JP2023040945A - 同期モータ制御装置および電動車両 - Google Patents

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Shun Taniguchi
矩也 中尾
Takuya Nakao
健太郎 松尾
Kentaro Matsuo
和明 戸張
Kazuaki Tobari
俊幸 安島
Toshiyuki Yasujima
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Abstract

Figure 2023040945000001
【課題】制御が破綻しないようにモータの最大トルクに制限を設けて制御していたため、モータが本来出力可能なトルクを十分に発揮できない課題があった。
【解決手段】同期モータへのトルク指令値を、前記同期モータのトルクのピークを含む領域において漸次増加している第二トルク指令値に変換するトルク指令値変換部と、前記同期モータのトルクが前記第二トルク指令値と一致するように電圧位相角を制御する電圧位相制御部と、前記電圧位相角と前記同期モータの回転角に基づいて、直流電力を交流電力に変換し、前記変換した前記交流電力を前記同期モータへ出力する電力変換部と、を備えた同期モータ制御装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、同期モータ制御装置および電動車両に関する。
直流電力を電力変換部により交流電力に変換し、電圧位相制御により矩形波電圧を同期モータに印加して、同期モータを回転駆動することが行われている。この電圧位相制御によれば、同期モータの高回転域の出力を向上させることができ、また、電力変換部でのスイッチング回数を減少させ、スイッチング損失を抑えることができる。そして、同期モータの電圧利用率を向上するため、矩形波電圧の一周期におけるパルス数を少なくした省パルス制御が用いられている。
特許文献1には、トルクフィードバック制御を行い、トルク偏差ΔTを小さくするよう電圧位相ψを設定し、その範囲を所定の位相範囲に制限し、制御を破綻させることなく、実際の出力トルクをトルク指令値に近づけることができる技術が記載されている。
特開2000-50689号公報
従来は、制御が破綻しないようにモータの最大トルクに制限を設けて制御していたため、モータが本来出力可能なトルクを十分に発揮できない課題があった。
本発明による同期モータ制御装置は、同期モータへのトルク指令値を、前記同期モータのトルクのピークを含む領域において漸次増加している第二トルク指令値に変換するトルク指令値変換部と、前記同期モータのトルクが前記第二トルク指令値と一致するように電圧位相角を制御する電圧位相制御部と、前記電圧位相角と前記同期モータの回転角に基づいて、直流電力を交流電力に変換し、前記変換した前記交流電力を前記同期モータへ出力する電力変換部と、を備えた。
本発明によれば、電圧位相制御において、同期モータの出力可能なトルクを制限なく生かすことができる。
第1の実施形態における同期モータ制御装置のブロック構成図である。 トルク指令値変換部のブロック構成図である。 第二トルク指令値演算部のブロック構成図である。 第二トルク演算部のブロック構成図である。 電圧位相制御部のブロック構成図である。 矩形波発生部のブロック構成図である。 電圧位相角とトルクの関係を示すグラフである。 比較例における電圧位相角とトルクの関係を示すグラフである。 磁束一定閉曲線とトルク一定曲線とを示すグラフである。 変形例1に係る第二トルク演算部のブロック構成図である。 変形例2に係る第二トルク指令値演算部のブロック構成図である。 変形例3に係る第二トルク指令値演算部のブロック構成図である。 変形例4に係る第二トルク演算部のブロック構成図である。 変形例5に係る第二トルク演算部のブロック構成図である。 変形例6に係る第二トルク指令値演算部のブロック構成図である。 変形例7に係る第二トルク指令値演算部のブロック構成図である。 変形例8に係る第二トルク演算部のブロック構成図である。 第2の実施形態における同期モータ制御装置のブロック構成図である。 第2の実施形態におけるトルク演算部のブロック構成図である。 第2の実施形態における電圧位相制御部のブロック構成図である。 第2の実施形態の変形例9における同期モータ制御装置のブロック構成図である。 第3の実施形態における同期モータ制御装置のブロック構成図である。 第3の実施形態における電圧位相制御部のブロック構成図である。 電圧位相角とトルク/電流の関係を示すグラフである。 第4の実施形態における電動車両の構成図である。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態における同期モータ制御装置100のブロック構成図である。
同期モータ制御装置100は、同期モータ1を駆動制御する。同期モータ(PMSM: Permanent Magnet Synchronous Motor)1は、例えば、永久磁石を回転子に、電機子巻線を固定子に設けた回転界磁形の構成である。なお、同期モータ1は、永久磁石同期モータに限定されるものではなく、シンクロリラクタンスモータや永久磁石同期発電機、巻線型同期機といった同期モータであればよい。
同期モータ制御装置100は、電力変換部2、電流検出器3、磁極位置検出器4、周波数演算部5、電圧検出器6、座標変換部7、直流電圧源9、トルク指令値変換部11、電圧位相制御部13、矩形波発生部15を備える。
電力変換部2は、3相分の上下アームを構成する半導体スイッチング素子を備えてなる。半導体スイッチング素子はIGBT、MOSFET、その他の電力用半導体素子であればよい。電力変換部2は、後述するパルス信号Su、Sv、Swに従って半導体スイッチング素子を動作させ、直流電圧源9(例えばバッテリ)からの直流電力を交流電力に変換して同期モータ1を駆動する。
電流検出器3はホールCT(Current Transformer)等から成り、電力変換部2から同期モータ1に流れるU相、V相、W相の3相の電流値Iuc、Ivc、Iwcを検出する。
磁極位置検出器4はレゾルバ等から成り、同期モータ1の磁極位置を検出して磁極位置情報θ*を出力する。
周波数演算部5は、磁極位置検出器4で検出された磁極位置情報θ*から、例えば微分演算によって速度情報ω1*を出力する。
電圧検出器6は、直流電圧源9から電力変換部2へ供給される直流電圧Vdcを検出する。
座標変換部7は、電流検出器3で検出した電流値Iuc、Ivc、Iwcを磁極位置検出器4で検出した磁極位置情報θ*で座標変換してd軸電流検出値Idc、q軸電流検出値Iqcを出力する。
トルク指令値変換部11は、トルク指令値T*、直流電圧Vdc、速度情報ω1*、d軸電流検出値Idc、q軸電流検出値Iqcを用いて、第二トルクT2および第二トルク指令値T2*を演算する。トルク指令値T*は、図示省略した上位の制御装置より入力される同期モータ1に対するトルクの指令値である。トルク指令値変換部11は、このトルク指令値T*を第二トルク指令値T2*に変換する。具体的には、トルク指令値変換部11は、同期モータ1へのトルク指令値T*、直流電圧Vdc、速度情報ω1*に基づいて、d軸電流指令値Id*、q軸電流指令値Iq*を演算した後に、d軸電流指令値Id*とq軸電流指令値Iq*を乗算して、第二トルク指令値T2*に変換する。第二トルク指令値T2*は、その指令値が同期モータ1のトルクTのピークを含む領域において漸次増加している値であり、本実施形態ではリラクタンストルクに比例する値を例に説明する。トルク指令値変換部11の詳細は図2を参照して後述する。
電圧位相制御部13は、同期モータ1のトルクTが第二トルク指令値T2*と一致するようにフィードバック制御により電圧位相角θvを出力する。電圧位相制御部13の詳細は図7を参照して後述する。
矩形波発生部15は、電圧位相角θvに基づいて、パルス信号Su、Sv、Swを生成して、電力変換部2へ出力する。矩形波発生部15の詳細は図8を参照して後述する。
図2は、トルク指令値変換部11のブロック構成図である。
トルク指令値変換部11は、電流指令生成部21、第二トルク指令値演算部23、第二トルク演算部25を備える。
電流指令生成部21は、トルク指令値T*、直流電圧Vdc、速度情報ω1*を入力として、例えばルックアップテーブル等を用いて、d軸電流指令値Id*、q軸電流指令値Iq*を生成する。電流指令生成部21は、トルク指令値T*をd軸電流指令値Id*、q軸電流指令値Iq*に変換する。
そして、第二トルク指令値演算部23は、d軸電流指令値Id*、q軸電流指令値Iq*を基に、第二トルク指令値T2*を演算して出力する。第二トルク指令値演算部23の詳細は後述の図3を参照して後述するが、d軸電流指令値Id*とq軸電流指令値Iq*とを乗算することにより、リラクタンストルクに比例する第二トルク指令値T2*を得る。
第二トルク演算部25は、電流検出器3で検出された電流値Iuc、Ivc、Iwcを座標変換部7で変換したd軸電流検出値Idcおよびq軸電流検出値Iqcに基づいて、第二トルクT2を演算する。第二トルク演算部25の詳細は後述の図4を参照して後述するが、基本的には、d軸電流検出値Idcとq軸電流検出値Iqcとを乗算することにより、同期モータ1のリラクタンストルクに比例する第二トルクT2を得る。
図3は、第二トルク指令値演算部23のブロック構成図である。
第二トルク指令値演算部23は、図3に示すように、d軸電流指令値Id*に第一ゲイン31を乗算し、d軸電流指令値Id*に第一ゲイン31を乗算した値とq軸電流指令値Iq*とを乗算器33で乗算し、この乗算結果にさらに第二ゲイン35を乗算する。これにより、第二トルク指令値T2*を求める。
同期モータ1では永久磁石によるトルクのほかにリラクタンストルクが発生する。図3に示した第一ゲイン31にd軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqの差分に相当するLd-Lqを設定し、第二ゲイン35に同期モータ1の極対数を設定すれば、第二トルク指令値T2*はリラクタンストルクになる。なお、第一ゲイン31、第二ゲイン35は任意の値を取ることができ、第一ゲイン31、第二ゲイン35はなくてもよい。例えば、実際にはリラクタンストルクが存在しない表面磁石型同期型モータ(SPMSM:surface permanent magnet synchronous motor)にも適用することが可能である。
図4は、第二トルク演算部25のブロック構成図である。
第二トルク演算部25は、図4に示すように、d軸電流検出値Idcに第三ゲイン41を乗算し、d軸電流検出値Idcに第三ゲイン41を乗算した値とq軸電流検出値Iqcとを乗算し、この乗算結果に第四ゲイン45を乗算する。これにより、同期モータ1の第二トルクT2を求める。
前述したように、同期モータ1では永久磁石によるトルクのほかにリラクタンストルクが発生する。図4に示した第三ゲイン41にd軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLqの差分に相当するLd-Lqを設定し、第四ゲイン45に同期モータ1の極対数を設定すれば、第二トルクT2はリラクタンストルクになる。なお、第三ゲイン41、第四ゲイン45は任意の値を取ることができ、第三ゲイン41、第四ゲイン45はなくてもよい。例えば、実際にはリラクタンストルクが存在しない表面磁石型同期型モータ(SPMSM:surface permanent magnet synchronous motor)にも適用することが可能である。
なお、図3の第二トルク指令値演算部23、図4の第二トルク演算部25では、第一ゲイン31および第三ゲイン41は一定値で示したが、磁気飽和を考慮してd軸インダクタンスLdあるいはq軸インダクタンスLqを電流に応じて可変にしても良い。これらのゲインを可変にすることで応答を一定にすることができる。
図5は、電圧位相制御部13のブロック構成図である。
電圧位相制御部13は第二トルクT2が第二トルク指令値T2*と一致するようにフィードバック制御を行い、電圧位相角θvを出力する。図5に示すように、第二トルクT2および第二トルク指令値T2*の差分を差分器51で演算し、PI制御器55(あるいはI制御器)を通し、リミッタ57で、トルクがピークを超えない範囲にリミット処理をして電圧位相角θvを出力する。
図6は、矩形波発生部15のブロック構成図である。
矩形波発生部15は、加算器81、83、85、剰余演算部87、89、91、差分器93、94、95、符号判定部96、97、98を備える。
図6に示すように、加算器81は、磁極位置情報θ*に電圧位相角θvとπ/2を加算して電圧位相信号を生成する。剰余演算部87は、生成した電圧位相信号を2πで割った剰余を算出する。そして、差分器93でπを減算し、符号判定部96でその符号を判定し、判定結果に応じてパルス信号Suを出力する。例えば、符号判定部96による判定結果が正であれば+1を、負であれば-1を出力する。
加算器83は、加算器81により生成された電圧位相信号に4π/3を加算する。剰余演算部89は、加算された電圧位相信号を2πで割った剰余を算出する。そして、差分器94でπを減算し、符号判定部97でその符号を判定し、判定結果に応じてパルス信号Svを出力する。
加算器85は、加算器81により生成された電圧位相信号に2π/3を加算する。剰余演算部91は、加算された電圧位相信号を2πで割った剰余を算出する。そして、差分器95でπを減算し、符号判定部98でその符号を判定し、判定結果に応じてパルス信号Swを出力する。
このようにして、矩形波発生部15は、電圧位相角θvに応じて、+1または-1の信号よりなるUVW相用のパルス信号Su、Sv、Swを発生する。電力変換部2は3相上下アームを構成する半導体スイッチング素子を備えてなるが、上下アームの直列に接続された半導体スイッチング素子が同時にオンして短絡状態にならないように、デッドタイムを設けてパルス信号Su、Sv、Swの出力を制御する。
図7は、電圧位相角θvとトルクの関係を示すグラフである。横軸は電圧位相角θvを、縦軸はトルクである。
図7の実線で示す曲線61は電圧位相角θvと同期モータ1から出力されるトルクの関係を示す。また、破線で示す曲線63は電圧位相角θvと第二トルクT2の関係を示す。
図7に示すように同期モータ1のトルクTはA点で最大になる。一方、第二トルクT2は、同期モータ1のトルクTが最大になるA点を含む領域Nにおいて漸次増加していることが分かる。したがって、漸次増加している第二トルクT2を第二トルク指令値T2*で指令すれば、同期モータ1のトルクTのA点に対応するB点において滑らかにかつ正確にトルクTを制御することが可能である。すなわち、同期モータ1の出力可能な最大トルクまでトルクTを制限なく生かすことができる。
図8は、比較例における電圧位相角θvとトルクの関係を示すグラフである。横軸は電圧位相角θvを、縦軸はトルクである。この比較例は、本実施形態を適用しない場合を示すもので、本実施形態との比較のためのグラフである。
図8の曲線61は電圧位相角θvとトルクの関係を表している。一般に、モータは制御が破綻しないようにモータの最大トルクに制限を掛けて制御している。例えば、パラメータ誤差等の影響でトルク指令値がずれて、トルク指令値がモータの最大トルクに相当するA点よりも大きくなった場合に、A点より電圧位相角θvが大きくなり、その場合はモータのトルクが減少していくので制御が破綻してしまう。そのため、A点に対してマージンMを持たせて、トルク指令値がマージンMを超えないようにトルク指令値(あるいは電圧位相角θv)に制限を設けている。
図8の曲線161は電圧位相角θvとq軸電流の関係を表している。曲線161のC点は曲線61のA点と同じか電圧位相角θvが小さいところに位置する。C点よりも大きなq軸電流指令値を設定した場合、同様に制御が破綻しまうため、C点に対してマージンMを持たせてq軸電流指令値(あるいは電圧位相角θv)に制限を設けている。この場合も、モータが本来出力可能なトルクを十分に発揮できない。
一方、本実施形態では、図7等を参照して述べたように、同期モータ1のトルクTのピークであるA点を含む領域Nにおいて漸次増加している第二トルク指令値T2*を用いて制御するので、同期モータ1の出力可能なトルクを制限なく生かすことができる。
図9は、磁束一定閉曲線71とトルク一定曲線73、75とを示すグラフである。グラフの横軸は、d軸電流Id、縦軸は、q軸電流Iqである。図9を参照して、リラクタンストルクを第二トルクとした場合に、リラクタンストルクのピークが同期モータ1のトルクTよりも電圧位相角θvが大きいところにある理由を説明する。
磁束一定閉曲線71は、電圧位相制御において、同期モータ1の鎖交磁束が一定になる曲線を示している。抵抗と過渡項を無視すれば、電圧位相制御時にトルクは磁束一定閉曲線71上を動くことになる。換言すれば、磁束一定閉曲線71は電圧値が一定の曲線、すなわち電圧一定閉曲線71と言い換えることもできる。そして、電圧一定閉曲線71上において、トルクはd軸電流Idおよびq軸電流Iqで示される電流指令値の電圧位相角θvにより制御される。
リラクタンストルクのトルク一定曲線73は、リラクタンストルクがピークになる時のリラクタンストルクが一定の曲線を表している。マグネットトルクのトルク一定線75はマグネットトルクがピークになる時のマグネットトルクが一定の線を表している。
図9に示すように、リラクタンストルクのトルク一定曲線73が磁束一定閉曲線71と接する点αはマグネットトルクのトルク一定線75が磁束一定閉曲線71と接する点βよりも電圧位相角θvが進んだ方向にある。ここで、第二トルクはd軸電流指令値Id*とq軸電流指令値Iq*に比例するため、磁気飽和を無視すれば(後述の図12に示す変形例3では磁気飽和を考慮)、第二トルクはリラクタンストルクに比例する成分となる。一方、トルクはリラクタンストルクとマグネットトルクを加算したものに相当する。即ち、トルクのピークになる電圧位相角θvはマグネットトルクのピークとリラクタンストルクのピークの間に存在することになる。したがって、図7を参照して説明したように、トルクがピークとなるA点において、第二トルクは必ず漸次増加している。
また、本実施形態では、電流指令生成部21はトルク指令値T*、速度ω1*、直流電圧Vdcに基づいて、トルクが電圧一定閉曲線71上に存在するようにd軸電流指令値Id*、q軸電流指令値Iq*を生成する。したがって、d軸電流、あるいは、q軸電流、あるいは、それらを用いて演算したトルク(マグネットトルク、リラクタンストルクを含む)のいずれかが電圧一定閉曲線71上の点(トルク)と一致していれば、そのトルクをd軸電流指令値Id*、q軸電流指令値Iq*で制御できることになる。そのため、トルク指令値T*をそのまま制御せずに、例えば、第二トルクを制御しても結果的にトルクが制御できることになる。
本実施形態では、図7に示すA点において、リラクタンストルクに比例するトルクが漸次増加するので、仮にパラメータ誤差等で電流指令値がずれて、リラクタンストルク指令値(第二トルク指令値T2*)がA点におけるリラクタンストルク指令値(第二トルク指令値T2*)よりも大きくなったとしても、破綻することなく制御することができる。そのため、トルク指令値に対してマージンを持ってリミットを設定する必要がなく、電圧位相制御における最大トルクを向上することができる。なお、本実施形態では、第二トルク指令値T2*としてリラクタンストルクに比例するトルクを用いた例で説明したが、リラクタンストルクに限らず、同期モータ1のトルクTのピークを含む領域Nにおいて漸次増加している値を第二トルク指令値T2*として用いてもよい。
また、矩形波発生部15は、1パルス制御で矩形波パルスを出力する例を示したが、例えば、3パルス制御のように電圧が出力制限に近づいており、電圧位相制御でトルクを制御する場合にも同様の効果が得られる。
図10は、変形例1に係る第二トルク演算部25Bのブロック構成図である。
第二トルク演算部25Bは、図5に示すように、d軸電流検出値Idcに第五ゲイン401を乗算して乗算器403の一方へ入力する。図4におけるq軸電流検出値Iqcに替えて、q軸電流指令値Iq*にローパスフィルタ(LPF)407を入れて乗算器403の他方へ入力する。乗算器403で両者を乗算した結果に第六ゲイン405を乗算した結果を第二トルクT2として出力する。
q軸電流検出値Iqcは、トルク指令値T*から電流制御に係る応答分の遅れが存在するが、変形例1では、q軸電流検出値Iqcの代わりにq軸電流指令値Iq*にローパスフィルタ(LPF)407を入れた構成にすることにより、応答分の遅れを回避することができるとともに、制御を安定することができる。
図11は、変形例2に係る第二トルク指令値演算部23Bのブロック構成図である。
図10に示した変形例1に係る第二トルク演算部25Bを用いる場合は、第二トルク指令値演算部23は、図3に示す構成でもよく、以下の変形例2で示す第二トルク指令値演算部23Bであってもよい。
第二トルク指令値演算部23Bは、図11に示すように、d軸電流指令値Id*に第七ゲイン411を乗算して乗算器413の一方へ入力する。そして、q軸電流指令値Iq*にローパスフィルタ(LPF)417を入れて乗算器413の他方へ入力する。乗算器413で両者を乗算した結果に第八ゲイン415を乗算した結果を第二トルク指令値T2*として出力する。
図12は、変形例3に係る第二トルク指令値演算部23Cのブロック構成図である。
第二トルク指令値演算部23Cは、図12に示すように、q軸磁束指令演算部131で、d軸電流指令値Id*とq軸電流指令値Iq*を基に、例えば、ルックアップテーブルを用いて、あるいは数式で近似して、q軸磁束指令値φq*を演算する。そして、乗算器133で、d軸電流指令値Id*とq軸磁束指令値φq*とを乗算して、乗算した結果を第二トルク指令値T2*として出力する。q軸磁束は磁気飽和を無視すればq軸電流に比例するため、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
図13は、変形例4に係る第二トルク演算部25Cのブロック構成図である。図12に示した変形例3に係る第二トルク指令値演算部23Cを用いる場合は、第二トルク演算部25は、変形例4の第二トルク演算部25Cを用いるのが好ましい。
第二トルク演算部25Cは、図13に示すように、q軸磁束演算部141で、d軸電流検出値Idcとq軸電流検出値Iqcを基に、例えば、ルックアップテーブルを用いて、あるいは数式で近似して、q軸磁束φqを演算する。そして、乗算器143で、d軸電流検出値Idcとq軸磁束φqとを乗算して、乗算した結果を第二トルクT2として出力する。このように、第二トルク指令値演算部23Cと第二トルク演算部25Cは同じ演算式を用いると良い。
図14は、変形例5に係る第二トルク演算部25Dのブロック構成図である。
第二トルク演算部25Dは、図14に示すように、q軸磁束指令演算部421で、d軸電流指令値Id*とq軸電流指令値Iq*とを基に、例えば、ルックアップテーブルを用いて、あるいは数式で近似して、q軸磁束指令値φq*を演算し、ローパスフィルタ(LPF)423を通して乗算器425へ出力する。そして、乗算器425で、d軸電流検出値Idcとq軸磁束指令値φq*とを乗算して、乗算した結果を第二トルクT2として出力する。
図13に示した変形例4では、q軸磁束φqを用いた。しかし、q軸磁束φqは、トルク指令値T*から電流制御に係る応答分の遅れが存在する。変形例5では、q軸磁束φqの代わりにq軸磁束指令値φq*にローパスフィルタ(LPF)423を入れた構成にすることにより、応答分の遅れを回避することができるとともに、制御を安定することができる。
図15は、変形例6に係る第二トルク指令値演算部23Dのブロック構成図である。
図14に示した変形例5に係る第二トルク演算部25Dを用いる場合は、第二トルク指令値演算部23は、図12に示した変形例3に係る第二トルク指令値演算部23Cを用いてもよく、図15に示す変形例6に係る第二トルク指令値演算部23Dを用いてもよい。
第二トルク指令値演算部23Dは、図15に示すように、q軸磁束指令演算部431で、d軸電流指令値Id*とq軸電流指令値Iq*を基に、例えば、ルックアップテーブルを用いて、あるいは数式で近似して、q軸磁束指令値φq*を演算し、ローパスフィルタ(LPF)433を通して乗算器435へ出力する。そして、乗算器435で、d軸電流指令値Id*とq軸磁束指令値φq*とを乗算して、乗算した結果を第二トルク指令値T2*として出力する。
図16は、変形例7に係る第二トルク指令値演算部23Eのブロック構成図である。
第二トルク指令値演算部23Eは、図16に示すように、d軸電流指令値Id*に第一ゲイン231を乗算し、この乗算結果と磁石磁束係数φm*とを加算器232で加算して乗算器233の一方へ入力する。乗算器233では、この一方へ入力されている値と他方に入力されているq軸電流指令値Iq*とを乗算し、この乗算結果にさらに第二ゲイン235を乗算する。これにより、第二トルク指令値T2*を求める。
磁石磁束係数φm*を実際の値よりも小さく設定することにより、トルクにおけるマグネットトルクの割合が減少し、第二トルク指令値T2*はリラクタンストルクが支配的になる。すなわち、第二トルク指令値T2*はリラクタンストルクに比例する。この場合でも同期モータ1のトルクTにおける電圧位相角よりも第二トルク指令値T2のピークにおける電圧位相角が大きくなるので、実施形態1と同様の効果が得られる。
図17は、変形例8に係る第二トルク演算部25Eのブロック構成図である。図16に示した変形例7に係る第二トルク指令値演算部23Eを用いる場合は、第二トルク演算部25は、図17に示す変形例8に係る第二トルク演算部25Eを用いる。
第二トルク演算部25Eは、図17に示すように、d軸電流検出値Idcに第三ゲイン241を乗算し、この乗算結果と磁石磁束係数φm*とを加算器242で加算して乗算器243の一方へ入力する。乗算器243では、この一方へ入力されている値と他方に入力されているq軸電流検出値Iqcとを乗算し、この乗算結果にさらに第二ゲイン245を乗算する。これにより、第二トルクT2を求める。
磁石磁束係数φm*を実際の値よりも小さく設定することにより、トルクにおけるマグネットトルクの割合が減少し、第二トルクT2はリラクタンストルクが支配的になる。
[第2の実施形態]
図18は、第2の実施形態における同期モータ制御装置100Bのブロック構成図である。第2の実施形態ではトルク演算部12を追加している点が第1の実施形態と相違する。図1に示す第1の実施形態における同期モータ制御装置100と同一の箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
トルク演算部12は、d軸電流検出値Idcおよびq軸電流検出値Iqcに基づいて、同期モータ1のトルクTを演算する。トルク演算部12の詳細は図19を用いて後述する。
電圧位相制御部13Bは、同期モータ1のトルクTもしくはトルク指令値T*がある値まではトルク指令値T*を使い、同期モータ1のトルクTもしくはトルク指令値T*がある値以上では第二トルク指令値T2*を用いて、同期モータ1のトルクTと一致するように電圧位相角θvを制御して出力する。電圧位相制御部13Bの詳細は図20を用いて後述する。
図19は、トルク演算部12のブロック構成図である。
トルク演算部12は、図19に示すように、d軸電流検出値Idcに第九ゲイン261を乗算し、この乗算結果と磁石磁束係数φm*とを加算器262で加算して乗算器263の一方へ入力する。乗算器263では、この一方へ入力されている値と他方に入力されているq軸電流検出値Iqcとを乗算し、この乗算結果にさらに第十ゲイン265を乗算する。これにより、トルクTを求める。なお、同期モータ1のトルクTは、トルクセンサなどその他の手段で求めたものを用いてもよい。
図20は、電圧位相制御部13Bのブロック構成図である。
電圧位相制御部13Bは、図20に示すように、トルクTおよびトルク指令値T*の差分を差分器151で演算し、第十一ゲイン153を乗算して加重平均器155の一方へ入力する。また、第二トルクT2および第二トルク指令値T2*の差分を差分器152で演算し、第十二ゲイン154を乗算して加重平均器155の他方へ入力する。加重平均器155には、基準としてトルク指令値T*が入力されており、加重平均器155は、トルク指令値T*がある所定値未満では、トルクTおよびトルク指令値T*の差分を出力する。
加重平均器155は、トルク指令値T*がある所定値以上では、第二トルクT2および第二トルク指令値T2*の差分を出力する。加重平均器155の出力は、PI制御器156(あるいはI制御器)へ入力され、PI制御器156(あるいはI制御器)を通し、リミッタ157で、トルクがピークを超えない範囲にリミット処理をして電圧位相角θvを出力する。なお、基準としてトルク指令値T*に替えてトルクTを加重平均器155へ入力し、トルクTがある所定値未満では、トルクTおよびトルク指令値T*の差分を出力し、トルクTが所定値以上では、第二トルクT2および第二トルク指令値T2*の差分を出力するようにしてもよい。
本実施形態では、同期モータ1のトルクTもしくはトルク指令値T*が所定値以上の場合に、第二トルク指令値T2*が同期モータ1のトルクTと一致するように電圧位相角θvを制御する。したがって、トルクTもしくはトルク指令値T*が小さい時には、リラクタンストルク比例分よりもトルクTで制御した方が電圧位相角θvに対するトルクTの変化量が大きいので、同期モータ1を安定して動作させることができる。一方、トルクTもしくはトルク指令値T*が大きくなってくると、リラクタンストルク比例分の方が変化量が大きくなるので、同期モータ1を安定して動作させることができる。このように、トルクTもしくはトルク指令値T*の大きさに応じて、制御を切り替えることで同期モータ1をより安定して動作させることができる。
本実施形態ではトルクTもしくはトルク指令値T*に応じて加重平均を行っているが、トルクTもしくはトルク指令値T*との関係が定まっていれば他の変数を用いてもよい。例えば、トルクTもしくはトルク指令値T*によって変化する変数として、d軸電流、q軸電流、d軸磁束、q軸磁束、電圧位相角等を用いても良い。
図21は、第2の実施形態の変形例9における同期モータ制御装置100Cのブロック構成図である。変形例9では、電流指令生成部21、トルク/指令値演算部12Bを設けている点が第2の実施形態と相違する。図1に示す第1の実施形態における同期モータ制御装置100と同一の箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
電流指令生成部21は、トルク指令値T*、直流電圧Vdc、速度情報ω1*に基づいて、例えばルックアップテーブル等を用いて、d軸電流指令値Id*、q軸電流指令値Iq*を生成する。生成したd軸電流指令値Id*、q軸電流指令値Iq*は、トルク/指令値演算部12Bおよびトルク指令値変換部11Bへ入力される。
トルク/指令値演算部12Bは、d軸電流指令値Id*、q軸電流指令値Iq*を基にトルク指令値T**を、d軸電流検出値Idc、q軸電流検出値Iqcを基に、トルクTを演算し、電圧位相制御部13Bへ出力する。
トルク指令値変換部11Bは、d軸電流指令値Id*、q軸電流指令値Iq*を基に第二トルク指令値T2*を、d軸電流検出値Idc、q軸電流検出値Iqcを基に、第二トルクT2を演算し、電圧位相制御部13Bへ出力する。
電圧位相制御部13Bは、図20を参照した説明したトルク指令値T*に替えてトルク指令値T**を用いる。
この変形例9では、電流指令生成部21で、一旦d軸電流指令値Id*、q軸電流指令値Iq*を演算して、トルク/指令値演算部12Bでd軸電流指令値Id*、q軸電流指令値Iq*より再度トルク指令値T**とトルクTを演算して制御するので、電流指令値の誤差が打ち消される効果がある。
[第3の実施形態]
図22は、第3の実施形態における同期モータ制御装置100Dのブロック構成図である。第3の実施形態では、第二トルク指令値T2*としてd軸電流指令値Id*を用いる。図1に示す第1の実施形態における同期モータ制御装置100と同一の箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
トルク指令値変換部11Cは、図2に示した電流指令生成部21と同様の構成である。トルク指令値変換部11Cは、トルク指令値T*、直流電圧Vdc、速度情報ω1*を入力として、ルックアップテーブル等を用いて、第二トルク指令値としてのd軸電流指令値Id*を、さらにq軸電流指令値Iq*を生成する。
電圧位相制御部13Cは、q軸電流指令値Iq*もしくはq軸電流検出値Iqcがある値まではq軸電流指令値Iq*を使い、q軸電流指令値Iq*もしくはq軸電流検出値Iqcが所定値以上ではd軸電流指令値Id*を用いて、同期モータ1の電圧位相角θvを制御して出力する。所定値とは、例えば、同期モータ1のトルクTが最大になるA点を含む領域N(図24参照)の境界値である。電圧位相制御部13Cの詳細は図23を用いて後述する。
図23は、電圧位相制御部13Cのブロック構成図である。
電圧位相制御部13Cは、図23に示すように、q軸電流指令値Iq*とq軸電流検出値Iqcの差分を差分器251で演算し、第十三ゲイン253を乗算して加重平均器255の一方へ入力する。また、d軸電流指令値Id*とd軸電流検出値Idcの差分を差分器252で演算し、第十四ゲイン254を乗算して加重平均器255の他方へ入力する。加重平均器255には、基準としてq軸電流指令値Iq*が入力されており、加重平均器255は、q軸電流指令値Iq*が所定値よりも小さい場合は、q軸電流指令値Iq*とq軸電流検出値Iqcの差分を出力する。
加重平均器255は、q軸電流指令値Iq*が所定値以上では、d軸電流指令値Id*とd軸電流検出値Idcの差分を出力する。加重平均器255の出力は、PI制御器256(あるいはI制御器)へ入力され、PI制御器256(あるいはI制御器)を通し、リミッタ257で、トルクがピークを超えない範囲にリミット処理をして電圧位相角θvを出力する。なお、基準としてq軸電流指令値Iq*に替えてq軸電流検出値Iqcを加重平均器155へ入力し、q軸電流検出値Iqcがある所定値よりも小さい場合は、q軸電流指令値Iq*とq軸電流検出値Iqcの差分を出力し、q軸電流検出値Iqcが所定値以上では、d軸電流指令値Id*とd軸電流検出値Idcの差分を出力するようにしてもよい。
本実施形態では、同期モータ1のトルクTのピークを含む領域Nにおいて漸次増加しているd軸電流指令値Id*を第二トルク指令値として用い、q軸電流検出値Iqcもしくはq軸電流指令値Iq*の大きさに応じて、制御を切り替えることで同期モータ1をより安定して動作させることができる。なお、本実施形態ではq軸電流検出値Iqcもしくはq軸電流指令値Iq*に応じて加重平均を行っているが、q軸電流検出値Iqcもしくはq軸電流指令値Iq*との関係が定まっていれば他の変数を用いてもよい。例えば、q軸電流検出値Iqcもしくはq軸電流指令値Iq*によって変化する変数として、トルクT、トルク指令値T*、d軸磁束、q軸磁束、電圧位相角等を用いても良い。すなわち、電圧位相制御部13Cは、同期モータ1のトルクTが大きくなって、同期モータ1のトルクTのピークを含む所定の領域Nの範囲内になった場合は、d軸電流検出値Idcがd軸電流指令値Id*に一致するように電圧位相角θvを制御して出力する。一方、同期モータ1のトルクTが領域Nの範囲外である場合は、q軸電流検出値Iqcがq軸電流指令値Iq*に一致するように電圧位相角θvを制御して出力する。
図24は、電圧位相角θvとトルク/電流の関係を示すグラフである。横軸は電圧位相角θvを、縦軸はトルク/電流である。
図24の曲線161はq軸電流と電圧位相角θvの関係を、曲線171はd軸電流と電圧位相角θvの関係を示す。図24の曲線61は、図7の実線で示す曲線61であり、電圧位相角θvと同期モータ1から出力されるトルクの関係を示す。
曲線171に示すd軸電流は、曲線61で示すトルクTのピークであるA点を含む領域Nにおいて漸次増加している。特に、電圧位相角θvが180°まで漸次増加しているので、d軸電流指令値を用いた制御が有効である。すなわち、本実施形態では第二トルク指令値としてd軸電流指令値を用いる。これにより、同期モータ1の出力可能な最大トルクまでトルクTを制限なく生かすことができる。なお、第二トルク指令値としてd軸電流指令値を用いた例で説明したが、d軸電流指令値に限らず、図24の曲線61で示すトルクTのピークであるA点を含む領域Nにおいて漸次増加している値もしくはこの値の組み合わせた値を第二トルク指令値として用いることができる。このように、本実施形態によれば、第1の実施形態で述べたと同様の効果を奏する。
なお、図10~図15に示した変形例1~変形例6において、d軸電流のウエイトが高いので、図24の曲線171に示すようにd軸電流が漸次増加していることからも明らかなように、同期モータ1の最大トルクを向上することができる。
[第4の実施形態]
図25は、電動車両1000の構成図である。
図25に示す同期モータ制御装置300は、第1~第3の実施形態で説明した同期モータ制御装置100、100B、100Cである。同期モータ制御装置300内の電力変換部2は、直流電圧源9(例えばバッテリ)からの直流電力を交流電力に変換して同期モータ1を駆動する。
同期モータ1はトランスミッション301に接続される。トランスミッション301はディファレンシャルギア303を介してドライブシャフト305に接続され車輪307に動力を供給する。なお、トランスミッション301が無く直接ディファレンシャルギア303に接続される構成や、前輪、後輪それぞれに同期モータ1および同期モータ制御装置300が適用される構成でもよい。
自動車用では高速域におけるトルクは、例えば高速道路における加速性能に関係する。特に、登坂路では高速域のトルクが不足してくると、速度を上げることができないという状況に陥るため、高速域のトルク向上に対して強い要求がある。また、電費向上の観点から同期モータ1を小型軽量化する要求があり、同期モータ1が出力できる最大トルクを実現できる同期モータ制御装置300が重要である。同様に、鉄道においても自動車と同じ移動体であり、高速走行中の加速性能は駅間の走行時間に影響することから同様に重要である。同期モータ制御装置300として第1~第3の実施形態で説明した同期モータ制御装置100、100B、100Cを適用することで、自動車、鉄道では高速域の加速性能を向上することができる。
第1の実施形態から第3の実施の形態では、同期モータ制御装置100、100B、100C、100Dについてブロック構成図を参照して説明した。これらのブロック構成図のうち、電力変換部2を除くブロックの一部または全部は、プロセッサ(例えばCPU、GPU)とプロセッサによって実行されるプログラムとにより実現してもよい。この場合、プログラムは、プロセッサによって実行されることで、定められた処理を、適宜に記憶資源(例えばメモリ)および/またはインターフェースデバイス(例えば通信ポート)等を用いながら行うため、処理の主体がプロセッサとされてもよい。同様に、プログラムを実行して行う処理の主体が、プロセッサを有するコントローラ、装置、システム、計算機、ノードであってもよい。プログラムを実行して行う処理の主体は、演算部であれば良く、特定の処理を行う専用回路(例えばFPGAやASIC)を含んでいてもよい。
プログラムは、プログラムソースから計算機のような装置にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバまたは計算機が読み取り可能な記憶メディアであってもよい。プログラムソースがプログラム配布サーバの場合、プログラム配布サーバはプロセッサと配布対象のプログラムを記憶する記憶資源を含み、プログラム配布サーバのプロセッサが配布対象のプログラムを他の計算機に配布してもよい。また、以下の説明において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)同期モータ制御装置100、100B、100Cは、同期モータ1へのトルク指令値を、同期モータ1のトルクTのピークA点を含む領域Nにおいて漸次増加している第二トルク指令値に変換するトルク指令値変換部11、11B、11Cと、同期モータ1のトルクが第二トルク指令値と一致するように電圧位相角を制御する電圧位相制御部13、13B、13Cと、電圧位相角と同期モータ1の回転角に基づいて、直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を同期モータ1へ出力する電力変換部2と、を備えた。これにより、電圧位相制御において、同期モータの出力可能なトルクを制限なく生かすことができる。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限り、本発明の技術思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。また、上述の各実施形態と複数の変形例を組み合わせた構成としてもよい。
1・・・同期モータ、2・・・電力変換部、3・・・電流検出器、4・・・磁極位置検出器、5・・・周波数演算部、6・・・電圧検出器、7・・・座標変換部、9・・・直流電圧源、11、11B、11C・・・トルク指令値変換部、12・・・トルク演算部、13、13B、13C・・・電圧位相制御部、15・・・矩形波発生部、21・・・電流指令生成部、23、23B、23C、23D、23E・・・第二トルク指令値演算部、25、25B、25C、25D、25E・・・第二トルク演算部、31、35、41、45、53、153、154、231、235、241、245、253、254、261、265、401、405、411、415・・・ゲイン、33、43、133、143、233、243、263、403、413、425、435・・・乗算器、55、156、256・・・PI制御器、57、157、257・・・リミッタ、61・・・トルク/電圧位相角の対応曲線、63・・・第二トルク/電圧位相角の対応曲線、71・・・磁束一定閉曲線(電圧一定閉曲線)、73・・・リラクタンストルク一定曲線、75・・・マグネットトルク一定線、81、83、85、232、242、262・・・加算器、87、89、91・・・剰余演算部、94、95、151、152、251、252・・・差分器、96、97、98・・・符号判定部、100、100B、100C、100D、300・・・同期モータ制御装置、131、421、431・・・q軸磁束指令演算部、141・・・q軸磁束演算部、155、255・・・加重平均器、161・・・q軸電流/電圧位相角の対応曲線、171・・・d軸電流/電圧位相角の対応曲線、301・・・トランスミッション、303・・・ディファレンシャルギア、305・・・ドライブシャフト、307・・・車輪、407、417、423、433・・・ローパスフィルタ(LPF)。

Claims (15)

  1. 同期モータへのトルク指令値を、前記同期モータのトルクのピークを含む領域において漸次増加している第二トルク指令値に変換するトルク指令値変換部と、
    前記同期モータのトルクが前記第二トルク指令値と一致するように電圧位相角を制御する電圧位相制御部と、
    前記電圧位相角と前記同期モータの回転角に基づいて、直流電力を交流電力に変換し、前記変換した前記交流電力を前記同期モータへ出力する電力変換部と、
    を備えた同期モータ制御装置。
  2. 請求項1記載の同期モータ制御装置において、
    前記トルク指令値変換部は、前記同期モータへの前記トルク指令値、前記直流電力の直流電圧、前記同期モータの速度情報に基づいて、d軸電流指令値およびq軸電流指令値を生成する電流指令生成部を備え、
    前記トルク指令値変換部は、前記電流指令生成部で生成されたd軸電流指令値およびq軸電流指令値を基に前記第二トルク指令値を演算する同期モータ制御装置。
  3. 請求項2に記載の同期モータ制御装置において、
    前記トルク指令値変換部は、前記d軸電流指令値および前記q軸電流指令値を乗算して前記第二トルク指令値を求める同期モータ制御装置。
  4. 請求項3に記載の同期モータ制御装置において、
    前記トルク指令値変換部は、前記d軸電流指令値に第一ゲインを乗算し、前記d軸電流指令値に前記第一ゲインを乗算した値と前記q軸電流指令値とを乗算し、さらに第二ゲインを乗算して前記第二トルク指令値を求める同期モータ制御装置。
  5. 請求項4に記載の同期モータ制御装置において、
    前記第一ゲインは前記同期モータのd軸インダクタンスとq軸インダクタンスの差分であり、前記第二ゲインは前記同期モータの極対数である同期モータ制御装置。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の同期モータ制御装置において、
    前記同期モータへ出力された前記交流電力の電流値を検出する電流検出器と、
    前記検出された電流値に基づくd軸電流検出値およびq軸電流検出値により第二トルクを演算する第二トルク演算部とを備え、
    前記電圧位相制御部は、前記第二トルク指令値が前記第二トルクと一致するように電圧位相角を制御する同期モータ制御装置。
  7. 請求項6に記載の同期モータ制御装置において、
    前記第二トルク演算部は、前記d軸電流検出値に第三ゲインを乗算し、前記d軸電流検出値に前記第三ゲインを乗算した値と前記q軸電流検出値とを乗算し、さらに第四ゲインを乗算して前記第二トルクを求める同期モータ制御装置。
  8. 請求項7に記載の同期モータ制御装置において、
    前記第三ゲインは前記同期モータのd軸インダクタンスとq軸インダクタンスの差分であり、前記第四ゲインは前記同期モータの極対数である同期モータ制御装置。
  9. 請求項3に記載の同期モータ制御装置において、
    前記トルク指令値変換部は、前記d軸電流指令値および前記q軸電流指令値に基づいてq軸磁束指令値を演算し、前記q軸磁束指令値をローパスフィルタに通した値と前記d軸電流指令値とを乗算して前記第二トルク指令値を求める同期モータ制御装置。
  10. 請求項2から請求項5までのいずれか一項に記載の同期モータ制御装置において、
    前記同期モータへ出力された前記交流電力の電流値を検出する電流検出器と、
    前記q軸電流指令値をローパスフィルタに通した値と前記検出された電流値に基づくd軸電流検出値とを乗算して第二トルクを演算する第二トルク演算部とを備え、
    前記電圧位相制御部は、前記第二トルク指令値が前記第二トルクと一致するように電圧位相角を制御する同期モータ制御装置。
  11. 請求項2から請求項5までのいずれか一項に記載の同期モータ制御装置において、
    前記同期モータへ出力された前記交流電力の電流値を検出する電流検出器と、
    前記d軸電流指令値および前記q軸電流指令値に基づいてq軸磁束指令値を演算し、前記q軸磁束指令値をローパスフィルタに通した値と前記検出された電流値に基づくd軸電流検出値とを乗算して第二トルクを演算する第二トルク演算部とを備え、
    前記電圧位相制御部は、前記第二トルクが前記第二トルク指令値と一致するように電圧位相角を制御する同期モータ制御装置。
  12. 請求項1に記載の同期モータ制御装置において、
    前記電圧位相制御部は、前記同期モータのトルクもしくは前記トルク指令値が所定値未満の場合は、前記同期モータのトルクが前記トルク指令値と一致するように電圧位相角を制御し、前記同期モータのトルクもしくは前記トルク指令値が前記所定値以上の場合に、前記同期モータのトルクが前記第二トルク指令値と一致するように電圧位相角を制御する同期モータ制御装置。
  13. 請求項1に記載の同期モータ制御装置において、
    前記同期モータへ出力された前記交流電力の電流値を検出する電流検出器を備え、
    前記トルク指令値変換部は、同期モータへのトルク指令値、直流電圧、前記同期モータの速度情報に基づいて、前記第二トルク指令値としてのd軸電流指令値を、さらにq軸電流指令値を生成し、
    前記電圧位相制御部は、前記同期モータのトルクが所定領域の範囲外である場合は、前記検出された電流値に基づくq軸電流検出値が前記q軸電流指令値と一致するように電圧位相角を制御し、前記同期モータのトルクが前記所定領域の範囲内となった場合に、前記検出された電流値に基づくd軸電流検出値が前記d軸電流指令値と一致するように電圧位相角を制御する同期モータ制御装置。
  14. 請求項13に記載の同期モータ制御装置において、
    前記電圧位相制御部は、前記q軸電流指令値もしくは前記q軸電流検出値が所定値より小さい場合は、前記q軸電流検出値が前記q軸電流指令値と一致するように前記電圧位相角を制御し、前記q軸電流指令値もしくは前記q軸電流検出値が前記所定値以上である場合に、前記d軸電流検出値が前記d軸電流指令値と一致するように前記電圧位相角を制御する同期モータ制御装置。
  15. 請求項1から請求項5、請求項12から請求項14のいずれか一項に記載の同期モータ制御装置と、
    前記同期モータ制御装置により制御される前記同期モータとを備え、
    前記同期モータにより動力が供給される電動車両。
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