、最新時刻における励磁電流帰還値If1と最新時刻から所定時間T1前の時刻の励磁電流帰還値If2との差分励磁電流ΔIeが所定の閾値Ietより大きくなると考えられる。このため、不要動作防止回路81は、本フローチャートの処理を繰り返し、差分励磁電流ΔIeが所定の閾値Ietよりも大きい(ΔIe>Iet)か否かを判定すれば、正常動作か否かを判定することができる。従って、所定時間T1は、力率制御部56の応答時間(力率制御部56がPI制御や1次遅れを含む回路であれば積分時定数)を考慮して設定することが好ましい。
不要動作防止回路81は、差分励磁電流ΔIeが所定の閾値Ietよりも大きい(ΔIe>Iet)と判定したときは(Yes側)、正常動作と判定して、ステップS306に処理を移行させる。一方、不要動作防止回路81は、差分励磁電流ΔIeが所定の閾値Iet以下(ΔIe≦Iet)であると判定したときは(No側)、不要動作と判定して、ステップS308に処理を移行させる。
ステップS306において、不要動作防止回路81は、素子故障検出装置30が正常動作したと判断し、各種保護動作により同期電動機本体10、励磁装置20、励磁装置主回路部40を停止するよう各種保護指令を出力させ、本フローチャートの動作を終了させる。すなわち、不要動作防止回路81は、正常動作と判定し、出力部85に、トリップ指令TC1とトリップ指令TC2とを出力させ、本フローチャートの動作を終了させる。これにより、不要動作防止回路81は、第1遮断器61と第2遮断器71とを開放させて電流を遮断し、安全のため、同期電動機システム1を停止させる。なお、不要動作防止回路81は、出力部85に、トリップ指令TC1とトリップ指令TC2とを出力させるとともに重故障警報AL2を出力させてもよい。また、不要動作防止回路81は、励磁装置制御部50のサイリスタ整流器制御信号をゲートブロックする様に指令を出力させてもよい。
これにより、素子故障検出装置30から故障検出レベルであるHレベルの素子故障検出信号が発報された場合であって、正常動作と判定された場合には、同期電動機システム1の運転を停止させることができる。これにより、同期電動機システム1や同期電動機システム1が用いられる設備への故障波及が防止され、同期電動機システム1や同期電動機システム1が用いられる設備を保護することがでる。
ステップS308において、不要動作防止回路81は、タイマ83によってカウントされた時間Tが所定時間T4より大きい(タイマ>T4)か否かを判定する。
ここで、上述のとおり、時間Tは、T6≧T4≧T1であるため、タイマ83によってカウントされた時間Tが所定時間T4より大きい(タイマ>T4)場合、Hレベルの故障検出信号の発報から所定時間T1以上の時間が経過している。この場合、Hレベルの故障検出信号の発報から所定時間T1以上の時間が経過しても、ステップS304で差分励磁電流ΔIeが所定の閾値Iet以下(ΔIe≦Iet)であると判定されていることになる。このため、タイマ83によってカウントされた時間Tが所定時間T4より大きい(タイマ>T4)ときは、回転整流器23には異常は発生しておらず、素子故障検出装置30に不要動作が発生したと考えられる。
ステップS308において、不要動作防止回路81は、タイマ83によってカウントされた時間Tが所定時間T4より大きい(タイマ>T4)と判定したときは(Yes側)、ステップS310に処理を移行させる。一方、不要動作防止回路81は、タイマ83によってカウントされた時間Tが所定時間T4以下である(タイマ≦T4)と判定したときは(No側)、C(図3のステップS104)に処理を移行させ、ステップS104からステップS304の動作を繰り返す。
これは、前述の様に、力率制御部56の応答にはある程度の時間を要するので、半導体素子25の素子故障が発生しても励磁電流帰還値Ifの増加には時間を要すからである。所定時間T4は、力率制御運転時の素子故障検出装置30の不要動作確認時間であり、所定時間T1より長く設定され、かつ、力率制御部56の応答時間より十分長いことが好ましい。すなわち、上述のとおり、所定時間T1は、力率制御部56の応答時間(力率制御部56がPI制御や1次遅れを含む回路であれば積分時定数)を考慮して設定することが好ましい。
ステップS310において、不要動作防止回路81は、素子故障検出回路不要動作警報(軽故障警報AL1)を出力させ、本フローチャートの動作を終了させる。すなわち、不要動作防止回路81は、素子故障検出装置30に不要動作が発生したと判定し、出力部85に、例えば、不図示の表示部や制御装置や上位装置等に向けて軽故障警報AL1を出力させ、本フローチャートの動作を終了させる。なお、軽故障警報AL1は、「所定の警報」の一例である。
すなわち、故障検出レベルであるHレベルの素子故障検出信号が発報された場合であっても、素子故障検出装置30の不要動作であると判定された場合には、不要動作防止回路81は、トリップ指令TC1とトリップ指令TC2とを出力させない。この場合、不要動作防止回路81は、軽故障警報AL1のみを出力させ、同期電動機システム1は停止させない。これにより、素子故障検出装置30から故障検出レベルであるHレベルの素子故障検出信号が発報された場合であっても、素子故障検出装置30の不要動作の場合には、同期電動機システム1の不要な運転停止の動作を防止することができる。このため、保護装置80が不要動作防止回路81を有することにより、同期電動機システム1の不要な運転停止の動作が防止され、オペレータは、軽故障警報AL1の発報により、素子故障検出装置30の不要動作を知ることが出来る。また、適切なタイミングで同期電動機システム1を計画停止して、素子故障検出装置30等の点検をすることが可能になり、同期電動機システム1が使用されるプロセスの生産性の向上に寄与することができる。
ここで、同期電動機システム1の制御モードが定励磁制御モードである場合、同期電動機システム1の励磁装置制御部50が制御するブラシレス励磁装置20の入力電流は、一定である。このとき、回転整流器23の半導体素子25の素子故障(短絡故障とオープン故障との両者共通)が発生すると、同期電動機励磁巻線11に流れる実際の電流は、減少する。従って、同期電動機本体10の逆起電力が減少し、無効電力は遅相方向に大きくなり、有効電力は減少する。ステップS402以降では、この原理が使用されている。なお、一般に、同期電動機は銅損を少なくするため、力率1近傍で運用されるので、通常運転時における無効電力は小さいが、素子故障が発生すると、逆起電力が減少し、電流ベクトルが電源位相からずれるので、有効電力に比べ無効電力の変化は大きい。
ステップS402において、不要動作防止回路81は、最新時刻における有効電力値P1と、最新時刻から所定時間T2前に遡った時刻の有効電力値P2との差である差分有効電力ΔPを演算して算出する。なお、ステップS202で、現在時刻よりも保持時間T6より以前の有効電力値Pは記憶部84からクリアされているが、上述のとおり、時間Tは、T6≧T7≧T2であるため、所定時間T2前に遡った時刻の有効電力値P2は、記憶部84に記憶されている。このため、不要動作防止回路81は、記憶部84を参照して、最新時刻における有効電力値P1と、最新時刻から所定時間T2前に遡った時刻の有効電力値P2との差である差分有効電力ΔPを演算して算出することができる。なお、有効電力値P1は、「第1有効電力値」の一例であり、有効電力値P2は、「第2有効電力値」の一例である。差分有効電力ΔPは、下記の式(2)により求められる。
ΔP=P1-P2 ・・・・・・(2)
ステップS404において、不要動作防止回路81は、ステップS402で算出された差分有効電力ΔPが所定の閾値Ptよりも小さい(ΔP<Pt)か否かを判定する。なお、所定の閾値Ptは、「有効電力閾値」の一例である。また、差分有効電力ΔPは、「差分有効電力」の一例である。また、ここで、所定の閾値Ptは、負の値である。所定の閾値Ptは、固定値であってもよく、あるいは、変動値、例えば、有効電力値P2に対する割合(P2×k(kは-1よりその絶対値が小さい負の値))であってもよく、固定値+変動値であってもよい。
すなわち、不要動作防止回路81は、有効電力値P(電動機出力)に変動があるか否かを判定している。不要動作防止回路81は、差分有効電力ΔPが所定の閾値Ptよりも小さい(ΔP<Pt)と判定したときは、有効電力値P(電動機出力)に減少方向の変動があったと判定(正常動作と判定)したことになる。一方、不要動作防止回路81は、差分有効電力ΔPが所定の閾値Pt以上(ΔP≧Pt)であると判定したときは、有効電力値P(電動機出力)に減少方向の変動が無かったと判定したことになる(不要動作と判定)。
不要動作防止回路81は、差分有効電力ΔPが所定の閾値Ptよりも小さい(ΔP<Pt)と判定したときは(Yes側:正常動作と判定)、ステップS406に処理を移行させる。一方、不要動作防止回路81は、差分有効電力ΔPが所定の閾値Pt以上(ΔP≧Pt)であると判定したときは(No側:不要動作と判定)、ステップS405に処理を移行させる。
ステップS405において、不要動作防止回路81は、タイマ83によってカウントされた時間Tが所定時間T7より大きい(タイマ>T7)か否かを判定する。所定時間T7は、有効電力判定における不要動作確認時間である。不要動作防止回路81は、時間Tが所定時間T7(タイマ>T7)より大きいと判定したときは(Yes側)、素子故障検出装置30の不要動作と判定し、ステップS310に処理を移行させる。一方、不要動作防止回路81は、時間Tが所定時間T7以下(タイマ≦T7)と判定したときは(No側)、素子故障検出装置30の不要動作と判定し得る時間が経過していないと判定し、C(図3のステップS104)に処理を移行させる。ここで、所定時間T7は、所定時間T2以下である。
ステップS406において、不要動作防止回路81は、最新時刻における無効電力値Q1と、最新時刻から所定時間T3前に遡った時刻の無効電力値Q2との差である差分無効電力ΔQを演算して算出する。ここで、無効電力は、進相を正の値とし、遅相を負の値とする。なお、ステップS202で、現在時刻よりも保持時間T6より以前の無効電力値Qは記憶部84からクリアされているが、上述のとおり、時間Tは、T6>T3であるため、所定時間T3前に遡った時刻の無効電力値Q2は、記憶部84に記憶されている。このため、不要動作防止回路81は、記憶部84を参照して、最新時刻における無効電力値Q1と、最新時刻から所定時間T3前に遡った時刻の無効電力値Q2との差である差分無効電力ΔQを演算して算出することができる。なお、無効電力値Q1は、「第1無効電力値」の一例であり、無効電力値Q2は、「第2無効電力値」の一例である。差分無効電力ΔQは、下記の式(3)により求められる。
ΔQ=Q1-Q2 ・・・・・・(3)
ステップS408において、不要動作防止回路81は、ステップS406で算出された差分無効電力ΔQが所定の閾値Qtよりも小さい(ΔQ<Qt)か否かを判定する。なお、所定の閾値Qtは、「無効電力閾値」の一例である。また、差分無効電力ΔQは、「差分無効電力」の一例である。また、ここで、所定の閾値Qtは、負の値である。所定の閾値Qtは、固定値であってもよく、あるいは、変動値、例えば、無効電力値Q2に対する割合(Q2×k2(k2は1よりその絶対値が小さい値))であってもよく、固定値+変動値であってもよい。
不要動作防止回路81は、ステップS408にて、差分無効電力ΔQが所定の閾値Qtより小さい(ΔQ<Qt)、すなわち、遅相の無効電力が増加と判定したときは(Yes側)、素子故障検出装置30の正常動作と判定し、ステップS306に処理を移行させる。一方、不要動作防止回路81は、ステップS408にて、差分無効電力ΔQが所定の閾値Qt以上(ΔQ≧Qt)であると判定したときは(No側)、ステップS410に処理を移行させる。
この場合、Hレベルの故障検出信号の発報が有りかつ有効電力値P(電動機出力)の減少方向の変動がある場合において、発報時又は発報後の最新時刻の無効電力値Q1と、発報時又は発報後の最新時刻から所定時間T3遡った無効電力値Q2とを比較する。そして、差分無効電力ΔQが所定の閾値Qtより小さければ(遅相方向に無効電力の変動があれば)、回転整流器23の異常と判断できる。
ステップS410において、不要動作防止回路81は、タイマ83によってカウントされた時間Tが所定時間T5より大きい(タイマ>T5)か否かを判定する。不要動作防止回路81は、時間Tが所定時間T5より大きい(タイマ>T5)と判定したときは(Yes側)、素子故障検出装置30の不要動作と判定し、ステップS310に処理を移行させる。一方、不要動作防止回路81は、時間Tが所定時間T5以下(タイマ≦T5)と判定したときは(No側)、素子故障検出装置30の不要動作と判定し得る時間が経過していないと判定し、C(図3のステップS104)に処理を移行させる。そして、不要動作防止回路81は、ステップS104からステップS408の動作を繰り返す。
なお、素子故障検出装置30が正常動作した場合であっても、例えば、素子故障検出装置30によるHレベルの故障検出信号の発報直後は、差分有効電力ΔPや差分無効電力ΔQが所定の閾値Ptや所定の閾値Qtを保つ場合があると考えられる。そこで、不要動作防止回路81は、ステップS405及びステップS410により、本フローチャートのステップS104からステップS410の処理を繰り返すうちに、半導体素子25の素子故障が発生したと判定できる。
すなわち、素子故障検出装置30が正常な場合は、Hレベルの故障検出信号の発報から所定時間T7が経過すれば、最新時刻における、差分有効電力ΔPが所定の閾値Ptより小さくなる現象(所定の有効電力を超える有効電力の減少)となる。また、素子故障検出装置30が正常な場合は、Hレベルの故障検出信号の発報から所定時間T5が経過すれば、最新時刻における差分無効電力ΔQが所定の閾値Qtより小さくなる現象(所定の遅相無効電力を超えた遅相無効電力の発生)となる。これにより、不要動作防止回路81は、半導体素子25の素子故障が発生した(素子故障検出装置30の正常動作)と判定できる。一方、不要動作防止回路81は、Hレベルの故障検出信号の発報から所定時間T7あるいは所定時間T5が経過しても、差分有効電力ΔPや差分無効電力ΔQが上記の条件を満たさない場合は、素子故障検出装置30の不要動作と判定できる。
ここで、ステップS405で、前述のとおり、時間Tは、T6≧T7≧T2であるため、タイマ83によってカウントされた時間Tが所定時間T7より大きい(タイマ>T7)場合、Hレベルの故障検出信号の発報から所定時間T2以上の時間が経過している。この場合、Hレベルの故障検出信号の発報から所定時間T2以上の時間が経過しても、ステップS404で差分有効電力ΔPが所定の閾値Ptを越えた有効電力の変動は起こしていないと判定されていることになる。
同様に、ステップS410にて、時間Tは、T6≧T5≧T3であるため、タイマ83によってカウントされた時間Tが所定時間T5より大きい(タイマ>T5)場合、Hレベルの故障検出信号の発報から所定時間T3以上の時間が経過している。この場合、Hレベルの故障検出信号の発報から所定時間T3以上の時間が経過しても、ステップS408で差分無効電力ΔQが所定の閾値Qtを越えた遅相無効電力の発生は無いと判定されていることになる。
このため、タイマ83によってカウントされた時間Tが所定時間T5より大きい(タイマ>T5)ときは、回転整流器23には異常は発生しておらず、素子故障検出装置30に不要動作が発生したと考えられる。
所定時間T7は有効電力判定の不要動作確認時間であり、所定時間T2以上に設定され、所定時間T5は無効電力判定の不要動作確認時間であり、所定時間T3以上に設定される。これらは、通常運用において想定される負荷変動によって生じる有効電力の変動や無効電力の変動時間を考慮して、それより長く設定される。あるいは、所定時間T7や所定時間T5が上記の変動時間より短く設定される場合は、通常使用において想定される負荷変動によって生じる有効電力の変動や無効電力の変動量が考慮される。それにより、不要動作と誤判定しないように、所定の閾値Ptや所定の閾値Qtが設定される。
なお、順序が入れ替えられて、ステップS112でNoの場合に、ステップS406及びステップS408の処理がステップS402の前に実施されてもよい。また、ステップS408でNoの場合に、ステップS402に処理が移行され、ステップS404にてYesの場合に、ステップS410に処理が移行されるよう順序が入れ替えられてもよい。
<一実施形態の作用効果>
以上、図1から図4に示す実施形態によれば、不要動作防止回路81は、有効電力値Pと無効電力値Qと励磁電流帰還値Ifとを測定時刻に関連付けて記憶部84に記憶させる。これにより、各時刻の有効電力値Pと無効電力値Qと励磁電流帰還値Ifとが記憶されることができる。
以上、図1から図4に示す実施形態によれば、不要動作防止回路81は、有効電力値Pと無効電力値Qと励磁電流帰還値Ifとを測定時刻に関連付けて記憶部84に記憶させる。これにより、各時刻の有効電力値Pと無効電力値Qと励磁電流帰還値Ifとが記憶されることができる。
さらに、不要動作防止回路81は、素子故障検出信号がHレベルでないときは、現在時刻より保持時間T6以前の有効電力値Pと無効電力値Qと励磁電流帰還値Ifとの記録値を記憶領域からクリアする。これにより記憶部84における、測定時刻に関連付けられて記憶される有効電力値Pと無効電力値Qと励磁電流帰還値Ifとの記憶領域が、膨大になることを防ぐことが出来る。
また、図1から図4に示す実施形態によれば、不要動作防止回路81は、素子故障検出信号がHレベルである場合に、タイマ83に時間Tをカウントさせる。これにより、不要動作防止回路81は、最新時刻の有効電力値P1と無効電力値Q1と励磁電流帰還値If1とを把握することができる。さらに、不要動作防止回路81は、現在時刻から各々の所定時間(例えば、T1、T2、又はT3)遡った時刻における有効電力値P2と無効電力値Q2と励磁電流帰還値If1とを把握することができる。また、不要動作防止回路81は、これらの値の差分として、差分有効電力ΔPと差分無効電力ΔQと差分励磁電流ΔIeとを計算することができる。
また、図1から図4に示す実施形態によれば、不要動作防止回路81は、同期電動機システム1の制御モードが、力率制御モードであるか、定励磁制御モードであるかを判定する。これにより、不要動作防止回路81は、同期電動機システム1の制御モードに合わせて素子故障検出装置30の不要動作検出方法を、励磁電流の変動により判定する場合と、有効電力変動及び無効電力変動により判定する場合との、切り替えを行うことが出来る。これにより、励磁装置の運用に合わせた判定が可能である。
また、図1から図4に示す実施形態によれば、不要動作防止回路81は、素子故障検出信号がHレベルでないと判定したときは、現在時刻よりも保持時間T6より以前の記録値を記憶部84からクリアする。これにより、記憶部84における、測定時刻に関連付けられて記憶される有効電力値Pと無効電力値Qと励磁電流帰還値Ifとの記憶領域が、膨大になることを防ぐことが出来る。
また、図1から図4に示す実施形態によれば、不要動作防止回路81は、定力率運転時に、素子故障検出信号がHレベルのときのみ、以下の判定を行い、素子故障検出装置30が正常動作したと判定する。すなわち、不要動作防止回路81は、差分励磁電流ΔIeが所定の閾値Ietより大きい(ΔIe>Iet)と判定したとき、素子故障検出装置30が正常動作と判定する。この場合、不要動作防止回路81は、出力部85に、トリップ指令TC1とトリップ指令TC2とを出力させ、第1遮断器61と第2遮断器71とを開放して電流を遮断し、同期電動機システム1の運転を停止させるとともに重故障警報AL2を出力する。一方、不要動作防止回路81は、素子故障検出信号がHレベル、且つ差分励磁電流ΔIeが所定の閾値Ietよりも大きくない(ΔIe≦Iet)と判定した状態が、所定時間T4を超えたときは、素子故障検出装置30の不要動作と判定する。この場合、不要動作防止回路81は、軽故障警報AL1を出力させ、出力部85に、トリップ指令TC1とトリップ指令TC2とは出力させない。これにより、素子故障検出装置30の不要動作の場合は、不必要な同期電動機システム1の停止が防止できるとともに、同期電動機システム1や同期電動機システム1が用いられる設備や他の機器への故障波及や故障拡大が防止される。また、これにより、同期電動機システム1や同期電動機システム1が用いられる設備や他の機器を保護することができる。
また、図1から図4に示す実施形態によれば、不要動作防止回路81は、定励磁運転時に、素子故障検出信号がHレベルのときのみ、以下の判定を行い、素子故障検出装置30が正常動作したと判定する。すなわち、不要動作防止回路81は、差分有効電力ΔPが所定の閾値Ptより減少する方向に変動があり、且つ差分無効電力ΔQが所定の閾値Qtより遅相方向に増大する変動ありと判定したときは、素子故障検出装置30が正常動作したと判定する。この場合、不要動作防止回路81は、出力部85に、トリップ指令TC1とトリップ指令TC2とを出力させ、第1遮断器61と第2遮断器71とを開放して電流を遮断し、同期電動機システム1の運転を停止させるとともに重故障警報AL2を出力する。一方、不要動作防止回路81は、素子故障検出信号がHレベル、且つ差分有効電力ΔPが所定の閾値Ptより減少していないと判定した状態が、所定時間T7を超えたときは、素子故障検出装置30が不要動作したと判定する。あるいは、不要動作防止回路81は、素子故障検出信号がHレベル、且つ差分無効電力ΔQの遅相方向の変化が所定の閾値Qtより小さいと判定した状態が、所定時間T5を超えたときは、素子故障検出装置30が不要動作したと判定する。この場合、不要動作防止回路81は、軽故障警報AL1を出力させ、出力部85に、トリップ指令TC1とトリップ指令TC2とは出力させない。これにより素子故障検出装置30の不要動作の場合は、不必要な同期電動機システム1の停止が防止できるとともに、同期電動機システム1や同期電動機システム1が用いられる設備や他の機器への故障波及や故障拡大が防止される。また、これにより、同期電動機システム1や同期電動機システム1が用いられる設備や他の機器を保護することができる。
以上のように、本件開示によれば、不要動作防止回路81は、素子故障検出装置30から素子故障検出信号が発報された場合、正常動作か不要動作かの判定ができる。このため、本件開示によれば、正常動作の場合は同期電動機システム1を停止し、不要動作の場合には、同期電動機システム1の不要な運転停止の動作を防止することができる。なお、不要動作の場合は軽故障警報AL1を出力するので、可能な限り早い時期に同期電動機システム1の計画停止を行うことができ、素子故障検出装置30の点検や修理を行ことが出来る。計画停止の場合は同期電動機システム1を停止しても、代替同期機や生産計画の変更などにより影響を小さくすることができる。このため、即時停止と計画停止とを分離することは大きな意味を持つ。これにより、保護装置80が不要動作防止回路81を有することにより、同期電動機システム1が使用されるプロセスの生産性の向上に寄与することができる。
以上の説明のように、本件開示により、不要動作防止回路81は、回転整流器故障検出装置30が、正常動作か故障又は誤動作の場合(不要動作)かを判定する。このため、本件開示によれば、不要動作の場合は警報を出力し、正常動作の場合のみ、同期電動機を停止することが可能な、ブラシレス同期機の保護装置を提供することができる。
<ハードウェア構成例>
図5は、図1~図4に示した実施形態における励磁装置制御部50及び保護装置80が有する処理回路90のハードウェア構成例を示す概念図である。上述した各機能は、処理回路90により実現される。一態様として、処理回路90は、少なくとも1つのプロセッサ91と少なくとも1つのメモリ92とを備える。他の態様として、処理回路90は、少なくとも1つの専用のハードウェア93を備える。
図5は、図1~図4に示した実施形態における励磁装置制御部50及び保護装置80が有する処理回路90のハードウェア構成例を示す概念図である。上述した各機能は、処理回路90により実現される。一態様として、処理回路90は、少なくとも1つのプロセッサ91と少なくとも1つのメモリ92とを備える。他の態様として、処理回路90は、少なくとも1つの専用のハードウェア93を備える。
処理回路90がプロセッサ91とメモリ92とを備える場合、各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、メモリ92に格納される。プロセッサ91は、メモリ92に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各機能を実現する。
処理回路90が専用のハードウェア93を備える場合、処理回路90は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、又はこれらを組み合わせたものである。各機能は処理回路90で実現される。
励磁装置制御部50及び保護装置80が有する各機能は、それぞれ一部又は全部がハードウェアによって構成されてもよく、プロセッサが実行するプログラムとして構成されてもよい。すなわち、励磁装置制御部50及び保護装置80は、コンピュータとプログラムとによっても実現可能であり、プログラムは、記憶媒体に記憶されることも、ネットワークを通して提供されることも可能である。
<実施形態の補足事項>
以上、図1~図5に示す実施形態によれば、本件開示の一態様として、不要動作防止回路81がブラシレス同期電動機システム1に適用された場合について説明した。しかし、これには限られず、不要動作防止回路81は、同期電動機、同期発電機に拘わらず、全てのブラシレス同期機に適用可能である。
以上、図1~図5に示す実施形態によれば、本件開示の一態様として、不要動作防止回路81がブラシレス同期電動機システム1に適用された場合について説明した。しかし、これには限られず、不要動作防止回路81は、同期電動機、同期発電機に拘わらず、全てのブラシレス同期機に適用可能である。
また、図1~図5に示す実施形態によれば、ステップS306において、不要動作防止回路81は、出力部85に、トリップ指令TC1とトリップ指令TC2とを出力させたが、これには限られない。不要動作防止回路81は、出力部85に、トリップ指令TC1とトリップ指令TC2との何れか一方を出力させてもよく、トリップ指令TC1とトリップ指令TC2との少なくともいずれか一方と同時に重故障警報AL2を出力させてもよい。
また、図1~図5に示す実施形態によれば、本件開示の一態様として、保護装置80における不要動作防止回路81を例に説明したが、これには限られない。本件開示は、独立の不要動作防止装置や不要動作防止システムとしても実現可能である。
また、本件開示は、保護装置80における不要動作防止回路81の各部における処理ステップが行われる不要動作防止方法としても実現可能である。
また、本件開示は、保護装置80における不要動作防止回路81の各部における処理ステップをコンピュータに実行させる不要動作防止プログラムとしても実現可能である。
また、本件開示は、不要動作防止プログラムが記憶された記憶媒体(非一時的なコンピュータ可読媒体)としても実現可能である。不要動作防止プログラムは、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等のリムーバブルディスク等に記憶して頒布することができる。なお、これらのプログラムは、同期電動機システム1が有する不図示のネットワークインタフェース等を介してネットワーク上にアップロードされてもよく、ネットワークからダウンロードされ、メモリ92等に格納されてもよい。
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲がその精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずである。したがって、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物に拠ることも可能である。
1…ブラシレス同期電動機システム(同期電動機システム);10…ブラシレス同期電動機本体(同期電動機本体);11…同期電動機励磁巻線;12…同期電動機固定子巻線;20…ブラシレス励磁装置(励磁装置);21…励磁機固定子巻線;22…励磁機回転子;23…回転整流器;24…回転子;25…半導体素子;30…回転整流器故障検出装置(素子故障検出装置);31…素子故障検出巻線;40…励磁装置主回路部;41…励磁回路用サイリスタ整流器(サイリスタ整流器);42…励磁電流検出用シャント(直流電流検出器);50…励磁装置制御部;51…励磁電流設定器;52…第1減算器;53…電流制御部;54…力率設定器;55…第2減算器;56…力率制御部;57…切替スイッチ(切替SW);58…励磁モード設定器;60…交流電源;61…第1遮断器;62…計器用変圧器(PT);63…変流器(CT);64…マルチメータ;65…脱調継電器;66…過電流継電器;67…交流回路;70…交流電源;71…第2遮断器;72…交流回路;80…保護装置;81…ブラシレス同期機用素子故障検出不要動作防止回路(不要動作防止回路);82…取得部;83…タイマ;84…記憶部;85…出力部;86…システムバス;90…処理回路;91…プロセッサ;92…メモリ;93…ハードウェア;AL…警報(アラーム);AL1…軽故障警報;AL2…重故障警報;Iet…所定の閾値(電流閾値);If,If1,If2…励磁電流帰還値;P,P1,P2…有効電力値;Pt…所定の閾値(有効電力閾値);Q,Q1,Q2…無効電力値;Qt…所定の閾値(無効電力閾値);T…時間;T1~T5…所定時間;T6…保持時間;T7…所定時間;TC1,TC2…トリップ指令;ΔIe…差分励磁電流(差分電流);ΔP…差分有効電力;ΔQ…差分無効電力
Claims (3)
- ブラシレス励磁装置と、
前記ブラシレス励磁装置内の回転子に配され、半導体素子を有する回転整流器と、
前記回転整流器における前記半導体素子の故障を検出する素子故障検出装置と、
を有するブラシレス同期機に用いられる保護装置であって、
前記ブラシレス励磁装置の励磁電流帰還値を取得し、取得した時刻に関連付けて記憶する励磁電流帰還記憶手段と、
を備え、
前記素子故障検出装置によって前記半導体素子の故障が発報されたときに、
前記半導体素子の故障が発報された時刻に前記励磁電流帰還記憶手段に記憶された前記励磁電流帰還値である第1励磁電流帰還値と、前記半導体素子の故障が発報された時刻から所定の電流変化監視時間遡った時刻に前記励磁電流帰還記憶手段に記憶された前記励磁電流帰還値である第2励磁電流帰還値との間の差分電流を算出し、
算出された前記差分電流が、所定の電流閾値より大きいときは、前記半導体素子に故障が発生したと判定し、前記ブラシレス同期機を停止させる指令を出力させ、
前記差分電流が、所定の電流閾値以下のときは、前記素子故障検出装置の故障又は誤動作が発生したと判定し、前記ブラシレス同期機を停止させる指令は出力させず、所定の警報を出力させる
ことを特徴とするブラシレス同期機の保護装置。 - ブラシレス励磁装置と、
前記ブラシレス励磁装置内の回転子に配され、半導体素子を有する回転整流器と、
前記回転整流器における前記半導体素子の故障を検出する素子故障検出装置と、
を有するブラシレス同期機に用いられる保護装置であって、
前記ブラシレス同期機の有効電力値を取得し、取得した時刻に関連付けて記憶する有効電力記憶手段と、
前記ブラシレス同期機の進相分を正とし遅相分を負とした無効電力値を取得し、取得した時刻に関連付けて記憶する無効電力記憶手段と、
を備え、
前記素子故障検出装置によって前記半導体素子の故障が発報されたときに、
前記半導体素子の故障が発報された時刻に前記有効電力記憶手段に記憶された前記有効電力値である第1有効電力値と、前記半導体素子の故障が発報された時刻から所定の有効電力変化監視時間遡った時刻に前記有効電力記憶手段に記憶された前記有効電力値である第2有効電力値との間の差分有効電力を算出し、
算出された前記差分有効電力が、所定の有効電力閾値より大きい場合において、
前記半導体素子の故障が発報された時刻に前記無効電力記憶手段に記憶された前記無効電力値である第1無効電力値と、前記半導体素子の故障が発報された時刻から所定の無効電力変化監視時間遡った時刻に前記無効電力記憶手段に記憶された前記無効電力値である第2無効電力値との間の差分無効電力を算出し、
算出された前記差分無効電力が、所定の無効電力閾値より小さいときは、前記半導体素子に故障が発生したと判定し、前記ブラシレス同期機を停止させる指令を出力させ、
前記差分有効電力が、所定の有効電力閾値以下、又は、前記差分無効電力が、所定の無効電力閾値以上のときは、前記素子故障検出装置の故障又は誤動作が発生したと判定し、前記ブラシレス同期機を停止させる指令は出力させず、所定の警報を出力させる
ことを特徴とするブラシレス同期機の保護装置。 - ブラシレス励磁装置と、
前記ブラシレス励磁装置内の回転子に配され、半導体素子を有する回転整流器と、
前記回転整流器における前記半導体素子の故障を検出する素子故障検出装置と、
を有するブラシレス同期機に用いられる保護装置であって、
前記ブラシレス励磁装置の励磁機固定子巻線の入力電流に相当する励磁電流帰還値を取得し、取得した時刻に関連付けて記憶する励磁電流帰還記憶手段と、
前記ブラシレス同期機の有効電力値を取得し、取得した時刻に関連付けて記憶する有効電力記憶手段と、
前記ブラシレス同期機の進相分を正とし遅相分を負とした無効電力値を取得し、取得した時刻に関連付けて記憶する無効電力記憶手段と、
前記ブラシレス同期機が力率制御の制御方式で運転されているか、定励磁制御の制御方式で運転されているかを判別する信号を取得する手段と、
を備え、
前記ブラシレス同期機が、前記力率制御の制御方式で運転され、かつ、前記素子故障検出装置によって前記半導体素子の故障が発報されたときに、
前記半導体素子の故障が発報された時刻に前記励磁電流帰還記憶手段に記憶された前記励磁電流帰還値である第1励磁電流帰還値と、前記半導体素子の故障が発報された時刻から所定の電流変化監視時間遡った時刻に前記励磁電流帰還記憶手段に記憶された前記励磁電流帰還値である第2励磁電流帰還値との間の差分電流を算出し、
算出された前記差分電流が、所定の電流閾値より大きいときは、前記半導体素子に故障が発生したと判定し、前記ブラシレス同期機を停止させる指令を出力させ、
前記差分電流が、所定の電流閾値以下のときは、前記素子故障検出装置の故障又は誤動作が発生したと判定し、前記ブラシレス同期機を停止させる指令は出力させず、所定の警報を出力させ、
前記ブラシレス同期機が、前記定励磁制御の制御方式で運転され、かつ、前記素子故障検出装置によって前記半導体素子の故障が発報されたときに、
前記半導体素子の故障が発報された時刻に前記有効電力記憶手段に記憶された前記有効電力値である第1有効電力値と、前記半導体素子の故障が発報された時刻から所定の有効電力変化監視時間遡った時刻に前記有効電力記憶手段に記憶された前記有効電力値である第2有効電力値との間の差分有効電力を算出し、
算出された前記差分有効電力が、所定の有効電力閾値より大きい場合において、
前記半導体素子の故障が発報された時刻に前記無効電力記憶手段に記憶された前記無効電力値である第1無効電力値と、前記半導体素子の故障が発報された時刻から所定の無効電力変化監視時間遡った時刻に前記無効電力記憶手段に記憶された前記無効電力値である第2無効電力値との間の差分無効電力を算出し、
算出された前記差分無効電力が、所定の無効電力閾値より小さいときは、前記半導体素子に故障が発生したと判定し、前記ブラシレス同期機を停止させる指令を出力させ、
前記差分有効電力が、所定の有効電力閾値以下、又は、前記差分無効電力が、所定の無効電力閾値以上のときは、前記素子故障検出装置の故障又は誤動作が発生したと判定し、前記ブラシレス同期機を停止させる指令は出力させず、所定の警報を出力させる
ことを特徴とするブラシレス同期機の保護装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022075245A JP2023163979A (ja) | 2022-04-28 | 2022-04-28 | ブラシレス同期機の保護装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2022075245A JP2023163979A (ja) | 2022-04-28 | 2022-04-28 | ブラシレス同期機の保護装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2023163979A true JP2023163979A (ja) | 2023-11-10 |
Family
ID=88651690
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2022075245A Pending JP2023163979A (ja) | 2022-04-28 | 2022-04-28 | ブラシレス同期機の保護装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2023163979A (ja) |
-
2022
- 2022-04-28 JP JP2022075245A patent/JP2023163979A/ja active Pending
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A621 | Written request for application examination |
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