JP2023007618A - 冷蔵庫 - Google Patents
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Abstract
【課題】冷蔵温度帯の貯蔵室または外気の温度や、冷蔵温度帯の貯蔵室への送風の有無によらず、ファンによる強制対流を用いた蒸発器の除霜を効率的に行う冷蔵庫を提供する。【解決手段】貯蔵室と、前記貯蔵室を冷却する蒸発器と、前記蒸発器を収納する蒸発器室と、ファンと、該ファンから前記貯蔵室へと送風する送風路と、前記貯蔵室から前記蒸発器室へと空気が流れる戻り風路と、前記貯蔵室への送風を制御可能な送風制御手段と、前記蒸発器室のうち前記蒸発器の空気流れの上流側である蒸発器室上流部に設けられて前記蒸発器を加熱する除霜ヒータと、を備えた冷蔵庫において、前記貯蔵室を介すことなく前記除霜ヒータ、前記蒸発器、前記ファンを空気が循環できる連通部を設け、前記送風制御手段により前記貯蔵室への送風を抑制しつつ、前記ファンを駆動させながら前記除霜ヒータに通電して前記蒸発器を加熱する第1の除霜運転を行う。【選択図】図7
Description
本発明は、冷蔵庫に関する。
特許文献1には、「圧縮機停止時に、庫内送風機ON、冷蔵室ダンパ開、冷凍室ダンパ閉、除霜ヒータONの状態で除霜を行う第2の除霜手段」を備えた冷蔵庫が記載され(要約)、第2の除霜手段による効果として「送風によって冷却器に冷蔵庫からの戻り空気を強制対流させているため、空気と霜との間の熱伝達効率が良く、霜が解けやすくなる」ことが示されている(段落0112)。
また、例えば特許文献2の冷蔵庫のように、冷凍温度帯の貯蔵室(製氷室、小冷凍室、冷凍室)のみを冷却する冷凍用冷却器を備えた冷蔵庫が開示されている(段落0040、図1、図2等)。
しかしながら、特許文献1に記載の冷蔵庫では、例えば外気が低温などで冷蔵室が低温になりやすい場合は、第2の除霜手段中に冷蔵室の温度が低下し、食品が冷えすぎてしまう懸念がある。
また、特許文献2に記載の冷蔵庫では、冷凍用蒸発器(冷凍用冷却器)の除霜を行う際、冷蔵温度帯の貯蔵室に送風ができないため、除霜中に冷凍用蒸発器周辺の空気を強制対流とするためには、冷凍温度帯の貯蔵室を介して空気を循環させる必要が生じる。しかしながら、除霜中の高温の蒸発器を通過した空気を冷凍温度帯の貯蔵室に送風すると、冷凍温度帯の貯蔵室が加熱されてしまう。また、冷凍用蒸発器には冷凍温度帯の貯蔵室からの戻り空気が流れるため、冷凍用蒸発器に到達する空気の温度が低温となり除霜効率が悪くなる。従って、除霜ヒータONの状態で庫内送風機(ファン)をONとした空気の循環ができず、すなわち、強制対流による空気と霜との間の熱伝達効率の向上が行えず、霜を解けやすくすることができない。
本発明は、前記した課題に鑑みてなされたものであり、冷蔵温度帯の貯蔵室または外気の温度や、冷蔵温度帯の貯蔵室への送風の有無によらず、ファンによる強制対流を用いた蒸発器の除霜を効率的に行う冷蔵庫を提供することを目的とする。
本発明は、前記した課題に鑑みてなされたものであり、冷蔵温度帯の貯蔵室または外気の温度や、冷蔵温度帯の貯蔵室への送風の有無によらず、ファンによる強制対流を用いた蒸発器の除霜を効率的に行う冷蔵庫を提供することを目的とする。
前記した課題を解決するために、本発明は、貯蔵室と、前記貯蔵室を冷却する蒸発器と、前記蒸発器を収納する蒸発器室と、ファンと、該ファンから前記貯蔵室へと送風する送風路と、前記貯蔵室から前記蒸発器室へと空気が流れる戻り風路と、前記貯蔵室への送風を制御可能な送風制御手段と、前記蒸発器室のうち前記蒸発器の空気流れの上流側である蒸発器室上流部に設けられて前記蒸発器を加熱する除霜ヒータと、を備えた冷蔵庫において、前記貯蔵室を介すことなく前記除霜ヒータ、前記蒸発器、前記ファンを空気が循環できる連通部を設け、前記送風制御手段により前記貯蔵室への送風を抑制しつつ、前記ファンを駆動させながら前記除霜ヒータに通電して前記蒸発器を加熱する第1の除霜運転を行う。
本発明によれば、冷蔵温度帯の貯蔵室または外気の温度や、冷蔵温度帯の貯蔵室への送風の有無によらず、ファンによる強制対流を用いた蒸発器の除霜を効率的に行う冷蔵庫を提供できる。
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)を説明する。ただし、本実施形態は、以下の内容に何ら制限されず、本発明の要旨を損なわない範囲内で任意に変更して実施可能である。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る冷蔵庫を示す正面図である。なお、以下の説明では、6ドアの冷蔵庫1を例に挙げて説明するが、6ドアに限定されるものではない。
図1は、実施形態1に係る冷蔵庫を示す正面図である。なお、以下の説明では、6ドアの冷蔵庫1を例に挙げて説明するが、6ドアに限定されるものではない。
図1に示すように、冷蔵庫1の断熱箱体10は、上方から冷蔵室2、左右に併設された製氷室3と冷凍室4、第一切替室5、第二切替室6の順番で貯蔵室を有している。冷蔵庫1はそれぞれの貯蔵室の開口を開閉するドアを備えている。これらのドアは、冷蔵室2の開口を開閉する、左右に分割された回転式の冷蔵室ドア2a、2bと、製氷室3、冷凍室4、第一切替室5、第二切替室6の開口をそれぞれ開閉する引き出し式の製氷室ドア3a、冷凍室ドア4a、第一切替室ドア5a、第二切替室ドア6aである。
冷蔵室ドア2aには代表的な庫内の設定や状態を示す表示部19が設けられている。冷蔵室ドア2a、2bを冷蔵庫1に固定するために、ドアヒンジ(図示せず)が冷蔵室2上部及び下部に設けられている。
冷蔵室2は、庫内を冷蔵温度帯(0℃以上)の例えば平均的に4℃程度に設定された冷蔵貯蔵室である。製氷室3及び冷凍室4は、庫内を冷凍温度帯(0℃未満)の例えば平均的に-20℃程度に設定された冷凍貯蔵室である。
第一切替室5及び第二切替室6は、庫内を冷凍温度帯もしくは冷蔵温度帯に設定可能な切替貯蔵室で、例えば、平均的に4℃程度にする冷蔵モードと、平均的に-20℃程度にする冷凍モードと、に切り替えられる。本実施形態の冷蔵庫1では、さらに冷蔵モードと冷凍モードの間の温度となる強冷蔵モードや弱冷凍モード、冷凍モードよりも低温にする強冷凍モード、また冷蔵温度帯で野菜を貯蔵するのに適した野菜モードといった、複数の運転モードを設けており、これらの運転モードは、操作部18(図2参照)によってユーザーが選択できる。なお、冷蔵庫1が無線通信回線等によりスマートフォン等と接続される場合には、スマートフォン等を介してユーザーが切替貯蔵室の温度帯を設定できるようにしてもよい。
図2は、実施形態1に係る冷蔵庫における図1のII-II断面図である。図2に示すように、冷蔵庫1は、外箱10a(鋼板製)と内箱10b(合成樹脂製)との間に発泡断熱材(例えば発泡ウレタン)を充填して形成される断熱箱体10により、庫外と庫内は隔てられて構成されている。断熱箱体10には、発泡断熱材に加えて、発泡断熱材よりも熱伝導率の低い真空断熱材25を外箱10aと内箱10bとの間に実装することで、食品収納容積を低下させることなく断熱性能を高めている。ここで、真空断熱材は、グラスウールやウレタン等の芯材を、外包材で包んで構成される。外包材はガスバリア性を確保するために金属層(例えばアルミニウム)を含む。また、設定によって第一切替室5と第二切替室6は比較的大きな冷凍貯蔵室になることから、第一切替室5のドア5aと第二切替室6のドア6a、及び断熱箱体10の下部にも断熱性能を高めるため真空断熱材25を内挿している。
冷蔵室2と、製氷室3及び冷凍室4とは、断熱仕切壁28によって隔てられている。製氷室3及び冷凍室4と、第一切替室5とは、断熱仕切壁30によって隔てられている。第一切替室5と、第二切替室6とは、断熱仕切壁29によって隔てられている。断熱仕切壁29、30の内部には、真空断熱材25が内挿され、比較的薄い断熱壁で高い断熱性能を確保している。また、製氷室3、冷凍室4間の前面側には、ドア3a、4aの隙間から冷蔵庫1内の空気が庫外へ漏れないよう、また庫外の空気が各貯蔵室に侵入しないよう、断熱仕切壁31が設けられている。なお、本実施形態では、第一切替室5及び第二切替室6が過度に低温にならないよう、仕切り部材29の上部に第一切替室5を加熱する電気ヒータ46aを設け、また仕切り部材29の下部に第二切替室6を加熱する電気ヒータ46bを設けている。
また、製氷室3、冷凍室4、第一切替室5、第二切替室6には、それぞれドア3a、4a、5a、6aと一体に引き出される製氷室容器3b(図4参照)、冷凍室容器4b、第一切替室容器5b、第二切替室容器6bが設けられている。
冷蔵庫1は、製氷室3、冷凍室4、第一切替室5及び第二切替室6を冷却する冷凍貯蔵室対応蒸発器である第一蒸発器14aを備えている。この第一蒸発器14aは、第一切替室5と第二切替室6の略背部に備えた第一蒸発器室8a内に収納されている。なお、第一蒸発器室8aのうち、第一蒸発器14aの空気流れの上流側を第一蒸発器室上流部8a1、第一蒸発器14aの空気流れの下流側を第一蒸発器室下流部8a2と呼ぶことがある。第一蒸発器14aの上方には、第一蒸発器14aで冷却された空気を製氷室3、冷凍室4、第一切替室5及び第二切替室6に送風する第一ファン9aが設けられている。第一切替室5及び第二切替室6と第一蒸発器室8aは、貯蔵室(第一切替室5及び第二切替室6)側の壁面を構成する仕切り部材20aと、第一蒸発器室8a側を構成する仕切り部材20bによって仕切られている。この仕切り部材20aと仕切り部材20bは、第一蒸発器室8aと各貯蔵室を仕切るとともに、内箱10b及び第一蒸発器用トイ23aとの組み合わせにより、第一蒸発器14aの風路空間を構成していることから、仕切り部材20aと仕切り部材20bを合わせて風路構成部材20と呼ぶ。風路構成部材20が構成する具体的な風路としては、第一ファン9aを通過した直後の空気が流れる空間であって各貯蔵室用の各ダンパ(後述)で区切られる上流共通送風路12と、各貯蔵室(製氷室3、冷凍室4、第一切替室5、及び第二切替室6)の戻り口から第一蒸発器室上流部8a1まで空気が流れる戻り風路12dと、が含まれる。
仕切り部材20aは、例えば樹脂部材の一種であるポリプロピレン製で、厚さが1.5mmである。仕切り部材20b(発泡断熱材)は、例えば発泡成形したポリスチレンフォーム(発泡スチロール)製である。また、仕切り部材20bの厚さは、発泡時の成形性や冷蔵庫組込時の組立性、耐衝撃性を考慮しつつ、第一蒸発器室8aによる第一切替室5及び第二切替室6への熱影響を抑制するため、30mmとしている。なお、第一ファン9aの前方が、冷蔵温度帯にもなる貯蔵室(切替貯蔵室)のため、第一蒸発器室8a等との断熱が必要であり、風路が複雑になっていることから、第一ファン9aは静圧に強い遠心ファンであるターボファンを用いている。
第一蒸発器室8aの下部には、第一蒸発器14aを加熱する除霜ヒータ21が設けられている。この除霜ヒータ21は、例えば50W~200Wの電気ヒータで、冷蔵庫1内で最も発熱量の高いヒータであり、本実施形態では120Wのラジアントヒータとしている。第一蒸発器14aの除霜時に発生した除霜水(融解水)は、第一蒸発器室8aの下部に設けた第一蒸発器用トイ23aに落下し、第一蒸発器用排水口22a(図6参照)、第一蒸発器用排水管27aを介して圧縮機24の上部に設けた蒸発皿32に排出される。
冷蔵貯蔵室用蒸発器である第二蒸発器14bは、冷蔵室2の略背部に備えた冷蔵用蒸発器室である第二蒸発器室8b内に設けられている。第二蒸発器14bと熱交換して低温になった空気は、第二蒸発器14bの上方に設けた第二ファン9bにより、冷蔵室送風路11、冷蔵室吐出口11aを介して冷蔵室2に送風され、冷蔵室2内を冷却する。冷蔵室2に送風された空気は、冷蔵室戻り口15から冷蔵室戻り風路17を介して第二蒸発器室8bに戻り、再び第二蒸発器14bにより冷却される。
第二蒸発器14bは、冷蔵室2の空気を循環させて、冷蔵室2の熱で除霜するオフサイクル除霜により除霜を行う。この第二蒸発器14bの除霜時に発生した除霜水は、第二蒸発器室8bの下部に設けた第二蒸発器用トイ23bに落下し、第二蒸発器用排水口(図示なし)、第二蒸発器用排水管(図示なし)を介して機械室39に設けた蒸発皿32に排出される。
冷蔵室2、冷凍室4、第一切替室5、第二切替室6の庫内背面側には、それぞれ図3Aにて示す冷蔵室温度センサ41、冷凍室温度センサ42、第一切替室温度センサ43、第二切替室温度センサ44が設けられている。また、第一蒸発器14aの上部には第一蒸発器温度センサ40a、第二蒸発器14bの上部には第二蒸発器温度センサ40bが設けられている。これらのセンサにより、冷蔵室2、冷凍室4、第一切替室5、第二切替室6、第二蒸発器14b及び第一蒸発器14aの温度が検知される。また、冷蔵庫1の天井部のドアヒンジカバー16の内部には、外気(庫外空気)の温度を検知する外気温度センサ37と湿度を検知する外気湿度センサ38が設けられている。その他のセンサとして、ドア2a、2b、3a、4a、5a、6aの開閉状態をそれぞれ検知するドアセンサ45(図3A参照)や、後述する製氷皿3c内の水(氷)の温度を検知する製氷室温度センサ(図示せず)等も設けられている。
冷蔵庫1の上部には、制御装置の一部であるCPU、ROMやRAM等のメモリ、インターフェース回路等を搭載した制御基板(制御装置、制御部)33が配置されている。制御基板33は、外気温度センサ37、外気湿度センサ38、冷蔵室温度センサ41、冷凍室温度センサ42、第一切替室温度センサ43、第二切替室温度センサ44、第一蒸発器温度センサ40a、第二蒸発器温度センサ40b、ドアセンサ45等と電気配線(図示せず)で接続されている。
また、制御基板33では、各センサの出力値や操作部18の設定、ROMに予め記録されたプログラム等に基づいて、後述する圧縮機24、第一ファン9a、第二ファン9bや、ダンパ100、101a、101b、102a、102bの制御を行っている。加えて、本実施形態の冷蔵庫1には、外部機器と接続できる通信基板(図示なし)が設けられている。この通信基板が設けられることで、冷蔵庫1の情報をスマートフォン等のモバイルデバイスやパーソナルコンピュータ等に提供することや、これらの操作により操作部18(図2参照)と同様にモード等の設定変更も行うことができるようにしている。
図3Aは、実施形態1に係る冷蔵庫の風路構成を示す正面図であり、図3Bは、図3Aの風路内部を示す図である。なお、ドア3a、4a、5a、6a、及び容器3b、4b、5b、6bは、省略している。図4は、実施形態1に係る冷蔵庫の風路構成を示す概略図である。
各貯蔵室3、4、5、6への冷気の送風は、送風制御手段であるダンパ100、101a、101b、102a、102bにより制御する。なお、ダンパ101a、101bは駆動部101cに設けた1つのモータにより制御し、ダンパ102a、102bも駆動部102cに設けた1つのモータにより制御するようにしており、ダンパ数に対してモータ数を抑えて低コスト化、省スペース化を図っている。また、各ダンパを通過した空気が各貯蔵室まで流れる風路を下流個別送風路と呼ぶことがある。
製氷室3及び冷凍室4を冷却する際は、製氷室3及び冷凍室4への送風を制御するダンパ100を開け、第一蒸発器14aの上方に設けた第一ファン9aにより、第一蒸発器14aと熱交換して低温になった空気(冷気)を第一蒸発器室下流部8a2、上流共通送風路12、冷凍室ダンパ100、下流個別送風路(製氷・冷凍室風路110)、製氷室吐出口120a又は冷凍室吐出口120bを介して製氷室3又は冷凍室4に送風し、製氷室3の製氷皿3c内の水、容器3b内の氷、冷凍室4の容器4b内の食品等を冷却する。なお、製氷皿3cの水は、図3Bに示す製氷タンク36から製氷ポンプ(図示せず)により供給される。製氷室3又は冷凍室4を冷却した空気は、製氷・冷凍室戻り口130より戻り風路12dを介して、第一蒸発器室上流部8a1に戻り、再び第一蒸発器14aにより冷却される。
第一切替室5は、冷凍モードと冷蔵モードとで冷気の送風を変えている。なお、前述した野菜モードは冷蔵モードの一部として説明する。第一切替室5が冷凍モードの際は、第一切替室5の直接冷却用ダンパであるダンパ101aを開けて、間接冷却用ダンパであるダンパ101bを閉じる。第一蒸発器14aで冷却された空気は、第一蒸発器室下流部8a2、第一ファン9a、上流共通送風路12、ダンパ101a、下流個別送風路(第一切替室直冷風路111a)、そして第一切替室5の直接冷却用吐出口である第一切替室直冷用吐出口121aを介して、第一切替室5に設けた第一切替室容器5b内に送風され、第一切替室容器5b内の食品を冷却する。冷気は第一切替室容器5b内の食品を直接冷却するため、比較的短時間で第一切替室容器5b内の食品を冷却できる。第一切替室5が冷蔵モードの際は、ダンパ101aを閉じて、第一切替室5の間接冷却用ダンパであるダンパ101bを開ける。第一蒸発器14aで冷却された空気は、第一蒸発器室下流部8a2、第一ファン9a、上流共通送風路12、ダンパ101b、下流個別送風路(第一切替室間冷風路111b)、そして第一切替室5の間接冷却用吐出口である第一切替室間冷用吐出口121bを介して、第一切替室容器5bの外側(外周)に向けて送風される。冷気は第一切替室容器5b内の食品に直接到達し難くなり、すなわち食品は第一切替室容器5bを介して間接冷却されるため、食品の乾燥を抑えつつ冷却できる。第一切替室直冷用吐出口121a又は第一切替室間冷用吐出口121bより吐出し、第一切替室5内を冷却した空気は、第一切替室戻り口131より戻り風路12dを介して第一蒸発器室上流部8a1に戻り、再び第一蒸発器14aにより冷却される。
なお、冷凍モードの方が貯蔵室と外気との温度差が大きく冷却に必要な負荷が大きいため、主に冷蔵モードで利用するダンパ101bに比べ、主に冷凍モードで利用するダンパ101aの方が開口面積を大きくして風量を高め、一方でダンパ101bは開口面積(サイズ)を小さくして貯蔵室内の内容積を極力大きくしている。
第二切替室6も、第一切替室5と同様に、運転モードによってダンパの開閉を変更している。第二切替室6が冷凍モードの際は、第二切替室6の直接冷却用ダンパであるダンパ102aを開け、間接冷却用ダンパであるダンパ102bを閉じる。第一蒸発器14aで冷却された空気(冷気)は、第一ファン9a、上流共通送風路12、ダンパ102a、下流個別送風路(第二切替室直冷風路112a)、そして第二切替室6の直接冷却用吐出口である第二切替室直冷用吐出口122aを介して、第二切替室容器6b内に送風され、第二切替室容器6b上の食品を冷却する。冷気は第二切替室容器6bの食品を直接冷却するため、比較的短時間で第二切替室容器6b内の食品を冷却できる。第二切替室6が冷蔵モードの際は、ダンパ102aを閉じて、第二切替室6の間接冷却用ダンパであるダンパ102bを開ける。第一蒸発器14aで冷却された空気は、第一蒸発器室下流部8a2、第一ファン9a、上流共通送風路12、ダンパ102b、下流個別送風路(第二切替室間冷風路112b)そして第二切替室6の間接冷却用吐出口である第二切替室間冷用吐出口122bを介して、第二切替室容器6bの外側(外周)に送風し、間接冷却として、食品の乾燥を抑えつつ冷却する。第二切替室6内を冷却した空気は、第二切替室戻り口132より第一蒸発器室上流部8a1に戻り、再び第一蒸発器14aにより冷却される。
なお、ダンパ101aと101bと同様、主に冷蔵モードで利用するダンパ102bに比べ、主に冷凍モードで利用するダンパ102aの方が開口面積を大きくしている。
また、冷蔵モード、特に野菜モード以外の冷蔵モードにおいて、庫内の温度が所定値よりも高い場合(例えば基準温度よりも10℃以上高い場合)には、庫内を短時間で所定の温度まで冷却できるよう直接冷却用ダンパであるダンパ101a、102aを開けるようにしてもよい。また冷凍モードにおいても庫内の温度が所定値よりも高い場合(例えば基準温度よりも10℃以上高い場合)には、ダンパ101a、102aに加えてダンパ101b、102bも同時に開け、風量を増加させて、冷却量を高めるようにしてもよい。
図5は、実施形態1に係る冷蔵庫の冷凍サイクルを示す構成図である。図5に示すように、冷蔵庫1は、圧縮機24、冷媒の放熱を行う放熱手段である庫外放熱器50aと壁面放熱配管50b、仕切り壁28、29、30(図1、図2参照)の前面部への結露を抑制する結露防止配管50c、冷媒を減圧させる減圧手段である第一キャピラリチューブ53aと第二キャピラリチューブ53b、冷媒と庫内の空気を熱交換させて、庫内の熱を吸熱する第一蒸発器14aと第二蒸発器14bを備える。
また、冷蔵庫1は、冷凍サイクル中の水分を除去するドライヤ51、液冷媒が圧縮機24に流入するのを防止する気液分離器54a、54b、冷媒流路を制御する三方弁52、逆止弁56、冷媒流を接続する冷媒合流部55を備えている。これらを冷媒配管により接続することで冷凍サイクルを構成している。
なお、冷蔵庫1は、可燃性冷媒のイソブタン80gを冷媒として用いている。また、圧縮機24は、インバータを備えて回転速度を変えることができる。三方弁52は、2つの流出口52a、52bを備え、流出口52a側に冷媒を流す冷凍運転と、流出口52b側に冷媒を流す冷蔵運転と、を切換えることができる部材である。また、三方弁52は、流出口52aと流出口52bの何れも冷媒が流れないようにする全閉のモードと、何れも冷媒が流れるようにする全開のモードと、を切換えることも可能である。
また、冷蔵庫1の冷媒は以下のように流れる。すなわち、圧縮機24から吐出した冷媒は、庫外放熱器50a、壁面放熱配管50b、結露防止配管50c、ドライヤ51の順に流れ、三方弁52に至る。三方弁52の流出口52aは、冷媒配管を介して第一キャピラリチューブ53aと接続されている。三方弁52の流出口52bは、冷媒配管を介して第二キャピラリチューブ53bと接続されている。
三方弁52を流出口52a側に冷媒が流れるようにした場合、流出口52aから流出した冷媒は、第一キャピラリチューブ53a、第一蒸発器14a、気液分離器54a、逆止弁56、冷媒合流部55の順に流れた後、圧縮機24に戻る。逆止弁56は、気液分離器54aから冷媒合流部55側には冷媒が流れ、冷媒合流部55から気液分離器54b側へは流れないように配設されている。第一キャピラリチューブ53aで低圧低温になった冷媒が第一蒸発器14aを流れることで第一蒸発器14aが低温となり、第一蒸発器室8a(図2参照)の空気を冷却することができる。この空気を製氷室3、冷凍室4、第一切替室5及び第二切替室6に送風することで、製氷室3、冷凍室4、第一切替室5及び第二切替室6が冷却される。
一方、三方弁52を流出口52b側に冷媒が流れるようにした場合、流出口52bから流出した冷媒は、第二キャピラリチューブ53b、第二蒸発器14b、気液分離器54b、冷媒合流部55の順に流れた後、圧縮機24に戻る。第二キャピラリチューブ53bで低圧低温になった冷媒が第二蒸発器14bを流れることで第二蒸発器14bが低温となり、第二蒸発器室8b(図2参照)の空気を冷却することができる。この空気を冷蔵室2に送風することで、冷蔵室2が冷却される。
図6は、実施形態1に係る風路構成部材20の背面を示す図で、図2のIII-III断面の風路構成部材20近傍を示す図である。上流共通送風路12の下部には、第一蒸発器室上流部8a1と連通する連通孔200が設けられている。なお、前述したように、風路構成部材20は、内箱10b及び第一蒸発器用トイ23aとの組み合わせにより、第一蒸発器14aの風路空間(第一蒸発器室8a、上流共通送風路12、戻り風路12d)を構成している部材である。
実施形態1の冷蔵庫1では、第一蒸発器14aに付着した霜を解かすため、圧縮機24を停止し、除霜ヒータ21に通電して第一蒸発器14aを加熱する除霜運転が行われる。風路構成部材20内部は、例えばこの除霜運転中に第一蒸発器14aを通過して高湿になった空気等により結露や着霜が発生することがある。これらにより生じた水が風路構成部材20に残ると、水・氷による風路の閉塞や、第一ファン9a、ダンパ100、101a、101b、102a、102bの氷結等により正常に冷却できなくなる恐れがあることから、適切に水を排出する必要がある。そこで、上流共通送風路12の内壁で生じた水を集めるとともに、この水を風路構成部材20から排出できるよう、風路構成部材20の下部に、第一蒸発器室上流部8a1と連通した連通孔200が設けられている。連通孔200から排出された水は、第一蒸発器室上流部8a1の下部に設けた第一蒸発器用トイ23aに落下し、第一蒸発器14aの除霜水とともに、第一蒸発器用排水口22a、第一蒸発器用排水管27aを介して蒸発皿32(図2参照)に排出される。なお、本実施形態では、第一蒸発器14aを通過しないで第一ファン9aに向かう空気を抑えるため、第一蒸発器14aの左右に連通抑制部材14cが設けられており、その連通抑制部材14cの下側(上流側)が第一蒸発器室上流部8a1、上側(下流側)が第一蒸発器室下流部8a2となる。
なお、本実施形態では、連通孔200を排水口としても機能させるため、水が流れられるよう開口部の各辺の長さを5mm以上として連通孔200が上流共通送風路12の最下部に配置されている。また、冷却運転中に連通孔200を流れる空気の量を抑えるため、他のダンパ100、101a、101b、102a、102bよりも小さく、具体的には開口部の各辺の長さを20mm以下としている。連通孔200の開口面積を比較的小さくすることで、冷却運転中に連通孔200を流れる相対的な空気の量を抑え、ダンパ追加によるコスト増を抑えながら、冷却運転中に貯蔵室に送風される風量が低下して冷却能力が低下することを抑えている。
ここで、本実施形態の冷蔵庫1では、第一ファン9aを駆動させると、空気が除霜ヒータ21、第一蒸発器14a、第一ファン9aの順に流れる。また、第一ファン9aの空気流れ下流の上流共通送風路12と、除霜ヒータ21の空気流れ上流の第一蒸発器室上流部8a1と、を連通させるように連通孔200が設けられている。すなわち、連通孔200は、第一ファン9aを駆動させた際に、貯蔵室を介すことなく除霜ヒータ21、第一蒸発器14a、第一ファン9a間を空気が循環できる連通部として機能する。この連通部は、第一蒸発器14aの除霜運転時において特に有用であり、以下でこの除霜運転の制御と、その効果について説明していく。なお、以下の除霜運転は、第一蒸発器14aの除霜運転を表す。
図7は、第一切替室5と第二切替室6の両方を冷凍モードにした時の除霜運転の温度チャートの一例であり、図8は、第一切替室5と第二切替室6の両方を冷凍モードにした時の除霜運転の制御フローチャートの一例である。なお、図7及び図8では、第二蒸発器14bに関する除霜運転の制御については省略し、冷凍温度帯の貯蔵室の代表として冷凍室温度センサ42により検知する冷凍室温度TFのみを記している。
本実施形態の冷蔵庫1における除霜運転の開始条件は複数あるが、冷却運転中(制御S0)に例えば圧縮機24の積算回転数が所定値になる(時刻Td0、制御S1)と、冷凍温度帯の貯蔵室である製氷室3、冷凍室4、第一切替室5、第二切替室6を冷却するプリクール運転を開始する(制御S2)。プリクール運転は、例えば30分或いは全ての貯蔵室が所定値に到達すると終了し(制御S3)、圧縮機24を停止させ、除霜ヒータ21に通電する第一蒸発器14aの除霜運転が開始される(時刻td1、制御S4)。本実施形態の除霜運転では、まずダンパ100、101a、102aが閉じ、ダンパ101b、102bを開けた状態で、第一ファン9aを停止させて除霜するファン停止除霜(第2の除霜運転)が行われる(制御S5)。この状態で、除霜時間が例えば5分の所定時間Δtd1経過する、または第一蒸発器温度センサ40aによって検知する第一蒸発器温度TEが例えば-15℃の所定値Td1以上になる(制御S6)と、全てのダンパ100、101a、101b、102a、102bを閉じて第一ファン9aを駆動させるダクト内循環ファン利用除霜(第1の除霜運転)に移行する(時刻td2、制御S7)。
図9は、ダクト内循環ファン利用除霜中の空気の流れ、すなわち全てのダンパを閉じて第一ファン9aを駆動させた場合の空気の流れを図6に付記したものである。この時、除霜ヒータ21によって加熱された空気は、第一蒸発器室上流部8a1、第一蒸発器14a、第一蒸発器室下流部8a2、第一ファン9a、上流共通送風路12、連通孔200を流れ、第一蒸発器室上流部8a1に戻り、再び除霜ヒータ21によって加熱される。
ダクト内循環ファン利用除霜に移行した後、第一蒸発器温度が0℃よりも高い、例えば8℃の所定温度Td_off以上になる(時刻td3、制御S8)と、除霜ヒータ21への通電が停止する(制御S9;余熱運転)。この状態を例えば3分の所定時間ΔTd2続けると(時刻td4、制御S10)、三方弁52が流出口52a側(第一蒸発器14a側)に切換えられて圧縮機24が駆動する(制御S11;予冷運転)。この状態で第一蒸発器温度が0℃よりも低い所定温度Td2、例えば―10℃以下に至ると(制御S12、時刻td5)、除霜運転制御が終了する(制御S13)。なお、本実施形態では、余熱運転、及び予冷運転においても、ダクト内循環ファン利用除霜と同じく、全てのダンパ100、101a、101b、102a、102bを閉じて第一ファン9aを駆動させている。予冷運転(制御S11、S12)が終了すると、再び各ダンパ100、101a、101b、102a、102bを適切に開閉して各貯蔵室を所定温度に制御する冷却運転(制御S1)に戻る。
この除霜運転制御により得られる効果を説明する。
除霜運転中、第一蒸発器14aは、除霜ヒータ21による輻射とともに、除霜ヒータ21によって上昇した空気の対流によって加熱される。ここで、第一ファン9aを停止していると、対流は自然対流となるため、熱伝達が弱くなる。これに対し、第一ファン9aを駆動させると、強制対流となり熱伝達が向上し、第一蒸発器14aの加熱効率を向上させることができる。すなわち第一蒸発器14aについた霜を短時間で、少ないエネルギーで解かすことができ、省エネルギー性能を向上させることができる。
また、第一ファン9aを駆動させない自然対流条件で除霜ヒータ21を駆動させていた場合、除霜ヒータ21で加熱された空気が第一蒸発器14aとは異なる方向(例えば戻り風路12dや第一切替室戻り口131、第二切替室戻り口132)へ対流してしまい、加熱効率が低下する可能性がある。一方、ダクト内循環ファン利用除霜では、図9で示したように、第一ファン9aによる強制対流によって、より確実に除霜ヒータ21から第一蒸発器14aに向かって空気が流れるため、この加熱効率の低下を抑制する効果も得られる。
ここで、第一ファン9aを通過した空気が、適切に除霜ヒータ21に戻らないと、空気が循環できず、前述の流れ場は形成できない。特に、第一切替室5と第二切替室6の両方を冷凍モードにすると、第一蒸発器14aにより冷却する全ての貯蔵室(製氷室3、冷凍室4、第一切替室5、第二切替室6)が冷凍温度帯に設定された貯蔵室になるため、除霜運転で温度が上昇した第一蒸発器室8aの空気を貯蔵室に送風すると、食品温度が上がり、例えば氷や冷凍食品が解けるなどの課題が生じる。これに対し、上流共通送風路12と第一蒸発器室上流部8a1とを連通させるように連通孔200を設けることで、ダンパ100、101a、100b、102a、102bにより、第一蒸発器室8aで冷却する全ての貯蔵室への送風を抑制しながら、図9で示した空気流れを形成でき、前述のダクト内循環ファン利用除霜の効果を得ることができる。すなわち、第一蒸発器14aにより冷却される全ての貯蔵室が冷凍温度帯であっても、ファンによる強制対流を用いた除霜運転の効率向上効果が得られる冷蔵庫を提供することができる。
また、本実施形態の冷蔵庫1では、ダクト内循環ファン利用除霜を、第一蒸発器温度が0℃よりも高い温度(8℃以上)になるまで実施している(制御S8)。これにより、第一蒸発器14aよりも下流側、すなわち第一ファン9a、上流共通送風路12の壁面、上流共通送風路12を各下流個別送風路と区切るように配された各ダンパ100、101a、101b、102a及び102b、連通孔200にも0℃を超える空気が流れ、これらの箇所に霜や氷を解かすことができる。
なお、この効果は特に、ダンパ102a及び102bにとって重要である。本実施形態の冷蔵庫1では、図6等に示すように、ダンパ102a及び102bが、第一ファン9aよりも下方、かつ、連通孔200より上方に設けられていることから、ダクト内循環ファン利用除霜を行うことで、このダンパ102a及び102bの加熱効率も高めることができる。基本的に自然対流では上部に向かって暖気が流れるため、第一ファン9aに到達した除霜ヒータ21で加熱された空気は、第一ファン9aよりも下部に配されたダンパ102a及び102bへと流れ難く、自然対流のみで除霜を行う冷蔵庫では、ダンパ102a及び102bの霜を解かすためのヒータが必要になりやすい。これに対し、ダクト内循環ファン利用除霜を行い、図9に示す流れ場を形成することで、除霜ヒータ21で加熱された空気が、ダンパ102a及び102bの上流共通送風路12側に沿って流れ、連通孔200に到るようになる。その結果、ダンパ102a及び102bの加熱効率を高めることができ、ダンパ102a及び102bの霜を解かすために必要なヒータの消費電力量を低減する、或いはヒータ配設を不要にして低コスト化することができる。ここで、除霜運転開始直後から、ダンパ102a及び102bの温度を効率よく上げることができるが、ダンパ102a及び102bに付着した霜や氷を融解させるためには、ダンパ102a及び102bを0℃以上に加熱する必要があることから、特に第一蒸発器温度が霜や氷の融解温度の0℃以上において有効である。すなわち、第一蒸発器14aよりも下流側の霜や氷を解かすためには、第一蒸発器温度を通過した空気が0℃以上になっている時間(図7の時刻td6~td5)のうちに0℃超に加熱する必要があり、この時間帯における本制御による加熱効率向上効果が重要となる。
また、本実施形態の冷蔵庫1は、除霜ヒータ21通電終了後の所定時間(Δtd2;時刻td3~td4)、圧縮機24を駆動させることなく、第一ファン9aを駆動させて図9で示した流れ場の余熱運転を行うことで、除霜ヒータ21による加熱を抑えながら、第一蒸発器14aよりも下流側に0℃よりも高い空気を流し、より確実に第一蒸発器14aよりも下流側の霜や氷を解かすことができる。加えて、除霜運転中に解けた除霜水が第一蒸発器用排水口22aに到達するまでの時間を確保するためにも、第一蒸発器14a及び第一蒸発器室8aが0℃を超えた状態を維持させる余熱運転は有効である。なお、ダクト内循環ファン利用除霜を第一蒸発器温度が0℃よりも高い温度に到達した後、所定時間経過(例えば8℃以上を3分経過)するまで実施するようにしてもよい。ただし、0℃よりも高い温度に到達した後、余熱運転に移行する本制御の方が除霜ヒータ21の通電時間、すなわち消費電力量を抑えられるため、省エネルギー性能を高めることができる。
さらに、本実施形態の冷蔵庫1では、余熱運転の後、第一ファン9aを駆動させたまま、三方弁52を流出口52a側(第一蒸発器14a側)にして圧縮機24を駆動させ、第一蒸発器温度が0℃よりも低い-10℃以下になるまで、各ダンパ100、101a、101b、102a及び102bを閉じ、各貯蔵室への送風を抑制した予冷運転を行う。これにより、除霜運転中で温度上昇した第一蒸発器室8a内の暖気による冷凍温度帯の貯蔵室の加熱を抑制している。なお、予冷運転中、各ダンパ100、101a、101b、102a及び102bを閉じる代わりに、第一ファン9aを停止しておくことで第一蒸発器14aが低温になってから送風を開始することでも類似の効果が得られるが、本実施形態のように、予冷運転中に第一ファン9aを駆動させて図9に示した流れを形成することで、第一蒸発器14aに加えて、第一蒸発器14aから各ダンパまでの風路及び構造物、すなわち第一蒸発器室8a、第一ファン9a、上流共通送風路12及び各ダンパを低温にした状態で各貯蔵室への送風を開始することができ、より確実に冷凍温度帯の貯蔵室への暖気の侵入を抑制することができる。
本実施形態の冷蔵庫1では、ダクト内循環ファン利用除霜(第1の除霜運転)に加え、ダンパ100、101a及び102aを閉じ、ダンパ101b及び102bを開けた状態で、第一ファン9aを停止させておくファン停止除霜(第2の除霜運転)を行う。ファン停止除霜では、第一ファン9aを駆動させている場合に比べて対流の影響が弱いことから除霜ヒータ21の温度が高く、輻射の影響が強くなる。よって、強制対流で加熱し難い除霜ヒータ21よりも空気流れ上流側に位置する第一蒸発器用トイ23aや第一蒸発器用排水口22a等の加熱を促進することができる。第一蒸発器用排水口22aより除霜水の排水が行われるため、これらの箇所は除霜運転中に凍結しないよう配慮する必要がある。従って、除霜ヒータ21の空気流れ下流側で、最も霜が成長する第一蒸発器14aの除霜効率をダクト内循環ファン利用除霜で向上させるとともに、除霜ヒータ21よりも空気流れの上流側の霜や氷も解け易くすることができ、すなわち第一蒸発器用トイ23aや第一蒸発器用排水口22a等の凍結をより確実に抑制することができる。なお、ファン停止除霜中にダンパ101b及び102bを開けているのは、冷媒に可燃性のイソブタンを用いていることから除霜ヒータ21の温度が上がりすぎないよう、比較的開口面積の小さいダンパを開けることで貯蔵室への暖気の侵入を抑えつつ、自然対流の循環流れ場を形成するためである。
ここで、ファン停止除霜は輻射の影響が大きいことから、本実施形態の冷蔵庫1では、ダクト内循環ファン利用除霜を行う前に、このファン停止除霜を行うようにしている。第一蒸発器14aの着霜量が多く、第一蒸発器14aの通風抵抗が大きい状態でダクト内循環ファン利用除霜を行うと、第一ファン9aを駆動させても、例えば連通抑制部材14cの周囲の隙間等、第一蒸発器14a以外から除霜ヒータ21で加熱された空気が流れてしまい、除霜ヒータ21の熱が第一蒸発器14aに到達し難くなる。一方、第一蒸発器14aの着霜量が多い場合は、除霜ヒータ21の輻射の影響を受ける第一蒸発器14aに付着した霜の面積が大きいため、輻射の影響が大きいファン停止除霜中も比較的加熱され易い。従って、本実施形態では、ファン停止除霜をダクト内循環ファン利用除霜の前に行うことで、第一蒸発器14aの通風抵抗が大きく除霜ヒータ21の輻射の影響を受けやすい初期の状態(着霜量が多い状態)ではファン停止除霜を行い、通風抵抗が小さくなった後にダクト内循環ファン利用除霜を行うようにして、前述の強制対流による除霜効率の向上効果を高めている。
なお、例えば前回の除霜運転から次の除霜運転を開始するまでの扉開閉の累積時間や周囲湿度等によって、第一蒸発器14aの着霜量が少ない、或いは第一蒸発器14aの通風抵抗が小さいと判断できる場合は、ファン停止除霜を行わない、或いは時間を短くしてもよい。本実施形態では、外気湿度センサ38により検知する湿度が例えば80%RH以下で、扉開閉の累積時間が例えば5分程度と短い場合、第一蒸発器14aの着霜量が少ないと判断して、ファン停止除霜を省略してダクト内循環ファン利用除霜に移行する。除霜運転初期から第一蒸発器14aの通風抵抗が小さく、除霜初期からダクト内循環ファン利用除霜の強制対流による除霜効率の向上効果を得られ、より省エネルギー性能を高めることができる。
ただし、本実施形態の冷蔵庫1では、このファン停止除霜を抑制した除霜運転が、例えば2回続けて実施された場合、次の除霜運転では必ず通常(図7、図8で示した制御)、或いはそれよりも長時間のファン停止除霜を実施する。第一蒸発器14aの着霜量が少ないファン停止除霜を抑制した除霜運転中は、第一蒸発器用排水口22aから排水する必要のある水量も少ないため第一蒸発器用トイ23aから1回の除霜運転で除霜水が溢れる可能性は低い。一方、第一蒸発器用トイ23aに貯まり続けることがないよう、3回に1回は第一蒸発器用排水口22aの加熱を促進するファン停止除霜が実施し、その際に、第一蒸発器用排水口22aの凍結を確実に解除することで、第一蒸発器用トイ23aに貯まっていた除霜水を確実に排水するようにしている。
次に、第一蒸発器14aで冷却する貯蔵室に冷蔵温度帯の貯蔵室が含まれている場合、一例として以下では第一切替室5が冷蔵温度帯に設定され、第二切替室6が冷凍温度帯に設定された場合について説明する。
図10は、第一切替室5が冷蔵温度帯に設定され、第二切替室6が冷凍温度帯に設定された場合の貯蔵室循環ファン利用除霜中の空気の流れである。冷蔵温度帯の貯蔵室が含まれている場合、冷蔵温度帯の貯蔵室に送風しながら除霜を行う貯蔵室循環ファン利用除霜(第3の除霜運転)が行える。貯蔵室循環ファン利用除霜では、冷蔵温度帯の第一切替室5の送風を制御するダンパ101bを開け、その他のダンパを閉じた状態で除霜ヒータ21に通電し、第一ファン9aを駆動させる。ダンパ101bを開けて第一ファン9aを駆動させることで、第一蒸発器14aを通過した空気は第一蒸発器室下流部8a2、第一ファン9a、上流共通送風路12、ダンパ101b、下流個別送風路(第一切替室間冷風路111b)、第一切替室間冷用吐出口121bを介して第一切替室5へと流れ、また第一切替室5の空気は第一切替室戻り口131より戻り風路12d、第一蒸発器室上流部8a1を介して第一蒸発器14aへと戻る。この空気の循環により、ダクト内循環ファン利用除霜と同じく、強制対流による除霜運転の効率向上効果が得られるとともに、第一切替室5と第一蒸発器14a間で熱交換が生じ、冷蔵温度帯(0℃以上)の第一切替室5の空気により、第一蒸発器14aの霜(融解温度の0℃以下)を加熱することができ、除霜ヒータ21の加熱量をさらに抑えることができる。加えて、第一蒸発器14aで低温になった空気により冷蔵温度帯の第一切替室5の冷却も可能なため、省エネルギー性能の高い除霜運転となる。
貯蔵室循環ファン利用除霜は、このように冷凍温度帯の貯蔵室に除霜中の暖気を送風することなく、第一ファン9aを用いた除霜運転の効率向上効果が得られ、加えて第一切替室5を冷却することができる。ただし、冷蔵温度帯の貯蔵室に収納された食品が冷え過ぎてしまうと、食品が凍結することや、例えば野菜などでは低温障害などで食品の品質が低下することがあるため、冷蔵温度帯に設定した貯蔵室の過度な冷却は抑える必要がある。具体的には、外気が低温で冷却負荷が小さく冷えやすい場合、除霜運転開始直後で第一蒸発器14aが低温の場合、野菜の保存を前提とした貯蔵室(本実施形態の野菜モードに設定した場合や野菜室表記の貯蔵室)の場合などに、冷え過ぎによる食品の品質低下や、冷え過ぎを抑制するための電気ヒータの加熱による省エネルギー性能の悪化に配慮する必要がある。なお、貯蔵室循環ファン利用除霜中にダンパ101aでなく間接冷却用ダンパであるダンパ101bを開けているのは、特に除霜運転の開始直後で低温な第一蒸発器14aの空気が直接食品を冷却しないようにするためで、特に野菜の収納を前提とした貯蔵室(第一切替室5が野菜モード)では、低温で低湿な空気による食品の保鮮性低下を抑えるために有効である。
図11は、第一切替室5が冷蔵温度帯に設定され、第二切替室6が冷凍温度帯に設定された場合の除霜運転中のフローチャートである。除霜運転が開始し、除霜ヒータ21に通電されると、図7、8で説明した何れも冷凍温度帯の場合と同様、まずダンパ100、101a及び102aが閉じ、ダンパ101b及び102bが開いた状態で、第一ファン9aを停止させておくファン停止除霜が行われる(制御S0~S5)。この状態で、除霜時間が例えば5分の所定時間Δtd1以上経過する、または、第一蒸発器温度センサ40aによって検知する第一蒸発器温度TEが例えば-15℃の所定温度Td1以上になる(制御S6)と、ダクト内循環ファン利用除霜するか、貯蔵室循環ファン利用除霜するか、を判別する制御S30が行われる。
制御S30では、第一切替室5が冷蔵モードのときは、外気温度センサ37で検知する冷蔵庫1周囲の外気温度Toutが例えば15℃のTout_h以下の場合、または、第一切替室温度センサ43で検知する第一切替室温度TS1が例えば2℃のTS1_h以下の場合、制御S31のダクト内循環ファン利用除霜に移行し、それ以外の場合は制御33の貯蔵室循環ファン利用除霜に移行する。ここで、制御S30で、ダクト内循環ファン利用除霜に移行した場合も、第一蒸発器温度TEが例えば-2℃の所定温度Td2以上になると食品の凍結リスクは少ないと考え、制御S33の貯蔵室循環ファン利用除霜に移行する(制御S32)を行う。ただし、貯蔵室循環ファン利用除霜中、第一切替室温度TS1が所定温度TS1_L、例えば冷蔵モードの場合は0℃以下、第一切替室温度が野菜モードの場合は4℃以下になると、凍結、低温障害を防止するためダクト内循環ファン利用除霜に移行する(制御S34)。以上のように、食品鮮度に影響のない範囲で省エネルギー性能の最も高い貯蔵室循環ファン利用除霜(第3の除霜運転)を有効に使い、また冷え過ぎが懸念される場合は、ファン停止除霜よりも省エネルギー性能の高い(除霜効率の高い)ダクト内循環ファン利用除霜(第1の除霜運転)を行うことで、食品の劣化を抑えながら、省エネルギー性能の高い除霜運転を行うことができる。
次に、第一蒸発器温度が霜や氷の融解温度の0℃よりも高い所定温度、例えば3℃の所定温度Td3以上になると、制御S7のダクト内循環ファン利用除霜に移行する(制御S34)。この除霜運転の切り替えにより、第一切替室5に第一切替室5よりも高い空気を送風して加熱してしまうことを抑えつつ、上流共通送風路12に霜の融解温度以上の空気を強制対流で流すことができ、上流共通送風路12内、及び上流共通送風路12の境界に配したダンパ100、101a、101b、102a及び102bの霜や氷を効率よく解かすことができる。なお、その後(制御S7~S12)は、図7、図8で示した制御と同じである。
ここで、冷蔵温度帯の貯蔵室が低温になり易い冷蔵庫の場合、貯蔵室内を所定の温度に保つために電気ヒータ等による貯蔵室の加熱が必要になる。本実施形態の冷蔵庫では、特に第一切替室5が冷蔵温度帯、第二切替室6が冷凍温度帯のとき、第一切替室5の上下が冷凍温度帯の貯蔵室(製氷室3及び冷凍室4、第二切替室6)で、背面が第一蒸発器室8aのため、冷蔵温度帯の貯蔵室が周囲からの熱伝導等で冷やされてしまうことから、周囲が低温の場合、或いは第一切替室温度が低温になった場合、電気ヒータ46aで加熱を行う必要がある。したがって、第一蒸発器14aが低温の状態で貯蔵室循環ファン利用除霜を行うと、第一切替室温度が冷却されてしまうために電気ヒータ46aの加熱量が増えてしまう。しかし、本実施形態のように、外気温度や庫内温度で貯蔵室循環ファン利用除霜を抑制することで所定温度を保つために必要な電気ヒータ46aの消費電力量が抑えられ、加えてこの際にダクト内循環ファン利用除霜を使うことで、ファン停止除霜を行った場合に比べて強制対流による除霜効率向上効果が得られ、総合的に最も省エネルギー性能の高い除霜運転となる。また、冷蔵温度帯の中でも設定温度が高い場合(本実施形態では野菜モード)において、電気ヒータ46aによる加熱が必要になりやすいことから、この効果は特に設定温度が高い場合(野菜モード)において有効となる。
なお、本実施形態の冷蔵庫では、排水口でもある連通孔200を連通部として使用し、ダクト内循環ファン利用除霜中に除霜ヒータ21の空気を循環させているが、排水の機能を有しない連通部として、連通孔200を上流共通送風路12の最下部以外の位置に配置してもよい。また、本実施形態の各ダンパ(送風制御手段)は、風路を完全に塞ぐことのできるものが望ましいが、例えば、ダクト内循環ファン利用除霜中の開口の面積が、ダンパが設置される部分の風路の開口面積に対して10分の1以下の面積となるまで塞ぎ、送風を一定程度抑制するものであってもよい。
(実施形態2)
以下、本発明の実施形態2を説明する。本実施形態の構成は、以下の点を除いて実施形態1と同様にできる。実施形態2は、貯蔵室を介すことなく除霜ヒータ21、第一蒸発器14a、第一ファン9a間を空気が循環できる連通部として、上流共通送風路12と戻り風路12dを連通させる連通風路を有し、その連通風路への送風を制御するダンパを備えた冷蔵庫の例である。
以下、本発明の実施形態2を説明する。本実施形態の構成は、以下の点を除いて実施形態1と同様にできる。実施形態2は、貯蔵室を介すことなく除霜ヒータ21、第一蒸発器14a、第一ファン9a間を空気が循環できる連通部として、上流共通送風路12と戻り風路12dを連通させる連通風路を有し、その連通風路への送風を制御するダンパを備えた冷蔵庫の例である。
図12は、実施形態2に係る風路構成部材20の背面を示す図に、実施形態2に係る第一切替室と第二切替室の両方を冷凍モードにした時のダクト内循環ファン利用除霜中の空気の流れを矢印で示したものである。実施形態2の冷蔵庫1は、第一ファン9aを通過した空気が流れる上流共通送風路12と、主に製氷室3、冷凍室4を冷やした戻り空気が流れる戻り風路12dと、の間を連通する連通風路210が設けられている。この連通風路210は、上流共通送風路12からの流入側にダンパ211を備え、冷却運転中は連通風路210に空気が流れないようにしている。なお、ダンパ211は、ダンパ100と同じ駆動部100cに設けた1つのモータにより制御するようにしており、実施形態1に比べてダンパ数が増加しているが、モータ数の増加を抑えて低コスト化、省スペース化を図っている。なお、ダンパ211の開口面積や、連通風路210と戻り風路12dを接続する開口212の開口面積は、連通孔200よりも大きくしている。
実施形態2の冷蔵庫では、ダクト内循環ファン利用除霜(ダンパ100、101a、101b、102a及び102bを閉じた状態で第一ファン9aを駆動させて行う除霜運転)中にダンパ211を開ける。これにより、連通孔200と同様、連通風路210により、上流共通送風路12と、除霜ヒータ21の空気流れ上流側と、が連通され、除霜ヒータ21、第一蒸発器14a、第一ファン9aを循環できる流路が形成される。具体的には、図9で示した空気流れに加え、除霜ヒータ21が設けられている第一蒸発器室上流部8a1から、第一蒸発器14a、第一蒸発器室下流部8a2、第一ファン9a、上流共通送風路12、ダンパ211、連通風路210、開口212、戻り風路12d、第一蒸発器室上流部8a1の順に流れる空気流れが形成される。
ここで、実施形態2の冷蔵庫は、ダンパ211を備え、連通風路210の流入出部の開口(ダンパ211及び開口212)を比較的大きく(連通孔200よりも大きく)することで、ダクト内循環ファン利用除霜による第一蒸発器14aの除霜効率をさらに高めている。実施形態1の冷蔵庫1では、連通孔200によってダクト内循環ファン利用除霜中に除霜ヒータ21の空気を循環させているが、連通孔200はダンパを設けないため、冷却運転中に連通孔200を流れる空気の量を抑えるために、過度に大きくできない。一方、実施形態2は、連通孔200より開口面積の大きな連通風路210を設けつつ、ダンパ211を設けることで、冷却運転中はダンパ211を閉じて冷却運転への影響を抑えつつ、ダクト内循環ファン利用除霜時はダンパ211を開いて比較的高い風量、風速で除霜ヒータ21から第一蒸発器14aへの対流熱伝達が行えるため、冷却運転、除霜運転ともに高い効率で実施でき、省エネルギー性能を高めることができる。
なお、本実施形態では、ダンパ100等と同じく開閉を制御基板33により制御可能な電動式のダンパ211を用いたが、少量であれば冷却運転中に連通風路210に空気が流れても影響は小さいことから、例えばばね等を用いて圧力が上がった場合に開度が上がるダンパ211a(図示無し)を用いてもよい。通常の冷却運転中はダンパ100、101a、101b、102a、102bのいずれかのダンパが開いているのに対し、ダクト内循環ファン利用除霜中は全てのダンパ(100、101a、101b、102a及び102b)が閉じているため、ダクト内循環ファン利用除霜中は第一ファン9aにより昇圧された上流共通送風路12内の静圧が高くなる。そのためダンパ211a(図示無し)にかかる圧力が高くなり、これにより開度が上がるようにすることで、モータレスでダクト内循環ファン利用除霜時のみダンパが開く(開度が大きくなる)構造を実現できる。このように、連通風路210に設けられる送風抑制手段は、冷却運転中は開口面積を小さく、ダクト内循環ファン利用除霜中は開口面積を大きくするようなものであればよい。また、連通風路210に設けられる送風抑制手段が送風を抑制できる能力は、貯蔵室への送風を制御する送風制御手段(ダンパ100、101a、101b、102a及び102b)と比べて小さくてよいため、例えばダクト内循環ファン利用除霜時の送風抑制手段の開口面積が、全開時の送風制御手段の開口面積の5分の1以下で、貯蔵室への送風を制御する送風制御手段(ダンパ100、101a、101b、102a及び102b)の開口面積未満となるようなものであれば十分である。
また、実施形態2の冷蔵庫では、戻り風路12dの高効率な加熱も可能となる。戻り風路12dは、冷凍温度帯で基本的に絶対湿度が低い製氷室3、冷凍室4の戻り空気が流れるため、霜は成長し難いが、例えば製氷室ドア3a、冷凍室ドア4aの開閉等によって製氷室3、冷凍室4に高湿な空気が流入し、戻り風路12dで霜が成長する可能性はある。一方、実施形態1のダクト内循環ファン利用除霜では、除霜ヒータ21で加熱された空気が戻り風路12dに到達し難く(図9参照)、また戻り風路12dは除霜ヒータ21の投影面上の上部に設けられていないため、自然対流や輻射で加熱するファン停止除霜時も加熱し難い箇所で、霜成長が懸念される場合は、戻り風路12d専用の加熱ヒータを設け、このヒータで加熱する必要がある。これに対し、実施形態2の冷蔵庫では、除霜ヒータ21で加熱された空気が戻り風路12dへと流れ、かつ強制対流で熱伝達の高い状態で熱交換するため、戻り風路12dを高効率で加熱でき、戻り風路12d専用の加熱ヒータの加熱量を抑える、或いは専用ヒータの配設を抑制することができる。
なお、本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態では、送風制御手段としてダンパが、送風路(上流共通送風路12と下流個別送風路の接続部分)に設けられているが、空気の循環を抑制することで結果的に貯蔵室への送風が抑制できるものであれば、蒸発器室へ戻る風路(各貯蔵室の戻り口の前後や戻り風路12d)に設けられてもよい。さらに、送風路と戻りの風路の両方にダンパを設けて、ダクト内循環ファン利用除霜時の空気の循環を確実に抑制することも考えられる。
また、前記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。さらに、前記した実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。例えば、前記した実施形態の冷蔵庫では切替室(第一切替室5と第二切替室6)を設けているが、冷凍室や野菜室を備えた構成や一つの切替室を備えた構成であってもよい。また、複数の蒸発器(第一蒸発器14aと第二蒸発器14b)を備えたものを例に挙げて説明したが、1つの蒸発器で全ての貯蔵室を冷却する構成であってもよい。
1:冷蔵庫、2:冷蔵室、3:製氷室、4:冷凍室、5:第一切替室、5b:第一切替室容器、6:第二切替室、6b:第二切替室容器、8a:第一蒸発器室、8a1:第一蒸発器室上流部、8a2:第一蒸発器室下流部、8b:第二蒸発器室、9a:第一ファン、9b:第二ファン、12:上流共通送風路、12d:戻り風路、14a:第一蒸発器、14b:第二蒸発器、14c:連通抑制部材、20:風路構成部材、21:除霜ヒータ、24:圧縮機、33:制御基板(制御部)、40a:第一蒸発器温度センサ、40b:第二蒸発器温度センサ、41:冷蔵室温度センサ、42:冷凍室温度センサ、43:第一切替室温度センサ、44:第二切替室温度センサ、52:三方弁、100:冷凍室ダンパ(送風制御手段)、100c:駆動部、101a:第一切替室ダンパ(冷凍モード用送風制御手段)、101b:第一切替室ダンパ(冷蔵モード用送風制御手段)、102a:第二切替室ダンパ(冷凍モード用送風制御手段)、102b:第二切替室ダンパ(冷蔵モード用送風制御手段)、110:製氷・冷凍室風路(下流個別送風路)、111a:第一切替室直冷風路(下流個別送風路)、111b:第一切替室間冷風路(下流個別送風路)、112a:第二切替室直冷風路(下流個別送風路)、112b:第二切替室間冷風路(下流個別送風路)、120a:製氷室吐出口、120b:冷凍室吐出口、121a:第一切替室直冷用吐出口、121b:第一切替室間冷用吐出口、122a:第二切替室直冷用吐出口、122b:第二切替室間冷用吐出口、130:製氷・冷凍室戻り口、131:第一切替室戻り口、132:第二切替室戻り口、200:連通孔、210:連通風路、211:送風制御ダンパ、212:開口
Claims (12)
- 貯蔵室と、前記貯蔵室を冷却する蒸発器と、前記蒸発器を収納する蒸発器室と、ファンと、該ファンから前記貯蔵室へと送風する送風路と、前記貯蔵室から前記蒸発器室へと空気が流れる戻り風路と、前記貯蔵室への送風を制御可能な送風制御手段と、前記蒸発器室のうち前記蒸発器の空気流れの上流側である蒸発器室上流部に設けられて前記蒸発器を加熱する除霜ヒータと、を備えた冷蔵庫において、
前記貯蔵室を介すことなく前記除霜ヒータ、前記蒸発器、前記ファンを空気が循環できる連通部を設け、
前記送風制御手段により前記貯蔵室への送風を抑制しつつ、前記ファンを駆動させながら前記除霜ヒータに通電して前記蒸発器を加熱する第1の除霜運転を行うことを特徴とする冷蔵庫。 - 前記送風路は、前記ファンを通過した空気が流れる空間であって前記送風制御手段で区切られる上流送風路と、前記送風制御手段を通過した空気が前記貯蔵室まで流れる下流送風路と、を有し、
前記連通部は、前記上流送風路と、前記蒸発器室上流部と、を連通することを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。 - 前記連通部が、前記上流送風路の最下部に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫。
- 前記送風制御手段が、前記ファンより下方、かつ、前記連通部より上方に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
- 前記第1の除霜運転を行っているときに、前記送風制御手段の前記上流送風路側に沿って空気が流れ、前記連通部に至ることを特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫。
- 前記蒸発器により冷却される複数の前記貯蔵室が全て冷凍温度帯に設定可能であることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
- 前記蒸発器により冷却される複数の前記貯蔵室が全て冷凍温度帯に設定された場合に、前記送風制御手段により何れの前記貯蔵室への送風も抑制しつつ、前記第1の除霜運転を行うことを特徴とする請求項6に記載の冷蔵庫。
- 前記蒸発器により冷却される複数の前記貯蔵室のうち、少なくとも1つ以上が冷蔵温度帯に設定され、冷蔵温度帯に設定された前記貯蔵室への送風を制御する前記送風制御手段を開けた状態で前記ファンを駆動させながら前記除霜ヒータに通電して前記蒸発器を加熱する第3の除霜運転と,
外気の温度を検知する外気温度センサと、冷蔵温度帯に設定された前記貯蔵室の温度を検知する貯蔵室温度センサと,前記蒸発器の温度を検知する蒸発器温度センサと、をさらに備え、
前記外気温度センサにより検出される温度が所定の温度より低温の場合、または、前記貯蔵室温度センサにより検出される温度が所定の温度より低温の場合、または、前記蒸発器温度センサにより検知される温度が所定の温度より低温の場合、前記第1の除霜運転を行うことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。 - 前記ファンを停止しながら前記除霜ヒータに通電する第2の除霜運転をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
- 前記第2の除霜運転を、前記第1の除霜運転の前に行うことを特徴とする請求項9に記載の冷蔵庫。
- 前記連通部の送風を抑制可能な送風抑制手段を備え、該送風抑制手段により、前記貯蔵室を冷却する冷却運転中は前記連通部の開口面積が小さくなり、前記第1の除霜運転中は前記連通部の開口面積が大きくなることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
- 前記送風路は、前記ファンを通過した空気が流れる空間であって前記送風制御手段で区切られる上流送風路と、前記送風制御手段を通過した空気が前記貯蔵室まで流れる下流送風路と、を有し、
前記連通部は、前記上流送風路と、前記戻り風路と、を連通することを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
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