JP2023145322A - 光デバイス - Google Patents

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健量 山根
Takekazu Yamane
哲也 柴田
Tetsuya Shibata
友人 水野
Tomohito Mizuno
英明 福澤
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Abstract

【課題】新規な光デバイスを提供する。【解決手段】この光デバイスは、磁性素子と光照射部とを備え、前記光照射部は、前記磁性素子に光を照射し、前記磁性素子は、光が照射される第1強磁性層と、第2強磁性層と、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層とに挟まれるスペーサ層と、を備え、前記第1強磁性層の磁化は、前記光照射部から前記磁性素子に光が照射されていない状態で、前記第1強磁性層が広がる面内方向及び前記第1強磁性層が広がる面と直交する面直方向のいずれに対しても傾いている。【選択図】図1

Description

本発明は、光デバイスに関する。
光電変換素子は、様々な用途で用いられている。
例えば、特許文献1には、フォトダイオードを用いて、光信号を受信する受信装置が記載されている。フォトダイオードは、例えば、半導体のpn接合を用いたpn接合ダイオード等であり、光を電気信号に変換する。
また例えば、特許文献2には、半導体のpn接合を用いた光センサー及びこの光センサーを用いたイメージセンサーが記載されている。
特開2001-292107号公報 米国特許第9842874号明細書
半導体のpn接合を用いた光デバイスは広く利用されているが、更なる発展のために新たな光デバイスが求められている。また、照射される光の強度を広い強度範囲にわたって検出可能な光デバイスが求められている。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、新規で、広い強度範囲にわたって光の強度を検出可能な光デバイスを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)第1の態様にかかる光デバイスは、磁性素子と光照射部とを備え、前記光照射部は、前記磁性素子に光を照射し、前記磁性素子は、光が照射される第1強磁性層と、第2強磁性層と、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層とに挟まれるスペーサ層と、を備え、前記第1強磁性層の磁化は、前記光照射部から前記磁性素子に光が照射されていない状態で、前記第1強磁性層が広がる面内方向及び前記第1強磁性層が広がる面と直交する面直方向のいずれに対しても傾いている。
(2)上記態様にかかる光デバイスは、磁場印加部をさらに備え、前記磁場印加部は、前記第1強磁性層に対して磁場を印加し、前記磁場印加部は、前記光照射部から前記磁性素子に照射される光を遮らない位置にあってもよい。
(3)上記態様にかかる光デバイスにおいて、前記磁場印加部には、前記光照射部からの光が照射されなくてもよい。
(4)上記態様にかかる光デバイスにおいて、前記磁性素子は、反強磁性層をさらに備え、前記反強磁性層は、前記第1強磁性層の前記スペーサ層と接する第1面と反対側の第2面に接してもよい。
(5)上記態様にかかる光デバイスにおいて、前記反強磁性層は、酸化物を含んでもよい。
(6)上記態様にかかる光デバイスは、圧電素子をさらに備え、前記圧電素子は、前記第1強磁性層に応力を印加してもよい。
(7)上記態様にかかる光デバイスにおいて、前記圧電素子は、前記光照射部から前記磁性素子に照射される光を遮らない位置にあってもよい。
(8)上記態様にかかる光デバイスにおいて、前記第1強磁性層は、前記面直方向から見て、長手方向の長さを短手方向の長さで割ったアスペクト比が1より大きくてもよい。
(9)第2の態様にかかる光デバイスは、磁性素子と光照射部とを備え、前記光照射部は、前記磁性素子に光を照射し、前記磁性素子は、光が照射される第1強磁性層と、第2強磁性層と、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層とに挟まれるスペーサ層と、を備え、光デバイスに印加された外部磁場に対する前記磁性素子の抵抗変化を示すRH曲線は、前記光照射部から前記磁性素子に光が照射されていない状態で、少なくとも、ゼロを含む外部磁場強度の範囲においてヒステリシスを示さない。
(10)第3の態様にかかる光デバイスは、磁性素子と光照射部とを備え、前記光照射部は、前記磁性素子に光を照射し、前記磁性素子は、光が照射される第1強磁性層と、第2強磁性層と、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層とに挟まれるスペーサ層と、を備え、前記第1強磁性層の磁区構造は、前記光照射部から前記磁性素子に光が照射されていない状態で、ボルテックス構造である。
上記態様にかかる光デバイスは、新規な原理で動作し、広い強度範囲にわたって光の強度を検出可能である。
第1実施形態に係る光デバイスの斜視図である。 第1実施形態に係る光検知素子の断面図である。 第1実施形態に係る磁性素子に照射される光の強度変化と磁性素子の抵抗値との関係を示す図である。 第1実施形態に係る磁性素子のRH曲線を示す図である。 比較例に係る磁性素子のRH曲線を示す図である。 比較例に係る磁性素子に照射される光の強度変化と比較例に係る磁性素子の抵抗値との関係を示す図である。 第1変形例に係る光検知素子の断面図である。 第2実施形態に係る光検知素子の断面図である。 第3実施形態に係る光検知素子の断面図である。 第3実施形態に係る光検知素子の第1状態の断面図である。 第3実施形態に係る光検知素子の第2状態の断面図である。 第4実施形態に係る光検知素子の断面図である。 第4実施形態に係る光検知素子の別の断面図である。 第5実施形態に係る光検知素子の断面図である。 第6実施形態に係る光検知素子の断面図である。 第6実施形態に係る光検知素子の別の断面図である。 第6実施形態に係る磁性素子のRH曲線を示す図である。 第1適用例にかかる送受信装置のブロック図である。 通信システムの一例の概念図である。 第2適用例に係る光センサー装置の断面の概念図である。 端末装置の一例の模式図である。
以下、実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。
方向について定義する。磁性素子11の第1強磁性層1が広がる面内方向の一方向をx方向とし、面内でx方向と直交する方向をy方向とする。また第1強磁性層1が広がる面(xy平面)と直交する面直方向をz方向とする。z方向は、x方向及びy方向と直交する。以下、+z方向を「上」、-z方向を「下」と表現する場合がある。+z方向は、第2電極13から第1電極12へ向かう方向である。上下は、必ずしも重力が加わる方向とは一致しない。
「第1実施形態」
図1は、第1実施形態に係る光デバイス100の斜視図である。光デバイス100は、例えば、光検知素子10と光照射部20とを備える。光デバイス100は、光照射部20から照射される光Lの状態または状態の変化を、光検知素子10で電気信号に置き換える。
光照射部20は、磁性素子11に光Lを照射する。光照射部20は、例えば、光源と光学部材との少なくとも一方を有する。光源は、例えば、レーザーダイオード、LED等である。光学部材は、例えば、レンズ、メタレンズ、波長フィルター、導波路、光ファイバー、リフレクタ等である。例えば、光源から出射され、光学部材を通過または光学部材で反射した光Lが、磁性素子11に照射される。光照射部20は、光学部材を有し、光源を備えていなくてもよく、光デバイス100の外部からの光が、光照射部20としての上記のような光学部材を通過、または光学部材で反射した後に磁性素子11に照射されてもよい。光照射部20は、光源を有し、光学部材を備えていなくてもよく、光照射部20が有する光源から出射した光が、上記のような光学部材を経ずに磁性素子11に照射されてもよい。光Lは、例えば、レーザー光のような単一波長の単色光である。光Lは単色光でなくてもよく、ある程度の幅を持つ範囲に波長が限定された光でもよいし、連続スペクトルを有する光でもよい。
光Lは、可視光線に限らず、可視光線よりも波長の長い赤外線や、可視光線よりも波長の短い紫外線も含む。可視光線の波長は例えば、380nm以上800nm未満である。赤外線の波長は例えば、800nm以上1mm以下である。紫外線の波長は例えば、200nm以上380nm未満である。光Lは、例えば、高周波の光信号を含み強度変化する光、又は、波長域が制御された光(例えば波長フィルターを通過した光)である。高周波の光信号は、例えば、100MHz以上の周波数を有する信号である。
光検知素子10は、例えば、基板Sub上に形成されている。光検知素子10は、例えば、磁性素子11と第1電極12と第2電極13と磁場印加部30とを備える。
図2は、第1実施形態にかかる光検知素子10の断面図である。図2では、光照射部20から磁性素子11に光Lが照射されていない状態における強磁性体の磁化の向きを矢印で表している。第1電極12と第2電極13とは、磁性素子11をz方向に挟む。磁場印加部30は、磁性素子11を例えばx方向に挟む位置にある。磁性素子11及び磁場印加部30の周囲は、絶縁層90で覆われている。
絶縁層90は、例えば、Si、Al、Mgの酸化物、窒化物、酸窒化物である。絶縁層90は、例えば、酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)、炭化ケイ素(SiC)、窒化クロム、炭窒化ケイ素(SiCN)、酸窒化ケイ素(SiON)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)等である。
磁性素子11は、少なくとも第1強磁性層1と第2強磁性層2とスペーサ層3とを有する。スペーサ層3は、第1強磁性層1と第2強磁性層2との間に位置する。磁性素子11は、これらの他に、バッファ層4、シード層5、強磁性層6、磁気結合層7、垂直磁化誘起層8、キャップ層9を有してもよい。バッファ層4、シード層5、強磁性層6及び磁気結合層7は、第2強磁性層2と第2電極13との間に位置し、垂直磁化誘起層8及びキャップ層9は、第1強磁性層1と第1電極12との間に位置する。例えば、磁性素子11は円柱形状であり、z方向から見た平面視形状が円形である。
磁性素子11は、例えば、スペーサ層3が絶縁材料で構成されたMTJ(Magnetic Tunnel Junction)素子である。磁性素子11は、外部からの光が照射されると抵抗値が変化する。磁性素子11は、第1強磁性層1の磁化M1の状態と第2強磁性層2の磁化M2の状態との相対的な変化に応じて、z方向の抵抗値(z方向に電流を流した場合の抵抗値)が変化する。このような素子は磁気抵抗効果素子とも呼ばれる。
第1強磁性層1は、光Lが照射されると磁化の状態が変化する光検知層である。第1強磁性層1は、磁化自由層とも呼ばれる。磁化自由層は、所定の外部からのエネルギーが印加された際に磁化の状態が変化する磁性体を含む層である。所定の外部からのエネルギーは、例えば、外部から照射される光、磁性素子11の積層方向に流れる電流、第1強磁性層1の外部から印加される磁場である。第1強磁性層1の磁化M1は、照射される光Lの強度に応じて状態が変化する。
第1強磁性層1の磁化M1は、光照射部20から磁性素子11に光Lが照射されていない状態で、面内方向及び面直方向のいずれに対しても傾いている。磁性素子11に光Lが照射されていない状態で、磁化M1が面内方向及び面直方向のいずれに対しても傾いていると、RH曲線はヒステリシスを示さない。RH曲線は、光デバイス100に印加された外部磁場に対する磁性素子11の抵抗変化を示す。ここで外部磁場は、光デバイス100の外部から印加される磁場である。第1強磁性層1の磁化M1は、光照射部20から磁性素子11に光Lが照射されていない状態で、例えば、xy平面内のいずれの方向及びz方向に対して傾いている。
第1強磁性層1は、例えば、面直方向(z方向)に磁化容易軸を有する垂直磁化膜である。第1強磁性層1の磁化M1は、後述する磁場印加部30から面内方向の成分を持つ磁場が印加されることで、面直方向から面内方向のいずれかの方向(例えばx方向)に向かって傾く。ここで、磁場印加部30から第1強磁性層1に印加される磁場は、光デバイス100の内部で生じる磁場であり、光デバイス100の外部から印加される外部磁場と区別され、光デバイス100の外部から印加される外部磁場には含まれない。
第1強磁性層1は、強磁性体を含む。第1強磁性層1は、例えば、Co、FeまたはNi等の磁性元素のいずれかを少なくとも含む。第1強磁性層1は、上述のような磁性元素と共に、B、Mg、Hf、Gd等の元素を含んでもよい。第1強磁性層1は、例えば、磁性元素と非磁性元素とを含む合金でもよい。第1強磁性層1は、複数の層から構成されていてもよい。第1強磁性層1は、例えば、CoFeB合金、CoFeB合金層をFe層で挟んだ積層体、CoFeB合金層をCoFe層で挟んだ積層体である。
また第1強磁性層1は、磁性層と非磁性層とが交互に積層された積層体でもよく、例えば、CoとPtとが交互に積層された積層体、CoとNiとが交互に積層された積層体でもよい。一般的に、「強磁性」は「フェリ磁性」を含む。第1強磁性層1は、フェリ磁性を示してもよい。一方、第1強磁性層1は、フェリ磁性ではない強磁性を示してもよい。例えば、CoFeB合金は、フェリ磁性ではない強磁性を示す。
第1強磁性層1の膜厚は、例えば、1nm以上5nm以下である。第1強磁性層1の膜厚は、例えば、1nm以上2nm以下であることが好ましい。第1強磁性層1が垂直磁化膜の場合、第1強磁性層1の膜厚が薄いと、第1強磁性層1の上下にある層からの垂直磁気異方性印加効果が強まり、第1強磁性層1の垂直磁気異方性が高まる。つまり、第1強磁性層1の垂直磁気異方性が高いと、磁化がz方向に戻ろうとする力が強まる。一方、第1強磁性層1の膜厚が厚いと、第1強磁性層1の上下にある層からの垂直磁気異方性印加効果が相対的に弱まり、第1強磁性層1の垂直磁気異方性が弱まる。
第1強磁性層1の膜厚が薄くなると強磁性体としての体積は小さくなり、厚くなると強磁性体としての体積は大きくなる。外部からのエネルギーが加わったときの第1強磁性層1の磁化の反応しやすさは、第1強磁性層1の磁気異方性(Ku)と体積(V)との積(KuV)に反比例する。つまり、第1強磁性層1の磁気異方性と体積との積が小さくなると、光に対する反応性が高まる。このような観点から、光に対する反応を高めるためには、第1強磁性層1の磁気異方性を適切に設計したうえで第1強磁性層1の体積を小さくすることが好ましい。
第1強磁性層1の膜厚が2nmより厚い場合は、例えばMo,Wからなる挿入層を第1強磁性層1内に設けてもよい。すなわち、z方向に強磁性層、挿入層、強磁性層が順に積層された積層体を第1強磁性層1としてもよい。挿入層と強磁性層との界面における界面磁気異方性により第1強磁性層1全体の垂直磁気異方性が高まる。挿入層の膜厚は、例えば、0.1nm~0.6nmである。
第2強磁性層2は、磁化固定層である。磁化固定層は、所定の外部からのエネルギーが印加された際に磁化の状態が磁化自由層よりも変化しにくい磁性体からなる層である。例えば、磁化固定層は、所定の外部からのエネルギーが印加された際に磁化の向きが磁化自由層よりも変化しにくい。また、例えば、磁化固定層は、所定の外部からのエネルギーが印加された際に磁化の大きさが磁化自由層よりも変化しにくい。第2強磁性層2の保磁力は、例えば、第1強磁性層1の保磁力よりも大きい。第2強磁性層2は、面内磁化膜でも、垂直磁化膜でもよい。図2に示す例では、第2強磁性層2の磁化M2の方向はz方向である。
第2強磁性層2を構成する材料は、例えば、第1強磁性層1と同様である。第2強磁性層2は、例えば、0.4nm~1.0nmの厚みのCoと0.4nm~1.0nmの厚みのPtとが交互に数回積層された多層膜でもよい。第2強磁性層2は、例えば、0.4nm~1.0nmの厚みのCo、0.1nm~0.5nmの厚みのMo、0.3nm~1.0nmの厚みのCoFeB合金、0.3nm~1.0nmの厚みのFeが順に積層された積層体でもよい。
第2強磁性層2の磁化M2は、例えば、磁気結合層7を挟んだ強磁性層6との磁気結合によって固定してもよい。この場合、第2強磁性層2、磁気結合層7及び強磁性層6を合わせたものを磁化固定層と称する場合もある。磁気結合層7及び強磁性層6の詳細は、後述する。
スペーサ層3は、第1強磁性層1と第2強磁性層2との間に配置される層である。スペーサ層3は、導電体、絶縁体もしくは半導体によって構成される層、又は、絶縁体中に導体によって構成される通電点を含む層で構成される。スペーサ層3は、例えば非磁性層である。スペーサ層3の膜厚は、第1強磁性層1の磁化M1と第2強磁性層2の磁化M2の配向方向に応じて調整できる。
例えば、スペーサ層3が絶縁体からなる場合は、磁性素子11は、第1強磁性層1とスペーサ層3と第2強磁性層2とからなる磁気トンネル接合(MTJ:Magnetic Tunnel Junction)を有する。このような素子はMTJ素子と呼ばれる。この場合、磁性素子11はトンネル磁気抵抗(TMR:Tunnel Magnetoresistance)効果を発現することができる。例えば、スペーサ層3が金属からなる場合は、磁性素子11は、巨大磁気抵抗(GMR:Giant Magnetoresistance)効果を発現することができる。このような素子はGMR素子と呼ばれる。磁性素子11は、スペーサ層3の構成材料によって、MTJ素子、GMR素子などと呼び名が異なることがあるが、総称して磁気抵抗効果素子とも呼ばれる。
スペーサ層3が絶縁材料で構成される場合、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン又は酸化ケイ素等を含む材料をスペーサ層3の材料として用いることができる。また、これら絶縁材料は、Al、B、Si、Mgなどの元素や、Co、Fe、Niなどの磁性元素を含んでもよい。第1強磁性層1と第2強磁性層2との間に高いTMR効果が発現するようにスペーサ層3の膜厚を調整することで、高い磁気抵抗変化率が得られる。TMR効果を効率よく利用するためには、スペーサ層3の膜厚は、0.5~5.0nm程度としてもよく、1.0~2.5nm程度としてもよい。
スペーサ層3を非磁性導電材料で構成する場合、Cu、Ag、Au又はRu等の導電材料を用いることができる。GMR効果を効率よく利用するためには、スペーサ層3の膜厚は、0.5~5.0nm程度としてもよく、2.0~3.0nm程度としてもよい。
スペーサ層3を非磁性半導体材料で構成する場合、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫、酸化ゲルマニウム、酸化ガリウム又はITO等の材料を用いることができる。この場合、スペーサ層3の膜厚は1.0~4.0nm程度としてもよい。
スペーサ層3として非磁性絶縁体中の導体によって構成される通電点を含む層を適用する場合、酸化アルミニウムまたは酸化マグネシウムによって構成される非磁性絶縁体中に、Cu、Au、Alなどの非磁性の導体によって構成される通電点を含む構造としてもよい。また、Co、Fe、Niなどの磁性元素によって導体を構成してもよい。この場合、スペーサ層3の膜厚は、1.0~2.5nm程度としてもよい。通電点は、例えば、膜面に垂直な方向からみたときの直径が1nm以上5nm以下の柱状体である。
強磁性層6は、例えば、第2強磁性層2と磁気結合する。磁気結合は、例えば、反強磁性的な結合であり、RKKY相互作用により生じる。第2強磁性層2の磁化M2の向きと強磁性層6の磁化M6の向きとは反平行の関係である。強磁性層6を構成する材料は、例えば、第1強磁性層1と同様である。
磁気結合層7は、第2強磁性層2と強磁性層6との間に位置する。磁気結合層7は、例えば、Ru、Ir等である。
バッファ層4は、異なる結晶間の格子不整合を緩和する層である。バッファ層4は、例えば、Ta、Ti、Zr及びCrからなる群から選択される少なくとも一種の元素を含む金属又は、Ta、Ti、Zr及びCuからなる群から選択される少なくとも一種の元素を含む窒化物である。より具体的には、バッファ層4は、例えば、Ta(単体)、NiCr合金、TaN(窒化タンタル)、CuN(窒化銅)である。バッファ層4の膜厚は、例えば、1nm以上5nm以下である。バッファ層4は、例えば、非晶質である。バッファ層4は、例えば、シード層5と第2電極13との間に位置し、第2電極13に接する。バッファ層4は、第2電極13の結晶構造が第2強磁性層2の結晶構造に影響を及ぼすことを抑制する。
シード層5は、シード層5上に積層される層の結晶性を高める。シード層5は、例えば、バッファ層4と強磁性層6との間に位置し、バッファ層4上にある。シード層5は、例えば、Pt、Ru、Zr、NiFeCrである。シード層5の膜厚は、例えば、1nm以上5nm以下である。
キャップ層9は、第1強磁性層1と第1電極12との間にある。キャップ層9は、第1強磁性層1上に積層されて第1強磁性層1と接する垂直磁化誘起層8を含んでいてもよい。キャップ層9は、プロセス過程で下層へのダメージを防ぐと共に、アニール時に下層の結晶性を高める。キャップ層9の膜厚は、第1強磁性層1に十分な光が照射されるように、例えば10nm以下である。
垂直磁化誘起層8は、第1強磁性層1の垂直磁気異方性を誘起する。垂直磁化誘起層8は、例えば酸化マグネシウム、W、Ta、Mo等である。垂直磁化誘起層8が酸化マグネシウムの場合は、導電性を高めるために、酸化マグネシウムが酸素欠損していることが好ましい。垂直磁化誘起層8の膜厚は、例えば、0.5nm以上5.0nm以下である。
第1電極12は、例えば、磁性素子11に光が照射される側に配置される。光Lは、第1電極12側から磁性素子11に照射され、少なくとも第1強磁性層1に照射される。第1電極12は、導電性を有する材料からなる。第1電極12は、例えば、使用波長域の光に対して透過性を有する透明電極である。第1電極12は、例えば、使用波長域の光の80%以上を透過することが好ましい。
第1電極12は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)等の酸化物である。第1電極12は、これらの酸化物の透明電極材料の中に複数の柱状金属を有する構成としてもよい。第1電極12として上記のような透明電極材料を用いることは必須ではなく、Au、CuまたはAlなどの金属材料を薄い膜厚で用いることで、照射される光を第1強磁性層1に到達させるようにしてもよい。第1電極12の材料として金属を用いる場合、第1電極12の膜厚は、例えば、3~10nmである。また第1電極12は、光が照射される照射面に反射防止膜を有してもよい。
第2電極13は、磁性素子11を挟んで第1電極12と反対側にある。第2電極13は、導電性を有する材料からなる。第2電極13は、例えば、Cu、AlまたはAuなどの金属により構成される。これらの金属の上下にTaやTiを積層してもよい。また、CuとTaの積層膜、TaとCuとTiの積層膜、TaとCuとTaNの積層膜を用いてもよい。また、第2電極13として、TiNやTaNを用いてもよい。第2電極13の膜厚は、例えば200nm~800nmである。
第2電極13は、磁性素子11に照射される光に対して透過性を有するようにしてもよい。第2電極13の材料として、第1電極12と同様に、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)等の酸化物の透明電極材料を用いてもよい。第1電極12のほうから光Lが照射される場合においても、光Lの強度によっては光が第2電極13まで到達する場合もありうるが、この場合、第2電極13が酸化物の透明電極材料を含んで構成されていることで、第2電極13が金属で構成されている場合に比べて、第2電極13とそれに接する層との界面における光の反射を抑制できる。
磁場印加部30は、第1強磁性層1に対して磁場を印加する。磁場印加部30は、光照射部20から磁性素子11に照射される光を遮らない位置にある。磁場印加部30は、例えば、光照射部20の光出射端と磁性素子11とを結ぶ線分と交差しない位置にある。
磁場印加部30は、例えば、第1硬磁性層31と第2硬磁性層32とを有する。第1硬磁性層31の一面には、第1遮光層33がある。第2硬磁性層32の一面には、第2遮光層34がある。
第1硬磁性層31と第2硬磁性層32とは、それぞれ、z方向と直交するいずれかの方向から見て、第1強磁性層1と重なる位置にある。第1硬磁性層31と第2硬磁性層32とは、例えば、絶縁層90を介して、面内方向のいずれかの方向(例えば、x方向)に第1強磁性層1を挟む。
第1硬磁性層31及び第2硬磁性層32は、硬磁性体である。第1硬磁性層31及び第2硬磁性層32は、面内方向に磁化容易軸を有する面内磁化膜である。第1硬磁性層31の磁化M31及び第2硬磁性層32の磁化M32は、例えば、x方向に配向している。
第1硬磁性層31と第2硬磁性層32との間に生じる漏れ磁場が、第1強磁性層1にバイアス磁場として印加される。バイアス磁場が磁化M1に作用し、磁化M1は、面内方向及び面直方向のいずれに対しても傾く。
磁場印加部30は、第1遮光層33及び第2遮光層34によって、光照射部20からの光Lが照射されない。第1遮光層33は、第1硬磁性層31に光Lが照射されることを防止する。第2遮光層34は、第2硬磁性層32に光Lが照射されることを防止する。磁場印加部30に光Lが照射されないようにすることで、光Lの状態が変わることで、第1硬磁性層31及び第2硬磁性層32の磁化状態が変化することを抑制できる。第1遮光層33及び第2遮光層34は、例えば、タングステン、タンタル、チタン等である。
第1遮光層33及び第2遮光層34は、磁場印加部30に光Lが照射されない場合は、無くてもよい。例えば、磁場印加部30が磁性素子11から十分離れている場合や、レンズ等で光Lが磁性素子11に向かって集束している場合は、磁場印加部30に光Lが照射されない。
次いで、磁性素子11の動作のメカニズムについて説明する。図3は、第1実施形態に係る磁性素子11に照射される光Lの強度変化と磁性素子11の抵抗値との関係を示す図である。図3の横軸は、磁性素子11に照射される光Lの強度であり、縦軸は磁性素子11の抵抗値である。
磁性素子11からの出力電圧は、第1強磁性層1に照射される光Lの強度変化により変化する。磁性素子11からの出力電圧の変化に寄与するのは、磁性素子11の積層方向の抵抗値変化である。
磁性素子11は、光照射部20からの光Lが磁性素子11に照射されていない状態(以下、初期状態と称する)で、第1抵抗値R1を示す。磁性素子11のz方向の抵抗値は、磁性素子11のz方向にセンス電流を流すことで、磁性素子11のz方向の両端に電圧が発生し、その電圧値からオームの法則を用いて求められる。磁性素子11からの出力電圧は、第1電極12と第2電極13との間に発生する。初期状態では、磁性素子11から出力される出力電圧は第1の値を示す。
第1強磁性層1に光Lが照射されると、光Lの照射による外部からのエネルギーによって第1強磁性層1の磁化M1は初期状態から傾く。また第1強磁性層1に照射される光Lの強度が変化すると、光Lの強度に応じて、第1強磁性層1の磁化M1の傾きの度合いが変化する。第1強磁性層1に照射される光Lの強度が大きくなるほど、第1強磁性層1の磁化M1の初期状態に対する傾きは大きくなる。例えば、初期状態における第1強磁性層1の磁化M1の方向と光Lが照射された状態における磁化M1の方向との角度は、0°より大きく90°より小さい。
第1強磁性層1の磁化M1が初期状態から傾くと、磁性素子11のz方向の抵抗値は初期状態から変化する。例えば、第1強磁性層1の磁化M1の傾きに応じて、磁性素子11のz方向の抵抗値は、徐々に大きくなる。磁性素子11のz方向の抵抗値が変化すると、磁性素子11からの出力電圧又は出力電流は変化する。例えば、磁性素子11の抵抗値が大きくなるほど、磁性素子11からの出力電圧は大きくなる。また磁性素子11が定電圧源に接続されている場合、磁性素子11の抵抗値が大きくなるほど、磁性素子11からの出力電流は小さくなる。
磁性素子11に照射される光Lの強度が変化した際に、磁性素子11からの出力電圧又は出力電流(磁性素子11の積層方向の抵抗値)は変化する。したがって、磁性素子11は、光Lの強度を磁性素子11からの出力電圧又は出力電流(磁性素子11の抵抗値)として検出できる。
第1強磁性層1の磁化M1には第2強磁性層2の磁化M2と同じ方向のスピントランスファートルクが作用するので、光照射部20から光Lが磁性素子11に照射されなくなると、磁性素子11の磁化M1は初期状態に戻る。磁化M1が初期状態に戻ると、磁性素子11の積層方向の抵抗値は、第1抵抗値R1に戻り、磁性素子11からの出力電圧又は出力電流は第1の値に戻る。
磁性素子11からの出力電圧は、第1強磁性層1に照射される光Lの強度の変化に対応して変化し、磁性素子11は、照射される光Lの強度の変化を磁性素子11からの出力電圧の変化に変換することができる。すなわち、磁性素子11は、光を電気信号に置き換えることができる。
図4は、第1実施形態に係る光デバイス100に対して、第2強磁性層2の磁化M2の方向(この例ではz方向)に印加された外部磁場に対する磁性素子11の抵抗変化を示すRH曲線(以下、「磁性素子11のRH曲線」ともいう)を示す図である。図4に示すグラフにおいて、Hで表現される外部磁場は、図2に示される+z方向の外部磁場がマイナスの符号になるように表現されている。光照射部20から磁性素子11に光Lが照射されていない状態において、第1強磁性層1の磁化M1が面内方向及び面直方向に対して傾いているため、磁性素子11のRH曲線はヒステリシスを示さない。つまり、外部磁場の大きさの広い範囲にわたって、外部磁場の大きさに応じて、磁性素子11の第1強磁性層1の磁化M1の状態(磁化M1の方向)が変化する。光デバイス100に対する外部磁場の印加は、外部からの磁性素子11に対するエネルギーの印加の一例であるが、磁性素子11に対する光Lの照射も、同様に外部からのエネルギーの印加である。そのため、光Lの広い強度範囲にわたって、光Lの強度変化に応じて、磁性素子11の第1強磁性層1の磁化M1の状態(磁化M1の方向)が変化する。従って、図3に示すように、光Lの広い強度範囲にわたって、磁性素子11からの出力電圧又は出力電流(磁性素子11の抵抗値)は、光Lの強度変化に応じて連続的に変化する。
図5は、比較例に係る磁性素子のRH曲線(比較例に係る光デバイスに印加されたz方向の外部磁場に対する、比較例に係る磁性素子の抵抗変化を示すRH曲線)を示す図である。図5に示すグラフにおいて、Hで表現される外部磁場は、図5中の磁性素子の模式図における上方向(磁化M2’の磁化方向)の外部磁場がマイナスの符号になるように表現されている。比較例に係る磁性素子は、比較例に係る磁性素子に光Lが照射されていない状態で、第1強磁性層1の磁化M1がz方向に配向している点以外は、第1実施形態に係る磁性素子11と同じである。比較例に係る磁性素子は、第1強磁性層1’と、第2強磁性層2’と、これらに挟まれるスペーサ層3’と、を備える。比較例に係る磁性素子は、比較例に係る磁性素子に光Lが照射されていない状態で、第1強磁性層1’の磁化M1’と第2強磁性層2’の磁化M2’とは、平行又は反平行である。図5に示すように、比較例に係る磁性素子の第1強磁性層1’の磁化M1’と第2強磁性層2’の磁化M2’とは、平行又は反平行である状態が安定した状態である。比較例に係る磁性素子に光Lが照射されていない状態で、比較例に係る磁性素子のRH曲線はヒステリシスを示す。
図6は、比較例に係る磁性素子に照射される光Lの強度変化と、比較例に係る磁性素子の抵抗値との関係を示す図である。図6の横軸は、比較例に係る磁性素子に照射される光Lの強度であり、縦軸は比較例に係る磁性素子の抵抗値である。
比較例に係る磁性素子は、光照射部20からの光Lが比較例に係る磁性素子に照射されていない状態で、第1抵抗値R1’を示す。比較例に係る磁性素子は、比較例に係る磁性素子に光Lが照射されていない状態で、第1強磁性層1’の磁化M1’と第2強磁性層2’の磁化M2’が安定な状態である。そのため、第1強磁性層1’に照射される光Lの強度が小さく、一定の閾値以下の場合は、第1強磁性層1’の磁化M1’はほとんど変化しない。第1強磁性層1’に閾値を超える強度の光Lが照射されると、第1強磁性層1’の磁化M1’は変化する。第1強磁性層1’に照射される光Lの強度が大きくなるほど、第1強磁性層1’の磁化M1’のz方向に対する傾きは大きくなる。
そのため、図6に示すように、磁性素子のz方向の抵抗値は、光Lの強度が閾値以下の場合は光Lの強度によらずほぼ一定の値(第1抵抗値R1’)を示し、光Lの強度が閾値を超えると、光Lの強度に応じて、変化する。また磁性素子からの出力電圧又は出力電流も、光Lの強度が閾値以下の場合は光Lの強度によらずほぼ一定の値を示し、光Lの強度が閾値を超える場合は光Lの強度に応じて変化する。
光検知素子10において、光照射部20から磁性素子11に光Lが照射されていない状態における第1強磁性層1の磁化M1の方向と面直方向との間の角度は、例えば、5°以上でもよく、20°以上でもよく、35°以上でもよい。このようにすることで、第1強磁性層1に照射される光Lの強度が小さい範囲であっても、光Lの強度変化に応じて、第1強磁性層1の磁化M1の状態(磁化M1の方向)がより確実に変化し、磁性素子11からの出力電圧又は出力電流(磁性素子11の抵抗値)を、光Lの強度変化に応じてより確実に連続的に変化させることができる。また、光検知素子10において、光照射部20から磁性素子11に光Lが照射されていない状態における第1強磁性層1の磁化M1の方向と面直方向との間の角度は、例えば、85°以下でもよく、70°以下でもよく、55°以下でもよい。このようにすることで、光Lの強度変化に対する磁化M1の可動範囲をより確実に確保できるため、光Lの強度の検出範囲をより確実に確保できる。
光照射部20から磁性素子11に光Lが照射されていない状態(初期状態)における第1強磁性層1の磁化M1の方向と面直方向との間の角度は、初期状態における第1強磁性層1の磁化M1の方向と第2強磁性層2の磁化M2の方向との間の角度と、初期状態における第2強磁性層2の磁化M2の方向と面直方向との関係と、から求めることができる。
初期状態における第1強磁性層1の磁化M1の方向と第2強磁性層2の磁化M2の方向との間の角度は、以下の式(1)で求められる。
Figure 2023145322000002
式(1)において、G=1/R、G=1/Rmin、GAP=1/Rmaxを満たす。R、Rmin、Rmaxは、いずれも光照射部20から磁性素子11に光Lが照射されていない状態における磁性素子11の抵抗値である。Rは、光デバイス100に外部磁場が印加されていない状態における磁性素子11の抵抗値である。Rminは、光デバイス100に対する外部磁場の印加強度を増加させていった際の磁性素子11の飽和した抵抗値であり、この際の外部磁場は、第2強磁性層2の磁化M2の方向に印加される。Rmaxは、光デバイス100に対する外部磁場の印加強度を増加させていった際の磁性素子11の飽和した抵抗値であり、この際の外部磁場は、第2強磁性層2の磁化M2の方向と反対方向に印加される。
初期状態において、第2強磁性層2が垂直磁化膜の場合は、第2強磁性層2の磁化M2の方向と面直方向とは平行の関係にあり、第2強磁性層2が面内磁化膜の場合は、第2強磁性層2の磁化M2の方向と面直方向とは垂直の関係にある。
上述のように、第1実施形態にかかる光デバイス100は、磁性素子11からの出力が、磁性素子11に照射される光Lの広い強度範囲にわたって、光Lの強度変化に応じて連続的に変化する。したがって、光デバイス100は、光Lの広い強度範囲にわたって、光Lの強度を検出できる。
ここまで具体的な例を挙げて、第1実施形態にかかる光デバイス100について説明したが、第1実施形態にかかる光デバイスは当該例に限定されるものではない。
図7は、第1変形例に係る光検知素子10Aの断面図である。光検知素子10Aは、第1強磁性層1が面内磁化膜で、第1硬磁性層31及び第2硬磁性層32が垂直磁化膜である。第1硬磁性層31の磁化M31及び第2硬磁性層32の磁化M32は、例えば、z方向に配向している。第1変形例に係る光検知素子10Aのその他の構成は、光検知素子10と同様である。
第1硬磁性層31からの漏れ磁場と第2硬磁性層32からの漏れ磁場が、第1強磁性層1にバイアス磁場として印加する。第1強磁性層1が面内磁化膜の場合は、磁場印加部30から面直方向の成分を持つ磁場が印加されることで、磁化M1は面内方向及び面直方向に対して傾く。
光検知素子10Aにおいて、光照射部20から磁性素子11に光Lが照射されていない状態における第1強磁性層1の磁化M1の方向と面直方向との間の角度は、例えば、5°以上でもよく、20°以上でもよく、35°以上でもよい。また、第1強磁性層1が面内磁化膜である光検知素子10Aでは、初期状態における第1強磁性層1の磁化M1の方向と面直方向との間の角度が0°(第1強磁性層1の磁化M1の方向が面直方向に平行)であってもよい。つまり、第1強磁性層1が面内磁化膜である光検知素子10Aでは、第1強磁性層1の磁化M1は、光照射部20から磁性素子11に光が照射されていない状態で、第1強磁性層1が広がる面内方向に対して傾いていればよい。この場合でも、磁性素子11のRH曲線はヒステリシスを示さず、光Lの広い強度範囲にわたって、磁性素子11からの出力電圧又は出力電流(磁性素子11の抵抗値)は、光Lの強度変化に応じて連続的に変化する。また、光検知素子10Aにおいて、初期状態における第1強磁性層1の磁化M1の方向と面直方向との間の角度は、例えば、85°以下でもよく、70°以下でもよく、55°以下でもよい。このようにすることで、光Lの強度変化に対する磁化M1の可動範囲をより確実に確保できるため、光Lの強度の検出範囲をより確実に確保できる。
ここでは、第1硬磁性層31と第2硬磁性層32とが第1強磁性層1を挟むように配置される例を示したが、一つの硬磁性層を第1強磁性層1の周囲を囲むように配置してもよい。
「第2実施形態」
第2実施形態にかかる光デバイスは、光検知素子10Bと光照射部20とを備える。光照射部20の構成は、第1実施形態にかかる光デバイスと同様である。図8は、第2実施形態にかかる光検知素子10Bの断面図である。光検知素子10Bは、磁場印加部30を備えずに、磁性素子11Bが反強磁性層40を備える点で、光検知素子10と異なる。光検知素子10Bにおいて、光検知素子10と同様の構成には同様の符号を付し、説明を省く。
磁性素子11Bは、反強磁性層40を備える。反強磁性層40は、第1強磁性層1のスペーサ層3と接する第1面S1と反対側の第2面S2に接する。
第1強磁性層1が垂直磁化膜の場合、反強磁性層40の中の微視的な磁気モーメントは、面内方向に配向している。第1強磁性層1が垂直磁化膜の場合、反強磁性層40は、交換バイアスにより第1強磁性層1に面内方向の磁場を印加するのと同様の効果を奏し、磁化M1は面内方向及び面直方向のいずれに対しても傾く。第1強磁性層1が面内磁化膜の場合、反強磁性層40の中の微視的な磁気モーメントは、面直方向に配向している。第1強磁性層1が面内磁化膜の場合、反強磁性層40は、交換バイアスにより第1強磁性層1に面直方向の磁場を印加するのと同様の効果を奏し、磁化M1は面内方向及び面直方向のいずれに対しても傾く。反強磁性層40の中の微視的な磁気モーメントの配向方向は、反強磁性層40をキュリー温度以上まで加熱した後、磁場を印加しながら冷却する際の磁場の方向により自由に設計できる。
反強磁性層40には、公知の反強磁性体を用いることができる。反強磁性層40は、反強磁性を示す酸化物を含むことが好ましい。反強磁性層40が使用波長域の光に対して透過性を有する酸化物であれば、光Lが第1強磁性層1に十分到達する。反強磁性層40は、例えば、酸化ニッケル(NiO)、酸化クロム(Cr)、酸化コバルト(CoO)である。
第2実施形態にかかる光検知素子10Bは、光照射部20から磁性素子11Bに光Lが照射されていない状態において、第1強磁性層1の磁化M1が面内方向及び面直方向に対して傾いているため、磁性素子11BのRH曲線がヒステリシスを示さない。したがって、第2実施形態にかかる光デバイスは、第1実施形態にかかる光デバイス100と同様に、磁性素子11Bからの出力が、磁性素子11Bに照射される光Lの広い強度範囲にわたって、光Lの強度変化に応じて連続的に変化する。
「第3実施形態」
第3実施形態にかかる光デバイスは、光検知素子10Cと光照射部20とを備える。光照射部20の構成は、第1実施形態にかかる光デバイスと同様である。図9は、第3実施形態にかかる光検知素子10Cの断面図である。光検知素子10Cは、磁場印加部30を備えずに、圧電素子50を備える点で、光検知素子10と異なる。光検知素子10Cにおいて、光検知素子10と同様の構成には同様の符号を付し、説明を省く。
光検知素子10Cは、圧電素子50を備える。圧電素子50は、第1強磁性層1に応力を印加できる位置にある。圧電素子50は、例えば、光照射部20から磁性素子11に照射される光Lを遮らない位置にある。圧電素子50は、例えば、磁性素子11を基準に、光が照射される側と反対側にある。圧電素子50と磁性素子11との間には、例えば、絶縁層90がある。
圧電素子50は、例えば、圧電体51と電極52、53とを有する。図9は、圧電体51に電圧を印加していない状態の断面図である。電極52と電極53とを介して、圧電体51に電圧を印加すると圧電体51は変形する。圧電素子50は、圧電体51が変形することで、第1強磁性層1に応力を印加する。
図10は、第3実施形態に係る光検知素子10Cの第1状態を示す図である。図10の左図は、yz断面図である。図10の右図は、第1強磁性層1を通るxy断面図である。圧電体51に電圧を印加すると、圧電体51は変形する。図10に示す第1状態では、圧電体51が、電圧を印加する前の状態から圧電体51のx方向の中心が磁性素子11に近づくように変形する。
第1状態では、第1強磁性層1に対して、x方向の引張応力F1が印加される。第1強磁性層1のx方向に引張応力F1が印加されると、磁歪効果により異方性磁場が生じ、第1強磁性層1の磁化M1はz方向からy方向に向かって傾く。その結果、第1強磁性層1の磁化M1は、面内方向及び面直方向のいずれに対しても傾く。ここでは、一例として、x方向に引張応力F1が印加される例を示したが、引張応力F1が印加される方向は面内方向のいずれの方向でもよい。第1強磁性層1の磁化M1は、引張応力F1が作用する方向と直交する面内方向に向かって傾く。
図11は、第3実施形態に係る光検知素子10Cの第2状態を示す図である。図11の左図は、xz断面図である。図11の右図は、第1強磁性層1を通るxy断面図である。図11に示すように、圧電体51に電圧を印加すると、圧電体51は変形する。図11に示す第2状態は、圧電体51が、電圧を印加する前の状態から圧電体51のx方向の中心が磁性素子11から離れるように変形した状態である。
第2状態では、第1強磁性層1に対して、x方向の圧縮応力F2が印加される。第1強磁性層1のx方向に圧縮応力F2が印加されると、磁歪効果により異方性磁場が生じ、第1強磁性層1の磁化M1はz方向からx方向に向かって傾く。その結果、第1強磁性層1の磁化M1は、面内方向及び面直方向のいずれに対しても傾く。ここでは、一例として、x方向に圧縮応力F2が印加される例を示したが、圧縮応力F2が印加される方向は面内方向のいずれの方向でもよい。第1強磁性層1の磁化M1は、圧縮応力F2が作用する方向に平行な方向に向かってに傾く。
第3実施形態にかかる光検知素子10Cは、光照射部20から磁性素子11に光Lが照射されていない状態において、第1強磁性層1の磁化M1が面内方向及び面直方向に対して傾いているため、磁性素子11のRH曲線がヒステリシスを示さない。したがって、第3実施形態にかかる光デバイスは、第1実施形態にかかる光デバイス100と同様に、磁性素子11からの出力が、磁性素子11に照射される光Lの広い強度範囲にわたって、光Lの強度変化に応じて連続的に変化する。
「第4実施形態」
第4実施形態にかかる光デバイスは、光検知素子10Dと光照射部20とを備える。光照射部20の構成は、第1実施形態にかかる光デバイスと同様である。図12は、第4実施形態にかかる光検知素子10Dの断面図である。図13は、第4実施形態にかかる光検知素子10Dの断面図である。図12は、光検知素子10Dのxz断面であり、図13は、光検知素子10Dの第1強磁性層1を通るxy断面である。光検知素子10Dは、磁場印加部30を備えず、磁性素子11Dの平面視形状が、磁性素子11と異なる点で、光検知素子10と異なる。光検知素子10Dにおいて、光検知素子10と同様の構成には同様の符号を付し、説明を省く。
磁性素子11Dの第1強磁性層1は、z方向から見た平面視形状が楕円形である。第1強磁性層1は、z方向から見て、長手方向の長さを短手方向の長さで割ったアスペクト比が1より大きい。第1強磁性層1には、第1強磁性層1の形状異方性に起因した異方性磁場が生じる。第1強磁性層1の磁化M1は、z方向から異方性磁場が加わる方向に向かって傾く。ここでは、第1強磁性層1の平面視形状として楕円の場合を例示したが、長手方向と短手方向との長さが異なるものであればこの例に限られない。
第4実施形態にかかる光検知素子10Dは、光照射部20から磁性素子11Dに光Lが照射されていない状態において、第1強磁性層1の磁化M1が面内方向及び面直方向に対して傾いているため、磁性素子11DのRH曲線がヒステリシスを示さない。したがって、第4実施形態にかかる光デバイスは、第1実施形態にかかる光デバイス100と同様に、磁性素子11Dからの出力が、磁性素子11Dに照射される光Lの広い強度範囲にわたって、光Lの強度変化に応じて連続的に変化する。
「第5実施形態」
第5実施形態にかかる光デバイスは、光検知素子10Eと光照射部20とを備える。光照射部20の構成は、第1実施形態にかかる光デバイスと同様である。図14は、第5実施形態にかかる光検知素子10Eの断面図である。光検知素子10Eは、磁場印加部30を備えない点で、光検知素子10と異なる。光検知素子10Eにおいて、光検知素子10と同様の構成には同様の符号を付し、説明を省く。
第1強磁性層1の磁化M1は、光照射部20からの光Lが磁性素子11に照射されていない状態で、面内方向及び面直方向に対して傾いている。光照射部20からの光Lが磁性素子11に照射されていない状態における第1強磁性層1の磁化M1の配向方向は、第1強磁性層1の厚みで制御できる。第1強磁性層1の厚みが薄いと、上下の層との界面により第1強磁性層1に垂直磁気異方性印加効果が強く生じ、第1強磁性層1の磁化M1はz方向に配向する。これに対し、第1強磁性層1の厚みが厚くなると、垂直磁気異方性印加効果が弱まり、磁化M1はz方向から面内方向のいずれかの方向に向かって傾く。
第5実施形態にかかる光検知素子10Eは、光照射部20から磁性素子11に光Lが照射されていない状態において、第1強磁性層1の磁化M1が面内方向及び面直方向に対して傾いているため、磁性素子11のRH曲線がヒステリシスを示さない。したがって、第5実施形態にかかる光デバイスは、第1実施形態にかかる光デバイス100と同様に、磁性素子11からの出力が、磁性素子11に照射される光Lの広い強度範囲にわたって、光Lの強度変化に応じて連続的に変化する。
「第6実施形態」
第6実施形態にかかる光デバイスは、光検知素子10Fと光照射部20とを備える。光照射部20の構成は、第1実施形態にかかる光デバイスと同様である。図15は、第6実施形態にかかる光検知素子10Fの断面図である。図16は、第6実施形態にかかる光検知素子10Fの断面図である。図15は、光検知素子10Fのxz断面であり、図16は、光検知素子10Fの第1強磁性層1を通るxy断面である。光検知素子10Fは、磁場印加部30を備えず、磁性素子11にかえて磁性素子11Fを有する点で、光検知素子10と異なる。光検知素子10Fにおいて、光検知素子10と同様の構成には同様の符号を付し、説明を省く。
磁性素子11Fの第1強磁性層1、第2強磁性層2および強磁性層6は面内磁化膜である。磁性素子11Fの第1強磁性層1の磁区構造は、光照射部20から磁性素子11Fに光Lが照射されていない状態で、ボルテックス構造である。ボルテックス構造は、中心Cを取り囲むように、面内方向に磁気モーメントMM1が渦巻いている構造である。ボルテックス構造は、第1強磁性層1の厚みと平面視した際の径とを調整することで発現する。例えば、第1強磁性層1がFeBの場合、第1強磁性層1の厚みを10nm、径を1.1μmとすると、第1強磁性層1の磁区構造はボルテックス構造となる。また例えば、第1強磁性層1がNiFeの場合、第1強磁性層1の厚みを15nm、径を170nmとすると、第1強磁性層1の磁区構造はボルテックス構造となる。また例えば、第1強磁性層1がCoFeBの場合、第1強磁性層1の厚みを10nm、径を300nmとすると、第1強磁性層1の磁区構造はボルテックス構造となる。
図17は、第6実施形態に係る磁性素子11FのRH曲線を示す図である。この例では、外部磁場は、第2強磁性層2の磁化M2の方向である面内方向(この例ではx方向)の磁場である。第1強磁性層1の磁区構造がボルテックス構造の場合、光照射部20から磁性素子11Fに光Lが照射されていない状態で、磁性素子11FのRH曲線が、ゼロを含む外部磁場強度の範囲A1においてヒステリシスを示さない。
第6実施形態にかかる光検知素子10Fは、光照射部20から磁性素子11Fに光照射部20から光Lが照射されていない状態で、磁性素子11FのRH曲線が 、ゼロを含む外部磁場強度の範囲A1においてヒステリシスを示さない。したがって、第6実施形態にかかる光デバイスは、第1実施形態にかかる光デバイス100と同様に、磁性素子11Fからの出力が、磁性素子11Fに照射される光Lの広い強度範囲にわたって、光Lの強度変化に応じて連続的に変化する。
以上、本発明は上記の実施形態及び変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、上記の実施形態及び変形例の特徴的な構成をそれぞれ組み合わせてもよい。
また第1実施形態から第5実施形態では、光Lが磁性素子に照射されていない状態で、第1強磁性層1の磁化M1を面内方向及び面直方向に対して傾けること、第6実施形態では、光Lが磁性素子に照射されていない状態で、第1強磁性層1の磁区構造をボルテックス構造とすることで、少なくとも、ゼロを含む外部磁場強度の範囲において、磁性素子のRH曲線がヒステリシスを示さない状態を実現する例を示した。光Lが磁性素子に照射されていない状態で、少なくとも、ゼロを含む外部磁場強度の範囲において、磁性素子のRH曲線がヒステリシスを示さない状態を実現する方法は、これらに限られない。光Lが磁性素子に照射されていない状態で、少なくとも、ゼロを含む外部磁場強度の範囲において、磁性素子のRH曲線がヒステリシスを示さなければ、磁性素子からの出力は、磁性素子に照射される光の広い強度範囲にわたって、光の強度変化に応じて連続的に変化する。
上記の実施形態及び変形例にかかる光デバイスは、イメージセンサー等の光センサー装置、通信システムの送受信装置等に適用できる。
図18は、第1適用例にかかる送受信装置1000のブロック図である。送受信装置1000は、受信装置300と送信装置400とを備える。受信装置300は光信号L1を受信し、送信装置400は光信号L2を送信する。
受信装置300は、例えば、光検知素子301と信号処理部302とを備える。光検知素子301と光信号L1を照射する光照射部とを含めたものを、上述の実施形態又は変形例のいずれかの光デバイスとすることができる。受信装置300において、高周波の光信号L1を含み強度変化する光が、例えば光照射部としてのレンズ(図示せず)を通過して、磁性素子の第1強磁性層1に照射される。光検知素子301は、光信号L1を電気信号に変換する。信号処理部302は、光検知素子301で変換した電気信号を処理する。信号処理部302は、光検知素子301から生じる電気信号を処理することにより、光信号L1に含まれる信号を受信する。受信装置300は、光信号L1に含まれる信号を、例えば磁性素子の出力電圧に基づいて受信する。
送信装置400は、例えば、光源401と電気信号生成素子402と光変調素子403とを備える。光源401は、例えば、レーザー素子である。光源401は、送信装置400の外部にあってもよい。電気信号生成素子402は、送信情報に基づき電気信号を生成する。電気信号生成素子402は、信号処理部302の信号変換素子と一体となっていてもよい。光変調素子403は、電気信号生成素子402で生成された電気信号に基づき、光源401から出力された光を変調し、光信号L2を出力する。
図19は、通信システムの一例の概念図である。図19に示す通信システムは、2つの端末装置500を有する。端末装置500は、例えば、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ等である。
端末装置500のそれぞれは、受信装置300と送信装置400とを備える。一方の端末装置500の送信装置400から送信された光信号を、他方の端末装置500の受信装置300で受信する。端末装置500間の送受信に使用される光は、例えば可視光である。受信装置300は、光検知素子301として上述の光検知素子を有する。
図20は、第2適用例に係る光センサー装置2000の断面の概念図である。光センサー装置2000は、例えば、回路基板120と配線層130と複数の光センサーSとを有する。配線層130及び複数の光センサーSのそれぞれは、回路基板120上に形成されている。
複数の光センサーSのそれぞれは、例えば、光検知素子10と波長フィルターFとレンズRとを有する。図20では光検知素子10を用いる例を示したが、別の実施形態及び変形例にかかる光検知素子を用いてもよい。この例では、波長フィルターFとレンズRとが光照射部を構成している。光検知素子10の磁性素子には、レンズRおよび波長フィルターFを通過した光が照射される。
波長フィルターFは、特定の波長の光を選別して特定の波長域の光を透過させる。それぞれの波長フィルターFが透過させる光の波長域は、同じでも異なってもよい。例えば、光センサー装置2000は、青色(380nm以上490nm未満の波長域)を透過させる波長フィルターFを有する光センサーS(以下、青色センサーと称する。)と、緑色(490nm以上590nm未満の波長域)を透過させる波長フィルターFを有する光センサーS(以下、緑色センサーと称する。)と、赤色(590nm以上800nm未満の波長域)を透過させる波長フィルターFを有する光センサーS(以下、赤色センサーと称する。)と、を有してもよい。青色センサー、緑色センサー、赤色センサーを1画素とし、この画素を配列することで、光センサー装置2000をイメージセンサーとして用いることができる。図20に示す光センサー装置2000は、光検知素子10の磁性素子11からの出力が、磁性素子11に照射される光の広い強度範囲にわたって、光の強度変化に応じて連続的に変化するため、広い強度範囲にわたって光の強度を検出することができる。
レンズRは、光を光検知素子10の磁性素子に向かって集光する。一つの波長フィルターFの下方には一つの磁性素子が配置されていても、複数の磁性素子が配置されていてもよい。
回路基板120は、例えば、アナログデジタル変換器121と出力端子122とを有する。光センサーSから送られた電気信号は、アナログデジタル変換器121でデジタルデータに置換され、出力端子122から出力される。
配線層130は、複数の配線131を有する。複数の配線131の間には、層間絶縁膜132がある。配線131は、光センサーSのそれぞれと回路基板120との間、回路基板120に形成された各演算回路の間を電気的に繋ぐ。光センサーSのそれぞれと回路基板120とは、例えば、層間絶縁膜132をz方向に貫通する貫通配線を介して接続される。光センサーSのそれぞれと回路基板120との間の配線間距離を短くすることで、ノイズを低減できる。
配線131は、導電性を有する。配線131は、例えば、Al、Cu等である。層間絶縁膜132は、多層配線の配線間や素子間を絶縁する絶縁体である。層間絶縁膜132は、例えば、Si、Al、Mgの酸化物、窒化物、酸窒化物である。層間絶縁膜132は、例えば、酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)、炭化ケイ素(SiC)、窒化クロム、炭窒化ケイ素(SiCN)、酸窒化ケイ素(SiON)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)等である。
上述の光センサー装置2000は、例えば、端末装置に用いることができる。図21は、端末装置600の一例の模式図である。図21の左は端末装置600の表面であり、図21の右は端末装置600の裏面である。端末装置600は、カメラCAを有する。上述の光センサー装置2000は、このカメラCAの撮像素子に用いることができる。図21では、端末装置600の一例として、スマートフォンを例示したが、この場合に限られない。端末装置600は、スマートフォン以外に、例えば、タブレット、パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ等である。
以上、本発明は上記の実施形態及び変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
1,1’…第1強磁性層、2,2’…第2強磁性層、3,3’…スペーサ層、4…バッファ層、5…シード層、6…強磁性層、7…磁気結合層、8…垂直磁化誘起層、9…キャップ層、10、10A,10B,10C,10D,10E,10F…光検知素子、11,11B,11D,11F…磁性素子、12…第1電極、13…第2電極、20…光照射部、30…磁場印加部、31…第1硬磁性層、32…第2硬磁性層、33…第1遮光層、34…第2遮光層、40…反強磁性層、50…圧電素子、51…圧電体、52,53…電極、90…絶縁層、100…光デバイス、120…回路基板、121…アナログデジタル変換器、122…出力端子、130…配線層、131…配線、132…層間絶縁膜、300…受信装置、301…光検知素子、302…信号処理部、400…送信装置、401…光源、402…電気信号生成素子、403…光変調素子、500,600…端末装置、1000…送受信装置、2000…光センサー装置、A1…ゼロを含む外部磁場強度の範囲、C…中心、F…波長フィルター、F1…引張応力、F2…圧縮応力、L…光、L1,L2…光信号、M1,M2,M1’,M2’,M6,M31,M32…磁化、R…レンズ、S…光センサー、S1…第1面、S2…第2面

Claims (10)

  1. 磁性素子と光照射部とを備え、
    前記光照射部は、前記磁性素子に光を照射し、
    前記磁性素子は、光が照射される第1強磁性層と、第2強磁性層と、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層とに挟まれるスペーサ層と、を備え、
    前記第1強磁性層の磁化は、前記光照射部から前記磁性素子に光が照射されていない状態で、前記第1強磁性層が広がる面内方向及び前記第1強磁性層が広がる面と直交する面直方向のいずれに対しても傾いている、光デバイス。
  2. 磁場印加部をさらに備え、
    前記磁場印加部は、前記第1強磁性層に対して磁場を印加し、
    前記磁場印加部は、前記光照射部から前記磁性素子に照射される光を遮らない位置にある、請求項1に記載の光デバイス。
  3. 前記磁場印加部には、前記光照射部からの光が照射されない、請求項2に記載の光デバイス。
  4. 前記磁性素子は、反強磁性層をさらに備え、
    前記反強磁性層は、前記第1強磁性層の前記スペーサ層と接する第1面と反対側の第2面に接する、請求項1~3のいずれか一項に記載の光デバイス。
  5. 前記反強磁性層は、酸化物を含む、請求項4に記載の光デバイス。
  6. 圧電素子をさらに備え、
    前記圧電素子は、前記第1強磁性層に応力を印加する、請求項1に記載の光デバイス。
  7. 前記圧電素子は、前記光照射部から前記磁性素子に照射される光を遮らない位置にある、請求項6に記載の光デバイス。
  8. 前記第1強磁性層は、前記面直方向から見て、長手方向の長さを短手方向の長さで割ったアスペクト比が1より大きい、請求項1に記載の光デバイス。
  9. 磁性素子と光照射部とを備え、
    前記光照射部は、前記磁性素子に光を照射し、
    前記磁性素子は、光が照射される第1強磁性層と、第2強磁性層と、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層とに挟まれるスペーサ層と、を備え、
    光デバイスに印加された外部磁場に対する前記磁性素子の抵抗変化を示すRH曲線は、前記光照射部から前記磁性素子に光が照射されていない状態で、少なくとも、ゼロを含む外部磁場強度の範囲においてヒステリシスを示さない、光デバイス。
  10. 磁性素子と光照射部とを備え、
    前記光照射部は、前記磁性素子に光を照射し、
    前記磁性素子は、光が照射される第1強磁性層と、第2強磁性層と、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層とに挟まれるスペーサ層と、を備え、
    前記第1強磁性層の磁区構造は、前記光照射部から前記磁性素子に光が照射されていない状態で、ボルテックス構造である、光デバイス。
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