JP2023106954A - 熱可塑性高分子フィルムの製造方法、及び熱可塑性高分子フィルムの配向制御方法 - Google Patents

熱可塑性高分子フィルムの製造方法、及び熱可塑性高分子フィルムの配向制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】配向の向きや程度の制御が容易で、生産性及び汎用性に優れる、熱可塑性高分子フィルムの新規な製造方法、及び熱可塑性高分子フィルムの新規な配向制御方法等を提供する。【解決手段】第1膜部材21、熱可塑性高分子フィルム11、及び第2膜部材31が断面視でこの順に積層された圧着体10であって、断面視で幅方向の一方側に突出した片側端部21a、及び、この第1片側端部とは反対側の幅方向の他方側に突出した片側端部31aを有する、圧着体10を準備する工程S1と、第1膜部材21の片側端部21a及び/又は第2膜部材31の片側端部31aをフィルム外方に引っ張ることにより、圧着体10の熱可塑性高分子フィルム11にずりせん断応力を印加する工程S2と、を少なくとも備える、配向制御された熱可塑性高分子フィルム100の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、熱可塑性高分子フィルムの製造方法、及び熱可塑性高分子フィルムの配向制御方法等に関する。
従来、インフレーション法やTダイ法等の溶融押出成形で製造された熱可塑性高分子フィルムが各種分野で広く用いられている。溶融押出成形により得られる熱可塑性高分子フィルムは、分子配向やポリマー鎖の配向により、さらには押出時のダイやダイスウェル等に起因して生じるせん断応力等を受けて、一般的には、フィルムの流れ方向、すなわちMD方向(Machine Direction;長手方向)に高配向する傾向にある。とりわけ、溶融状態或いは溶液状態で液晶性を示す液晶ポリマー(LCP;Liquid Crystal Polymer)は、その液晶配向性や比較的に剛直な分子鎖等に起因して、ポリマー鎖がMD方向に高度に分子配向することが知られている。
溶融状態で液晶性を示すサーモトロピック液晶ポリマーは、押出成形が可能であり、高ガスバリア性、高フィルム強度、高耐熱、高絶縁、低吸水率、高周波域での低誘電特性等の優れた性質を有しているため、ガスバリア性フィルム材料用途、電子材料用途、電気絶縁性材料用途等において実用化が検討されている。また、液晶ポリマーを用いた回路基板用絶縁材料は、高周波特性及び低誘電性に優れることから、今後進展する第5世代移動通信システム(5G)やミリ波レーダー等におけるフレキシブルプリント配線板(FPC)、フレキシブルプリント配線板積層体、繊維強化フレキシブル積層体等の回路基板の絶縁材料として、近年、脚光を浴びている。しかしながら、ポリマー鎖がMD方向に高度に分子配向した熱可塑性高分子フィルムは、フィルム強度、熱膨張係数、寸法精度等の諸物性において、例えばMD方向とTD方向(Transverse Direction;横手方向)とで著しい異方性が生じてしまうため、これを改善する方法の模索が続いている。
熱可塑性高分子フィルムの配向制御方法として、各種の延伸方法が提案されている。ここで、延伸処理を行うために融点近くまで温度を上げると、急激にポリマーの流動性が高まりフィルムの溶融が生じたりフィルムが破断したりし易くなるため、通常は、熱可塑性高分子フィルム単独で延伸処理を行うことは不可能である。
そのため、特許文献1では、一対のラミネートフィルム(比重が1.3以上でかつその延伸方向の破断伸び率が400%以上であるフッ素樹脂多孔質フィルム)間に液晶ポリマーフィルムを挟持したラミネート体を予め作製し、フッ素樹脂多孔質フィルムは軟化させるが実質的に溶融せずに液晶ポリマーフィルムは軟化ないし溶融させる温度条件下で、このラミネート体を1軸方向又は2軸方向に延伸処理することが示されている。ここで、特許文献2の実施例では、MD方向に1.3倍及びTD方向に3.9倍の二軸延伸をすることにより、表面粗さが低く表面精度の高い液晶ポリマーフィルムを得ている。
一方、熱可塑性高分子フィルムを単独で延伸する方法として、例えば特許文献2では、MD方向およびTD方向ともに3.25以下の誘電率を有する、光学的異方性の溶融相を形成し得る熱可塑性ポリマーを、熱変形温度(TD)から60℃低い温度(TD-60℃)~TDから5℃低い温度(TD-5℃)の範囲内で前記フィルムを加熱して、MD方向に2倍及びTD方向に2.5倍の二軸延伸をすることにより、厚み公差が3μm(厚みムラ7.5%)と小さな熱可塑性高分子フィルムを得ている。
特許第3958629号 国際公開第2013/146174号パンフレット
しかしながら、上述した特許文献1では、破断伸び率が小さなポリイミドフィルムを用いた場合には、延伸処理の際にラミネートフィルムが破断してしまい、所望する延伸処理ができないことが示されている。すなわち、特許文献1の技術は、破断伸び率が大きなフッ素樹脂多孔質フィルムという特殊なラミネートフィルムを必須としており、汎用性に劣る。また、このような延伸処理では、熱可塑性高分子フィルムの配向の向きや配向度の調整も容易ではない。しかも、このように延伸倍率(MD方向×TD方向)が1.5以上の延伸処理を行うと、延伸処理前に比べて、得られる熱可塑性高分子フィルムの柔軟性や形状追従性が大きく損なわれる傾向にある。
一方、上述した特許文献2では、熱可塑性高分子フィルムの熱変形温度を原反フィルムの熱変形温度より40~100℃上昇させるための緻密な温度制御により熱可塑性高分子フィルムを単独で延伸可能としているものの、複雑且つ長時間の熱処理が必要であり、生産性及び汎用性に劣る。また、このような延伸処理では、熱可塑性高分子フィルムの配向の向きや配向度の調整も容易ではない。しかも、このように延伸倍率(MD方向×TD方向)が1.5以上の延伸処理を行うと、延伸処理前に比べて、得られる熱可塑性高分子フィルムの柔軟性や形状追従性が大きく損なわれる傾向にある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、従来技術の延伸処理とは異なり、配向の向きや程度の制御が容易で、生産性及び汎用性に優れる、熱可塑性高分子フィルムの製造方法、及び熱可塑性高分子フィルムの配向制御方法等を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、従来の延伸処理のように熱可塑性高分子フィルムの両端部を直接把持し離間する方向に引っ張ることで熱可塑性高分子フィルムのバルクに引張応力を印加するのとは異なり、熱可塑性高分子フィルムの圧着面側(熱可塑性高分子フィルムと膜部材との界面側)からずりせん断応力を印加することで、熱可塑性高分子フィルムの配向を制御できることを新たに見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下に示す種々の具体的態様を提供する。
(1)熱可塑性高分子フィルム、前記熱可塑性高分子フィルムよりも幅広な幅を有する第1膜部材、及び前記熱可塑性高分子フィルムよりも幅広な幅を有する第2膜部材を備え、前記第1膜部材、前記熱可塑性高分子フィルム、及び前記第2膜部材が断面視でこの順に積層された圧着体であって、前記熱可塑性高分子フィルムが積層されずに前記熱可塑性高分子フィルムに対して断面視で幅方向の一方側に突出した前記第1膜部材の片側端部、及び、前記熱可塑性高分子フィルムが積層されずに前記熱可塑性高分子フィルムに対して断面視で前記第1膜部材の前記第1片側端部とは反対側の幅方向の他方側に突出した前記第2膜部材の片側端部を有する、圧着体を準備する工程と、前記第1膜部材の前記片側端部及び/又は前記第2膜部材の前記片側端部を前記熱可塑性高分子フィルムに対してフィルム外方に引っ張ることにより、前記圧着体の前記熱可塑性高分子フィルムにずりせん断応力を印加する工程と、を少なくとも備える、熱可塑性高分子フィルムの製造方法。
(2)前記第1膜部材は、紙、織布、不織布、金属板、合金板、金属箔、合金箔、樹脂フィルム、ゴムシート、発泡シート、及びこれらの任意の組み合わせからなる積層体或いは含浸体よりなる群から選択される1種以上である(1)に記載の熱可塑性高分子フィルムの製造方法。
(3)前記第2膜部材は、紙、織布、不織布、金属板、合金板、金属箔、合金箔、樹脂フィルム、ゴムシート、発泡シート、及びこれらの任意の組み合わせからなる積層体或いは含浸体よりなる群から選択される1種以上である(1)又は(2)に記載の熱可塑性高分子フィルムの製造方法。
(4)前記ずりせん断応力を印加する前記工程では、前記熱可塑性高分子フィルムのガラス転移点以上の温度条件下で前記第1膜部材の前記片側端部及び/又は前記第2膜部材の前記片側端部をフィルム外方に引っ張る(1)~(3)のいずれか一項に記載の熱可塑性高分子フィルムの製造方法。
(5)前記ずりせん断応力を印加する前記工程では、前記熱可塑性高分子フィルムの融点以上の温度条件下で前記第1膜部材の前記片側端部及び/又は前記第2膜部材の前記片側端部をフィルム外方に引っ張る(1)~(4)のいずれか一項に記載の熱可塑性高分子フィルムの製造方法。
(6)前記圧着体を準備する前記工程では、前記熱可塑性高分子フィルムに対して、前記第1膜部材を断面視で幅方向の前記一方側に片寄せるとともに前記第2膜部材を断面視で幅方向の前記他方側に片寄せた、前記圧着体を準備する(1)~(5)のいずれか一項に記載の熱可塑性高分子フィルムの製造方法。
(7)前記ずりせん断応力を印加する前記工程では、前記第1膜部材の前記片側端部を第1把持子で把持するとともに、前記第2膜部材の前記片側端部を第2把持子で把持し、前記第1把持子及び前記第2把持子を相対的に離間する方向に移動して前記第1膜部材の前記片側端部及び/又は前記第2膜部材の前記片側端部をフィルム外方に引っ張る(1)~(6)のいずれか一項に記載の熱可塑性高分子フィルムの製造方法。
(8)前記ずりせん断応力を印加する前記工程では、前記第1膜部材の前記片側端部及び前記第2膜部材の前記片側端部の一方を第1把持子で把持し他方を固定子で固定し、前記第1把持子を前記固定子から相対的に離間する方向に移動して前記第1膜部材の前記片側端部及び/又は前記第2膜部材の前記片側端部をフィルム外方に引っ張る(1)~(6)のいずれか一項に記載の熱可塑性高分子フィルムの製造方法。
(9)前記ずりせん断応力を印加する前記工程では、1.0005~1.1000の引張倍率(MD方向×TD方向)で前記第1膜部材の前記片側端部及び/又は前記第2膜部材の前記片側端部をフィルム外方に引っ張る(1)~(8)のいずれか一項に記載の熱可塑性高分子フィルムの製造方法。
(10)前記ずりせん断応力を印加する前記工程では、1.0005~1.1000の引張倍率(TD方向)で前記第1膜部材の前記片側端部及び/又は前記第2膜部材の前記片側端部をフィルム外方に引っ張る(1)~(9)のいずれか一項に記載の熱可塑性高分子フィルムの製造方法。
(11)前記ずりせん断応力を印加する前記工程では、延伸機を用いて前記第1膜部材の前記片側端部及び/又は前記第2膜部材の前記片側端部をフィルム外方に引っ張る(1)~(10)のいずれか一項に記載の熱可塑性高分子フィルムの製造方法。
(12)前記熱可塑性高分子フィルムは、液晶ポリマーフィルム、及び含フッ素フィルムよりなる群から選択される(1)~(11)のいずれか一項に記載の熱可塑性高分子フィルムの製造方法。
(13)前記ずりせん断応力を印加する前記工程の後に、前記第1膜部材及び前記第2膜部材を前記熱可塑性高分子フィルムから剥離する(1)~(12)のいずれか一項に記載の熱可塑性高分子フィルムの製造方法。
(14)前記圧着体を得る工程では、前記第1膜部材と前記熱可塑性高分子フィルムとの間に及び/又は前記熱可塑性高分子フィルムと前記第2膜部材との間に、離型剤を配する(1)~(13)のいずれか一項に記載の熱可塑性高分子フィルムの製造方法。
(15)熱可塑性高分子フィルム、前記熱可塑性高分子フィルムよりも幅広な幅を有する第1膜部材、及び前記熱可塑性高分子フィルムよりも幅広な幅を有する第2膜部材を備え、前記第1膜部材、前記熱可塑性高分子フィルム、及び前記第2膜部材が断面視でこの順に積層された圧着体であって、前記熱可塑性高分子フィルムが積層されずに前記熱可塑性高分子フィルムに対して断面視で幅方向の一方側に突出した前記第1膜部材の片側端部、及び、前記熱可塑性高分子フィルムが積層されずに前記熱可塑性高分子フィルムに対して断面視で前記第1膜部材の前記第1片側端部とは反対側の幅方向の他方側に突出した前記第2膜部材の片側端部を有する、圧着体を準備する工程と、前記第1膜部材の前記片側端部及び/又は前記第2膜部材の前記片側端部を前記熱可塑性高分子フィルムに対してフィルム外方に引っ張ることにより、前記圧着体の前記熱可塑性高分子フィルムにずりせん断応力を印加する工程と、を少なくとも備える、熱可塑性高分子フィルムの配向制御方法。
本発明によれば、従来技術の延伸処理のように熱可塑性高分子フィルムに引張応力を印加するのとは異なり、熱可塑性高分子フィルムの表面にずりせん断応力を印加するため、配向の向きや程度の制御が容易であり、生産性及び汎用性に優れる熱可塑性高分子フィルムの製造方法、及び熱可塑性高分子フィルムの配向制御方法等を実現することができる。そして、本発明の各種態様によれば、配向の向きを例えば0°±5°(MD方向)から、斜め方向(MD方向を基準に例えば45°)やTD方向(MD方向を基準に例えば90°±5°)まで自由に制御することができ、また、配向の程度も無配向から高配向まで自由に制御可能である。
熱可塑性高分子フィルムの製造方法の一実施形態を示す模式図である。 圧着体の準備工程の一例を示す模式図である ずりせん断応力の印加工程の一例を示す模式図である。 熱可塑性高分子フィルムの製造方法の別の実施形態を示す模式図である。 熱可塑性高分子フィルムの配向の変化の一例を示す模式図である。 熱可塑性高分子フィルムの配向の変化の一例を示す模式図である。 熱可塑性高分子フィルムの配向の変化の一例を示す模式図である。 熱可塑性高分子フィルムの製造方法の他の実施形態を示す模式図である。 配向性ピークの面積割合に基づく配向度の算出原理を示す概念図である。 熱可塑性高分子フィルム100の深度領域を説明するための概念図である。 参考例1の熱可塑性高分子フィルムのX線回折像である。 参考例1の熱可塑性高分子フィルムの方位角分布曲線である。 実施例1の配向制御後の熱可塑性高分子フィルムのX線回折像である。 実施例1の配向制御後の熱可塑性高分子フィルムの方位角分布曲線である。 実施例2の配向制御後の熱可塑性高分子フィルムのX線回折像である。 実施例2の配向制御後の熱可塑性高分子フィルムの方位角分布曲線である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。但し、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。すなわち本発明は、その要旨を逸脱しない範囲内で任意に変更して実施することができる。なお、本明細書において、例えば「1~100」との数値範囲の表記は、その下限値「1」及び上限値「100」の双方を包含するものとする。また、他の数値範囲の表記も同様である。
<熱可塑性高分子フィルムの製造方法及び配向制御方法>
図1は、本実施形態の熱可塑性高分子フィルムの製造方法の要部を示す模式図である。本実施形態の熱可塑性高分子フィルムの製造方法は、熱可塑性高分子フィルム11に配向制御を行うことで、配向制御された熱可塑性高分子フィルム100を得る製造方法である。具体的には、本実施形態の熱可塑性高分子フィルムの製造方法は、熱可塑性高分子フィルム11、第1膜部材21、及び第2膜部材31を備える圧着体10を準備する工程(圧着体準備工程S1)と、この圧着体10の第1膜部材21及び/又は第2膜部材31のフィルム耳部を熱可塑性高分子フィルム11に対してフィルム外方に引っ張ることにより、圧着体10の熱可塑性高分子フィルム11にずりせん断応力τを印加する工程(ずりせん断応力印加工程S2)と、を少なくとも備える。以下、各工程について詳述する。
(圧着体準備工程S1)
この圧着体準備工程S1では、第1膜部材21、熱可塑性高分子フィルム11、及び第2膜部材31が断面視でこの順に積層された圧着体10を準備する。ここで、この圧着体10において、一方の第1膜部材21は熱可塑性高分子フィルム11の表面側に設けられ、他方の第2膜部材31は熱可塑性高分子フィルム11の裏面側に設けられている。これら3層は熱圧着され、これにより、3層構造の積層体である圧着体10が形成されている。なお、ここで本明細書において、「熱可塑性高分子フィルム11の表面側及び/又は裏面側に第1膜部材21や第2膜部材31が設けられた」とは、本実施形態のように熱可塑性高分子フィルム11の表面に第1膜部材21や第2膜部材31が直接載置された態様のみならず、熱可塑性高分子フィルム11と第1膜部材21や第2膜部材31との間に図示しない任意の層(例えば離型層、プライマー層等)が介在して、熱可塑性高分子フィルム11が第1膜部材21や第2膜部材31から離間して配置された態様を包含する意味である。
この圧着体10において、第1膜部材21と第2膜部材31は、熱可塑性高分子フィルム11よりも幅広な幅を有する。そのため、これら3層構造の積層体である圧着体10は、熱可塑性高分子フィルム11が積層されずに熱可塑性高分子フィルム11に対して断面視で幅方向の一方側(図示右方向)に突出した第1膜部材21の片側端部21a(フィルム耳部)と、熱可塑性高分子フィルム11が積層されずに熱可塑性高分子フィルム11に対して断面視で幅方向の他方側(図示左方向)に突出した第2膜部材31の片側端部31a(フィルム耳部)とを有している。
熱可塑性高分子フィルム11としては、当業界で公知のものを用いることができ、その種類は特に限定されない。熱可塑性高分子の具体例としては、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリメチルペンテン、エチレン-α-オレフィン共重合体等のポリオレフィン;これらの酸変性物或いはアイオノマー;環状オレフィン構造を有する環状ポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートやポリエチレン-2,6-ナフタレート等の脂肪族又は芳香族ポリエステル;ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン12、ナイロン6,12等の脂肪族又は芳香族ポリアミド;脂肪族又は芳香族ポリアミドイミド;ポリスチレン;ポリアクリロニトリル;スチレン-アクリロニトリル共重合体;アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体;ポリメタクリル酸メチル;ポリカーボネート;ポリフェニレンサルファイド等のポリアリーレンサルファイド;ビニルポリマー;ポリアセタール;ポリ塩化ビニル;ポリスルホン;ポリフェニレンスルフイド;ポリフェニレンエーテル;ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体等のフッ素原子を含む含フッ素フィルム;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルケ卜ン等が挙げられるが、これらに限定されない。熱可塑性高分子フィルム11は、単独重合体、共重合体、これらの変性物、ポリマーブレンド、ポリマーアロイ、熱可塑性ポリマーを主成分とする複合材料のいずれであってもよい。なお、配向制御を行う対象となる熱可塑性高分子フィルム11は、未延伸フィルムであっても一軸或いは二軸延伸フィルムであってもよい。
また、配向制御を行う対象となる熱可塑性高分子フィルム11は、無配向フィルムであっても、フィルム面内の一方向に配向した配向フィルムであってもよい。本実施形態の配向制御方法によれば、無配向フィルムから配向フィルムを得ることができ、配向フィルムから無配向フィルムを得ることもでき、また、これらの配向の向きや配向の強さ(配向度)を任意に調整することができる。
本実施形態の製造方法では、分子配向性の高い熱可塑性高分子フィルム11を用いた場合において、その効果がより顕在化する。かかる観点からは、熱可塑性高分子フィルム11としては、芳香族又は脂肪族ジヒドロキシ化合物、芳香族又は脂肪族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジアミン、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族アミノカルボン酸等を重縮合させた液晶ポリマー(LCP;Liquid Crystal Polymer)を含む液晶ポリマーフィルム(LCPフィルム);ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体等のフッ素原子を含む含フッ素フィルムが好ましく、液晶ポリマーフィルムがより好ましい。
液晶ポリマーフィルムに含まれる熱可塑性液晶ポリマーは、当業界で公知のものを用いることができ、その種類は特に限定されない。液晶ポリマーは、光学的に異方性の溶融相を形成するポリマーであり、代表的にはサーモトロピック液晶化合物が挙げられる。なお、異方性溶融相の性質は、直交偏光子を利用した偏光検査法等の公知の方法によって確認することができる。より具体的には、異方性溶融相の確認は、Leitz偏光顕微鏡を使用し、Leitzホットステージにのせた試料を窒素雰囲気下で40倍の倍率で観察することにより実施することができる。
好ましい熱可塑性液晶ポリマーの具体例としては、具体的には、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジアミン、芳香族ヒドロキシアミン等の単量体を重縮合等させてなる芳香族ポリアミド樹脂;芳香族ジオール、芳香族カルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸等の単量体を重縮合させてなる(全)芳香族ポリエステル樹脂;等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは、1種を単独で、又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。熱可塑性液晶ポリマーは、一般的に、熱変形温度(TDUL)の観点からI型、II型、III型等に分類されている。本実施形態で用いる熱可塑性高分子フィルム11は、いずれのタイプの熱可塑性液晶ポリマーであっても好適に用いることができ、適用用途に応じて適宜選択して用いればよい。例えば260~290℃程度の鉛フリーはんだへの適用が求められる電子回路基板用途においては、TDULが250~350℃程度の高耐熱なI型の熱可塑性液晶ポリマー、TDULが240~250℃程度の比較的に高耐熱なII型の熱可塑性液晶ポリマーが好適に用いられる。
これらの中でも、サーモトロピック型の液晶様性質を示し、融点が250℃以上、好ましくは融点が280℃~380℃の、(全)芳香族ポリエステル樹脂が好ましく用いられる。このような(全)芳香族ポリエステル樹脂としては、例えば、芳香族ジオール、芳香族カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸等のモノマーから合成される、溶融時に液晶性を示す(全)芳香族ポリエステル樹脂が知られている。その代表的なものとしては、エチレンテレフタレートとパラヒドロキシ安息香酸との重縮合体、フェノール及びフタル酸とパラヒドロキシ安息香酸との重縮合体、2,6-ヒドロキシナフトエ酸とパラヒドロキシ安息香酸との重縮合体等が挙げられるが、これらに特に限定されない。なお、(全)芳香族ポリエステル樹脂は、1種を単独で、又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。要求性能に応じて、比較的に高融点ないしは高熱変形温度を有し高耐熱な全芳香族ポリエステル樹脂を用いたり、比較的に低融点ないしは低熱変形温度を有し成形加工性に優れる芳香族ポリエステル樹脂を用いたりすることができる。
好ましい一態様としては、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸及びその誘導体(以降において、単に「モノマー成分A」と称する場合がある。)を基本構造とし、パラヒドロキシ安息香酸、テレフタル酸、イソフタル酸、6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ビフェノール、ビスフェノールA、ヒドロキノン、4,4-ジヒドロキシビフェノール、エチレンテレフタレート及びこれらの誘導体よりなる群から選択される1種以上をモノマー成分(以降において、単に「モノマー成分B」と称する場合がある。)として少なくとも有する(全)芳香族ポリエステル樹脂が挙げられる。このような(全)芳香族ポリエステル樹脂は、溶融状態で分子の直鎖が規則正しく並んで異方性溶融相を形成し、典型的にはサーモトロピック型の液晶様性質を示し、機械的特性、電気特性、高周波特性、耐熱性、吸湿性等において優れた基本性能を有するものとなる。
また、上述した好ましい一態様の(全)芳香族ポリエステル樹脂は、必須単位としてモノマー成分A及びモノマー成分Bを有するものである限り、任意の構成を採ることができる。例えば2種以上のモノマー成分Aを有していても、3種以上のモノマー成分Aを有していてもよい。また、上述した好ましい一態様の(全)芳香族ポリエステル樹脂は、モノマー成分A及びモノマー成分B以外の、他のモノマー成分(以降において、単に「モノマー成分C」と称する場合がある。)を含有していてもよい。すなわち、上述した好ましい一態様の(全)芳香族ポリエステル樹脂は、モノマー成分A及びモノマー成分Bのみからなる2元系以上の重縮合体であっても、モノマー成分A、モノマー成分B及びモノマー成分Cからなる3元系以上のモノマー成分の重縮合体であってもよい。他のモノマー成分としては、上述したモノマー成分A及びモノマー成分B以外のもの、具体的には芳香族又は脂肪族ジヒドロキシ化合物及びその誘導体;芳香族又は脂肪族ジカルボン酸及びその誘導体;芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体;芳香族ジアミン、芳香族ヒドロキシアミン又は芳香族アミノカルボン酸及びその誘導体;等が挙げられるが、これらに特に限定されない。他のモノマー成分は、1種を単独で、又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。
なお、本明細書において、「誘導体」とは、上述したモノマー成分の一部に、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1~5のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基等)、フェニル基等のアリール基、水酸基、炭素数1~5のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基等)、カルボニル基、-O-、-S-、-CH2-等の修飾基が導入されているもの(以降において、「置換基を有するモノマー成分」と称する場合がある。)を意味する。ここで、「誘導体」は、上述した修飾基を有していてもよいモノマー成分A及びBのアシル化物、エステル誘導体、又は酸ハロゲン化物等のエステル形成性モノマーであってもよい。
なお、熱可塑性液晶ポリマーの合成方法は、公知の方法を適用することができ、特に限定されない。上述したモノマー成分によるエステル結合を形成させる公知の重縮合法、例えば溶融重合、溶融アシドリシス法、スラリー重合法等を適用することができる。これらの重合法を適用する際、常法にしたがい、アシル化ないしはアセチル化工程を経てもよい。
熱可塑性高分子フィルム11は、無機フィラーをさらに含有していてもよい。無機フィラーを含有することで、線膨張係数が低減された熱可塑性高分子フィルム11を実現でき、具体的には、MD方向、TD方向、及びZD方向(Z-axis Direction;フィルム厚み方向)の線膨張係数の異方性が低減された熱可塑性高分子フィルム11が得られ易い。このような熱可塑性高分子フィルム11は、例えば多層積層が要求されるリジッド基板用途等において特に有用となる。
無機フィラーは、当業界で公知のものを用いることができ、その種類は特に限定されない。例えばカオリン、焼成カオリン、焼成クレー、未焼成クレー、シリカ(例えば天然シリカ、溶融シリカ、アモルファスシリカ、中空シリカ、湿式シリカ、合成シリカ、アエロジル等)、アルミニウム化合物(例えばベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、ハイドロタルサイト、ホウ酸アルミニウム、窒化アルミニウム等)、マグネシウム化合物(例えば、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム等)、カルシウム化合物(例えば炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、ホウ酸カルシウム等)、モリブデン化合物(例えば酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛等)、タルク(例えば天然タルク、焼成タルク等)、マイカ(雲母)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸ナトリウム、窒化ホウ素、凝集窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、錫酸亜鉛等の錫酸塩等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは1種を単独で用いることができ、また2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中でも、誘電特性等の観点から、シリカが好ましい。
また、ここで用いる無機フィラーは、当業界で公知の表面処理が施されたものであってもよい。表面処理により、耐湿性、接着強度、分散性等を向上させることができる。表面処理剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、スルホン酸エステル、カルボン酸エステル、リン酸エステル等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
無機フィラーのメディアン径(d50)は、要求低減効果等の観点から、無機フィラーのd50は、0.01μm以上50μm以下が好ましく、より好ましくは0.03μm以上50μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上50μm以下である。なお、本明細書において、無機フィラーのメディアン径(d50)は、レーザー回折/散乱式の粒度分布測定装置(堀場製作所社製LA-500)を用いて、レーザー回折・散乱法により体積基準で測定される値を意味する。
無機フィラーの含有量は、他の必須成分及び任意成分との配合バランスを考慮し、要求性能に応じて適宜設定でき、特に限定されない。調製時の混練性や取扱性、線膨張係数の低減効果等の観点から、熱可塑性高分子フィルム11の総量に対する固形分換算で、無機フィラーの含有量は、合計で1質量%以上45質量%以下が好ましく、より好ましくは合計で3質量%以上40質量%以下、さらに好ましくは合計で5質量%以上35質量%以下である。
熱可塑性高分子フィルム11は、本発明の効果を過度に損なわない範囲で、上述した熱可塑性樹脂以外の樹脂成分(以降において、単に「他の樹脂成分」と称する場合がある。)、例えば熱硬化性樹脂やエラストマー等を含有していてもよい。また、熱可塑性高分子フィルム11は、本発明の効果を過度に損なわない範囲で、当業界で公知の添加剤、例えば炭素数10~25の高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属塩、ポリシロキサン、フッ素樹脂等の離型改良剤;染料、顔料等の着色剤;有機充填剤;酸化防止剤;熱安定剤;光安定剤;紫外線吸収剤;難燃剤;帯電防止剤;界面活性剤;防錆剤;消泡剤;蛍光剤等を含んでいてもよい。これらの添加剤は、それぞれ1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの添加剤は、熱可塑性高分子フィルム11の成形時に調製する溶融樹脂組成物に含ませることができる。これらの樹脂成分や添加剤の含有量は、特に限定されないが、成形加工性や熱安定等の観点から、熱可塑性高分子フィルム11の総量に対して、それぞれ0.01~10質量%が好ましく、より好ましくはそれぞれ0.1~7質量%、さらに好ましくはそれぞれ0.5~5質量%である。
熱可塑性高分子フィルム11としては、Tダイ押出フィルムやインフレーションフィルム等の溶融押出フィルムが好ましく用いられる。溶融押出フィルムは、上述した熱可塑性高分子、及び必要に応じて無機フィラーや他の樹脂成分等の任意成分を含む樹脂組成物を、所定厚みに押出成形することにより得ることができる。押出法は、公知の各種方法を適用することができ、その種類は特に限定されない。例えばTダイ法やインフレーション法;例えばマルチマニホールド方式の共押出法やフィードブロック方式の共押出法;例えば二層共押出法や三層共押出法等の多層共押出法;を任意に組み合わせて適用することができる。これらの中でも、フィルム表面及びフィルム内部における熱可塑性高分子の分子配向の制御の容易性の観点から、好ましい一態様としては、上述した樹脂組成物を、Tダイを用いた押出成形法(以降において、単に「Tダイ押出法」という場合がある。)によりTダイから押し出してフィルム状に成形し、その後に必要に応じて冷却処理、圧着処理、加圧加熱処理等をして、所定の熱可塑性高分子フィルム11を得る方法が挙げられる。また、熱可塑性高分子フィルム11としては、熱可塑性樹脂層、熱可塑性高分子フィルム層、及び熱可塑性樹脂層が少なくともこの順に配列された積層構造を有する三層共押出フィルムの中間層(芯層)である熱可塑性高分子フィルム層も好ましく用いられる。この場合、三層共押出フィルムの両外層の熱可塑性樹脂層を除去することで、単層の熱可塑性高分子フィルム層(熱可塑性高分子フィルム11)を取り出すことができる。
熱可塑性高分子フィルム11の厚みは、要求性に応じて適宜設定でき、特に限定されない。押出成形時の取扱性や生産性等を考慮すると、15μm以上300μm以下が好ましく、より好ましくは18μm以上250μm以下、さらに好ましくは20μm以上200μm以下である。
熱可塑性高分子フィルム11の融点(融解温度)は、特に限定されないが、フィルムの耐熱性や加工性等の観点から、融点(融解温度)が200~400℃であることが好ましく、250~360℃が好ましく、より好ましくは260~355℃、さらに好ましくは270~350℃、特に好ましくは275~345℃である。なお、本明細書において、熱可塑性高分子フィルム11の融点は、DSC8500(PerkinElmer社製)を用いて、熱履歴を解消した値を見るために、温度区間 30~400℃で押出フィルムを20℃/分の昇温速度で加熱(1st heating)した後に50℃/分の降温速度で冷却(1st cooling)し、その後に20℃/分の昇温速度で2回目の加熱(2nd heating)したときの示差走査熱量測定法(DSC)における融解ピーク温度を意味する。
第1膜部材21及び第2膜部材31は、熱可塑性高分子フィルム11の表面側及び裏面側にそれぞれ密着させて、熱可塑性高分子フィルム11にずりせん断応力τを印加するための膜状体である。かかる観点から、第1膜部材21及び第2膜部材31を構成する素材は、熱可塑性高分子フィルム11に密着可能であり、熱可塑性高分子フィルム11にずりせん断応力τを印加する際に引張可能な強度を有するものである限り、特に限定されない。例えば、紙、織布、不織布、金属板、合金板、金属箔、合金箔、樹脂フィルム、ゴムシート、発泡シート、これらの任意の組み合わせからなる積層体或いは含浸体等を、第1膜部材21及び第2膜部材31として用いることができる。ここで、含浸体とは、紙、織布、不織布、発砲シート、多孔質物質等に、溶融ないしは軟化した樹脂を浸み込ませ或いは圧入させた複合材料を意味する。これらの中でも、ポリイミドフィルム等の熱硬化性樹脂フィルム;熱可塑性高分子フィルム11よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂フィルム;アルミ箔や銅箔等の金属箔等が好ましい。なお、第1膜部材21と第2膜部材31は、同一の構成素材であっても、異なる構成素材であってもよい。
圧着体10の作製方法は、特に限定されず、公知の積層形成法を適用することができる。第1膜部材21、熱可塑性高分子フィルム11及び第2膜部材31をこの順に重ね合わせ、例えばプレス機、圧着ロール、非接触式ヒーター、オーブン、ブロー装置、熱ロール、冷却ロール、熱プレス機、ダブルベルトプレス等の公知の機器を用いて、圧着或いは熱圧着することで、圧着体10を得ることができる。具体例を挙げると、例えば、図2に示すように、熱可塑性高分子フィルム11と、この熱可塑性高分子フィルム11よりも幅広な幅を有する第1膜部材21及び第2膜部材31とを、熱圧着ロール51を有する熱ラミネーターにそれぞれ供給して、これら3層を熱圧着することで圧着体10を得ることができる。圧着体10の作製時には、上述したように、第1膜部材21の片側端部21a(フィルム耳部)と第2膜部材31の片側端部31a(フィルム耳部)とが形成されるように、熱可塑性高分子フィルム11と第1膜部材21及び第2膜部材31との供給位置を調整する(図1参照)。また、圧着時の処理条件は、使用する素材に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。例えば、面圧0.3~10MPaで加熱温度が熱可塑性高分子フィルム11の熱変形温度以上、融点+70℃以下の条件下で行うことができ、好ましくは面圧0.6~8MPaで熱可塑性高分子フィルム11の融点以上、融点より60℃高い温度以下の条件下である。
なお、所望する剥離性を実現するために、圧着体10の熱可塑性高分子フィルム11と第1膜部材21との間や熱可塑性高分子フィルム11と第2膜部材31との間に、各種離型剤を配してもよい。また、所望する密着性を実現するために、離型剤に代えて各種プライマーや易接着剤等を配してもよい。
(ずりせん断応力印加工程S2)
このずりせん断応力印加工程S2では、上述した圧着体10の片側端部21a及び/又は片側端部31aを熱可塑性高分子フィルム11に対してフィルム外方に引っ張ることにより、圧着体10の熱可塑性高分子フィルム11にずりせん断応力τを印加する(図1参照)。片側端部21aや片側端部31aを熱可塑性高分子フィルム11に対してフィルム外方に引っ張る方法としては、例えば、片側端部21aを第1把持子71aで把持するとともに片側端部31aを第2把持子72aで把持し、この状態で、第1把持子71aと第2把持子72aを相対的に離間する方向に移動すればよい(図1参照)。具体的には、図1において、第1把持子71aを幅方向の一方側である図示右側のフィルム外方に移動し、第2把持子72aを幅方向の他方側である図示左側のフィルム外方に移動することができる。このような引張操作は、図3に示すように、例えばチャックやクリップ等の把持子71a,72aを有するクランプ機構71,72を備える延伸機を用いて高効率及び高精度に行うことができる。
なお、ずりせん断応力τを印加する操作は、片側端部21aと片側端部31aの少なくとも一方を熱可塑性高分子フィルム11に対してフィルム外方に引っ張ればよく、図1や図3に示す方法に限定されない。例えば、図4に示すように、片側端部21aを第1把持子71aで把持するとともに片側端部31aを固定子73aで固定し、この状態で、第1把持子71aを固定子73aから相対的に離間する方向に移動してもよい。具体的には、図4において、第1把持子71aを図示右側のフィルム外方に移動することができる。
そして、図1や図4において符号τで示すとおり、ずりせん断応力印加工程S2では、片側端部21aと片側端部31aの少なくとも一方を熱可塑性高分子フィルム11に対してフィルム外方に引っ張ることにより、熱可塑性高分子フィルム11の表面側(熱可塑性高分子フィルム11と第1膜部材21及び第2膜部材31との圧着面側)からずりせん断応力τが熱可塑性高分子フィルム11に印加される。ここで、ずりせん断応力τは、熱可塑性高分子フィルム11の表面側(熱可塑性高分子フィルム11と第1膜部材21との圧着面側)及び裏面側(熱可塑性高分子フィルム11と第2膜部材31との圧着面側)において絶対値が大きく作用し、熱可塑性高分子フィルム11の厚み方向の中心に向かうにつれて絶対値が小さく作用する。本発明は、このようなフィルム厚み方向において非等方的に生じるずりせん断応力τに着目し、これを利用して、熱可塑性高分子フィルム11の分子配向やポリマー鎖の配向の向きや配向の程度を任意に調整するものである。
図5は、ずりせん断応力τの印加による、熱可塑性高分子フィルム11の配向の変化の一例を示す模式図(分解模式図)である。ここでは、MD方向に高度に配向した熱可塑性高分子フィルム11を用いて上述した圧着体10を作製し、片側端部21a及び片側端部31aを熱可塑性高分子フィルム11に対してフィルム外方のTD方向(MD方向に対して90°方向)に引っ張った例を示している。このとき、フィルム表面側とフィルム裏面側では大きなずりせん断応力τが印加されて、MD方向への配向がTD方向への配向に変化する。その一方、フィルム厚み方向の中心に向かうに連れてずりせん断応力τが小さくなるため、MD方向からTD方向への配向変化の度合いは、厚み方向の中心に向かうに連れて低減し、配向の向きの変化(変化割合)は厚み方向に典型的にはらせん状に推移し、本例では、厚み方向の中心領域ではMD方向への配向が維持されている。
図6は、ずりせん断応力τの印加による、熱可塑性高分子フィルム11の配向の変化の別例を示す模式図(分解模式図)である。ここでは、図5で示した例において、引張倍率を大きくした例を示している。引張倍率を大きくし、フィルム厚み方向の中心領域においても十分に大きなずりせん断応力τを印加することで、フィルム厚み方向の全域にかけて、MD方向から配向をTD方向への配向に変化する。このとき、TD方向への配向度は、典型的には、フィルム表面側≒フィルム裏面側≧フィルム厚み方向の中心となる。なお、引張倍率を大きくする他に、引張速度を小さくすることでも、同様の結果が得られる。
図7は、ずりせん断応力τの印加による、熱可塑性高分子フィルム11の配向の変化の別例を示す模式図(分解模式図)である。ここでは、図6で示した例において、配向方向を斜め方向(MD方向に対して45°方向)に変更した例を示している。例えば引張倍率を調整し引張速度を小さくすることで、配向方向を任意の方向に変更することができる。また、引張方向を変更することで、配向方向を任意の方向に変更することができる。このとき、異なる方向への引張処理を逐次行ってもよいし、異なる方向への引張処理を同時に行うこともできる。
以上のとおり、ずりせん断応力印加工程S2では、片側端部21a及び/又は片側端部31aの温度、引張方向、引張倍率、引張速度等を調整することにより、配向の向きや配向の強度を任意に調整することができる。例えば、片側端部21a及び/又は片側端部31aの引張方向θは、フィルム外方であれば特に制限されず、所望する配向方向に応じて設定すればよい。引張方向θは、MD方向を基準として0°~180°の間で任意に設定することができる。溶融押出成形では、通常はMD方向に高配向した熱可塑性高分子フィルム11が得られるため、これを配向制御する観点から、引張方向θは、TD方向(MD方向を基準としてθ=90°±5°)、斜め方向(MD方向を基準として5°<θ<175°、但し90°±5°を除く。)が好ましい。
なお、図1や図4においては、幅方向の一方側(図示右方向)に第1膜部材21及び第2膜部材31が略同幅で突出し、幅方向の他方側(図示左方向)に第1膜部材21及び第2膜部材31が略同幅で突出した、圧着体10を用いた例を示したが、第1把持子71a、第2把持子72a、固定子73a等の操作時の効率性を高めるために、図8に示すように、熱可塑性高分子フィルム11に対して、第1膜部材21を断面視で幅方向の一方側(図示右方向)に片寄せるとともに第2膜部材31を断面視で幅方向の他方側(図示左方向)に片寄せた構成の圧着体10としてもよい。このように第1膜部材21及び第2膜部材31を熱可塑性高分子フィルム11に対してオフセット配置することで、ずりせん断応力印加工程S2における片側端部21aや片側端部31aへのアクセス性や操作性を高めることができ、その結果、生産性を高めることができる。
ずりせん断応力印加工程S2での熱可塑性高分子フィルム11の引張倍率は、所望する配向方向及び配向強度に応じて設定すればよく、特に限定されない。なお、従来技術の延伸方法では、延伸倍率(MD方向×TD方向)が1.5以上150以下とされているが、本発明のずりせん断応力τの印加では、引張倍率(MD方向×TD方向)は1.0005~1.1000の範囲内で調整できる。好ましくは、引張倍率(MD方向×TD方向)は1.0010~1.1000である。このとき、TD方向への引張倍率は、好ましくは1.0005~1.1000であり、より好ましくは1.0010~1.1000である。また、MD方向への引張倍率は、好ましくは1.0000~1.0100であり、より好ましくは1.0000~1.0050である。
また、ずりせん断応力印加工程S2での第1膜部材21及び/又は第2膜部材31の引張速度も、所望する配向方向及び配向強度に応じて設定すればよく、特に限定されない。引張速度は、好ましくは0.1~300mm/minであり、より好ましくは1~200mm/minであり、さらに好ましくは5~100mm/minである。
一方、ずりせん断応力印加工程S2の処理温度は、熱可塑性高分子フィルム11のガラス転移点以上であれば、特に限定されないが、熱可塑性高分子フィルム11を溶融させて配向方向及び配向強度の自由度を高める等の観点から、熱可塑性高分子フィルム11の融点以上が好ましく、熱可塑性高分子フィルム11の融点+10℃以上がより好ましい。なお、上限側温度は、特に限定されないが、熱可塑性高分子フィルム11の融点+70℃以下が目安となる。
熱可塑性高分子フィルム11にずりせん断応力τを印加した後、必要に応じて圧着体10を冷却し、その後に圧着体10の両表面に圧着されている第1膜部材21及び第2膜部材31を剥離(除去)することにより、配向制御後の熱可塑性高分子フィルム100を得ることができる。圧着体10の冷却は、例えば一対の冷却ロール75を用いて実施することができる。また、自然冷却により行うこともできる。そして、配向制御後の熱可塑性高分子フィルム100は、例えば引取ロールで引き取り、巻取ロールにロール状に巻き取ることで、ロール原反とすることができる。
なお、配向制御後の熱可塑性高分子フィルム100は、そのまま用いることができるが、さらに必要に応じて加圧加熱工程を行うことにより、その配向性(異方性)をさらに低減させ或いは内部歪みをさらに解放させることもでき、これにより、寸法変化率の異方性がより低減された熱可塑性高分子フィルム100や寸法変化率の絶対値がより小さい熱可塑性高分子フィルム100を実現することもできる。
加熱加圧処理は、当業界で公知の方法、例えば接触式の熱処理、非接触性の熱処理等を用いて行えばよく、その種類は特に限定されない。例えば非接触式ヒーター、オーブン、ブロー装置、熱ロール、冷却ロール、熱プレス機、ダブルベルトプレス機等の公知の機器を用いて熱セットすることができる。このとき、必要に応じて、熱可塑性高分子フィルム100の表面に、当業界で公知の剥離フィルムや多孔質フィルムを配して、熱処理を行うことができる。また、この熱処理を行う場合、配向性の制御の観点から、熱可塑性高分子フィルム100の表裏に剥離フィルムや多孔質フィルムを配してダブルベルトプレス機のエンドレスベルト対の間に挟持しながら熱圧着し、その後に剥離フィルムや多孔質フィルムを除去する熱圧成形方法が好ましく用いられる。熱圧成形方法は、例えば特開2010-221694号等を参照して行えばよい。ダブルベルトプレス機のエンドレスベルト対の間で熱可塑性高分子フィルム100を熱圧成形する際の処理温度としては、熱可塑性高分子フィルム100の結晶状態を制御するため、熱可塑性高分子の融点より高い温度以上、融点より70℃高い温度以下で行うことが好ましく、より好ましくは融点より+5℃高い温度以上、融点より60℃高い温度以下、さらに好ましくは融点より+10℃高い温度以上、融点より50℃高い温度以下である。このときの熱圧着条件は、所望性能に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、面圧0.5~10MPaで加熱温度250~430℃の条件下で行うことが好ましく、より好ましくは面圧0.6~8MPaで加熱温度260~400℃の条件下、さらに好ましくは面圧0.7~6MPaで加熱温度270~370℃の条件下である。一方、非接触式ヒーターやオーブンを用いる場合には、例えば200~320℃で1~20時間の条件下で行うことが好ましい。
本明細書において、熱可塑性高分子フィルム11及び配向制御後の熱可塑性高分子フィルム100の配向度は、X線回折装置を用いて透過法でX線回折測定を行い、得られた回折強度分布曲線の配向性ピークの面積割合に基づいて下記式から算出される値を意味する。一般的に、配向度(%)が小さい測定対象の場合、X線回折測定ではピーク強度が小さくブロードな回折ピークが観察されるため、配向性ピークの半値幅に基づく算出方法では、高い測定精度を担保できない。そのため、本明細書では、配向性ピークの半値幅ではなく、配向性ピークの面積割合に基づく算出方法で、配向度(%)をそれぞれ算出している。具体的には、図9及び数式1に示すとおり、配向性ピークの面積割合に基づく算出方法として、実施例に記載の条件にしたがい、2θ/θスキャンでピーク強度(配向性成分)を測定するとともに、βスキャンで方位角方向に0°から360°までの強度を測定して方位角方向の強度分布(ベース強度(等方性成分))を得て、ベースとなる等方性成分の面積を除いた配向性成分が占める面積が、全体面積(配向性成分の面積+等方性成分の面積)に占める割合を、配向度(%)として算出する。なお、本明細書では、配向度が25%未満のものを「低配向」と、配向度が25%以上のものを「高配向」称する場合がある。
また、本明細書において、熱可塑性高分子フィルム11及び配向制御後の熱可塑性高分子フィルム100の配向方向は、上記の配向性ピークのピークトップの角度に基づいて判別した。具体的には、実施例に記載の条件にしたがい、2θ/θスキャンでピーク強度(配向性成分)を測定するとともに、βスキャンで方位角方向に0°から360°までの強度を測定して方位角方向の強度分布(ベース強度(等方性成分))を得て、ベースとなる等方性成分の面積を除いた配向性成分のピークトップの位置から判別する。ここでは、当該ピークトップの位置が90°±5°及び270°±5°に認められるものを「MD配向」と、当該ピークトップの位置が180°±5°及び360°±5°に認められるものを「TD配向」と、当該ピークトップの位置が0°~360°に認められるもの(但し、90°±5°及び270°±5°にピークトップが認められるものと0°±5°、180°±5°及び360°±5°にピークトップが認められるものとを除く。)を「斜め配向」と、配向性成分がブロードでピークトップが明瞭に認められないもの及びピークトップは認められるものの配向度が10%未満のものは「無配向」と、称する場合がある。
ここで、本発明の配向制御方法では、熱可塑性高分子フィルム11の表面側や裏面側と熱可塑性高分子フィルム11の厚み方向の中心とでは、ずりせん断応力τの印加強度が異なるため、例えば図1や図5に示すように、配向制御後の熱可塑性高分子フィルム100は、厚み方向において配向方向と配向強度が相違することがある。このような相違は、図10に示すように、配向制御後の熱可塑性高分子フィルム100の厚みTを基準として、表面側から0~25%の厚み深度領域(表面領域A)、表面側から25~75%の厚み深度領域(中心領域B)、表面側から75~100%の厚み深度領域(裏面領域C)に区分し、それぞれの区分の配向方向や配向強度を評価することで判別することができる。例えば表面領域Aのみの配向方向と配向強度は、機械研磨や化学研磨等により熱可塑性高分子フィルム100から中心領域B及び裏面領域Cを除去することで評価可能である。また、中心領域Bのみの配向方向と配向強度は、機械研磨や化学研磨等により熱可塑性高分子フィルム100から表面領域A及び裏面領域Cを除去することで評価可能である。なお、各領域を取り出すための処理条件は、特に限定されないが、測定データ間の客観性を担保する観点から、後述する実施例に記載の条件にしたがうものとする。
以上詳述したとおり、本発明の配向制御方法によれば、従来技術の延伸処理のように熱可塑性高分子フィルム11に引張応力を印加するのとは異なり、熱可塑性高分子フィルム11の圧着面を起点としてずりせん断応力τを印加するため、配向の向きや程度を任意に調整することができる。また、このとき、厚みT方向の全域にわたって配向の向きや程度を調整することができ、また、厚みT方向に区分した領域(例えば表面領域A、中心領域B及び裏面領域C)毎にそれぞれ異ならしめることもできる。そのため、本発明の配向制御方法によれば、配向の向きや程度を任意に調整した熱可塑性高分子フィルム100を得ることが、その配向の向きや程度の調整によって、従来には存在しなかった物性値を有する配向制御後の熱可塑性高分子フィルム100を実現することができる。例えば、従来技術の熱可塑性高分子フィルムの単独延伸では、融点以上では溶融するために延伸時に形状保持できずに延伸することができないが、本発明の配向制御方法では、融点以上でもずりせん断応力τを印加することができる。また、従来技術では1.5以上150以下の延伸倍率(MD方向×TD方向)であるのに対して、本発明の配向制御方法では引張倍率(MD方向×TD方向)を極めて小さくすることができるため、柔軟性や形状追従性の過度の低下の影響を大幅に低減できる。また、従来技術では製造困難であるか生産効率が極めて悪いために工業的な利用が実質的には制限されていた、TD方向に配向した熱可塑性高分子フィルム100のロール原反、斜め方向に配向した熱可塑性高分子フィルム100のロール原反、無配向の熱可塑性高分子フィルム100のロール原反等の各種態様を、安定して低コストで提供することができる。
例えば、Tダイ溶融押出LCPフィルムは、熱可塑性液晶ポリマーの分子配向が大きく製造時にはダイ等からせん断応力を受けるため、熱可塑性液晶ポリマーがMD方向に高配向した、異方性が大きな熱可塑性高分子フィルムとして一般的に知られている(例えばMD方向の線膨張係数(CTE,23~200℃)が-20ppm/K程度でTD方向の線膨張係数(CTE,23~200℃)が80ppm/K程度)。しかしながら、このTダイ溶融押出LCPフィルムに本発明の配向制御方法を適用すれば、例えばMD方向への高配向が緩和された熱可塑性高分子フィルム100、TD方向へ高配向した熱可塑性高分子フィルム100、TD方向へ低配向した熱可塑性高分子フィルム100、斜め配向した熱可塑性高分子フィルム100、無配向の熱可塑性高分子フィルム100等を簡易に得ることができる。このとき、MD方向の線膨張係数を0~20ppm/K程度に調整したり、20~50ppm/K程度に調整したり、50~100ppm/K程度に調整したりすることができる。また、TD方向の線膨張係数についても同様であり、-30~0ppm/K程度に調整したり、0~20ppm/K程度に調整したり、20~50ppm/K程度に調整したりすることができる。このように、本発明の配向制御方法によれば、配向の向きや程度を任意に調整して、従来には存在しなかった物性値を有する配向制御後の熱可塑性高分子フィルム100を実現することができる。
また、高周波特性及び低誘電性に優れるLCPフィルムは、電子回路基板、多層基板、高放熱基板、フレキシブルプリント配線板、アンテナ基板、光電子混載基板、ICバッケージ等の用途のみならず、今後進展する第5世代移動通信システム(5G)やミリ波レーダー等におけるフレキシブルプリント配線板(FPC)、フレキシブルプリント配線板積層体、繊維強化フレキシブル積層体等の回路基板の絶縁材料としても、近年、脚光を浴びている。そのため、本発明の配向制御方法を適用して得た、低配向なLCPフィルムや無配向のLCPフィルムは、従来技術に比べて、MD方向及びTD方向の寸法変化率そのものが小さく、また寸法変化率の異方性が小さく、製造時のそりの発生が抑制され、近年の超微細加工への適応し得るものとなるため、当該用途において殊に有用な素材となる。
なお、本明細書において、線膨張係数の測定は、JIS K7197に準拠したTMA法で行い、平均線膨張係数は、同法において測定される23~200℃の線膨張係数の平均値を意味する。ここで測定する線膨張係数は、熱履歴を解消した値を見るために、熱可塑性高分子フィルム11及び配向制御後の熱可塑性高分子フィルム100を5℃/分の昇温速度で加熱(1st heating)した後に測定環境温度(23℃)まで冷却(1st cooling)し、その後に5℃/分の昇温速度で2回目の加熱(2nd heating)したときの値を意味する。また、その他の詳細な測定条件は、後述する実施例に記載した条件にしたがうものとする。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらによりなんら限定されるものではない。すなわち、以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更することができる。また、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における好ましい上限値又は好ましい下限値としての意味をもつものであり、好ましい数値範囲は前記の上限値又は下限値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
[溶融粘度]
以下の条件で、各熱可塑性高分子フィルムの溶融粘度[Pa・sec]をそれぞれ測定した。
測定機器:キャピログラフ1D(東洋精機製作所社製)
使用装置:シリンダー長10.00mm、シリンダー径1.00mm、バレル径9.55mm
測定条件:各熱可塑性高分子フィルムの押出成形時の温度[℃]と剪断速度[sec-1]
[線膨張係数]
JIS K7197に準拠したTMA法で、各熱可塑性高分子フィルムの線膨張係数を測定した。
測定機器: TMA 4000SE(NETZSCH社製)
測定方法: 引張モード
測定条件: サンプルサイズ 25mm×4mm×厚み50μm
チャック間距離 20mm
温度区間 23~200℃(2ndRUN)
昇温速度 5℃/min
雰囲気 窒素(流量50ml/min)
試験荷重 5gf
※熱履歴を解消した値をみるため、2ndRUNの値を採用
[配向度]
X線回折装置Smartlab(リガク社製)を用いて透過法で各熱可塑性高分子フィルムのX線回折測定を行い、配向度をそれぞれ測定した。ここでは、X線源にCu封入管を用い、平行ビーム光学系、透過法でX線回折測定(2θ/θスキャン、βスキャン)を行い、まず、2θ/θスキャンで2θ=19.5°にピークトップがあることを確認した。次に、βスキャンにて2θ=19.5の回折ピークに対し、方位角方向に0°から360°までの強度を測定することにより、方位角方向の強度分布を得た。得られたβプロファイルのベース強度(等方性成分)とピーク強度(配向性成分)から、配向性ピークの面積割合に基づいて、上記式から配向度を算出した。また、配向方向は、ベースとなる等方性成分の面積を除いた配向性成分のピークトップの位置から判別した。
(参考例1)
II型熱可塑性液晶ポリマー(モノマー組成がp-ヒドロキシ安息香酸74mol%、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸26mol%の共重合体、温度300℃及び剪断速度500sec-1の溶融粘度は80Pa・sec)をTダイキャスティング法により押出機から300℃で押出して、幅250mm及び厚み50μm並びに融点280℃を有する参考例1の熱可塑性高分子フィルム(LCP溶融押出フィルム)を得た。得られた参考例1の熱可塑性高分子フィルムは、MD方向に高配向しており、その配向度は43%であった。
(実施例1)
参考例1の熱可塑性高分子フィルムの両面に、離型剤を塗布した厚み50μm及び幅270mmのポリイミドフィルムをそれぞれ重ね合わせ、熱ラミネーターを用いて温度300℃、圧力0.8MPa及び速度1m/minの条件下で熱圧着させて、図1と同等構造を有する圧着体10を作製した。このとき、第1膜部材21の片側端部21a(フィルム耳部)と第2膜部材31の片側端部31a(フィルム耳部)の幅はそれぞれ10mmとした。
得られた圧着体10を一軸延伸機に供給し、温度316℃、引張速度15mm/min、引張距離1.2mm、及び引張倍率1.0048の条件下で、図1及び3に示すようにクランプ機構71,72のチャック71a,72bに圧着体10の片側端部21a,31aをそれぞれ把持して、チャック71a及びチャック72bが相対的に離間する方向(TD方向)に移動させて、ずりせん断応力τの印加を行った。その後、圧着体10からポリイミドフィルムを剥離し、実施例1の配向制御後の熱可塑性高分子フィルムを得た。
(実施例2~4)
ずりせん断応力τの印加条件を表1に記載のとおり変更する以外は、実施例1と同様に行い、実施例2~4の配向制御後の熱可塑性高分子フィルムを得た。
(実施例5)
ポリイミドフィルムに代えて厚み50μm及び幅270mmのアルミ箔を用い、熱圧着時の温度を295℃とし、ずりせん断応力τの印加時の温度を314℃に変更する以外は、実施例1と同様に行い、実施例5の配向制御後の熱可塑性高分子フィルムを得た。
(実施例6)
ずりせん断応力τの印加条件を表1に記載のとおり変更する以外は、実施例1と同様に行い、実施例6の配向制御後の熱可塑性高分子フィルムを得た。
(実施例7)
ずりせん断応力τの印加条件を表1に記載のとおり変更する以外は、実施例1と同様に行い、実施例7の配向制御後の熱可塑性高分子フィルムを得た。
(比較例1)
実施例1において圧着体を作製せずに、熱可塑性高分子フィルム単体を一軸延伸機に供給し、熱可塑性高分子フィルムの両端部をそれぞれ把持して引っ張る以外は、実施例1と同様にして、引張応力の印加を試みたが、熱可塑性高分子フィルムが溶融して孔があき、実験を続けることができなかった。
(比較例2)
実施例1において(目標)引張倍率を3.0000倍に及び(目標)距離を500mmにそれぞれ変更する以外は、実施例1と同様にして、ずりせん断応力τの印加を試みたが、引張時にポリイミドフィルムが熱可塑性高分子フィルムから剥がれ、所望の引張倍率まで到達せず、また、ポリイミドフィルムに折れが発生し、実験を続けることができなかった。
表1に、各熱可塑性高分子フィルムの測定結果を示す。
また、図11及び12に、参考例1の熱可塑性高分子フィルムのX線回折像及び方位角分布曲線を示す。また、図13及び14に、実施例1の配向制御後の熱可塑性高分子フィルムのX線回折像及び方位角分布曲線を示す。さらに、図15及び16に、実施例2の配向制御後の熱可塑性高分子フィルムのX線回折像及び方位角分布曲線を示す。
本発明によれば、従来技術の延伸処理のように熱可塑性高分子フィルムに引張応力を印加するのとは異なり、熱可塑性高分子フィルムの表面にずりせん断応力を印加するため、配向の向きや程度の制御が容易であり、生産性及び汎用性に優れる新規な熱可塑性高分子フィルムの製造方法、及び熱可塑性高分子フィルムの新規な配向制御方法等を提供することができ、従来では実現困難であった新たな物性を有する熱可塑性高分子フィルムを実現することができるため、熱可塑性高分子フィルムの新規素材分野において、広く且つ有効に利用可能である。
10 ・・・圧着体
11 ・・・熱可塑性高分子フィルム
21 ・・・第1膜部材
21a・・・片側端部
31 ・・・第2膜部材
31a・・・片側端部
51 ・・・熱圧着ロール
71 ・・・クランプ機構
71a・・・第1把持子
72 ・・・クランプ機構
72a・・・第1把持子
73a・・・固定子
75 ・・・冷却ロール
100 ・・・配向制御された熱可塑性高分子フィルム
A ・・・表面領域
B ・・・中心領域
C ・・・裏面領域
T ・・・厚み
S1 ・・・圧着体準備工程
S2 ・・・ずりせん断応力印加工程
τ ・・・ずりせん断応力

Claims (15)

  1. 熱可塑性高分子フィルム、前記熱可塑性高分子フィルムよりも幅広な幅を有する第1膜部材、及び前記熱可塑性高分子フィルムよりも幅広な幅を有する第2膜部材を備え、前記第1膜部材、前記熱可塑性高分子フィルム、及び前記第2膜部材が断面視でこの順に積層された圧着体であって、前記熱可塑性高分子フィルムが積層されずに前記熱可塑性高分子フィルムに対して断面視で幅方向の一方側に突出した前記第1膜部材の片側端部、及び、前記熱可塑性高分子フィルムが積層されずに前記熱可塑性高分子フィルムに対して断面視で前記第1膜部材の前記第1片側端部とは反対側の幅方向の他方側に突出した前記第2膜部材の片側端部を有する、圧着体を準備する工程と、
    前記第1膜部材の前記片側端部及び/又は前記第2膜部材の前記片側端部を前記熱可塑性高分子フィルムに対してフィルム外方に引っ張ることにより、前記圧着体の前記熱可塑性高分子フィルムにずりせん断応力を印加する工程と、を少なくとも備える、
    熱可塑性高分子フィルムの製造方法。
  2. 前記第1膜部材は、紙、織布、不織布、金属板、合金板、金属箔、合金箔、樹脂フィルム、ゴムシート、発泡シート、及びこれらの任意の組み合わせからなる積層体或いは含浸体よりなる群から選択される1種以上である
    請求項1に記載の熱可塑性高分子フィルムの製造方法。
  3. 前記第2膜部材は、紙、織布、不織布、金属板、合金板、金属箔、合金箔、樹脂フィルム、ゴムシート、発泡シート、及びこれらの任意の組み合わせからなる積層体或いは含浸体よりなる群から選択される1種以上である
    請求項1又は2に記載の熱可塑性高分子フィルムの製造方法。
  4. 前記ずりせん断応力を印加する前記工程では、前記熱可塑性高分子フィルムのガラス転移点以上の温度条件下で前記第1膜部材の前記片側端部及び/又は前記第2膜部材の前記片側端部をフィルム外方に引っ張る
    請求項1~3のいずれか一項に記載の熱可塑性高分子フィルムの製造方法。
  5. 前記ずりせん断応力を印加する前記工程では、前記熱可塑性高分子フィルムの融点以上の温度条件下で前記第1膜部材の前記片側端部及び/又は前記第2膜部材の前記片側端部をフィルム外方に引っ張る
    請求項1~4のいずれか一項に記載の熱可塑性高分子フィルムの製造方法。
  6. 前記圧着体を準備する前記工程では、前記熱可塑性高分子フィルムに対して、前記第1膜部材を断面視で幅方向の前記一方側に片寄せるとともに前記第2膜部材を断面視で幅方向の前記他方側に片寄せた、前記圧着体を準備する
    請求項1~5のいずれか一項に記載の熱可塑性高分子フィルムの製造方法。
  7. 前記ずりせん断応力を印加する前記工程では、前記第1膜部材の前記片側端部を第1把持子で把持するとともに、前記第2膜部材の前記片側端部を第2把持子で把持し、前記第1把持子及び前記第2把持子を相対的に離間する方向に移動して前記第1膜部材の前記片側端部及び/又は前記第2膜部材の前記片側端部をフィルム外方に引っ張る
    請求項1~6のいずれか一項に記載の熱可塑性高分子フィルムの製造方法。
  8. 前記ずりせん断応力を印加する前記工程では、前記第1膜部材の前記片側端部及び前記第2膜部材の前記片側端部の一方を第1把持子で把持し他方を固定子で固定し、前記第1把持子を前記固定子から相対的に離間する方向に移動して前記第1膜部材の前記片側端部及び/又は前記第2膜部材の前記片側端部をフィルム外方に引っ張る
    請求項1~6のいずれか一項に記載の熱可塑性高分子フィルムの製造方法。
  9. 前記ずりせん断応力を印加する前記工程では、1.0005~1.1000の引張倍率(MD方向×TD方向)で前記第1膜部材の前記片側端部及び/又は前記第2膜部材の前記片側端部をフィルム外方に引っ張る
    請求項1~8のいずれか一項に記載の熱可塑性高分子フィルムの製造方法。
  10. 前記ずりせん断応力を印加する前記工程では、1.0005~1.1000の引張倍率(TD方向)で前記第1膜部材の前記片側端部及び/又は前記第2膜部材の前記片側端部をフィルム外方に引っ張る
    請求項1~9のいずれか一項に記載の熱可塑性高分子フィルムの製造方法。
  11. 前記ずりせん断応力を印加する前記工程では、延伸機を用いて前記第1膜部材の前記片側端部及び/又は前記第2膜部材の前記片側端部をフィルム外方に引っ張る
    請求項1~10のいずれか一項に記載の熱可塑性高分子フィルムの製造方法。
  12. 前記熱可塑性高分子フィルムは、液晶ポリマーフィルム、及び含フッ素フィルムよりなる群から選択される
    請求項1~11のいずれか一項に記載の熱可塑性高分子フィルムの製造方法。
  13. 前記ずりせん断応力を印加する前記工程の後に、前記第1膜部材及び前記第2膜部材を前記熱可塑性高分子フィルムから剥離する
    請求項1~12のいずれか一項に記載の熱可塑性高分子フィルムの製造方法。
  14. 前記圧着体を得る工程では、前記第1膜部材と前記熱可塑性高分子フィルムとの間に及び/又は前記熱可塑性高分子フィルムと前記第2膜部材との間に、離型剤を配する
    請求項1~13のいずれか一項に記載の熱可塑性高分子フィルムの製造方法。
  15. 熱可塑性高分子フィルム、前記熱可塑性高分子フィルムよりも幅広な幅を有する第1膜部材、及び前記熱可塑性高分子フィルムよりも幅広な幅を有する第2膜部材を備え、前記第1膜部材、前記熱可塑性高分子フィルム、及び前記第2膜部材が断面視でこの順に積層された圧着体であって、前記熱可塑性高分子フィルムが積層されずに前記熱可塑性高分子フィルムに対して断面視で幅方向の一方側に突出した前記第1膜部材の片側端部、及び、前記熱可塑性高分子フィルムが積層されずに前記熱可塑性高分子フィルムに対して断面視で前記第1膜部材の前記第1片側端部とは反対側の幅方向の他方側に突出した前記第2膜部材の片側端部を有する、圧着体を準備する工程と、
    前記第1膜部材の前記片側端部及び/又は前記第2膜部材の前記片側端部を前記熱可塑性高分子フィルムに対してフィルム外方に引っ張ることにより、前記圧着体の前記熱可塑性高分子フィルムにずりせん断応力を印加する工程と、を少なくとも備える、
    熱可塑性高分子フィルムの配向制御方法。
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