JP2022152986A - 鉄道車両用ブレーキディスク - Google Patents

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Yutaka Nogami
孝憲 加藤
Takanori Kato
憲司 田村
Kenji Tamura
成央 宮部
Shigehisa Miyabe
成志 金森
Seishi Kanamori
結寿華 北澤
Yuzuka Kitazawa
真弘 神谷
Masahiro Kamiya
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Abstract

【課題】制動時において優れた冷却性能を発揮することができる鉄道車両用ブレーキディスクを提供する。【解決手段】ブレーキディスク(100)は、環状のディスク本体(10)と、フィン(20)と、を備える。フィン(20)は、ディスク本体(10)の裏面(12)上に放射状に配置される。フィン(20)の少なくとも一部は、ディスク本体(10)の半径方向において中央部にボルト孔(22)を有する。ディスク本体(10)は、内周部(15)を含む。内周部(15)は、半径方向においてボルト孔(22)よりも内側に位置する。内周部(15)の厚みは、半径方向で内側に向かうにつれて小さくなる。フィン(20)の各々は、頂面(21)と、凸部(25)と、を含む。凸部(25)は、仮想平面(S1)よりも半径方向で内側に突出する。仮想平面(S1)は、頂面(21)の端部(212)と、裏面(12)の内周縁(123)とを通る。【選択図】図3

Description

本開示は、鉄道車両用のブレーキディスクに関する。
鉄道車両の制動装置として、ディスクブレーキが広く使用されている。ディスクブレーキは、環状のブレーキディスクと、ブレーキライニングと、を備える。ブレーキディスクは、例えば、車輪に締結され、車輪とともに回転する。ブレーキディスクの表面(摺動面)には、ブレーキライニングが押し付けられる。ブレーキライニングとブレーキディスクとの摩擦により、ブレーキディスク及び車輪が制動される。
例えば新幹線等、高速で走行する鉄道車両に用いられるブレーキディスクには、その耐久性を確保する観点から、制動時における十分な冷却性能(放熱性能)が求められる。特に、高速鉄道車両が下り勾配区間を走行している間は、ブレーキディスクの制動が間欠的に行われる。このとき、ブレーキディスクの冷却性能が不十分であれば、ブレーキディスクが高温になり、結果としてブレーキディスクの耐久性が損なわれる。さらに、高温によりブレーキディスクが熱膨張することで、ブレーキディスクを車輪と締結するボルトへの負荷が増大する。
特許文献1は、制動時における冷却性能を向上させるための鉄道車両用ブレーキディスクを開示する。このブレーキディスクは、複数のフィンを裏面に有する。各フィンは、車輪に接触し、ブレーキディスクと車輪との間に通気路を形成する。当該通気路は、ブレーキディスクが車輪とともに回転するとき、ブレーキディスクの内周側から外周側に向かって空気を通過させる。この空気により、ブレーキディスクが冷却される。
特許文献1において、フィンの一部はボルト孔を有する。ボルト孔は、ブレーキディスクの半径方向においてフィンの中央部に形成されている。各フィンにおいて、ボルト孔の外周側及び内周側には、ブレーキディスクの円周方向に沿う溝が形成されている。この溝は、ブレーキディスクと車輪との間の通気路を流れる空気に圧力損失を生じさせ、空力音を低減させる。
特許文献2は、自動車用ディスクブレーキへの適用を想定したブレーキディスクを開示する。このブレーキディスクは、車軸に取り付けられる一対の摺動板と、摺動板の間に設けられる複数のフィンと、を有する。各フィンは、ブレーキディスクの半径方向に延び、隣接するフィン及び一対の摺動板とともに通気路を画定する。一対の摺動板のうち、車軸方向で内側に配置される摺動板は、その内周側にテーパ部を有する。テーパ部は、ブレーキディスクの半径方向で内側に向かうにつれて、摺動板同士の間隔が広くなるように形成されている。特許文献2によれば、このテーパ部により、ブレーキディスクの内周側で通気路の開口面積が広くなり、通気路に対する空気の流入抵抗が小さくなるため、通気路内の風量を増大させてブレーキディスクの冷却性能を高めることができる。
国際公開第2014/038621号 特許第3521266号公報
上述したように、下り勾配区間においてブレーキディスクの制動が間欠的に行われると、ブレーキディスクの温度が上昇して、ブレーキディスク及びボルトの耐久性が損なわれる可能性がある。ブレーキディスクの温度上昇の程度は、ブレーキディスクの冷却性能に依存する。よって、鉄道車両用のブレーキディスクには、制動時において優れた冷却性能を発揮することが求められる。
本開示は、制動時において優れた冷却性能を発揮することができる鉄道車両用ブレーキディスクを提供することを課題とする。
本開示に係る鉄道車両用のブレーキディスクは、環状のディスク本体と、複数のフィンと、を備える。ディスク本体は、表面及び裏面を有する。複数のフィンは、裏面上に放射状に配置される。複数のフィンの少なくとも一部は、ディスク本体の半径方向において中央部にボルト孔を有する。ディスク本体は、内周部を含む。内周部は、半径方向においてボルト孔よりも内側に位置する。内周部の厚みは、半径方向で内側に向かうにつれて小さくなる。フィンの各々は、頂面と、凸部と、を含む。頂面は、半径方向に延びる。凸部は、ブレーキディスクを半径方向に沿って切断した断面で見て、仮想平面よりも半径方向で内側に突出する。仮想平面は、上記断面で見て、半径方向における頂面の両端部のうち内側に位置する端部と、裏面の内周縁とを通る。
本開示に係る鉄道車両用ブレーキディスクは、制動時において優れた冷却性能を発揮することができる。
図1は、第1実施形態に係る鉄道車両用ブレーキディスクの裏面図である。 図2は、図1に示すブレーキディスクの1/8円部分斜視図である。 図3は、図1に示すブレーキディスクの半径方向断面図である。 図4は、第1実施形態に係る鉄道車両用ブレーキディスクと比較される他のブレーキディスクを示す図である。 図5は、第1実施形態に係る鉄道車両用ブレーキディスクと比較される他のブレーキディスクであって、図4に示すブレーキディスクとは異なるブレーキディスクを示す図である。 図6は、図3に示すブレーキディスクの熱変形を誇張して示す図である。 図7は、第2実施形態に係る鉄道車両用ブレーキディスクの半径方向断面図である。 図8は、熱流体解析に使用した各モデルの半径方向断面を示す模式図である。 図9は、各モデルについて、熱流体解析で得られた通気量と放熱指数との関係を示すグラフである。
実施形態に係る鉄道車両用のブレーキディスクは、環状のディスク本体と、複数のフィンと、を備える。ディスク本体は、表面及び裏面を有する。複数のフィンは、裏面上に放射状に配置される。複数のフィンの少なくとも一部は、ディスク本体の半径方向において中央部にボルト孔を有する。ディスク本体は、内周部を含む。内周部は、半径方向においてボルト孔よりも内側に位置する。内周部の厚みは、半径方向で内側に向かうにつれて小さくなる。フィンの各々は、頂面と、凸部と、を含む。頂面は、半径方向に延びる。凸部は、ブレーキディスクを半径方向に沿って切断した断面で見て、仮想平面よりも半径方向で内側に突出する。仮想平面は、上記断面で見て、半径方向における頂面の両端部のうち内側に位置する端部と、裏面の内周縁とを通る(第1の構成)。
鉄道車両用ブレーキディスクは、使用時において、車軸に固定される円板状の回転部材(例えば車輪)に締結される。ブレーキディスクは、各フィンの頂面が回転部材の側面に接触するように回転部材に取り付けられる。各フィンは、ディスク本体及び回転部材とともに、ブレーキディスクの半径方向に延びる複数の通気路を画定する。第1の構成では、ディスク本体の内周部の厚みが半径方向内側に向かうにつれて小さくなるため、各通気路の断面積がブレーキディスクの内周側で拡大される。これにより、制動時において、ブレーキディスクの内周側から通気路に多量の空気を流入させて通気量を増大させ、ブレーキディスクを速やかに冷却することができる。よって、第1の構成に係るブレーキディスクは、制動時において優れた冷却性能を発揮することができる。
一般に、鉄道車両用ブレーキディスクが使用中に過度に高温化すると、ブレーキディスクの変形の程度、又はボルトへの負荷応力が大きくなるため、ブレーキディスクにおいて強度的な問題(耐久性の問題)が生じる可能性がある。一方、ブレーキディスクの過度な高温化を回避するため、制動力を低減させると、鉄道車両の制動距離が延伸してしまう。よって、鉄道車両用のブレーキディスクでは、適切な熱容量を確保することが必要である。ここで、ディスク本体の内周部を単純に薄肉化した場合、ブレーキディスクの内周側の質量が減少して熱容量が低下する。その結果、制動時において、ブレーキディスクの内周側で局所的な高温化が発生する可能性がある。しかしながら、第1の構成では、半径方向内側に突出する凸部によって各フィンを増量することにより、ブレーキディスクの内周側の熱容量を補填している。このため、ブレーキディスクの内周側における局所的な高温化を回避することができる。すなわち、半径方向内側に突出する凸部をフィンに設けることにより、ブレーキディスクにおいて適切な熱容量を確保することができ、制動力を不必要に低減させることなく、ブレーキディスクの高温化を抑制することができる。よって、鉄道車両用のブレーキディスクとして要求される耐久性を確保することができる。
通気路にはブレーキディスクの内周側から空気が流入するため、ブレーキディスクの内周側でフィンを増量させると、このフィンにより通気路への空気の流入が制限されて冷却性能が低下するとも予想される。しかしながら、本発明者等による検証結果によれば、径方向内側に突出する凸部は、フィンの表面積を拡大するため、ブレーキディスクの冷却性能を却って向上させる。すなわち、第1の構成に係るブレーキディスクは、各フィンの凸部により、制動時においてより一層優れた冷却性能を発揮することができる。そのため、ブレーキディスクの昇温時における到達温度を低くすることができる。その結果、ブレーキディスクの変形の程度、及びボルトへの負荷応力を抑制することができ、鉄道車両用のブレーキディスクとして要求される耐久性を確保することができる。また、昇温後のブレーキディスクが冷却される速度を大きくすることができ、ブレーキディスクの冷却に要する時間を短縮することができる。これにより、例えば鉄道車両を抑速するため、間欠的に制動を繰り返すことが容易となる。
ボルト孔を有するフィンの各々は、自身を横断する溝を含んでいてもよい。各フィンの溝は、半径方向においてボルト孔の外側及び内側に配置される(第2の構成)。
一般に、通気路内の通気量が増大すると、鉄道車両の走行時に発生する空力音が増加する。これに対して、第2の構成によれば、ボルト孔を有するフィンには、自身を横断する溝が形成されている。これらの溝の縁部や壁面は、通気路を流れる空気に圧力損失を生じさせて、通気路内の通気量を低減させる。このため、走行時における空力音の発生を抑制することができる。
第2の構成において、フィンに形成された溝は、通気路内の通気量を若干低減させるものの、フィンの表面積を増大させる。よって、制動時においてブレーキディスクの冷却を促進することができる。このように、第2の構成に係るブレーキディスクによれば、制動時における優れた冷却性能を維持しつつ、空力音の発生を抑制することができる。
ディスク本体の内周部は、テーパ面を有していてもよい。このテーパ面は、ディスク本体の裏面の一部を構成する。テーパ面は、ディスク本体の表面側に向かって縮径する。ブレーキディスクを半径方向に沿って切断した断面で見て、テーパ面がディスク本体の表面となす角度は、25°以上45°以下であることが好ましい(第3の構成)。
ディスク本体の表面にブレーキライニングが押し付けられたとき、ディスク本体とブレーキライニングとの摩擦による発熱で、ブレーキディスクは、各フィンの半径方向の両端部を支点としてアーチ状に熱変形する。この場合、ディスク本体の内周部が回転部材に接近して、通気路の入口付近の断面積が縮小するため、通気路に流入する空気の量が減少する。
これに対して、実施形態に係るブレーキディスクでは、ディスク本体の内周部を薄肉化することにより、通気路の入口付近の断面積が拡大されている。このため、ブレーキディスクに熱変形が生じた場合であっても、比較的多くの空気を通気路に流入させることができ、通気路内の通気量を維持することができる。
さらに、第3の構成によれば、ディスク本体の内周部において、裏面から表面に向かって縮径するテーパ面が形成されている。このテーパ面は、ブレーキディスクの内周側に向かうにつれて回転部材から遠ざかるように25°以上で傾斜し、通気路の開口面積(入口面積)を広く確保する。このようにすることで、ブレーキディスクに熱変形が生じたときにもテーパ面の傾斜を維持することができ、通気路の開口面積を一定程度に維持することができる。よって、ブレーキディスクの熱変形に起因する通気量の減少を抑制することができる。また、ディスク本体において薄肉の内周部の範囲が広くなりすぎず、後述する剛性のバランスを維持することができる。
第3の構成によれば、ディスク本体の内周部において、テーパ面の角度は45°以下に設定されている。これにより、通気路の断面積は、ディスク本体の内周側から外周側に向かい、急変することなく徐々に縮小される。よって、通気路内を流れる空気の圧力損失を抑制することができ、通気路内の通気量を十分に確保することができる。
ディスク本体の内周部は、曲面を有していてもよい。この曲面は、ディスク本体の裏面の一部を構成する。曲面とディスク本体の表面との距離は、半径方向で内側に向かって小さくなる。ブレーキディスクを半径方向に沿って切断した断面で見て、曲面の接線のうちディスク本体の表面に対する勾配が最大となる接線が当該表面となす角度は、25°以上45°以下であることが好ましい(第4の構成)。
第4の構成によれば、ディスク本体の裏面において、半径方向内側に向かってディスク本体を薄肉化する曲面が設けられている。この曲面の接線のうち最大勾配を有する接線と、ディスク本体の表面とがなす角度は、25°以上に設定されている。これにより、ブレーキディスクの内周側に向かってディスク本体が回転部材から十分に遠ざかり、通気路の開口面積が広く確保される。よって、ブレーキディスクに熱変形が生じたとしても、ブレーキディスクの内周側においてディスク本体と回転部材との距離が過度に小さくなることがなく、通気路の開口面積を一定程度に維持することができる。そのため、ブレーキディスクの熱変形に起因する通気量の減少を抑制することができる。また、ディスク本体において薄肉の内周部の範囲が広くなりすぎず、後述する剛性のバランスを維持することができる。
第4の構成によれば、ディスク本体において、裏面側の曲面に対する接線は、表面と45°以下の角度をなす。これにより、通気路の断面積は、ディスク本体の内周側から外周側に向かい、急変することなく徐々に縮小される。よって、通気路内を流れる空気の圧力損失を抑制することができ、通気路内の通気量を十分に確保することができる。
L1/L0は1/4以下であることが好ましい。L0は、ボルト孔を有するフィンの半径方向の長さである。L1は、内周部の半径方向の長さである(第5の構成)。
フィンの中央部にボルト孔が設けられる場合、ディスク本体の広範囲に薄肉の部分を形成すると、ブレーキディスクにおいて、ボルト孔の外周側と内周側との剛性のバランスが崩れる。その結果、制動時において、ボルト孔に挿入されたボルトを挟み、ブレーキディスクの外周側と内周側とで非対称な熱変形が発生するため、ボルトに生じる曲げ応力が増大する。これに対して、第5の構成によれば、ディスク本体の薄肉の内周部の長さがフィンの長さの1/4以下であり、ディスク本体における薄肉化の範囲が制限されている。これにより、ブレーキディスクにおいて、ボルト孔の外周側と内周側との剛性のバランスを維持することができる。よって、ボルトに生じる曲げ応力を抑制することができ、ボルトの耐久性を確保することができる。
ディスク本体は、さらに、その裏面上に複数の突起を有することができる(第6の構成)。
第6の構成によれば、ディスク本体の裏面上の突起により、ブレーキディスクの表面積が拡大される。これにより、制動時において、ブレーキディスクの冷却を促進することができる。
以下、本開示の実施形態に係る鉄道車両用ブレーキディスクについて、図面を参照しつつ説明する。各図において同一又は相当の構成については同一符号を付し、同じ説明を繰り返さない。各図は、実施形態に係るブレーキディスクの主要な構成を説明するための模式的な図である。このため、各図に示されるブレーキディスクの細部の形状又は寸法比率等は、実際のブレーキディスクにおけるものと異なる場合がある。
<第1実施形態>
[ブレーキディスクの構成]
図1は、第1実施形態に係る鉄道車両用ブレーキディスク100の裏面図である。図2は、図1に示すブレーキディスク100の1/8円部分斜視図である。ブレーキディスク100は、鉄道車両の回転部材(図示略)に締結される。回転部材は、環状円板であり、車軸に固定されて車軸とともに回転する。回転部材は、例えば車輪である。
図1及び図2を参照して、ブレーキディスク100は、ディスク本体10と、複数のフィン20と、を備える。
ディスク本体10は、環状の円板である。ディスク本体10は、表面11及び裏面12を有する。表面11は、ブレーキライニング(図示略)が押し付けられる摺動面である。裏面12は、表面11と反対向きの面である。ブレーキディスク100が回転部材に締結されたとき、裏面12は、回転部材の側面に対向する。以下、説明の便宜上、ディスク本体10の半径方向及び円周方向を単に半径方向及び円周方向といい、半径方向と円周方向の両者に直交する方向を厚み方向という。
ディスク本体10は、その裏面12上に複数の突起13を有する。各突起13は、例えば、半球状、又は半回転楕円体状をなす。各突起13は、他の突起13と同一の形状を有していてもよいが、他の突起13と異なる形状を有していてもよい。
複数のフィン20は、ディスク本体10の裏面12上に放射状に配置されている。フィン20は、ディスク本体10の内周側から外周側に延びている。フィン20の各々は、半径方向に延びる頂面21を含む。ブレーキディスク100が回転部材に締結されたとき、頂面21は、回転部材の側面に接触する。これにより、回転部材と、円周方向において隣り合うフィン20と、ディスク本体10との間に空間が形成される。当該空間は、ブレーキディスク100が回転部材とともに回転する際に空気が通過する通気路となる。
フィン20の少なくとも一部は、半径方向の中央部にボルト孔22を有する。本実施形態の例では、ディスク本体10の裏面12上に配置された複数のフィン20のうち、一部のフィン20にのみボルト孔22が設けられている。ボルト孔22は、フィン20及びディスク本体10を厚み方向に貫通する。ボルト孔22には、ブレーキディスク100を回転部材に締結する際にボルト(図示略)が挿入される。
ボルト孔22を有するフィン20の各々は、溝23,24を有する。溝23,24は、頂面21からディスク本体10側に凹の形状をなす。溝23,24は、概ね円周方向に延び、フィン20を横断する。
溝23,24は、半径方向においてボルト孔22の両隣に配置される。溝23は、半径方向でボルト孔22の外側に設けられている。溝24は、半径方向でボルト孔22の内側に設けられている。溝23,24の形状は、特に限定されるものではない。溝23,24の壁面及び底面は、平面、凸曲面、もしくは凹曲面、又はこれらの組み合わせによって構成することができる。本実施形態では、ボルト孔22を有しないフィン20も、溝23,24を有している。
図3を参照して、ディスク本体10及びフィン20の構成をさらに詳しく説明する。図3は、図1に示すブレーキディスク100のIII-III線断面図、つまり、ブレーキディスク100を半径方向に沿って切断した断面図である。以下、半径方向に沿うブレーキディスク100の断面を半径方向断面という。
ディスク本体10は、外周部14と、内周部15とを含む。内周部15は、半径方向においてボルト孔22よりも内側に位置する。より詳細には、内周部15は、半径方向において溝24よりも内側に位置する。外周部14は、ディスク本体10のうち、半径方向において内周部15よりも外側に位置する部分であり、内周部15を取り囲む。
外周部14は、主裏面121を含む。主裏面121は、裏面12の主たる部分である。主裏面121は、表面11に実質的に平行な平面である。このため、外周部14の厚みt0は、半径方向にわたって概ね一定となる。厚みt0は、主裏面121から表面11までの厚み方向の長さである。厚みt0は、例えば、17mm~25mmとすることができる。
前述の突起13は、主裏面121上に形成されている。より詳細には、円周方向に隣り合うフィン20の間において、主裏面121上に複数の突起13が形成されている。成形性を考慮すると、ディスク本体10の外周側に位置する突起13は、半回転楕円体状であることが好ましい。その他の突起13は、半球状とすることができる。
内周部15は、テーパ面122を含む。テーパ面122は、裏面12の一部を構成する。テーパ面122は、主裏面121と接続されている。テーパ面122は、主裏面121と直接接続されてもよいが、C面取り面又はR面取り面等を介し、主裏面121と間接的に接続されてもよい。
テーパ面122は、ディスク本体10の表面11側に向かって縮径する円錐面である。ブレーキディスク100の半径方向断面視で、テーパ面122は、半径方向で内側に向かうにつれて表面11に接近するように傾斜する。ブレーキディスク100の半径方向断面視で、テーパ面122が表面11となす角度αは、25°以上45°以下であることが好ましい。
テーパ面122により、内周部15の厚みは、半径方向で内側に向かうにつれて小さくなる。すなわち、内周部15は、外周部14側からディスク本体10の内周側の縁に向かい、徐々に薄肉化されている。内周部15は、ディスク本体10の裏面12の内周縁123の位置で、最小厚みt1を有する。
最小厚みt1とは、裏面12の内周縁123から表面11までの厚み方向の長さをいう。本実施形態では、内周部15の表面11側に切欠き部が設けられているが、最小厚みt1は、この切欠き部を考慮しない厚みである。最小厚みt1は、例えば、3mm~12mmに設定することができる。外周部14の厚みに対する内周部15の最小厚みの比率t1/t0は、特に限定されるものではないが、例えば、0.12~0.7である。
図3に示すように、各フィン20は、凸部25を含む。凸部25は、フィン20のうち、半径方向で仮想平面S1よりも内側に突出する部分である。ブレーキディスク100の半径方向断面視で、凸部25は、仮想平面S1から仮想平面S2までの間に設けられる。仮想平面S1は、半径方向における頂面21の両端部211,212のうち内側に位置する端部212と、ディスク本体10の裏面12の内周縁123とを通る仮想的な平面である。仮想平面S2は、裏面12の内周縁123を通って厚み方向に延びる仮想的な平面である。
凸部25は、半径方向で内向きの表面251を有する。本実施形態において、表面251は、滑らかな曲面で構成されている。ただし、表面251は、平面で構成されていてもよい。ブレーキディスク100の半径方向断面視で、表面251は、複数種類の曲線及び/又は直線を組み合わせて構成することができる。
ボルト孔22を有するフィン20は、半径方向において長さL0を有する。内周部15は、半径方向において長さL1を有する。内周部15の長さL1は、好ましくは、フィン20の長さL0の1/4以下である。内周部15の長さL1は、ブレーキディスク100の半径方向断面視で、裏面12の内周縁123から、テーパ面122の延長線と主裏面121の延長線との交点までの半径方向の長さで定義される。フィン20の長さL0は、フィン20の半径方向の最大長さである。本実施形態において、半径方向内側のフィン20の端部の位置は、ディスク本体10の裏面12の内周縁123の位置と一致している。
[第1実施形態の効果]
本実施形態に係るブレーキディスク100では、ディスク本体10の内周部15の厚みが半径方向で内側に向かうにつれて小さくなっている。これにより、ブレーキディスク100の内周側で、鉄道車両の回転部材と、円周方向において隣り合うフィン20と、ディスク本体10とによって形成される通気路の断面積が拡大される。このため、回転部材の制動時において、ブレーキディスク100の内周側から通気路内に流入する空気の量(通気量)を増大させることができる。よって、ブレーキディスク100は、制動時において優れた冷却性能を発揮することができる。
本実施形態では、凸部25により、ブレーキディスク100の内周側でフィン20が増量されている。このため、ディスク本体10の内周部15を薄肉化したにもかかわらず、ブレーキディスク100の内周側において熱容量を確保することができる。よって、制動時において、ブレーキディスク100の内周側が局所的に高温化するのを回避することができる。その結果、ブレーキディスク100において、鉄道車両用のブレーキディスクとして要求される耐久性を確保することができる。
ブレーキディスク100の内周側の熱容量を増加させる場合、ブレーキディスク100の内周側で、フィン20の一部を円周方向に突出させることも考えられる。例えば図4に示すように、ブレーキディスク100の内周側の熱容量を単に増加させるだけであれば、ブレーキディスク100の内周側において、フィン20の両側面に凸部26を設けることも考えられる。しかしながら、この場合、ブレーキディスク100の内周側において通気路の断面積が特に円周方向に減少することになるため、通気路内の通気量が減少する。すなわち、図4の上図においてハッチングを付して示すように、通気路における空気の流入面が凸部26によって縮小され、ブレーキディスク100と回転部材との間の通気性が低下する。よって、ブレーキディスク100の冷却性能が低下する。さらに、フィン20を部分的に円周方向に突出させる場合、半径方向に延びる通気路において断面積が急拡大する部分が形成される。その結果、通気路では、その内部を流れる空気の圧力損失が増大して通気量が減少し、半径方向で外側に向かうにつれて空気の流速及び通気路の表面における熱伝達率が低下する。
あるいは、ブレーキディスク100の内周側の熱容量を単に増加させるだけであれば、例えば図5に示すように、ブレーキディスク100の内周側において、ディスク本体10の裏面12上に凸部17を設けることも考えられる。しかしながら、この場合、ブレーキディスク100の内周側において通気路の断面積が特に厚み方向に減少することになるため、通気路内の通気量が減少する。すなわち、図5の上図においてハッチングを付して示すように、通気路における空気の流入面が凸部17によって縮小され、ブレーキディスク100と回転部材との間の通気性が低下する。よって、ブレーキディスク100の冷却性能が低下する。
これに対して、本実施形態では、ブレーキディスク100の内周側において、フィン20を半径方向内側に突出させて凸部25を形成している。凸部25は、通気路内には突出しないため、ブレーキディスク100の内周側において、通気路の断面積を実質的に減少させない。すなわち、通気路における空気の流入面が凸部25によって縮小されることがなく、ブレーキディスク100と回転部材との間の良好な通気性を確保することができる。よって、ブレーキディスク100において優れた冷却性能を維持しつつ、熱容量を増加させることができる。
また、半径方向内側に突出する凸部25によってフィン20の表面積が拡大されるため、ブレーキディスク100の冷却をさらに促進する効果を得ることができる。よって、ブレーキディスク100は、制動時においてより一層優れた冷却性能を発揮することができる。
本実施形態において、各フィン20には、自身を横断する溝23,24が形成されている。溝23,24の縁部や壁面は、通気路を流れる空気に圧力損失を生じさせて、通気路における通気量を低減させる。このため、制動時における空力音の発生を抑制することができる。一方、溝23,24は、フィン20の表面積を拡大して、制動時におけるブレーキディスク100の冷却を促進する。よって、制動時におけるブレーキディスク100の冷却性能を確保することができる。
本実施形態では、全てのフィン20が溝23,24を有する。ただし、溝23,24は各フィン20に必須の構成ではなく、フィン20の一部又は全部が溝23,24を有しなくてもよい。例えば、ボルト孔22が設けられたフィン20のみに溝23,24を形成することもできる。
半径方向におけるブレーキディスク100の剛性のバランスには、ディスク本体10の剛性及びフィン20の剛性の双方が影響する。ブレーキディスク100の半径方向断面視で薄肉の内周部15が溝24に差し掛かる場合、ボルト孔22の内周側の溝24の近傍の剛性がボルト孔22の外周側の溝23の近傍の剛性よりも小さくなる。このため、制動時において、ボルト孔22内のボルトに対して非対称な熱変形がブレーキディスク100に生じやすくなり、ボルトに生じる曲げ応力が増大する。その結果、ボルトの耐久性が損なわれる可能性がある。
この点を考慮し、本実施形態では、ディスク本体10の薄肉の内周部15を溝24よりも半径方向内側に配置している。これにより、ボルト孔22の内周側と外周側とでブレーキディスク100の剛性が釣り合い、制動時においてブレーキディスク100の非対称な熱変形が生じにくくなる。よって、ボルト孔22内のボルトに生じる曲げ応力を抑制することができ、ボルトの耐久性を確保することができる。
本実施形態において、ディスク本体10の内周部15の厚みは、テーパ面122により、半径方向で外側に向かって徐々に大きくなっている。このため、通気路の断面積は、ディスク本体10の内周側から外周側に向かい、急変することなく徐々に縮小される。よって、通気路内を流れる空気の圧力損失を抑制することができ、通気路内の通気量を十分に確保することができる。
本実施形態に係るブレーキディスク100において、裏面12のテーパ面122が表面11となす角度αは、好ましくは25°以上に設定される。これにより、ブレーキディスク100の熱変形時においても、回転部材に対するテーパ面122の傾きを維持することができる。
図6は、ブレーキディスク100の熱変形を誇張して示す図である。図6に示すように、制動時において、フィン20の頂面21の両端部211,212を支点としてブレーキディスク100がアーチ状に熱変形した場合、ブレーキディスク100の外周側及び内周側が回転部材に接近し、回転部材とテーパ面122との開き角(回転部材に対するテーパ面122の傾き)が小さくなる。そこで、本実施形態では、表面11に対してテーパ面122を25°以上傾斜させることで、この開き角を予め大きく確保している。このため、ブレーキディスク100の熱変形が生じた場合にも、回転部材とテーパ面122との開き角が保たれ、回転部材と裏面12の内周縁123との距離(通気路の入口面積)を一定程度に維持することができる。よって、ブレーキディスク100の熱変形時においても、通気路内の通気量の減少を抑制することができ、制動時における高い冷却性能を確保することができる。また、ディスク本体10において薄肉の内周部15の範囲が広くなりすぎず、外周側と内周側との剛性のバランスを維持することができる。
図6に示すようにブレーキディスク100がアーチ状に熱変形することを考慮し、フィン20の表面251は、曲面で構成されていることが好ましい。表面251が曲面状であれば、熱変形によってフィン20が回転部材に接触した場合であっても、フィン20によって回転部材が傷つけられにくい。
本実施形態において、ディスク本体10の内周部15の半径方向の長さL1は、好ましくは、フィン20の半径方向の長さL0の1/4以下に設定される。これにより、ディスク本体10において薄肉の内周部15の範囲が制限される。よって、ブレーキディスク100において、ボルト孔22の外周側と内周側との剛性のバランスを維持することができ、ボルト孔22の外周側と内周側とで非対称な熱変形が生じるのを抑制することができる。その結果、ボルト孔22内のボルトに生じる曲げ応力を抑制することができ、ボルトの耐久性を確保することができる。
本実施形態に係るブレーキディスク100では、内周部15のテーパ面122が表面11となす角度αは、好ましくは45°以下に設定される。この場合、通気路の断面積は、ディスク本体10の内周側から外周側に向かい、急変することなく徐々に縮小される。よって、通気路内を流れる空気の圧力損失を抑制することができ、通気路内の通気量を十分に確保することができる。
本実施形態において、ディスク本体10の裏面12上には、複数の突起13が設けられている。この突起13によってディスク本体10の表面積が拡大されるため、制動時におけるブレーキディスク100の冷却を促進することができる。
突起13は、ディスク本体10の必須の構成ではない。すなわち、ディスク本体10の裏面12には、突起13が設けられていなくてもよい。
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態に係るブレーキディスク100Aの半径方向断面図である。本実施形態に係るブレーキディスク100Aは、ディスク本体10Aの内周部16の形状において、第1実施形態に係るブレーキディスク100(図3)と異なる。
内周部16は、曲面124を含む。曲面124は、裏面12Aの一部を構成する。曲面124は、複合円弧面で構成されている。曲面124と表面11との距離は、半径方向で内側に向かって実質的に小さくなる。内周部16は、第1実施形態と同様、ディスク本体10Aの裏面12Aの内周縁123の位置で、最小厚みt1を有する。
ブレーキディスク100Aの半径方向断面視で、曲面124の接線Tが表面11となす角度βは、25°以上45°以下であることが好ましい。曲面124の接線Tは、曲面124の接線の中で、表面11に対する勾配が最大となる接線である。角度βを25°以上とすることで、第1実施形態と同様、ブレーキディスク100Aの熱変形が生じた場合にも、裏面12Aの内周縁123と回転部材との距離(通気路の入口の開口面積)を一定程度に維持することができる。また、ディスク本体10Aにおいて薄肉の内周部16の範囲が広くなりすぎず、外周側と内周側との剛性のバランスを維持することができる。一方、角度βを45°以下とすることで、通気路の断面積は、ディスク本体10Aの内周側から外周側に向かい、急変することなく徐々に縮小される。よって、通気路内を流れる空気の圧力損失を抑制することができ、通気路内の通気量を十分に確保することができる。
ディスク本体10Aにおける薄肉化の範囲を制限する観点から、内周部16の長さL1は、第1実施形態と同様、フィン20の長さL0の1/4以下に設定されることが好ましい。内周部16の長さL1は、ブレーキディスク100Aの半径方向断面視で、裏面12Aの内周縁123から、曲面124の接線Tと主裏面121の延長線との交点までの半径方向の長さで定義される。
本実施形態においても、第1実施形態と同様、ディスク本体10Aの内周部16の厚みが半径方向で内側に向かうにつれて小さくなる。このため、ブレーキディスク100Aの内周側で通気路の断面積が拡大される。よって、鉄道車両の回転部材を制動する際、通気路内の通気量を増大させることができ、ブレーキディスク100Aに優れた冷却性能を発揮させることができる。
以上、本開示に係る実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
以下、実施例によって本開示をさらに詳しく説明する。ただし、本開示は、以下の実施例に限定されるものではない。
本開示に係る鉄道車両用ブレーキディスクによる効果を検証するため、汎用熱流体解析ソフトウェア(製品名:ANSYS Fluent、ANSYS社製)を用い、鉄道車両が360km/hで定常走行している場合を想定して三次元熱流体解析を行った。熱流体解析に使用したブレーキディスクの基本仕様は、以下の通りである。
<基本仕様>
・新幹線用の鍛鋼ブレーキディスク
・ディスク本体の内径:466mm
・ディスク本体の外径:722mm
・フィンの半径方向の長さL0:128mm
・ボルト孔:直径585mmの円上に中心が位置するように配置
ブレーキディスクの冷却性能を示す評価指標として、放熱指数を使用した。放熱指数は、ディスク表面の平均熱伝達率と、ディスク表面積との積算値(ブレーキディスク1枚当たり・360km/h定常走行時)である。この放熱指数が高いほど、ブレーキディスクの冷却性能が高いことを意味する。
また、空力音のレベルを示す評価指標として、通気量を使用した。通気量は、360km/h定常走行時におけるブレーキディスクと車輪(回転部材)との間の通気量である。国際公開第2010/071169号に記載されている通り、ブレーキディスクと車輪との間の通気量と、空力音のレベルとの間には、強い相関がある。このため、熱流体解析で得られた通気量(単位時間当たり)を空力音のレベルを評価するための指標とした。通気量が大きければ、空力音のレベルも大きいといえる。
図8は、熱流体解析に使用した各モデルの半径方向断面を示す模式図である。実施例1~4のモデルでは、第1実施形態に係るブレーキディスク100と同様、ディスク本体10に薄肉の内周部15が設けられ、且つ、フィン20に凸部25が設けられている。実施例2及び4のモデルでは、ディスク本体10の裏面12上に複数の突起13が設けられている。実施例3及び4のモデルでは、フィン20に溝23,24が設けられている。
比較例1のモデルでは、ディスク本体10に薄肉の内周部15が設けられず、且つ、フィン20に凸部25が設けられていない。比較例2のモデルでは、ディスク本体10に薄肉の内周部15が設けられているが、フィン20には凸部25が設けられていない。
実施例1~4及び比較例2において、内周部15の角度αを39°、フィン20の長さに対する内周部15の長さの比率L1/L0を0.16とした。角度α、及び長さL0,L1の定義は、上記実施形態(図3)で説明した通りである。
図9は、各モデルについて、熱流体解析で得られた通気量と放熱指数との関係を示すグラフである。図9に示すように、比較例2のモデルの放熱指数は、比較例1のモデルの放熱指数よりも高い。よって、ディスク本体10に薄肉の内周部15を設けることにより、ブレーキディスクの冷却性能が向上することがわかる。
実施例1~4のモデルの放熱指数は、比較例2のモデルの放熱指数よりもさらに高い。すなわち、ディスク本体10に薄肉の内周部15を設けることに加え、半径方向内側に突出する凸部25をフィン20に設けることで、ブレーキディスクに優れた冷却性能を持たせることができる。
実施例2~4のモデルの放熱指数は、実施例1のモデルの放熱指数よりも高い。ディスク本体10の突起13及び/又はフィン20の溝23,24によってブレーキディスクの表面積が拡大されたため、ブレーキディスクの冷却性能がより向上したと考えられる。
実施例3及び4のモデルの通気量は、実施例1及び2のモデルの通気量よりも小さくなっている。よって、フィン20の溝23,24は、ブレーキディスクの冷却性能を向上させるだけでなく、空力音の低減にも有効であることがわかる。
100,100A:ブレーキディスク
10,10A:ディスク本体
11:表面
12:裏面
122:テーパ面
123:内周縁
124:曲面
13:突起
15,16:内周部
20:フィン
21:頂面
22:ボルト孔
23,24:溝
25:凸部

Claims (6)

  1. 鉄道車両用のブレーキディスクであって、
    表面及び裏面を有する環状のディスク本体と、
    前記裏面上に放射状に配置される複数のフィンであって、当該フィンの少なくとも一部は、前記ディスク本体の半径方向において中央部にボルト孔を有する前記複数のフィンと、
    を備え、
    前記ディスク本体は、
    前記半径方向において前記ボルト孔よりも内側に位置し、前記半径方向で内側に向かうにつれて厚みが小さくなる内周部、
    を含み、
    前記フィンの各々は、
    前記半径方向に延びる頂面と、
    前記ブレーキディスクを前記半径方向に沿って切断した断面で見て、前記半径方向における前記頂面の両端部のうち内側に位置する端部と、前記裏面の内周縁とを通る仮想平面よりも、前記半径方向で内側に突出する凸部と、
    を含む、ブレーキディスク。
  2. 請求項1に記載のブレーキディスクであって、
    前記ボルト孔を有する前記フィンの各々は、
    前記半径方向において前記ボルト孔の外側及び内側に配置され、前記フィンを横断する溝、
    を含む、ブレーキディスク。
  3. 請求項1又は2に記載のブレーキディスクであって、
    前記内周部は、
    前記裏面の一部を構成し、前記表面側に向かって縮径するテーパ面、
    を有し、
    前記ブレーキディスクを前記半径方向に沿って切断した断面で見て、前記テーパ面が前記表面となす角度は、25°以上45°以下である、ブレーキディスク。
  4. 請求項1又は2に記載のブレーキディスクであって、
    前記内周部は、
    前記裏面の一部を構成し、前記半径方向で内側に向かって前記表面との距離が小さくなる曲面、
    を有し、
    前記ブレーキディスクを前記半径方向に沿って切断した断面で見て、前記曲面の接線のうち前記表面に対する勾配が最大となる接線が前記表面となす角度は、25°以上45°以下である、ブレーキディスク。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載のブレーキディスクであって、
    前記ボルト孔を有する前記フィンの前記半径方向の長さをL0とし、前記内周部の前記半径方向の長さをL1としたとき、L1/L0が1/4以下である、ブレーキディスク。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載のブレーキディスクであって、
    前記ディスク本体は、さらに、前記裏面上に複数の突起を有する、ブレーキディスク。
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