JP2023139419A - 波長変換基板および表示装置 - Google Patents

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Abstract

Figure 2023139419000001
【課題】隣り合う波長変換層への光漏れを抑制しつつ、解像度および発光輝度が高い表示装置を得ること。
【解決手段】基板、前記基板上に形成された隔壁、前記隔壁間に、波長変換層と非波長変換層を並列して島状かつ周期的に有する波長変換基板であって、前記隔壁の、前記波長変換層の変換光のピーク波長に対する反射率が40%以上であり、隣り合う前記波長変換層との間の隔壁の幅L2(μm)が、前記波長変換層と前記非波長変換層との間の隔壁の幅L1(μm)よりも大きい波長変換基板。
【選択図】図1

Description

本発明は、波長変換基板および表示装置に関する。
近年、スマートフォンやタブレットなどの情報表示端末や、テレビをはじめとする大型表示装置に対する高性能化の要求が更に高まっている。中でも、波長変換型の有機ELディスプレイやLEDディスプレイは、光源としてアクティブマトリクス駆動されるOLEDやLEDを用い、その光の少なくとも一部を励起光として異なる色に発光する波長変換材料を用いることでフルカラー表示を行う方式のディスプレイであり、色再現性に優れるとされている。
従来、基板の一方の面側を複数の領域に区画する隔壁と、前記複数の領域内に波長変換層を設けた表示素子用積層体の発明として、特許文献1の発明があった。その特許文献1の表示素子用積層体は、隔壁によって区画された基板の一方の面側に、青色の光を吸収して赤色に発光する波長変換材料を含有した波長変換層13aが形成された領域20(赤色画素という)と、青色の光を吸収して緑色に発光する波長変換材料を含有した波長変換層13bが形成された領域21(緑色画素という)と、青色の励起光を変換せずに直接表示に利用する非波長変換層15が形成された領域22(青色画素という)が繰り返し縦横に配置される構造である。そして、隔壁には所定の含有量の黒色顔料を使用することで遮光性を備え、隔壁からの光漏れを防止している。
ここで、波長変換層13aや波長変換層13bにおいて、青色光を所定の色に変換する効率には限界があるので、青色励起光を直接利用する領域22の画素の発光輝度に比べて、領域20や領域21の画素の発光輝度が弱くなりやすく、ディスプレイが暗くなる問題があった。また、変換される緑色光と赤色光とで変換効率が大きく異なると、領域20と領域21とで画素の発光輝度に大きな差異が生じるが、フルカラー表示を行う場合は最も発光輝度の低い画素にあわせる必要があるので、ディスプレイの発光輝度が低くなる問題があった。
さらに隔壁に含有される黒色顔料は光の大半を吸収してしまうため、波長変換層で側面の隔壁方向に発光した変換光は黒色の隔壁に吸収されて有効活用できない。したがって、領域20や領域21の画素の発光輝度は、領域22の画素の発光輝度に比べて大幅に弱くなってしまう問題があった。
また、黒色顔料を用いて隔壁の吸光度を高く設計すると、感光性樹脂組成物を用いて隔壁を形成する場合に、隔壁の塗膜の下部にまで照射光が届きにくい。そのため、フォトリソグラフィー法で隔壁をパターン化する際に加工性の悪化を招く問題もあった。
このような問題に対し、特許文献2では高い光反射機能と微細なパターン形状とを両立する硬化膜の形成に好適な、表示素子形成用感光性組成物の提案がなされている。
これによれば、隔壁に白色顔料を含有させることにより、有機EL素子またはマイクロLED素子から放射された光並びに波長変換層で色変換された変換光が隔壁で反射されるため、光の取り出し効率が向上し、ディスプレイの発光輝度が向上する事が記載されている。
特開2019-179111号公報 特開2019-46790号公報
しかし、白色顔料を分散した感光性組成物の隔壁においては、波長の長い光ほど透過しやすく、また、顔料の反射率を高く設計するほど光は吸収されずに膜中を反射しながら透過するため、厚みに比例した遮光性が得られない。そのため、これら組成物を用いて微細なパターン形状の隔壁を形成し、さらに隔壁間に波長変換層を形成して波長変換基板とした場合には、隔壁の幅方向の遮光性が不足し、発光させている画素の光が隔壁を透過して隣接する画素へ漏れてしまい、目的と異なる色の波長変換層が発光し、表示装置のコントラストや色純度が低下する問題が生じていた。
また、隔壁の幅を十分な遮光性が得られるまで広く設計した場合には、赤色、緑色、青色の各画素を高精細、高密度に形成する事が出来できない問題があった。また、隔壁の遮光性を高めるために、隔壁の色を黒色とした場合には、表示装置の発光輝度が低下するという問題もあった。
本発明は、そのような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、隣り合う波長変換層への光漏れを抑制しつつ、解像度および発光輝度が高い表示装置を得ることにある。
上記課題を解決するためになされた本発明は、基板、前記基板上に形成された隔壁、前記隔壁間に、波長変換層と非波長変換層を並列して島状かつ周期的に有する波長変換基板であって、前記隔壁の、前記波長変換層の変換光のピーク波長に対する反射率が40%以上であり、隣り合う前記波長変換層との間の隔壁の幅L2(μm)が、前記波長変換層と前記非波長変換層との間の隔壁の幅L1(μm)よりも大きい波長変換基板である。
本発明の波長変換基板によれば、隣り合う波長変換層への光漏れを抑制しつつ、解像度および発光輝度が高い表示装置を得ることができる。
本発明の一実施形態に係る波長変換基板の概略平面図である。 本発明の一実施形態に係る波長変換基板において、図1のA-A´断面の概略図である。 本発明の一実施形態に係る発光装置に用いられる発光基板の断面の概略図である。 本発明の一実施形態に係る表示装置の断面の概略図である。 CIE1931色空間のxy色度図において、隔壁の反射の色相(すなわち励起光の補色となる色相)の範囲を示す図である。 本発明の一実施形態に係る隔壁の遮光性を示すグラフである。
以下、本発明の波長変換基板とそれを用いた表示装置の構造について説明する。適宜図面を参照して説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(波長変換基板およびそれを用いた表示装置)
図1及び図2に示す通り、本発明の波長変換基板15は、基板10上に周期的な繰り返しパターンを有する隔壁1が形成され、隔壁で区画された領域には波長変換層2、波長変換層3、非波長変換層4が並列して島状かつ周期的に形成されたものを指す。ここで「島状」とは、隔壁で区画された1つの領域には波長変換層又は非波長変換層のいずれか1つが存在し、ある波長変換層と他の波長変換層又は非波長変換層とは隔壁によって隔てられていることをいう。「周期的」とは、例えば、図1の例では、1つのピクセルを構成する波長変換層2、非波長変換層4、波長変換層3が、この順に図1の横方向に繰り返して配列されることをいう。「並列して」とは、図1の縦方向に上述した配列のピクセルが並行して配列されることをいう。
図1において、隔壁1によって囲まれ形成される領域の平面形状は、四角形などの多角形状、楕円形状、円形状、三日月形状などであってもよい。
更に、波長変換層2と波長変換層3の視認側(図2において下方)にはカラーフィルタ14が、隔壁の下層にはブラックマトリックス5がそれぞれ形成されている。
発光基板16は図3に示す通り、基材11上にバックライト光源として発光デバイス12が形成されている。表示装置としては、図4に示す通り発光デバイス12が波長変換層2、波長変換層3、非波長変換層4を個別に点灯させるバックライトとして機能する様に、波長変換基板15と発光基板16が対向して合わさった構造になっている。この時、視認側は基板10の上方となる。
ここで、発光デバイス12として青色に発光する光源を用いた場合、波長変換層2は青色光を吸収して赤色に発光するので表示装置として赤色を表示する画素となり、波長変換層3は青色光を吸収して緑色に発光するので表示装置として緑色を表示する画素となり、非波長変換層4は発光デバイスの光を変換せずに青色のまま発光するので表示装置として青色を表示する画素となる。これにより、青色の光源のみを使用して赤色、緑色、青色のフルカラー表示が可能な表示装置を得ることができる。
(基板)
基板10は、透明な板である。基板10の材質としては、後述する基材11に例示したものを用いることができる。
(波長変換層)
波長変換層は蛍光体を含むバインダー樹脂(以下、波長変換材料と呼ぶ)から成る。蛍光体としては、無機蛍光体および/または有機蛍光体であることが好ましい。蛍光体とは、外部からのエネルギーを吸収して特定の波長の光を発光する物質であり、波長変換層に用いる蛍光体としては、波長400~500nmの光により励起され、発光スペクトルが500~700nmの領域に発光ピークを有するものが好ましく、その中でも量子ドットであることがより好ましい。
量子ドットは、粒径を変えるだけでバンドギャップをコントロールできるため、発光ピーク波長を精密に調節することが可能であり、波長変換材料に用いる蛍光体として優れている。
バインダー樹脂は、波長変換層を形成した際に、蛍光体の沈降や凝集が生じない様に蛍光体を固定化させる目的があり、光重合性加工物および/または熱重合性化合物を含有し、溶剤や高分子分散剤を含有していても良く、更には光散乱性粒子を含有していることが好ましい。
発光デバイスから発せられた光(以降、励起光と呼ぶ)を吸収した蛍光体は、励起光とは異なる色で全方位に発光する(以降、変換光と呼ぶ)が、そのままではバックライトと反対側、すなわち表示装置の視認側に向かって発せられた光しか出てこない。しかし、光散乱性粒子を含有することにより、蛍光体の発光が散乱されるので視認側に出てくる光の量が増加する。また、励起光も波長変換層内で散乱されるため光路長が増大し、少量の蛍光体で光吸収を向上させることができる。
光散乱性粒子としては、励起光及び変換光の波長に対する反射率が高いことが好ましく、メジアン径は200~2000nmであることが好ましい。その理由として、粒子径が反射させたい光の波長の1/2を大きく下回ると反射性が低下し、また、大きすぎると、波長変換層の形成プロセス、例えば塗液化する際に扱いが困難となるためである。ここで、メジアン径とは、レーザー回折法により測定された粒度分布から算出される平均一次粒子径のことを言う。
光散乱性粒子の材質としては、例えばアルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、硫酸バリウムなどの白色粒子が可視光線の反射に適しているので好ましいが、特に上記に限定されない。光散乱性粒子の含有量に関し、蛍光体の含有量や波長変換層の厚みに応じて適宜調整して良い。
波長変換層の厚みとしては、3μm~30μmであることが好ましい。波長変換層の厚みを3μm以上とすることで、励起光を波長変換層に含まれる蛍光体で効率よく吸収する事が出来る。また、波長変換層の厚みを30μm以下にすることで、変換光が波長変換層内で消光する前に視認側へ取り出すことができるので、波長変換層としての色変換効率を高めることができる。
(非波長変換層)
本発明における非波長変換層は、発光デバイス12から発せられた励起光を変換せずに表示装置の発色光として利用するが、波長変換層から出てくる変換光と同様の放射性を持たせるため、波長変換層と同様に光散乱粒子を含有させることが好ましい。また、非波長変換層は励起光と同色に着色してあってもよい。例えば、発光デバイス12から発せられる光が青色であるならば、非波長変換層は青色光の透過性を大きく損なわない範囲で青色に着色してあってよい。そうすることで、隣接する波長変換層から発せられた変換光が隔壁を透過することがあっても、非波長変換層から視認されにくくなるので、表示ドットが鮮明な表示装置を得ることができる。また、変換光が非波長変換層を透過して、隣接する異なる波長変換層へ到達することもなくなるので、混色が発生することもない。更には、非波長変換層が白色でなくなることで、非波長変換層の視認側に後述のカラーフィルタを形成しなくても視認されにくくなるので、カラーフィルタ形成工程を1工程削減する事が出来る。
(隔壁)
本発明における隔壁は、表示装置の画素数に応じた繰り返しパターンを有する。
隔壁は、波長変換層形成の際に異なる色の波長変換材料が交じり合わない様に、画素となる領域を区画する役目を持つ。波長変換層は相応の厚みがあるので、隔壁は波長変換層の厚みと同等以上の厚みを有することが好ましい。また、隔壁は隣接する画素に光が漏れ出ない様に遮光性を高める必要がある。例えば、波長変換層2を発光させる発光デバイス12を点灯させたとき、表示装置は赤色に点灯するが、隔壁の遮光性が十分ではなく発光デバイスの光が波長変換層3へと漏れ出た場合は、波長変換層3が緑色に発光するので、赤色表示に緑色が混ざることになる。即ち、表示装置のコトラストや色の純度が低下することになる。従って、隔壁は励起光の波長に対して遮光性を有していることが好ましい。
更に、波長変換層内に含まれる蛍光体が励起光を吸収して異なる色で発光する際、隔壁の光線吸収率が高いと光を吸収して波長変換層の発光輝度が低下してしまうので、隔壁の遮光性は光吸収だけではなく、反射によってなされる必要がある。
すなわち、前記隔壁は、前記波長変換層の変換光のピーク波長に対して、40%以上の反射率を有することが重要である。波長変換層においては、光散乱性粒子を添加して視認側へ出てくる光を多くする試みがなされているが、隔壁の光線吸収率が高いと散乱した光が隔壁に吸収されてしまうので、波長変換層としての発光輝度が低下してしまう。フルカラー表示の表示装置として用いる場合にはホワイトバランスが重要となるので、最も発光輝度の低い波長変換層に、他の波長変換層や非波長変換層の発光輝度を合わせる必要がある。前記隔壁の反射率が、変換光のピーク波長に対して40%より小さいと、表示装置を白色表示させた際に暗くなるので、隔壁の反射率は変換光のピーク波長に対して40%以上である必要があり、好ましくは60%以上である。
隔壁に反射性を持たせる手段としては、隔壁の表面に反射性の金属膜を成膜するなどしてもよいが、隔壁に白色顔料を含有させおくのが、製造プロセスの増加なく反射性隔壁を得ることが出来るので好ましい。
本発明においては、隣り合う前記波長変換層との間の隔壁の幅L2(μm)が、前記波長変換層と前記非波長変換層との間の隔壁の幅L1(μm)よりも大きい。隔壁1は隣接する波長変換層へ発光デバイスの光が漏れない様に、励起光に対して隔壁の幅L1あたりの遮光性を高くする必要がある。一方で、例えば波長変換層3の下部にある発光デバイス12のみを発光させた場合は、表示装置として波長変換層3の変換光の色に視認されるのが正しいが、変換光が隔壁1を透過し、隣接する非波長変換層4を透過して視認されたとしても異なる色で発光しないので混色にはならない。従って、隔壁1は変換光に対する幅L1あたりの遮光性が低くとも不都合を生じない。一方で、波長変換層3の変換光が隣接する異なる色の波長変換層2に達した場合、波長変換層3の変換光によって波長変換層2が発光する、目的と異なる色の光が発光して混じり合う(以降、混色と呼ぶ)といった状態が発生する。このような混色を防止するためには、異なる波長変換層の間にある隔壁の遮光性を、励起光だけでなく変換光に対しても高くする必要がある。変換光に対する隔壁1の遮光性が不足する場合には、隔壁の幅L2をL1と同じにするのではなく、十分な遮光性が得られるまでL2を広く取る必要がある。こうすることで、隔壁1の光学特性を変更することなく、光漏れしやすい波長に対して容易に遮光性を高めることができる。また、隔壁の幅L2>L1とした場合でも、非波長変換層4の両側に波長変換層2と波長変換層3を配置することで、光の加色混合に必要な緑色、青色、赤色の画素を隔てる隔壁の幅はL1となるので、表示装置を白色点灯させたときに緑色、青色、赤色の画素が視認されることもなく、良好な解像度の表示装置を得ることができる。
また、隔壁1の幅L1は、5~50μmであることが好ましい。隔壁1の幅L1が5μm未満で所望の遮光性を得るためには隔壁材料の吸光度を非常に高くする必要があり、フォトリソ加工による隔壁形成が困難となる。また、視認距離によるため一概には言えないが、波長変換基板1をディスプレイなどに適用した際に、隔壁1の幅L1が50μm以下であることにより、画面を白色点灯させた場合において、赤、青、緑の画素の色が視認されにくく、解像度がよりよく感じられるので、励起光の遮光性が担保される限りにおいて隔壁1の幅L1は細くするのが良い。
隔壁の幅L1とL2の比は、解像度の観点から1:1.1~8.0の範囲とするのが良い。
隔壁1の厚みは必要とする波長変換層の厚みで適宜調整するが、5~30μmの範囲で形成するのが好ましい。隔壁1の高さを上記範囲とすることで、所望の吸光度とフォトリソグラフィー法による加工性を両立できる。
隔壁1は、励起光に対して、前記L1あたりの吸光度が1.5以上あることが好ましく、より好ましくは2.0以上である。励起光に対する隔壁の吸光度が1.5以上であれば、隔壁を透過して隣接画素へ漏れ出てくるデバイス光は僅かとなるので、異なる波長変換層の発光を抑え込むことができる。また、波長変換層2または波長変換層3の変換光の波長に対しては、隔壁の吸光度は隔壁の幅L2あたり1.3以上であることが好ましく、より好ましくは1.7以上である。蛍光体は励起光以外の波長に対しては吸収・変換率がそれほど高くないので、波長変換層2及び波長変換層3は、互いの発光波長では効率よく色変換されない。すなわち、隔壁1の変換光に対する遮光性は、励起光に対する遮光性と同様の水準まで高くする必要はなく、L2あたりの吸光度が1.3以上であれば隣接画素の発光を抑えることができる。
なお、ここでいう隔壁の幅は、隔壁の断面の幅で最も細いところ(隣接する画素間で最も光の透過距離が短くなるところ)を隔壁の幅として定義する。隔壁の間に空隙を有する場合、例えば、隔壁L2の間に空隙を有した場合は、空隙の幅を除いた隔壁の幅の合算値とする。
また、図1は縦方向に同色の画素が並んでいる前提で記載してあるが、例えば波長変換層2と波長変換層3が交互に入れ替わりで配置される様な場合は、波長変換層2と波長変換層3との距離が最短となる部分の隔壁の幅をL2とする。
また、ここでいう吸光度(a)は、励起光、変換光それぞれの発光スペクトルを、ピーク波長の強度を1として基準化した相対放射強度スペクトルで表した時、380nm~780nmの波長域における放射強度の合計を各々の入射光量(b)と定義し、吸光度を求める隔壁の各波長域における光線透過率を、上記相対放射強度スペクトルの各々に乗じたものの合計を隔壁の透過光量(c)と定義したとき、以下の式(1)で求めた値とする。
吸光度(a)=Log10(b÷c) ・・・・式(1)
ここでいう隔壁の吸光度とは、必ずしも光線を隔壁内で吸収する必要は無く、隔壁の反射特性との合算値であって良い。
また、ここでいう反射率とは、隔壁に当たった光が波長変換層側に戻ってくる割合を表し、正反射と拡散反射の合算値とする。
CIE1931色空間のxy色度図において、前記隔壁の反射の色相は、前記発光デバイスの発光の色相の補色であることが好ましい。
図5に、本発明で定義する隔壁の反射の色相と、励起光の色相並びに補色の関係性について示す。CIE1931色空間のxy色度図において、励起光の色相の補色とは、励起光の色相31とCIE標準光源D65の白色(x=0.3127,y=0.3290)座標32とを結ぶ直線と、白色座標で前記直線と直行する法線を引いたとき、第一象限と第二象限の範囲内の色を示す。隔壁の色相は、より好ましくは前記励起光の色相31とD65白色座標32を結ぶ直線との垂線距離が0.5以下となる色座標範囲34であることが好ましい。隔壁1をこのような色相とした場合は、励起光が効率よく隔壁に吸収されるので、隣接画素への漏れ光を抑制するために必要な隔壁の幅L1を小さくすることができる。隔壁の幅L1が小さくなれば、赤青緑の発光画素をより密接に形成する事が可能となるので、表示装置を白色点灯させた際に、赤青緑の画素が視認されることもなく良好な白色表示が得られる。一方で、変換光の反射率はそれほど低下しないので、白色隔壁を用いた場合と遜色のない明るい表示装置が得られる。隔壁の反射の色相を発光デバイスの発光の色相の補色にする方法としては、隔壁に後述する有機顔料や染料を含有させる方法等が挙げられる。
なお、着色色素の吸収特性には波長分布が存在するので、前述の範囲内で実施可能な範囲で調整するとよい。
図6に励起光のスペクトルと隔壁1の光線透過率の関係の一例を示す。縦軸に励起光に対する隔壁1の光線透過率と励起光の相対放射強度を示し、横軸は波長を示す。図6のAは隔壁1の反射色相を白色に近い色相(x=0.3192,y=0.3422)で形成した場合の各波長における光線透過率のスペクトルを示し、図6のBは隔壁1の反射色相が前記好ましい範囲内にある色相(x=0.3887,y=0.4335)で形成した場合の各波長における光線透過率のスペクトルを示し、図6のCは青色の発光デバイスから発せられる青色励起光(x=0.1525,y=0.0270)の相対放射強度を示している。
隔壁1の反射色相がCIE1931色空間のxy色度図において励起光の色相の補色の範囲内にある色彩で形成した場合(図6B)には、励起光(図6C)を効率よく遮光することがわかる。
隔壁1は、感光性樹脂組成物により形成するのが好ましい。感光性樹脂組成物を用いれば、フォトリソグラフィー法により非常に精細な微細パターンの隔壁1を容易に得ることができる。そのため、隔壁1によって区画分離された波長変換層2、波長変換層3、非波長変換層4も非常に高精細に形成でき、最終的に非常に高精細なディスプレイを製造できるからである。
感光性樹脂組成物は、[A]遮光性顔料、[B]有機顔料や染料、[C]アルカリ可溶性樹脂、[D]光重合性化合物、[E]光重合開始剤及び[F]有機溶媒などを含有する。その他、紫外線吸収剤や界面活性剤などを含有していてもよい。
[A]遮光性顔料としては、隔壁に光線反射性をもたせるため、白色顔料を用いるのが好ましい。遮光性顔料として用いる白色顔料の例としては、例えば二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、硫酸バリウムおよびこれらの複合化合物から選ばれた化合物が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、反射率が高く工業的利用が容易な二酸化チタンが好ましい。二酸化チタンの結晶構造は、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型に分類される。これらの中でも、光触媒活性が低いことから、ルチル型酸化チタンが好ましい。
白色顔料には、表面処理が施されていてもよい。Al、Siおよび/またはZrによる表面処理が好ましく、感光性樹脂組成物中における白色顔料の分散性を向上させ、硬化膜の耐光性および耐熱性を向上させることができる。
白色顔料のメジアン径は、隔壁の遮光性と反射性をより向上させる観点から、100~500nmが好ましく、170~310nmがより好ましい。
白色顔料として好ましく用いられる二酸化チタン顔料としては、例えば、R960;デュポン(株)製(ルチル型、SiO/Al処理、メジアン径210nm)、CR-97;石原産業(株)製(ルチル型、Al/ZrO処理、メジアン径250nm)、JR-301;テイカ(株)製(ルチル型、Al処理、メジアン径300nm)、JR-405;テイカ(株)製(ルチル型、Al処理、メジアン径210nm)、JR-600A;テイカ(株)(ルチル型、Al処理、メジアン径250nm)、JR-603;テイカ(株)(ルチル型、Al/ZrO処理、メジアン径280nm)等が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
白色顔料の含有量は、反射率をより向上させる観点から、固形分中、20重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましく、40重量%以上がさらに好ましい。一方、白色顔料の含有量は、隔壁1の機械的強度や、現像残渣を抑制してより高解像度のパターンを形成する観点から、固形分中、65重量%以下が好ましく、60重量%以下がさらに好ましい。ここでいう固形分とは、感光性樹脂組成物に含まれる成分のうち、溶媒等の揮発性の成分を除いた全成分のことを意味する。固形分の量は、感光性樹脂組成物を加熱して、揮発性の成分を蒸発させた残分を計ることにより求めることができる。
[B]有機顔料や染料などを適宜加えて、隔壁1の透過色調が所望の色相になるよう調整してもよい。例えば、励起光が青色の場合は、波長変換層2または波長変換層3で変換された赤色または緑色の変換光に対して反射率の高い二酸化チタンを主たる[A]遮光性顔料として用い、C.I.ピグメントイエロー各種やC.I.ピグメントオレンジ各種などの[B]有機顔料や染料を少量加える処方にすると、隔壁1の色相をCIE1931色空間のxy色度図において励起光の色相の補色の範囲内にある色相に調整しやすいので好ましい。
励起光の波長に対して大きな吸収を持つ[B]有機顔料や有機染料をもちいることで、僅かな着色量であっても青色励起光の波長に対してのみ選択的に隔壁1の吸光度が上昇し、隣接画素への励起光の光漏れが抑制される、その結果、隣接画素の波長変換層2または波長変換層3の誤発光が抑制され、さらには後述するフォトリソグラフィー法の加工性も良好となる。
色相を調整するために添加する[B]有機顔料や染料の適正な含有量は、[A]遮光性顔料に対して0.1~10質量%が好ましい。これらよりも含有量が少ないと励起光に対する隔壁の遮光性が不足する可能性があり、多いと隔壁1のパターニング精度や、波長変換層2または波長変換層3で変換された変換光のピーク波長に対する反射率が不足する可能性があるためである。
[C]アルカリ可溶性樹脂は、フォトリソグラフィー法の現像工程に用いられるアルカリ性の溶液に可溶な樹脂のことであり、隔壁1を高精細なパターンに形成する機能を有する樹脂である。[C]アルカリ可溶性樹脂としては、耐熱性、耐光性に優れ、硬化膜の色変化やクラックを抑制する事からポリシロキサンが好ましい。本発明の感光性樹脂組成物において、シロキサン樹脂の含有量は、所望の膜厚や用途により任意に設定することができるが、感光性樹脂組成物中、10~60重量%が好ましい。また、シロキサン樹脂の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分中、10重量%以上が好ましく、20重量%以上がより好ましい。一方、シロキサン樹脂の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分中、60重量%以下が好ましく、50重量%以下がより好ましい。
[D]光重合性化合物
光重合性化合物とは、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有する化合物をいう。重合性化合物は、分子中に2つ以上のエチレン性不飽和二重結合を有することが好ましい。ラジカル重合性のしやすさを考えると、[D]光重合性化合物は、(メタ)アクリル基を有することが好ましい。また、[D]光重合性化合物の二重結合当量は、パターン加工における感度をより向上させる観点から、400g/mol以下が好ましい。一方、[D]光重合性化合物の二重結合当量は、パターン加工における解像度をより向上させる観点から、80g/mol以上が好ましい。
[D]光重合性化合物の含有量は、ラジカル硬化を効果的に進める観点から、固形分中、1重量%以上が好ましい。一方、ラジカルの過剰反応を抑制し解像度をより向上させる観点から、[D]光重合性化合物の含有量は、固形分中、40重量%以下が好ましい。
[E]光重合開始剤
光重合開始剤および[D]光重合性化合物を含有することにより、光照射により[E]光重合開始剤から発生したラジカルによって[D]光重合性化合物の重合が進行し、感光性樹脂組成物の露光部がアルカリ水溶液に対して不溶化することから、ネガ型のパターンを形成することができる。
[E]光重合開始剤は、光(紫外線、電子線を含む)により分解および/または反応し、ラジカルを発生させるものであればどのようなものでもよいが、感光性樹脂組成物が[A]白色顔料以外の着色剤を含有せず、白色に近い隔壁を形成したい場合には、[E]光重合開始剤による着色を抑制するため、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-(2,4,4-トリメチルペンチル)-ホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を用いる事が好ましく、更には異なる吸収波長特性を持つ光重合開始剤を2種以上用いてもよい。
感光性樹脂組成物中における[E]光重合開始剤の含有量は、ラジカル硬化を効果的に進める観点から、固形分中、0.01重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましい。一方、残留した[E]光重合開始剤の溶出等を抑制し、黄変を回避させる観点から、[E]光重合開始剤の含有量は、固形分中、20重量%以下が好ましく、10重量%以下とするのがより好ましい。
[F]有機溶媒
[F]有機溶媒を含有することにより、感光性樹脂組成物を塗布に適した粘度に容易に調整し、塗布膜の均一性を向上させることができる。
有機溶媒として、大気圧下の沸点が150℃を超えて250℃以下の有機溶媒と、150℃以下の有機溶媒を組み合わせることが好ましい。感光性樹脂組成物が、沸点が150℃を超えて250℃以下の有機溶媒を含有することにより、塗布時に適度に有機溶媒が揮発して塗膜の乾燥が進行するため、塗布ムラを抑制し、膜厚均一性を向上させることができる。さらに、大気圧下の沸点が150℃以下の有機溶媒を含有することにより、硬化膜中への有機溶媒の残存を抑制することができる。硬化膜中への有機溶媒の残存を抑制し、耐薬品性および密着性を長期間より向上させる観点から、大気圧下の沸点が150℃以下の有機溶媒を、有機溶媒全体の50重量%以上含有することが好ましく、2種以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
有機溶媒の含有量は、塗布方法などに応じて任意に設定することができる。例えば、スピンコーティングにより膜形成を行う場合には、感光性樹脂組成物中、有機溶媒の含有量を50重量%以上、95重量%以下とすることが好ましい。
また、感光性樹脂組成物中には、必要に応じて、密着性改良剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、界面活性剤などをさらに含有してもよい。
感光性樹脂組成物に密着性改良剤を含有することにより、基板との密着性が向上し、信頼性の高い硬化膜を得ることができる。密着性改良剤としては、例えば、脂環式エポキシ化合物や、シランカップリング剤などが挙げられる。これらの中でも、脂環式エポキシ化合物は、耐熱性が高いことから、加熱後の硬化膜の色変化をより抑制することができる。
感光性樹脂組成物における密着性改良剤の含有量は、基板との密着性をより向上させる観点から、固形分中、0.1重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましい。一方、密着性改良剤の含有量は、加熱による色変化をより抑制する観点から、固形分中、20重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましい。
感光性樹脂組成物に紫外線吸収剤を含有することにより、硬化膜の耐光性を向上させ、解像度をより向上させることができる。紫外線吸収剤としては、加熱による色変化をより抑制する観点から、2-(2Hベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-tert-ペンチルフェノール、2-(2Hベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メタクリロキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系化合物;2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;2-(4,6-ジフェニル-1,3,5トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノールなどのトリアジン系化合物が好ましく用いられる。これらを2種以上含有してもよい。
感光性樹脂組成物に重合禁止剤を含有することにより、得られる硬化膜の解像度を向上させることができる。重合禁止剤としては、例えば、ジ-t-ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ハイドロキノン、4-メトキシフェノール、1,4-ベンゾキノン、t-ブチルカテコールが挙げられる。また、市販の重合禁止剤としては、“IRGANOX”(登録商標)1010、1035、1076、1098、1135、1330、1726、1425、1520、245、259、3114、565、295(以上、商品名、BASFジャパン(株)製)などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
感光性樹脂組成物に界面活性剤を含有することにより、塗布時のフロー性を向上させることができる。界面活性剤としては、例えば、“メガファック”(登録商標)F142D、F172、F173、F183、F445、F470、F475、F477(以上、商品名、DIC(株)製)などのフッ素系界面活性剤;“BYK”(登録商標)-333、301、331、345、307(以上、商品名、ビックケミー・ジャパン(株)製)などのシリコーン系界面活性剤;ポリアルキレンオキシド系界面活性剤;ポリ(メタ)アクリレート系界面活性剤などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
感光性樹脂組成物の固形分濃度は、塗布方法などに応じて任意に設定することができる。例えば、後述のようにスピンコーティングにより膜形成を行う場合には、固形分濃度を、5重量%以上、50重量%以下とすることが好ましい。
(カラーフィルタ)
カラーフィルタは一般的に公知のものを使用して良いので詳細な説明は割愛するが、波長変換層が励起光を吸収して色変換する際に、変換できなかった励起光を遮光する役目と、視認側から入射する外光で波長変換層が発光しない様に外光の特定波長を遮光する役目を持つ。そういったカラーフィルタの光学特性としては、波長変換層の発光波長に対する透過率を高くし、かつ、波長変換層を励起させる波長の光を遮光する様に適宜調整すると良い。例えば、励起光の光が青色であるならば、カラーフィルタの色は波長変換層の発光色にあわせて赤色や緑色であってよく、また緑色と赤色の両方に対して透過率が高い黄色であって良い。また、発光デバイスの光を透過させて利用する非波長変換層は外光で発光することがないので、その上部にはカラーフィルタを形成しなくともよいが、非波長変換層中にも白色の散乱粒子を含有する場合は、視認側から画素が白く視認されやすくなるので、発光デバイスの光と同色のカラーフィルタ、例えば青色カラーフィルタを形成しておくことが好ましい。
(ブラックマトリックス)
ブラックマトリックスは公知のものを使用して良く、詳細な説明は割愛するが、反射性の隔壁を使用する場合は視認側からみた反射率が高くなり表示装置としての視認性が悪化するので、隔壁の反射が視認側から見て視認されない様に形成するのが良い。
(発光基板)
発光基板は、基材上に形成された発光デバイスを有する。
発光基板としては、アクティブマトリックス駆動が可能な青色OLEDや青色LEDで構成されていることが好ましい。発光基板は、例えばサファイアやSiCでなる半導体形成用基板上にpn接合を構成するn型半導体膜及びp型半導体膜をエピタキシャル成長させることによってマイクロLED素子を形成し、半導体形成用基板を格子状に分割してマイクロLEDチップを生成した後に、このマイクロLEDチップを、粘着剤を使用した転写法など公知の方法を用いて複数の配線が形成された基材上に配置したのち、配線に制御回路を接続して作製することができる。
(基材)
基材11は、透明又は不透明な板である。基材11としては、透明な板、特には無色透明な板を好適に用いることができる。基材11の材質としては、例えばガラス、石英、樹脂等を挙げることができる。樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド、環状オレフィン、ポリアクリレート、ABS樹脂、AES樹脂等を挙げることができる。
(発光デバイス)
発光デバイス12は、波長変換層2や波長変換層3の波長変換光を発光させるための励起光を発する微細な光源であり、マイクロLED素子(微細なLED表示素子)や有機EL素子などが挙げられる。発光デバイス12は、真空蒸着法やインクジェット法などの方法を用いて、基材11に直接形成してもよいし、別の工程で製造したものを転写させたものでもよい。また、発光デバイス12は、波長変換層2および波長変換層3の発光場所や光量を制御するための駆動トランジスタを有していてもよい。
発光デバイスの光源色としては、紫外光、青色光が好ましく、マイクロLEDとしては、紫外マイクロLED、青色マイクロLEDなどが挙げられる。中でも、紫外から青色波長帯の光を放射する窒化ガリウム(GaN)を主材料するマイクロLEDが好ましい。例えば、波長200nm~380nmの近紫外線を放射する紫外マイクロLEDであってもよいし、波長380nm~500nmの青色光を放射する青色マイクロLEDであってもよい。
(波長変換基板および表示装置の製造方法)
感光性樹脂組成物を用いて隔壁1を形成する方法は、例えば基板に当該感光性樹脂組成物の塗膜を形成した後、該塗膜に露光光線を照射して露光し、露光光線照射後の該塗膜を現像する方法が挙げられる。現像された塗膜は、さらに加熱をしてもよい。
感光性樹脂組成物を基板上に塗布する方法としては、スプレー法、ロールコート法、スピンコート法、リバースコート法、リップコート法、スリットダイコート法、インクジェット法などが挙げられる。塗布した塗膜は、加熱して[F]有機溶媒を飛散させ、プレベークをするとよい。加熱条件としては、各成分の種類、使用割合等によって異なるが、80℃~150℃で30秒~30分間にするとよい。
形成した塗膜は、所定のパターンを有するフォトマスクを介して露光光線を照射する。このとき用いられる露光光線としては、紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線などが挙げられる。紫外線としては、例えばg線(波長436nm)、h線(波長405nm)、i線(波長365nm)などが挙げられる。遠紫外線としては、例えばKrFエキシマレーザー光などが挙げられる。X線としては、例えばシンクロトロン放射線などが挙げられる。荷電粒子線としては、例えば電子線などが挙げられる。露光光線の照射量としては、20~3,000mJ/cm程度(波長365nm露光量換算)が好ましい。
露光光線が照射された塗膜に対し、アルカリ現像液により現像を行って露光光線の非照射部分(非露光部分)を除去する。アルカリ現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n-プロピルアミン、ジエチルアミン、ジエチルアミノエタノール、ジ-n-プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジンなどのアルカリ塩基性化合物の水溶液などが挙げられる。また、上記アルカリの水溶液に界面活性剤を適当量添加した水溶液などを現像液として用いてもよい。
現像方法としては、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法、シャワー法などが挙げられる。現像時間としては、感光性樹脂組成物の硬化した状態によって異なるが、数秒から数分で行うのが好ましい。現像された塗膜を加熱硬化する場合の方法としては特に限定されないが、オーブンやホットプレート等の加熱装置を用いて100℃~250℃で10分間から1時間加熱する方法が挙げられる。
波長変換層2、波長変換層3、非波長変換層4の製造方法は、いずれの方法でも構わないが、フォトリソ法やインクジェット法、ノズル塗布法などが挙げられる。
本発明の波長変換基板15は、カラーフィルタを形成した基板の一方の面側に隔壁1や波長変換層などを形成する工程とは別に、基材11の一方の面側に多数の発光デバイス12を設置した発光基板16を用意しておき、この各々の発光デバイス12と隔壁1により区画隔離された波長変換層2、波長変換層3、非波長変換層4とが位置が合うように対向して載置し貼合することにより作製するとよい。貼合後、波長変換基板15の波長変換層2、波長変換層3、非波長変換層4は、発光デバイス12の上部に設けられる構造となる(図4参照)。
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲でその構成を変更することもできる。例えば、基板10に隔壁1を形成する際、先に隔壁1を形成して、その隔壁1で区画隔離された各領域にカラーフィルタ14を充填形成し、次いでその上に波長変換層2、波長変換層3、非波長変換層4を積層形成する順序で、波長変換基板15を製造しても構わない。
あるいは、基材11の上に発光デバイス12を配置した後に隔壁1を形成し、その隔壁1で区画隔離された各領域波長変換層2、波長変換層3、非波長変換層4を積層形成し、カラーフィルタ14の基板を積層形成するような、貼合工程のない方法で波長変換基板15を製造しても構わない。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
合成例および実施例に用いた化合物のうち、略語を使用しているものについて、以下に示す。
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート。
[合成例1]シロキサン樹脂溶液の合成
アルカリ可溶性樹脂[C]として、シロキサン樹脂溶液を以下の手順で合成した。1000mlの三口フラスコに、トリフルオロプロピルトリメトキシシランを147.32g、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランを40.66g、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を26.23g、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシランを12.32g、BHTを0.81g、PGMEAを171.62g仕込み、室温で撹拌しながら水52.65gにリン酸2.26gを溶かしたリン酸水溶液を30分間かけて添加した。その後、フラスコを70℃のオイルバスに浸けて90分間撹拌した後、オイルバスを30分間かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液温度(内温)が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌し(内温は100~110℃)、シロキサン樹脂溶液を得た。なお、昇温および加熱撹拌中、窒素95体積%、酸素5体積%の混合気体を0.05リットル/分流した。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計131.35g留出した。得られたシロキサン樹脂溶液に、固形分濃度が40重量%となるようにPGMEAを追加し、シロキサン樹脂溶液を得た。
シロキサン樹脂溶液の固形分濃度は、アルミカップにシロキサン樹脂溶液を1.5g秤取し、ホットプレートを用いて250℃で30分間加熱して液分を蒸発させ、加熱後のアルミカップに残った固形分の重量を秤量し、加熱前の重量に対する割合から固形分濃度を求めた。
[調製例1]遮光性顔料分散液(A1)の調製
二酸化チタンR-960(BASF社製)を40質量部、分散剤としてBYK-LPN21116(ビックケミー社製)を10質量部、及び溶媒としてPGMEAを固形分濃度が40質量%となるよう用い、ビーズミルにより10時間混合・分散して、遮光性顔料分散液(A1)を調製した。遮光性顔料の平均粒子径は250nmであった。遮光性顔料分散液中の遮光性顔料の含有量は35質量%であった。
[調製例2]遮光性顔料分散液(A2)の調製
黒色顔料として窒化チタン粒子(日清エンジニアリング製)20重量部、アクリルポリマーのPGMEA35質量%溶液を11.4重量部、高分子分散剤として3級アミノ基と4級アンモニウム塩を有するディスパービックLPN-21116を2.5重量部及びPGMEA66.1重量部をタンクに仕込み、ホモミキサーで20分撹拌し、予備分散液を得た。その後、0.05mmφジルコニアビーズを75%充填した遠心分離セパレーターを具備したウルトラアペックスミル(寿工業製)に予備分散液を供給し、回転速度8m/sで3時間分散を行い、固形分濃度25質量%、着色材/樹脂(質量比)=80/20の遮光性顔料分散液(A2)を得た。
[調製例3]有機顔料分散液(B1)の調製
C.I.ピグメントイエロー185を150g、高分子分散剤(ビックケミー製“BYK-6919”(以下、BYK-6919))を75g、バインダーポリマー(ダイセル化学製、“サイクロマー(登録商標)P”、ACA250(以下、(ACA)Z250)、45質量%溶液)を100g、PGMEAを675g秤量混合してスラリーを作製した。スラリーを入れたビーカーをダイノーミルとチューブでつなぎ、メディアとして直径0.5mmのジルコニアビーズを使用して、周速14m/sで8時間の分散処理を行い、ピグメントイエロー185分散液を作製した。
[調製例4]有機顔料分散液(B2)の調製
C.I.ピグメントレッド254を150g、BYK-6919を75g、(ACA)Z250(45質量%溶液)を100g、PGMEAを675g使用した以外は、調製例3と同様の手順でピグメントレッド254分散液を作製した。
[調製例5]有機顔料分散液(B3)の調製
C.I.ピグメントグリーン58を150g、BYK-6919を75g、(ACA)Z250(45質量%溶液)を100g、PGMEAを675g使用した以外は、調製例3と同様の手順にてピグメントグリーン58分散液を作製した。
[調製例6]有機顔料分散液(B4)の調製
C.I.ピグメントブルー15:6を150g、BYK-6919を75g、(ACA)Z250(45質量%溶液)を100g、PGMEAを675g使用した以外は、調製例3と同様の手順にてピグメントブルー15:6分散液を作製した。
[調製例7]緑色波長変換材料組成物の調製
緑色への波長変換層の発光材料としてLumidot 530 CdSe/ZnS(アルドリッチ社製)の0.285質量%トルエン溶液を70質量部、1,6-ヘキサンジオールを45質量部、光重合開始剤(”イルガキュア”(商品名)-819(BASFジャパン(株)製(以下、IC-819))5質量部、アクリル樹脂SPCR-18(昭和電工(株)製)の30質量%、PGMEA溶液を166質量部、光散乱性粒子として遮光性顔料分散液(A1)を14.3重量部、およびトルエンを33質量部混合して撹拌し均一に溶解した。5.00μmのシリンジフィルターで濾過し、緑色波長変換材料組成物を調製した。
[調製例8]赤色波長変換材料組成物の調製
赤色への波長変換層の発光材料として、Lumidot 610 CdSe/ZnS(アルドリッチ社製)の0.999質量%トルエン溶液を20質量部、1,6-ヘキサンジオールを45質量部、IC-819を5質量部、アクリル樹脂(SPCR-18(商品名)、昭和電工(株)製)の30重量%PGMEA溶液を166重量部、光散乱性粒子として遮光性顔料分散液(A1)を14.3重量部、およびトルエンを83重量部使用した以外は、調製例7と同様の手順にて赤色波長変換材料組成物を調製した。
[調製例9]非波長変換材料組成物の調製
非波長変換層の材料として、1,6-ヘキサンジオールを45質量部、IC-819を5質量部、アクリル樹脂SPCR-18(昭和電工(株)製)の30質量部、PGMEA溶液を166質量部、光散乱性粒子として遮光性顔料分散液(A1)を14.3質量部、およびトルエンを102質量部混合して撹拌し均一に溶解した。5.00μmのシリンジフィルターで濾過し、非波長変換材料組成物を調製した。
[調製例10]ブラックマトリックス形成材料の調製
調製例2で調合した遮光性顔料分散液(A2)を33.91g、バインダー樹脂(“アデカアークルズ”(登録商標)WR301(商品名)(株)ADEKA製(以下、WR301))を37.56g、(ACA)Z250を9.96g、DPHAを16.27g、光重合開始剤(“アデカアークルズ”(登録商標)NCI-831E(商品名)(株)ADEKA製(以下「NCI-831E」))を0.845g、界面活性剤(BYK”(登録商標)-333(商品名)ビックケミー社製(以下「BYK-333」))を0.3g、溶媒としてPGMEAを4.59g添加し、ブラックマトリックス形成材料を作製した。
[調製例11]緑色カラーフィルタ形成材料の調製
C.I.ピグメントグリーン59を90g、C.I.ピグメントイエロー150を60g、BYK-6919を75g、WR301を100g、PGMEAを675g混合してスラリーを作製した。スラリーを入れたビーカーをダイノーミルとチューブでつなぎ、メディアとして直径0.5mmのジルコニアビーズを使用して、周速14m/sで8時間の分散処理を行い、ピグメントグリーン58分散液を作製した。
次いで、上記ピグメントグリーン58分散液56.54g、(ACA)Z250を3.14g、DPHAを2.64g、NCI-831Eを0.33g、BYK-333を0.04g、溶媒としてPGMEAを37.30g添加し、緑色カラーフィルタ形成材料を作製した。
[調製例12]赤色カラーフィルタ形成材料の調製
C.I.ピグメントレッド177を90g、C.I.ピグメントイエロー83を30g用いた以外は、調製例11と同様にしてピグメントレッド177分散液を作製し、次いで赤色カラーフィルタ形成材料を作製した。
[調製例13]青色カラーフィルタ形成材料の調製
C.I.ピグメントブルー15:6を90g用いた以外は、調製例11と同様にしてピグメントブルー15:6分散液を作製し、次いで青色カラーフィルタ形成材料を作製した。
[調製例14]隔壁形成材料1の調製
表1に隔壁材料の原料組成を示す。調製例14の組成表に従い、以下の手順で隔壁形成材料を作製した。
[A]遮光性顔料として調製例1で作製した遮光性顔料分散液(A1)を57.42g、[B]有機顔料は添加なし、[C]アルカリ可溶性樹脂として合成例1で合成したシロキサン樹脂溶液を26.00g、[D]光重合性化合物としてDPHAを7.30g、[E]光重合開始剤としてIC-819を2.00gと”イルガキュア”(商品名)-OXE02(BASFジャパン(株)製(以下、OXE02))を0.20g、光重合性フッ素含有化合物(“メガファック”(登録商標)RS-76-E(商品名)DIC(株)製)の40重量%PGMEA希釈溶液を0.50g、[F]有機溶媒としてPGMEAを7.00g混合して撹拌し、5.00μmのシリンジフィルターで濾過して隔壁形成材料1を得た。
[調製例15]隔壁形成材料2の調製
表1の調製例15の組成表に従い、以下の手順で隔壁形成材料2を作製した。
[A]遮光性顔料として調製例1で作製した遮光性顔料分散液(A1)を56.28g、[B]有機顔料として調製例3で作製した有機顔料分散液(B1)を1.34g、[C]アルカリ可溶性樹脂として合成例1で合成したシロキサン樹脂溶液を26.00g、[D]光重合性化合物としてDPHAを7.3g、[E]光重合開始剤としてIC-819を2.00gと”イルガキュア”(商品名)-OXE02(BASFジャパン(株)製(以下、OXE02))を0.20g、光重合性フッ素含有化合物(“メガファック”(登録商標)RS-76-E(商品名)DIC(株)製)の40重量%PGMEA希釈溶液を0.50g、[F]有機溶媒としてPGMEAを7.00g混合して撹拌し、5.00μmのシリンジフィルターで濾過して隔壁形成材料2を得た。
[調製例16~18]隔壁形成材料3~5の調製
表1の原料組成において、調製例16~18の組成表に従い、調製例15と同様の手順で隔壁形成材料3~5を得た。
[調製例19]隔壁形成材料6の調製
表1の原料組成において、調製例19の組成表に従い、以下の手順で隔壁形成材料6を作製した。
[A]遮光性顔料として調製例2で作製した遮光性顔料分散液(A2)を11.49g、[B]有機顔料はなし、[C]アルカリ可溶性樹脂として合成例1で合成したシロキサン樹脂溶液を26.00g、[D]光重合性化合物としてDPHAを7.3g、[E]光重合開始剤としてIC-819を2.00gと”イルガキュア”(商品名)-OXE02(BASFジャパン(株)製(以下、OXE02))を0.20g、光重合性フッ素含有化合物(“メガファック”(登録商標)RS-76-E(商品名)DIC(株)製)の40重量%PGMEA希釈溶液を0.50g、[F]有機溶媒としてPGMEAを10.00g混合して撹拌し、5.00μmのシリンジフィルターで濾過して隔壁形成材料6を得た。
各実施例及び比較例における評価方法を以下に示す。
(吸光度の測定方法)
<隔壁の幅方向の光線透過率の測定>
隔壁の吸光度は、励起光及び変換光の透過率から算出するが、感光性樹脂組成物をパターン加工して形成した隔壁は、高さが数μmから数十μmの微細加工パターンであり、幅L2および幅L1あたりの光線透過率を測定することが困難である。そこで、隔壁の幅を膜厚で代用するサンプルを作製して評価した。
すなわち、感光性樹脂組成物塗膜からなる隔壁の幅30μmあたりの光線透過率は、膜厚30μmの感光性樹脂組成物塗膜の光線透過率を測定することで評価を代用し、隔壁の幅60μmの光線透過率は膜厚60μmの感光性樹脂組成物塗膜の光線透過率を測定することで評価を代用した。
これらの隔壁塗膜を透過する光は強く散乱するので、分光光度計((株)日立ハイテクサイエンス:U-4100)に積分球を取り付け、波長380~780nmの範囲における隔壁の代用サンプルの透過率を1nm刻みで測定した。(隔壁の透過スペクトル(d))。
<励起光(青色マイクロLED)及び変換光(緑、赤)の発光スペクトルの測定>
励起光(青色マイクロLED)の発光スペクトルは、まず、真空蒸着法によりシリコンウエハ上に膜厚が0.5μmの窒化ガリウムからなる青色マイクロLED素子を形成し、ピーク波長450nmの青色光(CIE1931色空間のxy色度図においてx=0.1525,y=0.0270の光)を発光させる青色発光デバイスCを作製し、分光放射計((株)トプコンテクノハウス:SR-LEDW)を用いて測定した。(380~780nmの範囲で1nm刻み)。
そして、得られた測定値のピーク波長の強度を1として基準化し、相対放射強度スペクトルを求め、380nm~780nmの波長域における放射強度の合計を入射光量(b)とした。
次に、変換光の発光スペクトルの測定方法について説明する。まず、インクジェット装置を用いて、調製例7で得た緑色波長変換材料組成物、調製例8で得た赤色波長変換材料組成物を別の無アルカリガラス基板上にそれぞれ塗布し、100℃で30分間加熱乾燥し、膜厚が10μmの緑色波長変換層および赤色波長変換層を形成した波長変換層テストサンプルD(緑)およびE(赤)を作製し、更に、インクジェット装置を用いて、調製例11で得た緑色カラーフィルタ材料、調製例12で得た赤色カラーフィルタ材料を別の無アルカリガラス基板上にそれぞれ塗布し、100℃で30分間加熱乾燥し、膜厚が1.5μmのカラーフィルタ単色基板F(緑)およびG(赤)を作製した。
変換光(緑)の発光スペクトルは、上記で作製したテスト用青色発光デバイスCの上方に、波長変換層テストサンプルD(緑)を配置し、更にその上方にカラーフィルタ単色基板F(緑)を配置した状態で青色発光デバイスCを点灯し、カラーフィルタ単色基板F側から出てきた透過光を、分光放射計を用いて測定した。(380~780nmの範囲で1nm刻み)。
また、励起光と同様に測定値のピーク波長の強度を1として基準化し、380nm~780nmの波長域における放射強度の合計を変換光(緑)の入射光量(b)とした。
同様に、変換光(赤)の発光スペクトルは、青色発光デバイスCの上方に波長変換層テストサンプルE(赤)を配置し、更に単色カラーフィルタ単色基板G(赤)を重ねて配置した状態で青色発光デバイスCを点灯し、カラーフィルタ単色基板G側から出てきた透過光を分光放射計で測定し、上記と同様にして変換光(赤)の入射光量(b)を求めた。
尚、変換光のピーク波長は緑色が537nm、赤色が614nmであった。
<励起光及び変換光に対する隔壁の透過光量(c)の算出>
励起光及び変換光の相対放射強度スペクトルに、隔壁の透過スペクトル(d)を乗じることで、380~780nmの範囲おける透過光量を求め、1nm刻みのデータの合算値を励起光及び変換光に対する隔壁の透過光量(c)とした。
<隔壁の励起光及び変換光に対する吸光度の算出>
隔壁の吸光度(a)は、上記で得られた隔壁の透過光量(c)と、励起光及び変換光(緑、赤)の入射光量(b)から式(1)より算出した。
(隔壁の色相及び反射率の測定方法)
隔壁の色相及び反射率は、隔壁の幅を厚みで代用するサンプルを分光測色計(コニカミノルタ(株)製 CM-3700A)で測定した。隔壁の色相は隔壁の幅L1あたりの値とし、隔壁の反射率は、隔壁の幅L2あたりの緑色変換光または赤色変換光のピーク波長に対する反射率とした。
(混色の評価方法)
実施例および比較例にて作製した表示装置を、青色、緑色、赤色にそれぞれ単色点灯させたときに、表示色と異なる色の画素が発光していないか、発光面をマイクロスコープで拡大して目視にて確認した。表示色と異なる色の発光が認められない場合をA、表示色と異なる画素の隔壁側面に沿って僅かに発光が確認できるものの問題ないと判断した場合をB、表示色と異なる画素の発色が確認できる場合をCと判定した。
(解像度の評価方法)
解像度の評価は、表示装置を30cm離れた位置から目視観察し判断した。白色表示が均一に感じられる場合をA、白色表示ではあるが画素のドット感が感じられる場合をB、白色表示にもかかわらず緑青赤のドットが視認される場合をCと判定した。
(発光輝度の評価方法)
実施例および比較例にて作製した表示装置において、発光輝度は白色点灯表示で基準化して評価した。通常、波長変換基板を用いた表示装置は、色変換を行わない青色画素の輝度が高くなる傾向にある。この時、全ての青色発光デバイスを定格出力で発光させたとき、表示装置の表示色は青色が強くなるが、この状態を表示装置の最大輝度とするのではなく、最も発光輝度の低い色の画素の輝度にあわせて他色の画素の輝度を落とし、表示装置の発色が白色となる様に、各青色発光デバイスの出力を調整した状態で測定した輝度を表示装置の発光輝度とした。
具体的には、画素密度の異なる表示装置について、基準化のため中央付近で隣接する青色、緑色、赤色画素の組み合わせを6組のみ同時に点灯し、分光放射計((株)トプコンテクノハウス:SR-LEDW)にて発光色を測定した。発光の色相がCIE標準光源D65の白色(x=0.3127,y=0.3290)の±0.003の範囲となるように各色画素の青色発光デバイスの出力を調整し、その時の輝度を表示装置の発光輝度とした。従来技術である白色隔壁(後述の比較例1)を用いた輝度を基準としたとき、80%以上の発光輝度である場合をA、50%以上である場合をB、50%未満である場合をCと判定した。
[実施例1]
10cm角の無アルカリガラス基板(AGCテクノグラス(株)製、厚み0.5mm)上に、調製例10で作製したブラックマトリックス形成材料をスピンコートし、ホットプレート(商品名SCW-636、大日本スクリーン製造(株)製)を用いて、温度90℃で3分間乾燥し乾燥膜を作製した。作製した乾燥膜を、マスクアライナーPEM-6M(ユニオン光学(株)製)を用いて、超高圧水銀灯を光源とし、フォトマスクを介して露光量200mJ/cm(i線モニター)で3波長(g線、h線、i線)により露光した。
その後、自動現像装置(滝沢産業(株)製「AD-2000(商品名)」)を用いて、0.045重量%水酸化カリウム水溶液を用いて60秒間シャワー現像し、次いで純水を用いて30秒間リンスした。さらに、オーブン(商品名IHPS-222、エスペック(株)製)を用い、大気下にて温度230℃で30分間加熱してカラーフィルタ用ブラックマトリックスを形成した。
次いで、上記基板のブラックマトリックス形成面に調製例13で作製した青色カラーフィルタ形成材料をスピンコートし、ホットプレート温度90℃で3分間乾燥して乾燥膜とした後に、マスクアライナーを用いてフォトマスクを介した露光(100mj/cm)を行った。さらに、0.045重量%水酸化カリウム水溶液を用いて60秒間シャワー現像し、純水を用いて30秒間リンスした後、オーブンを用いて、大気下にて温度230℃で30分間加熱し、ブラックマトリックス開口部の一部(図1-4)に青色カラーフィルタを形成した。
次いで、上記の青色カラーフィルタ形成と同様の手順で、調製例11で作製した緑色カラーフィルタ形成材料を使用して、青色カラーフィルタを形成した左隣のブラックマトリックス開口部(図1-2)に緑色カラーフィルタを、調製例12で作製した赤色カラーフィルタ形成材料を使用して、青色カラーフィルタを形成した右隣のブラックマトリックス開口部(図1-3)に赤色カラーフィルタをそれぞれ形成した。
次いで、上記基板の青緑赤カラーフィルタ形成面に、調製例14で作製した隔壁形成材料1をスピンコートし、ホットプレート温度90℃で3分間乾燥して乾燥膜とした後に、フォトマスクを載置して、高圧水銀ランプを用い300mJ/cmの露光量(i線換算)で照射した。その後、上記塗膜に23℃の0.04%水酸化カリウム水溶液を現像圧1kgf/cmで吐出し、シャワー現像を行った。さらにその後、230℃で30分間ポストベークを行い、隔壁の幅L1(図1)が30μm、幅L2(図1)が40μm、膜厚が10μmの格子状パターンで、波長変換層を形成するための開口部(図1-2、3、4)が横40μm縦140μmとなる隔壁を形成した。
次いで、インクジェット装置を用いて、上記隔壁の開口部(図1-2)に調製例7で得た緑色波長変換材料組成物を、上記隔壁の開口部(図1-3)に調製例8で得た赤色波長変換材料組成物を、上記隔壁の開口部(図1-4)に調製例9で得た非波長変換材料組成物をそれぞれ充填し、100℃で30分間加熱乾燥し、隔壁の開口部に膜厚が7μmの波長変換層および非波長変換層を形成した波長変換基板を得た。
一方、シリコンウエハ上に真空蒸着法により窒化ガリウムからなる青色マイクロLED素子を形成し、電源配線加工を施したガラス基板上に転写載置して青色発光デバイス基板とした。この青色発光デバイス基板の各々のLEDと、前記波長変換基板の波長変換層および非波長変換層の各々の位置が合うよう対向させ、光学用OCA(Optical Clear Adhesive)フィルム(“tesa(登録商標)”:BarrierOCA6150x)により貼合接着し、表示装置を得た。
[実施例2]
フォトマスクを変更し、隔壁の幅L1を30μm、L2を50μmとして形成した以外は、実施例1と同様にして表示装置を得た。
[実施例3]
隔壁材料として調製例15で作製した隔壁形成材料2を使用し、フォトマスクを変更して隔壁の幅L1を10μm、L2を30μmとして形成した以外は、実施例1と同様にして表示装置を得た。
[実施例4]
隔壁材料として調製例16で作製した隔壁形成材料3を使用した以外は、実施例3と同様にして表示装置を得た。
[実施例5]
隔壁材料として調製例17で作製した隔壁形成材料4を使用した以外は、実施例3と同様にして表示装置を得た。
[比較例1]
フォトマスクを変更し、隔壁の幅L1を30μm、L2を30μmとして形成した以外は、実施例1と同様にして表示装置を得た。
[比較例2]
フォトマスクを変更し、隔壁の幅L1を50μm、L2を50μmとして形成した以外は、実施例1と同様にして表示装置を得た。
[比較例3]
隔壁材料として調製例18で作製した隔壁形成材料5を使用した以外は、比較例1と同様にして表示装置を得た。
[比較例4]
隔壁材料として調製例19で作製した隔壁形成材料6を使用した以外は、比較例1と同様にして表示装置を得た。
各実施例及び比較例によって得られた表示装置の評価結果を表2に示す。
Figure 2023139419000002
Figure 2023139419000003
実施例1、実施例2及び比較例1、比較例2に用いた隔壁は、色相がx=0.3192,y=0.3422と白色に近い色相であり、変換光に対して80%以上の反射率を有していた。比較例1の様に隔壁の幅をL1=L2=30μmとした場合は、L2あたりの変換光に対する吸光度が不足し、マイクロスコープにて隣接する画素から異なる色の発光が確認されたため混色はCと判定したが、実施例1では隔壁の幅L2を40μmと広く取ることで変換光の漏れ光が低減しており、マイクロスコープで確認すると、隔壁に沿って異なる色の発色が僅かに確認されるものの殆ど問題ないため、混色の評価をBと判定した。解像度は白色点灯時にややドット感を感じられるためBと判定した。発光輝度は従来技術である比較例1と遜色ないためAと判定した。実施例2は隔壁の幅L2を50μmと更に広く取る事で混色がAとなり、解像度はB、発光輝度はAと判定した。しかし、比較例2の様に隔壁の幅L1も50μmと広く取ると、白色点灯時に緑青赤色のドットが視認されたため解像度の評価をCとした。
実施例3では、隔壁の色相を励起光の補色であり、より好ましい範囲である薄い黄色に調整することで、励起光(青色)に対する吸光度が大きく上昇し、隔壁の幅L1を10μmと細くしても青色の吸光度が2.8と非常に高い値となった。また、隔壁の幅L2を30μmとすることで変換光の遮光性も十分に確保されており、変換光に対する反射率も70%以上の高い値を示した。白色点灯時のドット感もなく均一な表示であったため解像度A、混色A、発光輝度も遜色なく実施例1に対し80%以上の輝度を有していたのでAと評価した。
実施例4及び実施例5では、隔壁の色相を励起光の補色であるが、より好ましい範囲外である薄い赤色と薄い緑色に調整した。隔壁の幅をL1=10μm、L2=30μmにしたときの解像度はA、励起光及び変換光に対する十分な遮光性が得られており混色もA判定であったが、実施例4では緑色変換光に対する反射率が56%、実施例5では赤色変換光に対して41%と低下したので、表示装置の発光輝度が若干低下し、B判定となった。
比較例3では隔壁の色相を薄い青色に調整し、隔壁の幅L1=L2=30μmとしたところ、解像度B、混色Aであったが、赤色変換光に対する反射率が40%を下回ったためか、表示装置の発光輝度が低下したので判定Cとした。
比較例4は隔壁に反射性を有しない黒顔料を用いて隔壁の幅L1=L2=30μmとしたところ、解像度はB、混色Aであったが、変換光に対する反射率が大きく低下し、表示装置の発光輝度が大きく低下したため判定Cとした。
1 隔壁
2 波長変換層
3 波長変換層
4 非波長変換層
5 ブラックマトリックス
10 基板
11 基材
12 発光デバイス
14 カラーフィルタ
15 波長変換基板
16 発光基板
31 励起光の色相
32 D65白色座標
33 励起光の補色となる隔壁の反射の色相の範囲
34 励起光の補色となる隔壁の反射の色相の範囲のうち、より好ましい範囲

Claims (3)

  1. 基板、前記基板上に形成された隔壁、前記隔壁間に、波長変換層と非波長変換層を並列して島状かつ周期的に有する波長変換基板であって、前記隔壁の、前記波長変換層の変換光のピーク波長に対する反射率が40%以上であり、隣り合う前記波長変換層との間の隔壁の幅L2(μm)が、前記波長変換層と前記非波長変換層との間の隔壁の幅L1(μm)よりも大きい波長変換基板。
  2. 請求項1に記載の波長変換基板と、発光デバイスを有する発光基板とを有する表示装置であって、前記隔壁は、前記発光デバイスの発光波長に対して、前記L1(μm)あたりの吸光度が1.5以上であり、かつ、前記波長変換層の変換光の波長に対して、前記L2(μm)あたりの吸光度が1.3以上である表示装置。
  3. CIE1931色空間のxy色度図において、前記隔壁の反射の色相が、前記発光デバイスの発光の色相の補色である請求項2に記載の表示装置。
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