本発明に係る冷蔵庫の実施形態を、図1〜図13を参照しながら説明する。
まず、本発明に係る冷蔵庫の第一の実施形態を、図1〜図5を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態の冷蔵庫の正面外形図である。図2は、冷蔵庫の庫内の構成を表す図1におけるX−X縦断面図である。図3は、蒸発器周辺の構成を表す正面図である。
図1に示すように、本実施形態の冷蔵庫1は、上方から、冷蔵室2,製氷室3及び上段冷凍室4,下段冷凍室5,野菜室6を有する。なお、製氷室3と上段冷凍室4は、冷蔵室2と下段冷凍室5との間に左右に並べて設けている。一例として、冷蔵室2及び野菜室6は、およそ3〜5℃の冷蔵温度帯の貯蔵室である(以下、本明細書中では冷蔵室2及び野菜室6の総称として冷蔵温度帯室61と呼ぶことがある)。また、製氷室3,上段冷凍室4及び下段冷凍室5は、およそ−18℃の冷凍温度帯の貯蔵室である(以下、本明細書中では製氷室3,上段冷凍室4及び下段冷凍室5の総称として冷凍温度帯室60と呼ぶことがある)。
冷蔵室2は前方側に、左右に分割された観音開き(いわゆるフレンチ型)の冷蔵室扉2a,2bを備えている。製氷室3,上段冷凍室4,下段冷凍室5,野菜室6は、それぞれ引き出し式の製氷室扉3a,上段冷凍室扉4a,下段冷凍室扉5a,野菜室扉6aを備えている。また、各扉の貯蔵室側の面には、各扉の外縁に沿うようにシール部材(図示せず)を設けており、各扉の閉鎖時、貯蔵室内への外気の侵入、及び貯蔵室からの冷気漏れを抑制する。
また、冷蔵庫1は、各貯蔵室に設けた扉の開閉状態をそれぞれ検知する扉センサ(図示せず)と、各扉が開放していると判定された状態が所定時間、例えば、1分間以上継続された場合に、使用者に報知するアラーム(図示せず)と、冷蔵室2の温度設定や上段冷凍室4や下段冷凍室5の温度設定をする温度設定器等(図示せず)を備えている。
図2に示すように、冷蔵庫1の庫外と庫内は、内箱1aと外箱1bとの間に発泡断熱材(発泡ポリウレタン)を充填することにより形成される断熱箱体10により隔てられている。また、冷蔵庫1の断熱箱体10は複数の真空断熱材25を実装している。
冷蔵庫1は、上側断熱仕切壁51により冷蔵室2と、上段冷凍室4及び製氷室3(図1参照、図2中で製氷室3は図示されていない)とが断熱的に隔てられ、下側断熱仕切壁52により、下段冷凍室5と野菜室6とが断熱的に隔てられている。
冷蔵室扉2a,2bの貯蔵室内側には、複数の扉ポケット32が備えられている(図2参照)。また、冷蔵室2は複数の棚36が設けられている。棚36により、冷蔵室2は縦方向に複数の貯蔵スペースに区画されている。
図2に示すように、上段冷凍室4,下段冷凍室5及び野菜室6は、それぞれの貯蔵室の前方に備えられた扉と一体に前後方向に移動する収納容器3b,4b,5b,6bがそれぞれ設けられている。そして、製氷室扉3a,上段冷凍室扉4a,下段冷凍室扉5a及び野菜室扉6aは、それぞれ図示しない取手部に手を掛けて手前側に引き出すことにより、収納容器3b,4b,5b,6bが引き出せるようになっている。
図2及び図3に示すように、本実施形態の冷蔵庫は、冷却手段として蒸発器7(幅寸法:400mm,奥行寸法:77mm,高さ寸法:210mm)を備えている。蒸発器7(一例として、フィンチューブ型熱交換器)は、下段冷凍室5の略背部に備えられた蒸発器収納室8内に設けられている。また、蒸発器収納室8内であって蒸発器7の上方には、送風手段として庫内送風機9(一例として、プロペラファン)が設けられている。蒸発器7と熱交換して冷やされた空気(以下、蒸発器7で熱交換した低温の空気を「冷気」と称する)は、庫内送風機9によって冷蔵室送風ダクト11,冷凍室送風ダクト12を介して、冷蔵室2,野菜室6,上段冷凍室4,下段冷凍室5,製氷室3の各貯蔵室へそれぞれ送られる。ちなみに、冷蔵室2,製氷室3,上段冷凍室4,下段冷凍室5及び野菜室6への各送風ダクトは、冷蔵庫1の各貯蔵室の背面側に設けられている。
各貯蔵室への送風は、冷蔵温度帯室61への送風量を制御する送風量制御手段(冷蔵室ダンパ20)により制御される。具体的には、冷蔵室ダンパ20が開状態のときには、冷気は、冷蔵室送風ダクト11を経て多段に設けられた吹き出し口2cから冷蔵室2に送られる。
なお、冷蔵室2を冷却した冷気は、冷蔵室2の下部に設けられた冷蔵室戻り口2dから冷蔵室戻りダクト16を経て、下段断熱仕切壁52の下部右奥側に設けた野菜室吹き出し口6cから野菜室6へ送風される。
野菜室6からの戻り冷気は、下側断熱仕切壁52の下部前方に設けられた野菜室戻りダクト入口6dから野菜室戻りダクト18を経て、野菜室戻りダクト出口18aから蒸発器収納室8の下部に戻る。
図2に示すように、蒸発器収納室8前方には、各貯蔵室と蒸発器収納室8との間を仕切る仕切部材13が設けられている。仕切部材13には、吹き出し口3c,4c,5cが形成されており、冷蔵室ダンパ20の状態にかかわらず、蒸発器7で熱交換された冷気が庫内送風機9により冷凍室送風ダクト12を経て吹き出し口3c,4c,5cからそれぞれ製氷室3,上段冷凍室4,下段冷凍室5へ送風される。
仕切部材13には、下段冷凍室5の奥下部の位置に冷凍室戻り口17が設けられており、上段冷凍室4,下段冷凍室5,製氷室3を冷却した冷気は、冷凍室戻り口17を介して蒸発器収納室8に流入する。なお、冷凍室戻り口17は蒸発器7の幅とほぼ等しい幅寸法である。
本実施形態における冷凍サイクルは、図2に示す機械室19内に設置された、圧縮機24と、圧縮機24から送られた冷媒を放熱する図示しない放熱手段と、放熱手段から送られた冷媒を減圧する減圧手段である図示しないキャピラリチューブと、キャピラリチューブから送られた冷媒が蒸発して空気を冷却する冷却手段である蒸発器7とを、冷媒が流れる管で順次接続する構成となっている。
図2に示すとおり、蒸発器収納室8の下方には、除霜ヒータ22が備えられている。蒸発器7及びその周辺の蒸発器収納室8の壁に成長した霜は、除霜ヒータ22に通電して加熱することで溶かされる(除霜運転制御の詳細は後述)。霜が融解することで生じた除霜水は、図2に示す蒸発器収納室8の下部に備えられた樋23に流入した後に、排水管27を介して機械室19に配された蒸発皿21に達する。そして、機械室19内に配設される圧縮機24及び凝縮器(図2中に図示せず)の発熱により蒸発させられる。なお、除霜ヒータ22の上部には、除霜時に生じる融解水が直接除霜ヒータ22に滴下しないようにするためのカバー体43が備えられている(図2または図3参照)。また、除霜ヒータ22は、ガラス管ヒータであり、ガラス管の外周にはアルミニウム製の放熱フィン22aが備えられている(図3参照)。
図3に示すように、蒸発器7の正面から見て左上部には、蒸発器7に取り付けられた蒸発器温度センサ35、図2に示すように、冷蔵室2には冷蔵室温度センサ33、下段冷凍室5には冷凍室温度センサ34がそれぞれ備えられており、それぞれ蒸発器7の温度(以下「蒸発器温度」と称する)、冷蔵室2の温度(以下「冷蔵室温度」と称する)、下段冷凍室5の温度(以下「冷凍室温度」と称する)を検知する。
更に、冷蔵庫1は、冷蔵庫の周囲の温度(庫外温度)を検知する図示しない庫外温度センサを備えている。なお、野菜室6にも野菜室温度センサ33aが配置してある。ちなみに、冷蔵室温度センサ33,野菜室温度センサ33a,冷凍室温度センサ34は、各貯蔵室への吹き出し冷気が直接当たらない場所に設置することで、冷気温度の影響を受けて正確に貯蔵室内の温度が検知できなくなることを防ぐようにしている。
冷蔵庫1の天井壁上面側にはCPU,ROMやRAM等のメモリ,インターフェース回路等を搭載した制御装置である制御基板31が配置されている(図2参照)。制御基板31は、前記した庫外温度センサ,蒸発器温度センサ35,冷蔵室温度センサ33,野菜室温度センサ33a,各貯蔵室扉の開閉状態をそれぞれ検知する扉センサ、冷蔵室2内壁に設けられた図示しない温度設定器、下段冷凍室5内壁に設けられた図示しない温度設定器等と接続する。前記ROMに予め搭載されたプログラムにより、圧縮機24のON/OFFや、弁42,冷蔵室ダンパ20及び冷凍室ダンパ50を個別に稼働する図示省略のそれぞれのアクチュエータの制御、庫内送風機9のON/OFF制御や回転速度制御、前記した扉開放状態を報知するアラームのON/OFF等の制御を行う。
制御は、制御基板31(図2参照)のCPUがROMに格納されたプログラムを実行することによって行われる。
次に、本実施形態の冷蔵庫の制御について、図4及び図5を参照しながら説明する。
図4は、本実施形態の冷蔵庫の除霜運転中の制御を表す制御フローチャートである。冷蔵庫1は電源投入により運転が開始され、冷蔵庫1の各貯蔵室が冷却される。冷却中には、扉開閉時に流入する水分や、食品から蒸散した水分が蒸発器7に霜として成長するため、蒸発器の霜を解かすための除霜運転が行われる。ここでは、除霜運転を実施する条件が満足された際の制御を、図4を参照しながら説明する。
本実施形態の冷蔵庫では、圧縮機24の積算運転時間,庫外温度,扉開閉の回数に基づいて除霜運転を実施する条件か否かが判定され、除霜運転を実施する条件が満足された場合(除霜運転スタート)、続いて、圧縮機24を停止、冷蔵室ダンパ20を開放、庫内送風機9を停止の状態で、除霜ヒータへの通電が行われる(ステップS101)。なお、「圧縮機24停止,庫内送風機9停止,除霜ヒータ22通電」の状態に制御することを第一の除霜手段による除霜と呼ぶことにする。
次に、蒸発器温度が、除霜終了温度Tevp(本実施形態ではTevp=8℃)より高いか否かが判定され(ステップS102)、ステップS102が満足されない場合(No)、続いて、時間t1(本実施形態ではt1=3分)が経過したか否かが判定され(ステップS103)、ステップS103が満足されない場合(No)、再び、ステップS102の判定に戻る。
ステップS102が満足される前に、時間t1が経過してステップS103が満足された場合(Yes)、続いて、庫内送風機9が稼働状態となり(ステップS104)、「圧縮機24停止,庫内送風機9稼働,除霜ヒータ22通電」の状態となる。この状態が時間t2(本実施形態ではt2=1秒)だけ継続する(ステップS105)。このとき、庫内送風機9を稼働するが、t2を極めて短時間としているので(t2の定め方は後述)、除霜ヒータ22近傍の高温となった暖気は、蒸発器7の上部には到達するが、冷凍温度帯室60の吹き出し口3c,4c,5c、冷蔵室2の吹き出し口2cから食品貯蔵室内に流入することはない。このように、除霜ヒータ22近傍の暖気を、蒸発器7の上部に移動させるために、短時間「圧縮機24停止,庫内送風機9稼働,除霜ヒータ22通電」の状態とすることを、第二の除霜手段による除霜と呼ぶことにする。
時間t2が経過した後には(ステップS105がYes)、再びステップS101に戻り、庫内送風機9が停止して、第一の除霜手段による除霜の状態に戻る。
以降、上記の制御が繰り返され、ステップS102が満足された場合(Yes)、除霜ヒータ22への通電が停止され(ステップS106)、除霜運転終了となる。
次に、図5を参照しながら、本実施形態の除霜運転中の蒸発器温度の変化について説明する。
図5は、本実施形態の冷蔵庫の除霜運転中の制御状態と蒸発器温度変化を表す図であり、図5下には、本実施形態の除霜運転中の制御状態、図5上には、本実施形態の除霜運転中の蒸発器下部温度と、蒸発器上部温度をそれぞれ示している。図5の時間taにおいて、圧縮機24停止状態、冷蔵室ダンパ20開放状態、庫内送風機9停止状態、除霜ヒータ22通電状態となり、第一の除霜手段による除霜運転が開始している(図4のステップS101)。除霜運転開始からt1(=3分)経過後(図4のステップS103)、庫内送風機がt2(=1秒)だけ稼働して、第二の除霜手段による除霜が実施されている(図4のステップS104,S105)。その後、再び庫内送風機9が停止して第一の除霜手段による除霜運転が実施されている。以降同様の制御が繰り返されている。
次に蒸発器温度の変化について説明する。まず、従来の一般的な除霜運転(第一の除霜手段のみによる除霜)を行った場合の蒸発器温度の変化(図5中に長破線で示す温度)について説明する。蒸発器温度は、時間taの時点では、直前の冷却運転中の温度となっているため、低温(−30℃程度)になっており、その後、除霜ヒータ22によって加熱されるため温度が上昇して、霜の融解(相変化)が始まると、ほぼ0℃で一定となる。さらに加熱して、霜の融解が完了すると、再び温度が上昇する。このとき、除霜開始時(時間ta)では、蒸発器下部と上部の温度差はほとんどないが、除霜が進むにつれて、除霜ヒータ22に近い蒸発器下部の温度の方が早く上昇して、霜の融解も早く完了する。一方、蒸発器上部は、除霜ヒータ22の熱が伝わり難いために、霜の融解の完了は、蒸発器下部に比べて遅れる。一般に、除霜の終了判定は、霜の解け残りの防止するため、霜の融解が遅れる蒸発器上部の温度が0℃より十分高い温度(本実施形態では8℃)に到達したか否かで判定される。したがって、蒸発器下部は、熱が伝わりやすく、早い段階で霜の融解が完了しているので、除霜終了時(時間tc)には、大きく温度上昇した状態となる(例えば、40℃程度にまで上昇することがある)。
一方、本実施形態では、所定時間間隔で第二の除霜手段による除霜が行われている。第二の除霜手段によって、除霜ヒータ22近傍の高温となった暖気を、定期的に蒸発器上部に移動させることができる。したがって、従来の一般的な除霜運転よりも、蒸発器上部の温度上昇速度が速くなり、一方、蒸発器下部は熱を奪われるので温度上昇速度は遅くなる。これによって、蒸発器全体が比較的均一に温度上昇するようになる。したがって、除霜完了時においても、蒸発器下部と上部の温度差は比較的小さく抑えられる。
従来の一般的な除霜運転では、蒸発器上部の温度が除霜終了温度に到達した際には、蒸発器下部を余分に加熱していたため、その分除霜時間が長くなっていたが、本実施形態の冷蔵庫では、蒸発器下部と上部の温度差を比較的小さく抑えられるので、蒸発器上部が除霜終了温度に達した時点(時間tb)において、蒸発器下部の余分な加熱が少なく、その分除霜時間が短縮できる(図5中のtc−tbが従来の一般的な除霜運転に対して短縮できた時間)。
以上で、第一の実施形態の冷蔵庫の構成と制御方法の説明をしたが、次に、本実施形態の冷蔵庫の奏する効果について説明する。
本実施形態の冷蔵庫は、圧縮機24停止状態、除霜ヒータ22通電状態、庫内送風機9停止状態で除霜を行う第一の除霜手段と、圧縮機24停止状態、除霜ヒータ22通電状態で、除霜ヒータ22近傍の暖気が、蒸発器7の上部に到達して、且つ、食品貯蔵室内に吹き出さない範囲で、前記送風機を稼働させる第二の除霜手段を備えている。これにより、第一の除霜手段による除霜中に、除霜ヒータ22近傍の暖気によって蒸発器7の下部近傍が過度に加熱される状態になった場合には、第二の除霜手段による除霜を実施して、食品貯蔵室を暖めることを抑えて、蒸発器7の上部に効果的に熱を伝えることができるため、蒸発器全体を比較的均一に除霜でき省エネ性が高い冷蔵庫となる。
なお、第二の除霜手段を実施するにあたっては、庫内送風機9の稼働時間を、除霜ヒータ22近傍の暖気が、蒸発器7の上部に到達して、且つ、食品貯蔵室内に吹き出さない範囲適切に設定することが必要となるが、これについて図12,図13を参照しながら以下で説明する。
図12は、庫内送風機の静圧−風量特性と風路抵抗の関係を表す図、図13は、蒸発器周辺構造を表す断面図である。
図12に示すように、一般に、庫内送風機を稼働した場合の動作風量は、庫内送風機の静圧−風量特性と、風路抵抗曲線の交点により定まる。例えば、本実施形態では、庫内送風機9として、翼外径が110mmのプロペラファンを採用しており、庫内送風機9の静圧−風量特性と冷蔵室ダンパ20が開状態となっている場合の風路抵抗との交点により定まる動作風量は、約0.6m3/minである(庫内送風機9の回転数は1600min-1)。
次に、蒸発器を通過する流れの流速は、動作風量を蒸発器流路断面積(蒸発器の幅寸法と奥行寸法の積にほぼ等しい)で除することにより求まる。例えば、本実施形態では、動作風量は約0.6m3/minであり、蒸発器7の幅寸法は400mm、奥行寸法は77mmなので、蒸発器7を通過する流れの流速は約0.32m/sとなる。
一方、図13(a)は、本実施形態の第一の除霜手段による除霜を実施している状態を表しており、除霜ヒータ22の近傍の領域Aが高温に、除霜ヒータから離れた蒸発器上部の領域2が低温になっている。このとき、高温となっている除霜ヒータ22近傍の暖気を領域2の最上部(蒸発器7の最上部)にまで移動させることを考えた場合、その移動距離は、図13(a)中に示すL(本実施形態ではL=250mm)となる。したがって、第二の除霜手段によりLだけ空気を移動させれば、図13(b)に示すように、領域Aの熱を、領域Bに移動させて、蒸発器7の全体を比較的均一に加熱することができるようになる。
ここで、上述のとおり、本実施形態では、蒸発器7を通過する流れの流速は約0.32m/sなので、L(=250mm)だけ空気を移動させるために必要な時間は、約0.8秒となる。一方、食品貯蔵室内に吹き出さないようにするためには、庫内送風機9から最も近い位置にある上段冷凍室吹き出し口4cから、除霜ヒータ22近傍の暖気が吹き出さないようにする必要がある。除霜ヒータ22近傍の暖気が上段冷凍室吹き出し口4cから吹き出す時間を求めると(風路が複雑であるため計算ではなく、実験により評価)、約1.5秒であった。したがって、本実施形態の第二の除霜手段を実施する際の庫内送風機9の稼働時間t2は0.8秒〜1.5秒に設定することが望ましく、本実施形態では、瞬時に庫内送風機9の回転数が所定回転まで上昇しないことも考慮してt2=1秒としている。
本実施形態の冷蔵庫は、第一の除霜手段を実施する時間(t1)を、第二の除霜手段を実施する時間(t2)よりも長くしている。これにより、第一の除霜手段によって蒸発器7の下部及び除霜ヒータ22近傍に熱を十分蓄えた状態として、第二の除霜手段によってその熱を蒸発器上部に移動させるようにできるので、除霜効率が高くなる。
本実施形態の冷蔵庫は、所定の時間間隔で第一の除霜手段と、第二の除霜手段を交互に実施するようにしている。これにより、複雑な制御を行わずに、確実に、第一の除霜手段と第二の除霜手段を併用した除霜を行うことによる省エネ性向上効果を得ることができる。
本発明に係る冷蔵庫の第二の実施形態を、図6〜図8を参照しながら説明する。図6は、蒸発器周辺の構成を表す正面図である。なお、図6に示す構成以外の構成は、第一の実施形態の冷蔵庫1と同一であるため、説明を省略する。また、図6において、第1実施形態と同一の構成については、同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態の冷蔵庫は、図6に示すように、蒸発器上部の温度を検知するための、蒸発器上部温度検知センサ35aと、蒸発器下部の温度を検知するため、蒸発器下部温度検知センサ35bを備えている。
図7は、本実施形態の冷蔵庫の除霜運転中の制御を表す制御フローチャートである。冷蔵庫1は電源投入により運転が開始され、冷蔵庫1の各貯蔵室が冷却される。冷却中には、扉開閉時に流入する水分や、食品から蒸散した水分が蒸発器7に霜として成長するため、蒸発器の霜を解かすための除霜運転が行われる。ここでは、除霜運転を実施する条件が満足された際の制御を、図7を参照しながら説明する。
本実施形態の冷蔵庫では、圧縮機24の積算運転時間,庫外温度,扉開閉の回数に基づいて除霜運転を実施する条件か否かが判定され、除霜運転を実施する条件が満足された場合(除霜運転スタート)、続いて、圧縮機24を停止、冷蔵室ダンパ20を開放、庫内送風機9を停止、除霜ヒータ通電状態で、第一の除霜手段による除霜が実施される(ステップS201)。
次に、蒸発器上部温度検知センサ35aが検知する蒸発器上部温度が、除霜終了温度Tevp2(本実施形態ではTevp2=8℃)より高いか否かが判定され(ステップS202)、ステップS202が満足されない場合(No)、続いて、蒸発器下部温度検知センサ35bが検知する蒸発器下部温度が、霜融解完了温度Tevp1(本実施形態ではTevp1=0.5℃)より高いか否かが判定され(ステップS203)、ステップS203が満足されない場合(No)、蒸発器下部温度が庫内ファン停止時よりΔT1(本実施形態ではΔT1=5℃)だけ上昇したか否かが判定され(ステップS204)、ステップS204が満足されない場合(No)、再び、ステップS202の判定に戻る。
ステップS202,S203が満足される前に、ステップS204が満足された場合(Yes)、続いて、庫内送風機9が稼働状態となり、時間t2(本実施形態ではt2=1秒)の間、第二の除霜手段による除霜を実施する(ステップS204,S205)。
時間t2が経過した後には(ステップS205がYes)、再びステップS201に戻り、庫内送風機9が停止して、第一の除霜手段による除霜の状態に戻る。
以降、上記の制御が繰り返されて除霜運転が進み、ステップS203が満足された場合(Yes)、続いて蒸発器下部温度がΔT2(本実施形態ではΔT2=2℃)だけ上昇したか否かが判定される(ステップS207)。ステップS207が満足されない場合(No)、再びステップS202に戻り、ステップS207が満足された場合、ステップS205に移り、第二の除霜手段による除霜が、時間t2だけ実施され(ステップS206)、ステップS201に戻る。以降ステップS202が満足されるまで以上を繰り返して、ステップS202が満足された場合(Yes)、除霜ヒータ22への通電が停止され(ステップS106)、除霜運転終了となる。
次に、図8を参照しながら、本実施形態の除霜運転中の蒸発器温度の変化について説明する。
図8下には、本実施形態の除霜運転中の制御状態、図8上には、本実施形態の除霜運転中の蒸発器下部温度と、蒸発器上部温度をそれぞれ示している。図8の時間ta′において、圧縮機24停止状態、冷蔵室ダンパ20開放状態、庫内送風機9停止状態、除霜ヒータ22通電状態となり、第一の除霜手段による除霜運転が開始している(図7のステップS201)。庫内送風機9停止後の時間tb′で蒸発器下部温度がΔT(=5℃)だけ上昇したので(図7のステップS204)、庫内送風機9がt2(=1秒)だけ稼働して第二の除霜手段による除霜が実施されている(図7のステップS205,S206)。その後、再び庫内送風機9が停止して第一の除霜手段による除霜運転が実施され、以降同様の制御が繰り返されている。蒸発器下部近傍の霜の融解が始まると、蒸発器下部温度はほぼ0℃一定となるので、図7におけるステップS204が満足されなくなり、第一の除霜手段による除霜が実施される。続いて、時間tc′で蒸発器下部温度がTevp1(=0.5℃)に達したので、それ以降は、蒸発器下部温度が庫内送風機9停止時点からΔT2(=2℃)だけ上昇したか否かが判定されるようになる(図7のステップS207)。時間td′でΔT2(=2℃)だけ温度が上昇したので、庫内送風機9がt2(=1秒)だけ稼働して第二の除霜手段による除霜が実施されている(図7のステップS205,S206)。その後、再び庫内送風機9が停止して第一の除霜手段による除霜運転が実施され、以降同様の制御が繰り返されて、時間te′で蒸発器上部温度が除霜終了温度に達したので除霜が終了している。
以上のように、本実施形態の冷蔵庫は、蒸発器下部温度を検知する手段を備え、第一の除霜手段による除霜中に、蒸発器下部温度が所定温度幅だけ温度上昇した場合に、第二の除霜手段による除霜を実施するようにしている。これにより、蒸発器7の下部温度が上昇した際に、第二の除霜手段によって、蒸発器下部の熱を蒸発器上部に移動させることができ、蒸発器下部の霜が融解している最中で、蒸発器下部温度の上昇があまり起きていない場合には、第二の除霜手段による除霜を実施するために庫内送風機9を稼働させないようにしているので、効率よく庫内送風機9を利用した除霜となっている。
また、本実施形態の冷蔵庫では、蒸発器下部の霜が融解し終えた時点からは、第二の除霜手段による除霜がより頻繁に実施されるように、第二の除霜手段による除霜を実施するための判定基準である蒸発器下部温度の温度上昇幅を小さくしている(具体的にはΔT1=5℃からΔT2=2℃)。これにより、特に、除霜終了直前に、蒸発器下部近傍が過度に温度上昇するために(図5中の長破線で示す蒸発器下部温度(従来)参照)、蒸発器収納室8前方の貯蔵室(本実施形態では冷凍温度帯室60)の温度が上昇して、保存性能が低下するといった事態が生じ難い冷蔵庫となる。
本発明に係る冷蔵庫の第三の実施形態を、図9〜図11を参照しながら説明する。図9は、冷蔵庫の庫内の構成を表す図1におけるX−X縦断面図である。なお、図9に示す構成以外の構成は、第一の実施形態の冷蔵庫1と同一であるため、説明を省略する。また、図9において、第1実施形態と同一の構成については、同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態の冷蔵庫は、図9に示すように、冷蔵温度帯室61への送風量を制御する送風量制御手段(冷蔵室ダンパ20)とともに、冷凍温度帯室60への送風量を制御する送風量制御手段(冷凍室ダンパ50)を備えている。したがって、冷蔵室ダンパ20が開状態、冷凍室ダンパ50が閉状態で庫内送風機9を稼働させた場合には、冷気は、冷蔵温度帯室61のみに送られ、冷蔵室ダンパ20が閉状態、冷凍室ダンパ50が開状態で庫内送風機9を稼働させた場合には、冷気は、冷凍温度帯室60のみに送られる。また、冷蔵室ダンパ20が開状態、冷凍室ダンパ50が開状態では、冷気は、冷凍温度帯室60と冷蔵温度帯室61の双方に送られる。
図10は、本実施形態の冷蔵庫の除霜運転中の制御を表す制御フローチャートである。冷蔵庫1は電源投入により運転が開始され、冷蔵庫1の各貯蔵室が冷却される。冷却中には、扉開閉時に流入する水分や、食品から蒸散した水分が蒸発器7に霜として成長するため、蒸発器の霜を解かすための除霜運転が行われる。ここでは、除霜運転を実施する条件が満足された際の制御を、図10を参照しながら説明する。
本実施形態の冷蔵庫では、圧縮機24の積算運転時間,庫外温度,扉開閉の回数に基づいて除霜運転を実施する条件か否かが判定され、除霜運転を実施する条件が満足された場合(除霜運転スタート)、続いて、庫外温度が低温か否か(本実施形態では庫外温度が5℃以下の場合、低温と判定)が判定される(ステップS301)。ステップS301が満足されない場合(No)、除霜モード1が選択され(ステップS302)、続いて、圧縮機24を停止、冷蔵室ダンパ20を開放、冷凍室ダンパ50を閉鎖、庫内送風機9を稼働、除霜ヒータ非通電状態となり(ステップS303)、冷蔵温度帯室61に送風することで、冷蔵温度帯室61の熱を利用して、霜を加熱する第三の除霜手段による除霜が実施される。
第三の除霜手段による除霜中は、蒸発器温度がTevp1(本実施形態ではTevp1=−1℃)より高いか否か(ステップS304)、時間t1(本実施形態ではt1=20分)が経過したか否か(ステップS305)が判定され、ステップS304またはステップS305の何れかが満足されるまで、第三の除霜手段による除霜が継続される。
ステップS304またはステップS305の何れかが満足された場合(Yes)、続いて、除霜ヒータが通電状態となる(ステップS306)。これにより、圧縮機24を停止、冷蔵室ダンパ20を開放、冷凍室ダンパ50を閉鎖、庫内送風機9を稼働、除霜ヒータ通電状態となる。本実施形態では、除霜ヒータ通電量を150Wとしており、この通電量とすることで、除霜ヒータ通電状態であっても、冷蔵温度帯室61を冷却することができる。このように、圧縮機24を停止、冷蔵室ダンパ20を開放、冷凍室ダンパ50を閉鎖、庫内送風機9を稼働の状態として、除霜ヒータを冷蔵温度帯室61を冷却できる範囲の通電量で通電するように制御することを第四の除霜手段による除霜と呼ぶことにする。
第四の除霜手段による除霜は、蒸発器温度がTevp2(本実施形態ではTevp2=0.5℃)より高くなるまで継続され(ステップS307)、続いて、庫内送風機が停止し(ステップS308)、圧縮機24停止、庫内送風機9停止、除霜ヒータ22通電の状態となり、第一の除霜手段による除霜が実施される。
次に、蒸発器温度が、除霜終了温度Tevp3(本実施形態ではTevp3=8℃)より高いか否かが判定され(ステップS309)、ステップS309が満足されない場合(No)、続いて、時間t2(本実施形態ではt2=2分)が経過したか否かが判定され(ステップS310)、ステップS310が満足されない場合(No)、再び、ステップS309の判定に戻る。
ステップS309が満足される前に、時間t2が経過してステップS310が満足された場合(Yes)、続いて、庫内送風機9が稼働状態となり(ステップS311)、圧縮機24停止、冷蔵室ダンパ20を開放、冷凍室ダンパ50を閉鎖、庫内送風機9稼働、除霜ヒータ22通電の状態を時間t3(本実施形態ではt3=4秒)だけ実施(第二の除霜手段による除霜を実施)する(ステップS312)。
なお、第二の除霜手段による除霜を実施する時間t3が4秒となっており、第一の実施形態、または、第二の実施形態における第二の除霜手段による除霜を実施する時間1秒より長いが、これは、冷蔵室ダンパを開状態、冷凍室ダンパ50を閉状態とした場合、風路抵抗が大きくなるために、第一の実施形態、または、第二の実施形態に比べて、動作風量が約1/4に減少して、蒸発器7を通過する流速が低下するためである(流速が遅いので、除霜ヒータ近傍の暖気を蒸発器上部に到達させるためには相対的に長い時間を要する)。
時間t3が経過した後には(ステップS312がYes)、再びステップS308に戻り、庫内送風機9が停止して、第一の除霜手段による除霜が行われる。
以降、上記の制御が繰り返され、ステップS309が満足された場合(Yes)、除霜ヒータ22への通電が停止され(ステップS313)、除霜運転終了となる。
次に、庫外温度が5℃以下の低温であり、ステップS301が満足された場合(Yes)について説明する。
ステップS301が満足された場合、除霜モード2が選択され(ステップS401)、続いて、圧縮機24を停止、冷蔵室ダンパ20を開放、冷凍室ダンパ50を閉鎖、庫内送風機9を停止、除霜ヒータ通電状態となり(ステップS402)、第一の除霜手段による除霜が実施される。
次に、蒸発器温度が、除霜終了温度Tevp3(本実施形態ではTevp3=8℃)より高いか否かが判定され(ステップS403)、ステップS403が満足されない場合(No)、続いて、時間t2(本実施形態ではt2=2分)が経過したか否かが判定され(ステップS404)、ステップS404が満足されない場合(No)、再び、ステップS403の判定に戻る。
ステップS403が満足される前に、時間t2が経過してステップS404が満足された場合(Yes)、続いて、庫内送風機9が稼働状態となり(ステップS405)、圧縮機24停止、冷蔵室ダンパ20を開放、冷凍室ダンパ50を閉鎖、庫内送風機9稼働、除霜ヒータ22通電の状態を時間t3(本実施形態ではt3=4秒)だけ実施(第二の除霜手段による除霜を実施)する(ステップS406)。
時間t3が経過した後には(ステップS406がYes)、再びステップS402に戻り、庫内送風機9が停止して、第一の除霜手段による除霜が行われる。
以降、上記の制御が繰り返され、ステップS403が満足された場合(Yes)、除霜ヒータ22への通電が停止され(ステップS407)、除霜運転終了となる。
次に、図11を参照しながら、本実施形態の除霜運転中の蒸発器温度と冷蔵室温度の変化について説明する。
図11は、本実施形態の冷蔵庫を庫外温度が30℃の環境に設置した場合の除霜運転中の制御状態と蒸発器温度及び冷蔵室温度の変化を表す図である。図11下には、本実施形態の除霜運転中の制御状態、図11上には、本実施形態の除霜運転中の蒸発器下部温度と、蒸発器上部温度、冷蔵室温度をそれぞれ示している。図11の時間tAにおいて、除霜運転が開始するが、ここでは、庫外温度が30℃となっているので、図10におけるステップS301は満足されないため、除霜モード1が選択され(図10におけるステップS302)、圧縮機24停止状態、冷蔵室ダンパ20開放状態、冷凍室ダンパ50閉鎖状態、庫内送風機9稼働状態、除霜ヒータ22非通電状態となり、第三の除霜手段による除霜運転が開始している(図10のステップS303)。このとき、冷蔵室2は、霜によって冷却されて、一方、蒸発器7は、冷蔵室2の熱負荷によって加熱されるので、温度が上昇する。続いて時間tBで、蒸発器温度(蒸発器上部の蒸発器温度センサ35の検知温度)がTevp1に達したので(図10におけるステップS304がYes)、除霜ヒータ22が通電状態となっている。このとき、除霜ヒータ通電量は、冷蔵室2を冷却できる範囲(本実施形態では150W)としているので、除霜ヒータ22に通電した状態で冷蔵室2に送風しているが、冷蔵室2は冷却されて低温を維持している(第四の除霜手段による除霜)。続いて、時間tCで、蒸発器温度(蒸発器上部温度)が、Tevp2に達したので(図10におけるステップS307がYes)、庫内送風機9が停止して(図10におけるステップS308)、第一の除霜手段による除霜が行われている。以降は、t2(=2分)経過ごとに(図10におけるステップS310)、t3(=4秒)だけ庫内送風機9が稼働して第二の除霜手段による除霜が実施され(図10におけるステップS311,S312)、時間tDで、蒸発器温度(蒸発器上部温度)がTevp3に達したので(図10におけるステップS309がYes)、除霜ヒータ22が非通電(図10におけるステップS313)となり、除霜が終了している。
以上のように、本実施形態の冷蔵庫は、冷凍室ダンパ50を閉状態として、第二の除霜手段による除霜を実施している。これにより、第二の除霜手段による除霜中に、冷凍温度帯室を加熱することを確実に防止できるので、除霜中に冷凍温度帯室が温度上昇し難い保存性のよい冷蔵庫となる。
本実施形態の冷蔵庫は、冷凍室ダンパ50を閉状態、冷蔵室ダンパ20を開状態として第二の除霜手段による除霜を実施している。第二の除霜手段による除霜は、庫内送風機9によって蒸発器に空気を流すことができる状態である必要があるため、冷凍室ダンパ50または冷蔵室ダンパ20の何れかを開状態としておくことが必要となるが、冷蔵室ダンパ20を開状態とすることで、第二の除霜手段による除霜中に、吹き出し口近傍に到達した暖気の影響で貯蔵室温度が上昇することがあっても、食品が解けるといった不具合が生じないようにすることができる。
本実施形態の冷蔵庫は、第三の除霜手段(圧縮機24を停止、冷蔵室ダンパ20を開放、冷凍室ダンパ50を閉鎖、庫内送風機9を稼働、除霜ヒータ非通電状態での除霜)を備えている。第三の除霜手段によって除霜を行うと、除霜ヒータに通電せずに、冷蔵温度帯室61の熱負荷で霜を加熱するので、省エネ性が高くなる。したがって、第三の除霜手段と、第一の除霜手段,第二の除霜手段を用いることで、除霜運転時の省エネ性がより高い冷蔵庫となる。
本実施形態の冷蔵庫は、第四の除霜手段(圧縮機24を停止、冷蔵室ダンパ20を開放、冷凍室ダンパ50を閉鎖、庫内送風機9を稼働、除霜ヒータ22を冷蔵温度帯室61が冷却できる範囲で通電)を備えている。第四の除霜手段によって除霜を行うと、冷蔵室を冷却できるようにすることは、冷蔵室の熱負荷で霜を加熱できるようにすることと同じであり、冷蔵室の熱負荷で霜を加熱した分だけ、除霜ヒータ通電にようする電力量を低減でき、省エネ性が高くなる。したがって、第四の除霜手段と、第一の除霜手段、第二の除霜手段を用いることで、除霜運転時の省エネ性がより高い冷蔵庫となる。
本実施形態の冷蔵庫は、第三の除霜手段による除霜を、時間t2(=20分)が経過した場合、または、蒸発器温度が0℃より低いTevp1(=−1℃)に到達した場合に終了して、除霜ヒータ22に通電するようにしている。これにより、霜が多量に付着しており、蒸発器温度が上昇するのに時間がかかりすぎるような場合には、所定時間t2で除霜ヒータ22への通電が開始されて、除霜が加速されるため、除霜時間が長くなりすぎることにより、特に冷凍温度帯室の食品が解けるといった不具合が生じ難い冷蔵庫になる。
また、霜の融解が始まり、蒸発器温度が0℃となって、冷蔵温度帯室61からの戻り冷気の温度差が小さくなると、霜を加熱する能力が低下する。したがって、蒸発器温度が所定温度Tevp1に到達した場合にも第三の除霜手段による除霜を終了して、除霜ヒータ22への通電を行うことで、冷蔵温度帯室61からの戻り冷気を加熱して、霜を加熱する能力を確保することで除霜を促進して、除霜時間が長くなりすぎないようにしている。
本実施形態の冷蔵庫は、蒸発器温度が0℃より高いTevp2に達した場合に、庫内送風機9を停止して、第四の除霜手段による除霜を終了している。第四の除霜手段による除霜は、霜の融解が完了して、霜の融解潜熱が利用できなくなった場合には、除霜ヒータ22の熱で、冷蔵温度帯室61を加熱してしまうので、蒸発器温度が0℃より高くなり、霜の融解潜熱が利用できなくなった場合に、第四の除霜手段による除霜を終了して、除霜運転中に、冷蔵温度帯室61が温度上昇し難い冷蔵庫としている。
本実施形態の冷蔵庫は、庫外温度が低温の場合には、第一の除霜手段と、第二の除霜手段のみで除霜を行うモードを選択するようにしている。庫外温度が低温の場合には、冷蔵温度帯室61は冷えやすいため、第三の除霜手段、あるいは、第四の除霜手段を実施すると、冷蔵温度帯室61内の食品が冷却されすぎて、凍結に至ることがある。したがって、本実施形態の冷蔵庫では、庫外温度が低温の場合には、第一の除霜手段と、第二の除霜手段のみで除霜を行うモードを選択するようにして、冷蔵温度帯室61内の食品が凍結するといった事態が生じない冷蔵庫としている。
本発明に係る冷蔵庫の第四の実施形態を、図14〜図17を参照しながら説明する。図14は、冷蔵庫の庫内の構成を表す図1におけるX−X縦断面図であり、図15は冷蔵庫の庫内の風路構成を表す正面図である。なお、図14,図15に示す構成以外の構成は、第一の実施形態の冷蔵庫1と同一であるため、説明を省略する。また、図14,図15において、第1実施形態と同一の構成については、同一符号を付して説明を省略する。
図14あるいは図15に示すように、本実施形態の冷蔵庫は、貯蔵室として、上方から、冷蔵室2(内容積302L)と、冷蔵室2の下部に備えられた減圧貯蔵室62(22L)と、製氷室3(内容積21L)と、上段冷凍室4(内容積34L)と、下段冷凍室5(内容積130L)と、野菜室6(内容積111L)を備えている。なお、減圧貯蔵室62とは、前面に図示しない開閉扉を備えている。開閉扉閉時には、室内が気体の移動を抑制されて減圧状態で保持される貯蔵室であり、減圧下で食品を保存できる。減圧貯蔵室62の背部左奥には、図示しない小型真空ポンプ(図示せず)を備えている。減圧貯蔵室62の空気は、小型真空ポンプを作動させることによって吸引して、内部圧力を約0.8気圧に減圧して保持できるようにしてある。
図15に示すように、蒸発器収納室8内であって蒸発器7の上方には、送風手段として庫内送風機9が設けられている。蒸発器7と熱交換して冷やされた冷気は、庫内送風機9によって冷蔵室送風ダクト11,減圧貯蔵室送風ダクト63,野菜室送風ダクト14,冷凍室送風ダクト12(図14参照)を介して、冷蔵室2,減圧貯蔵室62,野菜室6,製氷室3,上段冷凍室4,下段冷凍室5の各吹き出し口2c,62c,6c,3c,4c,5cからそれぞれ吹き出して冷却する。なお、減圧貯蔵室62の吹き出し口62cから吹き出された冷気は、貯蔵室内には直接流入せずに、貯蔵室周辺を流れることで減圧貯蔵室62を間接冷却する。冷蔵室2と、減圧貯蔵室62を冷却した冷気は、冷蔵室戻り口2dから冷蔵室戻りダクト16(野菜室送風ダクト14の背部に配設)に入り、蒸発器収納室8の右下から蒸発器収納室8に戻る。また、野菜室6を冷却した冷気は、下側断熱仕切壁52の左寄り下部前方に設けられた野菜室戻りダクト入口6dから野菜室戻りダクト18を経て、野菜室戻りダクト出口18aから蒸発器収納室8の下部に戻る。製氷室3,上段冷凍室4,下段冷凍室5を冷却した冷気は、冷凍室戻り口17を介して蒸発器収納室8に戻る。
ちなみに、冷蔵室2,減圧貯蔵室62,製氷室3,上段冷凍室4,下段冷凍室5及び野菜室6への各送風ダクトは、冷蔵庫1の各貯蔵室の背面側に設けられている。
各貯蔵室への送風は、冷蔵室2への送風量を制御する冷蔵室ダンパ20aと、減圧貯蔵室62への送風を制御する減圧貯蔵室ダンパ20b、野菜室6への送風を制御する野菜室ダンパ70、冷凍温度帯室60(製氷室3,上段冷凍室4,下段冷凍室5)への送風量を制御する冷凍室ダンパ50によって制御される。また、冷蔵室2は4℃程度、減圧貯蔵室62は−1℃または1℃程度(図示しない減圧貯蔵室温度設定手段によって−1℃(氷温設定)と1℃(チルド設定)を選択可能)、野菜室は6℃程度、冷凍温度帯室60は−18℃程度に維持される。
冷蔵室ダンパ20a,減圧貯蔵室ダンパ20b,野菜室ダンパ70,冷凍室ダンパ50の各ダンパは、開口部を備えたフレームと、開口部を閉鎖するための開閉板を備えるものであり、モータや減速歯車などの駆動系によって開閉板を駆動することで、開口部が開閉制御される。なお、本実施形態では、冷蔵室ダンパ20a,減圧貯蔵室ダンパ20bは、共通の単一モータによってそれぞれの開口部の開閉板を制御するようにしてあり、モータを駆動することで、「冷蔵室ダンパ20a開状態,減圧貯蔵室ダンパ20b開状態」,「冷蔵室ダンパ20a開状態,減圧貯蔵室ダンパ20b閉状態」,「冷蔵室ダンパ20a閉状態,減圧貯蔵室ダンパ20b開状態」,「冷蔵室ダンパ20a閉状態,減圧貯蔵室ダンパ20b閉状態」のいずれの状態も実現できるようになっている。また、冷蔵室ダンパ20aの開口部の面積(開口面積)は1800mm2(100mm×18mm)、減圧貯蔵室ダンパ20bの開口部の面積(開口面積)は946mm2(43mm×22mm)、野菜室ダンパ70の開口部の面積(開口面積)は560mm2(35mm×16mm)、冷凍室ダンパ50の開口部の面積(開口面積)は6300mm2(180mm×35mm)であり、各貯蔵室への送風量は、上記ダンパ開口面積で調整しており、ダンパ開口面積を大きくしている貯蔵室に、より多くの冷気が送風されるようになっている。
以上で本実施形態の冷蔵庫の構造を説明したが、次に本実施形態の冷蔵庫の制御について図16及び図17を参照しながら説明する。
図16は、本実施形態の冷蔵庫の除霜運転中の制御を表す制御フローチャートである。本実施形態の冷蔵庫では、圧縮機24の積算運転時間,庫外温度,扉開閉の回数に基づいて除霜運転を実施する条件か否かが判定され、除霜運転を実施する条件が満足された場合(除霜運転スタート)、続いて、圧縮機24を停止、冷蔵室ダンパ20aを開放、減圧貯蔵室ダンパ20bを開放、野菜室ダンパ70を開放、冷凍室ダンパ50を閉鎖、庫内送風機9を稼働、除霜ヒータ22非通電状態となり(ステップS501)、冷蔵温度帯室61に送風することで、冷蔵温度帯室61の熱を利用して、霜を加熱する第三の除霜手段による除霜が実施される。
第三の除霜手段による除霜中は、蒸発器温度がTevp1(本実施形態ではTevp1=−1℃)より高いか否か(ステップS502)、時間t1(本実施形態ではt1=20分)が経過したか否か(ステップS503)が判定され、ステップS502またはステップS503の何れかが満足されるまで、第三の除霜手段による除霜が継続される。
ステップS502またはステップS503の何れかが満足された場合(Yes)、続いて、減圧貯蔵室62の設定が氷温設定となっているか否かが判定され(ステップS504)、氷温設定となっていない(チルド設定となっている)場合(ステップS504がNo)、続いて、除霜ヒータ22が通電状態となる(ステップS506)。これにより、圧縮機24を停止、冷蔵室ダンパ20aを開放、減圧貯蔵室ダンパ20bを閉鎖、野菜室ダンパ70を開放、冷凍室ダンパ50を閉鎖、庫内送風機9を稼働、除霜ヒータ22通電状態となる。本実施形態では、除霜ヒータ通電量を150Wとしており、この通電量とすることで、除霜ヒータ通電状態であっても、冷蔵温度帯室61を冷却することができる(第四の除霜手段による除霜)。なお減圧貯蔵室62が氷温設定の場合(ステップS504がYes)、減圧貯蔵室ダンパ20bが閉じられて(ステップS505)、除霜ヒータ22通電状態となる(ステップS506)。
第四の除霜手段による除霜中には、蒸発器温度がTevp2(本実施形態ではTevp2=0.5℃)より高いか否かが判定され(ステップS507)、ステップS507が満足された場合(Yes)、冷蔵室ダンパ20aが閉鎖される(ステップS508)。これにより、圧縮機24を停止、冷蔵室ダンパ20aを閉鎖、減圧貯蔵室ダンパ20bを閉鎖、野菜室ダンパ70を開放、冷凍室ダンパ50を閉鎖、庫内送風機9を稼働、除霜ヒータ22通電状態となり、冷蔵温度帯室61のうち野菜室6のみに送風して、第四の除霜手段による除霜が実施される。続いて、蒸発器温度がTevp3(本実施形態ではTevp3=5℃)より高いか否かが判定され(ステップS509)、ステップS509が満足された場合(Yes)、庫内送風機9が停止し(ステップS510)、圧縮機24停止、庫内送風機9停止、除霜ヒータ22通電の状態となり、第一の除霜手段による除霜が実施される。
次に、蒸発器温度が、除霜終了温度Tevp4(本実施形態ではTevp4=8℃)より高いか否かが判定され(ステップS511)、ステップS511が満足されない場合(No)、続いて、時間t2(本実施形態ではt2=2分)が経過したか否かが判定され(ステップS512)、ステップS512が満足されない場合(No)、再び、ステップS511の判定に戻る。
ステップS511が満足される前に、時間t2が経過してステップS512が満足された場合(Yes)、続いて、庫内送風機9が稼働状態となり(ステップS513)、圧縮機24停止、冷蔵室ダンパ20a閉鎖、減圧貯蔵室ダンパ20b閉鎖、野菜室ダンパ70開放、冷凍室ダンパ50閉鎖、庫内送風機9稼働、除霜ヒータ22通電の状態を時間t3(本実施形態ではt3=4秒)だけ実施(第二の除霜手段による除霜を実施)する(ステップS514)。
時間t3が経過した後には(ステップS514がYes)、再びステップS510に戻り、庫内送風機9が停止して、第一の除霜手段による除霜が行われる。
以降、上記の制御が繰り返され、ステップS511が満足された場合(Yes)、除霜ヒータ22への通電が停止され(ステップS515)、除霜運転終了となる。
次に、図17を参照しながら、本実施形態の除霜運転中の蒸発器温度と冷蔵室温度の変化について説明する。
図17は、本実施形態の冷蔵庫を庫外温度が30℃の環境に設置した場合の除霜運転中の制御状態と蒸発器温度及び冷蔵室温度の変化を表す図である(減圧貯蔵室62は氷温設定)。図17下には、本実施形態の除霜運転中の制御状態、図17上には、本実施形態の除霜運転中の蒸発器下部温度と、蒸発器上部温度,冷蔵室温度,野菜室温度,減圧貯蔵室温度をそれぞれ示している。図11の時間tA′において、除霜運転が開始して、圧縮機24停止状態、冷蔵室ダンパ20a開放状態、減圧貯蔵室ダンパ20b開放状態、野菜室ダンパ70開放状態、冷凍室ダンパ50閉鎖状態、庫内送風機9稼働状態、除霜ヒータ22非通電状態となり第三の除霜手段による除霜運転が開始している(図16におけるステップS501)。このとき、冷蔵室2,減圧貯蔵室62,野菜室6は、霜によって冷却されて、一方、蒸発器7は、冷蔵室2,減圧貯蔵室62,野菜室6の熱負荷によって加熱されるので、温度が上昇する。続いて時間tB′で、蒸発器温度(蒸発器上部の蒸発器温度センサ35の検知温度)がTevp1に達したので(図16におけるステップS502がYes)、続いて、ここでは減圧貯蔵室62が氷温設定となっているので、減圧貯蔵室ダンパ20bが閉鎖され、除霜ヒータ22が通電状態となっている(図16におけるステップS504〜S506)。このとき、除霜ヒータ通電量は、冷蔵室2と野菜室6を冷却できる範囲(本実施形態では150W)としているので、除霜ヒータ22に通電した状態で冷蔵室2と野菜室6に送風しているが、冷蔵室2と野菜室6は冷却されて低温を維持している(第四の除霜手段による除霜)。ちなみに野菜室6の温度の方が冷蔵室2よりやや高い温度に維持されているが、これは、冷蔵室2より野菜室6の方が、風量が少なくなるように、冷蔵室ダンパ20aの開口面積よりも、野菜室ダンパ70の開口面積を小さくして、冷蔵室2と野菜室6を冷却する冷気が適切な風量配分になるようにしているためである。
続いて、時間tC′で、蒸発器温度(蒸発器上部温度)が、Tevp2に達したので(図16におけるステップS507がYes)、冷蔵室ダンパ20aが閉鎖され(図16におけるステップS508)、時間tD′で、蒸発器温度(蒸発器上部温度)が、Tevp3に達したので(図16におけるステップS509がYes)、庫内送風機9が停止して(図16におけるステップS510)、第一の除霜手段による除霜が行われている。以降は、t2(=2分)経過ごとに(図16におけるステップS512)、t3(=4秒)だけ庫内送風機9が稼働して第二の除霜手段による除霜が実施され(図16におけるステップS513,S514)、時間tE′で、蒸発器温度(蒸発器上部温度)がTevp4に達したので(図16におけるステップS511がYes)、除霜ヒータ22が非通電(図16におけるステップS515)となり、除霜が終了している。
以上で本実施形態の冷蔵庫の除霜運転時の制御を説明したが、本実施形態の冷蔵庫の通常の冷却運転時においては、圧縮機24が稼働することによって蒸発器7内の冷媒が低温となり、蒸発器7と熱交換した冷気で、各貯蔵室の冷却を行う。このとき、各貯蔵室が適正温度に保たれるように、各貯蔵室への送風を制御するダンパ(冷蔵室ダンパ20a,減圧貯蔵室ダンパ20b,野菜室ダンパ70,冷凍室ダンパ50)を適宜開閉する。また、圧縮機24が稼働することによって蒸発器7内の冷媒が低温となると、蒸発器7には霜が成長するため、通常の冷却運転時の圧縮機が停止した際には、第三の除霜手段による貯蔵室の冷却を行う(このとき、各貯蔵室は冷却されるが、霜は融解に至らないこともある)。
以上のように、本実施形態の冷蔵庫は、除霜運転時に冷蔵室ダンパ20aと野菜室ダンパ70を開放した状態で庫内送風機9を稼働させて除霜を行うが(第三の除霜手段)、冷蔵室ダンパ20aの開口面積を、野菜室ダンパ70の開口面積より大きくして、冷蔵室2に野菜室6よりも多く冷気が供給されるようにしている。
一般に、より大きいスペースを冷却して所定温度に維持する、あるいは、より低温に維持するためには、より大きい冷却能力が必要となるため、冷気温度が同程度である場合、冷気をより多く供給することが望ましい。また、一般に、上下方向に広がりのあるスペースを冷却する場合、下方には低温冷気が留まりやすいため、冷え難い上方により多くの冷気を供給することが望ましい。
本実施形態の冷蔵庫は、冷蔵室2は、野菜室6より内容積が大きく、且つ、保持すべき温度が相対的に野菜室より低い。また、冷蔵室2は野菜室6より上方に設けられている。したがって、冷蔵室ダンパ20aの開口面積を、野菜室ダンパ70の開口面積より大きくして、冷蔵室2に野菜室6よりも多く冷気が供給されるようにしている。これにより、冷蔵室2と野菜室6をともに適温に維持しながら除霜を行うことができるので、冷蔵室2と野菜室6の熱負荷で霜を加熱することによって省エネ性が高くなり、さらに、庫内温度を適正温度に維持し易い冷蔵庫となる。
また、本実施形態の冷蔵庫は、除霜運転時に冷蔵室ダンパ20aと野菜室ダンパ70を開放した状態で、霜の融解時(蒸発器温度は0℃でほぼ一定)には、冷蔵室2と野菜室6を冷却できる範囲で除霜ヒータ22に通電する第四の除霜手段による除霜を実施しているが、このとき、冷蔵室ダンパ20aの開口面積を、野菜室ダンパ70の開口面積より大きくして、冷蔵室2に野菜室6よりも多く冷気が供給されるようにしている。これにより、特に霜を融解させるために、一般に長い時間を要する霜の融解時に、冷蔵室2と野菜室6を適温に冷却して維持することができる。
本実施形態の冷蔵庫は、第四の除霜手段による除霜中に、蒸発器温度が0℃より高いTevp2に達した場合に、冷蔵室ダンパ20aを閉じるように制御して、続いて、Tevp2<より高く、野菜室維持温度(6℃)より低いTevp3に達した場合に、庫内送風機9を停止して、第四の除霜手段を終了するようにしている。第四の除霜手段による除霜は、除霜ヒータ22による加熱と併せて、庫内の熱負荷を利用した加熱を行う除霜なので、省エネ性が高いが、上記制御によって、冷蔵室2を冷却することができなくなった後にも、維持される温度が冷蔵室2(4℃程度)に比べて高い野菜室6(6℃程度)の冷却を継続できるので、より省エネ性を高くできる。さらに、霜が解けた後のより高湿な冷気を野菜室6に供給できるので、野菜室6をより野菜類が乾燥し難い高湿な貯蔵室にすることができる。
本実施形態の冷蔵庫は、チルド設定(1℃程度に維持)と、氷温設定(−1℃程度に維持)が可能な減圧貯蔵室62を備え、減圧貯蔵室62が氷温設定の場合には、第四の除霜手段による除霜中に減圧貯蔵室ダンパ20bを閉じるようにしている。第四の除霜手段による除霜中に、0℃より低い温度に維持される貯蔵室への送風を行うと、霜の融点は0℃であり、第四の除霜手段による除霜中の吹き出し冷気は0℃より高いため(本実施形態の冷蔵庫では1℃程度)、氷温設定の減圧貯蔵室62の温度を上昇させてしまうため、上記制御を行うことで、氷温設定の減圧貯蔵室62の温度を適正温度に維持するようにしている。
本実施形態の冷蔵庫は、減圧貯蔵室ダンパ20bの開口面積を、冷蔵室ダンパ20aの開口面積よりも小さくしている。本実施形態の冷蔵庫は、冷蔵室2の下部に、冷蔵室2より相対的に内容積が小さい減圧貯蔵室62を備えているので、減圧貯蔵室62はスペースが小さく、且つ、空間の下部に備えられているため冷えやすく、一方、冷蔵室2は、相対的に冷え難い。したがって、本実施形態の冷蔵庫では、減圧貯蔵室ダンパ20bの開口面積を、冷蔵室ダンパ20aの開口面積よりも小さくしている。これにより、第三の除霜手段、または、第四の除霜手段による除霜中に、冷蔵室ダンパ20aと減圧貯蔵室ダンパ20bを開放して冷却する場合、冷蔵室2と減圧貯蔵室62に向かう冷気風量が適量となるため、冷蔵室2と減圧貯蔵室62をともに良好に冷却できる。
本実施形態の冷蔵庫は、冷凍温度帯室60の下方に下側断熱仕切壁52を隔てて野菜室6を配設して、冷凍温度帯室60の上方に、上側断熱仕切壁51を隔てて、減圧貯蔵室62を配設している。また、減圧貯蔵室ダンパ20bの開口面積より、野菜室ダンパ70の開口面積を小さくしている。
野菜室6は、野菜室ダンパ70を閉状態であっても、下側断熱仕切壁52を介して、冷凍温度帯室60の冷熱が伝わり、下側断熱仕切壁52の下面(野菜室6の上面)近傍の空気が冷却される。冷却された空気は、下方に向かうので、野菜室6内が良好に冷却される。一方で、減圧貯蔵室62は、上側断熱仕切壁51を介して冷凍温度帯室60の冷熱が伝わるが、減圧貯蔵室62の下面近傍の空気が冷却されても、空気は下面近傍にとどまるので、減圧貯蔵室62の全体が良好に冷却されることはない。よって、上方に冷凍温度帯室60を備えた野菜室6は、下方に冷凍温度帯室60を備えた減圧貯蔵室62より冷えやすいため、野菜室6と減圧貯蔵室62に同時に冷気を供給して冷却する場合、野菜室6に供給する冷気が少なくなるようにすることが望ましい。したがって、本実施形態の冷蔵庫では、第三の除霜手段、または、第四の除霜手段による除霜中に、減圧貯蔵室ダンパ20bと野菜室ダンパ70を開放して冷却する場合があるが、減圧貯蔵室ダンパ20bの開口面積より、野菜室ダンパ70の開口面積を小さくしているので、減圧貯蔵室62より野菜室6に向かう冷気風量が少量となり、減圧貯蔵室62と野菜室6がともに良好に冷却できる。
また、本実施形態の冷蔵庫は、冷蔵室ダンパ20aと、減圧貯蔵室ダンパ20bと、野菜室ダンパ70の中で、野菜室ダンパ70の開口面積を最も小さくしているので、圧縮機24を稼働させた状態で、野菜室6に冷気を供給して冷却する際にも、圧縮機24稼働時の食品を乾燥させやすい冷気(一般に圧縮機24稼働時には、循環する冷気によって食品の水分が奪われて蒸発器7に霜となって付着する)の循環を抑えることで、野菜室6内に収納された野菜等の食品が乾燥し難い冷蔵庫となる。
本実施形態の冷蔵庫は、冷凍室ダンパ50の開口面積を、冷蔵室ダンパ20aと、減圧貯蔵室ダンパ20bと、野菜室ダンパ70の何れの開口面積よりも大きく、且つ、冷蔵室ダンパ20aと、減圧貯蔵室ダンパ20bと、野菜室ダンパ70の開口面積を合計した面積よりも大きくしている。除霜運転中、冷凍温度帯室60は冷却されないため、除霜運転終了時に温度が上昇しており、除霜運転中に冷凍温度帯室60の扉の開閉があった場合などは特に温度上昇が著しい。また、除霜運転終了前に実施される、第一の除霜手段、あるいは、第二の除霜手段による除霜時には、冷蔵室2,減圧貯蔵室62,野菜室6の冷却は行われない。したがって、例えば、第一の除霜手段、あるいは、第二の除霜手段による除霜中に、冷蔵室2,減圧貯蔵室62,野菜室6の扉の開閉があった場合、冷蔵室2,減圧貯蔵室62,野菜室6の温度は、除霜運転終了時に大きく上昇した状態となることがある。この場合、除霜運転終了後に素早く温度復帰させることが必要となる。
例えば、第一の除霜手段、あるいは、第二の除霜手段による除霜中に、野菜室6の扉を開閉した場合には、除霜運転終了時に、冷凍温度帯室60と野菜室6の温度が大きく上昇した状態となるので、野菜室ダンパ70と冷凍室ダンパ50を開放した状態で、圧縮機24と庫内送風機9を稼働して素早く温度復帰させる。このとき、特に冷凍食品が解けるといった不具合を回避するためにも、冷凍温度帯室60には、より多くの冷気を供給して素早く冷却することが望ましい。したがって、本実施形態の冷蔵庫では、冷凍室ダンパ50の開口面積を、野菜室ダンパ70よりも大きくすることで、より多くの冷気が冷凍温度帯室60に供給されるようにして、冷凍温度帯室60の冷凍食品が解けるといった不具合が生じ難い冷蔵庫としている。同様に、冷凍室ダンパ50の開口面積を、冷蔵室ダンパ20a,減圧貯蔵室ダンパ20bの何れよりも大きくしているので、除霜運転終了時に、冷蔵室2あるいは減圧貯蔵室62の温度上昇が大きい場合も、より多くの冷気が冷凍温度帯室60に供給されて、冷凍温度帯室60の冷凍食品が解けるといった不具合が生じ難い冷蔵庫となる。
冷凍室ダンパ50と、冷蔵室ダンパ20a,減圧貯蔵室ダンパ20b,野菜室ダンパ70の全て、または、開放し、冷凍室ダンパ50の全てのダンパを開状態として、圧縮機24と庫内送風機9を稼働した冷却運転を行うが、このとき、冷凍温度帯室60と、冷蔵室2と、減圧貯蔵室62と、野菜室6の中で最も低温に冷却しなければならない冷凍温度帯室60には、より多くの冷気を供給して素早く冷却することが望ましい。
したがって、本実施形態の冷蔵庫では、冷凍室ダンパ50の開口面積を、冷蔵室ダンパ20aと、減圧貯蔵室ダンパ20bと、野菜室ダンパ70の何れの開口面積よりも大きく、且つ、冷蔵室ダンパ20aと、減圧貯蔵室ダンパ20bと、野菜室ダンパ70の開口面積を合計した面積よりも大きくすることで、冷凍温度帯室60に最も多く冷気が供給されるようにして、冷凍温度帯室60を素早く冷却して、冷凍食品が解けるといった事態が生じ難い冷蔵庫としている。
なお、本発明は上記した各実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。