JP6311554B2 - ブレーキディスク付き鉄道車輪 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄道車両用の車輪にブレーキディスクが締結されて成るブレーキディスク付き鉄道車輪(以下、「BD付き鉄道車輪」ともいう)に関する。
鉄道車両の制動装置としては、車両の高速化や大型化に伴い、制動性に優れたディスクブレーキが多用される。ディスクブレーキでは、車輪に取り付けられたブレーキディスクの摺動面にブレーキライニングを押し付ける。これにより、回転する車輪に制動力が発生し、車両の速度が制御される。
図1A及び図1Bは、鉄道車両のディスクブレーキを構成するブレーキディスク付き鉄道車輪の全体構造を示す図であって、図1Aに1/4円部分の平面図を、図1Bに半円部分の軸方向に沿った断面図をそれぞれ示す。図2A〜図2Cは、従来のBD付き鉄道車輪の構造を局所的に示す図であって、図2Aにブレーキディスクの裏面を内周面側から見た斜視図を、図2Bにブレーキディスクを裏面側から見た平面図を、図2Cに軸方向に沿った断面図をそれぞれ示す。
図1A、図1B及び図2A〜図2Cに示すように、ブレーキディスク1は、表面2a側を摺動面とするドーナツ形の円板部2を備える。この円板部2の裏面2bには、放射状に複数のフィン部3が突設されている。複数のフィン部3のうちの幾つかには、半径方向のほぼ中央の位置に、円板部2まで貫通するボルト孔4が形成されている。
車輪10は、車軸が圧入されるボス部11、レールと接触する踏面を含むリム部12、及びこれらを結合する板部13から成る。ブレーキディスク1は、2枚を一組として個々の表面2aを外向きにした状態で車輪10の板部13を挟み込むように配置される。各ボルト孔4にボルト5が挿通され、各ボルト5にナット6が螺合し締め付けられる。これにより、ブレーキディスク1は、フィン部3の先端面(軸方向の端面)が半径方向の全域にわたって車輪10の板部13の側面13aに圧接した状態で、車輪10に締結される。このような構成の従来のBD付き鉄道車輪は、例えば特許文献1に開示されている。
鉄道車両の走行時、ブレーキディスク1は車輪10と一体で高速回転する。これに伴い、ブレーキディスク1の周辺の空気が、ブレーキディスク1と車輪10との間に形成された空間内に、具体的には、ブレーキディスク1の円板部2及びフィン部3、並びに車輪10の板部13で囲まれた空間内に、内周側から流入し、外周側から流出する(図2A〜図2C中の実線矢印参照)。要するに、鉄道車両の走行中、ブレーキディスク1と車輪10との間の空間には空気のガス流れが生じる。このガス流れは、新幹線(R)等の高速鉄道車両のように時速300kmを超える高速で走行する際に著しくなり、空力音と称される騒音を誘発する。このため、環境への配慮から空力音の低減が必要とされる。
この要求に対応する従来技術として、下記のものがある。
例えば特許文献2には、ブレーキディスクについて、隣り合うフィン部同士の間に円周方向に沿ってリブを追加し、このリブによってガス流れを抑制したBD付き鉄道車輪が開示されている。同文献に開示されたBD付き鉄道車輪によれば、空力音を所望のレベルまで低減することができる。
しかし、前記特許文献2に開示された技術では、リブによるガス流れの抑制に伴い、制動時にブレーキディスクへの冷却性能が低下する。このため、リブの追加によってブレーキディスク自体の剛性が増すことと相まって、ブレーキディスクの熱膨張に伴う変形、及びそれによる締結用ボルトへの応力負荷が増大し、ブレーキディスク及びボルトの耐久性が低下するおそれがある。
この問題の解決を図る従来技術が、特許文献3に開示されている。
図3A及び図3Bは、特許文献3に開示された従来のBD付き鉄道車輪の構造を局所的に示す図であって、図3Aにブレーキディスクの裏面を内周面側から見た斜視図を、図3Bに軸方向に沿った断面図をそれぞれ示す。これらの図に示すように、特許文献3に開示されたBD付き鉄道車輪では、ブレーキディスク1について、隣り合うフィン部3同士の間に円周方向に沿ってリブ7を追加し、更に、このリブ7の円周方向の中央部に径方向に沿ってスリット7aが形成されている。
このBD付き鉄道車輪によれば、スリット7aによってガス流れが確保される。このため、制動時にブレーキディスク1への冷却性能が維持されるとともに、リブの追加による剛性の増加が緩和されることから、ブレーキディスク1の熱膨張に伴う変形及び締結用ボルトへの応力負荷が軽減され、ブレーキディスク1及びボルトの耐久性の低下が抑えられる。
非特許文献1には、特許文献3のリブの代わりに、フィン部の径方向内側端部に、空気の流れを抑制するエアダムが設けられたBD付き鉄道車輪が開示されている。エアダムは、ブレーキディスクの周方向に沿う板状部分である。隣接するフィン部のエアダム同士の間には、間隙が形成されており、この間隙によってガス流れが確保されて、制動時にブレーキディスクへの冷却性能が維持されるとともに、エアダムの追加による剛性の増加が緩和される。すなわち、この間隙は、特許文献3のスリットと同様の機能を有する。
特開2006−9862号公報 特開2007−205428号公報 国際公開WO2010/071169号パンフレット
堀内 雅彦、「クノールブレムゼにおける新幹線向け基礎ブレーキ装置の開発」、鉄道車両と技術、No. 202,p13−17
上述のとおり、空力音の低減を図る従来のBD付き鉄道車輪は、ブレーキディスクの円板部及びフィン部、並びに車輪の板部で囲まれた空間内のガス流れを抑制することに主眼を置いている。このようなガス流れを抑制するため、これらの鉄道車輪は、ディスクブレーキの円板部にリブを追加し、若しくは更にそのリブにスリットを形成したもの、又はディスクブレーキのフィン部にエアダムを追加し、エアダム同士の間に間隙を形成したものとなっている。このため、ブレーキディスクの形状が複雑になることから、ブレーキディスクの生産性が低下せざるを得ない。
具体的には、フィン部のみならず、リブ又はエアダムの高さを調整する追加工(機械加工等)が必要となり、更には、リブを設ける場合は、リブにスリットを形成する追加工が必要となるため、ブレーキディスクの製造工程が煩雑化する。とりわけ、ブレーキディスクを鍛造によって製造する場合には、金型への負荷が増大し、金型寿命が短くなることは否めない。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、下記の特性を有するブレーキディスク付き鉄道車輪を提供することである:
・ブレーキディスクが簡素な形状で生産性に優れたものであること;
・放熱性を十分に確保しつつ、高速走行中の空力音を有効に低減すること。
本発明の一実施形態であるブレーキディスク付き鉄道車輪は、
ボス部、リム部、及びこれらを結合する板部から成る鉄道車両用の車輪と、
表面側を摺動面とするドーナツ形の円板部、及び前記円板部の裏面に放射状に突設された複数のフィン部から成るブレーキディスクと、を備え、
2枚の前記ブレーキディスクが個々の前記摺動面を外向きにした状態で前記車輪の前記板部を挟み込み、締結されたブレーキディスク付き鉄道車輪であって、
前記リム部の内周面は、前記リム部の側面につながるテーパー面、及び前記テーパー面と前記板部の側面とにつながるフィレット面から成り、
前記ブレーキディスクと前記車輪との間に形成された空間を円周方向に沿って横断する断面の面積について、この断面積が最小となる最小断面部が、前記円板部の外周面と前記リム部の内周面とで形成される領域のうち、前記リム部の前記テーパー面と前記フィレット面との境界に存在し、
前記円板部の前記外周面は、前記最小断面部を境界にして外側領域面と内側領域面とに区分され、
前記車輪の軸方向に沿った断面において、前記内側領域面と前記フィレット面の前記最小断面部近傍の部分とのなす角度αが、0°≦α≦6°を満たし、前記外側領域面と前記テーパー面とのなす角度βが、0°≦β≦35°を満たし、前記摺動面と前記テーパー面とのなす角度γが、30°≦γ≦45°を満たす。
本発明のブレーキディスク付き鉄道車輪は、下記の顕著な効果を有する:
・ブレーキディスクが簡素な形状で生産性に優れたものであること;
・放熱性を十分に確保しつつ、高速走行中の空力音を有効に低減できること。
図1Aは、ブレーキディスク付き鉄道車輪の全体構造を示す図であって、1/4円部分の平面図である。 図1Bは、ブレーキディスク付き鉄道車輪の全体構造を示す図であって、半円部分の軸方向に沿った断面図である。 図2Aは、従来のブレーキディスク付き鉄道車輪の構造を局所的に示す図であって、ブレーキディスクの裏面を内周面側から見た斜視図である。 図2Bは、従来のブレーキディスク付き鉄道車輪の構造を局所的に示す図であって、ブレーキディスクを裏面側から見た平面図である。 図2Cは、従来のブレーキディスク付き鉄道車輪の構造を局所的に示す図であって、軸方向に沿った断面図である。 図3Aは、特許文献3に開示された従来のブレーキディスク付き鉄道車輪の構造を局所的に示す図であって、ブレーキディスクの裏面を内周面側から見た斜視図である。 図3Bは、特許文献3に開示された従来のブレーキディスク付き鉄道車輪の構造を局所的に示す図であって、軸方向に沿った断面図である。 図4は、ブレーキディスク付き鉄道車輪における開口面積の総和と空力音レベル及び通気量との相関を示す図である。 図5は、非定常ガス流れ解析で得られた固体表面(ブレーキディスク及び車輪の表面)におけるガス圧力変動の分布を示す図である。 図6Aは、本発明の一実施形態であるブレーキディスク付き鉄道車輪の構造を局所的に示す、軸方向に沿った断面図である。 図6Bは、図6Aに矩形枠で示す部分を拡大して示す断面図である。 図7Aは、本発明例1のブレーキディスク付き鉄道車輪の構造を局所的に示す、軸方向に沿った断面図である。 図7Bは、本発明例2のブレーキディスク付き鉄道車輪の構造を局所的に示す、軸方向に沿った断面図である。 図7Cは、本発明例3のブレーキディスク付き鉄道車輪の構造を局所的に示す、軸方向に沿った断面図である。 図7Dは、比較例1のブレーキディスク付き鉄道車輪の構造を局所的に示す、軸方向に沿った断面図である。 図7Eは、比較例2のブレーキディスク付き鉄道車輪の構造を局所的に示す、軸方向に沿った断面図である。 図7Fは、比較例3のブレーキディスク付き鉄道車輪の構造を局所的に示す、軸方向に沿った断面図である。 図8は、本発明例1〜3及び比較例1〜3のブレーキディスク付き鉄道車輪について、放熱指標と空力音レベルとの関係を示す図である。
前記特許文献3に記載されているとおり、ブレーキディスクと車輪との間に形成された空間、その中でもブレーキディスクの円板部及びフィン部、並びに車輪の板部で囲まれた空間を流れる空気の通気量と、空力音のレベルとの間には、強い相関がある。
図4は、ブレーキディスク付き鉄道車輪における開口面積の総和と空力音レベル及び通気量との相関を示す図である。ここでいう開口面積の総和とは、ブレーキディスクの円板部及びフィン部、並びに車輪の板部で囲まれた空間について、ブレーキディスクの内周側から見たときの開口面積の円周方向全域にわたる総和のことである。言い換えると、開口面積の総和は、ブレーキディスクと車輪との間に形成された空間を円周方向に沿って横断する断面(以下、「空間横断面」)について、この空間横断面の面積が最小となる最小断面部の面積のことである。例えば、前記図3A及び図3Bに示すBD付き鉄道車輪のように、ブレーキディスクのフィン部同士の間にリブが追加され、このリブにスリットが形成されている場合、最小断面部はリブの位置にあるので、このリブの位置での空間横断面の面積が図4に示す開口面積の総和となる。なお、通気量は熱流体解析(ブレーキディスク1枚あたり)によって得られ、空力音のレベルは実験により得られたものである。
図4に示すように、空力音レベルは最小断面部の面積(開口面積の総和)の増加に伴って大きくなり、通気量も同様の傾向となることがわかる。
しかし、実際には、空力音は、ガス圧力の非定常変化(粗密波の伝播現象)よって引き起こされる。このため、空力音の発生を数値解析で予測する際には、本質的に非定常的なガス流れの変化及びそれに伴う音圧の変化を直接的に評価することが好ましい。
そこで、前記図3A及び図3Bに示す従来のBD付き鉄道車輪、すなわちフィン部同士の間にスリット付きのリブを追加したBD付き鉄道車輪を対象とし、非定常ガス流れ解析に基づく空力音レベルの直接予測を実施した。この解析では、走行速度は360km/hと一定にした。
非定常ガス流れ解析に用いたBD付き鉄道車輪のモデルの代表的な条件は、次のとおりである。
<ブレーキディスク>
・新幹線(R)用の鍛鋼ディスク
・円板部の内径:417mm、円板部の外径:715mm
・円板部の摺動面からフィン部の先端面(車輪板部との接触面)までの長さ:45mm
・直径が560mmの同一円上に中心が位置する12個のボルト孔を等間隔に形成し、各ボルト孔にボルトを挿通してブレーキディスクと車輪とを締結。
<車輪>
・新幹線(R)用の圧延車輪
・内径:196mm、外径:860mm
まず、前記特許文献2に記載された方法によって空力音レベルの測定を行い、非定常ガス流れ解析の計算手法の妥当性を検証した。具体的には、実験により、精密騒音計で音圧データを計測後、周波数分析を行い、A特性補正を加えた後、1/3オクターブバンド処理を実施し、周波数特性データ及びオーバーオール値を算出した。そして、オーバーオール値について、実験値(114.5[dB(A)])と計算値(114.8[dB(A)])を対比し、両者の整合性を確認した。
図5は、非定常ガス流れ解析で得られた固体表面(ブレーキディスク及び車輪の表面)におけるガス圧力変動の分布を示す図である。同図(a)は、ブレーキディスク及び車輪の表面のいずれも表示したものであり、同図(b)は、そのうちのブレーキディスクを透過して表示したものである。
図5に示す固体表面におけるガス圧力変動は、圧力の時間微分値の二乗平均量を示し、これは固体表面(ブレーキディスク及び車輪の表面)における音源分布に相当する。図5中の濃淡表示の濃い部分の分布から明らかなように、走行中の主要音源は、ブレーキディスクと車輪との間に形成された空間の中でも、ガス流出領域及びこの近傍、すなわちブレーキディスクの円板部の外周領域及びこの近傍に現れる。
このことから、本発明では、空力音の低減を図るため、ブレーキディスクと車輪との間に形成された空間のうち、従来技術で着目していたブレーキディスクの円板部及びフィン部、並びに車輪の板部で囲まれた空間ではなく、ガス流出領域となるブレーキディスクの円板部の外周領域、すなわちブレーキディスクの円板部の外周面と車輪のリム部の内周面とで形成される領域に限定して着目した。
そして、上記の非定常ガス流れ解析による数値計算を用い、ブレーキディスクの円板部の外周領域の形態が空力音レベル及び冷却性能に及ぼす影響について調査した。その結果、ブレーキディスクの外周面の形状を適切に規定すれば、冷却性能を従来技術相当又はそれ以上に維持しながらも、空力音レベルを一層抑制できるとの知見を得て、本発明を完成させた。
一般に、ガス流れは、方向変化が急激であればある程、粘性応力による運動エネルギーの散逸が大きくなり、その分、音を生成するエネルギーへと転換しやすくなる。この点、本発明は、ガス流出領域のガス流れに着目し、ブレーキディスクと車輪との間からのガス流れが、車輪のリム部の表面(側面)に沿うように調整し、ブレーキディスクの回転に伴って発生する摺動面に沿った半径方向外向きのガス流れと小さい角度で合流するようにする。これにより、音源となりやすい合流点近傍でのガス流れの方向変化が極小化し、空力音の低減が実現される。
以下に、本発明のブレーキディスク付き鉄道車輪の実施形態について詳述する。
図6A及び図6Bは、本発明の一実施形態に係るブレーキディスク付き鉄道車輪の構造を局所的に示す、軸方向に沿った断面図(以下、「軸方向断面」という。)である。図6Bは、図6Aに矩形枠Fで示す範囲を拡大して示す断面図である。以下では、前記図1A、図1B及び図2A〜図2Cに示す従来のBD付き鉄道車輪と共通する部分には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
図6A及び図6Bに示すように、この実施形態におけるブレーキディスク1は、円板部2と、フィン部3とを備える。このブレーキディスク1は、前記図3A及び図3Bに示すようなリブ7、及び上記非特許文献1に開示されたエアダムを有しない。要するに、円板部2の裏面2bには、放射状に複数のフィン部3が突設されているのみである。円板部2は、円錐台状、円柱状等の形状を有する。
ブレーキディスク1の材質としては、鋳鉄、鋳鋼、鍛鋼、アルミニウム、カーボン等を採用することができる。
図6Bに示すように、ブレーキディスク1の表面2aのうち、外周領域面2a1を除く領域が摺動面2a2となっている。摺動面2a2は、外周領域面2a1に比して一段高くなっており、外周領域面2a1と摺動面2a2との間には、段差が形成されている。摺動面2a2は、繰り返しの制動に伴って摩耗し、摺動面2a2の摩耗が円板部2の外周領域面2a1の高さ(図6Bに破線で示す。)まで進行すると、ブレーキディスク1は、交換される。
車輪10は、ボス部11と、リム部12と、板部13とを備える。リム部12の内周面12b(図6B中の点b1から点b4の範囲)は、リム部12の側面12aにつながるテーパー面12ba(図6B中の点b1から点b2の範囲)、及びテーパー面12baと板部13の側面13aとにつながるフィレット面12bb(図6B中の点b2から点b4の範囲)を含む。
図6Bに示すように、軸方向断面において、テーパー面12baは、ほぼ直線状である。フィレット面12bbは、軸方向断面において、ほぼ直線状の直線部12bb1(図6B中の点b2から点b3の範囲)と、車輪10側に凸形状である曲線状の曲線部12bb2(図6B中の点b3から点b4の範囲)とを含む。直線部12bb1は、テーパー面12baにつながっており、曲線部12bb2は、板部13の側面13aにつながっている。曲線部12bb2は、曲率半径が一定のR面であってもよく、曲率半径が変化する自由曲面であってもよい。
ここで、この実施形態のBD付き鉄道車輪では、ブレーキディスク1と車輪10との間に形成された空間を円周方向に沿って横断する空間横断面について、この空間横断面の面積が最小となる最小断面部が、ブレーキディスク1の円板部2の外周面2cと車輪10のリム部12の内周面12bとで形成される領域に存在する。具体的には、最小断面部は、リム部12の内周面12bでは、テーパー面12baとフィレット面12bbとの境界(点b2)に存在する。
また、ブレーキディスク1の円板部2の外周面2c(図6B中の点a1から点a3の範囲)は、最小断面部(点a2の位置)を境界にして、ここから厚み方向に沿って、外側(表面2a側)の外側領域面2c1(図6B中の点a1から点a2の範囲)と、内側の内側領域面2c2(図6B中の点a2から点a3の範囲)とを含む。軸方向断面では、外側領域面2c1、及び内側領域面2c2の形状は、いずれも、ほぼ直線状である。
軸方向断面において、面と面とがなす角度は、以下のように規定される。内側領域面2c2(点a2及びa3を通る直線)と直線部12bb1(点b2及びb3を通る直線)とのなす角度αは、0°≦α≦6°を満たす。外側領域面2c1(点a1及びa2を通る直線)とテーパー面12ba(点b1及びb2を通る直線)とのなす角度βは、0°≦β≦35°を満たす。
0°≦β≦35°であるので、βが0ではない場合、すなわち、外側領域面2c1の形状が、テーパー面12baに完全に沿ったものではない場合がある。この場合でも、内側領域面2c2と直線部12bb1とのなす角度αが0°≦α≦6°を満たすことにより、この2つの面間に形成される縮流部での整流化によりガス流れの変動が抑えられつつ、音源となりやすい合流点近傍でのガス流れの方向変化が緩和され、空力音が有効に低減する。
このような構成のBD付き鉄道車輪において、ブレーキディスク1は、リブ7及びエアダムを有さず、円板部2の裏面にフィン部3を備えるのみであり、簡素な形状である。このため、ブレーキディスク1の製造工程が煩雑化することはなく、ブレーキディスク1の生産性は優れる。ブレーキディスク1を鍛造によって製造する場合であっても、金型への負荷が増大することはなく、金型寿命が短くなることもない。もっとも、ブレーキディスク1の円板部2の外周面2cは、角度α及びβが上記の要件を満たす形状に機械加工を施す必要はあるが、この機械加工は、従来のリブ及びエアダム並びにスリットの追加工とは異なり、ブレーキディスク1の一連の機械加工の中で簡単に行える。
また、このBD付き鉄道車輪によれば、高速走行中、ブレーキディスク1と車輪10との間を流れる空気は、最終的にリム部12のテーパー面12baと、円板部2の外側領域面2c1とによって規定される方向に沿うように流出する。このため、ブレーキディスク1と車輪10との間から流出した空気は、ブレーキディスク1の回転に伴って発生する摺動面2a2に沿った半径方向外向きのガス流れと小さい角度で合流するようになる。
摺動面2a2とテーパー面12baとのなす角度γが、30°≦γ≦45°を満たすようにすることにより、このような合流の効果を得つつ、軸方向断面におけるテーパー面12baの長さLが過剰に長くならないようにすることができる。長さLは、例えば、10mm≦L≦20mmを満たす。
軸方向断面において、摺動面2a2と直線部12bb1(点2b及び点b3を通る直線)とのなす角度ζは、例えば、70°≦ζ≦85°とされる。
本発明のBD付き鉄道車輪による効果を確認するため、非定常ガス流れ解析及び熱流体解析を実施し、空力音レベル、冷却性能及び通気量を評価した。図7A〜図7Fは、解析の対象としたBD付き鉄道車輪の軸方向断面図である。図7A〜図7Fにおいて、図6A及び図6Bに示すBD付き鉄道車輪と共通する部分には、同一の符号を付している。図7A〜図7Cは、本発明の要件を満たすBD付き鉄道車輪(それぞれ、本発明例1〜3)の断面図であり、図7D〜図7Fは、本発明の要件を満たさないBD付き鉄道車輪(それぞれ、比較例1〜3)の断面図である。図7A〜図7Eにおいて、線分で結ばれた2つの黒丸で示した部分が、最小断面部である。
表1に、各BD付き鉄道車輪について、内側領域面2c2と直線部12bb1とのなす角度α、外側領域面2c1とテーパー面12baとのなす角度β、及び、最小断面部の面積を示す。
軸方向断面において、摺動面2a2とテーパー面12baとのなす角度γ、テーパー面12baの長さL、及び摺動面2a2と直線部12bb1とのなす角度ζは、本発明例1〜3及び比較例1〜3で共通とし、下記の値をとるものとした。
・γ:38.5°
・L:11mm
・ζ:77°
比較例3として、隣接するフィン部3同士の間にスリット7a付きのリブ7(図3A及び図3B参照)を追加したBD付き鉄道車輪を採用した。
各BD付き鉄道車輪について、車両走行時の空気及び熱の流れを数値解析した。解析に用いたBD付き鉄道車輪のモデルの代表的な条件は、上述した非定常ガス流れ解析のときと同じである。また、非定常ガス流れ解析の手法も同様である。非定常ガス流れ解析及び熱流体解析のいずれも、走行速度が360km/hと一定にした。
冷却性能の評価指標としては、ブレーキディスク1枚あたりの表面の平均熱伝達率と表面積との積算値で定義した放熱指標を導入した。この放熱指標が大きいほど、冷却性能が優れることを意味する。
図8に、各BD付き鉄道車輪の空力音レベル及び放熱指標を示す。
通気量は、ブレーキディスクと車輪との間の空間横断面の最小断面部での通気量の時間平均、及びその変動幅で評価した。表1に、各BD付き鉄道車輪の平均通気量及び通気量変動幅を併せて示す。
図8に示すように、本発明例1〜3は、リブを付与した従来技術である比較例3に比して、冷却性能を向上させながら、空力音レベルを低減できる。一方、本発明例と類似の形状であるが発明の範囲外である比較例1及び2では、円板部外周面の内側領域面2c2とリム部内周面のフィレット面直線部12bb1の間に形成される縮流部での整流化の効果が不足し、冷却能を向上できるものの空力音レベルも増大する。
また、表1に示すように、本発明例1〜3は、比較例3よりも最小断面部の面積が大きいため、平均通気量が増加し、冷却性能が高い。しかも、本発明例1〜3は、比較例3よりも通気量の変動幅が小さく、静音性が向上する。このことから、設計因子である最小断面部の面積を適宜変更することにより、BD付き鉄道車輪の静音性、及び制動時におけるブレーキディスクの冷却性能を適切に制御することが可能といえる。ブレーキディスク1の材質が、鋳鉄、鋳鋼、鍛鋼、アルミニウム、カーボン等、いずれの場合であっても、同様の効果を奏することができる。
本発明のブレーキディスク付き鉄道車輪は、ディスクブレーキを有するあらゆる鉄道車両に有効に利用することができ、中でも、高速鉄道車両に有用である。
1:ブレーキディスク、
2:円板部、 2a:表面、 2a2:摺動面、 2b:裏面、
2c:外周面、 外側領域面:2c1、 内側領域面:2c2、
3:フィン部、 4:ボルト孔、 5:ボルト、 6:ナット、
7:リブ、 7a:スリット、 10:車輪、 11:ボス部、
12:リム部、 12a:側面、 12b:内周面、
12ba:テーパー面、 12bb:フィレット面、
12bb1:直線部、 13:板部、 13a:側面

Claims (3)

  1. ボス部、リム部、及びこれらを結合する板部から成る鉄道車両用の車輪と、
    表面側を摺動面とするドーナツ形の円板部、及び前記円板部の裏面に放射状に突設された複数のフィン部から成るブレーキディスクと、を備え、
    2枚の前記ブレーキディスクが個々の前記摺動面を外向きにした状態で前記車輪の前記板部を挟み込み、締結されたブレーキディスク付き鉄道車輪であって、
    前記リム部の内周面は、前記リム部の側面につながるテーパー面、及び前記テーパー面と前記板部の側面とにつながるフィレット面から成り、
    前記ブレーキディスクと前記車輪との間に形成された空間を円周方向に沿って横断する断面の面積について、この断面積が最小となる最小断面部が、前記円板部の外周面と前記リム部の内周面とで形成される領域のうち、前記リム部の前記テーパー面と前記フィレット面との境界に存在し、
    前記円板部の前記外周面は、前記最小断面部を境界にして外側領域面と内側領域面とに区分され、
    前記車輪の軸方向に沿った断面において、前記内側領域面と前記フィレット面の前記最小断面部近傍の部分とのなす角度αが、0°≦α≦6°を満たし、前記外側領域面と前記テーパー面とのなす角度βが、0°≦β≦35°を満たし、前記摺動面と前記テーパー面とのなす角度γが、30°≦γ≦45°を満たす、ブレーキディスク付き鉄道車輪。
  2. 請求項1に記載のブレーキディスク付き鉄道車輪であって、
    前記車輪の軸方向に沿った断面において、前記摺動面と前記フィレット面の前記最小断面部近傍の部分とのなす角度ζが、70°≦ζ≦85°を満たす、ブレーキディスク付き鉄道車輪。
  3. 請求項1又は2に記載のブレーキディスク付き鉄道車輪であって、
    前記車輪の軸方向に沿った断面において、前記テーパー面の長さLが、10mm≦L≦20mmを満たす、ブレーキディスク付き鉄道車輪。
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